どこに行こうか


マンゴプリン、その本当の美味しさを知るには、お店で食べるのが一番です。
しかして、「美味しいお店」って、一体どこにあるのか。

● 香港へ行く
悲しいかな、究極のプリンを食べるには「香港へ行く」、やはりこれが一番。
街に入り、適当な店に入れば、かなりの確率で「芒果布甸」の文字と対面できます。そしてその味は、日本人の私たちにしてみると、許容範囲かそれ以上の味のものだったりして、香港でのマンゴプリンの味の違いに驚かされてしまいます。

その一番の理由は、素材のマンゴーそのものの違い。
香港の市場、あるいはマーケットに行くと、山積みマンゴーを目にすることができますが、このマンゴー、「本当に日本でみるアレと同じ品種なの?」と疑いたくなるほどに巨大で完熟で、しかも安い。季節によりますが、大人の手首から肘くらいまでの長さのあるペリカンマンゴーが1個50円、いや、20円くらいで買えてしまうのが香港なのです。そうした素材を使って作られたマンゴプリンは、酸味は少なく甘さがたっぷりで、そして惜しげもなくその果肉が使われることになります。

対して、日本。
かなり規制が緩和されてきたとはいえ、南国フルーツの輸入についてはまだまだ進んでいないのが日本です。それらのフルーツにつく病害虫対策ということで、たとえばライチ(ごくわずかな時期は生も輸入されますが)、マンゴスチンなどは、基本的には冷凍のものしか輸入されていないのが現状です。本来マンゴーは1000種類ほども品種がある果物ですが、輸入が認められているのはたったの十数種類です。しかも輸入されるその果実は、未熟なものを収穫して運送されますので、どうしても果実自体の味も落ちがちです。
最近は九州、沖縄あたりで国産マンゴーの生産も盛んですが、手間暇かけて作られるそのアップルマンゴーは大変美味ですが、大変高値。1個800円から5000円するものまであるそうですが、香港だったら原価50円程度で済むところを800円かけて作ってくれるレストランは、日本にもそうそうあるわけがありません。
そういうわけで、日本のマンゴプリンは、大変に条件の悪い風土の上で作られているといえるのです。

でも、1ヶ月に1度香港に行こう、なんてのもなかなか無理。簡単に行ければ私も苦労しないのであります。
以降で日本で美味しいマンゴプリンを食べるにあたって目指すべき店を並べてみます。

● 高級中華料理店を目指す (危険度・小)
上に記した理由から、日本においてはマンゴーはまだまだ高級フルーツです。夏の短い期間には輸入ものも甘く風味豊かで上質なものが出てきますが、一年を通すと1個200円前後(アップルマンゴーになると更に高値です)、というのが大体の価格ではないでしょうか。
だから、まっとうに作ろうとするほど、どうしてもその販売価格は高くなりがちです。果実をふんだんに使えば使うほど、生クリーム、エバミルクなどのミルク分をたっぷり使って濃厚にすればするほど経費は嵩むという次第で、「美味しいものは高値になる」という原則がつきまとってきます。

1個700円〜800円、あるいは1000円、1500円ほどの値がついてしまうマンゴーデザートを置く店となると、どうしても他の料理とのバランスから、それは「高級料理店」ということになってしまいます。たとえば、香港に本店のある「福臨門魚翅海鮮酒家」、あるいは高級ホテルのダイニング、中華街でも指折りの高級店、などなど、そういった店では1000円のデザートも珍しくないから、と高級食材を使った豪華デザートが登場します。
それゆえに裏切られた気分はあまり味わうことなく、安心して食べられるレベルのものと遭遇できる機会も遙かに高くなります。
シェフ独自のアレンジに、身体が打ち震える感動を得ることも希ではありません。

● 飲茶専門店を目指す (危険度・中)
マンゴプリンは飲茶デザートとしての認知も高く、飲茶専門店にもかなりの確率で置いてあります。
「昼・休日は飲茶を供し、夜は高級中華料理店」などというスタイルの店は、その基本的な料理の味のレベルも高いところが多く、期待できるマンゴプリンがメニューに載っている可能性が高いです。
飲茶は単品がそれほど高くないので、デザートも若干安めな設定がしてあるところが多く、450円、500円といった値段で食べられるのも嬉しいところ。

そして、その店のマンゴプリンの美味しさは、その店の餃子・焼売などの美味しさとほぼ比例すると、経験則から学びました。
餃子が美味しいけどデザートは不味いという可能性はあります。が、餃子が不味いけどデザートは最高!という店には今のところお目にかかったことがありません。
ちなみに、紙パック製のできあいプリンを出すお店も皆無ではありません。そのへんは、要注意です。

● 中華料理店に入ってみる (危険度・大)
こちらも、料理の単品価格が高級店より控えめなので、安価なマンゴプリンに出会える可能性が高いです。
ただし、マンゴーが缶詰のものであったり、生クリームでなく牛乳を使っている、どころかミルク感が全然なくて、これじゃマンゴーゼリーじゃん!といった、食材の品質の悪さを多少覚悟しておく必要があります。また、既製品紙パックものを出される危険もかなり存在します。
ですが、心ある料理人のお店も数々存在します。手頃な価格の素材を吟味し、限られた原価の中で最高の味を造ってくれる料理人もまた少なくはありません。料理人の個性溢れた、他では見ることのできない独創的なプリンに出会えることもあるお店群です。

● インド料理屋、その他のアジア料理店に入ってみる (危険度・大)
こういう店では、案外と面白い、風味の変わったマンゴプリンに出会える事があります。
ココナッツ風味が濃厚なものであったり、マンゴピューレが上からかかっていたり、柑橘類と合わせて酸味を強調してみたり、と、バリエーションに富んでいます。
中華デザートとしてのマンゴプリンとはまた違う感覚。珍しいものと出会えたら、とりあえず喜びの舞を踊ります。
ですが、こちらもやはり既製品紙パックものを出される覚悟はしておくべき、です。

● 居酒屋、回転寿司、チェーン店のものにトライしてみる (危険度・大)
昨今、マンゴプリンは徐々に市民権を得てきています。居酒屋メニューどころか、焼肉屋のメニューに載っていたりもする今日このごろ。
昔はオヤジと若いお兄ちゃんたちしか入らなかったようなお店も、最近はすごくお洒落になりつつあります。女性が来るなら美味しいデザートをと、そのメニューの充実ぶりは驚くばかりです。新進気鋭のそうした店では、時々驚くようなレベルのマンゴプリンが売られていたりします。
しかも、枝豆一皿300円などという店で800円のデザートがあるはずもなく、300円前後の手頃な値段のマンゴプリンであるところがまた嬉しい限り。

それだけに、原価を抑えようといまひとつな食材を選択される危険や、あるいは市販の既製品でごまかそうという動きもないではありません。回転寿司のレールの上で回っているプリンが絶品だった、という話は未だ聞いたことがないのも事実です。
女性に人気のお店だとデザートもなかなか良いレベルであることが多いので、期待度も高まります。

[99.06.08記述]
[02.06.22改訂]