10月8日(日) サファリ島の探検

朝食はワッフル

あつあつワッフル、さっぱり味 昨日の夕方、滅多に鳴らない部屋の電話のベルが鳴った。何かと思えばフロントからの電話で、
「明日、サファリ島に行きませんか?2人組のお客さんが行きたがっているのだけれど、最少催行人数が4人なので、もし良かったら参加していただけると……」
との内容だった。この島から船で数十分のところに、サファリパークのような島があるのは知っていて、それは行ってみたいなと思っていた。行くなら2日目(今日)か3日目(明日)かなと思っていたので、行きましょう、ということに。出発は7時。早起きして6時過ぎには朝食を摂らなければならない。
具沢山のオムレツも

そして本日、午前6時。眠い目をこすりこすり、朝食はワッフルとオムレツを中心に。フライドガーリックをトッピングしたお粥も少しばかりいただいた。

シロップを添えたワッフル、オムレツはチーズと玉ねぎとマッシュルームとハム入りで。写真、オムレツの奥に写っている赤い明太子のような物体は「Tocino」というチャーシュー様の甘辛豚肉。「Tocino」はスペイン語で、ベーコンや薫製あるいは塩漬けにした肉の事を指すということだけれど、フィリピンで言うところの「Tocino」はこのような色合いのチャーシュー的なものの事であるらしい。かなり甘めだけれど、ガーリックライスやお粥に添えると良く似合う。

あとは「スパニッシュサーディン」なる、香草と一緒に温めたオイルサーディン、いつものレタスのサラダ。飲んだものはマンゴージュースで、デザートには甘いマンゴー。毎日毎日甘いマンゴーを口にできて、本当に幸せなことだ。

サファリ島「Calauit」

カツオだ! そして午前7時、フィリピン出身アメリカ在住のご夫婦と一緒にバンカーボートに乗り込んで、いざサファリツアーに出発。
向かうのはCalauit(カラウィット)島。ホテルの建つDimakya(ディマカヤ)島からはボートで40分というところだ。波しぶきをあげつつ案外と波のある海を進むこと30分ほど、突然ボートが止まって、後方にいたスタッフNさんが「サカナサカナ!コッチコッチ!」と息子を手招きした。

なんだなんだと皆でボート後方に行くと、スタッフの一人が海に伸びた釣り糸を引っ張っているところ。ほどなく海中から体長50cmほどの銀色の魚がゆっくりと出てきた。これは……カツオ?
この小さな船で島に上陸

カツオだカツオだ、釣りしてたんだ、すごいねぇ〜と、船内がひとしきり盛り上がった後、そのまま息子は客席ベンチに戻らずに、なにやらスタッフと楽しげにしている。スタッフが面白がって「ここなら大丈夫」と息子に船の操縦桿を握らせてくれていたらしく、息子は人生初めてのボート運転などもさせてもらったり。そして船は賑やかに目的の島に到着した。

……が、今は干潮なのか、船がそのまま岸につけられない様子。岸までは10mほどあり、船が進めないと言っても水深は腰くらいまではゆうにある。
どうするのかと思っていたら、バンカーボートから更に小ぶりのバンカーボートがゆっくり水面に下ろされた。3人乗りのボートに2人ずつお客を乗せて、往復すること3回。細く小さく頼りない船におっかなびっくり乗りつつ、やっとサファリ島に上陸することができた。
この船に乗って島を回る

島に用意されていたのは、左の写真のような車。窓ガラスなどはない吹き抜けの車で、詰め込めば20人くらいは乗れそうな感じ。ホテルのスタッフNさんと共に、この島の案内ガイドのおっちゃん1人も乗せて、そして車は動き出した。

1976年にアフリカから草食動物だけを連れてきて放したのだというCalauit島。自然保護区となっており、草食動物の天国となった今はシマウマが約70頭、キリンは約30頭、そして開発当初は数十匹しかいなかったこの地域特有の小さな鹿「Calamian Deer」は1000匹ほどに増えているのだそうだ。せいぜい数時間のお遊びサファリだと思ったら、全行程6時間を要するなかなか大変なものとなった。
ツアー参加費は、往復の交通費と現地の軽食含めて大人$46、子供$23。
シマウマだー

「悪路というのは、もっとましな道路の事を言います」というほどの、すごい悪路(車が横転してもおかしくないと思えるほどの悪路)なども走りつつ、途中鳥や鹿なども見かけつつ走ること20分くらい。広々とした草原にシマウマの群れがいた。

車を降りても大丈夫ですよ、ということで(でも人に慣れているというわけではないので近づきすぎてはいけませんよ、と)、10mほど近くまで寄ってのシマウマ観察。この春に産まれた子馬なのか、茶色みがかった可愛い子馬もたくさんいる。サラブレッドなどより、シマウマの体はずっと小さめだ。

シマウマいた!鹿も!と、気持ちの良い草原をひたすら走り、そして檻の中にいる動物たちも見に行った。

ヤマアラシ これが「Palawan Bearcat」 臆病なマメジカ

中央は「Palawan Bearcat」。「Bearcat」は辞書では「レッサーパンダ」と訳されていたりするらしいけれど、あの愛らしいレッサーパンダとは隨分異なる迫力の動物だ。目つきは鋭く、毛もゴワゴワバリバリという感じ。ビニール袋にマンゴーの果肉をたくさん詰めたスタッフが、私たちの手にそれを乗せて「動かさないでね、動かさなければ大丈夫」と指示してくれて、檻の中に入って手からマンゴーをやることもできた。長い尻尾を器用に柱に巻きつけて前足を使って器用にマンゴーを食べている。撫でることもできたのだけれど、やっぱり見た目通りのゴワゴワバリバリの手触りだった。ネコというより、小熊のよう。

左は「Porcupine」(ヤマアラシ)。Local Nameは、その名も「Durian」(ドリアン)。つぶらな瞳は可愛いけれど、体は鋭いトゲだらけ。これも檻の中に入れて見せてくれ、スタッフNさんが床をしばらく眺めて何やら探し回った後に息子に何かを手渡していた。くれたのは、ヤマアラシの体毛。植物の葉か昆虫の足かというほどに固い茶色い毛で、これは息子の宝物になった。

右は「Mouse Deer」(マメジカ)。猫よりも小さい、ウサギほどの大きさしかない鹿で、歩く姿も後ろ足を同時に蹴り上げて「ぴょんぴょん」という感じ。すごく臆病で、人が近づくと逃げていく。これまた面白がるスタッフが息子を柵の中に入れてくれて、マメジカと追いかけっこをさせてくれた。今日の息子は役得だらけだ。いいなぁ。

ここで休憩しますよー

そうこうしているうちに、車は屋根つきの小さな小屋の前に辿り着いた。少し離れたところではキリンの親子が優雅に草を食べていて、小雨降る中、ここでスナックタイム。サンドイッチの小さな包みが渡され、ホテルから持ってきたらしいクーラーボックスからは冷たいジュース類も出てきた。甘いオレンジソーダやコーラやスプライトなどがあって適当に1つ選んでいただきつつ、数十分の休憩。今日は雨季らしいどんよりした天気が続く午前中で、何度か激しい雨が降ったりもしていた。サンドイッチは、玉ねぎがたくさん入ったツナサンド。ほんのり甘みがある。
1匹目に餌やり〜

スタックタイム終了後は、このサファリツアーのメインイベントだろう「キリンに餌やり」。

キリンはどの個体もが人間に慣れているというわけではなく、「このキリンは大丈夫」「あのキリンは慣れていない」とか、色々らしい。スナックタイムの小屋から見えていたキリンたちはあまり人慣れしていないということらしく、車はゆっくり元来た場所を走ろうとしていた。……ら、車の行く手の前に母子らしい大小のキリンが見え、その近くには、まだ幼いものらしい小さなキリンが。車が止まると、その小さなキリンがゆっくり車に近寄ってきたのだった。

白と茶の模様がまだ少し薄く見えるような年若いキリンは、車の中の息子と頭の高さがほぼ同じくらい。
「どうぞ、この葉をやってください」
とばかりにスタッフたちから緑の葉がたくさんついた枝を手渡され、それを差し出すと近寄ったキリンがもりもりその葉を食べ始めた。出発当初から車の後ろに山のように積まれていた枝を「これは、なに?」と思っていたのだけれど、これはキリンの餌だったのだ。
2匹目はより大きなキリン!

人なつこいキリンは、人間が差し出す枝から葉を器用にもぎ取っては食べていく。葉をついばもうと首を下ろした時に、キリンの頭や首を撫でる事も可能で、つるりとした滑らかな手触りの(でも毛は案外と固い)毛皮をたっぷり撫で撫でさせてもらった。大きな黒い目に長い長いまつげがとっても可愛い。

十数分で小さなキリンとの邂逅を終えて再び車は走り出し、小さな草地に再び止まった。そこには大きなキリンが2頭。奥にいてこちらを伺うように見ているひときわ大きなオスのキリンと、そして「このキリンが一番人に慣れているんですよ」と紹介があったメスのキリン。その言葉通り、人を恐れることなく車の中に顔を差し入れるようにして葉を食べる大きなキリンに皆、歓声を上げていた。

大きなキリンは力もある。枝ごと体を持って行かれそうになった息子は、キリンに車の中を引きずられていた。人が多少騒いだくらいでは動じないキリンは、その後も私たちが差し出す枝から葉をもりもり食べていた。

キリンには2本の角があるけれど、それとは別におでこに盛り上がりがある。それが低いものがメスで、高いものがオスなのだそうだ。今回餌をやれたのは、おそらく2頭ともメス。オスのキリンのおでこは、明らかに瘤状の大きな盛り上がりがあった。

これはメスかな?

楽しかったサファリツアーもそろそろ終了。またパラパラと降り出した雨の中を車は進み、そして元の船着き場に戻ってきた。到着時は小舟に乗らないと陸に着けなかったのだけれど、帰りは水位も上昇したののか砂浜に船が入してきて、浜からすぐに乗れるようになっていた。

浜の小さな小屋にはこの島に住むらしき人々(サファリの職員??)がいて、私たちのためにココナツを割ってくれた。最初は上面を削ってくれて、中の果汁を飲む。「ココナツミルク」のように白濁してはいない、透明の青臭い果汁で甘みはないのだけれど、これがけっこう美味しい。飲み干した後に身を返すと、今度は身を半分くらいに割ってくれ、皮を削ってスプーン状にしたヘラと共に渡してくれた。今度は内側の白い部分(胚乳)を削り取ってぺろぺろと食べる。グミのようなプニュプニュとした食感の身は、こちらはうっすらと甘さがあって、よく知るココナツの風味がある。この胚乳を削って乾燥させたものを水で揉みだしたものが、料理に使う「ココナツミルク」だということだ。

ココナッツの上部を削ります ストローなどはなし!口をつけて飲むべし飲むべし 飲んだら更に身を割って、中の果肉を削って食べます

ココナツの果汁と果肉で疲れを癒し、そしてもうすっかりお昼時。船は再びホテルを目指して海上を滑り出し、午後1時過ぎにホテルに戻ってきた。

青い海、青い空、旨いシェイク

今日の海もすごく綺麗

午前中の曇天は何だったんだという勢いで、午後になって空は晴れ渡ってきた。
午後は水遊びできそうだねと話しながら少々遅めのお昼御飯をホテルで摂った。島に戻ったその足でレストランに向かい、サンミゲールを注文して今日も色々なおかずを。

いつもどおりの「Steamed Rice」とは別に、今日は「Pine Nuts & Raisin Rice」(ピーナツとレーズンのライス)があった。ちょっと変わった香ばしいライスを皿に盛りつけ、あとは「Sweet & Sour Pork Cutlet」(どこから見ても「酢豚」)、「Fried Crab Ginger Onion」、「Grilled Spanish Mackerel / Mustard Dressing」(マスタードソースを添えた、スペイン風鯖のグリル)などなどが。揚げ蟹は、大量の刻み生姜と刻み玉ねぎで和えられていて、手をべたべたにしながらスパイシーな殻つきの蟹に取り組んでみた。揚げたチーズスティック、マッシュルームのフライ、ミックスベジタブルのソテーなども。
高台から望む青い海

デザートは、一口サイズのバナナケーキ。
完熟バナナを使ったらしい、しっとりとした柔らかいケーキはとても好みな味で、母と一緒になってついついお代わり。3切れほど食べてしまった。

午後は今日も水遊び。
海も空も澄み渡るような美しさで、息子がだんなと一緒にプールで遊んでいる間に私と母とで島の高台にのぼってみたりした。

左は、サンライズビーチを臨む高台からの写真。青く透き通るところは砂地の海底になっていて、奥に黒っぽく広がっていくのが珊瑚礁の部分。背が立つのは砂地のあたりまでがせいぜい。高台を越えた向こうには、ビーチフロントコテージよりも若干広い部屋なのであるらしいシービューコテージがいくつか並んでいて、小さな砂浜が広がっていた。

その、小さな砂浜がまたとても綺麗だったので試しにと泳いでみることに。この浜は波打ち際の近くからすぐに珊瑚礁が広がっていて、背が立つ深さですごい量の魚を見ることができた。すぐ足下に体長20cmほどの魚が優雅に泳いでいて、なんとも素敵な光景。でも、これほどに魚のいる海を泳いだのはこれが初めてなので、正直なところ少々の恐怖感も感じる。

クラゲとかウミウシとかカサゴとか、テレビの画面などで見るのは大好きだけれど、海で出会ったら最初はギョッとしてしまいそうだなぁ……と思いつつ、出会ったのは可愛い魚と青いヒトデばかり。

黒い魚 黄色い魚 もいっちょ、黒い魚

魚の山! 息子はと言えば、海を見るのは大好きで波打ち際で遊ぶのも好きだけれど、魚ウヨウヨの深いところはまだまだ怖いらしい。海で遊んだかと思えば数十分もすると「プールに行こう?」と言い出して、けして広くはないプールの中が「僕の場所」という感じだった。

それでも果敢に
「あ!青いヒトデ!青いヒトデ!」
と、海に入れば魚やヒトデを追って浮き輪でちゃぷちゃぷと移動しまくり、この旅行で彼はまた少し泳ぎが上達した模様。息継ぎがずいぶん上手くなってきた。
今日はパイナップルシェイク

今日のおやつに持ってきてもらったのは、パイナップルシェイク。

母はすっかりこのホテルのシェイクがお気に入りで、毎日のように
「何か飲みましょ?シェイク頼みましょう?」
と言っている。

可愛いパラソルにパイナップル果実とチェリーが添えられ、今日もあっさり味の爽やかなシェイク。ラクトアイスのような味わいのバニラシェイクもまた、なんだか懐かしい味でたまらない美味しさなのだった。

今日も遊んで遊んで、影が長く伸びる頃にコテージに帰還。

3日目ディナーは砂浜で

フロント棟にはビリヤードと卓球台がある。少し遊ぼうかと、夕飯の前に少しばかり遊んでみた。だんなと2人ビリヤード(9ボール)をしている間、母と息子は2人で卓球。雨季であっても、夜までやっぱり蒸し暑い空気は続いている。
どのパスタにしようかな

夜7時も過ぎた頃に夕食をいただきにレストランに向かうと、いつものブッフェ台に何も料理が並べられていない。他のお客の人影も無い。一体何事???と奥に進むと、船着き場に面した砂浜にテーブルも椅子もブッフェ台も並べられているのだった。

今日はガーデンディナー。料理自体はいつものものだけれど、星空の下のキャンドルライトの食事は雰囲気がある。ハネムーナーらしきカップルたちには、より波打ち際に近いところに特別席が用意されていて、静かなその席にはスタッフが料理を運んであげている模様。私たちはブッフェ台にほど近い賑やかな席で食事を楽しんだ。

今日の特別料理は、パスタ。ブッフェ台の脇に並ぶ台の上にはペンネにリガトーニ、スパゲティにフジッリと、数種類の茹でたパスタが用意されており、好みの分量を皿に盛りつけ、ソースも好みの量添えてからスタッフに手渡すようになっている。フライパンでパスタとソースを絡め温めて仕上げてくれ、用意されたソースは3種類。ポモドーロ(ミートソース)とトマトベースのシーフード、そしてハムが入ったクリームソース。毎晩のように「チーズのスパゲッティ」を作ってもらっていた息子は、今日のディナーは最高とばかりに何度も何度もブッフェ台に向かっていた。

メインディッシュは濃厚な味付けの肉料理が多い。「Chicken Cordon Blue」はハムとチーズを挟んだ鶏肉のフライ、「Braised Short Ribs」は骨付き肉のワイン煮込み。前菜には「Deep Fried Spring Roll」(揚げ春巻)とか「Kinilaw na Tanigue」(ピリ辛味の魚介のマリネ)などが用意されていた。「Kinilaw na Tanigue」はフィリピン料理としてメジャーなものらしく、フィリピン味の素社のホームページにレシピが載っているのを後に見つけた。トマトや玉ねぎで和えられているらしい魚介は、見た目以上にピリピリと辛い。ビールに似合うし、辛口の白ワインとも相性はばっちり。

「飲みましょう!今日も飲みましょう!」
とご機嫌な母の音頭で今日もビールの後にワイン飲んだり、それに加えてカクテルなども注文してみたり。小さなサイズかなと注文してみたピーニャコラーダは驚くほどたっぷりな分量だった。