6/20(金) フォーシーズンズさようなら、アマンダリこんにちは

06:00
起床。雨が降る音がして、驚いて起きてしまう。と、外はどしゃぶりの雨。ときおりバケツをひっくり返したようになる。乾季なのに、こういうふうに降ることもあるらしい。海の方を見るとけぶるように霞んで見える。雨季みたいだ。

07:00
あさごはん。小降りになったので歩いて行く。しかし油断するとパラパラと雨粒がまだ落ちてくる。「濡れる〜」と騒ぎながらレストランに入った。
食事の間も雨はザーザーと降っていたが、雲に切れ目が入りはじめたと気付くとすぐに止みはじめた。雲の切れ目から覗く空を眺めながらのんびり食事する。雨が晴れた所為で海から水蒸気が湯気のように立ち上るのが見える。一昨日あたりから、食事はいつも海際の奥の席だ。
Kさん: コーヒー
グレープフルーツジュース
ナシゴレン
チキンソーセージ
由紀: カフェオレ(ミルクとコーヒーがポットでやってきた)
ジンバランスムーサー
ミーゴレン
クセが無くはないのに、とても美味しいここのナシゴレンとミーゴレン。ただ残念なのは、ナシゴレンには目玉焼きが乗っているのに、ミーゴレンには乗っていないということか。外で食べたミーゴレンには乗っていたのにねぇ。
今日のスムーサーはパパイアベースでちょっと青臭いかった。残念……。

08:20
部屋に帰って地獄の荷物詰め。日本から持って来た荷物は当然入るとして、問題は買った土産物である。ベッドカバーからチェスボードから、かさばるものばかりだ。カップラーメンなんて重くはないがスーツケースの場所を取りまくることこの上ない。
Kさんも荷物詰めはあるだろうに、現実逃避からか何故か片付けをする光景を写真に撮りまくっている。モノが散乱しているベッドを撮って何が面白いのだろう。1時間程して荷物詰めは完了し、スーツケースを床に並べると、いいかげん暑くなって汗をかいている事に気がついた。Kさんはおもむろに素っ裸になって部屋のプールにつかったりしている。私はカウチに座って日記を書いたり手紙を書いたりしていた。そういえば友人にハネムーン先からお土産を送って貰ったりしたことがあったが、私たち、そんなこと全然していない。とりあえず葉書を書いたのもSちゃんにだけだ。Kさんは全く何も手紙の類は書いていないようだ。ペンも握っていないんじゃないんだろーか。日陰にいても何となく暑くなってきたので、プールに膝から下だけを突っ込んで手紙を書いた。

10:30
バギーを呼んでロビーに向かう。ロビーへの道すがら、バギーの運転手さんと話をする。今日チェックアウトで次はアマンダリに行くのだ、というような事を話すと、あそこのマネージャーは以前このホテルにいた人なのだと言う。あそこは良いホテルだ、客室数が少ないからスタッフが名前を覚えるところなのだ、と教えてくれた。あまり他のホテルを良く言うホテルマンというのは見た事が無かったので驚きである。スーツケースを入り口で預かってもらい、チェックアウト。アマンダリから送迎が来ることを告げると、ちゃんと荷物は管理するといった事を言ってくれた。

明細を見ると、ジャカルタまでの通話料金がばかにならないことに気がつく。アマンダリではあまり熱心に通信しないようにしよう。……そういえば、会社からメールも来ないが、仕事は大丈夫なのだろうか。バリから報告位しておいた方が良いかもしれない。
まだ10分程度あったのでソファに座ろうとしたが、全てふさがっていた為、海際のベンチに座って待つことにした。ロビーから海への眺めが素晴らしく、これは写真をバシバシ撮りたくなるよなぁ、と思う。後3枚程だったので残ったフィルムをここで全部使ってしまう。地元テレビの取材か何かか、テレビカメラを抱えたスタッフとマイクを持った女性がロビーで撮影をしていた。

10:55
時間前にアマンダリの車が来たようだ。私たちのスーツケースが車に積まれているのを見て席を立つと、先程バギーを運転してくれていたホテルマンが迎えが来たと言ってくれた。
車に乗ると、白服の笑顔の運転手が冷たいおしぼりを差し出した。見ると助手席の下にクーラーボックスがあり、ここに入っていたようだ。
ウブドゥへの道のりは順調だったが、途中から道路が混みはじめた。道路幅も狭く、渋滞というようなものでは無いが、あまりスピードが出せないらしい。1時間程かかり、「amandari」とある看板の角を左に曲がると無舗装のガタガタ道になる。200m程奥に行くと素朴な感じの吹き抜けのロビーがあった。
ここのチェックインは14:00だということで、まだ部屋の準備が出来ていないという。とりあえずレストランで食事することにした。ホテルにレストランは1つしかないらしく、ロビーからすぐの建物の半2階が壁の無い半屋内のレストランになっている。席につくとメニューを渡されたが、た、高い……フォーシーズンズの1.3倍位だろうか。日本国内と大して変わらない。まぁ覚悟していたことだしと、とりあえず注文する。

Kさん: バナナジュース
ソトアヤム(チキンスープ)
サテ
エスプレッソ
由紀: ミックスジュース
グルアヤム(ココナツ入りチキンカレー)
スリカヤ(ココナツムース)
Gule Ayam Rp 26,600
Char-grilled Satay Rp 26,600
Soto Ayam Rp 12,700
Srikaya Rp 12,400
Espresso Rp 5,250
Banana Juice Rp 9,000
Mix Juice Rp 9,000
プールに面した席からは、下にプール、その向こうにはウブドゥの森(と言うか、山と言うか)が一望できる。ここは谷の上にあるようで、奥に向って深く落ち込んでいるようだ。あちらに見える山の木がココナツだというのが、如何にもバリの山。自然のど真ん中という印象で、圧倒される。下のプールでは数組の客がやはり泳ぎもせずに日光浴をしている。なんか優雅だ。
Kさん、ここで念願のソトアヤム(ソト=スープ、アヤム=鳥)を初めて食べる。蛍光色じみた黄色のスープがとってもアジアン。こくがあってとてもとても美味しかった。サテは炭の入った炉に綺麗に並べられてやってきた。カレーの盛り付けといい、とても上品、味も上品。メインが終わると早速冷たいおしぼりとデザートメニューがやってくる。昼からこんなにちゃんと食べても良いのかと思わなくもなかったが、「ココナツムース」の単語についつい注文。「いいのか、おゆきさん、ふとる、ぞ」とからかうKさんを尻目にデザートも満喫してしまった。デザートのスリカヤといい、全部文句の無い味だ。
支払い時にチェックはどうしようかと言うと、貴方たちのヴィラナンバーは6だからそれで良いとの事。サインも何も必要無かったのが驚きだった。

13:00
食事を終えても、まだ13:00、では外にあった土産物屋でも行っていようかということになり、数分歩いて舗装道路まで出る。途中、牛がいたりしてとても田舎な雰囲気だ。外に出てもさほどの土産物も無く、ロビーに帰ってくるとフロントの女性がニコニコしながら近寄って来た。先程応対してくれたフロントの人とは違っていたので、
「私たちは先程やってきたんだけど、まだ部屋に入れなくて〜」
と必死こいて説明していると、先程の女性がやってきて、もう部屋に入れますよ、と言う。スーツケースも既に運んであるというので、案内してもらう。途中、ホテルの施設を色々案内してもらった。先程食事したレストランから見下ろす場所に、底が綺麗な緑色のプールがある。谷側には舞台のようなものがある。周囲にパラソルとデッキチェア2脚のセットが10組位。
ロビー棟からヴィラに向かう出口のそばがライブラリだと言う。壁一面がバリの美術書やペーパーバッグで占められており、藤の椅子が2つ壁際にある。その間にあるガラスのテーブルの上には真鍮の駒のチェスボードがあった。ボードは分厚いガラスで出来ている。Kさん、「チェスボードだぁ」と喜ぶ。どうやらチェスがお好きのようだ。

ナンバー6のヴィラはロビー棟を抜け、小道を歩いて200m程。幅1.5m、高さ3m位の門をくぐり、踏み石を越えて部屋に入る。まるで一戸建ての家のようだ。入り口そばに丸太が筒状になったものとハンマーがあり、来客があるとこれをコンコンと鳴らすという。中に入ると一気に開けた空間があった。外からは想像出来ない位の広さだ。入ると奥に据えられたキングベッドがまず目につく。白くて気持ち良さそうなシーツが上にかかっており、その左右が棚兼机になっている。中央には4人がけのダイニングセット。ダイニングセットを挟んでベッドの向いがバスルーム。そこだけで6畳はありそうなスペースに向かい合って2つの洗面台と、奥のガラス扉の向こうにバスタブがある。バスタブは屋外になるようだ。フォーシーズンズも広かったが、ここも何だか落ち着かない程広い。
部屋の両側にはテラスもついていて、谷に面した方にはデッキチェアも置いてある。案内の女性が下がり、ふぅとウェルカムフルーツを見ると、ここのはまた一段とゴージャスでパッションフルーツ、バナナ、リンゴと綺麗に山に盛られており、中心にはパイナップルが丸々1個入っている。なんと私の大好きなマンゴスチンも2つ入っていた。

スゴイスゴイと部屋をぐるぐるしていると、コンコンと来客の合図があった。ウェルカムドリンクを持って来たのだと、ハーフシャンパンを届けに来たらしい。栓をぬいて貰って、とりあえず一休みする。
Kさんは
「広くて落ち着かないよ〜」
と部屋を歩き回ったと思うとベッドに横たわっている。確かにベッドの足側から奥行き10m位ででーっと広い空間だとあまり落着かないかもしれない。……でも何だかウブドゥに来てこっち、Kさんは落ち着かない様子だ。

しばらくして、とりあえずプールという気分でもないし、ライブラリでチェスでもしようということになる。私は小学生の頃、少しだけやったことがあるだけですっかり駒の動きも忘れてしまっていたが、試しに1度ゲームしてみる。うかつな駒の動かしかたをすると、
「……いいの?こうなるよ」
といちいち指摘される。関心するけど、なんか悔しい。一度試しで1ゲームし、もう1戦してみる。私は結構真剣にやったつもりだがぼろ負けだった。それも当然か。

17:45
チェスに熱中していたらしく、気がつくともう夕方になっていた。一度部屋に戻って、バスタブにお湯を入れてみる。壁に囲まれてはいるが、頭上は思い切り露天で気持ちの良いお風呂だ。こういうところ、どことなく日本的かもしれない。露天の為か多少木の葉などが周囲に落ちていたので、それを流して溢れる程お湯をためて二人で入る。また後で入ろうと、お湯はそのままにして食事に行くことにする。

19:00
夕食。夜になると周囲は明るいライトもそうそう無く真っ暗になり、何となく圧倒されるような気分になる。谷の向こうの森に何かがいるような気すらしてくる。ジンバランの開放された空気と違い、下の方に色々なモノが降ってきて溜まっているような感じと言うべきか。あまり良くは言えないけど。
Kさんは、
「何かイヤだわ、気に圧倒されちゃって」
とか言っていた。もう日本に返してー、という気分になっているらしい。濃密な森の空気(気配?)にあてられているようで、だから昼から様子がヘンだったようだ。確かに私も気圧される気分にはなるけれど、でも辛いとかは感じず、純粋に「何かスゴイ」と感じる程度だ。何でも、溜まっている気と会話しようにも出来ないらしい。バリの気はやはりバリ語を話すのだろうか。
とりあえず、食事。グラスで白ワインをとって、前菜とメインを1品ずつ取る。メニューはインドネシア料理と西洋料理に分類されていて、それ以外に本日のスペシャリティというページがある。席につくとまもなく、名前の書かれた葉が机に置かれた。プールの奥の舞台では、ガムランが演奏されていて、それがまた神秘的な感じがする。下手なお化け屋敷よりも、何というか……怖い。
Kさん: 焼ビーフン
チキンブレスト
アイスティー
由紀: エビとココナツのトムヤムクン風スープ
アヒルのグリル、コリアンダ風味
クレームブリュレ
紅茶
Bihun Goreng Rp 20,250
Soto Udang Rp 17,600
Chickin Breast Rp 40,900
Breast of Duck Rp 47,500
Creme Brulee Rp 17,700
Tea Rp 5,250
Iced Tea Rp 5,250
Sauv Blanc Glass Rp 60,600
ここのスープはどれもとにかく美味しい。インドネシア料理独特の臭さがあまりなく、かと言って極端に西洋ナイズされてるわけでもないという感じ。夕食もデザートまでたいらげて、すっかり満足。ここのデザートもまた、かなり美味しいんだ。とりあえずダイエットは忘却の彼方。

20:30
部屋に戻る。部屋がすっかり夜バージョンになっており、3面あった窓が全部透けない扉で閉じられていた。ベッドサイドには2人分のミネラルウォーターとグラスが置かれている。しかし、それらの変化どころではない、大きな変化が部屋にはあったのだ。
部屋の中央のダイニングセットに、高さ60cm位のオブジェがあった。神への捧げ物のようなココナツの葉と色とりどりの花で作られたもので、細工が細かくてとても綺麗だ。オブジェの足元にはスティック状のお香が焚かれていて(丁度お香りがついたばかりのような感じだったので、私たちが戻る時間を計算してやったとしか思えない)、お香の袋と一緒にカードが置かれていた。enjoy honeymoon などと英語の手書きの文章がマネージャーより届けられていた。これが「great care of」の正体なのか〜とKさんとひとしきりウケる。まさか、こんな大きなもの用意してくれるとは思わなかった。枕元には、バリの精霊を形づくった、お守りの人形が一つずつ置かれている。何だか、色々と嬉しい。
先程溜めておいたバスタブのお湯にまたつかると、心も体もふにゃふにゃになってしまった。やっぱりホテルの移動は疲れるなぁ、と早めに就寝。