食欲魔人日記 00年4月 第3週
4/10 (月)
木村屋ペストリーショップ
 ぶどうパン
ロールキャベツ
牛乳

実は週末からなんとなく具合の悪かった息子は、今朝になっても熱が下がらなかった。
だんなは今日から明日まで広島出張。朝御飯を食べたら行ってしまう。
「そうかぁ〜。しょうがないねぇ。私が休むしかないよねぇ〜。」
という私の口調は何故か笑っている。
ホームページ制作の作業が楽しくて仕方のない今、会社を休んで家に居られるのは少なからず嬉しいことだった。

朝御飯はだんなと一緒にいただく。
土曜に外出した時に、留守番の母が作っておいてくれていたロールキャベツを温めて1つ。あとはぶどうパンをトーストして牛乳をコップにたっぷりと注いで。

私の味覚がお子さまなのか何なのか、私にとってロールキャベツにケチャップは必須だ。
「ロールキャベツは、コンソメの味でキャベツと肉を食べるものでしょ。ケチャップかけたらケチャップ味そのまんまやん。」
と夫はそう言って嫌がるが、ケチャップかけて十数年、この習慣は変わるもんじゃない。
肉の旨味が染み込んだキャベツにケチャップひとたらし。外側のキャベツを先に食べて、中の肉にもケチャップひとたらし。食べ終わる頃にはスープがうっすら赤く染まっているのだ。それが良いのだ。好きなのだ。

ビスコ
牛乳

だんなを出張に送り出し、会社に休む旨の電話を入れ、約束した顧客にも詫びの電話を入れ、そして私は端末の前に座り込む。
気が付くと12時を過ぎていた。
昼飯は……と思って振り返るといつのまにか息子は寝ているし。

そして私は端末の前に戻る。
今度は気がつくと2時を過ぎていた。

この時間に昼飯を食べるのも……と思い、目の覚めた息子と一緒にビスコを囓る。
ビスコ。子供がいなきゃ家にはないような食べ物だ。バタークリームの挟まったそれは相変わらずうすら甘くてモサモサしている。

カレーライス
ツナサラダ
コーンスープ
牛乳

アマレット酒

保育園を休んでしまった息子の給食献立を見ると、今日の昼は
 カレーライス
 ツナサラダ
 スープ、牛乳
とあった。ううううう、こんな美味しそうな日に、何で休む羽目になるかな、息子よ。
私は小学生の頃、「今日は揚げパンだから行く」というメチャメチャな理由で38℃の熱をおして学校に行ってしまったことがあった。

何となく息子が可哀相になってしまったので、夕飯はそっくりそのまま同じ献立にしてやる。
コンビニで甘口のカレールーを買ってきて、肉は薄切りに牛肉で。玉ねぎとじゃがいもと人参は、小さくコロコロと。
ツナは玉ねぎを薄切りにしたやつと一緒にマヨネーズで和えて……レタスを敷こうと思ったけど良いのが売ってなかったので諦めた。その代わりと言っちゃなんだが、スープはコンソメでなくコーンスープにしてやった。
あとは、コップに牛乳。
ほらほら、学校給食みたいじゃないか。息子の前も、私の前も。

午後7時からの探偵アニメをぶっつづけにつけつつ、学校給食然とした夕食を摂る。
カレーもスープも気に入ったらしい息子は、のっけからスープ3杯を一気飲みした。

で結局、甘ったるいお子供向け味つけの夕御飯がちょっとつらくて、食後にアルコール度数28度のアマレットをロックにしてちびりちびりやったりしている食後の私。

4/11 (火)
木村屋ペストリーショップ
 ぶどうパン
ロールキャベツ
牛乳

目を覚ますと、今日も息子はホゲホゲと赤い顔してハイテンションだった。熱、下がらず。
今日もお休み。ワイドショーなどつけながら息子と一緒に朝御飯。

未だなくならない金曜購入のぶどうパンと、未だなくならない土曜作成のロールキャベツを食す。
息子の飲んでいた牛乳が美味しそうだったので、私も牛乳。

ホットケーキ with 苺とバナナ
アイスカフェオレ

「ホットケーキでも焼くかぁ!」
と思いたち、幸い残っていた買い置きのホットケーキミックス1袋を使ってホットケーキ作成。バナナと苺があったので、これを切って上に飾ることにする。生クリームなんかあったら"フルーツホットケーキ"然としてベストかもしれないけど、何となくバターとメープルシロップの普通のホットケーキが食べたかったのでホイップクリームは抜き。

いそいそと、とっておきのバターである「カルピス特撰バター」を取り出して生地をこんがりと焼く。1つのフライパンでやったら2枚目を焼いている間に1枚目が冷めてしまって悲しいので、フライパン2個並べて2枚のホットケーキを同時作成。
ホットケーキは、1枚でも3枚でもなく2枚重ねて、がなんとなくしっくり来る感じ。食卓には冷蔵庫から出しておいたバターと明治屋のホットケーキシロップ。メープルシロップ100%じゃなく、色々合成されてるやつだけど、このちょっとチープめな味は確かにホットケーキに合っちゃうんである。

うむ、綺麗に焼けた。こんがりこんがり。
上には刻んだバナナと苺を飾って、1つ皿に乗せたやつを息子と分け合って食べる。
彼には牛乳、私にはカフェオレ。

バターたっぷりで焼いたケーキではあるけれど、でも食べる直前にも塗りたくりたくなるのが人情だ。ついでに私は、バターが溶けきる直前のちょっと固形になっているやつを、ケーキと一緒に口に放り込むのが好きなのだ。なんと高カロリーな食べ方だろう。

生地がほんの少し残ったので、とりあえず冷蔵庫に入れておいてみる。

チョリソー
モルツ

広島の 夫婦あなご飯
広島銘菓 ぷよまんカスタード
麦茶

夕方遅めの飛行機で、だんなが広島出張から帰ってくるらしい。
「穴子寿司、買って帰るよ〜」
と電話を貰ったので、息子の夕食につきあってチョリソーなど囓りながらだんなの帰宅を待つ。

息子には、昼のホットケーキミックスの残りに牛乳足してゆるくして、クレープのように薄く薄く焼いてやってみた。
昨日の残りのツナサラダをくるりと巻いて、ラップサンド風。厚めのクレープ然としたこれ、思いの外美味しくできて、息子も美味しいらしく3枚ぺろりと食べてしまった。

そして午後9時半。土産ものを抱えただんなが帰宅した。
広島駅で買ってきたというあなご寿司に、ぷよまん。更に冷蔵のお好み焼きに、ソースや乾燥具がセットになったお好み焼きセット。呆れるほどに食べ物ばかりの土産ものである。

で、さっそくいただく。
煮穴子が2枚入っているから「夫婦」の名がつくあなご飯。小さな容器に上からかけるたれがついていて、穴子の骨せんべいと奈良漬け2切れ入り。いかにもなその駅弁ぶりに、何やら感動してしまう。わし、駅弁好きじゃけぇ(←エセ広島弁)

デザートは、これまた広島名物の「ぷよまん」。
秋葉原でも買えるらしいが、本拠地で買ってこられると、何となく有り難みが増すような気がしないでもない。要するに人形焼きと大差ないけど、"ぷよぷよ"のあの顔つき饅頭は、キュートだ。
夜10時過ぎてこんなもの喰っちゃやばいと思いつつ、1つ。

4/12 (水)
いそべ巻き
きなこ餅
抹茶入り玄米茶

前日に朝食のことを考えずに寝てしまうと、大抵翌朝困ることになる。
……わかっちゃいるけど、私はまたこの過ちを犯してしまった。
午前7時10分。台所で少々途方に暮れている夫婦及び体力全快の息子なのであった。

「何、食べよーかー。」
「御飯、なーい……。」
「パンも、なーい……。」
このまま「なーい」「なーい」とゾンビ化していく我らにみえたが、1袋の救世主が私の目の端をかすめた。正月前から台所の隅の籠に入っていた餅パックだ。
「餅があるよ!もちもちもち!」
ともちもち言いながら宣言をし、私はさっそく餅を焼く。4月に餅。しかも中旬、桜も散る季節の餅。まぁ良いじゃないか。

こんがり焼けた餅をとぷんと醤油に浸してすかさず海苔を巻く。
または、
こんがり焼けた餅をとぷんと熱湯に一瞬浸して、砂糖入りのきなこたっぷりの上に乗せて、まぶす。このときの砂糖は、パルスィートでもグラニュー糖でもなく、上白糖がやはり宜しいんじゃないか、と私は勝手に思っている。

だんなはいそべ巻きが大好きだ。私はいそべも大好きだがきなこ餅も大好きだ。そして息子はきなこが好きだ。
3個のいそべ巻きと2個のきなこを作成し、
 だんな : いそべ巻き2個
 私 : いそべ巻き1個にきなこ1個
 息子 : きなこ1個
という分配にしてみた。私だけ2種類並んでちょっとごきげん。

銀座 おむすび十石の
 ランチセット
 (鮭ごまむすび・みつばむすび・うにむすび・肉団子・きんぴら)
UCC 抹茶入りげんまい茶

11時よりシステム提案をしに、銀座の某社へ。
まさか売れるまいと思っていた300万円の見積書に好印象を持ってもらい、うきうきしながら帰社。途中のおむすび屋さんで昼食を買って帰る。

松屋デパートの裏手にある「十石」では、2階で手作りおむすびを作って販売しているらしい。12時前ともなるとひっきりなりにお客がやってくる。480円のおにぎり3個入りランチセットが、中身にもよるが私の好物。
今日のランチは鮭ごま・みつば・うにという内容だ。申し分ない。

プラスチックの箱にはおむすび3個が並び、右隅には肉団子とにんじんとごぼうのきんぴらが詰まっている。
鮭ごまとみつばのおむすびには、胡麻がたっぷり混ぜ込んである。どちらにもほぐし鮭が入っているが、"みつば"にはざくざく切った三つ葉もたっぷり入っていてその香りが良い感じ。"うに"は味噌を練り込んだような練りうにが中にたっぷり。ケチャップがちょいとついた肉団子と、唐辛子がピリリと効いたキンピラがこれまた良い感じ。

そして食後の私は眠くなる。
ふわあぁぁぁぁ……ああ、2時から約束があるのに。
ふわあぁぁぁぁ。……ちょっと寝るかな(おいおい)。

たらこスパゲッティ
アイスコーヒー

3日前の日曜日、だんなは「刺身用たらこ」というナイスなパックを買ってきていた。無着色の薄い紅色のふわふわしたたらこだ。
これを使って、今日はたらこスパゲッティ〜♪

たらこスパゲッティには、副菜は不要なような気がする。サラダもスープもいらないような気がする。ただただ、たらこスパゲッティだけをわしわしと食べるのが至福だ。

必要なのはたっぷりのバター。"ちょっと多いかな"というところでもうちょっと足し、"さすがに多いだろう"というところでもうちょっと足す。カロリーも"今日の油摂取量"なんてものも考えず、とにかくドカーンと皿に乗せる。
ほぐしたたらこを酒とこぶ茶でもって練り練りしたものをこのバターに落とし、パスタが茹であがる前までにわっしわっしとかき混ぜておく。で、茹であがったパスタを上に盛りつけるやいなや、右手にフォーク、左手にスプーンを構えてうりゃうりゃと混ぜ合わせる。以前「チューボーですよ!」でやっていたやり方は、

 パスタをフォークとスプーンで持ち上げる
 →底から返すようにして落とす
 →皿の上で、フォークとスプーンでもってパスタを1/4回転ほどよじるように回す
 →パスタをフォークとスプーンで持ち上げる
 →以下、繰り返し

てなものだった。これが不思議と上手く絡まる。
で、最後に山盛りの海苔をぶっかければできあがり。

「私の得意料理は、たらこスパゲッティでぇ〜す」
とアイドルの自己紹介にある(あるのか?実際)ようなものとは異なる、やたらダイナミックなパスタ料理だ。

今日のは、少しばかり酒を入れすぎた。バターも多いが日本酒も多く、しかもタラコまでたっぷりあったりなんかしちゃったりして、だんなは残ったタラコソースに御飯をチンして混ぜ込んで喰っていた。
……美味しそうじゃないか、それ。

4/13 (木)
いそべ巻き 2個
抹茶入り玄米茶

「パンが、なーい」
「ごはんも、なーい」
まるで昨日と同じ光景が繰り広げられている我が家である。わかってるなら、何か準備しておけば良いものだが、救世主たる「パック餅」があることを知っている私たちは、怠惰だ。

今日はラスト5個の餅を全部いそべ巻きに。だんなも私も息子も、ひたすらいそべだ。
今晩やってくる来客対応に私が家中を掃除する中、だんなが餅の準備をしてくれた。とぷんと醤油をつけ、海苔を巻き巻き。その間にお茶もたっぷりと。

さ、餅が無くなっちゃったぞ。これからの「朝食用緊急食料」は何を用意すべきかが問題だ。

銀座 LA BETTOLA にて
 ランチBセット
 (前菜盛り合わせ・海老とルッコラのスパゲティ)
 パンナコッタ
 エスプレッソ

あの「ラ・ベットラ」である。
ディナーの予約は1年先まで埋まりまくりという、あの「ラ・ベットラ」だ。「落合務さん」というそのシェフの名前も輝かしいあの「ラ・ベットラ」だ。

その「ラ・ベットラ」は会社からそう遠くないところにある。
午前中の早い時間、店先にボードが置いてあることを発見したのはつい最近だ。ランチは当日の予約を入れるようになったようで、上から名前と人数を書いておいてください、とある。開店は11時30分。ボードが出るのは9時40分頃。首尾良くやれば、希望するその日に並ばずランチを摂るのは可能らしい、と気がついた。

気がついてしまった私の行動は迅速だ。
連れ立って行ってくれそうな友人知人を軒並み頭に思い浮かべ、「会おう会おう」と言いつつ全然会えてなかった友人を思い出した。H。高校時代の1級後輩で、現在ペンで生計を立てているすばらしき自由業の人物だ。

そのH、声をかけた昨日の翌日、すなわち今日に銀座にて打ち合わせがあるという。
ナイスタイミングじゃん!ということで、早速会うことに。おごってあげるから、最近の本を全部くれい、とねだってしまう。大きな袋を抱えたHがやってきた。

しかし、ラ・ベットラは凄い人だ。予約を取っているにも関わらず、開店直前は店の前に20人くらいがたむろしている。全員が、女性だ。
一番上に名前を書いた私たちは一番最初に案内され、店内の窓際の席につくことができた。ガス入りウォーターを頼み、ランチはBセットを。
Aセットはブルスケッタとパスタのセットで\1,200。Bセットは前菜とパスタのセットで\1,800。CセットになるとBプラスメイン料理がやってきて\2,800。お得な価格帯だ。人気があるのもやんぬるかな、といった感じ。

前菜は2人共盛り合わせを選択し、パスタは私が海老とルッコラ、Hがカラスミのスパゲッティ。
しかし……広くはない店だ。その小さな店にお客がぎっしり。スタッフも多いけれども、なんとなく騒然とした雰囲気になってしまっている。水を舐め舐めしていると、前菜がやってきた。

大皿中央にブロッコリーのマリネ。色々野菜のサラダにキッシュに茄子のマリネに野菜のトマト煮。シャコのマリネのようなものもある。
その5種類ほどの前菜はどれも良質のオリーブ油がたっぷりと使われていて、素材の味がしっかりとする。お、美味しい。茄子のシンプルなマリネの、そのクタッと加減や塩の具合、絡むオイルの加減もばっちりだ。こりゃあ……人気でるわ、と確かに納得。

で、パスタ。
「LA BETTOLA」の赤い文字が飾られた白い皿に細めのパスタが盛られている。
海老とルッコラのパスタは本当に海老もルッコラも大量に入っていてちょっとわくわくしてしまう。ぷりぷりの小降りの海老がたっぷり入り、生のトマトとルッコラがオイルと共に和えられている。隅っこにはこんがりほっこり揚げられた塊のにんにくが転がっていた。ううううう、このにんにく、午後の仕事に響きそうな気もするが食べてもよろしいでしょうか。よろしいですね。はい、いただきます。
ぱくり。
ん〜。栗みたいで美味しい。正直言って、メインの海老よりもルッコラよりも美味しかったにんにくであった。

Hのカラスミのスパゲッティは、オイルベースのパスタに"黄色いとびこ"然としたカラスミがのっかっている。カラスミって、もっと茶色いものと想像していたが、うす黄色のツブツブが絡むさまは異色のたらこスパゲッティのようで美しい。Hと皿を交換していただいてしまうと、潮の香りがほんのりする、確かにカラスミ味のパスタなのであった。ん〜、やっぱり美味しい。

まだHの時間もあったので、デザートもいっちゃう。
デザートはプリンやティラミス、パンナコッタやタルトやアイスが各種300円。ドリンクは200円。なんとも嬉しい料金設定。
大好物のパンナコッタを私が注文する横で、Hは「プラムのワイン煮」なんてものを頼んでいた。

パンナコッタはおおぶりの白皿の中央にこんもりと盛られてきた。上にはとろ〜んとカラメルが糸状に飾られている。"ちょっとだけ固めかな"と感想を持ったパンナコッタはどっしりと重量感のあるデザートで、でも口に含むとほわんと溶ける。生クリームがたっぷり入っているのが伺えて、嬉しい私は地に足がつかなくなる。苦みのあるカラメルもばっちり。お、美味しいぞパンナコッタ。これで300円は、ちょっとファンになっちゃうぞ。

Hのプラムは、ブランデーグラスにころころとワイン煮がソースごと入り、てっぺんにはバニラアイスクリーム。あああ、美味しそうだ、それ。また交換して食べちゃう。食いしん坊な先輩ですまんH。
とろんと甘いプラム煮はアルコールのきつい匂いは飛んでいてふわふわと良い香りがする。バニラアイスクリームとの組合せがもう絶品で、顔が思わず笑ってしまう。
「お、美味しいっすねぇ」
「お、美味しいよねぇ」
「ふはははは」
「ははははは」
と店の中で笑ってどーする私たち。

こりゃ人気でるはずだわー……と納得しきりでお勘定。これだけ食べても4000円ちょっと。お得すぎる。

……でも、昼だからこの喧燥も諦められるが、夜もこうだとするとちょっと辛い。
客はざわざわ、スタッフも小回りが利かずばたばた。各テーブルに置かれるはずだったらしいオリーブ油のボトルは私たちが席を立つころ各テーブルにやってきて、これを使う機会は逃してしまうこととなった。エスプレッソはカップの端からちょっと零れてカップが汚れてしまっていたし、水だけは何度も入れに来てくれたけど、ランチとしては料理の間隔は間延びした感じ。食後に頼んだデザートも、やってくるまで溜息5回ほどを必要とした。
1つ1つは些細なことだけど、これが重なると全体の雰囲気として「ちょっと……なんだかなぁ」と思ってしまう。

安いのだ。しかも美味しいのだ。
その美味しさのレベルが、価格の安さとそれゆえのサービスの悪さにそぐっていないような気がするのは、私だけなのかな。
もっと高い金を取って「客の敷居を上げる」ことも必要なんじゃないだろうか。でも、それはきっと落合さんは望んでいないことなんだろうなあ。

Hとの2年ぶりの再会はすこぶる楽しかった。相変わらずスレンダーな美人さんでパワーに溢れている。私の知る人物の中で最も雄々しい女性だった彼女は相変わらず雄々しかった。
「もしかして、高校時代に私が"怪しげなイベント"に誘わなかったら人生変わっていたのかなぁ。君は。」
と聞いてみると、
「そうっすね。少なくとも有明に通ったりはしてなかったと思いますよ。」
とニヤリと笑われた。
……すまんH。またおごるから勘弁してくれ。
また会おうね〜っ!

生春巻 海鮮醤ソースとスィートチリソースで
エスニック風炊き込み御飯
シラス入り中華風スープ
モルツ、よなよなエール、麦茶

夜は自宅で宴会だ。友人と会ったり友人がやってきたり、何やら浮き足立つこの日々は「春なのだなぁ」としみじみ思う。
今日の来客は、だんなの大学時代の友人であるM井さん。すっかり私の友人でもある……らしい。
「生春巻が食べたいです」
というリクエストを先月くらいから貰っていたので、今日はエスニックパーティー。

大皿にビーフンとレタスとキュウリとバジルと香菜とニラと豚肉と海老を盛りつけて、ライスペーパーを用意。たれは海鮮醤に酢を垂らしてナッツを砕いたものを散らした甘いものと、スィートチリソース。こっちはちょっとピリリと辛い。
各々大皿を手にもち、ライスペーパーを1枚取って台所の大鍋の湯に浸して柔らかくする。具を適宜乗せて美しく巻いて春巻型に整え、たれをつけて食べる。M井さんはこれがお気に入りだ。

ライスペーパーを戻す作業も楽しいし(←結構コツがいるのよ)、具を好きに乗せて巻くのも楽しい。如何に美しく売り物のような春巻を作れるかを競っちゃったりなんかして、宴会で生春巻は盛り上がる。

全部で15本くらいの春巻が消費された後は、これまたエスニック風の御飯とスープ。酢とラー油の入った酢辣湯(スーラータン)風すっぱ辛い卵スープと、ナンプラーたっぷりの豚肉と干し海老が入った炊き込みご飯。炊きあがり際に生のもやしをたっぷり放り込んで軽く蒸したもので、シャキシャキしたもやしがこれまたいけるのだ。XO醤に酢と砂糖と胡麻油を混ぜ込んだタレをつけて、香菜も添え、好みでつけて喰ってね。とする。
確か何度かやったことのある炊き込みご飯だが、今日はまたひときわ好評だった。M井さんもだんなもお代わりして、スープは無くなり、ご飯も少しを残して無くなった。こうたいらげてくれると、料理人冥利につきるというやつだ。

4/14 (金)
キムラヤの
 カレーパン
 クリームパン
カフェオレ

「M井さんが遊びに来ると泊まっていく」
はもう双方暗黙の了解事項となりつつある。実際、私はパンを1人前多く用意していたし、M井さんも電動シェーバーなどを持ってきているのだ。そもそも彼が寝ている居間のソファ兼用ベッドは彼が買ってくれたものだし。
「御邸宅の環境向上を目的とした贈り物ですよ」
なんて彼は言っているが、それはウソだ。他ならない彼自身の滞在環境向上の為であるのは言うまでもない。
知人の中で一番の変わり者の彼を、私もだんなも大切にしている。

朝食は、キムラヤのパン。
木村屋ペストリーショップでなく、本家本元のパンを買うのはちょっと久しぶりだった。懐かしい風情のクリームパン3個入りと、カレーパン2つに焼きそばパン1つ、ついでに息子用にレモンクリームパンを準備。だんなにコーヒーを煎れてもらっている間、私は惣菜パンをこんがりと温める。

「おおお、漫画で出てくるようなカレーパンですねぇ。外はサクサク、中はもちもちとしていて。」
などと言いながらカレーパンは嫌いじゃないらしいM井さんはパンをがつがつ食べていた。……いや、M井さんはがつがつは食べない。物腰のやたらと上品な彼は、カレーパンも一口ずつ手で千切って食べていたような気がする。

キムラヤのカレーパンは確かに美味しかった。
野菜や肉はゴロゴロと形を残して入っていて、ほんの少しピリピリとする。御飯のようなモチモチとした食感のパンがいかにもキムラヤらしい。揚げられた外側はこんがりキツネ色。
黄色くツヤのあるカスタードクリームが入ったクリームパンも、生地がほんのり甘かった。ん〜良い感じ。
よっしゃ、週の最後のお仕事、がんばっていきましょー!

人形町 古都里(ことり)にて
 特膳 "水天さん"

午後1時15分から、人形町にて打ち合わせ。
ならばと早めに会社を出て"人形町ランチ場開拓"に乗り出してみる私。

チャリをこいで新富町から八丁堀、茅場町を目指す。ロイヤルパークホテルにつくとあたりは一気に古い町並みになってくる。人形焼きの元祖の店に和菓子屋さん。敷居の高そうなすきやき屋に昼は扉が閉められたままの焼き鳥屋。良い感じである。銀座や日本橋を有する中央区内において、月島佃島よりも年齢層が高いのがこのあたりかもしれない。

そう言えば、「道場六三郎が絶賛の稲庭うどん屋」なるものがあったな、と思い出す。確かロイヤルパークホテルの真横だったと記憶している。以前昼過ぎて通りかかったら大行列でびっくりしたものだった。道場六三郎がどうというのは関係ないけど、美味しい稲庭うどんなら食べてみたい。

果たして今日は、空いていた。というか開店直後でちょうど良いタイミングだったようだ。いかにも蕎麦屋然とした店内に白木のカウンターが光っている。このカウンターの隅っこに腰掛け、メニューを開く。
「あったかい稲庭うどん」に「つめたい稲庭うどん」。天婦羅とのセットもあって、あったかいのは「古都里膳」、冷たいのは「水天さん膳」となっているらしい。天婦羅がグレードアップした「特膳」なんてのもある。ちょうど和食に飢えていた私はついつい「特膳 水天さん」など注文してしまう。

うどんが出てくるのを待つ間、店はえらい速さで埋まっていく。近隣のOLらしい7人組や、おじさん2人組など。やっぱり人気があるらしい。
そして私の前に膳がやってきた。水で締めたばかりのツヤツヤ光るうどんの上にシソの千切りと胡麻が少々。たれは普通の醤油ベースのものと、胡麻だれが並ぶ。蕎麦猪口くらいの大きさの可愛い器にかやく御飯、自家製らしい漬物に、天婦羅は7種類。椎茸と茄子、ししとうにさつま芋にイカ、海老2匹、穴子と盛られている。

稲庭うどん、旨かった。
噛み切るのに難儀するくらいコシのある平べったいうどんは、ツルツルツルツルーッと喉に落ちて行ってしまう。甘みの少ないタレはどちらもさっぱりとしていていくらでも食べられそうだ。
筍や鶏肉、油揚げがたっぷり入ったかやく御飯の甘さとか、天婦羅の油っ気なんかがうどんと一緒にツルツルと胃に収まってしまう。しかも天婦羅、サクサクしていてお芋はほっこり、侮れないほどレベルが高い。
あああ、なんか美味しいぞ。悔しいぞ。(←私は"有名店"が美味しいと何故か悔しい。総じて"有名店"は美味しくない、という偏見というか信念を持っているから。) これで1500円。ごちそうさまでした。

若い女性がかなり入っていた店内だが、私と反対の隅に居たカウンターのおじいさんが気になった。
ふらりと入ってきて、当たり前のようにその場所に腰掛け、「いつものね」と一言。
ざるうどんが供されて、それを3分ほどでツルリと食べて去っていった。あっという間の十数分。
その"粋っぷり"に私はクラクラしてしまった。

今度は、これを是非食べたい。

「特選 治部煮風鴨稲庭うどん」 1300円。

"治部煮風"ですってよ!"鴨"ですってよ!
気になるじゃありませんか、奥さん!……って何故ここでみのもんたになるのか。私。

広島風お好み焼き (レトルトもん)
よなよなエール、冷茶

広島出張でだんなが買ってきた土産物の中に「真空パックお好み焼き」なる大変怪しげなブツがあった。

地元民は決して買うことはないだろうことは、パッケージに記された「OKONOMI-YAKI」という大変うさんくさげなローマ字からも漂ってくるではないか。怪しい。「イカ入り」という文字も「そば入り」という文字も誠に怪しい。
……でも、こういうのって気になるのよね〜♪(←ジャンク好き)
「真空パックもんじゃ焼き」なんて絶対買わないくせに(いや……買ったっけか似たようなもの)、そこは観光客気分爆発で、うきうきと袋を開ける私たちがいる。

電子レンジ、もしくはフライパンかホットプレートで温めよ、とある。
「2枚同時にあったまるし、保温もできるじゃないか!」
などと言いつつ、帰宅早々にだんなはホットプレートを準備し始める。弱火で蓋をして蒸し焼きにして、添付のソースと青のりをかける。当然冷蔵庫からマヨネーズも取り出して、それもぶっかける。

店のできたてアツアツを食べるのとはほど遠いけれど、しかし思ったよりは結構いけるお好み焼きだった。そばはたっぷりこんがりと焼けていて、豚肉もイカもしっかりまんべんなく入っている。お好み焼きつまみつつビールなぞ飲んでしまうと相乗効果であっという間に満腹だ。

しかし、こういうのって欲求不満になってしまう。
あああ!本場のちゃんとしたお好み焼きが食べた〜いっっ!!!

4/15 (土)
千趣会の
 レトルトカレー(ビーフキーマン)
 レトルトスープ(サフラン風シーフードスープ)
アイスカフェオレ

雨の土曜日。
本当だったら息子を連れて多摩動物公園に行く予定だったのだ。ライオン見てサル見てキリン見て、そして私の大好きなレッサーパンダをじっくりと見る予定だったのに、あーめー。「全国的に雨」などと天気予報では言っているし、がっくりである。
たらこおむすび沢山作って、鮭おむすびも作って、卵焼きに鶏の唐揚にタコさんウィンナーという黄金の行楽弁当を作ってもみようと考えていたのになぁ。

そういうわけでやる気が無い。
私の起床時間が9時半を過ぎていれば、だんなの起床時間も10時半を回っていた。息子も爆睡。全体的に朝からだらだらだら〜んとした雰囲気が漂っている。

やる気ないまま、朝御飯。
昨日炊いておいていた御飯があったので、通信販売で買い求めていたレトルトカレーとレトルトスープをがさがさと開封。私はキーマカレーにシーフードスープ、だんなはほうれん草カレーにビーフコンソメ。
「辛口を好みな方の為に」と添付でついてきているスパイスの小袋をふりかけると、コリアンダーやらクミンやらの強い匂いが漂って、異国の香りのカレーになった。
そんなこんなで朝から2合の米が無くなったりしてるわけだけど。

ぷよまんカスタード
牛乳

通販のカタログをべろべろと捲ってみたり、ビデオを見たりとひたすらだらだら。
気が付くと2時半を回っていて、なんとなく小腹が空いてきたので、居間のフローリングに皆で座り込んでぷよまんカスタード味を食す。お供は当然、牛乳。

カスタード味に限らず、もみじ饅頭・人形焼き系の饅頭には牛乳が合うと、私は信じて疑わない。
ペコちゃん焼きにも牛乳だし、たい焼きにも牛乳だ。ついでにあんパンにも牛乳だ。あんこと牛乳、実に合う。
でも、あんまんは牛乳ではなくて、大福も牛乳ではないのね。だからいちご大福は牛乳とは合わせない。んんん、難しいのだ。

シカゴピザの
 ピッツバーグ・カントリーネのハーフ&ハーフ
 シーフードドリア
 ハッシュドポテト
コカコーラ

日が沈むまで、いや、沈んでもやる気の全くない私。私だけならまだしも、だんなもやる気がないようだ。
「夕飯、何にする〜〜〜〜?」
「……パスタでも、作るぅ〜〜〜〜?」
「う〜ん……」
「……う〜ん………………」
と何の結論も出ないまま、気が付くとだんなはピザ屋のチラシをテーブルの上に広げてしまっていた。
こうなったらとことん楽してしまおうと、今日の夕飯、ピザ決定。

いつもより1サイズ小さなピザのハーフ&ハーフにして、それにドリアをつけちゃう。息子も私も大好物のハッシュポテトも注文して、テーブルの上にはジャンク色一色の料理が並ぶ。
小さなハンバーグが乗ったピッツバーグピザに、じゃがいもがごろごろコーンがごろごろ入ったカントリーネピザ。氷をたっぷり入れたグラスにコークを注いで、乾杯。

片栗粉でとろみをつけたような、甘辛いタレがこってりかかっているハンバーグの味なぞ、まさにジャンクだ。バターの匂いのする御飯に野菜が混ざり、海老やらイカやらタコやら貝やらが細かく入っているホワイトソースがドカンとかかっているドリアもなかなか凄いものがある。
表面がカリリとしているハッシュドポテトにはケチャップをたっぷりつけて口に放り込み、ジャンク気分を満喫する。
口も手もテーブルもギットギト。はふ。

4/16 (日)
コンビニの
 チョコクロワッサン
 コーンマヨネーズパン
 もやし味噌ラーメンミニサイズ
牛乳

怠惰な週末、2日目。
コンビニ御飯の朝御飯。ううう、たまには良いけど、味気ない。

私はパン2つとスープ代わりの小さなカップ麺。だんなは焼きそばにおにぎりセットに「チキン竜田」なる怪しげな太巻。相変わらず大量な食料が並ぶ食卓だ。

もっきゅもっきゅとお互い分け合って食べながら、
「おにぎりとカップ焼きそばと日本茶という組み合わせはどうか」
「菓子パンにラーメンに牛乳というのは一層いかがなものか」
「しかし息子のフレンチトーストに焼きそばにアクエリアスという組み合わせも相当不気味だ」
などというのが議題に上がる。
ていうか食べ過ぎでしたね。げふ。

マクビティのチョコビスケット
グレープフルーツジュース

朝食とって人心地ついて、近所のボーリング場に向かう。のんびり2ゲームやって、マーケットで食料買って帰宅。
「おやつだ!」
と買ってきたマクビティのビスケットを食す。

ビスケットはマクビティがやはり好みだ。
マクビティの中でも、あのチョコレートがコーティングしてあるやつは涙がちょちょぎれるほど好物なのだ。
数ヶ月ぶりに買ってみたらパッケージが一新していてちょっとびっくり。幼き頃は、マクビティのビスケットは筒状のパッケージの中、波打った紙にくるまれてずらずらと詰まっていたと記憶しているけど、いつのまにか4枚ずつのビニールパックに小分けされるようになってしまった。あの、筒を開けるときの、「開けちゃうぞ〜。食べちゃうぞ〜。」という気分の高揚がたまらなかったものなんだけど。

……ま、食べ過ぎないようになっているのは良いことだ。1袋を開けて、息子に2枚、私が2枚。
おやつの後は、親子揃って全員で昼寝。なんとものどかな日曜日。

ポテトコロッケ with 千切りキャベツ
揚げウィンナー
ブロッコリー with オーロラソース
豚汁
御飯
よなよなエール

「どっちの料理ショー」を見ては題材の料理が食べたくなり、「チューボーですよ!」を見ては題目の料理を作りたくなる。マスコミに良いように踊らされていると実感しつつ、今日は昨夜の「チューボーですよ!」でやっていたポテトコロッケが夕食のおかずだ。

「食べた〜い」
「美味しそーう……」
「美味しそーう……」
と土曜深夜に涎垂らして見た翌日、「じゃがいもだ!」「合挽肉だ!」「コロッケだ!」と妙に気合いが入っている私たちだ。

じゃがいも4個を丸ごと蒸し器で蒸して、急いで皮を剥きつつ合挽肉と玉ねぎを炒める。こてこてと丸めてつぶして小判型にして、衣をつけてこんがり揚げる。出来あがったたっぷりのタネからは、お肉屋さんのコロッケのようなごろりとしたやつが10個出来た。

「ビールのつまみに揚げウィンナーも作ろう!」
と思い立ったらしいだんなはウィンナーも揚げ鍋の中に放り込み、私は私で
「ちょっとヤバめのブロッコリーを茹でて食べよう!」
とブロッコリーを茹でる。タレはだんなのリクエストにより、ケチャップとマヨネーズを半々で混ぜたオーロラソース。

しかも、
「コロッケと言えば豚汁だよ!」
というわけのわからない理由をだんなからつけられ、豚汁も作る。買ってきた安い安い豚バラ肉の薄切り(脂たっぷりで、ゆえに美味しくなるのだ)を胡麻油で炒めて牛蒡人参大根を加えてぐつぐつ。食べる寸前に、上に刻み長ねぎをパラリ。炊きたての白い御飯。
なんだか凄い御馳走になってしまった。

で、揚げ物やるからには揚げたてを即座に食べたいところなのである。コロッケが揚がる寸前に全ての食卓の準備を整え、最後のコロッケを鍋から上げる頃にはだんなはビールを冷えたグラスに注いでいた。
揚げたてのコロッケに、とんかつソースをちろりと垂らし。

……うっめ〜〜〜〜!!!
外はサクサク、中はほっこり。あっつあつのコロッケは上顎を火傷しそうなほどだ。
外側がパリッとなったウィンナーをつまみつつビールを飲みつつキャベツを食べつつコロッケを満喫。
自宅で作るコロッケは、やっぱり美味しいのだ。