1月14日(月) 関東降雪、バタバタ帰国

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ビーチを見下ろす朝食ブッフェ〜「Hyatt Regency / SHOR」

帰国の朝。
 
飛行機の便によっては朝6時ホテル発、なんて事にもなったりするようだけれど、幸いにして11時過ぎの飛行機。送迎の車は9時前にホテル前に来ることになっているから、比較的のんびり支度することができる。ありがたいことだ。
 
「さて。ホテル最寄りの朝御飯ということで2つプランを考えました。1つは"IHOP"というアメリカのファミレスみたいなお店でパンケーキ食べる。一応パンケーキが美味しいことで定評があるお店ね。あと1つは、近くのホテルのブッフェに行く」
 
滞在ホテルの朝食はどうもイマイチらしいから、行くとしたら隣のブロックにあるハイアットリージェンシーが良いと思うのよね、けっこう朝早くからやってるし……と話したら、母は即答で
「それは……ホテルのブッフェじゃない?」
とのこと。
 
ああやっぱり、そうだよね、と思いつつ、ホテルブッフェの朝御飯。
 
ハイアットリージェンシーワイキキは、ワイキキビーチの正面、道路を挟んだところに建つツインタワーのホテル。素晴らしいロケーションの良さだ。
 
私たちが泊まっていたミラマーホテルからワイキキビーチへの眺望を最も妨げていたのがこのツインタワーの存在だったりしたので「こんにゃろー」という思いを抱いていた反面、私はアメリカのホテルチェーンの中ではヒルトンシェラトン系よりもハイアット系が好みなので、「家族でハワイに来て安く泊まるなら、ここがいいなー」なんて思ったりもしていたのだった。
 
朝食ブッフェのレストランは、2階にある「Shor American Seafood Grill」。
 
「Hyatt Regency Waikiki」の朝食ブッフェ、「キムチ炒飯」なんてのもありまして 「お部屋ナンバーは?」
とレストランの入り口で聞かれ、
「ビジターなの」
と答えたら、
「あら、まぁ!わざわざお越しいただいて、ありがとう」
的に歓迎されてしまった。
 
歓迎の勢いで、ワイキキビーチを見下ろす位置にある眺めの良いテラス席に案内してくれちゃって、潮風を感じながらの最後の朝御飯。
 
場所はたいそう良かったのだけれど、今朝はいかんせん風が強くて、持ってきたほうれん草のサラダの葉がひらひら飛んでいってしまうほどだった。……それもまた一興?と、苦笑いしながら、ちょっと楽しい朝御飯をいただいてきた。
 
「Hyatt Regency Waikiki」の朝食ブッフェ、フルーツたっぷり(でもマンゴーはやっぱりないのよ……) こんな感じに、フルーツはたっぷり。
 
残念ながらやっぱりマンゴーはなくて、でもパパイヤとパイナップルが甘くて美味しかった。
 
全体的に品数はそれほど豊富ではない感じ。
 
「味噌汁とお粥はあるのに洋風のスープが無い」とか、数少ない温菜料理の一つが「キムチ炒飯」だったりと、
「なるほど……宿泊客は日本人と韓国人が多い、ということなのかな」
なんて思ったりした。
 
でも嬉しいことにオムレツコーナーはちゃんとあったので、青葱やトマト、オニオンなどが並ぶコーナーで
「マッシュルームとハム、あとチーズ入れてね」
と作って貰ったら、コック服の笑顔のおばちゃんが
「うん♪良いチョイスね〜♪」
と、歌うように具沢山のオムレツを華麗に焼き上げてくれた。
 
「Hyatt Regency Waikiki」の朝食ブッフェ、オムレツがたいそう具沢山♪ オムレツには、フレッシュトマトがふんだんに使われたサルサをたっぷり。
 
カリカリベーコンや、じゃがいものグリルを添えていただいたら、この1皿ですっかりお腹も充実した。
 
あとはレタスがベースのサラダとハム、ジュースは「パッションオレンジジュース」、それに牛乳と紅茶。
 
最後の最後までワイキキビーチ眺められて嬉しかったな ココナッツシロップをかけたワッフルなどもいただいて、ミルクティーをおかわりしたら、満腹になりすぎない程度で適当に切り上げて部屋に戻った。
 
最初は薄暗かった屋外席も、食事半ばで雲がバラ色染まって一気に明るくなり、ドラマチックな夜明けを最終日の朝まで堪能できたのは何より。
 
これから数時間のドタバタ展開を知るよしもなく、「まだ時間あるね〜」なんて言いながらのんびりホテルに戻ったのだった。

Hyatt Regency Waikiki」内「Shor American Seafood Grill」にて
朝食ブッフェ
2×$29.00

搭乗予定のデルタ便は欠航になりました

部屋に戻ると、数分とおかずして鳴る、部屋の電話。
 
送迎の車の連絡かな〜?なんてのんびり気分で受話器を上げたら、切迫した日本語が聞こえてきた。いわく、
「関東の大雪の影響で、今日のデルタ便は欠航になりました」
とのこと。
 
ええ!?えええええ〜???
 
関東に降雪があったのは、昨日の段階で知っていた。夕方にカクテル飲みながらフラダンス見ていた時、「写真撮ってtwitterにアップしよう」なんてiPhone立ち上げたら、都心に住む友人があげた写真が雪景色だったのだ。
 
慌ててtwitter検索したら、東京どころか温暖な千葉にまで降雪(どころか吹雪)だという。それでも私たちが帰る火曜の夜までには丸一日あって気温も上がるだろうし、成田に降りられないなんてことはないでしょう……と、さほど心配はしていなかった。それが、なぜ。
 
「昨日、成田からホノルルに飛ぶ予定だった便が欠航になったため、成田に行くための機材がありません。機材以前の安全の問題でも、デルタ航空は本日数便ある成田便を全便欠航とすることにしました」
だそうで、ああ、そうか、なるほど、と。
 
こちらは頭真っ白。でも、電話の向こうの担当者さんもたいそう焦っている。
 
「日航は飛ぶとのことですが、お客様はデルタ便のチケットですので、デルタ便での振り替えとなってしまいます。本日、大阪・名古屋・福岡行きの便でしたら振り替えでお取りできます」
さぁ、決断を!……という勢いだ。え、ちょっとちょっと、待って待って。
 
「え……それで振り替えお願いしたら、大阪なり名古屋なりに着いちゃうわけですよね、そこから羽田には行かないわけですよね」
「天災が原因での振り替えになりますので、到着地からご自宅への交通費はご自身で負担、ということになります」
 
成田からの最寄りの名古屋に降りられたとしても、セントレアから東京までの新幹線代(or飛行機代)はけっこう痛い。それに、これから出発の便となると、どうしたって日本への到着は夕方遅くから夜になる。そこから東京経由で千葉への移動……当日中に着けるかどうか。そもそもそんな状況下で新幹線はまともに動いているのか(今、日本はまだ夜明け前で始発も出ておらず、JRの公式情報もまだ出ていない)。
 
そして大変困ったことに、私も母も、ダウンコートを成田空港のコインロッカーに突っ込んできてしまったのだった。防寒着なしで(超夏服で!)雪の日の翌日の国内移動だなんて、想像するだけで風邪をひく。名古屋でユニクロに駆け込む?それも……ちょっと、ねぇ。
 
「今、各旅行会社が名古屋行き大阪行きの切符を奪い合いしている状況です」
早くお決めいただかないとその席も無くなっちゃいます!と電話の向こうの担当者さんも焦っていらっしゃる。
 
「……便の振り替えをしなければいけないということでしたら、"明日の成田便"ではダメですか?」
母とろくに相談もせず、思わずそう言ってしまった。
名古屋からの交通費、名古屋で買わなければならないだろう防寒着の事を思うと、帰国が1日延びた方がずっとまし。
 
「……そうすると、ホテルの延泊費をご負担いただくことになりますが……?」
「それで良いです。延泊料金でしたら払います。問題ないです。私たちは成田便で帰りたいです」
「わかりました。ではそれで調整致します」
また追って連絡するので部屋で待っていてくださいね〜……と、電話は切れた。
 
あらまぁ、1泊延びちゃうらしいよ?どうしよう?パンツの替えがもうないよ?……それでもまぁ……良いか。
 
冷蔵品などを詰め込んで最後の荷造りをしようとしていたところ、それを中断して、母と2人、半ば呆然としているところで、再び電話が鳴った。
 
「えー……お客様の便は欠航ということで、それは先程お伝えしたとおりで確定なのですが、本日成田便が1便出ることになりましたので、調整中です。まだお客様が乗れるかどうか、チケットは取れておりません。でもとりあえず、当初の時間通りに空港にお越しください」
ですって。
 
え?やっぱり空港に行かなきゃなの?最後の荷造り中断しちゃったよ?
と、人生10指に入る慌ただしさで、荷ほどきしかけた荷物を改めてスーツケースに詰め込んだ。冷蔵品よーし、PC関係よーし、洗面道具もお土産も、全部よーし。化粧、適当だけど、この際もうどうでもよーし。よし、時間通り。

おっちゃんが語る、エッグスン秘話

とにかく、とにかく空港へ。
 
送迎タクシーでは、日本語な堪能な現地ローカルのおっちゃんが、
「ハワイ楽しかったですかー?」
なんて話しかけてきてくれた。
 
「すっごく楽しかったですよ。でもパンケーキはもうちょっと食べたかったかな……あそこ、今通ったCream Potでは食べたんですけどね」
なんて答えたら、 パンケーキショップ「eggs'n things」のオーナー感動秘話を話してくれた。
 
閉店した(火事だったか移転だったか)店舗に勤めていた古くから勤める10人以上の社員に対し、新店舗準備までの間、
「給料は出せないけど、保険は払うから。皆さんは私の家族同然だから」
と、1人頭月額500ドルほど、1年近くにわたってオーナーが彼らの生活を支えてくれたのだそう。
 
アメリカでの生活は、保険がないと本当に大変。病院にかかることの大変さ、治療費の高さは、私は身をもって知っている(アメリカに住んでいた頃、片目が全く見えなくなるというトラブルに遭遇したのでした……視神経の炎症が原因とのことで数週間で完治したけどね)。
 
その金額は給料に比べると少ないものではあったけれど、社員にとっては本当に助かる存在だったのだそう。オーナー自身も店舗が少なくなっていた中大変だったのに……と、社員の一人がその話をラジオだか新聞だかに投書したのだそうだ。
 
「こんな素敵なオーナーのお店。皆さん、社員を愛してくれるこのお店のためにパンケーキ1皿、食べに来てください」
てな感じに紹介されて、お店は一躍有名に。「みんなでエッグスンのパンケーキを食べに行こう」みたいなブームになったのだそうだ。日本人が大挙して訪れるようになる前の話とのこと。
 
「今はー、アラモワナセンターに新しいオミセ、できましたデショ?今はまだネ、あっちのオミセは空いています。でもニホンのヒトタチは、キチガイみたいにタクサンやってくるからネー?」
「アッチのオミセも、すぐにタイヘンなことになっちゃいますでしょうネー?」
 
「並ぶの嫌いだから行かなかった」という私たちに、ひゃっひゃっひゃと笑いながらおっちゃんが言う。そうなのよ。日本人観光客って、イナゴの大群みたいに同じものに群がる習性があるのよ。食べ尽くすと「次」に行っちゃうのよ。なんででしょうね?
 
「デモね、ショージキなところ言うとネ、あそこのパンケーキは、それほどには美味しくないネー?パンケーキとしては、フツーですヨ、フツー」
とも言っていて、「あ、そうなんだ」と苦笑い。
 
楽しい運転手さんの話で、空港への道のりもあっという間だった。少し心も軽くなった。

6時間遅れの飛行機に乗って

そして空港内の旅行会社カウンター前に集められた、20人くらいの人たち。
 
皆、私たちと同じ便(DL579)に乗る予定だった、この旅行会社経由でチケットを取った人たちだ。
 
「はーい、皆さん、こちらに集まってくださいねー!皆さんの乗る予定だった飛行機は、お伝えしたとおり!欠航!です!」
目の前でおっきく「バツ」のポーズを取りながら、小学生に話すように説明する係員さん。
 
ゆっくりゆっくり単語を切りながらの説明をまとめると、
「本来8:40にホノルルを発つはずだったDL639便(私たちの搭乗予定だった便の1つ前のもの)が、今ホノルルに向かって飛んできている」
「到着するのを待って、およそ5〜6時間遅れになるが、13:50頃、成田に飛ぶことになった」
「臨時便ではないので、DL639便の乗客の予約席はそのまま」
「なので、DL579便からの振り替えになる皆様は、空席に振り分けることになる」
 
……とのことで、渡された母と私のチケットは、20列ほども離れた席。しかも、内側4人席の内側……という、いかにもな「あまりもの」の席だった。
でも、その「あまりもの」の席も、各社争奪だったのだろうなと思う。DL579の乗客全てを受け入れるほどの席の余裕はなかったはずだ。
 
ほんのちょっと、「わーい、延泊だー」と思ってしまったのだけれど、予定通りに「今日中に成田に帰れることになった」のは、色々幸運だったのだろうなと思う。
 
名古屋や大阪に行かなくて済んだのも幸いだし、もともと11:25発予定だった私たちは、待ち時間の追加も2時間ほど。往路の便が雪で遅れたということだったら「ハワイ滞在が短くなっちゃう!」とたいそうやきもきしていたかもしれないけれど、まぁ、帰りの便だし。成田からなら、そう労せず帰宅できるし。
 
ホノルル空港にて。外は土砂降り。 ともあれ、まだ9時を過ぎたところで、搭乗口に来るよう言われている13時まで、まだ4時間ほどあった。
 
一旦搭乗口方面に向かって歩いてみるも、どこの椅子も埋まっていて、カフェの席はあったけれど、4時間座り続けるのはしんどそう。
 
ちょっと離れたところまで空港内を移動してみたら、クッションはついてないけれどゆったり座れるベンチが空いていた。
 
これ幸いと場所を取り、Wi-Fiルーターの電源入れてネットサーフィン。母は免税店を覗きに行き、その後フードコートで紅茶を買ってきて飲んだりしていたら、あっという間に時間も過ぎた。
 
気がつけば外は土砂降り。2時間ほど、たいそうな勢いで雨が降り続いた。今回の旅行中、外を歩いている時には一度も強い雨には逢わなかっただけに「ああ、やっぱり雨季なんだな」と改めて気付かされた。
 
そんな中、飛び立った飛行機も、揺れに揺れた。これまでの飛行機搭乗人生(←そんなに多くないけど……)5指に入るくらいの揺れだった。
 
「揺れてるねー、でももう待てないから、料理の提供、開始しちゃうね〜」
とばかりに、通常より1時間ばかり遅れて食事の提供があったのだけれど(だから食事の提供ができるくらいの、"酷すぎない揺れ"ではあった……ということなのか)、
「揺れますので、揺れてますので、どうぞ、ご注意くださいね〜」
と渡されるカップの中のジュースが跳ねて落ちそうになるくらいの揺れ。
 
本来の出発が朝8時半だったから、ということでか、機内食はかなり「朝御飯」的。選択が「チキン(若鶏のセサミソース仕立て)か卵(スクランブルエッグ)か」というのがなんだか新鮮だった。
 
インド米を添えたエキゾチックな味のチキンのホットディッシュに、フルーツヨーグルト、チーズやクラッカー、パン、ブラウニー……といった内容だったけれど、味なんて全然覚えていない。
 
揺れが激しい時は、テーブル押さえて下向いて
「揺れないで〜揺ーれーなーいーでー!」
と全力で念じつつ耐えて、ちょっと揺れが収まったところで一気に食べる……みたいな。日本の到着は、翌日15日の夕方の予定。時差ボケにならないために、この復路の機中は一睡もせずに頑張って起きていた。
 
そして日本でいう「3時のおやつ」の時間に軽食(ターキーとチーズのサンドイッチ)が出て、夕方6時半過ぎ、無事に成田に到着。
 
その後、
「ゲートが空いていないので5分から10分ほど、滑走路で待機します。皆様席についたままお待ちください」
なんて事になって、最後の最後は
「きゃあぁぁ、あと3分で総武線が出ちゃううぅぅぅぅぅ」
と、コートを入れたコインロッカーがある出発ロビーを全速力で駆け抜ける(母はJR駅改札で待機)なんてことになったりもした。
 
ほんと、帰宅の途が笑ってしまうほどに全体通してドタバタだったのだけれど、めでたく狙いの総武線にも乗れたし(これを逃したら次の電車は30分後……)、大阪の夫の元から帰ってきた息子も新幹線が遅れたりすることなく無事帰宅。留守番の猫も寒い中、元気にしてくれていた。乱暴に詰めこんできたスーツケースの荷物もおおむね問題なし。
 
「ほんと、この旅行は最後が大変だったよね」
と、強烈な記憶を残すことになった最終日だったけれど、旅行は総じて楽しくて、母も私も
「また絶対行かなくちゃね」
と。
 
いいなーいいなーハワイいいなーと言いつつも、笑顔で送り出してくれた息子や夫も一緒に、今度はB級グルメもがっつりと。んでもって、アメリカンステーキもがっつりと。
「ハワイなんて。日本人だらけだし、免税品とか興味ないし、大体時差がきついでしょう?」
なんてマイナスイメージはどこへやら、すっかりハワイが好きになった私たちなのだった。