マンゴプリンの作り方 果実使用  

〜パークハイアット東京バージョン2〜


 

【口径5cm×高さ7cmのグラス10個分】

フレッシュマンゴー果肉
(ペリカンマンゴーなら、中11/2個分)
250g
板ゼラチン(氷水でふやかしておく) 6g
グラニュー糖 45g
ココナッツミルク 50cc
牛乳 200cc
生クリーム 140cc
サワークリーム 40g
【ココナッツソース】
 ココナッツミルク 50cc
 牛乳 50cc
【アロエのコンポート】
 市販のアロエのシロップ煮 180g
 グラニュー糖 40g
 水 125g
 国産レモンの皮 1/4個分
 キルシュ 6cc
【トッピング】
 タピオカ 15g


まず、プリンをつくる。
ココナッツミルクをミキサーに入れる。
ミルクの中に残った繊維を細かくするために、そのまま軽くミキシングする。
2を漉す。ヘラで押すようにして、最後まできれいに漉してしまおう。
なめらかにするPOINT1:ココナッツミルクはミキサーにかけて漉す
 ココナッツミルクは、そのまま使用すると、ざらざらした触感が残ってしまう。
 はじめにミキサーにかけて漉すことで、なめらかに仕上がる。
マンゴーの皮をむいて、種に沿って包丁を入れる。
ちょうど三枚におろす感じ。
種の両側の果肉をそぎ取ったら、種のふちについた果肉も丁寧に取る。
まず少量のマンゴーをミキサーへ。一度に入れると回りにくいので少しずつ。
6を漉す。濃し終わったあとに残る繊維が口当たりを悪くする。
なめらかにするPOINT2:マンゴーは丁寧に漉す
 生のマンゴーは繊維が多いので、極上のぷるぷる加減にするために、ミキシングしてからやはり一度漉す。
ココナッツミルクと牛乳を合わせて火にかけ、沸騰したら火を止め、砂糖を加える。
続いて、氷水でふやかして、よく絞った板ゼラチンを加えて混ぜ、よく溶かす。
10 そのまま冷まし、粗熱が取れたら生クリームを泡立てずに加えて混ぜ、冷やす。
なめらかにするPOINT3:クリームは泡立てず完全に冷やす
 生クリームを泡立てないことでマンゴーの食感が生きる。
 また、混ぜたあと、ボウルの底を氷水に当て、時々混ぜつつ冷やす。
 完全に冷やさないと分離する。
11 サワークリームに20gほどのマンゴーピューレを加える。
12 ここで一体化させておかないと、あとで混ざりきらないので、きれいに混ぜる。
13 混ざったら残りのマンゴーピューレを投入して、満遍なく混ぜ合わせる。
14 13に、10を、まず1/4ほど加えて、完全に混ざるまでよく攪拌する。
15 10の残りを、少しずつ加えながら混ぜ、少しとろみがつくまで冷やして、生地の完成。
16 ココナッツミルクに牛乳を加えて、ミキサーにかけてから一度沸かし、漉して冷やしておく。
17 15を型に流し、最低3時間、できれば一晩冷やし固め、16のソースをかけ、アロエとタピオカをトッピングして出来上がり。
【トッピングの準備をする】
トッピングは省略してよいが、材料が手に入ればぜひ。タピオカは多めの水(分量外)でわずかに芯が残るくらいにゆでる。アロエのコンポートは、グラニュー糖、水、レモンの皮を鍋で沸騰させ、アロエを加えてもう一度沸かす。冷めてからキルシュを加えて冷やしておく。

料理雑誌『dancyu』2001年8月号に、数ページにわたってマンゴープリンの特集がありました。題は
 ぷるぷるの女王「マンゴープリン」の夢心地の口どけを本日伝授
とのこと。掲載されたレシピは、かのパークハイアット東京の美味なるとろとろプリンです。

「同ホテルではインド産のマンゴーピューレを使うが、家庭では手に入りにくいため、今回は生のペリカンマンゴーでつくった。この場合、やや白っぽく仕上がる。」

と説明がついた写真は、まさにあのテイクアウトもの
丁寧なレシピには、全てに手順の写真がついていました。あの絶妙の舌触りの柔らかなプリンの秘密が明かされています。このレシピで作ったら、あの味が再現できるのでしょうか。

この特集のリポーターは、作家の中村うさぎさん。1ページにわたってレポートの文章がありましたので「"引用"としてしまうには長いかも……」と少々の危惧を抱きつつ、以下に御紹介致します。

 昨年の夏、本誌の企画でこちらの絶品マンゴープリンを食してからというもの、私は友人たちから「パークハイアットのまわし者」あるいは「マンゴープリン伝道者」などと言われるくらいに熱心なファンと化して、布教と勧誘にこれ努めた次第であった。

 実際、ここのマンゴープリンのとろとろぶりは素晴らしく感動なのである。私に勧誘されて食した友人知人はことごとく驚嘆の声をあげ、おかげで私は「中村、意外とグルメかも……」という尊敬の念を集めちゃったりしたもんだ。いやぁ、マンゴープリンさまさま、ですわい。

 で、そんな私の布教の功績が認められてか(んなワケないって)、今回ついに、シェフから直々にマンゴープリンの作り方を伝授していただけるコトになった。デザート作りどころか、飯もろくに炊かぬ中村だが、あの夢のマンゴープリンを自宅で味わえるようになるのなら、ひとつ腕まくりして頑張りまっしょい!

 てなワケで、さっそくシェフからの懇切丁寧なご指導が始まったのだが、なにしろ素人の中村、いちいち驚く。
「マンゴーをミキサーにかけ、さらに漉します」
「えっ!?漉すっ!?なぜっ!?」
「マンゴーは繊維が多いので、漉さないと滑らかな舌触りにならないんです」
「ほぉ〜、なるほど!」
あくまで追求するのは、「滑らかな舌触り」。マンゴーもココナッツミルクもミキサーにかけてさらに漉す、そのひと手間があの絶妙なるとろとろ感を生むのであった。

 シェフの、この「とろとろ滑らか感」に対するこだわりは徹底的で、たとえば生クリームを泡立てずにそのまま加えるアイデアも、この「とろとろ滑らか感」への試行錯誤から生まれたのだそうな。
「最初は生クリームをホイップして加えてたんです。ババロアなんかは、そうやって作るのでね。でも、出来上がりの舌触りが、どうしてもイメージと違う」
「フワッとしちゃうんですね」
「そう。でも僕はフワッとした舌触りより、もっとトロッとさせたかったから」
「最初に、自分の作りたい物のイメージが、かなり鮮明にあったんですねぇ」
「明確なイメージを持つことは、お菓子作りに大切なんです。で、自分の目指す味や触感を完璧に実現するために、いろいろ試行錯誤するんですね」

 技術もさるコトながら、料理は、作り手のイメージ力によって、完成度が大いに違ってくるワケなのである。小説なんかも、そうですね。イメージ力の貧困な作家は、いきいきとした作品が書けない。シェフ、中村は反省いたしましたぁ〜!

 こうして、手取り足取り教えていただいて完成したマンゴープリンは、まさにあの夢の舌触り。とろりと甘く柔らかく、喉につるんと流れ込む冷たい快感……ああ、諸君、私はこのマンゴープリンに出会えて幸せである!この味わいこそ、シェフの「とろとろイメージ」に賭けた情熱と創意工夫の賜物。文学や美術に比肩する、これは妙なる芸術作品なのだ。

『dancyu』2001年8月号p128より抜粋
[01.07.16]