1月2日(木) フレンチトーストと亀ゼリー

09:30、起床。
筋肉痛が極まって来た。足いたいー、腕もいたいー。背中もぴきぴきするーってな具合である。今日、マッサージの予約を入れておいたのは絶妙であったかもしれない。治るといいなぁ。
クマのいるコンラッドの朝はなごみの朝である。ここは掛け蒲団カバーもフリルなんかがついていて、とってもプリチーである。でも、ここ、エグゼクテゥブフロア、なんすけど。ビジネスマンらしき人も沢山、いるんすけど。それがレースとクマに囲まれて休まれるのでしょうか……。まさしくバスクリンの「アヒルチャーン」の世界である。

10:40、おお、もうこんな時間である。
おなかが空いて当然である。あわてて外出する。トラムに乗って、今日はコーズウェイベイの方へ向かう。10分程ゆられて、そごうの看板が見えはじめたところでバスを降りる。タイムズスクエアの側に「大排木富-ダイパイトン-(Dai Pai Tong)」という甘いもの屋さんがあるのを私達はぬかりなくチェックを入れている。ここでフレンチトーストを食べるという野望をかなえなくてはならない。ホテルの朝食などついていても無視する私たちである。
ノスタルジックでかわいらしい店内の、道路に近い席に座った。英語つきのメニューを見ながら噂のブツを探す。それだけじゃ足りない程おなかもすいていたので、更に別のものも注文。10分もすると、全ての注文がテーブルの上にあふれてしまった。……我ながら良く食べる女である。

招牌西多士(House Special French Toast)
これが噂のフレンチトースト。薄い食パン2枚の間に、ピーナッツバターを薄く塗って、卵を染み込ませて黄金色に焼いたもの。バターが乗せられてやってくる。これだけで結構甘いのだけれども、更にメープルシロップもかけて食す。表面がパリっとしていてとっても美味。これはうまい。ホントにうまい。「トースト」は「多士」と言うらしい。当て字かな、意味がわからない……。
鶏肉公子麺(Instant Noodles with Chicken)
インスタントだろうが、なんだろうが麺が食べたかったのでこれを注文した。日本の普通のラーメンと同じような麺の上に、ゆがいた鳥肉が山と入っている。青菜もはいって、さっぱり味。
火腿庵列(Ham Omlette)
Sちゃんが頼んだサイドオーダーのオムレツ。結構な大きさがあった。
蜜糖女乃茶(Honey Milk Tea)
私はアイスで、Sちゃんがホット。蜂蜜入りのミルクティなんて、とっても美味しそうなネーミングじゃないですか。期待にそぐわぬ、ほんわか甘くて濃厚なミルクティだった。紅茶が濃くていいやねー。

「大排木富-ダイパイトン-(Dai Pai Tong)」で朝食
合計 HK$ 159

喫茶店に入ったのに、何故か満腹になってしまった私たち。目の前の「時代廣場-タイムズスクエア-(Times Square)」に入る。
この中には、「廣生堂-クォンサンフォン-(The House of Kwong Sang Hong)」という、いわば香港の資生堂的な化粧品屋さんがあるのである。双子の姉妹がトレードマークらしいが、このポストカードなんかがかわゆらしいのだな。化粧品そのものにも愛を感じたが、ここは我慢してポストカードとメモ帳のセットを購入。メモ帳も古き良き昭和の時代的でとても宜しい。香水のボトルの絵が数種類、メモのすみっこに描いてある。これがプリチー。

「廣生堂-クォンサンフォン-(The House of Kwong Sang Hong)」でお買い物
ポストカードセット2組と、メモ帳セット HK$ 62

次は、三越裏の「asianthology-アジアンソロジー-」に行く。日本の通信販売ショップのフェリシモと提携しているだか、直営の店だかだが、以前から興味をひいていた「糸をひく化粧水」を何としてもこの目で確かめたくて、行ってみる。
綺麗にディスプレイされた店内で、それぞれの商品に日本語でばっちり説明がしてある。店員さんもかなり日本語が通じる。噂の糸をひく化粧水、ガイアマッサージローションを試してみる。面白い。ホントに顔から(というか、クリームから)糸が出る。この糸がお肌に酸素を入れる効果があるらしい。効果の程はともかく、面白いから買ってしまう。他にもビンやパッケージのかわいさに、つい色々購入。マッサージクリームなんかは親のお土産にいいかもしれない。

「asianthology-アジアンソロジー-」でお買い物
gaia MASSAGE LOTION・MASSAGE CREAM HK$ 180
Uji PEELING LOTION・CREAM HK$ 193
REJUVENATOR MASSAGE CREAM HK$ 90
silk-essence SHAMPOO HK$ 90
合計 HK$ 553

効果があるといいな、いいなー。おまけにシルクパックなるものを2つもらう。
次。Sちゃんのリクエストでそごうに行く。ここの中にアレッシの食器があるそうで……。7階の食器売場コーナーに果たしてアレッシグッズは売られていた。Sちゃんは「きゃあー」とテンションが一気にあがる。裏にまわっては「きゃあーここにもー」などといって丹念にブツを物色している。価格としては日本より高い位だけれども、ここで初めて見る皿なんかもあったりして。15分位売り場にへばりついた後、ここを後にする。Sちゃん曰く、「満喫した」。
階下のファッションフロアにKENZOが入っていて、「60%OFF」などという魅惑的な数字が見える。ついついふらふらと入ってしまう。スーツなどは到底買うお金がないのでひやかしのつもりだったのだが、Sちゃんが「由紀ちゃんに、着て欲しい服があるー」などと言っている。見ると……クリムトの絵の模様を摸したベロアのシャツ。好み。超!好みー!Sちゃん、よくぞ見つけてくれた。お金?ないけど関係ないない。と、私の右手はクレジットカードを出している。嗚呼、また買ってしまった……。

香港そごう内「KENZO」でお買い物
ベロアのシャツ HK$ 1595

30%引きの商品だ!まぁ損はないでしょ。
あと40分程で、マッサージの予約の時間である。とりあえず店の場所だけを確かめてお茶でも、ということに。 松坂屋の裏手(こうして書くと、日本だか香港だかわからないほどに日本のデパートが密集しているエリアである)に「Ting House-ティンハウス-」は存在していた。ばっちり日本語で「女性専用入り口、3階」などとある。場所がわかったので、すぐそばの松坂屋の喫茶店で一休み。

PIC'S CAFE というお店に入ってみる。ドリンクメニューにHorlickとOvaltinaという飲み物があるのを発見。結構、このドリンクの名前を見るのだが、何の飲み物だかさっぱりわからない。決意してこの2つを飲んでみることにする。ホットとアイスがあるらしい。ホットの方がまずい場合のダメージが大きいような気がして、アイスを1つずつ注文する。
Horlickは、ピーナッツバター入り豆乳の水割りという感じの飲み物だった。底の方にピーナツバターがたゆたっていて、それを吸い込むとこの上なく甘い。
Ovaltinaはココアだった。ちょっと粉っぽいがココアだろう、多分。謎が解けて少し嬉しい私たちだった。

「PIC'S CAFE」でお茶
Horlick HK$ 33
Ovaltina HK$ 33

そろそろマッサージの時間である。ティンハウスにいそいそと出かけていく。
店を入った途端に「いらっしゃいませー」の日本語。おお、日本人スタッフがいる。前金でマッサージ代を払って、バスタオルとロッカーキーを渡される。マッサージ開始まで30分あるから、その間にシャワーをあびてサウナに入っていろと言われる。スチームサウナはあまり暑く無かったが、長い間入っているとスチームに調理されているような気分になってくる。
Sちゃんの方が先に呼ばれて出ていった。1人で待つこと5分、小柄なおばちゃんがおいでおいでと言っている。にこにこするおばちゃんに引っ張られてカーテンの張ってある台に案内された。

顔の部分が丸く穴になっている台にうつぶせで寝っころがって、上にバスタオルをかけらる。と、いきなりおばちゃんが私の背中に乗り、背骨を踏み出した。前段階でマッサージとかしてからじゃなかったっけか。まぁ良いけど。
おばちゃんの足は足でないように感じる位、器用に背中を踏みまくってくれる。芋虫のようにぎゅわぎゅわと動くこともあって、悶えそうになる自分を押さえるのに必死である。すぐ隣に別の客もいるし、「おぉおぉー」なんて言えないもんねぇ。強く踏まれている時は問題ないのだけど、うかつに優しく触られようものなら、結構必死に堪えなければならない。
15分程踏んで貰ったあとは、おもむろにオイルマッサージが始まる。背中から腕、足と色々もんでもらう。「Are you OK?」と聞かれ、終わったのかと思ったら、今度は仰向けになってマッサージである。ハーブの匂いのするオイルをつけて、またも、もみもみしてくれる。……結構くすぐったくて、地獄、なんすけど……。「ああ〜、止めて、そこは……ちょっと……はぅ」だとか、「いいー、いいわー、そこが〜いいのー」なんて心の中で3流のポルノ映画のような事を絶叫してしまう。首も頭ももんでもらって、指や背骨をバキバキ言わせてもらって、60分のマッサージタイム終了。着替えて外に出ると、確かに肩や背中が随分と楽になったような気がする。肩が軽い軽い。

「Ting House-ティンハウス-」でマッサージ
合計 HK$ 752

夕食まで時間が若干あるので、ホテルに戻ることにする。そういえば、明日帰国だというのに、まだ私たちは「亀ゼリー」なるものを食べていない。
これは食わねばと、そばにある漢方デザート店に寄り、亀ゼリーをテイクアウトすることにする。道路に面して、その場で飲めるようにお茶を椀で並べてある店は、今日の行きしなに通った店だった。気になっていたのよ、実は〜。
亀ゼリーをダーパオで、と言うと陶器の器に入っていたゼリーをポリの器に入れ替えてくれた。ついでに気になるドリンクをその場で飲む。Sちゃんは「蜜糖菊花茶」を。これは薄甘い花の匂いのするお茶で、問題無い味だった。むしろ美味しい部類かもしれない。問題は私の「減肥済脂茶」。
如何にも痩せるぞー、といったネーミングに思わず注文。店の人は「これを飲むのー?」といった顔で苦笑いし、冷蔵庫からパックを1つ取り出して、器にあけてくれた。漢方で煮込んだものがパックになっているらしい。効きそう。……飲めなくはないけど、我慢すればどうってことないけど、スゴイ味でした。漢方系の味。えぐいというか、なんというか。効くと良いけど、おなか壊さないといいなぁ。

「同治堂」で漢方デザート購入
亀ゼリー HK$ 21 *2
蜜糖菊花茶 HK$ 6
減肥済脂茶 HK$ 12

ホテルに戻ると16:45というところ。
ちょっと休んで、Sちゃんは西武に買い物に出かけていった。17:45にトラム乗り場で、ということで、私も17:15頃に外に出た。西武の地下で、会社用の土産を購入。チョコレートで良いでしょ、うん。
ついでに怪しげな缶詰を自宅用に買ってみる。ライチの缶詰なんて見たことないし。

香港西武地下「COO」でお買い物
KIM'S チョコレート HK$ 68
ライチの缶詰 HK$ 28
マンゴスライスの缶詰 HK$ 17

地下食料品売り場でばったりSちゃんと出会う。一緒にトラムに乗っていざ、夕食へ。
「醉湖海鮮酒家-チョイウー-(Chui Wu Seafood Restaurant)」は、福臨門の裏手あたりにあった。階段をのぼり、2階の入り口から入ると、まだ全然がらがら。18時開店で、18時からの予約だから当然か。奥の方の席に案内され、メニューと格闘する。なんでこんなにわからないんだろ、漢字なのに、でも料理の想像がつかないものが多い。
とりあえずガイドブックに載っていて、これは食べねばと思っていた2品は確定で、後は片言の日本語をしゃべるウェイターさんと相談して決める。「エビは、エビ。オイシイよ」「エビ?……いらない」「このイタメモノは?オイシイよ」「じゃあそれね、それ」てな感じ。昨日の福臨門のように待たせることもなく、料理は着々と運ばれてくる。余程昨日待たされたことが悔しいとみえるよ、私は。

豚皮のロースト:
オイシイよ、の言葉につられて注文。どうも私は皮モノにめちゃめちゃ弱い。砂糖と、砂糖醤油が共に来て、甘くパリパリになった皮は大層美味であった。ホントにパリッパリなんだもんなぁ。うまい。お肉も美味しい。
蝦子山根豆腐:
エビの子と湯葉と豆腐の炒めもの。ここの定番らしく、どの本を見ても「これを食え」とある。躍らされるまま、これを注文。豆腐と湯葉の歯ざわりが良くて、エビのこってりした味がついててグー。しいたけの味も染みててオイシイよー。ちょっと濃い目の味付けだけど、旨みたっぷり。美味。
ホタテとネギの炒めもの:
これも「オイシイよ」、の1言でついとってしまった。ホタテはプリプリ、塩系のさっぱりとした炒めもの。皿の周囲に塩味の効いたチャーシューも乗っていて、これも良い。オイスターソースをつけて食すらしい。ホタテの味がとても良い。
或魚鶏粒保子飯:
魚と鶏の土鍋炊きこみ御飯。1人分いくら、だったので2人分頼むと、これが大層多かった。目の前でウェイターさんが、御飯の上に乗った魚と鶏を丁寧にかきまぜてよそってくれる。良い匂い。御飯はほっこり、塩味のきいた魚の匂いと鶏肉の味のハーモニーが絶品である。これを楽しみにして来たのよね、私たち。とっても満足。でも多くて食べきれない……。ウェイターさんに「ダーパオ!」と言って包んでもらう。部屋で続きを食べることにしよう。店員さん、嬉しそうにダーパオグッズを持ってきてくれる。鍋についたお焦げもこそいで入れる。嗚呼〜、ここ、美味しそ〜!と目が輝いちゃう私。
桃入りココナッツスープ:
こりずに、それでもデザートは取る私たち。これはSちゃんの注文。スープは本当にスープ、だった。ココナッツの繊維がちょっと残る温かいスープは白いのに、桃の匂いがふわーと広がる。甘くて美味し。お汁粉みたいね。
ウォールナッツのスープ:
これは私の注文。ウォールナッツの茶色の色したスープはSちゃんのよりはさらっとしていた。甘い甘い。でもオイシイ。
最後の晩餐として非常に満足の行くレストランでした。ウェイターさんたちも皆ニコニコしていてとっても気持ちが良かった。また来たいところだわ。

「醉湖海鮮酒家-チョイウー-(Chui Wu Seafood Restaurant)」で夕食
合計 HK$ 451

チョイウーを出た、すぐ脇の店がツバメの巣の専門店になっている。道路側のショーケースにデザートがわちゃわちゃと並んでいる……あ、マンゴプリンめっけ。ツバメの巣入り、らしい。うわぁ。買うしか。

ツバメの巣料理専門店でテイクアウト
ツバメの巣入りのマンゴプリン HK$ 38

まじめにお金がなくなってきた。速やかに部屋に帰ろう。
19:30、部屋に到着。
Sちゃんは買い物の続きをと、西武へと去っていった。……元気だなぁ。20:05、Sちゃん戻ってくる。お互いに今日の戦利品を写真撮影する。Sちゃんがお風呂にはいっている間、私は旅行記の作成に入る。
これから魔の荷物整理が待っている。スーツケース、壊れないといいけれど。

ビジネスセンターに行って、香港最後の通信を行い、部屋に戻ってゆっくりとバスタイム。アメニティでついていた、バスソルトをたっぷりいれて、アヒルちゃんとたわむれる。ああー、幸せなお風呂場だわ。バスタブは全身伸ばして入れる位に広くてステキ。

束の間のなごみの後は、荷物整理である。Sちゃんの荷物が深刻にスーツケースにおさまりそうもない。一度お土産の類を詰めていたと思ったら、おもむろにベッドの上に荷物を全て積み上げはじめた。「まずは服から入れないと」などとふんふん言いながらつめはじめる。片付魔の私はそんなSちゃんをよそにテトリスの如く荷物をつめはじめる。どうやら余裕でおさまるようである。コンラッドクマと、アヒルちゃんもあまさず収納。ええい、ボディローションの類のアメニティも貰ってしまえ。

23:05、最後の夜のティーパーティを催す。
香港最後の夜にふさわしい、亀ゼリーのテイクアウト物が私たちを待っている。プーアル茶を入れ、チョイウーでダーパオした御飯を食べる。冷めても美味しいけど、でもおこげの部分はちゃんと向こうで食べ尽くしてくれば良かった。ホントに美味しい、この御飯。
デザートに、いよいよ亀ゼリー登場。シロップもちゃんとかけられているものの……にがーい。えぐーい。飲み込めない〜。しくしく。なんで香港に来て、こんなまずいもの食べなきゃいけないのよ。昼に飲んだ漢方茶の数倍の濃厚な、苦みの強い味がする。Sちゃんは「これなら許容範囲」とか言いながら顔もしかめずにぱくぱくと食べている。……え、Sちゃん、まずくないの?「美味しくはないけど、でも全然平気。味覚がヘンになっちゃってるのかなぁ」……ヘンになっちゃってるよ、それ……。だって、まずいよ。まずいったら。

Sちゃんは引き続き荷物片付けを続行。私は目処がついたので先に休んだ。
23:55、おやすみなさい。Sちゃんはまだ荷物と格闘中……。