10月5日(金) 道草チキンライス

ランカウイへ

今日から息子は例年通りの秋休み。旅費の安いこの時期にこそ旅行しようじゃないかということで、去年に続いて今年も南の島に行くことにした。

今年はバリ島!と、春の早い時期からバリ島スミニャックにあるそこそこ良いめのホテルに予約を入れ、あとは8月頃に発売されるJALの正規割引運賃のチケットを入手すれば全く問題なしという状況だった……のだけれど、どういうわけかその飛行機のチケットが全く取れず。8月の発売日当日にJALホームページにアクセスしてチケット購入を試みたのだけれど、あっというまに希望する出発日の割引運賃チケットは残席なしになっていた。

「……というわけで、せっかくホテルまで予約したのですが、バリ島は無理そうです」
香港や台湾なら余裕で行けそうだけど、そういうところじゃ母はイヤなのよね?あと同じくらいの距離で旅費もそんなにかからないアジアのビーチは……とあれこれ相談しつつ調べて、「ランカウイだったら行けそうかも」という結論に達した。運賃も安い。惜しむらくは直行便が無いことだけれど、午前中に成田を出る飛行機に乗れば夜にはホテルに到着できる。宿も素敵なところが多そうだし……ということで、急ぎ決めたランカウイへの旅だった。

宿泊ホテルは
「バリ島より運賃安く済んだみたいだし、どうせだったら良いホテルで!」
ということで、2005年にオープンしたばかりの Four Seasons Resort Langkawi にすることに。幸いキャンペーン中で、「3泊したら1泊無料になりますよ(buy 3 get 1 free というやつだ)」とのこと。そのキャンペーンを利用することにした。

スタンダードタイプの部屋を2つお願いね、可能だったらコネクティングルームにしてね、お願いしてみたところ、Lower Melaleuca Pavilion の並びの2部屋を御用意しましたよとの返事が返ってきた。ホテルに頼むのは若干(いや、かなり)割高だったけれど、母や息子も一緒だということで送迎もホテルにお願いすることに。4人全員1台に乗れる大型のバンを用意してもらえることになった。

というわけで、秋休み初日の10月5日、いつも息子が通学するくらいの時間に家を出て成田空港へ。空港カウンターで荷物を預けた後、空港内のカフェテリアで朝食を済ませて搭乗ゲートに向かった。ランカウイへはシンガポールのチャンギ空港でお乗り換え。日本からシンガポールは6時間ほど、シンガポールからは更に1時間半ほどでマレーシアのランカウイ島へ到着する。

洋風の鶏肉のワイン煮と選択できた機内食の昼御飯は「牛肉の卵とじ丼」を選び、でも全部は食べきれずに食べられる分だけを適当に食べた。食後のミルクプリンが優しい味で、これは美味しかった。
すごかったのは息子で、やってきたチャイルドミールは海老とマッシュルームのドリア、クリームパン、ポテトサラダ、フルーツカクテルにプリン、小袋入りのキットカットという魅惑的な内容。朝食に空港でホットサンド1人前をぺろりと平らげたはずの息子は、ドリア2口分ほどだけを「これは、全部は食べきれない……」と残したものの、残り全てを綺麗に平らげて大人たちをびっくりさせたのだった。

シンガポールで海南飯を

「……なんか、イヤな予感がする……」
「やっぱり?」

シンガポールに無事到着し、次に乗るのは Singapore Airlines の子会社 Silkair の便だ。荷物のピックアップは必要ないということで、飛行機を降りてから乗り換えゲート目指しててくてく歩く。広い空港を歩いているうち出発便の案内のモニターを見つけたので眺めたのだけれど、確か6時半発のフライトだったはずなのに「21:15」と画面に文字が光っている。

「なんか、時間が違うよねぇ?」
「なーんか違うねぇ……」
不安な気分を抱えつつ乗り換えカウンターで Silkair 便のチェックインを済ませると、やっぱり機材の到着の遅れで出発が21時15分になるということだった。1時間半ほどの乗り換え時間だったはずが、4時間ほどの乗り換え時間に。

時間もちょうど夕飯時。こうなったらシンガポール市内に出るしかないでしょう、幸い私や母は一度は来ているところだし土地勘も無くはないし、と、速やかに空港を後にする決断をした。

だんなが搭乗券を受け取ってくれている間に、そこからほど近いところにあった無料のインターネットアクセス端末に駆け寄って、自分の去年の旅行記にアクセス。日本語は当然のように文字化けしていたけれど、海南飯を食べたレストランやホテルの名前は英語で記したはずだからわかるはず、ホテルのダイニングだったらクレジットカードも使えるし……と調べて、そのホテルまでかかる時間なども調べた。タクシーで往復して1時間というところ、5000円も両替しておけば大丈夫、という結論に達したので、急ぎタクシーに乗り込んで繁華街を目指した。

3年ぶりのシンガポールの町並みは、見た感じあまり変わっていない……というか、タクシーの車窓から見て「あ、このショッピングモールはクリスマスツリーが綺麗だったところだわ」という記憶もそれなりに蘇ってきた。見覚えのあるホテルの前にタクシーは到着し、たしかあっち、あっちの方……と記憶を頼りに1階のコーヒーハウスを目指す。

Meritus Mandarin Singapore の Chatterbox CoffeeHouse は3年前と比べて内装が変わったようだった。やけに赤色が目立つ内装になっていて、それに伴いチキンライスの器も同じ赤色を基調にしたモダンな印象のものになっている。それでもボリュームたっぷりの「鶏定食」は相変わらずの美味しさだった。

海南飯ですよー マンゴーと海老のサラダですよー マンゴープリンですよー

今回はだんなも一緒ということで、おつまみに頼んでみたマンゴーと海老がトッピングされたサラダが中央の写真。
大きな茹で海老が6尾分ほどもトッピングされていて、砕いたゆで卵の下にはスライスされたマンゴー果肉もたっぷり隠されている。あとはレタスがメインで、ドレッシングはねっとりとしたサウザンアイランド風。マンゴーが甘く甘くとろけるような柔らかさで、南国気分が盛り上がる。このサラダが最高だったのでデザートのマンゴプリンも試しに注文してみたのだけれど、こちらの方はその甘い甘いマンゴーが使われていないものだったようで、ぼくぼくとした固い舌触りの甘さも香りも薄いデザートだった。

ちょっと気取った風の、上品な、このお店の海南飯。でもボリュームはたっぷりだ。

鶏スープで炊いた香りの良いタイ米に、豆腐とレタスが入ったガーリック風味の鶏スープ。そしてレタスやキュウリ、プチトマトを添えた鶏もも肉がたっぷり3層、器に中に盛りつけられている。たれは3種類で海鮮醤風の甘口茶褐色だれと、刻んだ葱に胡麻油を混ぜたような緑色のサラリとしたもの、そしてしっかり辛口のチリソース。1種類を肉につけても美味しいし、適当に3種類を組み合わせて肉につけても美味しいし、そして御飯に肉乗せて、たれを適当に乗せつつ御飯と一緒に食べるのも最高に美味しい。好き勝手に食べてもまだまだなくならない鶏肉の分量がすごい。

デザートまでしっかり食べて、レストラン滞在は1時間ほど。慌ただしい食事を終えた後、ホテル前から再びタクシーに乗って空港に戻ってきた。ほんの2時間ほどのシンガポール滞在だったけれど、美味しい夕御飯が楽しめて良かった良かった。だんなはこれが初シンガポールで、
「これはきっと、アレだよ。"なにシンガポールまで来ておいて、1時間半の滞在で余所の国に行こうってんだコラ"ってシンガポールの食の神様に足止めされたんだよ」
ということなのだろうな、ということで。

Singapore 「Meritus Mandarin Singapore」内「Chatterbox CoffeeHouse」にて
Mango Prawn Salad
Chicken Rice
F.Hokkien Mee
Kids Wanton Mee
Mango Pudding
Juide(Zip)
Beer(Tiger)
S$18.00
2×S$20.50
S$22.00
S$14.00
2×S$8.00
S$9.00
3×S$11.00

ホテルに到着!

9時15分発になった飛行機は今度こそその時間通りに飛び立って、11時頃にランカウイに到着した。
ほんの1時間半ほどのフライトだったけれど機内ではお茶とサンドイッチ(箱入りのツナサンド)のサービスも。充実した夕食後ということでそれらは全然口に入れられず、ひたすら寝て過ごしていた。

すっかり遅れたフライトだったけれど、出口ではお願いしていたホテルの送迎のスタッフがちゃんと来てくれていてひと安心。車に乗り込むなり冷たいおしぼりとペットボトル入りの水が手渡され、車に揺られること20分ほどで無事に今回の宿 Four Seasons Resort Langkawi に辿り着いた。

空はどうやら曇っているようで、どころか稲光も遠くに光っている。10月は、けっこう雨が多いらしく、今も「雨降ったばかりです」という風に道路が濡れている。

「雨降ってもねー、朝早くとか、午後なら30分とか1時間とか、そんな感じですよ。雷が鳴るのは明け方に多いですかね」
大丈夫大丈夫、一日中雨とか、そういうことはありませんから。良いシーズンです。
道中フレンドリーに、ずっとランカウイの紹介をしてくれていたドライバーのお兄ちゃんはそう言っていたけれど、空模様は不穏な感じ。

ホテルに到着した時も、本当は別の場所でチェックインの手続きをするのだろうけれど
「あいにく、さきほどのスコールで床などが濡れていますので……お手続きはお部屋でいかがでしょう」
と、ホテルに到着早々、リゾート内を走るバギー(電気自動車)に乗せられて部屋に移動することに。

私たちの泊まる部屋はずいぶん奥の方で、ぽつぽつと照明の灯る中のバギーの移動に
「ムリムリムリムリ、絶対迷う、ロビーから自分のお部屋までバギー無しでは帰れない……」
と思いながら揺られていた。

そうして到着した今回の部屋。思っていたよりもずっと広くて、わくわくするような異国情緒溢れた楽しい部屋だった。宿泊予約の確認をしてカードにサインをしている私をよそに、息子は早速2つの部屋の冒険に走り回り、スーツケースは速やかにクローゼットに並べられた。

ああ、早く寝たいかもー 右側の洗面台を私は使うわね、と取り決めました

テーブルの上には、薄緑色の冷たいお茶と、バナナのクレープのようなお菓子が2切れ。大皿にそのクレープ菓子とデミタスカップに固められたタピオカとココナッツミルクのムース並べられていた。いかにも気持ちよさそうなふかふかのベッドに広大なバスルーム。部屋に来てあれこれ説明してくれたのは2人の日本人スタッフの女性たちで、あまりにあっさりとホテルで日本語を聞けたことに驚きつつ、彼女たちが去っていった後に改めて部屋をざっと眺め歩いた。
でっかい観葉植物の裏に巨大なお風呂がありました

バギーを降りて、石畳の階段を数段降りると部屋の入り口。入るとベッドルームがあり、大きなライティングデスクもベッドの横に並べられている。冷蔵庫やミニバーもベッドルームに。

ベッドルームと同じくらいの広さのバスルームは、中央に向かい合わせで2つの洗面台が。天井からつり下げられた鏡とライトがなんとも良い雰囲気だ。洗面台に向かって左側がクローゼットコーナーで、右側がトイレとシャワールーム。奥のガラス扉を開けると、4人はゆうに入れそうな半露天の石造りのバスタブが鎮座ましましていた。

幻想的にライトアップされているお風呂に、
「うお、すごい風呂だ……」
「でっかいお風呂だー!」
入れる?泡のお風呂入れる?明日入れる?と、大人たちはもとより息子も一緒になって大興奮。この半露天エリア部分で2つの部屋を行き来できるようになっていて、わざわざ玄関まわりから移動しなくても良いようになっていた。

もう日付はとっくに変わっていたし、真っ暗で周囲の状況もよくわからない。ホテルの全貌なんてもうさっぱりわからない。とりあえず今日は寝ましょうそうしましょうと、荷ほどきも早々に布団に入った。うぉ、布団(毛布じゃなくて、ちゃんと"布団"なのよ、これが……)も枕もふかふかだー。