6/15(日) ハネムーンへ出発

05:00
起床。7:00のリムジンバスに乗るため、結構大変。広げていた化粧品などをざっかざかとスーツケースに詰め込んだ。

06:00
ルームサービスで朝食
Kさん: グレープフルーツジュース
ポーチドエッグ・ソーセージ
由紀: グアバジュース
スクランブルエッグ・ベーコン
後はクロワッサンとブリオッシュ、ミルクティのセット。
ウォーマーがついてくる卵のお皿、氷が入る器に入っているジュースなど、気遣いがスゴイ。ルームサービスにしてはピカ一の朝食だった。Kさんはポーチドエッグが完璧!と感動していた。

06:30
チェックアウト。
スーツケース持って、半袖のツーピースで足はサンダル。すっかりリゾート気分になった私。Kさんも松屋で買ったシャツにジーパン、麻ジャケットですっかりチンピラ……もといリゾート人のようである。
\3,000/人のリムジンバスに乗って成田に向かう。
いや、しかし豪遊だった。請求がちょっと……いや、かなり怖いかもしれない。

08:20
空港到着。8:30のチェックイン開始まで少し並んで待つ。この間にお互いの実家に連絡を入れておく。GA873便、禁煙席で、席は23F、23Gとなる。
無事にチェックインを終え、お茶でもしようかとさまよい歩く。が、2階のまずそうなレストランはまずそうなのにどこも満席。では手持ちの現金が結構あるので郵便局に預けて行こうとビル内を迷いつつ歩く。2階のATMで入金した後、JCB会員用ラウンジに寄ってみるが同伴者が\1,000だかするのであきらめ、そばの喫茶店に入った。下のフロアにある喫茶店は空いているところが多かった。スタッフ専用食堂なんていうのまであり、興味津々だったのだ。

11:00
出発。席は内側の4人がけの席の右側2つ。左側にはサーファーらしい女性の2人連れが座る。座って少しすると、Kさんは空気枕をぷうぷうとふくらませ、既に寝る体制になるつもりらしい。飛行機が嫌だ嫌だと聞いていたが、私の想像以上に嫌いなようだ。良くこれで海外旅行する気になったなぁ。真剣な面持ちで空気枕をパンパンにしたKさんはいきなり寝込み始めた。

11:25
離陸。Kさん、寝入っている。どうして席についてこんなに早く寝られるのだろうか。15分位して、機体の傾きがやや落ち着いた頃、もそもそと起きて空気枕をいじくったりして落ち着かない。ぽつりと口を開いて曰く、
「もうイヤ、降ろしてって感じ」
「タワーハッカーに10時間乗せられてる気分」
だそうだ。

12:15
機内食が出る。ぐったりしていたKさんをつつくと、でも食べると言う。
鰻かビーフかの選択があって、私は鰻を、Kさんはビーフを選んだ。鰻は機内食にしては結構ちゃんとしている鰻重になっていた。ビーフはすき焼き風の、とろみのついたソースがかかっていた。他には鳥肉の冷製とミックスベジタブル、パンとひたすら甘いチョコムース。ムースは本当に甘くて私はほとんど食べられなかった。
食事後、ぐったりしていたKさんが妙に活動的になりはじめた。すこし安心したが、見ると目の下にくまが出来ている。離陸前には絶対無かったもので、彼の衰弱ぶりが笑える程痛々しい。
「トイレなだけに、いっといれ」
とギャグをかますも、もう手遅れな様相を呈している。さむすぎる。

14:50
今度は屁理屈をこねまわしはじめる。曰く、
「水にも浮かないものが空に浮くワケないのだ!」
いや……でも空飛んでるんすけど……と思いつつ、話につきあってあげる私。我ながら良い人である。

15:10
更にやつれが進行。
この頃、ちょっと揺れがひどくて私もぎょっとすることがあった。しかし隣席の彼のびくつきぶりを見ていると不思議と全然怖くない。目の下クマ作っちゃってさ〜、も〜。
「ジェットコースターは隣人が過剰に恐がると怖くなくなる」
の心理がよくわかった。楽しいったらない。

15:50
つらそうだったので、デッキでアイスティを貰ってきてあげる。
Frauの香港特集ページで一時回復が見られたが、気流の乱れによる揺れが大ダメージらしい。クマ更にひどくなる。
30分おきに旅行メモをつける私に
「そんな事ばっか書いてると、本気で怒るぞ」
と言うものの、迫力ゼロ。なさけない。私は私で良い気晴らしが出来て結構快適である。

16:50
うたたねしていたが、ふと目が覚める。……と、Kさんの顔をみると顔色が土気色になりつつある。
私「……大丈夫?」
彼「……ダメかも(苦笑)」

17:10
軽食出る。
そばと、かっぱまきと茶巾寿司。もう日本は遥か先、ここはフィリピンかマレーシアかという海の上でかっぱまき。ちょっと不思議な気分ではある。
Kさん、良くしゃべる。カラ元気か。

17:50
ついに現実逃避始まる。ジャカルタが近づいたので下降に入ったのだが、
「……スターツアーズに乗ってる気分だ」
と呟き、おもむろに
「タタタタータータタタターター♪」
とスターウォーズのテーマを歌い始めた。あぶない。

17:30(バリ時間で。日本時間で18:30)
ジャカルタ到着。
着陸時、どうやらKさんはふっきれてしまったようである。
「今の俺はバージョン3(スリー)だ」
とか言っている。何でも1から2になったのは昨年香港に行った時とか。
銀行で1万円を両替。Rp185,000に。レート、あまり良くない。
一応トイレにでも行っておくかと空港内のトイレに入る。前回来た時結構カルチャーショックを受けた記憶があったのだが、それが何だったのかを忘れてしまったのだ。床が何となくびしゃびしゃな個室に入ると、紙は当然無かった。これくらいなら許容範囲だが、和式便器の前には見慣れたコックがなく、シャワーのような物体が前面についている。手に持ってハンドルを握るといきおいよく水が出てきて、これで使用後のお尻をキレイにしろと言うことらしい。……これか、前回おののいてしまったブツは、と思いながら用を済ませて外に出た。
免税店をふらつくも、「待ち合い室に戻ろう」とKさんに言われて戻る事にする。パスポートなどを持ってふらつくのがイヤらしい。

18:30
ジャカルタ発。
Kさんは完全にふっきれちゃったらしい。
「要するに、飛ぶんじゃないか。事実はありのままに受け入れればいいんだよ。わははは。」
とか言っている。そーだよ、飛んでんだよ、今更何言ってんだ!と心中叫ぶが、心中叫ぶだけにしておく。びびってくれないので、とてもつまらない。
離陸してまもなく、またも御飯が出る。さっき食べたばかりのような……。今度はジャカルタで作られたものなのか、味がとってもインドネシア的。ハンバーグ定食である。離陸直後に出たオレンジジュースも謎な味がする。オレンジというよりもみかんジュース。Kさん、がつがつ食べる。私の残した肉まで食べる。

20:05
およそ定刻どおり、ングラライ空港到着。
「あ〜、怖かった」
とはKさん。でももうあまり怖そうじゃない。……つまらん。
ガルーダなので入国審査は機内で済ませてあるものの、荷物受取で結構待たされる。サーファーな荷物が多く、巨大なサーフボードがどんごろどんごろ出てくる。なかなか出てこない荷物を待ち、疲れ果てて出口に行くと、これまた沢山のホテルからの待ち人がボードを持って立っている。果たして白い服のフォーシーズンズの人は、と見ると一番目立つ処に、一番背の高い、一番立派なボードを持ったお兄さんが立っていた。どうやら彼のようだ。
無事に会えたホテルマンに荷物を渡し、トヨタのランドクルーザーでホテルに向かう。夜だというのに、やはり暑い。オレンジ色の明かりのついた夜の空港は、空港というよりも地方の列車駅のようだ。
フォーシーズンズホテルは場所的にはインターコンチネンタルホテルのすぐ奥程度と思っていたが、随分と細い道をくねくねと進んでいく。インターコンチネンタルホテルの看板を越えて10分程行ったところにホテルのロビーがあった。壁の無い、まったくの吹きぬけのロビーが高級ホテルらしからぬ風情で、数人の欧米人がグラスを片手に談笑していた。ウェルカムドリンクで冷たい苺ジュースが出てくる。ロビーのカウンターでそれを飲みながら、日本語版のパンフレットと鍵類を受け取る。

今車を降りたロビーの入り口から、今度はゴルフ場を移動するようなバギーに乗って(電動らしい。音がほとんどしないのだ)、109号室に案内される。バギーの運転手は英語日本語のミックスで「ここはヌードルの店」などと案内してくれる。小さな家が並ぶような、とてもホテルには思えない敷地である。お客様がお泊りの部屋は良い部屋だ、広いよ、というような事を話してくれる。
ほどなく2つに割れて開く門の入り口でバギーは止まった。

広すぎる部屋だった。そこらの家より広いんじゃなかろうか。
門を入ってすぐ左に折れる石畳を歩くと、すぐ左が吹きぬけのダイニング。4人がけのダイニングセットと、冷蔵庫が入るチェスト、クッションが沢山のソファーが置いてある。机の脇にはシャンパンが冷やされていて、果物も皿に盛られていた。
右側は屋根壁付きの寝室で、つきあたりがプライベートプール。5m×5m位のあまり大きなものでは無かったが、バリチックな石の像の口から水が出ている。海を望むプールの脇はデッキチェアが二つ。寝室のヴィラの扉を開けると、甘い花の匂いがして、まず目に入ったのは天蓋つきのベッドだった。キングサイズの大きなベッドに蚊帳のように布がかかっている。入って右に折れるとバスルームに続く廊下があり、ここにクロゼットとスーツケース置き場があった。バスルームは吹きぬけの10畳位のもので、2人入っても充分位のバスタブの左側に洗面台が2つある。洗面台の裏がそれぞれトイレ、シャワーブースとなっていた。バスタブの奥の扉から外に出ると屋外シャワーになっている。……すごい。
部屋内の机の上には、私たちの名前が書かれた手紙が2つ置いてあった。1通は手書きのウェルカムメッセージ、1通は「月曜日にカクテルパーティをやるので参加してください」との招待状だった。ベルボーイが部屋を去る前に、パッケージについているヴィラでのディナーを明日設定して貰いたいとお願いした。メニューがいくつかのうちから選べるようになっている。今すぐ予約するからと、荷物もそこそこにメニューを検討して連絡してもらった。

やっと2人になり、お疲れさまぁと抱き合う。とりあえず荷物を一通り片付け、ではシャンパンでも開けようかということになる。盛られているフルーツのうちのいくつかを剥いてみた。残念ながら好物のマンゴスチンは無かった。とりあえずパッションフルーツなどをかじってみる。そうそう、パッションフルーツと言うのは後から知った名前で、固く赤い実を2つに割るとカエルの卵のような不気味な果肉がつまるその果物を、一体なんだとこの時は思ったのだった。部屋全体が甘い花のような、果物のような匂いがしていて段々眠くなってきる。どうやらこの匂いの正体はベッドルームにある花であるようだ。そういえばパッケージについてきたトロピカルフラワーアレンジメントがこれなのかもしれない。緑の茎に白い花が上向きに鈴なりになっている。咲いた花からまるで香料のような強い匂いがあたりに広がってくる。
湯船に入るのは今日は止めて、シャワーをあびて早々に就寝する。天蓋の中から見る部屋は何だか幻想的でもある。まだ、バリに来たという実感が今一つない。夜だからかもしれない。