2月28日(土) 白い恋人、美味しいフレンチ

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ホテルで朝御飯

今回宿泊のホテルは、札幌駅北口出てすぐのところにあるルートイン
数週間前に急遽決めて行くことにした北海道旅行だったので、とりあえず安いところをと探してここにしてみた。「ファミリーダブル」なる、セミダブルベッドが2つ連結された、夫婦+子供1〜2人が並んで寝ることのできる部屋がある。家族で1泊11800円とかなりお手頃価格で、しかも朝食は無料、館内の大浴場も利用可能、無料で使えるLANポートつき。
部屋はかなり狭くかったけれど、天井に蛍光灯がついていて部屋は明るく、何しろ札幌駅まで徒歩数十秒というのがとても便利だった。

で、朝食はホテルのバイキング。
選択肢はさほど多くなく、パンも用意されてはいるけれど全体的に和食ベース。それでも今日はパンが食べたい気分だったので、和風のおかずも合わせてあれこれ盛ってきてつついた。

食パン1/2切れとクロワッサン、スクランブルエッグとベーコン、じゃがいものカレー風味炒め、サラダと牛乳とオレンジジュース。
ここまでは美しく洋食の組み合わせになったけれど、更に肉団子の和風煮、サンマの煮物などを持ってきてしまって、全く統一感のないトレイになってしまった。味の方は、まぁ、そこそこ。「北海道だから」とい気分がそう感じさせているのかもしれないけれど、牛乳が美味しいなあと思ってしまう。

食事しながら「今日、どうしましょう?」と話し合い。
朝から雪がモツモツと降っていて今日もそれなりには寒くなりそう。息子の目は「ゆきー!」と輝いていて、
「当初の予定通り小樽に行ってみる?」
「小樽だと息子が楽しめるものがないかなぁ……」
と、息子も楽しく過ごせるところをと話し合いした結果、今日もベタな感じの札幌観光をしようじゃないかということに。

ベタと言いつつだんなも私も一度も行ったことのない、クラーク博士の像を見に行ったり、「白い恋人」の工場見学に行ったりしようと決めた。クラーク博士像のある羊ヶ丘展望台は、ここなら息子が思う存分雪遊びができるんじゃないかという期待も少々。

そこら中が甘い匂い〜「白い恋人パーク」

今日は土曜日、週末のみ使える地下鉄一日乗車券「ドニチカ」なるものを利用することができる。
500円で地下鉄全線乗り放題、結果として、午前中だけで充分元が取れることになってしまった。今日は一日地下鉄で移動していたから、とってもお得だ。
白い恋人パークの工場見学、続々とクッキー生地が焼き上がってきていました

東西線の端っこの宮の沢駅から徒歩5分ほどのところにあるのが、白い恋人パーク

あの北海道銘菓「白い恋人」の工場見学ができるらしい。ちらっと軽く工場見学するだけのつもりだったのだけれど、色々遊べるものもあり、その場で申し込んで参加できるクッキー制作体験講座もあり、午前中みっちり楽しんできてしまった。
私と息子がやってみたのは「焼き」の工程から体験できる「私の白い恋人体験」(1枚1050円)。
ずらりと並ぶ「白い恋人」、これから包装します

体験講座は数十分後からのスタートということで、まずは工場見学を。

ガラス張りの上階から階下の工場を眺めることができる。そこら中にクッキー生地の焼ける甘い匂いが漂ってきて、その匂いだけでお腹が空いてきてしまいそう。

見事に機械化されていて、流れるように大量の「白い恋人」が焼かれてサンドされて包装されていく過程はなかなか壮観なものだった。
入館時に試食品としてもらった「白い恋人」も早速もぐもぐ。そうそうこの味、という、私とだんなにとっては馴染み深い味、そういえば息子は初めて口にするお菓子であったらしい(北海道土産といえば、いつもマルセイバターサンドの方を買っていたからねぇ……)。「おいしい!このお菓子おいしい!」と大喜びだ。

ではその、すんごく美味しかったお菓子を自分で作って持って帰りましょうかと、体験ブースに足を向けた。
焼きたてのまだ熱い生地を持ち上げて、ホワイトチョコを挟みます

帽子とエプロンを着用し、靴カバーもつけて、手をしっかり洗ってからまずは生地作り。
ハート型の型に柔らかいペースト状のクッキー生地を平らに敷いてから機械を通して均一の厚さに薄く広げ、オーブンで焼くこと10分。焼けたら軍手をした手に金属ヘラを持ってそっとすくったら、既にハート型にカットされたホワイトチョコをサンドする。

直径15cmほどはありそうな、大きなハート型の「白い恋人」を作ったら、最後にホワイトチョコで気持ちの赴くままにデコレーション。「チョコは案外絞りにくい」ということは重々知ってはいたけれど(砂糖のアイシングよりも粘って伸びる感じでやりづらいのよ)、案の定大変に苦心した。

「何描いても良いんだよ、私はとりあえず練習がてら周囲に模様を描こうかしらねー」
「じゃあ僕、"物欲センサー"って描いてもいい?」
「……なんでまた、そんな言葉を……」
そんなことわいわい言いつつ、「お子様1人に大人の方1人付き添いで入れます」とのことでだんなも一緒に作業場に入ってカメラを構えてくれて、息子と2人にょろにょろと怪しい造形を楽しんできた。
これから箱詰め。息子の「物欲センサー」クッキーはなんだか前衛的な模様

模様を描いたら15分ほど冷やし、チョコが固まったら厚紙にクッキーを乗せてから「白い恋人」模様の大きな袋に詰め、機械で綴じたら箱詰めして完成。簡単ながらなかなか面白く、良いお土産になった。

観光バスが次々とやってくる雰囲気の売店は早々に抜けて、屋外の広い庭を少しぷらぷら。
幼児向けの、おままごと遊びができそうな小さな家(大人は入れないサイズで息子の身長でもすでに窮屈、2歳くらいの子が中に入って椅子に座ったりベッドに寝たりできそうなサイズ)が1階建て、2階建て(ちゃんとはしごがついて2階にのぼれる)いろいろと十数棟並んでいる。
入り口近くにあった雪山のスライダーの方に息子は大興奮で、タイヤ型のソリに乗っては何度も何度もツルツルと滑って遊んでいた。

楽しげに何度も遊ぶ息子を、「じゃあ一眼レフで撮ってあげるー」と、それまで手にしていた小型のデジカメを鞄にしまって一眼レフに持ち替えて……としていたのだけれど、うっかりここで私は小型デジカメを雪の上に落としてしまっていたらしい。帰り道、駅に着いてからバッグの中にもコートのポケットにもカメラが入っていないことに気付いて、「あの時だ!」と急ぎパークに逆戻り。

最新モデルでもない使い古しの傷だらけのデジカメとはいえ、観光客がたくさんいたことだし、悪意のある人に拾われていたら持って行かれちゃうかなと半ば覚悟していたのだけれど、幸いデータもそのままの落としたままの状態で受付に届けられていた。良かった良かった。顔も名前も知らない親切な方に感謝。以後気を付けます……。

一度はラーメンも食べておこうと〜「初代」

せっかくの北海道、北海道ラーメンも一度は食べておきたいところ。
でも、今日の予定は最後まで決まらなかったし、わざわざ遠くまで足を向けて食べることもないかなぁとさほど下調べはしていなかった。幸い、札幌の駅ビル内には「札幌ら〜めん共和国」があり、10店舗ほどの北海道ラーメンのお店が軒を連ねている。立地も便利、ここに行ってみましょうと札幌駅に戻ってきた。

各お店はそれぞれ特色があって、どのお店も美味しそう。札幌豊平区に本店がある「白樺山荘」もかなりの人気らしく行列ができていたけれど、こちらは都内のお台場にも出店していて、味もそれほど大きくは変わらないと聞いた。

小樽が本店の「初代」も美味しいですよと聞いていたので向かってみたところ、息子が大好きな醤油ラーメンが基本のお店ということもあって息子が「ここがいい!」と。味噌ラーメンもあるし、小さな名物らしい「チャーマヨ」も気になるしで、ここに入ることにした。
「初代」のチャーマヨ。ほのかにあったかい御飯が良い感じ。

午前中はお疲れさまでしたー!と、落としたデジカメを探しに駆け足で白い恋人パークに戻ってくれただんな(私と息子はそんなだんなに追いつけずに早歩きでパークを目指していた)をねぎらいつつ、ビールとチャーマヨ、各自種類を変えてみたラーメンを注文して一休み。

「チャーマヨ」は海苔の上に軽く御飯を盛りつけ、マヨネーズで和えたチャーシューを乗せたもの。「おにぎり」とは違う、ゆるい感じのそのチャーシュー乗せ海苔御飯は、ビールの良い肴に。ビールに添えられて出てきた、甘辛味のチャーシューの小鉢も柔らかでとっても美味しい。
でっかいチャーシューが素敵な、濃厚味の醤油ラーメン

ラーメンは、息子がこの店の基本の味らしい「醤油」に海苔トッピング、だんながこの店舗限定なのだという「新味噌」にバタートッピング、私は「1日限定50食限定」の「白たまり醤油」に煮卵トッピングで。

やってきたラーメンは、私のものだけ麺がやや細め。だんなと息子のどんぶりには、けっこうな太麺、もっちりとした口当たりのものだった。肉系の味と魚系の味、両方がバランス良く感じられるスープが全体的に濃厚なもので、でも脂っこくない。スープそのものが美味しいからだろう、醤油も味噌も、どれもとても美味しくて大満足。

私の「白たまり醤油」が、3つの中では比較的あっさり味な方で、塩ラーメンに通じるような旨味がある。味噌ラーメンには炒めた肉と野菜が入っていて、野菜の甘さを感じた。
こちらは私の「白たまり醤油」。醤油ラーメンと色が全然違います。

どのラーメンも、トッピングは刻んだ長ねぎと海苔とメンマ、そしてチャーシュー。
私のチャーシューは、細く切って軽くタレと絡めたような感じのが乗り、息子とだんなのにはどんぶりを覆い尽くすような勢いの大きなサイズのチャーシュー。とても柔らかい、口の中でとろけていくようなチャーシューだった。

どのラーメンも好きな味だったけれど、「もう一度食べるならどれを選びたいか」と聞かれたら、醤油かなぁと思う。

札幌中央区 「札幌ら〜めん共和国」内「初代」 にて
チャーマヨ
白たまり醤油ラーメン
 煮卵トッピング
新味噌ラーメン
 バタートッピング
醤油ラーメン
 海苔トッピング
生ビール
\220
\890
\100
\820
\100
\780
\100
2×\450

雪にまみれてきました〜「羊ヶ丘展望台」

一面の雪景色、モノトーンの世界 ラーメンを堪能した後は、地下鉄東豊線に揺られ、今度は東豊線の端っこの福住駅を目指した。
乗り放題の「ドニチカカード」が大活躍で、福住駅を降りてからは路線バスに乗って羊ヶ丘展望台を目指した。

雪の展望台に行く人はそうそういないのじゃないかなと思っていたけれど、展望台の飲食店などはちゃんと営業していたし、客足もちらほらと。
雪の季節は雪の季節で、「歩くスキー用具」「スノーシュー用具」といったものを無料貸し出ししてくれていて、雪原を歩いて楽しめるイベントが用意されていた。
数度目の北海道だけれど、今回初めて生で見たクラーク先生像

羊ヶ丘展望台といえば、クラーク先生。

「少年よ大志を抱け」の有名な像の下には、「大志の誓い」の保存箱があった。
100円で専用用紙を購入して「大志の誓い」を納めると、観光協会が永久保存してくれるとのこと。その誓いは、後日投函の年月日や名前を伝えることで対面することができるのだそうだ。
寒いのか、羊たちがみしーっと集まって固まってました

他の見所といえば、あとは「羊」?

一面の雪景色の草原の風景は美しく、夏はその草原に放牧される羊たちは、木の下のあまり雪のない囲いの中でまとめられていた。寒いのか、あまり動かずに密集してじーっとしている。

羊はもさもさしているものだけれど、冬の北海道の羊は輪をかけてもさもさしているように見えた。分厚い羊毛布団を巻きつけているようなものだから、人間が着ている防寒着よりもずっと暖かそうだなと思ったり。

スノーラフティングもやってみた。
1人500円のスノーラフティングは、スノーモービルに引っ張られるボートに乗り込み、雪原の専用コースをぐるぐると3周ほど引っ張ってもらうというもの。webサイトでこの案内を見て、「これ、やってみたいかも」と思ったのが、ここに来た理由の一つだった。
スノーラフティング。これに乗って引きずり回されまーす。

これが思った以上に楽しく、遊園地の乗り物並の面白さ。コースには適度な凹凸がつけられていて、緩急をつけてスノーモービルがうまいこと引っ張ってくれ、雪の急斜面を斜めになって駆け上ったり、凹凸の上をぼんぼん跳ねたり。絶叫マシン系は苦手な息子も「これはもう一度乗りたい!」というほどに楽しかったらしい。

スノーラフティングの乗り場の隣には、小さな雪山が作られていて、ソリで遊べるようになっていた。他にそこで遊ぶお客さんもさほどおらず、息子が猛烈な勢いで遊びだす。ツルツルと100mほど滑っていってはソリを持って雪山を駆け上がり、また滑っては駆け上がり……と息子の動きが止まらなくなってしまった。
「寒いから、私たちはそこの売店に入ってるからねー」
と、雪山が見える場所にベンチがあったのを幸いと、屋内から息子を眺めつつ、売店でホットミルクやコーヒーを買ってきて大人は一休み。

特に何がある、ってところではなかったけれど、「そこら中が雪」という北海道の冬らしい風景を満喫できて楽しかった。
思いのほか、この展望台でのんびり過ごしてしまって、他に寄り道することもなく(展望台が退屈で早く戻ってくることになったら、福住駅が最寄りにあたる札幌ドームにでも行こうかと話していた)夕方ホテルに帰還。

札幌駅でデパ地下に寄って「六花亭」で息子好物のバターサンドと、今回初めて買ってみた"霜だたみ"(チョコ味のパイでモカクリームをサンドしたお菓子)、あと「LeTAO」で冷凍のチーズケーキ"パフェ・ドゥ・フロマージュ"のハーフサイズをお土産に買ってみた。ホテルの部屋の冷凍庫に出発直前まで入れておいて、そのケーキ自体を保冷剤代わりにして冷蔵食品まとめて持って帰れるかなと算段……。

他にもデパ地下には美味しそうなお菓子が溢れていて、「北菓楼」の開拓おかき(道産の魚介味の、帆立や甘海老などの味のおかき)と、昨日見かけた同店のバームクーヘンなどもすんごく美味しそうだったのだけれど、「そんなにお菓子ばっかり買ってどうするのー」と、断念。帰宅してこの旅行記まとめつつ、「やっぱりおかき買ってくれば良かったー」と後悔中。おかきは通販もできるようだし、ちょこちょこ都内デパートで催される物産展にも来ているようだから、見かけたら今度こそ買ってみようと思う。

札幌市中央区 「大丸」 にてお買い物
六花亭」の
 マルセイバターサンド 20個入り
 サクサクカプチーノ 霜だたみ 4個入り
LeTAO」の
 パフェ・ドゥ・フロマージュ ハーフ
 
\2300
\440
 
\1575

お値打ちな美味フレンチ〜「French Restaurant KAZAMA」

ホテルの部屋で1時間ほど休憩した後、夕食にと赴いたのは「French Restaurant KAZAMA」というフレンチのお店。

札幌のフレンチレストラン、イタリアンレストランなどは、都心に比べてとってもお値打ちなのだという。客単価が高すぎる店はなかなか受け入れられないということで値段は抑えめ、でも美味しいお店が多いのだとか。新鮮で美味しい道産の野菜や魚介、肉類が使われているメニューは魅力的なものが多く、滞在中一度はそういったお店に、と思っていた。

調べてみたら美味しそうなお店はたくさんあったのだけれど、以前、「ここが美味しいです」とお勧めいただいたことがあった「KAZAMA」に初志貫徹で予約を入れてみることに。公式サイトに掲載されていた、季節の前菜として供されている「海の幸盛合せプラトー」が美味しそうで美味しそうで、「これを食べたい、食べてみたい」と、それがこのお店にした一番の理由だった。

子供を連れて行くには少々緊張する雰囲気に思われたのだけれど、予約の際に子供がいることを伝えて「アラカルトでメインディッシュとデザートを当日選んでいただくという感じでも良いでしょうか」と相談してみたら快くOKしてもらえ、混雑する時間にならないうちにと早めの時間に予約を入れてもらった。「海の幸盛合せプラトー」はアラカルトの他、8400円のディナーコースの前菜にもなるということだったので、これもまた事前にお願いしておいた。

すすきのの隣の駅、「西11丁目」駅から歩いて5分ほどのところにあった小さなお店。4人がけテーブルが4つか5つかといった小さなお店で、厨房のご主人とフロアの奥様、2人で回しているお店らしい。到着してしばらくすると店は満席に近い状態になり、きっちりスーツを着た男性客やお洒落した女性客の姿もあって思った以上に落ち着いた客層。騒ぐ年齢ではないとはいえ、息子連れで伺ったのは少々申し訳なかったかなと思いつつ、2時間半ほどのディナーコースをしっかり堪能してきた。
なんとも幸せな味だった「海の幸盛合せプラトー」

  • アミューズ・ブーシュ
    最初に出てきた軽めの前菜は、生野菜に生ハムを数切れ添えた、サラダ仕立ての皿。

  • 海の幸の盛合せプラトー
    大きな銀の盆に盛られてやってきた待望のプラトーは、厚岸産の生牡蠣、ムール貝、手長海老、ずわい蟹、帆立の殻に盛られたシーフードマリネの盛り合わせ。中央にはエシャロットソースとカクテルソース、そしてレモンも添えられていた。

    プリップリの大きな牡蠣が6個も盛られ、小ぶりの濃厚な味のムール貝も山ほど。蟹の足や爪の脇には立派なサイズの手長海老。クラッシュアイスの上に盛られた魚介はどれもひんやりと冷たくて心地よい食感だった。前菜でこんなに立派な牡蠣が一人3個というのも素晴らしいけれど、この迫力の前菜はアラカルトでいただいてもたったの3000円。

    「都心で食べると、牡蠣だけでも普通に2500円くらいになったりするよね」
    「これで3000円はあり得ないよね」

    と感動しながら、だんなと山分けしながら平らげた。
    自家製のカクテルソースが、素晴らしくバランスの良い味で感動。海老や蟹にどうぞ、と勧められたものだけれど、ついつい牡蠣にも添えつつ食べてしまった。爽やかな酸味のあるエシャロットソースもまた、牡蠣によく似合う味。
    八角と真ダチのポワレ。奥の白子が、もうなんとも幸せな味でした。

  • オニオングラタン・スープ
    スープは2種類からの選択で、コンソメスープかオニオングラタンスープか。
    ココットケースに入れられてオーブン焼きされた状態で出てきたグラタンスープは、基本にのっとりチーズとバゲットが浮かんでいるもの。
    しっかり炒められた玉ねぎの甘さを感じる上品なスープ、コースの中でいただけるとは思っていなかったので、大好物なものがここでいただけてとっても嬉しかった。

  • 八角と真ダチのポワレ 種マスタードソース
    「八角」は北海道の地魚(最近は関東などにも広く出回るようになったそう)で、カサゴの仲間の魚らしい。「タチ」とは北海道特有の表現で鱈の白子のこと。「真鱈の白子」は「真ダチ」「真タチ」と呼ばれている。

    こんがり焼かれた、脂の乗った白身の切り身が2つと、これまたこんがりと焼かれた真ダチが盛られ、真ダチの下には青菜のソテー。色鮮やかなクリーミーなソースはほのかにマスタードの香りで、でも辛さはほとんどなく優しい味がした。

    馴染みのあるマスタードがベースのソースなだけに、素材の美味しさがひときわ鮮明に感じられる印象の皿で、ほろっと崩れるような白身の魚も美味しかったけれど、それよりも白子が!ぷりっぷりの白子が!昨夜のそれも美味しかったけれど、こちらもまたうっとりするほどに美味しかった。とろりととろけて生臭さはかけらもない。
    鹿肉って美味しいんだなぁ……と改めて思わせてくれたメインディッシュ

  • アプリコットのグラニテ
    口直しのグラニテは、一口サイズのアプリコットのソルベ。ほんのりと洋酒の香りがした。

  • 白糠産エゾ鹿ロース肉のポワレ 赤ワインソース
    2種類から選ぶ肉料理は、この道内の白糠(しらぬか)産の鹿肉か、皮つきの乳飲み仔豚との選択だった。
    「これは、鹿だよねぇ」
    「これは、"別々の料理にします"って言えないよねぇ」
    とだんなと顔を見合わせて、「鹿にします」とマダムに伝えた。

    選択できるコース料理の時は、あえてだんなと私で違う皿を選んだりする(で、料理を少し交換する……)事もあるけれど、今日のオニオングラタンスープと鹿肉のポワレは「これは交換したくない、自分一人で堪能したい」とばかりにだんなと私は同じ選択。
    マダムも「そうですよね、せっかく北海道にいらしたのだから鹿肉が良いですよね」と笑っていた。

    手のこんだ温野菜もたっぷり添えられていた皿には、見事なロゼ色の鹿肉が2切れ。黒毛牛の赤身を彷彿とさせる肉は筋っぽさなどかけらもなく絶妙の柔らかさ。柔らかいだけの軟弱な歯触りではなく、歯を押し返してくるような弾力もある。羊肉とはまたちょっと違う鹿肉独特の匂いもそれなりにはあるけれど、それもまた下品ではなく、野趣をほのかに感じさせる程度。正直、これほど美味しい鹿肉を食べたのは初めてだった。

    ちなみに息子はアラカルトメニューから、フォアグラ入りの和牛肉ハンバーグを選んで食べていた。
    これもまた、巨大なフォアグラがごろりと入ったなんともゴージャスなもので、なのに1皿2000円。大変にお安くて、これもびっくり。

  • ココナツのブラマンジェ ハチミツのアイスクリーム
    デザートは、5種類ほどからの選択で、メインディッシュ後にメニューをいただいて選ぶようになっていた。私は「ココナツのブラマンジェ ハチミツのアイスクリーム」、だんなは「クレームブリュレ アールグレイティーのアイスクリーム」、そして息子は単品の注文で(1皿500円なのだそう)「りんごのタルト マンゴーのソルベ」を選んでみた。

    ブラマンジェは、今にも崩れてしまいそうなほどの柔らかな、滑らかな舌触りの濃厚なもの。ほのかにハチミツの香りが漂うアイスクリームも、どちらもとても上品な味。最後のデザートまで手抜きのない締めくくりに大満足だった。

  • エスプレッソ、プチフール
    食後の飲み物はエスプレッソをいただいた。
    食卓の中央に出てきたプチフールは、薄紙でキャンディ型に包まれたスティックタイプのチーズケーキ。さすがにお腹がいっぱいで、ケーキはお土産に持ち帰らせてもらった。レーズン入りの、クリームチーズベースの素直な味のチーズケーキは後で私がおやつに美味しくいただいた。

使うべきところはしっかりとバターもクリームも使っていて、でも全体としてはギトギトした感じが残らなかったフランス料理に大満足。
シャンパン1本いただいて空にして、息子の分のアラカルト料理もいくつか注文して、それでお会計は27000円弱といったところ。
「都心で食べると、コースが8400円なら最後のお会計は大人2人で普通に3万円超えたりするよね」
びっくりだびっくりだー美味しかったーと、料理のクオリティの高さ、素材の良さ、お値段のバランスとにひたすらびっくりした今日の夕御飯。昨日もびっくり、今日もびっくり。

で、雪を踏みしめ踏みしめ駅まで歩いて、地下鉄に乗ってご機嫌でホテルに戻ってきた。
また札幌に来る機会があったら、「一食は絶対フレンチを食べましょう」ということになってしまいそう。

札幌市中央区 「French Restaurant KAZAMA」にて
ディナーC
アラカルト(メインディッシュ)
アラカルト(デザート)
シャンパン(Daniel Collin Brut TraditionNV)
2×\8400
\2000
\500
\6500