食欲魔人"今度こそダイエット"日記 99年12月 第5週
12/27 (月)
ヨーグルト

【本日の痩身 : 今日も測定できず。】

体調不調2日目。今日も風邪まっさかりだ。会社休んで家でごろごろ。

だんなと息子を見送って、一人朝寝続行。
ああ、平日の午前中にむさぼる惰眠というのは何故にこんなに気持ちよいのだ。これで体調が良かったら極楽なのに……と休んだ主旨が最早ずれている自分である。10時頃朝寝を終了し、もそもそと起き出してとりあえずヨーグルトを食す。ん、おいし。

千趣会のレトルトもん
 インド風チキンカレー
麦茶

ヨーグルト食べて再び布団に戻り、午後2時に目覚めると、体力が相当復活しているのを感じた。ドラクエで言うところの「ちゃーらーらーらーちゃっちゃっちゃ〜♪」の宿屋音楽が鳴った後、というところである。そういえばRPGには宿屋はあっても食堂はあまり出てこない。どころか、「バイオハザード」においては数日間ゾンビ相手に戦い抜くのに"ハーブ"なる草しか摂取しない。あんな植木鉢に植えてある草を生で食って闘えってか。私にはとても出来そうにないなー、はははー。……すみません、余談でした。

ともあれ、食欲復活だ。
台所を漁り、棚を漁り。腹は減ったが調理する気力は無い。がさがさと引き出しを開けて、数種のレトルトカレーを発掘した。インド風チキンカレーをとりあえず温め、御飯は冷凍してあるやつをチンして簡単お昼ご飯。

カレーというやつは史上最強の食べ物である。
どんなに食欲なくても、あるいはどんなに満腹でも、あのカレーの匂いをかぐと、「お、カレーだ……食べたいなあぁぁ」と思ってしまう。大きな鍋にたっぷり作ったカレーの匂いを30分かがされ続けても食欲が沸かない人がいたら、私は心から尊敬したい。

本日の「インド風チキンカレー」はやや辛系だ。どろりとしていてスパイスたっぷりなカレーは、病み上がりの自分にはちょっと刺激が強かった。
「むむむむむ……」
と唸りながら食べていたら、ぶわぶわと汗が吹き出てきた。重かった頭は若干軽くなり、痛かった喉は若干和らいだ。
やはりカレーは偉大なのだ。

焼餅
天ぷらうどん

「うどんでも作るよー。」
とカエルコールをしてきただんなが、早々に帰宅してきてくれる。何故か右手にはシャリシャリ袋に入った、湯気のたつナニモノかを抱えて。
「焼餅(シャーピン)も買ってきちゃったー。3個買ったらもう1個おまけしてくれたー。」
と何だか嬉しそうだ。
そう、彼は家の近所に週1度出没する中国人おばちゃんの屋台を発見して寄ってきたのであった。

先日焼餅を買い、肉まんを買い、花巻を買っただんなは、おばちゃんから「あなたはお得意さま」の認定を受けていたらしかった。
「来年もよろしくねぇ」
と言われ、
「子供はこれが好きだよぉ」
とおまけしてもらい、今度は焼餅の他、油条と野菜まんも買ってきた。

で、湯気のたつほわほわの焼餅をとりあえず皆で食べる。今日も胡麻油が香ばしい。今日のはちょっと塩気が強かったけど、ぺたっとした肉入り餅は今日も美味しい。
はふはふ食べている間に、天ぷらうどんも出来上がったらしい。私はかき揚げうどん、だんなは海老天ぷらうどん。半熟の卵入り。

12/28 (火)
野菜饅
花巻
プーアル茶

【本日の痩身 : 今日は測ろうと思ったのに……(汗)】

昨日、だんなが買ってきた野菜饅と花巻をあっためて朝御飯。
中華な朝御飯のお供は真っ黒いプーアル茶と決まっている。湯気のたつ真っ黒いお茶と、蒸籠を並べてシアワセな冬の食卓。
近所に中華屋台を出している、なじみのおばちゃんから買ってきた"野菜饅"は初挑戦だ。中には春雨がたっぷり。椎茸や葱、干し海老なども詰まっている。ほわんと醤油が香る塩ベースの具だった。なかなか美味しい。はー、香港行きたいなぁ。(←最近、香港行きたい行きたい病にかかっているらしい)

フランスパンのトースト バター乗せ
ホットミルク

昨日は私が病床に伏したのであったが、よりにもよって今日は息子が伏してしまった。何故時間差で風邪ひくかなー、一緒にひいた方が経済的だろうに。で、仕方なく親子で家にこもることとなる。しくしくしく。

昼御飯は簡単にトーストだ。クリスマスの時に買ったフランスパンの残りをあっためて、バターをたっぷり塗って食べる。
ホットミルクにラム酒をひとたらし、砂糖をひとさじ入れて大人のホットミルク。

ターツァイと牛肉のオイスターソース炒め
辣白菜
鶏肉と卵の中華スープ
御飯

明後日の忘年会と、年末年始の料理計画などを頭の中で展開し始めたら、脳細胞が一気に料理人モードになってしまった。今日はちょっと気合い入れて夕食を作る。
干し海老を刻み、白菜を刻み、牛肉に下味をつけて、とまめまめしく動く私。
が、ここで悲劇が起こった。

塩もみしてあった白菜に赤唐辛子を混ぜていた時だ。
乾燥しきっていた干し唐辛子は手で掴むだけでパラパラと綺麗に砕けた。ポテトチップよりも簡単にパリパリと崩れるそれを両手でわきわきと面白半分に砕いていた最中に電話のベルが鳴ったのである。
手をはたいて居間に抜け、右手で右目をこすりつつ前髪をかきあげた。左手で受話器を取ったその時に、右目に激痛が駆け抜けた。
ヤバイーッ!またやっちゃった〜!!!
焦った途端、今度は右手で鼻をこする。だからヤバいって言ってるじゃないか、自分。何やってんだ。
電話の向こうのだんなの声に答えつつ、顔面右側が5倍に腫れあがりでもしたかのように熱く痛くなってくる。

そう、私は赤唐辛子を触った直後の指を顔の粘膜に当ててしまったのであった。
受話器を置いて、慌てて台所の蛇口から冷たい水をすくって顔に当てる。
またもや私はミスをした。
左手の指がするりと顔面左側をこすった途端、今度は左側までもがカッカカッカと熱くなってきたのである。

サイアクだ。

気分は蠅取り紙に絡みつかれたハエである。惨めだ。惨めすぎる。動けば動くほど事態は取り返しのつかない方向に進んでいく。両手を使って何かをしようとする度に、身体のどこかが痛くなる羽目になる。
乾燥唐辛子を舐めてはいけない。
刺激物に比較的鍛えられている口腔内の粘膜ならまだしも、目の周囲、鼻あたりにとって唐辛子は天敵以外のナニモノでもない。試しに読者諸姉諸兄もやってごらんなさい。ほらほらほら。
顔面全体がタラコのようになったかのような錯覚を覚えつつ痛みと闘うこと15分。やっと嵐は過ぎ去った。
ちなみにこのチョンボをやらかしたのはこれで5回目くらいである。この粗忽っぷりを早く治したい。

で、夕食だ。
冷蔵庫で長らく保存されていたターツァイとにんにくの芽を、牛肉と一緒にオイスターソース系のたれで炒めて一品。
残りものだった白菜を塩と唐辛子、生姜と和えて酢と砂糖で味付けて熱した胡麻油をたらして辣白菜(ラーパーツァイ)を漬物代わりに。
鶏肉と干し海老でじっくりだしを取って、とろみをつけた中華スープと御飯で完成。なんだか久しぶりに炊きたての白い御飯を食べたような感じがして、なかなか満たされた気分になってしまったのであった。
お、今調べたら、炊きたての白い御飯を食べたのは、先週の水曜日の夜以来だったらしい。どうりで。

12/29 (水)
帝国ホテル ガルガンチュアの
 チョコレートデニッシュ
 マロンボール
カフェオレ

【本日の痩身 : 前回測定比マイナス200g・あと日で目標5.2kg減】

昨日、
「会社帰りにパン買ってきてね〜」
とだんなにリクエストしたところ、よりにもよって、というか幸いに、というか、彼は帝国ホテル内のペストリーショップに寄ってきたらしかった。
「食パンもあったんだけどさー、50円引きだったからデニッシュも買ってきちゃったー♪」
と美しくパックされたデニッシュを4つ買ってきたのである。
で、今日は「ホットサンドを作ろう!」という野望はとりあえず明日まわしにしてデニッシュ朝食。

マロンボールなるものは、ブリオッシュ生地に栗の甘露煮の刻んだやつが練りこまれているやつだ。しっとり、ほわんとしている。
バターがいかにも大量に入っていそうなチョコレートデニッシュはパリパリさくさくの生地の中にこってりしたチョコレートが入っている。んもう、生地も中身もカロリーたっぷりなんです〜と自己主張も甚だしいパンだ。そういう自己主張は大好きな私である。生地もチョコもレベルが高い。すばらしい。

デパートで買ってきていただいた
 アベック丼
麦茶

本日は家族2班に別れて年末行事大決行の日であった。
私は家中の掃除、だんなは食料の買い出しである。
私がベランダの掃除をしていた頃、だんなはアメ横で1500円のタラバ蟹や1000円の有頭海老と邂逅していた。
私が廊下の雑巾掛けをしていた頃には、だんなは新宿で3kgくらいの肉と3kgくらいの野菜を抱えていたらしい。

私がふらふらになった頃、よれよれになっただんなは大量の荷物と共に帰宅した。大量の魚と肉と野菜を抱えつつも、昼食もしっかり買ってきてくれている。新宿の小田急ハルクで買ってきた「アベック丼」だ。
なんなんだ、その、アベック丼てのは。
困惑する私に、
「カツ丼です。でも、海老フライも乗っているんです。」
と何故か誇らしげに宣言するだんな。目がキラキラと輝いている。
そうかそうか、その文字と中身に魅入られてしまったんだね。それで君は大盛りを買ってきた、というわけなんだね。

ふらふらの私と、よれよれのだんなと、昼寝から覚めて一人全開の息子と三人、午後2時にやっと昼御飯。
カツと海老フライが両方卵でとじられていて、まだほのかに温かかったアベック丼はしみじみと旨かった。疲労回復にカツ丼はサイコーだ。

車海老のチリソース煮(乾焼明蝦)
 卵炒めと香菜添え
ふかひれ入り中華スープ(レトルトもん)
御飯
よなよなエール、麦茶

今日買ってきていただいた、15尾1000円の車海老を使ってチリソース煮を作る。
15尾うち4尾は大晦日に天ぷらそばを作るので除けて冷凍しておいて、11尾をまな板の上に乗せて格闘。
生の有頭海老は、ちょっとブキミだ。ちぎれそうな黒々とした目も怖いし、そもそも顔全体がいかにもムシじゃないか。私はムシが大嫌いである。しみじみ見ていても寒気がしてくるのに、料理の本には「頭の上のツノを取り、クチバシを切り……」と複雑な処理の仕方が書いてある。半べそかきながら下処理開始。いかの内臓ひきずり出した時以来の気色悪さが背筋を走る。おお、キモチワルイ。

で、殻ごとの海老を一度炒めて、その後、葱と一緒に豆板醤で調味。スープと塩と砂糖と老酒入れてちょっと煮込んで、最後にケチャップと油をまわしかけて、完成!……のハズだが、どうもあの毒々しいほどの赤いタレになってくれない。どよんと濁ったオレンジ色が精精である。あまり美味しそうに見えない。悲しい。
物の本には、「鍋に残ったタレに卵を入れ、かき卵を作成せよ。そうすると美味しい。」とある。付け合わせに早速作る。
「香菜を散らせ」ともある。おう、香菜はわしの好物じゃけぇ、たっぷりかけちゃるけんのぅ(←何故広島弁に……)。折しも今日、香菜の束を買ってきていただいたところである。遠慮せずに盛大に盛る。
スープは手抜きして、お湯入れて卵溶くだけのお手軽もん。以上を揃えて、ビールを開ける。

殻付きの海老はすこぶる食べにくい。用意した台布巾があっという間に赤く染まっていく。手をべたべたにしながら殻を剥き、ぷりぷりの身をひきずり出して、甘辛いソースにつけて食べる。おお、美味しいじゃないか!ちゃんと味はチリソース煮になっているし。
身を食べ、殻を舐め、舐めきれないソースは御飯に転がしてまぶし、何だか他人には見せられない光景になっていく。
11尾の海老とチリソース味の卵と、山盛りにした香菜をたいらげた後は、皿に残るソースの上に御飯を入れてかき混ぜて食べる。お行儀良いとは言えないが、家だとついついやっちゃうのよね〜。美味しいんだ、これがまた。

12/30 (木)
卵チーズホットサンド
コンビーフチーズホットサンド
カフェオレ

【本日の痩身 : 寝坊しちゃったから測り忘れたわけじゃないんだけど、】

9時に起きて、中華粥や豚の角煮の仕込みをする予定だっただんな。
10時には起きて、今日の忘年会の料理の仕込みを始める予定だった私。
なのに、目覚めて時計を見たら10時40分を回ろうとしていたところだった。盛大な寝坊である。

ならば、朝食を簡単にするとかして少しでも遅れを取り戻せば良いものなのに、予定は予定と考え通りにホットサンドを作りはじめてしまう私たち。だんなは好物のコンビーフチーズを、私は同じく好物の卵チーズを。
卵チーズにはゴージャスにちょっといいめのAOCチーズを使おうと準備していたのに、だんなは如何にも安っぽいピザ用チーズの袋を開けている。
「いいチーズ、ここにあるよ。これ使わないの?」
との問いに、
「いや、コンビーフチーズはこの安っぽいチーズがいいんだ!」
と真剣な面もちで返答するだんな。彼の主張によると、"コンビーフチーズは、コンビーフが主体であるからして、その魅力を殺すような個性の強いチーズは必要ないのだ"ということである。
「玉ねぎを混ぜると、きっと旨いぞおぉぉぉ」
と玉ねぎまで刻んでいる。

我が家のホットサンドメーカーは1つ焼けるタイプのものが1つあるだけである。
1人分を作った後は、5分くらい待たないと次の人の分が出来ないことになる。2人家族だった時はなんとかなっていたが、さすがに家族3人で使いまわすには苦しくなってきた。
目指すはツインホットサンドメーカー。そうすれば、今のと合わせて3人分焼けることになる。うきうきするなぁ。

赤飯おにぎり
ティラミス
アイス烏龍茶

1品のデザートを作り、おかず2品の仕込みを終え、おかず1品の材料を切りそろえたところで忘年会の下準備終了。
ちょっと疲れていたところ、だんながコンビニからおむすびを買ってきてくれた。赤飯おむすびを囓りつつ一休み。

おにぎり摂取後に、作りたての手製ティラミスを味わってみる。アドナイ製のマスカルポーネチーズを用い、本格派目指して作ってみたやつだ。スポンジケーキを使うべきところは、市販のビスキュイを使って簡単にしてみた。それでもザバイオーネ(←イタリアのカスタードクリーム……みたいなもの)を作り、エスプレッソコーヒーを入れ、メレンゲを泡立て、それなりに頑張ってみたつもり〜。
仕上げにココアパウダーを茶こしだハラハラとふりかけると、見かけは本格ティラミスになってくれた。味もかなりイケるほうだ。
友人たちに供するのが楽しみだなぁ、うしししし。

チーズいろいろ with クラコット
スティックサラダ with ジェノバマヨネーズ
棒棒鶏
鴨の蒸し煮 胡麻酢ソース
ひじき煮
豚味噌鍋
よなよなエール
イタリア白ワイン、チリ赤ワイン

PLUS HERBの
 フルーツタルト
手製ティラミス
エスプレッソコーヒー

本日は、だんなも私も忘年会。
だんなは高校時代の友人宅へ出かけて行き、私は我が家に高校時代の友人4人を招き入れた。
午後6時から、集まった面々で野菜を切り、皿を準備し、皆でわいわいやりながら宴会のはじまりである。前菜かメインか良くわからなくなってしまった皿の数々をテーブルに並べ、ビールで乾杯。
何故か鶏肉系に寄ってしまった棒棒鶏と鴨肉、スティックサラダにはバジル風味のマヨネーズを用意して、チーズは3種類。アメリカ在住で日本食に飢えているだろうYの為にひじき煮も出すと、ますます良くわからない食卓になってしまった。まぁ、いい。

よなよなエールを飲んだ後は、SちゃんRちゃんが烏龍茶へ以降し、T、Y、私の3人がワインを開けて高笑いをし始める。うちで準備していた、やたらと飲みやすいイタリア白ワインはあっという間に無くなり、Yが持ってきた1.5リットル入りの巨大赤ワインボトルを開ける。
豚味噌鍋をつつきつつも、赤ワインは更に少なくなっていく。楽しい友人との宴席は、酒も料理もいつも以上に美味しくなる。楽しいなあぁぁぁぁ。

食後は、Sちゃんが持ってきてくれた、銀座三越に新しく入った"PLUS HERB"という店の色とりどりのタルト。と、昼間に必死こいて作ったティラミス。いつもはだんなに入れさせてばかりで、触ったこともなかったエスプレッソメーカーをおそるおそる触りつつ、人数分のエスプレッソも入れてみる。

12/31 (金)
中華粥 with 油条・香菜
アイス烏龍茶

【本日の痩身 : 去りゆく1900年代を忍び、計測断念(←いい加減にしろ)】

昨夜の忘年会から朝帰りしただんなと共に中華粥朝食。
私もだんなも寝不足だろうし、もしかしたら宿泊客もいるかもしれないしで、沢山作っておいた中華粥は10人分くらいはあった。油条を刻み、香菜を山盛り準備し、ほかほかと湯気をたてる中華粥を皆ですする。お互いの忘年会での出来事をあーだこーだと話し合いながら。

我が家の中華粥には、これでもかこれでもかこれでもかと干し貝柱が入っている。今回のは、アメ横で買ってきた1袋2500円の貝柱入りだ。
「お粥全部で半分使ったから、1250円も使っているんだぞぉ!」
と誇らしげなだんなである。
……さて、残りのお粥をどうしようかなぁ。やっぱり冷凍でしょうか、ここは。

うな丼
肝吸い
アイス烏龍茶

本日は正月料理の仕込み(最近料理の仕込みばっかりやっている自分……)。
おせち料理はあまり好みでないので、とりあえず煮しめを作り、栗きんとんを自作する。
もう正月料理もばっちりだ!と思ったところで、雑煮の準備を全然していない事に気が付いた。三つ葉もないし、かまぼこもない。あろうことか餅の1枚も我が家には無かった。慌ててだんなが買いに行ってくれた。

「安っぽいのじゃなくて、"ちゃんとした"かまぼこが食べたいなぁ。あの、プラスチックの味がするようなやつじゃなくって、」
と伝えておいたら、銀座まで出向いて豪華2000円かまぼこを買ってきてくれた。肉より高いかまぼこ。ゴージャスかまぼこ。プレミアムかまぼこ。いや、ミレニアムかまぼこか!?
かまぼこや三つ葉と共に袋に入っていたのは、「登亭の蒲焼き」。松屋デパートで買ってきてくれたらしい。
というわけで、1999年大晦日の昼食は、うな丼と相成った。
有り難いことに、インスタント肝吸いまで首尾整えていてくれる。

「1999年の締めくくりに、うな丼!」
「ミレニアムうな丼だ!」
「うむ、その任にふさわしい昼食だ!」
などと妙な盛り上がりを見せる、昼下がりの我が家だった。

鮪の刺身
豚肉の角煮
鴨肉の蒸し煮 胡麻酢ソース
ひじき煮
日本酒 (神亀生酒)

年越し天ぷらそば
麦茶

現在、大晦日の午後6時50分。"レコ大"の流れ続けるテレビからは、GLAYの歌声が流れてくる。
風呂も入ったし、料理もあとは食卓に乗せるだけだし、準備は上々だ。あとは日本酒傾けてへべれけになるだけ、である。
なのに、だんながいない。いなくなってしまった。
勤め先からの電話で、彼は仕事場に行ってしまった。仕事ではない。おせち料理をいただきに、である。

何でも、彼の同僚(←仮名Sさん。いつも当日記の御愛読ありがとうございます)が「2000年対応」で本日から明日夕方まで勤務なのだそうである。午後6時過ぎにあった、その同僚からの電話によると、豪華おせち料理が仕事場に2つも届いていたのだそうだ。1個1万円相当のシロモノである。彼一人では到底消費出来るものではない。で、仕事場に最も近いと思われるだんなの元、すなわち我が家に電話があったのであった。「取りに来い」、と。あげるから、と。
で、だんなは行ってしまった。おせち料理1個の為に。よくやるなぁ、と思う。ちょっと呆れる。嬉しいは……嬉しい。

そして午後8時。
大きな木製の重箱入りの保冷ケースを抱えただんなが帰ってきた。明朝用にと重箱は冷蔵庫に保存し、大晦日の宴会のはじまり。
一昨日あたりからだんなが精魂込めて作っていた豚の角煮のお披露目をし、私の作った鴨肉の蒸し煮とひじき煮を並べる。アメ横で買ってきた、巨大な巨大な鮪の塊もちょっとばかりスライスして、酒の肴を怠りなく並べ、冷酒グラスを掲げて乾杯する。

酒は「神亀(しんかめ)」の生酒。埼玉のこの酒を、1ヶ月ほど前にデパートの酒売場で見つけただんなは、
「神亀だぁ!しかも生酒!生酒生酒生酒〜!!!」
と大騒ぎして一升瓶を購入したのであった。知人が旨いと言っており、しかも以前の『dancyu』で"一番旨い"と勧めれていたものだったとか。 酒は妙にとろりとしていて、濃厚さがあった。軽い香りと、爽やかな甘さ。私の好みからするとちょっと甘めの酒だが、豚肉の角煮に、合う、合う。

「酒だー」
「刺身だー!」
「ままままま、山葵をたっぷりとね」
などと言いつつ、2時間ほど宴する。

その後はだらだらと紅白歌合戦などを見、10時過ぎに蕎麦ゆで開始。
本当は手ずから海老天とかき揚げを作るつもりだったが、昼にだんなが「年越しそばセット」なる海老天とかき揚げのセットをデパート地下の「ハゲ天」で買ってきてくれたので、それを使用して、天ざるにする。

年越しそば、というと、だんなの家系は「天ざる」が基本らしい。"つゆ麺"ではなく、いつでも"ざる"なのだそうだ。
幼少の頃から、年末年始は母にくっついて母の郷里の秋田に行っていた私は、年越しそばというと"つゆ麺"である。具は葱と海苔であることが多く、たまにかまぼこや鶏肉が入っている。シンプルなかけそばだ。
ともあれ、今年は天ざる。キンキンに冷やしたタレに、そばと天ぷらをつけつつ食べる。天ぷらの油がつゆに浸みて、これがまた美味しいんだよねー。