食欲魔人日記 00年2月 第1週
2/1 (火)
くるみパン
はちみつ入りホットミルク

今日は都内某所の研修センターで1日研修。遠い道のりのため、いつもより1時間早く起床。
だんなや息子を起こしてしまうのは悪いので、一人音を立てないようにパンを食す。
レンジでチンしてあっためた牛乳に、はちみつたっぷり落として、とりあえず身体はしっかり暖めてから外出。
おお、寒い寒い。

モスバーガーで
 フレッシュバーガー
 スィートポテト
 大根のマリネ
 ホットミルクティー

研修所の側には、ろくな食べ物屋がないのである。かといって社食は不味いと評判の研修所だ。
だーっと800m離れた最寄り駅まで競歩のごとく歩き、1時間の昼休み中20分歩く羽目になる。
それで結局ファーストフードかい、という気がしなくもないが。

モスバーガーにてランチセット。バーガーを頼むと、フライドポテトと大根のマリネサラダ、ドリンクがついてくる。初体験のフレッシュバーガーを頼み、店の片隅で文庫本広げつつひとやすみ。
レタスたっぷり、肉並に厚いトマトの輪切りが入ったフレッシュバーガーは、パンの周囲がサクサクに焼けていて結構いける。
バーガーもごもご、マリネを一口つまんだあと、フライドポテトをフライドポテトのつもりで1つ手に取ると……妙に茶色く焦げている。
「モスバーガーなのに、失敗作のフライドポテト!?」
と不審に思いながら口にすると、妙に太くて甘ったるい。塩気はほとんどなく、ポクポクと妙にほっこりした歯触りがする。まじまじとメニューをもう一度確認すると、「フライドポテト」と書いてあったとばかり思っていた項目には「スイートポテト」の文字が黒々と印刷されているのであった。

「そっかー、スィートポテトかぁ。さつまいもならしょうがないよな〜」
と納得している場合ではない。
さつまいもが嫌いなわけじゃないが、ファーストフード店に入って、バーガー頼んで、紙の袋に入ったあの形状の揚げ芋っぽいものが出てきたらあのフライドポテトの味をどうしても想像してしまう。
「しょっぱいジャガイモのはずなのに……甘い……」
「細くてかりかりしているはずなのに……ほくほくしてる……」
どうしても己の脳にインプットされた味が舌に先に蘇ってしまい、一人たどたどしくスィートポテトを食べ続ける私。とほほ。

だんな特製 チキンマカロニグラタン
成城石井の
 レインボーサラダ
 タラモサラダ
よなよなエール、カフェオレ

紅茶 (PENINSULA)
昔プリン

夜7時、帰宅。帰り道に見つけたスーパー「成城石井」に寄り道して、サラダを2つ買って帰ると、だんながマカロニグラタンを作って待っていてくれた。ドアを開けると、息子の笑顔と共に、台所から漂う焼けたチーズの香り。おお、なんかこれって"お父さん"の喜びじゃないだろうか。

ピザ用チーズがたっぷりかかったグラタンは、鶏肉と玉ねぎとショートパスタがたっぷり入っていた。ベシャメルソースもがんばって自作したらしい。牛乳の香りがほわほわと漂う作りたてのベシャメルソースはめちゃめちゃ美味しかった。
ついつい半分以上がつがつと食べてしまったような気がする(大きなグラタン皿に全員分作っていたのね)。ごめんよ、だんな。

寒い研修所で心底冷えたので、食後はあったかい紅茶。とプリン。
レシピエという紅茶のブレンドティー、名前は「ペニンシュラ」という、どこぞのホテルの名前である。オレンジの皮が入っている、ほうじ茶のような紅茶のような、ちょっと不思議なお茶。はー、極楽極楽。

2/2 (水)
くるみパンのトースト バター乗せ
アイスカフェオレ

本日も研修。いつもより30分早く起きて、パンを温めて食べる。
なかなかハードな研修で、やたらとお腹がすいてしまうので、バターもたっぷりのせてしまう。

仙川 麻布茶房にて
 野沢菜とひき肉のそぼろ御飯・鶏唐揚のみぞれ煮セット

昼食。最寄り駅方面に出向いて、腹がふくれそうな食事処を探す。ファーストフードじゃ全然もたない。

京王線仙川駅。世田谷区と調布市の境にあるこの町に、私は小学時代住んでいた。なじみ深い町である。
今も歩くと、「ソープバスケットの材料を買った手芸店」やら「初めてのエアコンを買った電機店」などが残っている。そして、その並びには大好きなとんかつ屋さんがあったのだ。目当てはそこ!とざかざか歩くが、十数年前の店は果たして残っていなかったのであった。見事に見慣れぬファンシーショップに様変わりしており、途方にくれつつ、近場にあった和風喫茶「麻布茶房」に入る。

「麻布茶房」も麻布茶房で、私の青春の店ではある。
高校時代、学校からほど近いターミナル駅にあった麻布茶房品川店に何度も行き、名物「スィートポテトソフトクリーム」を何度も何度も食べた記憶がある。温かいスィートポテトに、冷たいソフトクリームがとぐろを巻くそのメニューは、相変わらずここの名物であるらしい。
ま、今は昼だし、とりあえずランチセットを頼む。
「野沢菜とひき肉のそぼろ御飯と鶏唐揚げのみぞれ煮セット」お新香つき。1100円。

どんぶりに野沢菜のみじんとひき肉を甘辛く炒めたものが乗る御飯、上には紅しょうがつき。そして塗りの平たい皿に、大根おろしがたっぷり入っただし汁に浮かぶ鶏唐揚がやってきた。汁には筍やかまぼこ、茹で青菜も入っている。
そうそう、どんぶり御飯に唐揚。私はこういうものが食べたかったのだ。
甘辛い御飯をかきこみつつ、大根の辛味が効いた醤油味の唐揚を囓る。時間が無くて7分少々で全てをたいらげ、研修所にダーッシュ。

近所の蕎麦屋 水信 より出前
 鍋焼きうどん
抹茶入り玄米茶

ホットココア

午後7時過ぎ、へろへろになって帰宅するとだんなも帰宅したばかりだったらしい。
「ピザ?」「うどん?」
と最初から出前のパンフレットを広げてしまう、やる気のない私たち。

近隣にある「水信」さんは割とステキなお蕎麦屋さんだ。街の中で、街の人に愛されるような素朴で素直な味の料理を出している。
結婚して初めての冬、夫婦して大風邪でぶっ倒れてしまった週末。誰も御飯を作る人がいなくて、でも鍋焼きうどんが食べたくて、という困った事態に直面した。すぐ近所に蕎麦屋はなく、私たちは電話帳をめくって近所だと思われる住所の蕎麦屋に1軒1軒電話して聞いたのだった。10数件、どこも我が家までは出前をしてくれなくて、途方にくれてしまったところでやっとみつけたお蕎麦屋さんがこのお店。以来重宝して、何かというと使っている。

私、鍋焼きうどん。だんな、かつ丼。息子、たぬきうどん。
3者3様、どんぶりや鍋や重箱を前にがつがつ食べる。
鍋焼きうどんには、大きな海老の天ぷら、鶏肉、青菜にかまぼこ、なるとに椎茸が入っている。だしをたっぷり吸ったお麩も沈んでいる。そいだ柚子の皮が2切れ。おお、絵に描いたような鍋焼きうどんだ。だしの鰹が香って、味醂が多め、ちょっと甘め。いいねぇ、いいねぇ。

ところで、何故「蕎麦屋のかつ丼」はあんなに美味しいのだろうか。重箱入り(いや、どんぶりでも一向に構わないんだけど)、玉ねぎがたっぷり甘辛い汁を吸っていて、そして上には必ずグリーンピースが数個。
中華定食屋のカツ丼とも、とんかつ屋のかつ丼ともまた違った蕎麦屋のかつ丼。その秘密は多分蕎麦屋ならではのだし汁や割り下にあると思うんだけど、どうでしょうか、果たして。

2/3 (木)
だんな特製 卵チャーハン
プーアル茶

朝飯は、前夜の残り物だというのが古今東西の習わしである。
買い置きのパンがあるなどなら話は別だが、大抵、昨夜の残り御飯と昨夜の残り味噌汁、それに簡単な卵料理というのがとにかく古今東西の我が家の習わしなのである。

で、昨夜はてんやものだったわけだ。パン、ない。御飯も、ない。どうも風邪らしく鼻ズビズバだし、ゆえにやる気が無い。
ほげーっとしていると、だんなが冷凍御飯を使ってチャーハンを作ってくれた。具は葱と卵のみ。

だんなのチャーハンは、上手い。そして旨い。
中華鍋に御飯がこびりつくことはほとんどないし、パラパラサラサラで良い感じなのである。
そして、今日のチャーハンは、いつにも増してパラパラだった。
「なんか、いつもと違うよ?」
と思っていたところ、最初に溶き卵と御飯を混ぜ合わせたのだという。
黄色く卵がまぶされた御飯を、中華鍋でふるう。確か、「龍潭」の程一彦さんが使っているワザである。"黄金炒飯”などと紹介されていた黄金色の炒飯は、確かに旨そうだったっけ。
何やらレベルアップを目論んでいるらしい、私のオットなのであった。

チョウシ屋
 コロッケパン (コッペ)
 ピーナッツバターパン (食パン)
Asahi CAFEO

風邪気味で、いまいち調子がよろしくない。
「調子がわるいから、チョウシ屋へれっつごー」
とヘタれきった台詞を心中呟きつつ、歩いて数分の肉屋に向かう。
寒い日は客足も鈍るのか、12時を過ぎたというのに、珍しく誰も客がいなかった。

「コッペでコロッケパン、そいでもって、食パンでピーナッツバターパンね」

おう、今日は目先の変わったものを頼もうとか思っていたのに、思い切りいつもと同じものを口走ってしまった。
すっかり「コッペでコロッケパン、食パンでピーナッツバターパン」がくせになっている自分である。
おばちゃんが、いそいそとコロッケやパンを切っている間、真後ろのガラスにはまる紙っぺらを眺める。「昭和○○年、NHK、男の手料理出演」などという文字が日で焼けた写真が飾ってある。紙の焼け具合と良い、変わらずバットにたっぷり盛られているポテトサラダといい、相変わらず時の止まったような店だ。

いつもはまだ湯気をたてているようなコロッケパンは、何故か今日は冷めていた。人肌程度のじゃがいもは、それはそれで悪くない。若干練りカラシが多い、今日のコロッケパンをぱくつきながらネットサーフィンをし、幾分か多めに入っているピーナッツバターサンドにかぶりつきながら友人にメールを書く。

初めて買った「KAFEO」は"ノンシュガーカフェオレ"と書かれたコピーに嘘はなく、少しの甘さも感じられないカフェオレだった。
「もちっと、甘いほうがいいなー。牛乳多いほうがいいなー。やっぱ、"コーヒー牛乳"だよなー。」
と文句たれつつ昼食を終える。

R1/Fの
 タラバガニの冷製 ラザニア風
 焼きじゃがサラダ田舎風
牡蠣の土手鍋風ホイル焼き
豚汁
御飯
よなよなエール

月が変わったら、月替わりのR1/Fのサラダが気になる、というわけで退社後にデパートに寄って帰宅。
今月のサラダは「市川和志シェフ」のものだそうだ。「レザン・ドール」の料理長を経て、今は西麻布の「レストランW」のオーナーだそうだ。ショーウィンドーに並ぶサラダは、4種類出ているはずのうち2種類しかなく、とりあえずそれをいただいて、帰宅。
貰ったリーフレットには、こんな風に書いてあった。

・市川和志シェフのグリーン・グリーン・グリーンサラダ
 ビタミン豊富な緑の野菜をどっさり、どうぞ。
 マヨネーズではなくベシャメルソースと合わせたところが、市川シェフならではのアイディア。カリッと揚げたじゃこの香ばしさ、クルミの風味が効いて、ちょっと類のないおいしさです。

・焼きジャガサラダ田舎風
 香ばしさとホックリ感。
 じゃがいものおいしさを、ストレートに味わえるサラダです。

・マグロの軽い燻製 オリエンタルサラダ
 ほんのりスモークしたマグロの赤味。
 お刺身やタタキとはまた違う、初めて出会うおいしさです。

・タラバガニの冷製 ラザニア風
 タラバガニと野菜の詰め物が幾層にも重なった美しい一品。
 お客様をお招きした日の一皿に、ぜひ。

フランス料理の前菜のような、ワインを傾けたくなるようなサラダが並んでいる。
でもごめんよR/1F、今日は牡蠣の味噌焼きと決まってるんだもんね、ビールか日本酒をお供に、しかも豚汁予定なんだ。小洒落たサラダは購入しても、あくまでも自分の意思を尊重するわたくし。

というわけで、今日のメインは「牡蠣の土手鍋風ホイル焼き」。
普段使いの味噌をベースに、辛めの仙台味噌を3割ほど加え、XO醤を少々(本当は豆板醤を入れるらしい。でも辛すぎるのはヤなのでパス)、七味唐辛子を少々、それを多めの味醂と酒で伸ばして練り練りし、そこへみじん切り葱をたっぷり加えて練り味噌を作っておく。
それをアルミホイルにペタペタ塗り、えのきとしめじをたっぷり乗せて、軽く湯通しした牡蠣もポテッと盛りつける。1人あたま5個くらい。
それをきっちり包んでオーブンにて10分。
ほわんと湯気のたつ、味噌の香りがただようおかずのできあがり。

そして、豚汁。
胡麻油で豚肉(脂の多い方が旨いよね)をじくじく炒めて脂をチリチリにし、そこへ大根と人参と牛蒡を投入、水を加えてくつくつと煮ていく。今日はこんにゃく入り。あ、里芋入れるの忘れちゃったよ。
全ての料理が出来上がる直前に味噌を溶いてやや濃いめの味にして、ごくごく弱火に落としたところでビールで乾杯。うむ、良い感じだ。

買ってきたサラダは、まぁまぁだった。焼きジャガサラダはちょっと気取った芋サラダ、という感じ。旨いは旨いが、ポテトサラダは大概不味くはないので良くわからない。
タラバガニのラザニア風は蟹の風味が感じられてなかなか良かったが、しかし「お客様をお招きした日の一皿に」と言われても、1人1個680円は痛すぎる。我が家はショボくさく、1個買ってきて両断して分け合っちゃったじゃないか。このショボさが悲しく……多分二度は買えないのだ。とほほほほ。

初挑戦の牡蠣料理は結構良い出来になった。強すぎない味噌味が牡蠣と絡んで旨い。
「これ、旨いよ。いい、いい。」
とだんなが妙に褒めるから何だと思っていたら、
「……でも、やっぱり牡蠣フライがいいなあぁぁぁぁ」
と来たのであった。
まぁ、分かってます。それは。私も牡蠣フライが一番好物だ。
でも、めんどくさいんだもの。揚げ物、大変なんだもの。大体カロリー高くてイヤなんだもの。タルタルソースも自分で作りたいし、そうすると時間が無くってですねぇ……ぐちぐちぐち。(今、モニターの横から「そこで愚痴らなくていいから」、とだんなに言われました。とほほ)

しかしながら豚汁については、
「豚汁、いいなぁ。やっぱいいなぁ、豚汁だよ、うん」
と一人納得していて、そしてそれは他意は無いようなのであった。

2/4 (金)
焼きウィンナー
豚汁
御飯
抹茶入り玄米茶

何やら私の伴侶は、朝から機嫌がよろしいようだった。
珍しく私よりも早く起きだして顔を洗い、おもむろに台所からガスコンロの火をつける音が聞こえてきた。
火を、つけている。
鍋に、火を、つけている。

……そう、あの鍋は豚汁の鍋だ。昨夜作った、"2日目の豚汁"の鍋である。
彼は、朝っぱらから嬉々として豚汁の鍋を温めているのであった。
そんなに嬉しいか、豚汁が。2日目の豚汁が。
寝ぼけ頭で少々呆れる私である。

「卵、焼こうか〜?」
と台所の彼に言うと、
「だいじょぶだいじょぶ、まかせときんしゃい!」
とか言いながらウィンナーを焼いている。
おそるべし、豚汁の魅惑効果。ていうか、そんなに好きかね、君は豚汁が。

銀座 Dear Soup にて
 セロリとオニオンのチーズinクリームスープ Bセット

11時45分、営業先での仕事が終了。
先日に引き続き、今度はランチタイムに挑戦するぞと「Dear Soup」に行ってみることにした。丁度昼休み間際、客が来始めてぽつぽつと席は埋まっているところだ。

カウンターで注文をし、その後料理は席に持ってきてもらう。メニューはスープばかりが10種類ほど、おおむね600円から800円。パンかライスがついてくる。
Aセットはドリンクつきでプラス100円、Bセットにするとドリンクとサラダがついてプラス200円。
私は「セロリとオニオンのチーズinクリームスープ」のBセットにすることにしてみた。全部で800円である。……安くは、ない。

席について文庫本を広げて2分ほど、トレーに乗ったスープがやってきた。丸っこい陶器のスープボールに、なみなみと乳白色のとろんとしたスープ。上にはパセリのみじん切りとクルトンがパラパラと散っている。シンプルな刻みキャベツのサラダにアイスウーロン茶、そしてデザートらしきプルプルとしたゼリーのようなスープのようなものがついてきている。パンは2種類、丸いものがころんと乗っている。充実したトレーの光景だ。

セロリと玉ねぎ、そして大きめのじゃがいもがごろごろと入るスープは、確かにチーズチーズしていた。ぬるくなったら、すぐに凝固してしまいそうな濃度で、口中がチーズチーズの大合唱になる。
ローズマリーの練り込まれたハーブが香るぽろぽろしたパンと、ふわふわの白いパンのどちらも結構スープに合うようになっているようで、スープにつけたりすくったりしながらもしゃもしゃ食べる。む、悪くない。

で、ついてきたデザート然としたものはグレープフルーツのとろとろゼリーであることが判明した。ゆるくゆるく、テロテロの"飲むゼリー"状態のゼリーだ。ほろ苦くて甘さが薄く、100%グレープフルーツジュースが好きな自分としてはちょっと嬉しいデザートだったりした。
ん〜〜、悪くないぞDearSoup。一番安いスープのセットで800円してしまう値段が無ければ、もっとちょくちょく来るのになぁ。
帰り際、
「ココナッツカレー3つと、トマトスープが2つ、パンは4つで御飯が1つ」などとカウンターに張り付いて言っている人がいた。
内容が書いてあるらしいメモを手に、彼はどうやら近隣の会社の若手サラリーマンといった風情だ。なるほど、人気があるらしい。

チキンティッカ
エスニック風炊き込みご飯
よなよなエール、アイスカフェオレ

フィリニ

本日の献立予定は筑前煮だった。蓮根の残りもあるし、筍やこんにゃくなども怠りなく揃えてあった。
だが、どーしてもどーしても筑前煮な気分にはなれない。昨日は和食。予定では明日の晩も和食である。ああ、別のもんが食べたいぞー、とエスニック指向の極端な予定変更である。

まずは豚肉と干し海老の入ったナンプラー味の炊き込み御飯。最後の蒸らしの段階でもやしをどば〜っとぶっこみ予熱でしんなりさせる。かき混ぜてパクチー(香菜)をたっぷりかければ、異国の香りの御飯になった。

調子に乗って、以前買った「メヘラン インド風パキスタン料理スパイスセット」まで棚から取り出す。
「お酒とよくあう辛口焼き鳥ができるマサラです」と説明のあった「ティッカマサラ」なるものを出してみる。説明書通りに鶏肉にまぶし、にんにくや生姜もぶっこみ、玉ねぎと一緒に串刺しにする。エスニック焼き鳥だ。本当はトマトやきゅうりも刺すらしい。

炊飯器とオーブンから怪しげな香りを漂わせながら、ついでにデザートもつくる。
「フィリニ、ミックスゥ〜」
とかドラえもんの声で言いながらスパイスを出している私は相当調子が出てきているらしい。そんなに楽しいかエスニック料理が。自分。
FIRNI MIX。「甘味たっぷりの食後のデザートが簡単に出来ます」とある。牛乳を温めて粉状のそれを溶かし、冷蔵庫で冷やす。

かくして怪しげなエスニック料理の夕べである。
想像よりは辛くなく仕上がった赤い鶏肉を手に、よなよなエールで乾杯。適当に調味した炊き込みご飯はちょっと薄味になってしまったので、味の濃い焼き鳥をつまみながらがつがつ食べる。結構いける。たっぷりのパクチーが摂取できて、それもまた嬉しい私。

デザートは、異国の甘い牛乳デザート。ナッツや干し果実が入っているような、妙に粉っぽいザラザラとしたものだ。
この甘ったるさと異国くささが私は好みであるのだが、だんなはいまいちお好きでないらしい。お、息子は好物か、そうかそうか。って一気飲みしてんじゃないよ、おまえ……

2/5 (土)
エスニック風炊き込み御飯
3日目の豚汁
抹茶入り玄米茶

鍋には一昨日の夜に作った豚汁。
炊飯器には昨夜炊いたエスニック風炊き込みご飯。
両方食べたいが、ミスマッチなことこの上ないような気がする。が、食べちゃう。両方食べちゃわなきゃしかたないし、しょーがない。

でも、不安ほどにはミスマッチじゃなかったらしい。豚汁と一緒に食べるとナンプラー入り炊き込みご飯も、普通のしょうゆ味に思えてくるから不思議だ。
3日目の豚汁は、豚肉も大根もにんじんも、いい加減輪郭を失って崩れつつあり、ついでに味噌も煮詰まってきていて"3日目の豚汁ならでは"の状態だ。これが、また良いのだ。

ケンタッキーの
 和風チキンカツサンド
 ビスケット
 フライドチキン
 フライドポテト
 コーンサラダ
ダイエットコーク

食料買い出しに外へ出ていっただんなが昼食を買ってきてくれた。私のリクエストにより、ケンタッキーフライドチキン。
カツサンドにチキン1つ、ポテトにコーク。私の好物だらけである。それに、ビスケット半分。

ケンタの"ビスケット"なるものは不思議な食べ物である。ビスケットとは言うがいわゆるビスケットとは異なるものだし、パンでもないしスコーンとも違う。で、大体何故メープルシロップをかけて食するのだ。
とかいいつつ、あの油っこさと甘さが妙にチキンに合ってやっぱり大好物なのである。いいねぇ、ファーストフード。

ひじきの生姜煮
鶏まんじゅうのなめこあんかけ
豚味噌鍋
よなよなエール
日本酒 中村酒造 純米吟醸

アンリ・シャルパンティエ
 ショートケーキ
カフェオレ

だんなの高校来の友人、Kさんが遊びに来る。
我が家の恒例冬のもてなし、豚味噌鍋にて歓迎する。酒の肴に生姜の効いたひじき煮と、うずら卵と百合根ときくらげ入りの鶏まんじゅうを作成。ビールと日本酒も用意して、宴会宴会♪

一人暮らしの客人は大概鍋料理を喜んでくれる。パスタよりも煮物よりも、やはり鍋が一番一人で食べづらいものだからだろうか。700gの豚肉は、結局ほとんど無くなってしまった。

デザートは、Kさんが土産に持ってきてくれたアンリ・シャルパンティエのケーキ。ケーキ、どこのが好みかと聞かれていたので、ねだって買ってきていただいた。

Kさんは、我々と対極に位置する「食べ物に頓着しない人」なのである。
美味しいものは美味しいと感じ、それはそれで嬉しく思うらしいが、「美味しいものに大枚をはたく」であるとか「美味しいものを入手する為に努力する」といった行動を取ることに意義を見いださないのであるらしい。

以前、彼が彼女と御飯を食べる際の話に及んだ時には
「外で飯食って、アルコール1杯とかとると、2人で3000円超えちゃうんだよねぇ」
と彼は言っていた。
"外で飯食って、アルコール1杯"で、とっても少なく見積もって1人3000円超えちゃう我々はどうすれば良いのだ。

そしてその時彼は、手みやげとしてコージーコーナーのケーキを持ってきたのであった。銀座のど真ん中を通過してきて、なにも"村さ来"並に点在するチェーン店のケーキを持ってこなくてもよかろうに。……と彼に言ってもどうやら彼は分からないらしいのであった。
「だって、有名だし、どこにでもあるし」
というのが彼のケーキ屋を選ぶ基準であるらしいのであった。
そーんなんじゃ、甘いもの大好きな女の子のハートは射止められないぞーと、そんな事を話したのを覚えている。

2/6 (日)
中華粥 with 油条・香菜
プーアル茶

昨夜の宴会から、結局泊まることになったKさんと共に皆で朝食。
昨日からだんなが仕込んでいた中華粥を温め、冷凍しておいた油条を解凍。買い置きしてあった香菜を刻めば、なんとなく本格中華風の粥朝食になった。
お代わりしていたところをみると、Kさんも結構気に入ったようである、朝粥。

たこ焼き
麦茶

我が家には1000円で買ってきた鉄製のたこ焼き器がある。分厚い鉄の板に9つの窪みがついた、熱源もついていないシンプルなたこ焼き器だ。1000円という値段につられ、だんなが目を輝かして購入してきたやつだ。
それを使って、昼食はたこ焼き。購入後2回目の挑戦だ。

具はキャベツと長ねぎ、紅生姜、揚げ玉、かつおぶし。あとは適当に切ったごろごろとしたタコ。
何べんやっても、どうしても「丸」に作れない私はただただ座して、だんなが焼いてくれるをわくわくして待つ。
こんがりとまんまるに焼かれたたこ焼きを次々と皿に乗せてもらって、かつおぶしと青海苔をたっぷり、それにおたふくソースもどっちゃりかけてかぶりつく。

「ぷす。はふはふはふ。」と喰っていると、小学生の頃読んだ、『Dr.スランプ』のとある話を思い出してしまう私。
確かラストは、アラレちゃんが月に電柱だかを刺して終わるんじゃなかったっけか……などと思いながらはふはふ食ってる昼下がり。

焼き肉
 タン・カルビ・にんにく・南瓜・茄子・ピーマン・長ねぎ・玉ねぎ
ビール、麦茶

ひっさしぶりに焼き肉。

「焼き肉?焼き肉?」
と提案してくるだんなに
「そーだね。最近、肉喰ってないし、私病弱で滋養が足りないし」
と答えたところ、力いっぱい
「嘘をつけっ!」
とツッコミが入った。
はい、いたるところウソばっかです。

肉はニュークイックにて厚切り牛タンを入手。この厚切り牛タンを食うと、他の牛タンが食えなくなる。他は100g300円くらいの和牛カルビと100g500円の松坂牛カルビをほんの少々。
野菜は茄子や南瓜をたっぷり。それに長ねぎ玉ねぎも揃え、忘れちゃいけないにんにくの塊。じっくり焼くと美味しいんだ、これが。

【せりあ家に於ける焼肉之掟(第3版)】

【宴の支度】
・肉は最低タンとカルビの二種を用意すべし。
・野菜も葱、茄子、南瓜やにんにくを基本とし、十二分に用意すべし。
・タンには充分塩胡椒をし、葱のみじん切りと油をかけておくべし。
・ビールは怠りなく冷蔵庫に準備し、ビールグラスも冷凍庫にて冷やしておくべし。
・テーブル上の花瓶、菓子入れなどは遠地に避難させるべし。
・食堂の床は充分に清掃すべし。埃残る場合は油染み込み、後々大変。
・テーブル側にカーペット、ソファなどある場合は新聞紙などにてカバーを施すべし。
・クーラーを空気清浄モードに切り替え、匂いが他室に移らぬように食堂のドアは閉めるべし。いざ!
【宴の途中】
・最初はタンを存分に味わうべし。
・喰い始めたら、肉のカロリーがどうの、体重の増加がどうのという些事は頭から抹消すべし。
・焼き肉にビールは最高であるが、それ故にビールで腹を満たさぬよう控えめにすべし。
・長葱は鉄板の隅にてじっくりと腰を据えて焼くべし。
・にんにくの量は各自、翌日への影響を鑑み調整すべし。
・最後は肉のエキスが染み込んだ鉄板にてガーリックライスを満喫すべし。焼きそばもまた良し。
【宴の始末】
・休むと再起動不能となる可能性が限りなく高い為、食後即座に片づけを開始すべし。
・テーブル上は特に念を入れて油を拭くべし。
・余裕ありし場合は床も丹念に清掃すべし。
・別室の洋服に焼き肉の匂いが付着しようとも、後悔はすべからず。
・宴後、当日は一切体重計に乗ってはならない。自ら、及び家人の腹を見ての溜息も厳禁。
・翌日はヘルシーな献立をと考慮すべし。

本日の焼き肉も美味しうございました。
サンチュも用意したので、こいつに御飯を少々、コチジャンもほんの少々乗せて、たれをたっぷりつけた焼き肉と一緒にくるくると巻いて食べる。もー、肉と葉っぱと御飯の食感がいっしょくたになっちゃって何とも言えない味である。

焼き肉は、すばらしい。
すき焼きよりも、ステーキよりも、"自分は今、肉を喰ってますっ!"という充実感が身体に広がって良い感じである。焼く前の厚切りのタンからは血がまだ滴っていたり、生々しいケモノの匂いなんかがしてくるのだけど、そこがまた良いのだ。

最後は牛の脂や野菜の汁をたっぷり含んだガーリックライス。
薄切りにんにくをこんがり炒めて、そこへたっぷりのバターと一緒に御飯を入れる。味つけは醤油のみ。は〜ん、シアワセ。