アメリカンなエロエロうっふん

隊長!怪しい店を発見しました!

友人たちの間で、
「ディビジョンエロエロストリート」
と呼ばれている道路がある。正式名称は"Division Street"なのだけど、この道路沿いに、この町に存在する"エロショップ"の約半数ほどが集中しているのだそうだ。だからエロエロストリート。

アメリカにおける"成人向け映像商品"は、基本的に無修正。日本だったらモザイクやぼかしオンパレードになる内容のものが、この地ではくっきりはっきり鮮明なものを拝むことができる。その代わり、その手のものは未成年の目にはまず触れないようになっている。
テレビ放送やスーパーマーケットで買うことのできる雑誌などでは、モザイク映像はおろか、日本ではそこら中で入手可能なセミヌード映像もほとんど見かけられない。バストのきわどいラインは見えても、絶対に乳首までは見せないのがアメリカで一般に流通している商品だ。乳首その他を見たければ、"21UP VIDEO"などと書かれた看板を目指さなければ、本もビデオもDVDも購入できないのだった。

私はエロビデオを見ることに抵抗がなく(……というのは、かなり控えめな表現で、実際には"かなり好き")、当然興味もあったので、この地に住む人たちとその手の話も色々としたし、実際に見てみたりもした。残念ながら、お店には足を踏み入れていないけど。

先に書いたとおり、成人向けショップで入手できるビデオはアメリカ純正品(最初からモザイクなどついていない)の他、日本の(あるいは韓国、中国あたりの)"その国ではモザイクつきで売られている商品の、モザイク無しバージョン"がある。
「だったら、飯島愛とか、あいだももの無修正版があったりするの!?」
と思わず身を乗り出してしまう私だったが、「いや、そんなものはない」と店を実際に訪れた人たちは口を揃えて言うのだった。
曰く、和ものもあるはあるけど、すっごく古いものばかりで「いつの時代だよ!」と言いたくなるものがほとんどなのだとか。掠れたカラーコピーっぽいパッケージをたよりに商品を選んでも、中身は「この女優、どこにでてるんだよ!」と嘆きたくなるような内容のオムニバスものが多いらしい。実際、何本か見せてもらったビデオはそのほとんどが(和もの他、アメリカ純正品も含めて)オムニバスものだった。アメリカ人、オムニバスものが好きなのかしらん?

そして、ビデオの中身。確かにはっきりくっきり鮮明画像だった。男も女も、細部に至るまで丸見え状態だ。最初のうちは「おおおー」と拳を握った私だったが、10分後くらいに早くも飽きてきた。
「ううう……見えるのはいいけど……あまり楽しくないね。アレって内臓そのものじゃんね……」
「男のナニをアップで見せられても……えぐいよぅ……」
「ていうか、白人女性のあの"オォ〜ウ、カーッム、カミングッ!"って野太い声に……萎える……」
「ああ、こっちは和ものだけど……見えてるせいでわかっちゃったよ。全然入れてないじゃん!疑似じゃん!」
と、罵声の嵐。特に、アメリカものがつらかった。

"ほぅ〜ら、ごらんなさいよ"とばかりに恥じらいもなく、カメラの前でどどどーんと大股開き。いらん。見せるな。
カメラを睨みつけるようにしながらの、低音響かせ大声で"オォーウッ、オゥッ、オウッ"という喘ぎ声。ゴリラの交尾か?みたいな。
しまいには、ワインの瓶くらいふっといオモチャを出してきて、女性2人がくんずほぐれずえっさえっさほいさっさ、と……そんな、コマネチみたいな体勢でそんなもん入れて出し入れされても……色気もへったくれも……。
とある人が、「買ったはいいけど……ハズレでした……」と貸してくれたビデオには、この手の"アメリカもの無修正"のクライマックスっぽいシーンだけが20秒くらいずつわやくちゃに脈絡なく詰め込まれていた。
「ど、どう興奮しろと (;´Д`)」
「抜きどころは、どこかと (;´Д`)」
と、気がつけば泣き顔に。

「見せればいいってもんじゃないよね」
「チラリズムの美学を学んで欲しいよね」
と、日本のエロ文化に思いを馳せてしまう、アメリカンな無修正ビデオ体験だった。