Great Smoky Mountains のクリスマス

 

地ビールを一杯〜「Rocky River」

「グレートスモーキーマウンテンのクリスマスはそりゃもうピカピカキラキラで綺麗らしい」
という話を聞いた。なんでもクリスマスイルミネーションが名物の1つらしく、11月から2月頃まで町中がピカピカなのだとか。確かにテネシー州の観光案内所で手に入るパンフレットなどには美しいイルミネーションの写真がいくつも掲載されていた。
「そういうわけで、クリスマス前にグレートスモーキーマウンテンに行ってみたいなー、行ってみたいなー、行ってみたいなー」
と家で呪文を唱えていたところ、12/15〜16に行くことになったのだった。

私たちの住むNashvilleからはI-40を東に200マイルほど行くことになる。同じ州内ではあるけれど、我が家と現地では1時間の時差がある。
昼御飯を現地で食べる予定にしていたので、出発は朝8時過ぎ。道路はさほど混雑しておらず、無事に昼過ぎに高速道路を降りるところまでやってきた。

昼飯にと目指したところはSeviervilleという街にある「Rocky River」なる地ビール屋さん。
「地ビール、地ビール♪」
「昼からビール♪」
「飲酒運転にならない程度に、ビール♪」
と、200マイルドライブの直後に地ビール屋に駆け込んだ。(※テネシー州では血中アルコール濃度が0.1%を越えたら飲酒運転になるが、ビール1杯程度のアルコールでは制限にひっかからない←日本より随分ゆるい制度になっているらしい……)

店に入るなり、巨大なタンクがいくつもならぶ。「今出しているこのビールは9月×日に仕込みました〜」なんて看板がタンク部屋の前に掲げられている。写真入りのビールメニューには6種類の色とりどりのビールが並んでいた。真っ黒なスタウトから薄い琥珀色のラガーまで。ビールの名前は鹿や熊など、グレートスモーキーに生息する動物の名がついているものが多い。私は「Golden Eagle Lager」、だんなは「Copperhead Red Ale」を注文。「Golden Eagle Lager」はちょっと不思議な香りが漂う面白いビールだった。カラッとした軽い苦みがあるビールで、真夏に飲むのが旨そうなビールだ。うまい〜。

ピリ辛うまうまバッファローウィング 「やっぱ、ビールにはこれなのよね」
と注文したバッファローウィングは、手羽元6本・手羽先6本のボリュームだった。素揚げされたチキンにタバスコ風味の真っ赤な辛いタレが和えられている。ビリリと辛くてビールが止まらなくなるその味は、ほんのりと酸味があり甘さがほとんどない大人の味。息子はさすがにこれは食べられず、キッズメニューのホットドッグを食べていた。
バッファローウィングとビールがあったら、エンドレスでいくらでもいけてしまえそうで、怖い。

で、メインディッシュに私にはアルフレッドソースのペンネ、だんなはハンバーグステーキ。
普通、パスタの1人前量というのは70gとか80gくらいが一般的だけど、私の前のある皿には150gのパスタが盛られているような感じだ。こってりクリームソースに絡まったペンネの上からはたっぷりのシュレッドチーズ、更に一番上にはハーブをまぶされたグリルドチキンがべろーんと乗っている。オニオンソテーとオニオンリングが添えられただんなのハンバーグもなかなかの迫力だった。
「手羽を12本食べた後で……」
「見事なアメリカ飯だね」
「あっはっは、見事にアメリカ飯だ」
と圧倒されてしまいながらも、ともかく食べる。ビールは1杯で止めておいて、アイスティーをガバガバ飲みつつがふがふ食べる。
両者とも肉は喰いきったものの、山のようなオニオンリングと山のようなペンネはさすがに全部食べきれなかった。ドギーバッグに残したものをちょこちょこ詰めて、更に山に向けて車を走らせる。

Sevierville 「Rocky River」にて
Hot Wings
Blackened Chicken Alfredo
Chopped Steak
Kid's Hot Dog
Beer : Golden Eagle Lager
Beer : Copperhead Red Ale
$8.95
$13.95
$9.95
$3.95

Great Smoky Mountains

本日、宿を取ろうと思っているのはグレートスモーキーマウンテンに一番近くの街「Gatlinburg」。あらかじめクーポンブックを眺めてアタリをつけておいた「Red Carpet Inn」に向かってみた。なんと1泊20ドル!1人20ドルじゃなくて、家族3人で20ドル。さっきの昼御飯の半分の価格で1泊できるなんて、尋常な値段じゃなかった。……その後、尋常じゃない体験をすることになるのだけれど。

チェックインタイムより幾分早く到着してしまったのだけど、客も少なかったのかすんなり部屋に入ることができた。荷物を置いて、まだ時間も早いしと目指したのはグレートスモーキーマウンテン国立公園。
この国立公園は、全米一の年間集客があるそうだ。でも、『アメリカの国立公園』なんていう日本のガイドブックにはほとんど載ることがない。夏場に一人、ここを訪れた留学生仲間のIさんが言うには
「ありゃ日本人にはつまらないよー。山と小川と滝とっていう、日本人にしてみれば"よくある山の風景"しかなくってさ……アメリカ人には珍しい光景なのかもしれないけど」
なのだそうである。
更にはこのあたり一帯は「手頃なハネムーン地」としても人気がある、というのも集客力の1つになっているらしかった。

ともあれ、自分の州にある国立公園にも行ってみなきゃね、と入園。入口には「山に入るにはチェーンつきか、四駆車であることが要求されます」なんて看板が立っていて、入口で引き返そうかとしばし悩む。確かに山の上部にはうっすら雪化粧が見え、いかにも寒そうだ。
観察していると、チェーンのついていない一般車もその道を上がっていくようであったし、山に入って数マイルのところにピクニックエリアがあってそこで引き返すことも容易に見えたのでとりあえず少しだけ山に入ってみることに。

うー、寒そう寒そう。ていうか寒い。

まだ冬眠しないのかなー? すっかり落葉した木々に、横を流れる浅めの小川。確かにそこは"よくある日本の山の光景"によく似ていた。赤い奇岩もないし、砂漠もない。洞窟があるわけでもなく、川に削られた深い谷もない。それでも初夏や秋にピクニックに来るにはとても気持ちがよさそうなところだった。
「森林浴だー」
「イオンを浴びるのだー」
と、薄く雪が積もるピクニックエリアで深呼吸すると、そのまま喉がパリパリになりそうなほど寒かった。ピクニックエリアまでは路面が凍っていたりはしなかったものの、ここから先はもう行けなさそうだと、ここで折り返した。

帰り道には、熊を見た。
道路脇に5台ほどの車が止まり、何やら人々が森の中を一生懸命眺めている。「なになに?」とその視線の先を辿ると黒く動く物体が見え、
「クマ!クマいる!クマクマクマ!とーめーてー!」
と騒いで私たちも駐車。倒れた木に顔をつけて動くクマがいた。野生の熊を見るのは初めてだ。大きさは、多分人間の大人と同じくらい。道路脇にはいつのまにか20人ほどが集まってワイワイやっているのに(中には口笛を吹いてこちらに向かせようという人もいたりして)、「人間なんか興味ないのよね」という感じに熊は逃げもせず近づきもせず木々の間を動いていた。
山猫やリスやミンクなど、多くの動物がいるらしいこの公園だけど、とりわけ熊が多いらしい。パンフレットには「This is bear country」とあった。

Gatlinburgのイルミネーション

メルヒェンな光景…… 国立公園出口からほんの数マイル行けば「Gatlinburg」の街だ。もう4時近くになり、街にはぽつぽつイルミネーションが輝き始めていた。車を宿に止めてから、徒歩で町中をぷらぷらしてみる。
このあたりの街は「温泉街みたい」「軽井沢みたい」と表現されているらしい。実際来てみると、確かにそんな感じだ。小さなおみやげ物屋さん、雑貨屋さん、怪しいパクリもののTシャツ屋さんなどが建ち並び、ゲームセンターや屋内パターゴルフ場、子供向けの小さな動物園などが盛りだくさん。水族館があったり3Dのライドアトラクションがあったりと、確かに温泉街っぽくもあり軽井沢っぽくもあった。「プライベートジャグジーあります」の宿の看板は、さしずめ「貸切露天風呂あります」というところだろうか。

キラキラを満喫中遠出する暇やお金がない人々のハネムーン先として人気があるということで、街のパンフレットにはチャペルやお洒落な宿の情報も多く掲載されていた。カップルで来ても夫婦で来ても家族で来ても楽しいところなんですよー、という雰囲気だ。
どことなくメルヒェンな町並は、クリスマスということで更にメルヒェン度増加中だった。町並はキラキラピカピカ、各お店もキラキラピカピカ。

何を買ったわけでもなく、何を遊んだわけでもないけれど、なんとなく楽しんでホテルに帰還。
今日の昼食は1時過ぎで、しかも手羽やらパスタやら腹一杯食べてしまったものだから今ひとつ夕食を摂るという腹具合でもなかった。
「ま、適当にね」
「明日の朝、起き抜けにパンケーキ食べに行くということでね」
と、この日は夕御飯も食べずに宿に籠もり、早々に就寝。ほとんど眠れぬことになるとは、私は電気が消えるまで自覚していなかった。

幽霊ホテル……

1泊20ドルという安モーテル。こんなに安い宿に泊まるのは初めてだった。
部屋はさほど狭くもなく、設備もそれなりに揃っている。冷蔵庫や電子レンジまでついていた。ただ、バスルームにはシャンプーやリンスが無く、石鹸だけが置かれており、タオルもなんとなく黄ばんでいるものがあったりした。でも、もひとつオマケがついていた。

この部屋には、どうも私たち以外の"誰か"がいらっしゃる。
バスルームの電気だけをつけたまま(←息子が夜中にトイレに起きたとき用)部屋を暗くし寝始めたところ、部屋の中にカメラのシャッター音にそっくりな音がパシャッジー、パシャッジーと聞こえてくる。「なんでこんな夜中に誰かがカメラをいじくってるのー?」と寝ぼけつつ目を開けると音は止み、だんなも息子もちゃんと自分のベッドで寝ているのだ。そして目を閉じるとまたその音が(後に夫曰く、「そりゃラップ音だよ……」と)。
そして一度目が覚めるとなかなか寝付けない。部屋には妙な雰囲気が漂っている。
だんなと息子はベッドにいるのに、それ以外の"何か"が足下あたりの床を歩いているような感じ。だんなのベッドの脇にある不自然な壁のくぼみ(ベッドの脇の壁は一直線じゃなく、両端は小さなテーブルを嵌めこめる程度の深さにひっこんでいた)あたりから誰かがじ〜〜〜っと見ているような、そんな感じ。

私は幽霊話が大好きだ。そういうモノの存在を、割と真面目に信じてもいる。でも、何かが見えたということは一度もないし、何かを感じたということも数えるほどしかない。
でも、このホテルの部屋には「その姿は見えないけど、確実に"何か"がいる」という気配がこれでもかこれでもかと漂っていた。
だんなは、私よりも更にそのテのものに敏感だ。歩いていて「……うわ、なんかイヤな感じ……」と彼が呟くと、その先に墓地があったとか曰くのある場所があったとか、そういう事がちょこちょことある。
かくして、午前6時にして家族全員が寝ていられなくなるという事態になった。
私が目を覚ますと、だんなはパソコンを起動して何やらやっているところだった。息子も起きていた。

「……寝られないね」
「……なんだかね……」
ともそもそ会話した後、7時に目当ての朝食処が開くのを待ちかねるように6時半過ぎ、早々に宿を抜け出した。道すがら、ぽちぽち話す。
「やっぱりさ……"いる"?これって……」
「うん……無視しようしようと思って無理矢理寝ていたんだけど……"いる"ねぇ」
「20ドルの宿、とんでもないオマケつきだったね……」
「あそこまで露骨だと、さすがに……ねぇ……」
と、息子まで朝早く起きてしまう尋常ならざる事態に、朝焼けで美しく空が染まっていく中、いまひとつ心の晴れない私たちだった。
"いる"のはかまわないけど……寝る邪魔はしないで欲しかったなぁ……。

この宿に泊まったのを機に、旅行には塩を持参しようと固く心に誓ったのだった。

テネシー最初のパンケーキ屋さん〜「Pancake Pantry」

クリスマス一色のパンケーキパントリー今朝の朝食は、旅行に来る前から決まっていた。テネシー州で最初に出来たパンケーキ専門店、「Pancake Pantry」だ。
我が町にもある「Pancake Pantry」、この街にもあるのはレシートなどに書いてあるので知っていた。チェーン店ではなく、NashvilleとGatlinburgの2店だけだということも。
20種類を越える豊富なパンケーキメニューに、卵料理とのセットの数々。手抜きのないサンドイッチにハンバーガーに、更にはステーキまで。ホイップクリームがこれでもかと添えられた甘いパンケーキは「健康第一?低カロリー?なにそれ?」とあざ笑うかのようなボリュームで、Nashville店は留学生仲間たちの多くに愛されている。Gatlinburgの店にも行きたいと願ってしまうのはやんぬるかな、という感じなのだった。

街のメインストリート沿いにある二階建ての建物は、我が町のものよりもずっと大きく、そして古そうでもある。店内は一部吹き抜けになっており、窓際のそこには高さ5mほどのクリスマスツリーがピッカピカと輝いている。店の看板の上には巨大な雪だるまのオブジェがどどーんと笑っていた。

開店は午前7時。開店してまもない時間に入店した私たちだったけれど、店内には既に多くのお客さんが入ってパンケーキに食らいついていた。この店も人気のようだ。
「私たち、ナッシュビルから来たんだよ。うちにもパンケーキパントリー、あるよ」
と、ドリンクを持ってきてくれた店員さんに伝えると
「そうよね、ナッシュビルにもあるわよね。元々はこのお店が最初にできて、あっちが後にできたのよ」
と返ってきた。こちらの店が発祥であるらしい。パンフレットを見ると、「テネシーでの一番最初のパンケーキ専門店」と書いてある。

パイナップルソースがけ甘甘パンケーキ こちらはバターミルクパンケーキ3枚にチーズオムレツ

メニューを見ると、大体はNashville店と同じであるけれど微妙に違う。
「これは同じだ」
「これ、内容は同じようなのがあるけど品名が微妙に違う感じ……」
とメニューをじっくり眺め、私はNashville店にはない「バナナをくるんだパンケーキにパイナップルソースがけ」なる「Banana Pineapple Triumph」を注文してみることにした。いかにも甘そうな朝御飯に、飲み物はアイスティー。
だんなはチーズオムレツにバターミルクパンケーキを3枚、そしてサイドディッシュにハッシュドポテト。息子にはキッズメニューからフレンチトーストを。

昨晩は夕飯らしい夕飯を摂っていなかったので、家族全員空腹だ。牛乳やアイスティーやコーヒーなど、各自頼んだドリンクをがばがば飲みつつ料理を待つ。
やってきたのは、ホイップクリーム超山盛りの甘そうな薄焼きパンケーキだった。
クレープとパンケーキの中間くらいの薄さに大きく焼かれた生地の中には、縦割にされたバナナがくるまれている。果肉が混ざる甘いパイナップルシロップが上からどっぷりとかかり、そして小山のようなホイップクリームに散らされたナッツ。その光景は私たちが良く知る店のと同じ感動を与えてくれた。パイナップルソースは確かに甘いけれど、パンケーキは軽い食感。ホイップクリームもほとんど甘さがなく、良い感じだ。
ふわふわパンケーキ3枚に、チーズが乗った小ぶりのオムレツが1皿に乗った、だんなの料理も魅惑的。軽い塩気のハッシュドポテトはこんがりと焼かれていて、私の口直しに丁度よくてぽいぽい食べちゃう。卵液がたっぷり染みこんだ厚切り食パン2枚分のフレンチトーストも、キッズメニューとは思えない充実した量と味だった。中央にはホイップバターがこんもりと乗り、甘さ控えめのシナモン風味シロップが添えられる。

「うっふっふ"P"ですねぇ」
「やっぱり"P"ですねぇ」
と、ニヤニヤしながら交換しいしい皆で食べた。
この街の周囲には、よく見ると「Pancakeほにゃらら」という店名の店がすごく多い。"南部ホスピタリティをあなたに!""ボリュームたっぷり朝御飯をいつでもご用意しております!"みたいな広告をあちらこちらで見た。パンケーキはこの地方の名物のようで、あそこにもパンケーキ屋、ここにもパンケーキ屋という中でのこの店の繁盛ぶりが妙に嬉しい私たちだった。

Gatlinburg 「Pancake Pantry」にて
Banana Pineapple Triumph
Iced Tea

山の麓のワイン屋さん〜「Smoky Mountain Winery」

小さな小さなワイナリーホテルのそばに、「Free Winery Tours」「Free Wine Tasting」をウリにしている「Smoky Mountain Winery」なるワイナリーがあるらしいことを街の案内ペーパーで見つけ、寄っていこうかということに。朝食後ホテルに戻り、荷造りをしてチェックアウト。ワイナリーがオープンする時間を待って早々に行ってみた。

マップを見ながら目指した場所には、小さな小さなワイナリー。"ワイナリーツアー"も何も、一周ただ歩くと数十秒で終わってしまいそうな小さな小さな醸造所だ。ドアをくぐるとワイン売り場兼テイスティング用のカウンターにおばちゃんが一人いて、「どうぞ中も自由に見てって」という感じ。他には誰もおらず、一家でおそるおそるタンクの間を見て回ってみる。奥にはラベリングための部屋もあり、内部にかかった看板の説明によると"テネシーで採れた葡萄だけを使って、絞る作業からラベル貼りまで全てここで行っている"らしい。
ワイン販売コーナーに戻ると、地元の人らしき客がちらちらとやってきてはさほどワインを品定めすることもなく、目当てらしき品をがっしと掴んでは買って行っていた。私たちも棚を眺め、ついでにいくつか試飲させてもらうことに。

葡萄そのものの味が濃厚に残るワインは適度に甘く適度に辛く、なかなか好みな味がした。壁には「○○の大会で賞を取りました」というメダルがいくつか飾られていて、いくつか味見してみた結果白ワインとロゼの2本を買うことに。普段飲みにちょうど良さそうで、値段も手頃だった。

Gatlinburg 「Smoky Mountain Winery」にて
Brookside White
Brookside Rose
$7.99
$6.95

ここにもあったアウトレット〜「Lodge Factory Outlet」

そしてGatlinburgを後に。「Pigeon Forge」「Sevierville」と小さな街をインターステートの入口に向けて通り抜けていく。
往路に看板を見つけ、「帰りに寄っていこう」と言っていた「Lodge Factory Outlet」に最後に寄っていくことに。

アウトドア用の鋳鉄鍋(アウトドアじゃなくても使えます)を作っているLodge社はテネシーが本社だ。日本にいる時からここの鍋を愛用していた私たちは、先日本社のあるSouth Pittsburgという小さな町に出かけ、そこにあったアウトレットショップで山のような買い物をしてきていた。
「ここにもロッジのアウトレットがあるよ〜」
「じゃ、寄ってみようか」
と、目玉焼きがスキレットに乗った目立つマークを目指して車を移動。

目立つ看板だなぁ……

店内は、South Pittsburgよりちょっとばかり狭いものの(そして2ndものなどの"難あり品"の格安モノはないものの)、充実した品揃えだった。日本で買う価格の半分ほどで買えるアメリカでの市場価格の、更に半額ほどの品がごろごろと売られている。近所のスーパーマーケットではあまり見かけないコーンブレッド型なども種類豊富に並んでいた。
「ここも安い〜」
「安いけど……」
「この間、これでもかと買ってきちゃったから、もうあんまり欲しいのないね」
と、鍋は買わずに店を出た。
キャセロール型が欲しかったけれど、ここはぐっと我慢だ。何しろ購入価格より日本に持ち帰る輸送費の方が高くつきそうなのだから。

かくして1泊2日のミニ旅行を終え、まだ日は随分と高かったけれど家路についた。