10月09日(火) 京都散策、自転車で

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息子と2人で修学旅行的京都散策

楽しかった秋休みも、今日でおしまい。
 
息子は今日までが秋休み。でも世間は平日で、夫も当然仕事がある。
大阪からただ帰るよりは、今日一杯どこかで遊んで夕方の新幹線で帰宅するほうが充実じゃない?と、息子と2人、京都を1日散策してみることにした。
 
私は何度か行ったことがある京都。高校の修学旅行でかなりみっちり見てまわったし、記憶が確かなら中学の修学旅行も京都だった。大学生の頃に友人と旅行したこともあったはず。でもそれも20年くらい前のこと。一度も行ったことのない伏見稲荷と晴明神社、お参りしたいなぁと思っていたところだった。
 
息子の方は、小学校も中学校も修学旅行先はnot京都。連れてきたこともなかったから、これが初めての京都だ。
 
「……じゃあ、有名どころ行ってみようか。金閣寺とか銀閣寺とか、どう?」
「行ってみたい!」
清水寺まで行こうとしたら大変かな、個人的には南禅寺が好きなんだけど……と色々考えて、
「うん、自転車で回ろうか」
という結論に至った。
 
「電車+徒歩」だとかなりな距離歩かなければならなさそうだし、土地勘がないからバスもちょっと不安。そもそも渋滞や混雑の具合が読めないバス移動は「○時の新幹線に乗らなきゃいけない」と決まっている時には特に不安があるし、だったら自転車かな?と。比較的高低差のない京都の町並み、レンタサイクル屋は大量にあるようだ。あとは自分の体力次第。
 
というわけで、夫の家でパンとコーヒー食べて、いざ京都へ。

異世界への扉、みたいな〜「伏見稲荷大社」

やってきました伏見稲荷! 早朝からの参拝も可能ということで、最初に目指したのは「伏見稲荷大社」。
 
「えーと、こないだ行った伊勢神宮は、日本の神社の総元締めでしょ?こっちはね、日本のお稲荷さんの総元締めね」
 
そんな説明しながら、楼門 に到着。神社の楼門の規模としては最も大きいものなのだそうだ。天正17年(1589年)豊臣秀吉の造営とされているそう。
 
まずは楼門奥の御本殿に参って、御朱印いただいてから「よし!千本鳥居だ!」と更に奥へ。
 
伏見稲荷、千本鳥居。なんとも神秘的。 伏見稲荷、奉納された鳥居がお山の参道に約1万基あるのだという。
 
行きの道では「納」の文字だけが見える鳥居は、帰り道に裏側を見ると「○○県○○株式会社 平成○年○月吉日建之」なんて文字が記されているのが見える。
 
記されているほとんどは会社名、稀に個人名。とりわけ巨大な鳥居には「電通」の文字があってちょっと笑ってしまった。
 
その会社名の俗っぽい名称を見るとちょっとホッとするのだけれど、真っ赤な鳥居が奥の奥まで続いていく様は異世界に続く道のようでたいそう不思議な感じだ。
 
山の最高峰にある一ノ峰は標高233m、本気で全部巡ると4時間はかかるらしく、そこまでの時間はない私たちは千本鳥居を抜けた奥社奉拝所までの参拝にしておいた。ちなみにここ奥社奉拝所でも御朱印がいただける。
 
伏見稲荷。行きはよいよい〜的な感じ? 商売繁盛の神様ゆえ、私も当然商売繁盛をがっちり祈ってきた。
 
お稲荷さんといえば白狐だけれど(稲荷神=白狐ではなく、稲荷神のお遣い、眷属が白狐なのね)、以前ちらっと耳にしたところによると、猫もお稲荷さんにご縁がある生き物らしい。
 
「幸い白狐と同じ毛色の白猫だし。りゃんりゃんは特に狐みたいな面構えだし」
なんかこう、ちょっとは願をかける意味があるかしら?と、「猫たちが健やかに長生きできますようにー」なんて事も祈ってみた。
 
伊勢神宮とはまた違う独特は空気だった伏見稲荷、またゆっくり詣でてみたいなー。今度は一番上までお参りを。

自転車に乗って

さて、そうして電車に乗って京都に到着。
 
引きずって歩いていたキャリーバッグはコインロッカーに突っ込んで、事前に予約しておいた駅前のレンタサイクル屋さん「京都ecoトリップ」でささっとレンタサイクルを借りた。3段変速自転車は1台1日1000円。
 
「どちらまで行かれる予定ですか?」
とレンタサイクル屋のお兄ちゃんに聞かれ、
「えーっと、午前中は銀閣寺。そして午後の金閣寺が一番遠い目的地です」
と答えたら「……それはなかなか大変ですねぇ」と。
 
事前で地図見て大体覚悟していたとはいえ、「もし行けたら行きたいな」とチェックしていた下鴨神社、八坂神社、平安神宮は全然無理だった。京都駅近くのお香のお店「薫玉堂」もちょっと無理だった。
 
でも、他は予定のポイントをあらかた寄ることができ、目的時間きっかりに自転車返却できたから、私的には予定立案&遂行は優秀だった、という感じかな。
 
京都「加藤順漬物店」。お買い物すると「おおきに」言われたよ。 いざいざ、と、京都駅出て鴨川沿いの道路を目指し、「北上するよ〜!銀閣寺目指しつつまずは金平糖!」というところで、そういえばと道中鴨川近くにある漬物屋さん「加藤順漬物店」に寄り道。
 
「今日一日自転車で散策しますが、冷蔵品持って歩いても大丈夫でしょうか?」
と相談して、
「直射日光あたる自転車の籠に入れっぱなしにしなければ大丈夫ですよ〜」
言っていただけていくつか買い物。
 
店頭で販売されているのは既に真空パックになっているお漬け物ばかりで、選ぶのも運ぶのも簡単。
 
おうちで食べるんだ♪と、「浅しば」「昆布〆こかぶ」「きざみ沢庵」「磯さんしょ」を買ってみた。「浅しば」「昆布〆こかぶ」は賞味期限短めなので注意してね、だそう。

京都 左京区「加藤順漬物店」にてお買い物
浅しば
昆布〆こかぶ
きざみ沢庵
磯さんしょ
630円
840円
525円
1050円

いきなり荷物を増やしてしまいつつ、「こんぺいとー!」と更に自転車こぎこぎ北上。道は漠然とゆるゆると上り坂。そうしてやっとこさ着いたのが金平糖専門店「緑寿庵清水」。
 
そろそろ、あの大通りの手前くらいにお店があるはずだよー!と自転車こいでいくと、あからさまに甘い良い香りが漂ってきた。洋菓子系の甘い香りではなくて、かき氷シロップのようなちょっと和風な甘い香り。あったぁ!と、テンション最高潮でお店に入った。
 
京都「緑寿庵清水」。ここの金平糖を本店で買うのが野望でした。 実は東京でも日本橋三越で扱いがある、このお店の金平糖。
 
でも人気の品・限定の品は入荷も少なくて入手が難しいと聞くし、朝イチで行けば買えるというものでもないらしい。
 
この京都本店からお取り寄せもできるそうだけれど、やっぱり現物をこの目で見てキャッキャ言いながら選びたいわけで、とどのつまり「やっぱりお店に行かなきゃ」と。
 
広くはない店内だったけれど、噂の「究極の金平糖」の見本も飾られ、陶器製の特製の器なども置かれている。たかが金平糖、されど金平糖、雰囲気は高級ショコラティエのそれに近い。
 
定番品の小袋入りの金平糖は10種類ちょっと。季節限定の品は「焼栗」と「おかぼ(かぼちゃ)」、「ゆず」「さつま芋」。
 
ご試食どうぞ、と、到着するなり1個くださった「焼栗」が驚くほど栗味で、早速これをいただいていくことにした。見た目は全く金平糖なのに、あのカリコリとした砂糖の食感がするのに、味も香りも驚くほどに「焼栗」そのまま。芯の部分は栗のホクホクとした食感まである。なのにやっぱり金平糖。
 
一番買いたかったのは小袋入りの「天然水サイダー」と、可愛い牛型パッケージの「ミルク」。棚にはたっぷり品が並んでいて、うっとりしながら選ぶことができた。ああ、やっぱり来て良かったなぁ。
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「緑寿庵清水」の金平糖、こんなに買っちゃいましたとさ…… ……で、滅多に来られないお店だし!と、乗りに乗って、更に小袋入りの苺、蜜柑、林檎、生姜、バニラ、パイン、桃を籠に入れ、レトロな柄の携帯ケースもいただくことにしたら、お会計7833円!
 
写真は帰宅してから撮ったもの。本当、呆れるほどに買いました。
 
もうお土産、「阿闍梨餅」も「お豆の旅」も無しね、お金ないから……と軽く呆然としながらも後悔はせず、お店を後にしたのだった。
 
ちなみに期間限定の金平糖、6月に「ヨーグルト」「涼竹糖」、7月「究極の梅酒」「完熟マンゴー」、8月「ココナッツ」、9月「らいち」、11月には「ますかっと」「花梨」などなど、私が欲しいなと思うのを並べただけでも毎月のように美味しそうなものが。特に食べてみたいのは「ココナッツ」。
 
毎年1年以上前から予約が埋まり、キャンセル待ちが出るという「究極の〜」シリーズもすごい。「ブランデー」「梅酒」「日本酒」「ヴォーヌ・ロマネ」などなど、「金平糖」のイメージと重ならない字面が並んでいる。「究極の日本酒の金平糖」って、一体どんななんだろう。
 
後に知ったところによると、休日などでは普通に行列ができてしまう店だったらしい。私たちが到着した時は、他にお客さんが1人いただけで、のんびり見ることができたのだった。

京都 左京区「緑寿庵清水」にてお買い物
苺・蜜柑・林檎・生姜
バニラ・パイン・桃・サイダー
焼栗の金平糖
ミルクの金平糖
携帯ケース
 
各525円
1785円
1470円
378円

絵葉書と同じだ!〜「銀閣寺」

素敵な金平糖を入手して鋭気を養った。やる気も急上昇だけれど、坂の角度も急上昇。
 
なおもだらだらと続く上り坂を自転車こぐこと15分ほど、「銀閣寺(東山慈照寺)」に到着した。
 
レンタサイクルの利用者が多いこともあってか、京都の寺社は多くが入り口近くに駐輪場を設けている。それがたいそうありがたい。
 
銀閣寺。「教科書に載っているのってこんな感じ?」と撮影。 そして、「そっか、神社は参拝するのにお金取らないけど、お寺さんは拝観料が必要なんだ……」と、そんな事に今更気付いてみたり。
 
修学旅行では団体料金でまとめて手続きされるから、そんな事を気にしたことはなかったのだった。
 
色々なところに行くと、この拝観料もばかにならないなぁ……なんて。
 
ともあれ、少なくとも一度は来ているはずの私も「おお、銀閣寺だ」とちょっと感動。
息子に至っては
「おお〜!教科書と同じ風景だ!」
と、そんなところに感動している。
 
銀閣寺、山道から町を臨む ぐるりと一周10分ほどの短い「山道」が設けられている銀閣寺。
 
せっかくなのでこちらも歩いてきた。
 
上からの眺めはなかなかのもので、観音殿(銀閣)と方丈(本堂)、銀沙灘、向月台などなど、良く見える。
 
京都の山と町並みも眺められて、これは良かったな〜。

京都 左京区「銀閣寺(東山慈照寺)」参拝
大人
中学生
500円
300円

かっこいいよね、晴明桔梗〜「晴明神社」

「じゃあ、11時過ぎたし昼御飯にしようか!」
と、今度は西に自転車こぎこぎ。
 
京都御苑近くにあるらしい町屋の建物使った洋食屋さんに行ってみよう〜!……と、調べておいた店を目指そうとしたのだけれど、その住所に着いてもお店が無い。というか、その店があるはずの場所が和食のお店になっていた。刺身定食とか、湯葉定食とか。
 
中学生男子が「おばんざい」などの店に興味があるはずもなく、そもそも私の方もすっかり洋食系の味のものが恋しい気分だったので、
「じゃあ、他のお店探しながら午後の目的地の金閣寺方面に向かってみようか……」
と空腹抱えつつ北西に自転車こぎこぎ。
 
気になる昼食処、他にもちょこちょこ調べてはいたのだけれど、全体的に南側のお店が多かった(失敗した)。
京都は北に向かって微妙に坂になっているので、南北の移動はなかなか大変なのだと思い知ったばかり。移動距離は少なくするに限る……と、適当に道中でみつけることにして目的地を目指す。
 
「晴明神社」に到着〜。 で、良さげなお店を見つけるのに至る前に辿り着いてしまった「晴明神社」。
 
ここも目的地の一つだったので、空腹こらえて参拝してしまうことにした。
 
御祭神は、あまりにも有名な陰陽師、安倍晴明公。
 
ここは晴明公の屋敷跡であり、天文陰陽博士として活躍していた拠点だったのだそう。社紋は桔梗印、「晴明桔梗」と呼ばれる五芒星だ。鳥居にもこの晴明桔梗がついていたし、境内あちこち五芒星がたくさん。
 
晴明神社。平日ということで人影もまばらでした。 幸いにして人影もまばらでゆっくりお参りを。
 
御本殿隣には樹齢300年のご神木の楠が。
 
その下には厄を撫で付けて御利益を得る「厄除桃」もあった。
 
うーん、でも、晴明神社、授与所には著名人の絵馬が名前入りで飾られていたり、安倍晴明公の銅像があったり、あんまりこう、神々しい空気じゃないかな……?と思ってしまったり。
 
そして御朱印は、他の寺社の多くが朱印以外の部分は墨書きしてくれるのに対して、こちらは日付も含めて全てがスタンプなのだった。
 
「晴明社」の文字は、土御門晴雄卿(晴明公から数えて34代目の後継者、なんですって)が神社に奉納したものが版になっているとのことで、それはそれで感慨深いものがある……けど、日付までスタンプだった事にはちょっと苦笑い。

美味しいパンが食べ放題♪〜「Tentation d'Ange」

晴明神社参拝後は、金閣寺を目指しつつ引き続き昼食処探し。
これまたずーっとだらだらとした上り坂で、当の胃袋は空っぽなのにそろそろ自転車の方がお腹いっぱいになってきた。
 
そんな道すがら、「あら?なんか良い感じのお店発見!」と近寄ってみたら、それはケーキとパンのお店。でも軽食コーナーがついていて、「日替わりランチ」はドリンク飲み放題、自家製パンも食べ放題!
 
「おお……けっこう美味しそうかも」
「お店混んでるし、きっと美味しいよ?」
と、その店、「Tentation d'Ange(タンタシオン・ダンジュ)」に入ってみることにした。
 
京都散策、やーっとありつけたお昼御飯。 ランチは日替わりメニューのみの1択。
 
プレートには、具沢山のカレーとグリーンサラダ、厚切りハムを添えたスクランブルエッグと、チェリーのコンポートを乗せたヨーグルトもついてきた。
 
飲み物は、オレンジジュースとグレープフルーツジュース、コーヒー紅茶。
 
種類豊富な食べ放題パンは、バゲットやテーブルロールなどの他、チョコを練り込んだ丸パンやメロンパン、あんぱんらしきものまで揃っていた。ジャムの用意はないけれど、小分けされたバターは発酵バターだ。
 
中庭に面した窓からは気持ちの良い風が入ってきて、これでもかと水分補給してパンもたっぷりいただいた。サラダに添えられたクルトンも自家製パンを加工したものらしくこれがたいそう美味しくて、パンはカレーに浸したりもしながらもぐもぐ。
 
店内、私たちが入店した時はいくつかの空席が残る程度だったけれどすぐに満席になり、地元の人らしき若い女性で混雑していた。なかなか大ぶりだったケーキ類もお手頃価格で美味しそうだったものの、これから更に移動が続く中、買うわけにもいかなかったのが残念。

京都 北区「Tentation d'Ange」にて
日替わりランチ
2×880円

ピッカピカだったやよ!〜「金閣寺」

満足なお昼御飯で良かったね〜……と、そこから次なる目的地「金閣寺(鹿苑寺)」へは20分ほどで到着。
 
さすが京都で1、2を争う人気スポット、修学旅行生やら海外からのお客さんやらで、今回の散策一番の賑わいだった。それでも紅葉見頃の週末と比べると数分の一ほどの混雑でしかないんだろうな。
 
金閣寺。お池に映る様がそれは綺麗で ここは私も初めてだったかも。ピッカピカの舎利殿、思うさま眺めてきた。
 
一階部分は至極地味なのに、二層三層部分は「どうしてこうなった」というほどに派手派手な金閣寺。
 
漆の上から純金の箔が張ってあるそうで、寝殿造の一層、武家造の二層、中国風の禅宗仏殿造の三層、と、それぞれ建築様式が違うのだそうだ。
 
こちらも銀閣寺同様、ちょっとしたお山があってぐるりと一周できるようになっている。上にあるのは不動堂。御本尊は弘法大師が作られたと伝えられる石不動明王とのことで、霊験あらたかな秘仏らしい。
 
ここをお参りした後、隣接する授与所で舎利殿、不動尊2種類の御朱印をいただいた。
 
そうそう、金閣寺には「一撞き 200円」の鐘楼があった。
息子が打ってみたいというので打たせてやることにして、説明を受けた後、少々頼りない音量で境内に「ぐももももも〜ん……」と響く鐘の音。
 
煩悩の一つ、おっちょこちょいの一つ(奴はこの旅行中、携帯電話を無くしました……まだ機器代も払い終わっていないのに……)も治せたら良いのだけれど。

京都 北区「金閣寺(鹿苑寺)」参拝
大人
中学生
鐘楼一撞き
400円
300円
200円

子供が多いね〜「北野天満宮」

時刻は午後2時、ここからはちょっと駆け足にならないといけない感じ。
 
「通り道だから天満さんでお参りしてこう、で、ついでに唐辛子!」
と、ちらっと寄り道したのは「長文屋」という七味屋さん。
 
京都「長文屋」で七味いただきました♪ こざっぱりとした綺麗なお店、店内に入ると唐辛子や炒り胡麻のたいそう良い香りが漂っている。
 
店頭中央のカウンターにはこんな感じで"七味の素"が並んでいて、自分の好みに調合してもらうことができるのだった。
 
私は辛いものがすごく得意というわけではないけれど七味の香りは好きなので、
「胡麻と青海苔多めで、辛さは中辛で」
とお願いして一包み作ってもらった。
 
小瓶も一緒に買って、ちょうど600円。

京都 北区「長文屋」にてお買い物
中辛七味(小さじ8杯)
小瓶
500円
100円

「長文屋」から「北野天満宮」は目と鼻の先。
 
「天満さんは学業の神様だからね、学生の君もいることだしお参りしよう」
と手を合わせてきた。
 
北野天満宮。ここは小学生の遠足?の子供たちがたくさん。 御祭神は菅原道真公。
 
私の母の郷里の本家の姓が「菅原」で、おばあちゃんの家には菅原公の掛け軸と神棚があった事を思い出す。
 
お盆や正月に遊びに行った子供の頃、この掛け軸に手を合わせたりしていたから、天満さんは私にとっては他の神社よりもちょっと身近な存在だ。
 
ここは「道真公をお祀りした神社の宗祀」と案内にあって、「あれ?福岡の太宰府もそんなんじゃなかったっけ?」と思ったところ、北野・太宰府両方が「全国天満宮の総本社とされている」のだそう。総本社が2つあるというのもなんだか面白い。
 
さすが学業の神様、境内には遠足で来たらしい、関西弁を話す小学生らしき子供たちがたくさんいた。

錦市場でお買い物

それじゃあ一気に南下するよー!と、ゆるやかな下り坂で自転車がすいすい進むのを良いことに、5kmちょっとの距離を15分たらずで一気に移動。
 
これならちらっと買い物できるかな、と、ほんの少し錦市場に寄り道した。
 
端から端までゆっくり見て歩きたい場所ではあったけれど、たいそうな混雑だったしそれをやったら1時間じゃ足りないかなと断念。事前に「これ買って帰りたいな」とチェックしていたお店だけ寄ってささっとお買い物して錦市場を後にした。
 
錦市場、「大國屋」でお買い物。ぶぶうなぎ〜♪ こちら、鰻屋さんの「大國屋」さん。
 
ひつまぶしの「鰻茶漬け」が大好きな私、ガイドブック眺めていて「おいしそう……」と気になったのが「ぶぶうなぎ」。
 
お茶漬けにしても良し、そのまま酒の肴にしても良し、の山椒風味の鰻の佃煮という風なものらしい。
 
お買い得価格の「くずれ」をいただくことにして、一緒に売られていたお茶漬け用のあられもいただいた。
 
いただいたリーフレットによると、

ずーとむかしからのタレに北山の山椒の実をたしてながいことたいたのが山椒うなぎ
食べはるときは1センチくらいに切らはって
お茶づけにしゃはったりお酒の肴にしゃはったりあつあつのごはんにのせたりしゃはる
お粥さんもおいしいしおにぎりに入れるのもおいしおす
ぶぶづけにしゃはるときはぶぶあられをのせてお茶づけのお茶をかけるのがいちばんええ

……ですって。おいしおす、か。たのしみどすなぁ。

京都 中京区錦市場「大國屋」にてお買い物
ぶぶうなぎくずれ
ぶぶあられ
1100円
210円

で、「大國屋」さんの数軒先の向かいにある「鳥清」さんでもお買い物。
 
「京都老舗旅館・料亭御用達の合鴨肉鶏肉専門店」だそうで、美味しそうな鶏肉がたっくさん!……だけど、生の鶏肉をこの先6時間近く持って歩くわけにもいかず、お土産にはふりかけなどに使える「とり山椒」を。
 
漬物屋の買い物といい、なんだか「山椒」ものばかり増えてきた。
昔はあまり好きじゃなかった山椒、最近になって美味しいなと思えるようになったからついつい色々な品を試したくなってしまう。

京都 中京区錦市場「鳥清」にてお買い物
とり山椒
700円

自分の顔はみつかった?〜「三十三間堂」

時刻は3時15分、自転車返却目標時間まであと45分。
 
遠回りというほど遠回りな場所じゃないし、ここは寄れるはず、というか息子を連れていってみたい……と、最後のお参りは「三十三間堂」。
 
幸い少しも迷うこともなく到着できたうえにそれほどには混んでおらず、予想よりもゆっくりと拝観することができた。
 
三十三間堂。お堂内部は撮影禁止なので外観を。 お堂内部は撮影禁止なので、写真は外観を。
 
南北に長〜く伸びた120メートルの長大なお堂も圧巻だけれど、なんといっても圧倒されるのは千体千手観音立像。
 
お線香の香りが漂う薄暗いお堂にずらりと並ぶ観音様は、知らずに来ると(知って来ても)相当な迫力がある。
 
「きっと君、びっくりするよ」
と話しながらお堂に入ったら、息子が「うぉ!」と小さく声を挙げて後ずさっていた。
 
微妙に顔が違う千体の観音様、「自分の顔がある」とも「会いたい人の顔がある」ともされている。
「というわけで、探すと良いよ」
「でも後ろの方、全然見えないじゃん……」
「そうだよねぇ……」
と、小声で話しながら静かに歩く。
 
そしてお堂中央に安置された国宝千手観音坐像の前でお参り。
そのすぐ脇で御朱印もいただけた。
 
そもそもは「寺社に写経を納めた際の受付印」であるところの御朱印なので、そのデザインを語るのは筋違いだろうけれど、今回の旅、色々なところでいただいた御朱印の中で一番「カッコイー……♪」と思ったのが、ここ三十三間堂の御朱印だった。
 
墨書きの文字はたいそう達筆でスタイリッシュだわ、朱印のデザインも配置も絶妙に格好良いわで、「額装して飾っておきたい」と思ったほど。

京都 東山区「三十三間堂」参拝
一般
中学生
600円
400円

お気に入りの三十三間堂にも行くことができて良かった良かった……と、あとは急ぎ京都駅前のレンタサイクル屋さんに帰還。
 
返却は予定通りの午後4時、総走行距離は30kmを越えるくらい。息子も私もがんばりました……!

新幹線で京弁当

帰りの新幹線は午後5時過ぎの便。
 
残り1時間は、予約していたお弁当受け取りがてらJR京都伊勢丹のデパ地下を見て歩いた。
 
まずはお菓子だ!でも金平糖買い過ぎちゃってお金もないぞ!?と、定番の「阿闍梨餅」は今回スルーということで、自分用に1個だけ「亀屋清永」の清浄歓喜団を購入。
 
奈良時代、遣唐使が仏教の伝来と共に日本へ持ち込んだ唐菓子の一種なのだそう。「清め」の意味を持つ7種の香を練り込んだ独特な味わいらしいけれど、千年の歴史を持つ菓子というのもすごいなと、買ってみた。
 
原了郭」の黒七味缶(525円)買って、酒売り場も覗いた後は、他のお店もちょこちょこ見て歩く。
 
今回、奮発した(そりゃもう大奮発した)のはお弁当。
 
息子の好みの方向ではないおばんざいのお店とか割烹料亭とかは、京都散策中に行くことはないだろうなぁ……と、「じゃあせめて帰りの新幹線で美味しい京弁当を食べようじゃないか」と思ったのがきっかけ。
 
webサイト「ジェイアール京都伊勢丹のおすすめお弁当WEB承り」を全ページなめ回すように見て、さんざん考えた結果「菱岩」の折詰弁当を予約したのだった。お値段4725円!
 
同じ値段の「紫野和久傳」の陶筥弁当もたいそう魅惑的だったのだけれど、あいにくこちらは休日明けの扱いはなく、今回は「菱岩」さんということに。
 
ちなみに息子は「神戸コロッケ」のオムライス重。君が好きそうな和牛弁当とかもあるよ?もうちょっと贅沢なお弁当にしても良いのに……と言っても「オムライスが食べたーい」だそうで。
 
弁当も受け取ったことだし、じゃあお茶買いながら新幹線ホームを目指そうか、と、改札に向かったのだった。

JR京都伊勢丹にてお買い物
「亀屋清永」の清浄歓喜団
「原了郭」の黒七味缶
日本酒(上撰純米大吟醸松の翆 180ml)
「菱岩」の折詰弁当
「神戸コロッケ」のオムライス重
525円
525円
604円
4725円
900円

弁当よーし、お酒よーし、さぁ食べるぞー♪ 蓋を開ける前から「まぁご立派」とわかるお弁当の重量感、存在感。
 
今回の旅行、私はわざわざ自宅からぐい飲みを持ってきていた。
 
こんな素敵なお弁当の傍らに缶ビールというのはなんだか申し訳ないし、申し訳ない以前に酒飲みとしては「こういう料理にはやっぱり日本酒でしょ」と思う。
 
で、絵面的に(中身がたとえ美味しい大吟醸酒だとしても)ワンカップもどうよ?と思う。
 
「最後、デパートの酒売り場で1合瓶や2合瓶の日本酒買えるだろうけど、でもコップはどうすれば良いのかなぁ」
試飲用のミニカップくれるかな、でもあれもペナペナで雰囲気出ないよねー……と旅行前に頭を抱えていたら、夫が
「ぐい飲み持ってくればいいじゃん、家から」
と。
 
「……へ?家から?ぐい飲み?」
「それで飲んだ方がぜ〜ったい美味しいじゃん」
そっか、そうだよね、うん、そっか……と、今回、旅行初日から今日この時のためだけにぐい飲みを持ち歩いていたのだった(一応、割れちゃっても惜しくないくらいの適当なやつを持って来たわけだけど)。
 
伊勢丹で買った日本酒は、自重して1合瓶。疲れもピークなこの状況で2合飲んだら気絶してしまうわ、と、程よいサイズの「上撰純米大吟醸 松の翆」を買ってみた。山本本家、京都のお酒だ。
 
京都「菱岩」の折詰弁当。うまーい♪うまーい♪♪ というわけで、一人晩酌、京都のお弁当。
 
吟醸香がしっかり感じられるお酒も好みな感じだったし、美味しい酒といただく手の込んだ料理の美味しさときたら、このうえなくうっとりするものばかり。
 
お弁当の器も持って帰りたいくらい(持って帰りました)作りのしっかりとしたもので、胡麻和えの入った器も普段使いできそうな造りの陶器製。
 
弁当箱は深さもそれなりにあったので、見た目以上に食べ応えがあり、すっかりお腹いっぱいになった。
 
弁当箱に貼られたシールによると、内容はこんな感じだったらしい。
 
ごはん・出汁巻・鶏松風・鰻八幡巻・鯛笹巻寿司・鰆の幽庵焼き・いか黄身焼き・才巻海老・合鴨ロース・スモークサーモン・栗・レモン・枝豆・子鮎・千者唐・奈良漬・千代口(筍とうどの胡麻和え)・赤芋・炊き合わせ(建仁寺麩、小芋、南瓜、鶏丸、鳴門穴子、絹さや、木の芽)
 
材料の切り方、詰め方、冷めても美味しい味付けや調理法などなど、添え物のきぬさや1つ銀杏1つにも神経が行き届いている、素晴らしいお弁当。
 
おっきな出汁巻卵も上品なだしの味が感じられるものだったし、左下の炊き合わせもだしのベースは同じなのに具材1つ1つがしっかりとした味わい。食感の違いもそれぞれ考えられていて、とにかくも「酒の肴として、んもう最高〜」なものが詰め合わされていた。
 
うん、ぐい飲み持って来て良かったなーこりゃ幸せだ♪
伊勢丹で手頃なサイズの美味しい日本酒が何種類もあるのがわかったし、ここまで贅沢せずとも美味しそうな京弁当はたくさんあるし、これは京都旅行の度に企んでしまいそうな「最後のお楽しみ」だ。
 
「……で?金閣寺と銀閣寺見比べて結果はどうでした?どっちが好み?」
「金閣寺!」
「だろうなぁ……」
「だって、銀閣寺、銀色じゃなかったじゃん、そのへんしっかりしてくれないと」
「……えええ〜?ポイントはそこ〜?」
 
私は銀閣寺の方が好きだけどな、てか雰囲気ある寺社、他にもたくさんあるのよ?と、ぽつぽつ息子と話しながら、新幹線は7時過ぎに東京駅へ到着。のんびり弁当を楽しんでいたら移動の時間もあっという間だった。
 
なんかもう、かつてなく大変に盛りだくさんだった5日間の秋休み。鳥羽も伊勢もうどんも京都も、どれもこれも楽しかった。
 
息子の思い出はどれが一番強烈だったのか、そのあたりに興味があるところ(「うどん」だったりして……いや、やっぱり「うどん」かなぁ……)。