3月2日(日) ブランズウィックシチューが、うまー

店名で選んで正解だった〜「Silver Skillet Restaurant」

アトランタ、3日目。今日は地下鉄では行けないところに行こうということで、1日車でおでかけだ。朝御飯にと向かったところは、昨日と同じく Atlanta Citysearchでみつけたお店、"Silver Skillet"。"Best Breakfast"というランキングの中に登場していたお店の1つで、他にも気になる店はあったのだけど、
「スキレット、ですってよ」
「やっぱり気になりますわよねぇ、奥さん」
「名前を信じて行ってみましょうかだんなさん」
と、名前で選んでこの店に向かったのだった。地下鉄を使うと少々歩かなければいけない立地だったので、車で移動する今日向かうにも都合が良かった。

いかにもなダイナーという雰囲気の、小さなお店だ。渋いオレンジと黄緑色の配色のソファーに、タイル張りの床という内装がいかにも古めかしい感じ。店の歴史が刻み込まれたようなおばあちゃんが注文を取りに来て、"私は私のやり方でオーダーとってるのよ。ちゃんと順番どおりに言いなさいね"という感じに
「カントリーハムね、OK。卵の調理法は?ビスケットとトーストはどっち?あと、グリッツかグレービーかも選んで」
とゆっくりと話しかけてくる。

朝食メニューは、コーンドビーフやカントリーハムなどのメインの肉料理に2個分の好みのスタイルの卵料理がついてくるものが多い。オムレツだけ、などというものも。そしてトーストかビスケットかがついてきて、更にグリッツかグレービーもついてくる。ボリュームのすごさを予想させるメニューだったけれど、私はカントリーハムにポーチドエッグ、トーストとグレービーのセットを。だんなはオムレツにトースト、グレービーのセットにコーンドビーフハッシュをつけてもらい、息子は卵のサンドイッチに牛乳を。

オムレツというより卵焼き? カントリーハムはちょっと塩辛いけど美味しいのよ 「"グレービー"って、一体なんだろう?グレービーソースのことかなぁ……」と思いつつ、ちょっと苦手なグリッツ(とうもろこし粥)ではなくてグレービーにしてもらったのだけど、やってきたのはここ数ヶ月抱き続けていた謎が氷塊する食べ物だった。
楕円の大皿には、骨付きの分厚いハムのグリルと、碗に入ったポーチドエッグ。そして深さのある小皿には、たっぷりと白いシチュー状のものが入っていた。

「ああ!これ!」
「これか〜、これが"グレービー"だったのか〜」
と、見るなり「これか!」「これだ!」と騒ぎ出す私たち。このシチュー状のものには何度も見覚えがあった。旅行中のモーテルで、国立公園内のロッジで、朝御飯に何度かこれを食べたことがある。大体において具は少なめで、砕いたソーセージのようなものが入っていることもあり、"練った小麦粉を湯で延ばして塩ふった"みたいなもの。シチューよりはねっとりこってりと粘りが強く、シンプルな味。寒い朝には嬉しい料理で、一体これは何というものなんだろうね?と見る度に疑問に思っていたのだった。そう、これは"グレービー"。グレービーソースというと焦げ茶色でもうちょっと粘度が少なめなもののイメージがあるのだけれど、これもまたグレービー。この店は胡椒がこれでもかときいていて、ピリリと辛かった。塩気も強いけれど、食べやすい味だ。

好みな具合の半熟に調理されたポーチドエッグをつつきつつ、そして目の前には巨大なハム。分厚い骨つきのハムは塩気が強めで、パサパサではなくしっとりしていて良い感じだ。1人あたり食パン2枚分やってきたトーストもグレービーをつつきつつ齧り(グレービー、本当はビスケットにかけて食べるのが普通らしいけど)、朝からボリュームたっぷりな食事になってしまったのだった。

メニューの裏には、この店の歴史が書かれていた。アトランタオリンピックが開催された時にはCNNで「オリンピックを見に来た方の朝食には、このレストランが良いですね」なんて紹介されていたらしい。その頃は大変なお客がやってきたのだろうけど、観光客の匂いを感じさせないローカル風味たっぷりなお店だった。

Midtown 「Silver Skillet Restaurant」にて
私:
    Skillet Country Ham
    Hot Tea
だんな:
    Omelettes w/Swiss Cheese
    Corned Beef Hash
    Coffee
息子:
    Egg Sandwich
    Milk
 
$6.95
$1.25
 
$4.50
$3.00
$1.25
 
$1.75
$1.75

でっかい岩山〜「Stone Mountain Park」

ロープウェーから彫刻を眺めてみる 朝食後、昨日行けなかったHigh Museum of Art(ハイ美術館)が近くなので行ってみようとしたところ、日曜日は12時からとのこと。ならばAtlanta History Center(アトランタ歴史センター)を目指そうかと思ったところ、こちらも日曜の開館は12時。
日曜日の午前中は教会の礼拝に行く人が多いからなのか、軒並み日曜の開館は遅めなのだった。じゃあとりあえずあそこに行っちゃえ!と向かったのは、予定では明日行こうと言っていたStone Mountain Park。ダウンタウンからは車で40分ほどの距離にある。

世界最大の花崗岩が露出した岩山なのだそうである。その岩壁には、これまた世界最大サイズの彫刻があるのだとか。公園が近づくと、遠目からもはっきりとわかる巨大な灰色の山が見えてきた。7ドルの駐車料金を払い(高いなぁ……)、中へ入った。

ちょっと怖いけど気分いいです 広い公園内には湖があり森があり、ゴルフ場やテニスコートなども揃い、暖かい季節には色々遊べる公園なのだろうなという印象が。岩山のまわりにはぐるりと1周線路がひいてあり、観光汽車も走っているらしい。が、季節は冬で、ローシーズンで、汽車も動いておらず人気も少なく、ちょっとばかり閑散としていた。とりあえず岩山の上に立ってみようかとロープウェーのチケットを購入し、上を目指す。世界最大の彫刻には、南北戦争の英雄達の騎馬像が彫られており、ロープウェーからはっきり見えた。流れていた観光テープによると、人物の鼻の部分だけでスクールバスと同じ大きさがあるのだとか。

岩山の高さは約250m。頂上には小さなカフェコーナーと土産物屋があり、外も歩けるようになっている。見渡す足の下は本当にひとつ塊の岩で、なんだか不思議な光景だ。"これ以上行ったら落ちて死にます"というあたりに柵は立っているけれど、ちょっと怖い。傾斜が滑らかなところからは徒歩で登れるルートがあるようで、子供達が歓声を上げながら登ってくるのも見えた。曇り空だったのが残念だけれど、眺めの良さも堪能できた。


Stone Mountain Park」にて
Parking Permit
Skylift
$7.00
3×$7.50

名物シチューを食べる〜「Mary Mac's Tearoom」

公園を出ると、お昼御飯に丁度良い時間だった。車を走らせアトランタに戻り、昼御飯にと向かってみたのはMary Mac's Tearoom。アトランタのローカルフードの店として人気があるらしい。
店内はカジュアルな雰囲気で砕けた格好のお客も多くいるけれど、いかにも礼拝帰りといった家族連れやピシッと着込んだ老夫婦の姿などもあった。私たちのテーブルの担当は、絶えずにっこにっこと笑っている黒人の太ったおばちゃん。
「これに書いてねぇ〜」
と、オーダーシートをテーブルに置いて行った。みると、鉛筆が塩胡椒と共にテーブルには置かれており、お客はメニューから自分の食べたいものを自ら伝票に書き込み、担当さんに渡すことになっているらしい。周囲のお客さんも鉛筆を持ってがしがし食べたいものを書いている模様だ。

自分でオーダーを伝票に書けという店は初めてだねぇ、と笑ってしまいながら1皿10ドル前後のメインディッシュを選んでいく。メニューに載るのはいかにもな南部料理。南部風フライドチキンやコーンブレッドドレッシングつきのベイクドチキンやローストポーク。ミートローフやターキーやチキンポットパイ。そしてそれらのメインディッシュにはサイドディッシュが2つと、更にパンかビスケットかがついてくる。サイドディッシュもこれまた蒸し野菜やオクラのフライ、マカロニ&チーズ、クリームコーン、ポテトケーキ、グリッツ、コールスローと馴染み深い南部風のものばかりだ。

私は南部風のフライドチキンに、サイドディッシュには好物のクリームコーンとこの地方の名物料理"Brunswick Stew"(ブランズウィックシチュー)を。だんなはフライドポーク(つまりトンカツ)に、"Rice & Gravy"なる御飯のグレービーソースかけと、蒸しほうれん草。パンも大量に来るみたいだったので、息子にはソーダ水だけを取ってやった。

シチューも旨かったけど、このチキンがまた絶品でした テーブルの中央に、籠に入ったたっぷりのパンがやってきた。中にはミニサイズのマフィン型のパンと、塩味のちょっとぽそぽそした白いパン、そしてシナモンロールが3個ずつ。後にやってきたおかずがボリュームたっぷりだったのであまりパンはつつけなかったのだけど、シナモンロールは適度な甘さでふわふわとしており、しみじみと美味しかった。このシナモンロールと牛乳だけで幸せな昼御飯になってしまいそうな、美味しいパンだ。

そして大ぶりのフライドチキンが3つ、皿にごろごろと盛られてやってきた。ほのかにスパイスが効いた衣はカリッカリで香ばしく、中の肉はブロイラー臭さが感じられない肉汁たっぷりの柔らかなもの。噛むとだらだら肉汁が滴るようなそれを、手と口をべたべたにしながら食べていく。だんなのフライドポークもまた、ほのかなスパイス風味の香ばしいナイストンカツっぷりだ。

そして何より美味しくて嬉しかったのが、初めて食べたBrunswick Stew。
このあたりの名物シチューと聞いていたのだけど(元々はバージニア州だかノースキャロライナ州だかが発祥らしい)、出発前にインターネットで見つけたそのシチューの写真は、なんだかすごい色とすごい外見をしていて、「これ……美味しいのかなぁ……美味しそうに、見えないなぁ……」と少々不安だったりしたのだった。やってきたのは具沢山の、"シチューというより煮物"という感じのもの。ツナ缶のツナのようにほぐされた白い肉が豆やコーンなどと共に一緒くたになってトマトベースのスープに浸っている。味も"ツナのトマトスープ クリーム風味"という感じ。ツナではなく鶏肉なのだけれど、ほぐされてホロホロになった鶏肉の口当たりがツナっぽいのだ。白い豆がざくざく入り、コーンもこれでもかと入っている。トマトの色合いはあるけれど、牛乳か生クリームでも入っているのか、うっすらとクリーム色がかってマイルドな味。

かつてはリスの肉やウサギの肉も使っていたというこのシチュー、帰宅してから調べてみると、鶏肉だけを使って作るものから豚肉、鶏肉、ハムなど色々な肉を入れるものなど多くの種類のレシピがあった。この店のクリーミーなシチュー、いつか作ってみたいなぁ。

Midtown 「Mary Mac's Tearoom」にて
私:
    Fried Chicken (3 legs)
    w/Brunswick Stew
    w/Triple Cut Cream Corn
    Iced Tea
だんな:
    Fried Pork Chops
    w/Rice and Gravy
    w/Steamed Spinach
    Iced Tea
息子:
    Sprite
 
$9.75
 
 
$1.25
 
$11.50
 
 
$1.25
 
$1.25

豪邸を見に〜「Atranta History Center」

昼食後はAtlanta History Center(アトランタ歴史センター)に。
南北戦争に関する展示などがある博物館の他、広い園内の見所は"Swan House"という豪邸と、"Tullie Smith Farm"という農家。それらを見るにはツアーに参加しなければならず、入場券を買うところで
「スワンハウスと農場、見る?見るんだったら次は2時からだね。そのまま農場に行くんだったら農場は2時45分から。はいどうぞ」
と、ツアー予約も入れてもらった。

掃除が大変そうな家だ…… Swan Houseは、現在建物に傷みがきて改装中とのこと。内部の見学はできるけど、家具などは全て取り去っているとのことだった。インテリアが見られないのはちょっと残念だけれど、15人ほどでぞろぞろと中へ。
あちらこちらの装飾に白鳥のモチーフが使われているため、この館の愛称が"Swan House"となったのだそうだ。1928年代前半に建てられ、その設計はアトランタで著名な建築家によるものだという。

家具や絨毯などはなかったけれど、それだけにこの屋敷の広さを見せつけられた気分。入口のドアを開けると吹き抜けホールに螺旋階段がこちらを向いている。床は白と黒の配色で、玄関ホールは円形に美しくその白黒のタイルが敷き詰められている。玄関左手はライブラリー、右手は台所だ。更にリビングルーム、階段を上がってベッドルーム、と見学していく。広い広い各部屋には暖炉があり、そして意匠を凝らした壁紙が美しい。ある部屋は緑色に統一され、ある部屋は美しい花柄に、そしてある部屋は中国の絵師に書かせたというエキゾチックな色合いの花の壁紙になっている。広い広い部屋の広大な壁紙に描かれたその花は何本もの木で構成されているのだけど、見るとその木が全部違う種類だったりした。手書きで1つ1つ仕上げられた壁紙だけでも芸術品になりそうな感じのもの。よくみると、鉛筆で下書きされた線も見えたりして。

「こちらが幼い子供たちのための部屋に続く扉です。こちらとこちらは物置……」
とガイドさんが案内してくれるのを聞いていると、「ここに住んでみたい」というよりは「な、なんか肩凝ってきそうかも……」という気分の方が強くなる。「こちらは朝食専用のダイニングです」って、一体それはなんなんだ。こたつでみかん喰いながらテレビゲームに興じられそうな空間が、私にはやっぱり親しみ深い。朝食専用のダイニングなんて、いらない……(←微妙に負け惜しみ)。

屋内はもとより、その周辺に広がる庭もまた素晴らしい造形だった。季節が冬ということもあり今ひとつ色彩が感じられない庭ではあったけど、その広さと豪華さはよくわかる。

そして、Swan Houseよりはちょっと落ち着けるたたずまいの農場、"Tullis Smith Farm"へ。こちらは南北戦争時に焼け残った1840年代の農家を移築したもので、典型的な中流家庭のものなのだとか。こちらもガイドさんがつき、1部屋1部屋案内してくれる。
入口を入ると、そこがすぐに食堂だ。無骨な木製のテーブルに、典型的なデザインのキャビネットなどが置かれている。その横は、糸つむぎの木製機械などが置かれている部屋。部屋の隅には小さなベッドがあり、
「通常、寝室は2階に作られますが、赤ちゃんがいる家ではこのような場所に赤ちゃん用のベッドを置きます」
などという説明があった。

その家そのものはSwan Houseとは比べ物にならないくらいに小さなものだけれど、敷地の中には別棟の建物があれこれたくさん建っている。
母屋のすぐ裏手にあるのは台所棟、そして燻製用の小屋。火が出るのを恐れ、台所は通常別棟だったのだそうだ。暖房としてのものより幾分大きなサイズの暖炉があり、鍋をぶらさげる鉄製フックがつけられている。
更に奥には使用人たち(というか、奴隷?)が寝泊まりしていた小屋も。この農場で雇われていた使用人は11人。二階建ての小屋は1階に1部屋しかなく、それも母屋の居間ほどの広さしかない。非常にこぢんまりとした空間に11人もが寝泊まりしていたということなのだけれど、この小屋は他の農家と比べてものすごく優遇された設備だったのだそうだ。壁があり、暖炉がある。風雨を防げるところに寝泊まりできるだけでも待遇は良いものと言えたのがその時代の奴隷達だったのだと、ガイドのおっちゃんは言っていた。

また、面白かったのは母屋の入口脇、母屋と壁続きではあるけれど入口は外に向いている(母屋の玄関は使わない構造になっている)"Traveler's Room"というものがあったこと。3畳ほどの小さな空間に簡素なベッドがあるだけのそれは、一夜の屋根を求めてやってくる旅人のための部屋なのだそうだ。

色々な家の間取りやインテリアを見るのが大好きな私(マンションや一軒家の新聞広告を眺めたりするのが大好きだったりする)には、ここは楽しいところだ。豪邸も農家も、それぞれ興味深いものだった。

Buckhead 「Atlanta History Center」にて
入場料(大人)
入場料(子供)
2×$12.00
$7.00

ほっけサイズの魚〜「McComick&Schmick's Seafood Restaurant」

本日の夕飯の予定は、特に決まっていなかった。昼間ずっと車で移動していたことだし……と、地下鉄で移動できる手近なところで済ませようとしたのだけれど、今日は日曜日。

「ピーチツリーセンターに行けばなんとかなるんじゃない?」
と地下鉄を1駅乗って、ホテルや企業ビルが密集するショッピングモールつきのエリアに移動してみたのだけど、日曜日はショッピングモールは全てお休み。ファーストフード店すら休み。
「高級ホテルで食事するってのも、なんだかねぇ……」
とホテル方向に歩いて戻りつつ店を探し、もう1つのショッピングモール"Underground"に向かってみたのだけど、"Underground"は日曜日は午後6時でモール入口が閉ざされていた。道中にあった、気になっていたグリル料理の店はまだ夜の営業開始まで1時間近くある。

「に、日曜日のアトランタって、使えないね」
「まさかショッピングモールも閉まってるとはねぇ……」
と途方に暮れつつ夕飯に思いを馳せる。気になる店は、ほとんどが駅からちょっと歩かなければいけないところか車が必要なところだった。ファーストフード店でアトランタ最終夜を過ごすなんて、そんな悲しいことはしたくないし。

「……あー、そういえばCNNセンターの1階にシーフード屋さんがあったね」
「ああ、あそこなら日曜日もやってそうだね」
「魚介、ちょっと食べたい気分かも」
と話し合い、また地下鉄に乗ってCNNセンター方面へ向かう。めでたくその店McComick&Schmick's Seafood Restaurantは営業していた。店は薄暗い照明で一見重厚そうな雰囲気。しかしメニューはそこそこ手軽な価格で、しかもキッズメニューまで用意されており、堅苦しいところではなかった。

メニューはA3版の紙に日付入りで印刷され、「今日の魚介」がずらりと並んでいる。生牡蠣も6つほど種類別に並んでおり、数品のステーキメニューの他はほとんど全てが魚介料理だった。ちょっと魚介に飢えていたので嬉しくなる。メニューの裏はワインリスト。そこそこ手軽な価格でボトルワインや何種類ものグラスワインが載っていたけれど、喉の渇きに負けて
「ビールは何があるの?」
と聞いてみる。
「ラガーはね、バドワイザーとミラーライトとナントカとカントカと……あと、ウチで醸造しているスィートウォーターっていうレッドエールがあるよ」
とのこと。それそれ、その、レッドエールちょうだい、と注文し、あとはスープとメインディッシュを取ることにした。

Sweetwaterというビール、アトランタの地ビールだったらしい。レッドエールは軽さの中にもコクが感じられる、いかにもな味だった。美味しい。
私のスープは魚介入りのコーンチャウダー、だんなのスープは蟹スープ。海老や貝類がごろごろ入ったスープは粒々コーンも大量に入っている。コーンの甘さが感じられる、優しい味の具沢山スープだ。向かいに座るだんなの元には「よっく混ぜて食べてくださいねー」と、こんもりとほぐした蟹肉が盛られたスープ皿がやってきた。ガンボスープに似た傾向のスパイスが軽めに効いた、これまた私以上に具沢山のスープだ。

照明が暗かったのでこんな写真しか…… そしてやってきた、巨大な魚。私が注文したのはイエローテイル(ハマチ)のグリルだった。大ぶりな身が2切れ、ホッケ並のサイズのものがどどどーんと皿に横たわっている。レモンの味と香りがこれでもかと感じられる魚はほのかにチーズの味がするパン粉をまぶしてグリルされており、ここ数日肉料理が続いていたこともあって美味しく食べられた。多少アメリカ〜ン的な大雑把なところもあるけれど、充分美味しい。魚には小山のようなマッシュドポテトと、千切りにして炒めた人参、茹でたアスパラガスがついてきた。

私の皿に乗る物体も巨大だったけれど、だんなの皿もまた大変なことになっている。巨大な楕円の皿にはこんもりと山になってリングイネが盛りつけられ、大きな海老がごろりごろりと7〜8尾ほども並べられている。炒めたにんにくも散らされているけれど、その量は丸々1個分ほどもありそうだ。
「おゆきさん、にんにく食べるの手伝いなさいね。でないと数時間後に僕だけ臭くなっちゃって君が苦しむことになるからね」
と私の皿ににんにくを5かけ6かけと押しつけてくる。"にんにくは避けて食べようね"なんて思いには全然至らず、せっせとにんにくを食べる夫婦がここにいるの。

息子用の料理は、特になし。何だか猛烈にイヤな予感がして息子の料理は頼まずにおいていたのだけど、
「はい、スパゲティ食べなさい」
「私の魚も手伝いなさい」
と、息子に手伝いまくってもらって、やっと全員の皿が空になる状態だった。

フロアのあちらこちらには美味しそうなデザートの見本プレートが置かれている。直径20cmほどもあるクレーム・ブリュレはとっても美味しそうだったけれど、これを食べるのは到底無理な話だった。それでも何か甘いものを最後に食べたい気分だったので
「アイスクリームだけ、くれる?バニラでね」
と頼んでみると、パフェグラス入りのナイスボリュームなアイスクリームが。しかも
「子供さんにも、これはサービスね♪」
と出された子供用無料アイスクリームも、これまたパフェグラス入りなのだった。アメリカのデザートはやっぱり恐ろしい。恐ろしいサイズだ。

Downtown 「McComick&Schmick's Seafood Restaurant」にて
私:
    Seafood and Roasted Corn Chowder
    Yelllowtail Flounder (Parmesan Crusted with Fresh Lemon and Caper Butter)
    Beer (Sweetwater / Red Ale)
    Ice Cream
だんな:
    Maryland Crab Soup
    Scampi Style Prawns (with Linguine tossed with Roma Tomatoes, Basil and Garlic)
    Beer (Sweetwater / Red Ale)
    Double Espresso
 
$2.95
$17.50
$4.95
$2.95
 
$3.50
$20.65
$4.95
$3.95