12月30日(月) 魅惑のチャーシューパイ

09:00、起床。旅行の疲れか、まだ眠い。
明け方ヘンな夢を見ていたように思う。
トイレにバトラーを呼び出す夢である。

トイレやバスタブの横に、バトラーを呼び出すボタンがあるのだが、夢の中で私はとてもこのボタンを押したくなったらしい。呼び出したいが、でも特にトラブルも無かったので、私はトイレのトイレットペーパーを隠すことにした(らしい)。備え付けのトイレットペーパーを全てベッドの下に隠し、便座に座ってボタンを押す。ほどなく血相を変えたバトラーがすっとんできて、私は便座に座ったまま「紙が無いのだ」と訴えると、また顔色を無くしたバトラーは「アイムソーリー、アイムソーリー」と言いながらトイレットペーパーを持ってきてくれ、私は大変満足したのであった。
……てのが夢の内容である。我ながら珍妙な夢であった。そんなにボタンの存在が気になっていたのだろうか(トイレに行きたかった、という説もある)。
この夢の内容をSちゃんに話すと、「面白いから、是非日記に書きなさい」と言われた。従ってこのように記した次第である。

10:15、外出。
路銀の底が見えてきたので、10万円をまた2人して持って恒生銀行へ。
13220ドルになった。先日換金したときは13350ドルだったので、130ドル程損したような感じである。えらい勢いで円安になっているような気がする……がそーでもないんだろーか。僅かなもんだけど、なんだか損した気分……。
帰りに、銀行の周囲にある化粧品屋を散策する。MACの口紅が欲しくてたまらない私。昨晩チェックした「化粧城-メイクアップシティ-(Make-Up City)」という店に入る。MACのテスターが無いので、店員さんに聞いてみると、後ろにあると言う。ナンバーを言って出して貰わなければならないらしい。そんなの、チェックしてきてないです、わからないです〜。とうろたえているとカタログを持ってきてくれた。……JJの特集記事だった。
人気のあるらしい色はやはり無かったりしたが、それでもいろいろ見せて貰って、様々購入。

「化粧城-メイクアップシティ-(Make-Up City)」でお買い物
MACの口紅6本 HK$ 95 /本
合計 HK$ 570

ついつい買い物が長引いて、ホテルに戻ると飲茶の予約時間すれすれになっていた。
11:30、ペニンシュラホテル1階「嘉麟樓-ガーロォンラウ-(Spring Moon)」で飲茶。100人以上は入れるだろう、かなり大きなレストラン。椅子がふかふかで気持ちがいいぞー。テーブルには銀の大きなプレートにボーンチャイナのお皿が2枚綺麗に重ねられている。フランス料理店みたい。綺麗、綺麗。
ポーレイ茶を飲みながらメニューの検討に入る。日本語はないけど、英語で説明がしてあって、なんとなく味の想像は出来る。飲茶のメニューは数はないけど、厳選されたものなのだそうで……。

フカヒレ入りスープ餃子
蝦餃子-ハーカウ-(エビ餃子)
韮菜餃(ニラ餃子)
叉燒酥(チャーシューパイ)
炸帶子角(ホタテ餃子)

を注文。スープ餃子が最初にやってきた。フカヒレがつやつやしているスープの中に、触るととろけてしまいそうな餃子が2つ。美味しいー。やっぱり美味しいー。
ハーカウのエビもはちきれそうにぷりぷりだし、ニラ餃子の風味は豊かだし、揚げ餃子になってる帆立餃子も少しも油っぽくなくて黒酢と絶妙な相性だし。殊に逸品だったのがチャーシューパイで、さっくさくのパイの中に甘く煮たチャーシューの細切れがいっぱいに詰まっていて、悶絶するほどの美味しさだった。おおむね点心は3つずつやってきたが、Sちゃんと私は「あなたはコレで、私はコレを2つ食べるわね。とっても美味しいチャーシューパイは半分個ね〜」と平和的解決が見られた。
これで結構おなかいっぱいになりかけたのだけれど、めげずにデザートも注文。何故か4品もあるが、この際気にしない。

芒果布旬(マンゴプリン)
杏仁スープ
蛋達-ターンタッ-(タマゴパイ)
ゴマダンゴ

マンゴプリンと杏仁スープがまずやってくる。マンゴプリンは色艶鮮やか、昨日の翠園酒家のよりもまた一段とクリーミーで美味しかった。杏仁豆腐のつもりで頼んだものは、杏仁のお粥状のもので、期待と実物がおおいに異なっていたが、うす甘い杏仁のあたたかいスープの中に、あんこが透明な餅でつつまれたものが入っていて、これまた美味だった。
そして、タマゴパイとゴマダンゴである。どちらも直径4cmほどの小さなものが4つずつやってきた。ゴマダンゴは揚げられたものではなくて、ゴマあんがやわらかい餅でつつまれていて、外側にきな粉のような粉がまぶされていた。どちらも大変満足のいく味で、幸せを噛みしめてしまった。
1度してみたかった「ダーパオ(=お持ち帰り)」をここで実践。タマゴパイとゴマダンゴを2個ずつ残して、包んで貰った。ガーロォンラウの箱に入って、綺麗なペニンシュラの紙袋に入れてくれた。かわいい。綺麗。ステキー。

「嘉麟樓-ガーロォンラウ-(Spring Moon)」で飲茶
合計 HK$ 430.1

部屋に戻ると、またきちんとベッドメイクされていて、ウェルカムフルーツがまたちゃんと増えていた。こんどはマンゴスチンも入っている。しやわせ。今日の夜も食べるもの沢山あって、ホテルライフが満喫できる予感。
しばし休んで、Sちゃんと路銀の相談と、今後の相談をする。

13:50、おでかけ。
スターフェリーになかなか乗る機会がないね、という理由で「中環-セントラル-(Central)」へ行くことにする。スターフェリーのチケットは、キャセイの割引チケットの冊子についていた。こんなもんも無料になるとは、楽なかぎりである。
「庶民の交通の足」という印象のスターフェリーは、ほとんど待たずに乗れる位、沢山の便があるらしかった。観光客・地元民入り乱れて船内に入る。10分程度でセントラルに着いた。九龍側よりも道路の幅が狭く、路面電車が走っていることもあってかごちゃごちゃしている。人の多さにくらくらする。
フェリー乗り場のすぐそばに、私の顧客である「香港上海銀行」の本店があった。やたらと近代的なビルで、ビルの真ん中が吹きぬけになっている。かっこいい。思わず銀行の大きな看板の前で記念撮影をする。課長に自慢してやるつもりである。

Sちゃんのリクエストで、次はマンダリンオリエンタルホテルのショップに寄る。ここのチョコレートが美味しいらしい。狭い店内には美味しそうなケーキやらパンやらチョコレートやらがあって、ときめくことこのうえない。チョコレートの高価さに、これは買うのを断念したが(だって、10個程度で240ドルとかするのである)、せめてもとタマゴパイ2つとカットされたパウンドケーキを購入。

「文華東方酒店-マンダリンオリエンタルホテル-(Mandarin Oriental Hotel)のペストリーショップ
タマゴパイ HK$ 9 *2
バターケーキ、マーブルケーキ HK$ 12 *2

Sちゃんはチョコレートショップが気になるらしい。更に隣の「太古大厦-スワイヤーハウス-(Swire House)」内のチョコレート屋に向かう。そんなにチョコ買ってどーするのー。……お土産ですか、大変だなぁ。
フランスのRICHART(リシャール)という名前のチョコレート屋らしい。やたらとアーティスティックな店内でぱっと見にはブティックのようである。 ちまちまと箱に納められたチョコレートにはいちいちイラストやら模様やらがついていて……美しいぞ、かわいいぞ。なるほど、Sちゃんが気になるわけである。私は小さな袋入りのミルクチョコレートを購入。Sちゃんは箱入りのちょっと大きなものを購入。

「RICHART」でお買い物
ミルクチョコ9個入り HK$ 45

美味しかったらまた買いに来よう。アジアでは、ここしか支店がないようだ。
んで、すぐ側にある「畢打大厦-ペダービル-(Pedder Bldg.)」に行く。Shanghai Tangという、中国服チックな服と雑貨の店が目指すところ。ブティック然とした店内はちょっとアッパークラス的でお高めな印象。でも売っているのはチャイナ服。しかしながら野暮ったくなく、とってもおしゃれ。 模様も如何にも中国だけど、縫製はしっかり。これは良いかもしれない。でも会社でチャイナ服着るわけにもいかないし。
というわけで、私は日常に着られそうな長袖のTシャツを購入。キャセイの割引クーポンのおかげで1割引きである。ふふ、嬉しいわ。

Sちゃんは、カシミアのベスト(袖なしで、とっても形が中国チック)が気になっていたようで、私もちょっと気になるブツのひとつだった。でもカシミアだから高くて、ちょっと出費が痛い。3万円のベストじゃ、日本の価格と変わらないー。というのでベストは断念。とえりあえず店を出た。

「Shanghai Tang」でお買い物
Tシャツ HK$ 612

道端の雑誌の露店をちょっと見ると、何やら競馬新聞系がわらわらと売られている。どうやら正月早々、1月1日に何やらレースがあるらしい。カラーの冊子も売っている。Kさんの顔がうかんだので、違う種類らしい2つを買ってみた。……後にホテルで中身を見たら、ほとんど変わらなかった。なんだ、つまらん。1996年9月から1997年6月までの日程表のようである。レースの写真が一杯ついてる。よくわからんが、結構彼は喜ぶかもしれない。

露店でお買い物
RACING BOOKLET 2種 HK$ 8
HK$ 20

疲れたので1旦ホテルに戻ることにする。帰りもフェリーをつかってみた。もうすぐ4時というところだ。
16:05、ホテル到着。
いいかげんおなかもすいた。Sちゃんの提案で、「麗晶酒店-リージェントホテル-(The Regent)」のロビーでステーキサンドを食べることにする。ステーキサンド。なんだかスゴイ。美味しいんだってさー。興味津々。
ペニンシュラから歩いて5分位のところにリージェントホテルはある。ロビーは結構混んでいて、すぐには座れなかった。待つこと10分、海の良く見える席に案内された。2人してステーキサンドを注文。飲み物は私が紅茶、Sちゃんがアイスコーヒー。香港に来て、初めて食べるだろう洋食である。
ステーキサンドは、メニューに「Traditional Steak Sandwich on Oat Bread with sundried tomato ketheup」とあった。トマトのケチャップつき。なんだろ。

空腹に堪えて待つこと10数分、でかいでかい皿に乗ってステーキ様がやってきた。クルミのパンの上にレタスとトマトの厚切りと、結構厚いステーキが鎮座ましましている。ごろごろとしたフライドポテトとサラダも添えられていて、小さな容器にケチャップ色のトマトソースが入っている。ウェイターに「マスタード?ケチャップ?」と聞かれたので、「ノンマスタード、ケチャップ、プリーズ」などと答えたら皿の隅に普通のケチャップを乗せてくれた。皿がとにかく大きい。イッツ アメリカンサーイズってな感じである。
あまり大口あけて手でかぶりつくのもおしとやかではないと思い、フォークとナイフで格闘を試みたが、かなり食べるのには苦労を要した。確かに美味しい。適度に固いクルミのパンは香ばしいし、ステーキのボリュームもたいしたものだし、何といってもトマトのソースがジューシーでたまらない。
軽食の類かと思っていたのに、すっかり満腹である。ポテトの量もけっこう凄かったしねぇ……。

「麗晶酒店-リージェントホテル-(The Regent)」ロビーで夕食
ステーキサンド HK$ 112.0 *2
紅茶 HK$ 44.0
アイスコーヒー HK$ 44.0
合計 HK$ 343.2

食事の後に、Sちゃんが「トイレに行ってみたい」と言い出した。「行きたい」ではなく、「行ってみたい」というのは、ホテルなどのトイレにいると言われる「おトイレおばさん」に会ってみたいからである。色々世話をしてくれて、でチップを渡さなければならないらしい。かくして、ここのトイレにおトイレおばさんはいた。
「プリーズ」とか言いながら、空いている個室を示し、ドアを開けてくれ、用を足した客には洗面台の蛇口を捻ってくれ、タオルを渡してくれる。で、お世話になった客はチップを渡すというものだ。相場は2ドルで良いらしい。やたらと威勢の良いおばちゃんである。
快適なトイレタイムでございました。

食後は散歩もかねて、そばの東急デパートに行ってみる。お気に入りのブランドなんかあったら嬉しいかもしれない。……あった〜。どうしよー。
日本ではなかなか高くて買えないPIERO GAUDIのバッグが山とバーゲンになっていたり、GAULTIERのバッグも服もバーゲンになっているし。「倹約、倹約……」と思い、必死に我慢する。それにしても、PIERO GAUDI、海外だと何故こんなに安いのだ。「野望、1回海外毎に1個のPIERO GAUDIのバッグ」と言ってSちゃんに笑われる。えー、だって野望だよ、これは。うん。
地下の食料品売り場に行くと、お茶の類がまた安かった。これまで見掛けなかったフォートナムメイソンの類がここにはあって、しかも価格は日本の1/2位である。これは……買うしかないでしょう。Sちゃんも、何やらいくつもいくつも抱えている。

香港東急の地下でお買い物
フォートナムメイソンの紅茶 HK$ 86 *2

アッサムとロイヤルブレンドを購入したのだけれど、ロイヤルブレンドって別格に高いんじゃなかったっけ。なんで一緒の値段なんだ、わけわかんないぞ。
デパートを出ると、もう外は夜の景色に変わっていた。デパートの裏あたりから丁度海側が遊歩道になっていたので、そこを散策がてら帰る。夜景がとても素晴らしい。カップルが、人工密度はその比ではないが、有明状態に並んでいる。キスまでしている。ちくしょ〜、悔しいぜ。
悔しいので、Sちゃんと夜景を写真におさめる。
部屋に戻る途中、ペニンシュラのペストリーショップに寄って、キャセイのサービスでもらえるチョコレートを入手する。買うと高そうなチョコレートである。無料でもらえて、幸せ、幸せ。

18:45、部屋に戻る。
ひとしきり、旅行記をまとめまくる。今日はペニンシュラの最後の晩。21時頃からミニオーケストラの演奏があるらしい、The Lobbyに行くことにして、とりあえずお茶を楽しむ。ルームサービスで紅茶を頼む。これは有料らしい。

ペニンシュラのルームサービス
紅茶 HK$ 90

午前中にダーパオしてきた点心と、マンダリンオリエンタルホテルのケーキをつまむ。うむ、美味しい。部屋でお茶も、まったりとして良いものだ。

21:05、The Lobbyに行ってみる。昼ほどお客さんもいなくて、良い感じである。案内されて席につく。特に「ここからロビーです」という風では無く、正面玄関を入った大きなホールに絨毯を境としてテーブルと椅子が並んでいる。正面玄関から入った通路奥に小さなステージがあって、ここでフェスティバル週間にバンドの演奏があるらしい。ステージの良く見える席である。Sちゃんはノンアルコールのホットカクテルを、私はカルバドス酒を使った「カルバドス・ウォーム」という名前のホットカクテルを。カルバドス・ウォームは甘くて飲みやすいけど喉のあたりがほわんとなって、だんだん心地よくなってくる。もしかして、アルコール度、案外高いのかしらん。

21:30から、City Light Orchestraと言う名のバンドが出てきてジャズの演奏が始まった。渋いおじさんが歌なども歌ったりして、優雅な夜のペニンシュラである。
私の頼んだカクテルは存外にきつくて、演奏を聴くためのカバーチャージにサービスでついてくるシャンパンがつくころには、すっかり上機嫌になっていた。重厚なジャズを聞きながら、私達は「夫婦別姓」だの、「家を継ぐことについての考察」など、どうも雰囲気にそぐわない会話をした。Sちゃんは夫婦別姓が良いのだそうである。ちょっと意外に思ったので、そのあたりについて語ってしまった。
ジャズの演奏も終わって、気がつくと22:40である。そろそろ眠くなってきた。しかし……色気の無い話をしていたものだ。

「The Lobby」 でくつろぎタイム
合計 HK$ 540

部屋に帰ると、少しSちゃんがふにゃふにゃしている。酔っぱらったらしい。とりあえず、私からお風呂に入る。MTVをつけながらのんびりする。
お風呂から出ると、Sちゃんは今日買ってきたRICHARTのチョコレートを出していた。見れば見るほど綺麗なチョコレートである。1つ貰って食べてみた。美味。
一見同じチョコレートに見えても、中が微妙に違っていたりして、それがまた良い。チョコの箱の中に冊子が入っていて、「この柄はこういう味」という説明がしてある。……すごーい……。必ずもう1回行って、もっと大きなチョコレートを買おうと決意する。

そういえば、冷蔵庫にまだ豆腐花と、あとウェルカムフルーツも片付けていないのであった。果たして明日のチェックアウトまでに食べられるのであろうか。
明日の朝食は、ペニンシュラの1階(日本で言うところの2階にあたる)にある「The Verandah」というレストランで食べることにしている。せっかくペニンシュラにいるんだから満喫しないと。もうすでに12時になろうとしている。そろそろ寝ますか……。