11月29日(金) ニューヨーク、単独行動

朝からケーキ……

本日は、11時にチャイナタウンで待ち合わせ。
そろそろ旅の疲れも出てきているところでもあり、「待ち合わせ寸前まで寝まくる」というのも一つの選択肢ではあったのだけど、ホテルのベランダには昨日買って食べきれなかったケーキが寒風吹きすさぶ中キンキンに冷やされているのであった。ともすると凍ってしまうんじゃないかという気温の中、このまま放置するのも危険だろうということで朝御飯代わりに食べることに。
「そういうことで、朝8時に目覚ましをかけまーす」
とキリキリと目覚まし時計をセットし、昨夜は眠りについたのだった。

もう数日泊まっていて全然気づかなかったのだけど、このホテル、モーテル然とした朝御飯がロビーで供されていた。コーヒーサーバーや紅茶のティーバッグが並べられ、マフィンやドーナツなどが出ている。卵料理や肉料理は一切ない、ありがちな"モーテル朝飯"だ。ロココ調なロビーにはものすごく不似合いだ。それでも朝に温かいコーヒーが飲めるのは嬉しいものなので、部屋にコーヒーを持ってきてケーキをつついた。

VENIERO'S」のケーキはやはり美味しかった。
苺の果肉がどっさりとホイップクリームに混ぜられてパイ生地の間に挟まっているストロベリーミルフィーユは、パイを囓ってもクリームを舐めても、素朴で素直な味がする。外見はちょっとばかり野暮ったさが漂うけれど、アメリカのお菓子にありがちな"粘っこい甘さ"などはかけらもない。美味しい。
だんなは直径10cmちょっとのミニチーズケーキをつついている。これがまた、唸るほどに美味しかった。適度な粘り気があり適度に軽く、甘さは心もち控えめ。口に入れるとスーッと溶けていく。そのくせ、空気の層で支えているようなベーキングパウダーに頼っているようなものではなく、目が詰まっている。 ニューヨークに来て、いくつか「これは美味しい!」というチーズケーキを食べてきたけれど、私の好みでは「DEAN&DELUCA」が一番で、だんなの好みでは「VENIERO'S」が一番、というのが本日の朝食後の協議の結果である。

エスカレーターはないけれど〜麒麟金閣(Golden Unicorn Restaurant)

待ち合わせ1時間ほど前にチャイナタウンに到着し、目指したのはチャイナタウンのスーパーマーケット。
「腸詰、欲しいよねぇ……」
「中華スープもあんまりないよ」
と、"日常のお買い物"なノリで、我が家のあるテネシーでは入手困難なものを探して歩く。
昨日のサンクスギビングデーはさすがに閉まっていた各店も、今日は10時を過ぎてほとんどの店がオープンしていた。「ここ、入ってみる〜」「あそこも気になる〜」とあちらこちら覗きながら目的の飲茶店に向かって歩いていく。

まずは、2フロア構成の広いスーパーマーケットでお買い物。一階には食材類、地階には食器と中国茶類が並べられており、微妙に日本食材や和食器が入り交じって売られていた。8ドルほどの土鍋もあって、思わず手が出そうになる。一階の腸詰コーナーに釘付けになっていただんなは、おもむろにビニール袋に腸詰を詰め始めていた。

Chinatown 「KAM MAN FOOD PRODUCTS」にてお買い物
龍井茶(量り売り)1ポンド
腸詰8本
顆粒コンソメ
麺棒
凧糸
$6.50
$5.56
$3.95
$1.85
$0.75

「なんで凧糸?」
「いやぁ、煮豚作ったりするとき便利じゃない?」
「なんでニューヨークで凧糸を……」
などと言いつつ、更にお買い物。今度は生鮮品もちょこちょこ売られている小型の食料品店に入った。
「ザーサイが欲しいな……」
「お、ヘンな焼きそば発見!」
と、またもや妙なお買い物。我が夫、妙にジャンクなものが好きで(人のことは私も言えないけれど)、旅行先で"妙なカップラーメン(特に焼きそば類)"を見つけると目を輝かしてしまう性癖がある。今日も買い物籠に1つ2つと焼きそばを入れていた。
缶入りの濃縮鶏ガラスープまで買い込み、ますます旅行客な出で立ちじゃなくなってしまった。

Chinatown 「Kam Kou Food Corp」にてお買い物
油条
ザーサイ
濃縮鶏ガラスープ缶
インスタント焼きそば
$1.50
$0.75
$0.70
2×$0.85

で、ビニール袋をぶらさげてよたよた向かったのが「麒麟金閣(Golden Unicorn Restaurant)」。
「飲茶はちょっと人数がいた方が楽しいよねー」
と、友人Yと一緒に行こうと言っていた。ついでに、ニューヨーク近郊の大学に留学中のNさんも誘っちゃいましょう、と、結局大人4人子供1人で円卓を囲うことになった。点心は1皿3〜4つ乗っているのが常なので、このくらいの人数はあれこれつまめて楽しいし、美味しい。

最初、私もYも他の店と混同していて
「でっかいエスカレーターがある店だよね」
「そうそう、2階にあるんだよね、エスカレーターあるんだよね」
と言っていた。(混同していたのは"Jing Fong"という別の有名飲茶屋だった)
待ち合わせしていた店頭に行ってみるとエスカレーターは無く、エレベーターでお店が入っている2階に行くと、客席数は200ばかりで想像していたほど広くない。「え?別の店と間違えた?でも店名はこれでいいはず……」と思っていたらYとN島さんがやってきた。良かった良かった。

テーブルが並ぶ脇の通路をワゴンがどんどん通っていく。英語よりも日本語や中国語の方が通じちゃうような空間で、
「ハーガウ!見せて見せて〜」
とワゴンを止めては蒸籠の中身を見せてもらう。
「ハムスイコク、ある?」
と中国語と日本語ごっちゃの言葉で伝えると、ちゃんとそれがテーブルにやってきたりする。漂う雰囲気は、香港だ。

大根餅には甘辛いタレつき 素朴な焼売に蝦餃、湯葉巻き そして、大好物の蛋撻〜♪

昼間っから青島ビールを全員で飲みつつワゴンを止め、テーブルに点心を並べまくった。ちょっとばかり火が通りすぎて浮き粉の皮がペショッとなりかけた蝦餃だったり、ちょっとばかり油がまわりつつある揚げ物類だったりと、ワゴンサービスの飲茶ではよくあるものもあったけれど、味はどれも安心して食べられる、懐かしさ漂うもの。にんにくの塊がたっぷり入ったニラ饅頭はえらく巨大でブリブリとしていて、目の前で焼いてくれる大根餅は腸詰や干し海老の風味が豊かでふわふわと柔らかいものだった。鶏肉の団子が入った饅頭などの、ちょっと変わったものもあったりして。

そして、「ニューヨークのチャイナタウンの中ではかなり旨い」と噂されるマンゴプリンも最後にしっかりいただいた。
塊の果肉は入っていない、クシュッとした舌触りの柔らかめなマンゴプリン。味は良かったけれど、今ひとつ生のマンゴーっぽさが感じられない(ジュースか缶詰を使ったような?)感じでもあった。季節によって味も変わると思うけれど、ほんのりいまいち感が……。
最後の最後には、好物の蛋撻!一時期"ポルトガルエッグタルト"なんてのが流行っていたけど、私とだんなは一貫して
「"蛋撻"の方が美味しいよねー」
と思い続けている。サクサクモロモロとした中華風のパイの中には"甘い茶碗蒸し"みたいなプルプルの卵生地。プリンほど牛乳っぽくなくプリンよりも卵の味が濃厚に漂う、小さなお菓子だ。パイの舌触りもプリン生地のプルプル感も完璧な蛋撻に出会えてすっかり幸せになり、店を後にした。

麒麟金閣(Golden Unicorn Restaurant」にて
蝦餃
焼売
湯葉巻き
炒飯
海老の揚げ餃子
大根餅×2
鶏饅頭
咸水角
ニラ餃子
水餃子
金魚餃子
蛋撻
芝麻球
マンゴプリン
青島ビール×4
合計$73.85(チップ込み)

ドーナツ1個を買いに〜「Doughnut Plant」

飲茶屋の前で、皆と別れた。
今日は珍しくも、私とだんなは別行動しようということになっている。彼は一人で国連本部(United Nations)を見に行くそうで、さすがに子供は連れていけんということで、私は息子と2人で動くことに。私の目的地は「MOMA QNS」だけど、まずはチャイナタウンからほど近くにある「Doughnut Plant」の工場兼店舗に行ってみることに。数日前にこの店のドーナツを買って食べてから、「そのうち本店に行くぞー」と密かに思っていたのだった。

「そういうわけで、今日はおかーさんと2人で行動するんだよ」
「おとーさんは?おとーさんはお仕事にいくの?」
「そーそー、お仕事(みたいなもん)に行くの」
と、ちょっと不安そうな息子と一緒にチャイナタウンを抜け、Lower East Side方面にてくてくと歩いていく。途中、旨そうなお菓子屋さんとか食材屋さんとかにふらふらと引き寄せられそうになりつつ、あまり時間もないのでスタスタとマップを見つつ歩いていく。ほどなく、銀色のロゴ入り看板が見えた。

発見〜♪ ちっこい店だ。そのスペースのほとんどは工場のようで、売り場は小さなカウンターが1つだけ。カフェコーナーと言えるのか言えないのか、スツールが1つに幅15cmほどのカウンターがドアの近くに作られている。店は5人もお客が来ればいっぱいになってしまうような、本当に小さなものだった。

ひじょーに美味しうございました 店頭にはチョーク書きの小さな看板が立てられ、「TODAY'S DOUGHNUT FLAVORS」なんて書かれている。その下には、
「FRESH CRANBERRY」
「ROASTED CHESTNUT」
「WALNUT」
「HOT CHOCOLATE」
「HERBAL TEA」
と5種類のドーナッツフレーバーが書かれていて、それはどれも美味しそうだ。"ホッとチョコレートドーナツ"なんて、想像するのがちょっと怖い。

全種類買って袋に詰めてもらおうかとも思ったのだけど、"なんかもー、甘いものばっかり食べてるしなぁ"と、ぐっと堪えて1個だけ息子と半分こしてここで食べていくことに。なにしろここのドーナツは巨大なのだ。大口あけてかぶりついて、それでも一口では中央の空洞に届かないほど、でかい。モチモチとした生地はそのくせ軽い食感であまり胃にはたまらないけど、それにしたって、でかい。
結局買ったのはウォルナッツドーナツ。息子と2人、店頭でわしわし食べていると、それまでいなかったお客さんがポチポチとやってきて同じく店頭で食べはじめた。たっぷりのナッツと共にシュガーコーティングされたドーナツは、甘くないのかと問われたら甘いんだけど、それでも不思議とげんなりするこどの甘さが感じられない。ほんのりと中が温かくて、それがまた良い感じだった。

「おかーさん、おいしーねー」
「うん、美味しいねぇ」
と手と顔をベタベタにしながら食べ終わった後、"ほっぺについてるよー"と息子の顔をぬぐってあげたところ、
「おかーさんの顔にも、ついてるよー」
と指摘されてしまった。
うわ、私の頬にもシュガーコーティングが……息子以上に。(←ダメじゃん)

Lower East Side 「Doughnut Plant」にて
Walnut Doughnut
$1.75

雪だし、みどころ少ないし…〜「MOMA QNS」

近代美術館「MOMA」は、現在改装中とのことで、クィーンズに仮展示場である「MOMA QNS」があるらしい。
「あんまり期待しない方がいいと思うわよー……」
とYに言われ、まぁ、仮設だもんなぁ……とさほど期待はせずに息子と二人、ドーナツで腹を満たした後、向かってみた。

息子と2人、地下鉄に乗る。目的地はマンハッタンを出て5つめほどの駅、「33St」で降りれば良いらしい。地下鉄マップを眺め倒し、
「紫のラインに乗ればいいんだよな。エクスプレスじゃなくて、普通電車に乗ればおっけー」
と何度も確認した後、Grand Central駅で普通電車に乗り込んだ。ちょっと前までの銀座線のように、途中でチカチカ室内灯が消えてしまうような古めかしい地下鉄だ。「こ、こんなボロ電車で運河の下をくぐるのか……」ちょっとばかり不安に思いながら電車に揺られ、クィーンズ地区の「Queensboro Plaza」なる駅に到着した。今乗ってるのは普通電車だから、次が目的のところだなー……とボーッとしていると、ドアが閉まろうという直前に何やらアナウンスが。

「この電車はー、えー、エクスプレスになりましたぁー。エクスプレスーエクスプレスー」
ちょちょちょ、ちょっと待てぃ!"エクスプレスになった"とはどーゆーこーとだぁ!
と、荷物を抱えて(そう、私は鶏ガラスープや焼きそばを抱えてMOMAに行こうとしていたのだ)バタバタと降りようとしても時既に遅し、目の前でドアは無情に閉まったのだった。
「な、なんだよ、もぅ……」
目の前、猛スピードで「33 St」の駅は過ぎていく。息子に「33っていうところで降りるよー」と言っていたものだから、息子が不思議そうに
「おかーさんおかーさん、さんじゅーさんが、行っちゃったよ……?」
と尋ねてくる。ええ、行っちゃいましたねぇ、33。次に止まるのは61とかって書いてあるよ、もー。

かくして、今にも雪が降りそうな曇天の下、寒さに震えて61St駅で再び逆方向の普通電車を待つことになった。もー、何なんだよニューヨークの地下鉄はー、もー。
友人Yも、全く同じことを同じ場所でやられたらしい。「エクスプレスになったからー」と発車後の車内で言われて、「げげっ!」と33Stを通り過ぎるのを呆然と眺めたことがあったのだそうだ。

寒いよ、寒い〜結局、無事に美術館にたどり着いたのは2時半を過ぎていた。駅で降りた場所が悪かったのか少し歩いても見つからず、道ばたに立っていたガードマンらしきおばちゃんに「MOMAって、どこですかぁ〜?」と尋ねる頃には、空からはぼったんぼったん雪が降り始めていた。どうりで寒いと思ったよ、と早足で息子を連れて美術館へ。美術館の入場にはセキュリティチェックがあって、荷物の中身を見せなければいけないところ、
「これは……なんですか?」
とビニール袋を指さされ
「全部たべものです。チャイニーズフードです」
と宣言して入館。クロークにコートと荷物を預けて、やっとの思いで温かい館内をゆっくり歩くことができた。

特別展示に多くの場所をさき、常設展示は少なめの仮設展示内容だった。頻繁にMOMAを訪れる人には良いのかもしれないけれど、「初めてのMOMAだ〜!」とやってくる人には今ひとつ不向きかもしれない。展示数も、"日本で一般的に開かれる美術展よりちょっと多いかなー"というくらいで、浴びるほどの芸術を期待してくると、ちょっと消化不良な感じだった。

今回催されていた特別展示は
Projects 77: Billboards by Sarah Morris, Julian Opie, and Lisa Ruyter
Drawing Now: Eight Propositions
The Changing of the Avant-Garde: Visionary Architectural Drawings from the Howard Gilman Collection
Masterworks of German Expressionism
の4点。
Drawing Now: Eight Propositions」は欧米・アジアから数十人の若手アーティストのドローイングを集めたもの。中には日本人の奈良美智さん(公式ページはなかったので著作をリンクしてみた)と、村上隆さんの作品もあったりして、
「おおっ日本のイラストだっ」
「おおっジャパニメーションな絵がっ!」
と微妙な感動を味わえた。

が、期待の常設展示もの(私の主な目的は、ダリとかマグリットとかキリコとかアンリ・ルソーといった人の絵画)はあまり点数がなかった。それでも何点かの絵画を間近で見ることの喜びは満喫し(ああ、溶けた時計が私の眼前10cmに、ガラスの遮りもなく……)、4時を過ぎた頃、美術館を後にした。芸術にはまだ何の関心も持てない息子も、「まだ?おかーさん、まだ見るの?」なんて言いながらもついてきてくれて、感謝感謝。何か甘いものでも買ってホテルに戻ろう。

そしてたっぷりお買い物〜「DEAN&DELUCA」

マンハッタンに日が暮れる〜 もう明日には帰路につかなければいけない。研究所の人たちにお土産も買っておきたいし、何よりもうすぐクリスマスだから日本の家族にも何か贈ってあげたいところだ。何がいいかなぁ、と考え続け、「DEAN&DELUCA」のクッキーやココアなどを買うことにした。あとは地元でおばあちゃんに膝掛けを買ったりすることにしよう。

クッキーの箱を3つに、我が家用にパウンドケーキ。ロゴ入りの板チョコ(←美味しいらしい)、友人Yおすすめの瓶入りピクルス。そして、「帰宅前に絶対買って帰るんだもんね」と心に決めていた、生のポルチーニ茸。イタリア料理でおなじみのポルチーニというきのこ、普通は干し椎茸のごとく乾燥したものしか売られていない。生のものを見るのは初めてだった。きっとこれを使ってパスタ料理作ったりしたら美味しいだろうなぁ、と自分で選んでビニール袋にぽいぽい詰める。1ポンド45ドルもする超高級品だ。吟味して6本ばかり買ってみた。
そして、一番の目的は中国茶器だった。
友人Andy(「逍遙自在区」管理人)の家で見たのと色違いのその茶器、確かどこぞの大学教授が力学などを計算しまくった上で作ったというシロモノだ。ペンギンのような奇妙な形であるのに水切れは抜群。何よりもそのフォルムに私は惚れていた。それが、「DEAN&DELUCA」の中国茶器コーナーにあったのだ。値段はそのセットで250ドル。安くはないけど、数日悩んだ挙げ句、私は購入の決意を固めまくっていた。

「これ、これくださーい」
と近くの店員さんを捕まえてショーケースの中のその茶器を出してもらったのだけど、その店員さん、首を傾げて固まっている。
「あのね……ここ、欠けてるのよ……」
と困惑した顔のまま見せてくれたその茶器は、急須の蓋部分が少しだけ欠けていた。使うには問題ないけれど、無視はできない目立つところだ。
ちょっと待ってね、ストックを見てくるわ……と奥に消えた店員さんは別の年輩の店員さんと共に戻ってきた。どうやらストックはない様子で、その年輩の店員さんが早口で申し訳なさそうに
「ストックはないの。これだけなのよ。250ドルのところを125ドルに割引してあげるわ。……買う?」
とのこと。その価格は魅惑的だった。が、これからずっと使うたびに「ここが欠けてる……」と思わなければいけないと思うと、止めておく方が良いように思う。「その値段は嬉しいけど……やめておきます」と、茶器購入は諦めた。

何だか悔しいので、「クレームブリュレ、買っちゃえ〜!」と買う予定のなかったクレームブリュレを2個、籠の中に。


Soho 「DEAN&DELUCA」にてお買い物
生ポルチーニ($45.00/lb)
オリジナルクッキーセット
オリジナルチョコレート
マーブルパウンドケーキ
クレームブリュレ
Barrel Pickles
$19.35
3×$12.50
$2.00
$5.00
2×$5.00
$6.25

地下鉄に乗ってホテルに帰ると、だんなは私たちよりも先に帰ってきていた。
「寒かったよー!」
「さむかったよー」
「クレームブリュレ、買ってきたよー!」
「くりーむぶりゅ……りゅ、かってきたんだよー」
と大騒ぎしながら部屋に入り、午後5時半過ぎての遅めのおやつ。だんながホテルのすぐそばのダンキンドーナツでコーヒーを買ってきてくれた。

アルミの大ぶりの容器に固められたクレームブリュレは表面がこんがりとカラメリゼされている。これでもかとバニラビーンズが入っていて、ねっとりとしたカスタードクリームの生地はとてつもなく滑らかだった。ふわんふわんとした心地よい食感で、いかにも乳脂肪率が高そうなリッチな味わい。シンプルな外見ながら、めちゃめちゃ美味しかった。久しぶりに食べたパーフェクトなクレームブリュレに、カスタードクリーム好きな私たちはニヤニヤしてしまう。夕飯の時間はもう間近だというのにねぇ。

やっぱりオイスターなのよ〜「Grand Central Oyster Bar & Restaurant」

確か一昨日もこの店に来たはずなのに、今日もカウンターに座って牡蠣を食べている夕御飯。
「いや、でも、こないだはレストランコーナーだったしね」
「そうそう、今日はオイスターバーコーナーだしね」
メニューは、どこに座っても同じなのである。

本当は、"めっちゃすごいステーキ屋さん"と噂される「Peter Luger」なるステーキ屋さんに行ってみようと思っていたのである。そんなに前から予約を入れる必要もあるまいと、高をくくっていた私たちがいけなかった。もう満席で、行ける状況ではなくなってしまった。なんでも、ものすんごく満腹になってしまうそうなので、ニューヨークを昼過ぎに発つ明日の昼食にというのもちょっと無理そうな話だし。

「……で、牡蠣喰いに行こうかと」
夕方電話した向こうで、友人Yは大笑いしていた。
「え?一昨日も行ったんだよねぇ?私と一緒に。な、なんでそんなに牡蠣ばっかりー!?!?」
さぁ?私たちにもわからないのです。牡蠣が私たちを呼んでいるのです。

そして地下鉄に乗って向かったグランドセントラルステーション地下にある「Grand Central Oyster Bar & Restaurant」に向かう。レストランコーナーは混み合っていたので、今日はよりカジュアルな雰囲気のオイスターバーコーナーで。奥では店員さんたちが必死に牡蠣の殻剥きをしまくっているのが見える。

この店のマンハッタンクラムチャウダーは本気で美味しい。真っ白なボストンタイプも捨てがたいけれど、トマト味のも、それはそれで美味しい。
今日は両方試してみましょう、と紅白のクラムチャウダーを持ってきてもらい、半分ずつ交換しながらたっぷりのスープを啜る。
白はこってりドロリととろみの強い、"牛乳じゃなくて生クリームたっぷりなんですよ〜"といった風情の濃厚なもの。赤はそれに比べると断然さっぱりしている。どちらもちょっと細かく砕けているクラムがざくざく入ることには変わりなく、それがシコシコした歯触りでスープに磯の匂いを加えている。

生牡蠣〜♪ スモークサーモン〜♪ そして今日は、1人8個の生牡蠣。更に牡蠣フライのタルタルソース添え。更に、「魚が食べたいよー」と、スモークサーモンも1皿注文した。テーブルの上は魚介料理だらけになって、それに感動している自分はよっぽど魚介に飢えていたんだなぁとしみじみ思う。
スモークサーモンは、お上品に薄切りになどなっていなかった。これは塩鮭ですか?と言いたくなるほどに切り身のまま大ぶりに、しかも3切れも皿に盛られている。レモンと共に添えられているのは黒パンで、ナイフとフォークで一口大に切って口に運ぶとトロ〜ンととろけそうな味がした。ほのかに甘く、適度に塩辛く、旨味たっぷり。火は通っていないけれど生でもなく、独特のツルツルした舌触りに「塊のスモークサーモンなんて初めてかも……」と感動しながらばくばく食べる。

相変わらず牡蠣メニューには20種類以上の牡蠣の銘柄が載っている中、今日もみみっちく一番コストパフォーマンスがよさそうなブルーポイントばかりを食べてしまった。レモン絞ってそのまま啜りこんだり、カクテルソースをちょっとなすりつけていってみたり。
「ああ〜……甘い」
「ああ〜……旨い」
「いくらでもいけそうだよぉ」
「危険だよぉ」
と、各々の視線が中を怪しくさまよってしまうのを自覚しながら今日も生牡蠣を堪能してしまった。

Midtown 「Grand Central Oyster Bar & Restaurant」にて
Oysters (Bluepoint)
Fried Oyster
Smoked North Atlantic Salmon
Manhattan Clam Chowder
New England Clam Chowder
French Fried
Brooklyn Lager
Sierra Nevada Pale Ale
Coke
Espresso
16×$1.45
$8.75
$9.95
$4.75
$4.75
$4.75
$5.75
$5.75
$2.25
2×$2.50

この旅行中に食べた牡蠣の数を1人分見当でカウントしてみたところ、
ボストンで生牡蠣13個・加熱牡蠣4個、ニューヨークで生牡蠣個16個・加熱牡蠣14個、てなところだろうか(うわぁ……)。
そりゃ、T先生から
「せりあさん、牡蠣たべすぎです」
というメール(しかも題名もこれだった)が届いてしまうわけだ……。