7月21日(月) 高雄歩きと初熱炒

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世界一の駅と老舗紅茶屋と〜「美麗島站」「老江紅茶牛奶」

高雄2日目の朝は、地下鉄に乗って「美麗島站」に。
 
改札前にある、"Maestro Narcissus Quagliata"(中国語名:水仙大師)による、祈りを表現したパブリックアート、「光之穹頂(The Dome of Light)」と題したステンドグラス作品が美しいこの駅。
 
実際、世界で一番美しい駅と称されてもいるらしい。見る角度によって雰囲気の変わる、とても美しい駅だった。
 
日本は海の日の休日だけれど、こちらは平日。朝6時半といった時間帯では人影もほとんどなく。
 
そして朝食は、老舗の紅茶屋さん「老江紅茶牛奶」でいただくことにしてみた。
 
創業は1953年、台湾南部で当時でも珍しかった24時間営業を始めたお店なんですって。
 
創業当時はミルクティーのお店というよりも、"朝食屋さん"というスタイルだったものの、常連さんが「ここの紅茶は本当においしい、牛乳を入れてみたらどうだろう」などと助言した結果、有名な"紅茶牛奶"が出来上がったとのことで。
 
メニュー、こんな感じ。
 
こっちのメニューでは"紅茶牛奶"が一番上で、その下が"老江紅茶"。
 
壁に貼られていた日本語併記のメニューだとこの表記が逆で、しかも紅茶牛奶の説明が"紅茶ラテ"だったものだから、なんとなく、普通の老江紅茶を2人して頼んでしまったのだった。
 
1人はミルクティーにすれば良かった。ちょっと失敗。
 
蛋餅がおいしいと聞いていたので、夫はハム、私はチーズ。
 
表面がうっすらカリサクとした食感で中はふわりと柔らかく。
 
そして、茶葉と氷と水と砂糖の量に大変なこだわりがあるという紅茶は、苦さを感じるくらいにすごく濃厚、そしてすごく甘かった。
 
ミルクティーの方は結局、午後の散策の流れで買って飲むことができたのだけど、ミルクティーの方が口に合うなと思うことになった。
 
普通の紅茶より、むしろミルクティーの方が甘さが控えめな感じがして。
 
そして卵と言うよりもミルク味濃厚なねっちり味の蛋撻、"經典原味台式蛋塔"は、さすが牛奶を店名に関する店の蛋撻という感じで、これがまたおいしかったのだった。

高雄 美麗島站 「老江紅茶牛奶」にて
火腿煎蛋
起司煎蛋
經典原味台式蛋塔
老江紅茶(大)
NT$55
NT$59
2×NT$37
2×NT$50

朝のホテルラウンジ

そして一度宿に戻り、せっかくだから無料でいただけるラウンジ朝食も見ていきましょうかと、上階のラウンジに寄り道して。
 
うずらや厚揚げ、ミートボールが煮られた滷味があったものだから当然のように貰ってしまい、そして今朝のお粥は筍絲豬肉粥。
 
更に手書きのポップな札がついていた「CHEF'S SPACIAL」 はいかにも濃厚そうなCreamy truffle Soupということで、これも数口分だけ貰ってみた。
 
台湾香港あたりだと、朝食から「どこにおいしいもの食べに行こう!?」とそわそわしてしまうから、本当、ホテル朝食が要らなくなってしまうという。
 
果物はグアバ(ごりっとしてた……固渋かった……)とドラゴンフルーツ(しっかり熟している風ではあったものの、やっぱりそんなに甘いものではなかった……)、そしてパイナップル(これは美味!)。
 
更にこれも甘くておいしかったスイカと、いかにも南国的な品揃え。でも残念ながら好物のマンゴーとライチは無かった。
 
そして興味津々、"LCA506"という名前の、ヤクルトっぽい乳酸菌飲料も飲んでみたりして。これ、おいしいな。

港の橋と倉庫街と〜「駁二藝術特區」

今日はどうにも天候に恵まれなかった1日で。
 
ホテルからほど近いところに路面電車「高雄環状軽軌(高雄LRT)」の駅があり、せっかくだからとこれに乗って港の方に行ってみることにした。
 
地図、赤とオレンジが地下鉄で、緑が路面電車。こんな感じに環状線。
 
ホテル最寄りの駅は一番上で、港があるのは10駅くらい先らしい。
 
あと〇分で電車が来ますよという表示を見つつ、やってきた電車に乗り込んだ。
 
ラッピング広告つきの電車、しっかり日本語で「高雄フルーツ祭」などというイベント名が記されていたりして。
 
感覚は、香港のトラムというか、荒川都電というか、住宅街の中を専用レーンで走って行くところとかは江ノ電(は路面電車じゃないけど)とか、そんな感じもあったかも。海の近くを走ってもいたし。
 
というわけで、最初に辿り着いたのは、「大港橋」。
 
台湾全土で初めての水平旋回景観橋梁かつ、アジア最長の港を跨ぐ旋回橋でもあるんですって
 
ショー的に、定期的に実際動かしてもいるようで、けど今回はタイミングが合わなくて見ることは叶わなかった。
 
橋のこっちとあっちにあるのは「駁二藝術特區(The Pier-2 Art Center)」。
 
本当にあいにくの空模様で、時々は笑っちゃうほどの土砂降りになってしまったりもして。
 
"高雄で訪れるべきフォトジェニックなアートセンター"なのだそうで、古い倉庫街に芸術の息吹を吹き込み、アートセンターとして再生したエリアなんですって。
 
各種パブリックアートがあったり、雑貨屋さんがあったり。
 
月曜の今日は案外と閉まっているお店も多くて、エリア全体、思った以上に閑散とした雰囲気ではあった。
 
世界中インバウンド客が溢れていると聞くけれど、そういえば今回の台湾旅行、日本人の姿を見ることもそれほどには無かったな。
 
日本語通じないのはともかくとして(通じたらラッキーくらいのもので)、英語も通じないか、そっかー、みたいなお店が多かった気がする。それで全然良いのだけども。
 
というわけで、倉庫街で出会った猫さんを、ぱちり。
 
ここでの収穫は、欲しいと思っていた「高雄熊」グッズ。
 
見た目がもう相当に、某熊本のキャラクターと血縁関係にあるとしか思えない高雄熊は、高雄の公式キャラクター。
 
そもそも台湾は熊キャラクターが少なくなくて、中華民國交通部觀光局の公式キャラクターは"喔熊"だし、台北市のマスコットは熊讃だし。
 
しかし高雄熊は、まあまあくまモンだよねと笑ってしまいつつ、主張の強いマグネットをお土産に買うことにした。
 
とってもかわいい。

創業65年の鴨飯屋さん〜「鴨肉珍」

しかし今日は本当に天気がいかんともしがたい中。
 
食べるもの食べてホテルに戻ろうか……、と、足びしょびしょにしながら歩いて移動し、鴨御飯がとてもおいしいらしい「鴨肉珍」というお店に行ってみた。
 
1950年代創業で、65年以上続く、ローカルにも観光客にも愛される店で、昨夜の店同様、"ビブグルマン"選出店なのであるらしい。
 
壁のない、路上から店内まで吹き抜けのあるあるなスタイルで、店頭にはずらりとお客さんが並び、テイクアウト客も多いみたい。
 
行列先のカウンターで注文して席に座っていれば料理を持ってきてくれるようだった。ここは後払い方式(←この、店毎のお作法の見極めが大変で、都度、夫が頑張ってくれていた)。
 
小サイズの鴨肉飯(これが名物)が2つと、これも注文必須とネットで見た、名前がすごい"綜合下水"2人分で合計NT$170だったみたい。
 
鴨肉飯は、肉燥飯の上に鴨肉が乗っている風なものだった。
 
甘さ若干控えめな肉燥飯がそれ自体、とってもおいしいもので、その上(というかその下?)にスライスされた焼き鴨が乗っていて。
 
もう間違いない感じの美味しさの肉燥に、鴨肉まで乗ってるとか反則でしょう。もう絶対おいしいものだから。
 
けどむしろ、特筆すべきは"下水"のおいしさだったと思う。本当、日本人的には酷いネーミングなのだけど。
 
生姜の効いたクリアなスープに、心、肝、胗、腸(つまりハツ、レバー、砂肝、腸)がたっぷり入っているというもの。
 
写真はこれで2人分で、セルフサービスで客席端に積んである食器コーナーから適当に碗をレンゲを持ってきて取り分けながらいただいた。
 
臭みもなく、どの具材もぷりっぷりで、すこぶるおいしい。
土砂降りの中、足びちゃびちゃにしながらも来て良かったな。大満足。

高雄 鹽埕埔「鴨肉珍」にて
鴨肉飯(小)
綜合下水
2×NT$60
2×NT$25(多分)

おばあちゃんのかき氷屋さん〜「高雄婆婆冰旗艦店」

で、せっかくだからと、高雄名物、"おばあちゃんのかき氷屋さん"、高雄婆婆冰旗艦店にも寄り道を。
 
こちらは旗艦店、少し離れたところに創始店もあるそうだけど、駅が遠くなるよりはとこちらの旗艦店に入ることに。
 
1934年創立、日治時代から続く老舗で、伝統的な"古早味"が人気だそうで。
 
普通にマンゴー氷などもメニューにある中、ここはやっぱり伝統的な煮豆が乗ってる風なものが食べてみたいと、"全部盛り"みたいな品を頼んでみた。
 
普通の冰だとNT$75、雪花冰にしたらNT$100。
 
伝統的な味だったらミルク氷じゃない方が良いのかなとも思ったのだけど、台湾のミルク味かき氷はめちゃめちゃおいしいものだし、そも、"小豆+練乳"とかも普通においしいものなので、いけるでしょう、と雪花氷でオーダーした。
 
紅豆に緑豆に芋泥(タロイモ)、上に乗ってるのはイチゴジャムと、李鹹(プラムの砂糖漬け)、スターフルーツ、パイナップル、青マンゴーといったところ?
 
本当に、メニューにある具材全部盛りという感じ。
華やかではあるものの、なんだかすごい絵面でもある。
 
でもこれが全体優しい甘さで、ミルク氷と煮豆の調和も悪くなく。
 
そもそも日本人はあんこ慣れはしているから、緑豆だとかタロイモだとかの、甘い豆も甘い芋も全く違和感は無いのだった。
 
それよりも、プラムの砂糖漬けだったり、他の諸々もおそらくは砂糖漬けになっていた、スターフルーツだったり青マンゴーだったりがちょっとドライフルーツのような食感にもなっていて面白かったし、おいしかったな。

高雄 鹽埕埔「高雄婆婆冰旗艦店」にて
招牌綜合冰(醃製)雪花冰
NT$100

昔ながらの鳳梨酥〜「舊振南餅店」

相変わらずの雨の中、一旦ホテルに帰りましょうかと、朝食を食べに行った「美麗島站」で乗り換えついで、「舊振南餅店」という高雄のお菓子屋さんでお買い物。
 
1890年創業の老舗のお菓子屋さん、台湾伝統のお菓子づくりを実直に続けているお店なんですって。
 
人気の「鳳梨酥」は、9個入りNT$450、VISAカード支払いで5%オフとのことで。
 
昔ながらの製法で、パイナップルと冬瓜を合わせた餡で、滑らかかつ上品な甘さと程よい酸味が特徴、外皮にはチーズも使われていて、“塩味のアクセント”と“バターの香り”が調和した、しっとり系パイナップルケーキなんですって。
 
楽しみ〜!

高雄 美麗島站「舊振南餅店」でお買い物
鳳梨酥禮盒
NT$450→NT$427

路上熱炒に行こう〜「木屋家常料理」

雨の中歩くのはちょっと疲れたねとホテルの部屋でのんびりシャワー浴びたり休んだりして、17時到着を目処に、鹽埕埔にあるローカル熱炒屋、「木屋家常料理」に行ってみることに。
 
「熱炒」とは、台湾における居酒屋というか、そのままの意味だと大衆的炒め料理屋さん、とでも言う感じのもので。
 
今回の旅行、「熱炒に行こう」がテーマだったりしたのだった。
 
「木屋家常料理」は、地元に根ざした開業約50年の老舗の家庭料理のお店なのだそう。
 
とりあえず、駅を出たところに高雄熊のオブジェがあったので「熊いたー!」と写真撮りつつ。
 
話には聞いていたけど、ほぼほぼ路上飯の店。
 
屋内にあるのは横に長い6畳ほどの簡素な厨房だけで、歩道にざらざらとテーブルと椅子が並べてあって適当に席について食べるスタイル。
 
テーブル自体、4つくらいしかないから時間によっては行列したりもするようで。
 
だから午後5時の開店と共に到着する勢いで向かい、その甲斐あって、ちらちらと増えていくお客さんの中、2人がけテーブルで落ち着いて飲食することができたのだった。良かった。
 
メニューはこんな感じ。
 
炒め物が3割、スープが2割、麺類とご飯もので2割、残りは魚だったり揚げ物だったり野菜炒めだったりという感じかな。
 
冷蔵庫から勝手に出すスタイルで台湾啤酒の瓶を2本貰い、けっこうあれこれ食べてお会計3000円弱の夕御飯。
 
センベロとまではいかなかったものの、すごく素敵な夕飯になった。
 
初熱炒、かなりディープなお店に行った気もするけれど、楽しかったし美味しかったな。
 
というわけで、お店の外観(?)。
 
私たちは、写真の左側の2人かけテーブルに座らせてもらい。
 
そしてネットで見た情報では「追加注文はお店のお姉さんにすごく嫌な顔をされた」という記述があったものの、まだ時間が早くて空いていたからか、すんなり追加の炒め物注文も受けて貰うことができたのだった。
 
座った席から道路側を見やれば、こんな感じ。
 
写真以外に写っている以外にもう1つ大きなテーブルがあって、私たちが退店する時にはほぼ全部にお客さんが座っているような状況だった。
 
香港あたりでも青菜の炒め物としてよく見る、A菜(油麦菜)の炒め物が爆速で出てきて、次々料理がテーブルに。
 
にんにく風味、醤油味。おいしい。
 
そしてこちらは、シンプル海老炒め。
 
”蔥爆蝦仁"を頼んだらこれが出てきたのだけど、”蔥爆蝦"にしていたら殻付きの大きな海老になっていたりしたのかな?もしかして(ニュアンスが難しい)。
 
海老ぷりっぷり。これで400円弱。
 
そしてこちらは、牡蠣入り玉子焼き、"蚵仔煎蛋"。
 
夜市で食べるみたいな、トゥルントゥルンした食感のものとはまた違った素朴な味わいで、まさにまんま、文字通りの"牡蠣入り玉子焼き”だった。
 
夫はむしろトゥルントゥルン系のが苦手だったみたいだから、こういうタイプので良かったのかもしれない。
 
"蒜苗五花肉"は、名前からして葉にんにくと豚バラの炒め?
 
五花肉とは薄切りの豚バラ肉のことで、これが、また、こんなシンプルな見た目ながら、なんでかめちゃめちゃおいしい。
 
なんだろな、なんか、おいしい……(語彙力)。
 
予想外の美味だったのが、割と時間が経ってから出てきた、イカボール揚げ、"澎湖花枝丸"。
 
揚げたてあっつあつで、マジックパウダー的胡椒塩が添えられていて。
 
これが、出来合のテキトーなイカのすり身を揚げましたという風じゃなくて、すごくちゃんと、おいしかったのだった。これも500円しないくらい。
 
そして最後に追加注文、"韮黃肉絲"。
 
名前からして、青椒肉絲風の黄ニラ炒め?と想像したら、やっぱりそんな感じで、細切り豚肉にしっかり下味。
 
何を食べてもおいしかった。ほんとに。
 
日中はかなり蒸し暑い台湾(けど多分、今や日本の方が暑いのではないだろうか、とは思う。特に旅行に来ていたこの週は)だけど、朝晩はいくらか空気がひんやりとして心地良く。
 
屋外の席でも暑くて困るということも無かった。気持ち良かったなー。

高雄 鹽埕埔「木屋家常料理」にて
炒A菜
蔥爆蝦仁
蚵仔煎蛋
蒜苗五花肉
澎湖花枝丸
韮黃肉絲
金牌啤酒
NT$50
NT$70
NT$90
NT$80
NT$80
NT$70
2×NT$70

夜のホテルラウンジ

夕食を食べ終えホテルに戻れば、まだ18時半というところ。
 
で、ホテルのラウンジで最後、ちょっとだけ炭水化物食べたい……と料理を見に行けば、"港式煲仔飯"という嬉しい文字が。
 
豬肉とあるものの、これってどっから見ても腸詰だ!と嬉しくなりながら、つい、チーズやら揚げ小籠包やらプチ肉まんやら貰ってきてしまった。
 
さすがに小籠包あたりは専門店の方がおいしいよねという風ではあるけれど、煮物だったりこの煲仔飯だったりは、満足なおいしさだった。
 
そして今日の歩いた距離は13.46km、20931歩だそう。がんばりました……。