食欲魔人日記 00年10月 第4週
10/23 (月)
肉じゃが (夕御飯)
だんな特製ホットドッグ
カフェオレ
グリコヨーグルト健康

「今朝もホットドッグでいいですか〜?」
と朝も早よから朗らかにだんなは台所で動いている。
「コーヒーも入れよう♪」
「今日のキャベツはまたちょっと工夫したんですよ、ふふふ。」
……何だか御機嫌だ。

"キャベツの工夫"とは、カレー粉炒めじゃなかった。今日はカレー粉抜きで、しんなり油で炒められている。どこが工夫かと思ったら、カルピス特撰バターたっぷりで炒められていたのであった。確かにキャベツからはふわふわとバターの良い香りが漂ってくる。良い感じだ。

こんがり炒めたソーセージ、くたっとしたキャベツと上には今日もとろけるチーズ。それをオーブンでほこほこに温めたやつがテーブルに出てきた。煎れたての熱いコーヒーにミルクを垂らしたカフェオレと、"グリコヨーグルト健康"。
"グリコヨーグルト健康"を見ると、ついつい「グリコヨ〜グルト♪けんこう〜♪」と歌ってしまいたくなるのは私だけではないだろう。酸味が少なくてプルプルしていて優しい甘さのこの昔ながらのヨーグルトは、相変わらず美味しい。もちろんホットドッグも最高に美味しい。

吉野家の
 牛カルビ丼
麦茶

季節の変わり目、風邪気味だった息子はまた熱を出してくれた。雨の一日、家でごろごろ。
食欲の無い息子にはバナナとヨーグルト、ゆで卵などを喰わせつつ、私は「……手抜き。」と冷凍庫を漁る。今日も冷凍庫に吉野家牛丼はみっちりと詰まっている。増えているわけじゃないのに、なんだか一向に減らないような気がして、冷凍庫を開ける度に私は「牛丼屋じゃないんだから……」と悪態をつきたくなるけれど、だんなはそれが幸せなのであるらしい。

で、牛丼の具と見比べつつ、結局冷凍カルビ丼の具を取り出した。吉野家のロゴのオレンジも鮮やかな袋をグラグラと茹でて中身を御飯にぶっかける。甘辛い、いかにもな焼き肉のタレの味がするカルビ丼だ。上から白髪葱と胡麻をふったら何となく美味しそうになった。麦茶を傍らにがつがつ食べる。

杏仁茶

あまりに寒いのでおやつに杏仁茶。
杏仁豆腐の素になる粉末の「杏仁霜」をマグカップに入れ、熱湯加えて砂糖を溶かす。ただそれだけ。液体の杏仁豆腐のような味がする飲み物だ。"杏仁"には薬膳として咳止めの効果があるらしい。ほのかに甘い匂いがする、ちょっとばかり粉っぽいお茶は私の好物。ちなみに牛乳を入れたり、砂糖の代わりにコンデンスミルクを入れても美味しいのだ。

茹でキャベツと蟹のサラダ
肉じゃが
豚汁
御飯

夕方から一層大雨になってきて、今日はかなりの寒さだ。こういう日はあったかい料理を作るに限る、と早めに豚汁を作り始める。脂だらけのやっすい豚バラ薄切り肉を炒め、ごぼうと人参、大根と一緒にくつくつ煮る。里芋やじゃがいもを入れても悪くないけど、芋を入れると翌日にはぐずぐずに崩れてしまっていまいちなのだ。だから我が家の豚汁に芋は滅多に入らない。油揚げはたまに入る。こんにゃくもたまに入る。

メインディッシュは肉じゃが。小林カツ代さんの本で読んだ作り方を参考に、フライパンでガーッと作る手法に挑戦してみる。
フライパンで玉ねぎ炒めて真ん中を空けて肉をどかんと乗せ、肉をめがけて味醂と砂糖と醤油を放り込み、ジーッとそのまま我慢して調味料が煮立ったところでジャジャッジャとかき混ぜ、じゃがいもと水を加えて10分煮込む。おっそろしく技も手間もない肉じゃがだ。道場六三郎の作り方じゃ"命のだし"を取ることから始まり、やれ"肉は鍋にびっしり薄く広げろ"だの"落とし蓋を使え"だのと難しいのに、こんなんでよろしいんでしょうか。

茹でキャベツと缶詰の蟹を混ぜて粒マスタード入りのドレッシングで和えたサラダを作る傍らにちゃっちゃと作った肉じゃがは、想像以上に旨そうだった。少なめの水分で一気に炊いたじゃがいもは、なんだか石焼き芋のようにほっこりしている。ちょっと細かく切りすぎた玉ねぎが溶けて崩れてしまったのだけが残念だったけど、牛肉は煮含められて美しい色に染まってくれた。かなり美味しい。とても美味しい。カツ代先生、ブラボーである。

そういえば、小林カツ代さんはテレビ番組「料理の鉄人」じゃがいも対決で陳建一を破ったんだったっけか。「ちょっと時間が余ったので肉じゃが作っちゃいました〜♪」とか言いながらすごい数のじゃがいも料理を作ったのだった。
「美味しそうだったけど、確かに美味しそうだったけど"肉じゃが"はずるいよ〜。」
と語り合ってしまった我ら夫婦。だってそりゃ、"お袋の味"は何にも勝るものだと思うし。

10/24 (火)
茄子とベーコンのリングイネ (夕御飯)
薄切り煮豚
2日目の豚汁
納豆
御飯
麦茶

さて、私は納豆が好きだ。

毎日食べるほどに好きではないけど、たまーにむしょーに食べたくなる。先日は久しぶりに納豆ミニパック3つ入りを買ってきた。朝から容器に箸を突っ込み、ねりねりねりねりしている私の横に座るだんなは納豆嫌いである。3つの納豆の消費は私の肩にのしかかっているのであった。
幼き頃に数年大阪に住んでいた彼に言わせると
「けっ!あないなクサれ豆」
であるらしい。クサれ豆であろうと実際に臭かろうと、それが好きなんだから仕方がない。ねりねりねりねり。

納豆かけ御飯に、2日目の豚汁、そしてさんざん味が染み込んで何やら黒々としてしまっている煮豚の薄切り。準備は楽なくせに何だかすっごい御馳走な朝御飯。

納豆飯に豚汁は似合う。豚の脂身がふわふわと浮く豚汁のコクは、納豆の粘っこさと妙に釣り合ってしまうのだ。同じく濃厚な薄切り煮豚は表面から厚さ2mmほどが完全に黒々と変色していて、噛むとじわ〜っと肉汁が染みてくる。どれもこれもが一言で言って"濃い"食卓で、今の「粗食」ブームに今日も背を向ける我が家の御飯(あ、でも納豆は"粗食"かもしれない)。

卵サンドのコッペパン
自家製マンゴープリン
ホットミルク

今日も会社を休んでいるのである。昨日39℃を越えた息子の熱は下がりつつもあるものの、まだ保育園には連れていけない。とほほほほ。

昼御飯は、ドッグパンが1つ残っていたのでこれをサンドイッチに。ゆで卵を作って刻み、オリーブとピクルスの刻みも少々放り込み、マヨネーズで和えたものを準備。サニーレタスと一緒にそれをパンに詰めて、そいつを息子と半分こする。あっためた牛乳に蜂蜜少々垂らしたものも2人分用意。週末に作ったマンゴープリンの最後の2個もテーブルの上に。

一見子供っぽくなった昼御飯は、やっぱり息子の心にヒットしたらしい。もくもくとパンを喰い、プリンを喰い、ミルクを飲み干した後はにこにこしながら昼寝してしまった。……私も昼寝すっかなー……。

茄子とベーコンのリングイネ
フレーバーティーのアイスティー(巨峰)

だんな残業の本日、ちゃちゃちゃとパスタの夕御飯にすることに。
冷蔵庫の中を覗き、茄子を発掘、ついでに塊のベーコンとも目があったので、これをつかってオイルパスタ。

オリーブ油で薄切りにんにくを炒め、ベーコンと茄子を投入。じっくり炒めてベーコンの脂を茄子に絡ませておいてから茹でたてのリングイネを放り込んで軽く炒める。ベーコンは薄切りになってるやつを使うより、塊のをごろごろザクザク切った方がやっぱり美味しいと思う。脂が抜けすぎてカリカリのパサパサになることなく、表面がじっくり焼けた塊ベーコンは殊更に美味しい。

出来上がりを急いでテーブルに運んで盛り付けて、写真を撮ったらすかさず食べる。スープは作らなかったので、代わりに紅茶をポットに作り、氷を詰めたマグカップに流し込む。「巨峰」なる種類のフレーバーティーは、恐ろしいことに本当に巨峰の匂いがした。甘い匂いはするくせに、味は甘さがなくてただの紅茶、というフレーバーティーは実のところあんまり好みじゃないけど、たまに飲むには悪くない。

胡椒を横に持ってきて、ガーリガーリと挽きつつパスタを食す。ついでにパルメザンチーズの塊も持ってきて、こいつもガーリガーリとおろしつつ。
何物も、加工されてるやつじゃなくて塊のものを切るなり挽くなりおろすなりするのが絶対美味しいし、しかもなんとなく料理上手に見せてくれるので、色々とお得だ。多分。
明日は魚が食べたいなぁ……。

10/25 (水)
海老マカロニグラタン (夕御飯)
卵御飯
3日目の豚汁
麦茶

最近見たテレビだか読んだ本だかによると、「生卵を御飯にぶっかけて食べる人」というのは少なくなってきているのだそうだ。我が家では一向に少なくなってきていないのだけど、生卵のどのへんが好かれない要因になってるんだろうか。あの白く濁った糸状の「カラザ」の気持ち悪さがいけないのか、あるいは環境ホルモンあたりがいけないのか、そもそも全体的なぬるっとした食感がいけないのか……よくわからない。生卵、美味しいのに。

そのような社会背景はともあれ、我が家は
「今日は、たまごごはんにしましょうかー」
「いいですねぇ〜」
と何とも気の抜けた会話を朝からしているのであった。でっかい煮豚の1切れがまだ中華鍋の底に横たわってはいるのだが、今朝はそれは切らずに御飯と味噌汁、そして生卵。
3日目の豚汁は、大根のエッジも崩れて肉も脂身がほろほろと崩れて分解しかかっている。このグデグデさが美味しくて嬉しい。

木村屋ペストリーショップ
 スペシャルサンド
 デイリースープ

銀行に行かねばならない、と昼休み開始直後に会社を出る。築地の銀行群のそばにあるのが木村屋ペストリーショップ。久しぶりにここのサンドイッチを食べよう、と扉を開けると超満員だった。中で食べるのは諦めて、「スペシャルサンド」600円なりを買って帰る。テイクアウト用のデイリースープもぬかりなく袋に入れてもらってきた。
今日も店は活気に溢れていて、棚の上に横にと山のように菓子パンの入った籠がところせましと並んでいる。パンを買うだけで、店中から「ありがとうございましたー!」と合唱されてしまい、なんちゅーか「良い」のである。

発泡スチロールのカップに入った熱いスープには柄の長いスプーンもついている。具沢山の濃厚なスープはスプーンが無ければ上手く飲めないほどだ。本日の茶褐色のスープにはきのこが沢山入っている。カップの縁になすりつけるようにしてサワークリームまでついていた。赤くないボルシチのような(それじゃボルシチじゃないって……)、じゃがいもの入ったほの甘いスープだ。相変わらず美味しい。

スペシャルサンドは2種類のサンドイッチ。なのに具は10種類以上も入っているだろうか。
1つのサンドはごくごくシンプルなハムサンド。バターをたっぷり塗ったパンにロースハムが1枚ぺろりと挟まっている。もう1つは具沢山の分厚いサンドイッチ。ゆで卵、チーズ、ドレッシングで和えたきゅうり、レタス、ついでにコールスローサラダっぽいもの。それらが計算されているようなざっくばらんのような模様を描いてパンの間に不規則に挟まっている。右から食べると卵味。左から食べるとコールスロー味。妙に調和が取れている。

平日で最も外食率の高い昼御飯。ぜひとも写真を撮りたい。撮ってどんなに旨いかアッピールしたい。したいけど、会社の机の上にサンドイッチ乗せて真剣な面持ちでデジカメを構えたりなぞしたら、そりゃ変な人である。角度考えてサンドイッチを回転させたり身を乗り出したりなぞしたらますます変な人である。自然光が欲しいと、ファイルの積まれた窓際にサンドイッチを持って行って眺めたりなどしても、やっぱり変な人だろう。
どこか食べ物屋の中ならばまだやってみる度胸はあるけれど、さすがに会社でそんなことはできないのであった。小心者。

リッツ
フィラデルフィア パイナップル入りクリームチーズ
デンマーク産 "BUKO Rum Rolle"
海老マカロニグラタン
従姉妹の結婚式で貰った白ワイン

だんな、激ジョブであるらしい。とっとと帰ってきた私は息子と一緒に夕御飯作成。いや、息子は横に立ってただ見ていて「おいしそー!」「うわぉ!」と激励してくれただけだ。それも手伝いのうち。

今日はシンプルな海老マカロニグラタン。安売りしていたむき海老を買ってきて、茹で、マカロニ……は切らしていたので木の葉の形のショートパスタを茹で、缶詰のマッシュルームを薄切りにし、それをホワイトソースで和えてパン粉ふって粉チーズふってバターを散らしてオーブンで焼くだけ。せっかくだから、とバターで小麦粉炒めて牛乳で練り、ホワイトソースは手製にする。なに、ホワイトソースなぞ10分もあればできるのだからレトルトを使う意味はない。

2人分のホワイトソースはバター大さじ1に小麦粉大さじ2。これを軽く炒めて粉っぽさを無くしてから数回に分けて300ccの牛乳を入れ、弱火で5分ほどフツフツさせながら煮詰めるだけ。ダマになったら容赦なく泡立て器でかき混ぜちゃれ。うりゃうりゃうりゃうりゃ。ダマになろうがならなかろうが、自家製ホワイトソースはレトルトよりも数段美味しい。

15分かけてオーブンで焼いている間にリッツの小袋を開けて、チーズを用意し、軽く一杯することにする。披露宴の引き出物の1つだった、列席者の名前入りハーフボトルのワイン。これを開けてリッツにチーズをぺたぺたとつけて食す。喉も乾いていたので、思わずワインをグラスに2杯、一気飲み。

さて、食卓には初挑戦のチーズが出ていた。デンマーク産のそのチーズは、チーズの福袋の中に入っていた一品だ。
ビニールに包まれたそのチーズは、ナッツがまぶされてどうやらラム酒が染み込ませてあったようだ。袋を開けると周囲に広がる豊潤なラム酒の香り。

……確かに、ラム酒とチーズはそれぞれ単品なら似合うかもしれない。しかし、ラム酒に浸ったチーズは、はっきり言って不味かった。周囲にまぶされたナッツも酒臭くなっていて、なんだかすごい状態になっている。薄切りにして皿に盛ろうとしても、ぐずぐずとアルコールを周囲にまき散らして崩れてしまうのだ。リッツにも合わない。ましてや単品でも食べられない。かと言って料理に利用できるシロモノだろうか。捨てるのも忍びないし、でもこれ以上食べる勇気はない。大体、捨てたら食欲魔人の神様から天罰が下るだろう。ダイエットの神様は足蹴にするような真似をするくせに、食欲魔人の神様には忠実な下僕である私。
……とりあえず問題は先送りにしようと、ラップに包んで冷蔵庫に戻す(←そうしてまた後日に泣きをみるのよ……)。

グラス2杯のアルコールがほどよく体内をかけめぐって、わけもなくシアワセになってきたところでグラタンが焼けた。こんがり黄金色の皿を取り出し、食卓へ。シンプルなシンプルなグラタンはとろりふわふわで良い出来だった。表面のチーズとパン粉がカリカリとして良い感じだ。
マカロニしか食べようとしない息子と一緒にハフハフしながら一皿食べる。こりゃ美味しいわ。

10/26 (木)
チャーシュー丼 (朝御飯)
チャーシュー丼
4日目の豚汁
冷茶

4日目の豚汁は、そろそろ危険な色合いを帯びてきている。別に悪くなったりしてるわけじゃないけど、全体的にどよよ〜んと味噌が煮詰まりきり、具は崩れ、肉は極少となり、それが結構美味しかったりはするのだけれど「そろそろ僕、限界です」という憂いを湛えた豚汁になっているのである。最後の豚汁を大いに味わう。

主食はチャーシュー丼。作成から早や5日目。表面がテラテラと褐色に光っている塊肉をさくさく切って御飯に乗せる。「丼」と言ってもどんぶり飯級の御飯を朝っぱらから食べるわけでなく、普通の茶碗に普通盛りの御飯にチャーシューを乗せただけなので注意されたい。
御飯にチャーシュー、白髪ねぎを乗せて煮豚のタレを少々垂らす。七味唐辛子をふって、いただきます。

煮込まれて浸されて、醤油の塩分がしっかり染み込んだ煮豚は、タレをかけなくても充分なほど強い味がした。濃厚な豚汁にもたっぷりの葱を放り込んで、全体的にねぎねぎした朝御飯。

銀座 スワンベーカリーの
 クリームパン
 コロッケパン
カルピスソーダ ノンカロリーお得缶

「チョウシ屋のコロッケパン……」
と会社を出たが、思った以上の陽気に「やっぱ、クリームパン……」と方向転換。近隣で菓子パンと言ったらここ、のスワンベーカリーに赴いたは良いけど、何故そこでコロッケパンを買って帰るか私。

「本日のパン」と札のついたこの店のコロッケパンを見たのは今日が初めてだ。素朴な感じのざらっとした表面のコッペパンは横に切込みが入り、コロッケ1つが2等分にされ、ソースがかけられて挟まっている。それを1つと、クリームパン1つ。近くの自販機で490mlのお得缶カルピスソーダ120円(しかもノンカロリー)を発見したので、これも抱えて会社に帰る。

スワンベーカリーのコロッケパン。距離100mほどを隔てたところに、コロッケパンの大御所「チョウシ屋」があるというのに、冒険心溢れた商品だ。私ならずとも、「チョウシ屋とどっちが美味しいかなー」と考えながら食べてしまうことだろう。
パンはパン屋のパンらしく、良い味がする。全粒粉でも使っているのか、やや茶色くものが混じった生地は、ずっりしと歯ごたえがある。チョウシ屋で使っているような、大量生産品の「ふにゃあぁぁぁ」というコシの無さとは程遠い。パン1つ取ればスワンベーカリーの圧勝だけど、しかしこれはコロッケパン。コロッケの衣のサクサク具合、ソースのパンへの染み込み具合などを考えると、あの「ふにゃあぁぁぁ」なパンの方が実は似合うのだった。

そしてコロッケだ。ラードで揚げたチョウシ屋コロッケはじゃがいもたっぷり、ほんのりと甘い。油も多いが、さくさくとして美味しいのだ。果たしてスワンベーカリー、衣はサクサク良い感じだけど、どことなく蛋白だ。そして甘さよりも塩気が勝っている。じゅわっでなく、ぽそぽそ、という感じ。決して不味いコロッケパンじゃないけれど、やっぱりチョウシ屋にはかなわないのであった。

……でも、もっさりこってりカスタードクリームのクリームパンは相変わらず旨かったりして。もぐもぐ。

サバの味噌煮
しじみの味噌汁
米久の
 赤飯・松茸おこわ
よなよなエール

むぎわらぼうしの
 マンゴープリン

「魚が食べたい」
ここ数日、ずっと魚に飢えていた。近所の生協じゃろくな魚介は売ってないし、今日は退社後にデパートに急ぎ寄って食材入手。脂の乗った美味しそうなサバがめっかったので、帰って早速サバ味噌にすることにする。200円のしじみも買って、これは味噌汁にしよう。御飯を炊く余裕はきっとないから、ついでにおこわを2種入手。季節の松茸おこわ1人前に、大好物の赤飯1人前。明朝用のパンも購入し、かくして買い物袋を3つ4つ、シャリシャリ言わせて帰宅。

さば味噌、案外簡単なのである。酒1カップ煮立たせてアルコール分を飛ばし、だし1カップを足して更に煮立たし、味噌大さじ2に砂糖大さじ2、醤油をちろりと垂らしたら、サバを鍋底にずらりと敷いて、落とし蓋をしてあとは弱火で10分少々。薄切り生姜をべらりとふっておくのも忘れちゃいけない。

「しじみの味噌汁は胡椒を入れると泥臭さが取れる」なる言葉をどこかで読んだので、できあがり間際に胡椒をガリガリ挽いたしじみの味噌汁も作り、そうして揃った魚介の夕御飯。
だんなは煮魚があまりお好きでないらしいけど、私は大好き。醤油と味醂で煮込んでトロ〜ンとした魚はまた格別だ。今日のサバはこれまたヒットで、見事な脂の乗り方だった。噛むと白い身がほろほろ〜と溶けていって、青光りする皮もこれまた旨い。上から白髪葱をふるところだけど、今朝刻んだ葱が残っていたので小口切りの葱をうりゃっとかけて食す。

で、デザートは本日福岡から届いたマンゴープリン。
すきすきまんごぷりん宛に「ここのプリンは美味しいですよ」と店の人直々にメールをお送りいただいてしまったので、それは買わずんばあらずというやつで。昨日作りたてだというそのプリンは、とろんと溶ける柔らかさだった。いやん、嬉しい。

しかも今日はサイコーに嬉しい一言を、一番言って欲しい人に言われたもので舞い上がってる私。
「結構写真上手じゃないですか。充分ですよ。」
料理のプロにそう言われたんだから、とりあえず喜んでも宜しかろう。万歳。

10/27 (金)
ぶりの照り焼き 皮のカリカリ焼き添え (夕御飯)
Johanの
 ツナパン
 チョコデニッシュ
 カヌレ
カフェオレ

昨日、久しぶりにJohanで菓子パンを買ってきてみた。
全体的にもちもちとした食感のパンが多いJohanは昨日も大人気。「夕張メロンパンが焼き上がりましたー!」なんて声高の案内が響くなか、人ごみかきわけパンを買う。だんなも私の大好物のチョコデニッシュは2個、息子にかぼちゃの蒸しパン、だんなにカレーパン、私にはツナパン。ついでに"カヌレ"を見つけてしまって久々に恋しくなったので、これもトレイに乗せてみた。

だんなが熱くて苦いコーヒーを煎れてくれる間にパンを温める。カレーパンとツナパンは焼かねばならない。アツアツのサクサクになったところがやっぱり美味しいと思う。
苦みがあってこってり濃厚なチョコレートの入るデニッシュは、相変わらずふわふわと生地の層が厚くていかにも「バターたっぷりです」という感じ。もう1.5倍ほどチョコレートが多いといいなと思いながら、ほろほろと崩れるデニッシュにかぶりつく。マヨネーズがあまり強くはないツナパンは、パンの甘さが少なくてちょっとばかり大人向けだ。

で、で、「カヌレ」。
数年前、初めて見たときは「なんじゃこりゃぁ」と思ったが、その食感がけっこう好みだったりする。中央に穴の開いて周囲が凹凸に波打っている、手のひらサイズのころんとした焼き菓子だ。表面は真っ黒でカリッとしているくせに、中は半熟のように妙にしっとりとしてネチモチネチモチしている奇妙なお菓子。ちょっと前に何故かやたらと流行っていたけれど、最近はあまり見かけなくなってしまったカヌレ。

なんでもフランス南西部ボルドーの伝統菓子なのだそうである。17世紀前後に修道院で作られていたという。小麦粉の少ない生地は、青銅の型で小一時間ぐつぐつと火を通されると煮込まれてすっかり粥状になり、それがこの食感の秘密なのだとか。理由や伝統はどうあれ、歯に絡まって何やらニチャーっとしてくる食感と共に、卵と粉と牛乳で構成された砂糖たっぷり濃厚な甘さが好みだったりする。

銀座 かすみ亭の
 からあげ弁当
緑茶

朝御飯がパンだったので、昼御飯は御飯もの。
お気に入りの弁当屋に出向き、あれこれ見た挙げ句、結局いつもの「からあげ弁当」を買って来てしまった。「お肉屋さんのお弁当」なんてノボリが立っちゃっているのだから、やはり肉ものを喰わなければ、と思う。

ちょっと多めの御飯の中央に乗る固めの梅干し。濃い目の味付けの大きな鶏唐揚げが5個、刻みキャベツの上にどかんどかんと盛られている。唐揚げの油と熱を吸ってしんなりしちゃったキャベツがまたちょっと良い感じだ。十年一日のごとく変わらない添え物はバター風味濃厚なナポリタンスパゲティー、茶色く染まった煮卵、煮卵の脇に入る柴漬け。煮卵齧ると「ああ、かすみ亭だ」と思ってしまう私は、すっかりパブロフの犬かもしれない。

このお弁当屋のユーザーはほとんどが近隣のサラリーマンだというのに、相変わらずニンニクが効きまくっているところがまたすごい。気にしないで食ってる私ももしかしてすごいのかもしれないけど。(昼食後は当然歯磨きしゃこしゃこ)

ぶりの照り焼き 皮のカリカリ焼き添え
ほうれん草のお浸し
納豆
しじみの味噌汁
御飯
麦茶

だんな、飲み会だそうだ。何でもワゴン式飲茶食べ放題の、広尾は香港ガーデンに行くらしい。いいなーいいなーいいなー。

私は息子と一緒に和風夕食。昨日、デパートで脂がコテッと乗ったぶりを買っていたのだ。やはり照り焼きだろう、ここは。
「ぶりの照り焼きは、最初に皮を取っちゃって、その皮をカリカリに焼いて添えると良い感じ。」
とどこかで読んだのでいざ実行。最初に皮をピピーッと取ってしまって、テフロンフライパンで身と一緒にじくじく焼き始める。皮はよそ見してるとクルクルと丸まっていってしまうので、菜箸とフライ返しを駆使してぎゅうぎゅうと押しつけ、平たくパリパリになるまでじっと我慢。薄い皮がパリパリになったらそれは除けて、引き続き身をじくじく焼く。1回裏返して程良くこんがり焼けたら、上から味醂をジャッとかける。醤油もジャッとかける。砂糖はほんのひとつまみ。煮詰めつつ絡めて、味醂と砂糖が溶けて煮詰まりトロンとなったらできあがり。
タレに魚をしばらく漬けておく照り焼きも美味しいけど、こっちの作り方も香ばしくできるので美味しさそれぞれだ。どっちも美味しい。

昨日の残りの味噌汁と、小さなカップ入りの納豆、ざっと茹でたほうれん草も添えて、何だかとても純和風の夕食。
コテッと煮含めた照り焼きは、やっぱり脂充分だった。焦げもせず綺麗に焼けた皮も、カリカリサクサクとして食感の違いが良い感じ。ふわふわとした身が"もうすぐ冬で、僕の季節が到来です"と言っている。そう、もうすぐ「ぶり大根」の季節なんだよねぇ。

10/28 (土)
築地玉寿司(台場)にて (夕御飯)
有明 Marcy'sにて
 てりやきカルビマントウ
 ビーフそば
 アイス烏龍茶

本日は13時より竹芝の四季劇場にて観劇だ。「ライオンキング」。
母に来てもらって息子をその間見てもらうことにする。距離は近いけれど最短距離をいく上手い交通手段がないために、バスを乗り継いで行くことに。乗り換え地の有明国際展示場付近で、軽く朝飯を喰って行くことにする。工作機械の展示会をやっているらしい有明は、土曜日だというのにスーツ姿のサラリーマンでいっぱいだった。

実際、有明にはろくな飯どころがない。あるのは早く簡単に食べられるファーストフード系ばかり。でも、その中の1つ、「Marcy's」は結構お気に入りだったりする。中華系ファーストフードのこの店のメイン料理は"マントウ"で、肉まんの皮のようなあの白くてもちもちした袋状の皮におかずを詰めたやつなのだ。これがまぁ、非常に安っぽい味なんだけどそれが妙にはまってしまう。

700円前後で食べられる「麺セット」は好みのマントウと麺、好きなドリンクがセットになっている。
だんなと一緒に麺セットを注文し、てりやきカルビマントウと味噌そぼろマントウ、ふかひれめんとビーフめん、アイス烏龍茶をトレイに乗せて、他席の煙草の煙が届いてこない奥まった席にて素早く食べる。

ああ、相変わらず安っぽい味なのである。化学調味料バリバリの塩味スープの麺、上にトロンと乗る肉のうま煮もいかにも怪しい味だ。甘辛いタレの絡むてりやきカルビもやっぱり何の肉だか最早分からないような怪しい風味で、それがもちっとした皮に詰まっている。ジャンク中のジャンクの味だ。はっきり言ってコンビニ食と変わらない。でも……妙に美味しいんだなぁ。

同じようなことを考えている人であったのか、横では20代前半のような女性客が1人、慣れた調子でもくもくとマントウを食べていた。

台場ヴィーナスフォート VIDALIAにて
 シェフのおすすめオードブル盛り合わせ
 黒酢の酢豚
 春巻
 チャーシューまん
 揚げ餅餃子
 タンタン麺
 魚介のあんかけおこげ
 マンゴークリーミープディング
 アサヒスーパードライ、白ワイン(シャルドネ)

16時、観劇終了。「ライオンキング」は楽しかった面白かった。子供だましだと密かに思っててごめんなさい、という感じだ。綺麗な衣装に見事な歌に迫力あるダンスと揃ったら、そういうのに弱い私はすっかりくねくねしてしまうのだ。素直にすごいと思う。結局、最初は「いらないよ」と言っていたパンフレット2000円也も鞄に入っていた。

で、留守番していてくれた母と息子と台場にて待ち合わせ。
「ヴィーナスフォート、ねぇ。行ったことないわ。一度も。」
と言っていた母に合わせてヴィーナスフォートで早めの晩飯を取ることにする。行ったことがあってハズレではない店、木蘭か青龍門かと考えていたのだけれど、母の
「せっかくだから、一度も行ったことのないところにしてみたらぁ?」
の言葉に甘えて、「フレンチさながらの中華を味わう新感覚シノワズリー」(ヴィーナスフォート案内ペーパーより)と怪しいキャッチフレーズのVIDALIAなる店に行ってみることに。

さて、その店は大変に怪しい店だった。黒板に書かれたメニュー、ガラスと鏡の装飾が目立つ店内、洋酒が並ぶバーカウンターに、黒いテーブル煌めくスポットライト。どこから見ても中華じゃない。しかも私の勘もだんなの勘も母の勘まで「やめとけよ」と前頭葉に囁きかけてくる。だがだがしかし、メニューの片隅に「マンゴークリーミープディング」の名前を見つけてしまった私は、怪しいのは百も承知で入店を決めてしまったのであった。これが悲劇の元だった。ああごめんなさいお母さまだんなさま息子さま。

メニューも怪しい。前菜の項目の煽り文句は「料理長の美意識」ときた。その割にそのメニューは「オードブルの盛り合わせ」1つだ。良くわからない。ビールはアサヒとミラーのみ。かと言ってワインが揃っているわけでもなく、中国酒があるわけでもない。海老チリはドリアになっていたりザーサイはサラダになっていたりと大変なことになっている。

一抹の不安を覚えつつ、黒酢の酢豚にオードブル、点心系3つを注文。頼んだビールはすぐ来たものの、つまみになるはずの冷菜はビールを半分飲み進んでも出てこない。厨房では料理長が美意識を発散しているのだろうか。
して、やってきたオードブルは2000円もする割には「はぁ?」なシロモノである。餃子の皮をカップ型に揚げたものの上に、バルサミコ酢っぽい酸味のあるくらげ。ふにゃっとしたカニの巻物のようなものには酸味と甘味のあるホイップクリームが添えられている。鴨肉らしき肉が薄くスライスしたものがぺしょっと3枚。テリーヌっぽい練り物は味も風味もほとんどなかった。上に飾られた香草は端が茶色くクタッとなっている。見かけは一瞬美しさを感じさせないでもないが、その上っ面は1ミクロンの厚さほどしかない、という感じ。

続く点心も燦々たるものだ。セロリの味しかない、皮が普通のものの10倍ほども厚いような春巻に、チャーシューの旨味もなにも感じられないチャーシューまん、揚げ餅餃子(咸水角)はそれでもカリリとした表面が美味しく感じられたけど、具と餅の間に空気の層が分厚く入っていて見かけと実際の食べうる量の乖離が酷すぎる、というものだった。
ビールがなくなって、続いて頼んだフルボトルワイン3000円はいつまで待ってもやって来ず、来てみれば適温より高くしかも自宅の料理酒よりも美味しくない。もうもう、とほほとほほのとほほほほ、だ。

もう出よう、出ちゃおう、と思いつつも御飯ものとデザートだけは一応頼むことにする。
麺好きの息子が食べるかとタンタン麺を、そして全員が好物のおこげを。デザートにマンゴープリンとココナッツプリン1つずつ。

ちょっと白っぽく、あまりこんがり揚がっていないようなおこげは、それでも多少はサクサクしていた。たった2かけで980円のおこげは、水分だけはたっぷりあった"あん"にあっというまに埋もれてしまって溶けてしまったという続き話があるけれど。
深みもなにもないタンタン麺はラー油の辛さばかりが勝ちすぎ、料理全体がこんな感じでデザートもやんぬるかな、という感じ。マンゴープリンもココナッツプリンも、「風味という概念はこの店に存在しないのか?」というほど希薄な存在感だった。

もうデザートを食べる前から
「口直し、しましょ。口直し。」
「すしー。寿司寿司寿司ー。ママは寿司が食べたいわぁ。」
「……じゃあここ出て玉寿司行きましょうか。」
なんて2軒目の相談をしていたのである。

台場DECKS 築地玉寿司にて
 寿司
 (大トロ、サバ、ぶり、穴子、イクラ、ウニ、とろうずら、あなきゅう巻き、さばねぎ巻き)

ヴィーナスフォートから、小雨の中ほてほてと陸橋越えてDECKSへ。土曜も7時を回り、「男女ペアで7000円食べ放題」をやっている玉寿司は今日も人気だった。満席を少々待ってテーブル席へ。当然「食べ放題」にする気はなく(その場合、"祖母と孫"でも男女ペアになるのか、という一抹の不安が)、好みのものを少々つまむことにする。

「私、大トロねっ!大トロ大トロ、ウニこはだー」
母、酔っぱらってるらしい。絶好調だ。
「ほらほらほらほら、何でも好きなもの注文しなさいよぉ」
という酔っぱらいの言葉に甘えて好みのものばかり、イクラ、ウニ、穴子……と注文。

ここの名物は「とろうずら」。
軍艦巻きの御飯の上にたたいたトロが盛られ、中央にうずらの卵の黄身が1個、ころんと乗っているのだ。生の卵と一緒にツルンと食べるトロと御飯は絶妙に美味しい。こってりしたトロが更にこってり、そのくせいくらでも食べられる。

ちょっと、ね、と言っていた寿司を結局ぱくぱくと3回に分けて食べまくり、そうして9時前に帰宅。小雨の中、母は
「じゃぁ〜ねぇ〜」
とチャリかっとばして帰っていった。
……って、今日の食事は、母の「運転免許取得おめでとう記念」(ちなみに母は還暦を先日過ぎたところ)だったのだ。
私らがおごられてどうする。おごるはずだったのになぁ。ごめんね、母。

10/29 (日)
常夜鍋 (夕御飯)
コンビニの
 カスタードクリームパン
小岩井コーヒー牛乳

「朝御飯軽くしてさー」
薄ら寒い今朝、おもむろに風呂など沸かして朝風呂を満喫したところで、だんなが言うのだ。
「お買い物行って、さー。昼御飯は"汁なしチャーシュー麺"!!!」
最後の「汁なしチャーシュー麺」のところに強いアクセントがあり、彼の本気を感じさせる。
外は小雨なんですが……はい、買い物行くんですね、そうなんですね。

で、"朝御飯軽く"の命題に従うべく、じゃあパンでも買ってくるかとコンビニへ。
私と息子用にパンを2個ばかりと、だんな用におむすび1個とミニカップ麺1つ。「パンにはやっぱりコーヒー牛乳よね」と小岩井コーヒー牛乳も買ってきた。ストレートに飲むとちょっと甘さが勝ちすぎていコーヒー牛乳は、家ではいつもハーフ&ハーフの牛乳割りにして飲むことにしている。

初めて買ってきたヤマザキの「カスタードクリームパン」なるものは、水飴が入っているようなねっとりしたテカリと甘さのあるクリームが入っていた。人工調味料がどっさり入ったようなやけに上っ面な甘さがまた心地良さとは対極にある。ちょっとトホホな朝御飯。

汁なしチャーシュー麺
アイス烏龍茶
香港ガーデンの
 マンゴープリン

朝の取り決め通り、昼前に一家全員、自転車乗ってスーパーへ。もう切らしていた長ねぎを買い、中華麺を買い、ついでに夕飯の材料も買い、更に安売りしていたカレーやシチューのルウなども買ってきた。

1週間前に作った煮豚は残り少なく最終局面、シメはやはり「汁なしチャーシュー麺」である。
前回作った反省もふまえ、
「もうちっとスープなどを入れた方が良いのではないか」
「葱たっぷりのほうが美味しかろう」
「やはり醤油よりは煮豚の煮汁を主とした方が」
などなどと試行錯誤しつつ、よりグレードアップした「汁なしチャーシュー麺」に臨む。

大きなボウルに拍子木切りの煮豚と斜め切りの葱を放り込み、味つけは煮豚の煮汁とオイスターソース、XO醤、胡麻油と炒り胡麻。元としていたケンタロウ氏のレシピより調味料はやや多く、その代わりに50ccばかりのスープを足した。茹でた麺をそのボウルに放り込み、じゃじゃじゃじゃじゃと和えてからどんぶりへ。上からは薄切りにした煮豚を2枚。酢とラー油もぬかりなく食卓上に準備する。

これがこれがこれが、見事に前回より美味しくなった。こってりした煮汁もスープでやや薄まり、麺とより良く絡んでくれる。山ほどの葱もまた香ばしくて泣けてくる。
1/3ほど食べて、だんなおもむろに酢とラー油を投入。軽くかき混ぜて麺を口にするなり、「ふおぉぉぉぉぉ〜」と脳天から声を出したかと思うと、
「……生きてて、良かった〜〜〜〜」
などと感動的なセリフを口走っている。そんなに感動するものかいな。

「めっちゃめちゃ美味しい飲茶食べてても、そこまで言わないくせに〜」
とツッコミを入れてみると、
「美味しい飲茶は、最初から最後まで継続的に感動値が高いの。これは、その一瞬のデルタ値がものすごいの。」
と数学用語まで出して説明してくれた。私、微積は苦手でございます。わからんよ、と私も酢とラー油入りの麺を口にした途端、
「ぬおぉぉぉぉ〜」
と私まで脳天から声を出しているのである。
端から見ると、思いっきりバカ夫婦だ。でもそれだけ美味しかったのだから仕方がない。

「また、やらなきゃねぇ〜」
「今度はM井さんにも食べさせなきゃねぇ〜」
ラーメン屋でのバイト経験があり、本人もラーメンを愛し研究してやまないM井さんの話題までもが出てきて、汁なしチャーシュー麺の昼食これにて終了。

常夜鍋
納豆
御飯
軽井沢高原ビール ブラウン、麦茶

そろそろ鍋の季節がやってきた。
今日は豚バラ肉とほうれん草を買ってきて「常夜鍋」。なんでも、一晩中食いつづけても飽きない味なので「常夜鍋」の名なのだとか。

まず、肉は100g80円くらいのやっすいやっすい薄切り豚バラ肉がふさわしい。ほうれん草はシャキシャキ新鮮なものをたっぷり1把分以上(今日は1把半を用意)。忘れちゃいけない胡麻だれは、これまた「ミツカンごましゃぶ」、これに限る。
土鍋に昆布を1枚入れて湯を沸かし、調味料は特に入れず、ゆだったところにひたすらひたすら肉を入れほうれん草を入れ、「ごましゃぶ」に浸して食べる、これだけの料理だ。しかし静かにじわじわと美味しい鍋料理。ほうれん草もたっぷり食べられるし。

かつては、「やはり胡麻だれは自家製などのほうが」とか「せめてもうちょっと高くて美味しそうな胡麻だれを」とか色々考えてみたりもしたのだが、ほうれん草とやっすい豚肉という具の組合せにとってはやはり「ミツカンごましゃぶ」だったのであった。

今日も、ビールを脇にもくもくと肉と葉っぱを喰い続ける。正直、御飯とはいまいち相性が良くない鍋ではあるけれども、ビールや日本酒にはとても合う。御飯のおかずには納豆を持ってきて、再び鍋に向かい合う。

肉を食べるという行為は、かつて「薬喰ひ」(くすりぐい)であったのだそうだ。男共が鍋を囲み、密やかに喰うものだったとか。女性は同席しない。……そんな時代じゃなくて、つくづく良かったなと思う次第。

10/30 (月)
リングイネのカルボナーラ (夕御飯)
福岡 むぎわらぼうしの
 マンゴープリン
冷茶

どーーーーーーも、昨夜から腹が下っている。いかん。胃腸の崩れは心の崩れ。
昨夜の肉が多かったか、それともその多かった肉が痛んでいたのか(ちょっとデンジャラスな残り肉も食べておりました)、あるいは昼御飯の煮豚が痛んでいたのか……その割に、だんなも息子も問題ないらしい。てぇことは、私一人で風邪でもひいたのであらふか。

だんなと息子が御飯に味噌汁、ぶりの照り焼き、というゴージャスな朝食を喰ってる横で、小さなマンゴープリンを食べることにする。先週末に福岡のお菓子屋さんから通信販売した、マンゴープリン5個セットの最後の1つ。小さなマンゴープリンには小さなカップ入りココナッツミルクソースがついていて、それをぶっかけて食べる。プリン、というよりはムースと称した方がよいような、空気をたっぷり含んだふわりとしたマンゴープリンだ。定価は1個200円ちょっと。通販するにはクール便の送料が痛いけど、会社の近くにでもあったなら日参したい美味しいプリンだ。
たとえ喰って2時間後に外に出ちゃおうが何だろうが、食べちゃうんだもんね。

なし

マンゴープリンを食してから腹下りに続いて腹痛もやってきたりなぞしたものだから、昼御飯は節制することにする。
本当なら熱いレモネードだとか、蜂蜜溶かしたホットミルクだとか、あるいはコンデンスミルク溶かしたお湯(←これがなかなか美味しいのだ)あたりを飲みたいところだったけど、とりあえず水分だけはしっかり取って、じーっと我慢。滅多に飲まない胃腸薬の助けも借りて、そうして夕方にはすっかり空腹の私なのであった。

リングイネのカルボナーラ
鶏手羽肉とキャベツのスープ
アイスコーヒー

鶏手羽肉でコンソメスープを作っていたところで、だんな早めの帰宅。今日はパスタ、カルボナーラ。

「カルボナーラ(alla carbonara)」とは「炭焼き夫風」。古の時代、炭焼き職人がパスタを食す時に手の炭粉が落ちて皿に黒い点々ができたことから、黒胡椒をたっぷりかけたこのパスタ料理の名前になったのだとか。別に炭焼き夫がいつもこれ喰ってたわけじゃないと思う……けど。

卵は4つ。2つは全卵、2つは卵黄のみ。たっぷりのおろしたてパルミジャーノ・レッジャーノチーズ。ついでに生クリーム。ベーコンはやはり塊肉を使いたい。簡単かつシンプルなパスタのくせに、材料は案外と金のかかってくれる料理だ。
卵とチーズと生クリームと胡椒をでっかいボールに入れて混ぜておく。ベーコンはフライパンにてカリカリに。リングイネが茹であがったところでベーコンも一緒にボウルの中に放り込んで混ぜるだけ。卵のソースをフライパンで炒める方法もあるけれど、卵が"炒り卵"になっちゃって非常に難しく、目下ボウルの中で茹で麺の予熱に協力して貰う手法にしているのであった。お皿に盛って、上から更にたっぷりの胡椒をガーリガーリと挽いたらいかにもな"炭焼き夫風"だ。

キャベツや玉ねぎ、セロリの入ったコンソメスープには残り物だった海老だのマッシュルームだのも放り込み、程良く煮えた手羽肉からは良い感じのスープが出てくれていた。骨から肉がするっと取れて、良い感じ。

……しかし、このカルボナーラってやつは、本当にいっくらでも喰えるのである。
たらこスパゲッティも相当量喰えるし、ミートソーススパゲッティもかなり喰えるのだけど、カルボナーラはまた格別だ。

麺を茹でる間際に
「どのくらい食べられる〜?大盛り、特盛り、てんこ盛りぃ〜?」
と尋ねてきただんなに、
「……大盛り。」
と答えたらば、わしゃわしゃと400g近いリングイネを掴み取って(注:1人分のパスタは80g)
「このくらい?」
と言ったその口で
「……正気じゃねぇな……」
と呟いていた。
その正気じゃない量の麺は親子3人でそりゃもう綺麗に無くなったわけだけど。

10/31 (火)
木村屋ペストリーショップ(築地)にて (昼御飯)
牛肉うどん
麦茶

今日は10月31日だ。10月最後の日だ。
来たるべき12月初旬の「讃岐うどん食べ歩き旅行」へ向け、いよいよ明日より1ヶ月の「うどん断ち」に入る我が家なのであった。悲壮な空気がたちこめる。悲壮な空気になるくらいなら、「うどん断ち」などしなきゃ良いのである。でも、やる。12月の讃岐うどんを心ゆくまで味わうために。

そのような悲壮な決意は決意として、
「うっどんうっどん、肉うどん♪」
とうどん茹で用の湯を沸かし、横の鍋でも湯を沸かし、「吉野屋牛丼大盛」の冷凍パックなどが温められていた。だんなからのリクエストにより、本日は「吉野屋牛丼ぶっかけうどん」。
冷凍うどんを茹で、ヒガシマルの顆粒だしをどんぶりに注ぎ、上から牛丼の具をかけるだけ。恐ろしいほど簡単な手順の「料理」……というか「作業」でもって作られるこのうどんは、なかなかどうして悪くない。

あの独特の味付けの吉野屋の牛丼の具がヒガシマルのだしと合わさり、うどんと一体化する。くたーっとなってる玉ねぎと一緒にずぞぞぞぞ、とうどんをすすると「ああ、朝からこんなもの食べちゃって」という半ばやけっぱちな気分と共に、妙にシアワセも感じてしまうのだった。
そういえば、吉野屋は昨日、一部上場企業になっちゃったらしい。良くわからんが、きっとすごいことなのだろう。ぱちぱち。

木村屋ペストリーショップにて
 ツインホットドッグ
 アイスミルクコーヒー
 デイリースープ(きのこのクリームスープ サワークリーム添え)

ホットドッグが食いたくなって、ふらりと木村屋ペストリーショップに行ってみた。12時も10分過ぎたお店は非常な混み具合を見せており、やっとの思いでカウンター席につく。
注文は、2種類のホットドッグがセットになった「ツインホットドッグ」。ドリンクつきで700円だ。デイリースープもつけてもらって、わくわくとカウンターの向こうを覗き込みながら、待つ。

通常は即座にスープが出て来て、それを飲み干す頃にサンドイッチが、そしてドリンクがやってくる。……しかし、今日はなかなかスープがやってこない。なのにサンドイッチと共にアイスミルクコーヒーが出て来てしまった。あり???
「……あの、スープがまだ出てこないんですが〜」
と尋ねると、瓢箪のような眼鏡顔の三代目(……と私は勝手に言ってるけど、五〜六代目が真実であったと思う)が
「あっ!未だでしたか。申し訳ありません。すぐお出しします。こちら、また後で出しましょうか?」
と、わたわたと出したばかりのアイスミルクコーヒーを下げようとなさる。いや、いいですいいです。すぐ飲みますしスープが出てくればすぐ飲んじゃいますし。

……で、30秒後にスープが即座にカウンターに並んだ。
今日のスープはきのこのスープ。茶褐色に濁って牛乳の香りがし、トロンとしている。分厚いコーヒーカップに入るそれ、縁にはサワークリームがこてっとなすりつけられている。相変わらず良い感じだ。「これ以上煮込んだら崩れちゃいます」という境界はとっくに越えて煮込まれたスープは具のエッジがやわやわと溶けきっていて、我が家で言うところの「3日目の豚汁」然としている。それを商品として出しちゃうところがたまらなく美味しくて幸せなのだ。

そして初挑戦の「ツインホットドッグ」。1つは野菜のサンドだ。マヨネーズベースのソースで細かいキャベツやきゅうりが和えられ、それとは別にキャベツだのトマトだのアスパラだのがパンパンに詰まっている。分厚いトマトがなかなかすごい。迫力だ。
もう1つはスタンダードなホットドッグ。表面がシワシワにこんがり焼かれたソーセージがキャベツと一緒にドッグパンに挟まって、ケチャップベースのソースがかかっている。そのソースがまたドミグラスソースでも混ざっているようでほんのり茶色でとろんとしている。温められたパンも表面が良い具合にカリカリとこんがりしていてこれまたよろしい。相変わらずの素朴な美味しさに2分ほどでがつがつと食す。

傍らに置かれたアイスミルクコーヒー("アイスカフェオレ"と言わないあたりがまた木村屋ならでは、だ)も飲み干して、一向に混雑の引かない店を後にする。
出る間際、またもすたすたと三代目(本当は、以下略)がやってきて、
「先ほどは本当にすみませんでした。」
と、ぺこり。元々立腹してたわけじゃないけど、この忘れないフォローがまたこの店らしい、というか嬉しいというか。いつ来ても悪い気分にならないのである。皆さん、とても気持ちが良いのである。いつか店員さんや三代目(仮)と色々お話してみたいのだけれど、皆さんいつも忙しそうだ。「大好きで大好きでホームページに何度も書いているんですよー」なんて言ってみたいんだけど、ねぇ。

銀座 にほんばし亭にて
 刺身盛り合わせ
 穴子の揚げだし
 長芋のシャキシャキサラダ
 爆弾山かけ
 おでん
 卵焼き
 オムそば
 あんかけ焼きそば
 にんにくピザ
 ビール、サングリア

銀座 BIG ECHOにて
 赤ワイン

11月の人事異動で、課の1人が抜け、1人が入ってきた。てなわけで、今日は会社の歓送迎会。
もうすぐ6時にならんとする銀座を、シマの10人でぞろぞろぞろぞろと歩き、ついたところは3丁目の「にほんばし亭」なる飲み屋だった。いかにもな"会社飲み会御用達"という感じの、靴を抜いでフローリングの床を歩くタイプの店だ。こざっぱりしていて、ちゃかちゃかと店員さんが歩き回っている。

ビールで軽く乾杯したあとは、各自適当に好きなものを頼んでしまうのがうちの飲み会だ。隅っこに座った私は、目の前の後輩の女の子と一緒にサングリアを傾け始めた。山ぶどうやらザクロやらが入っているらしいサングリアだったけど、何だか薄くてアルコールじゃないみたい。引き続きビールを飲む者あり焼酎に移るものあり、最初から最後までシトラス系カクテルを飲むものあり、と「まぁまぁまぁまぁ」「おっとっとっと」みたいな酌合戦をしなくて済むのはありがたい。

甘海老やホタテがムチムチしていた刺身もまぁまぁ、穴子の揚げ出しも香ばしくてまぁまぁ。長芋のサラダはオクラも入って全体的にねばねばねばねばしており、「爆弾山かけ」に至っては刺身に山芋と納豆とオクラがかかっており、それに醤油をぶっかけてねばねばねばねば、とやった後に海苔に巻いて食べる、というこれまたねばねばものである。ねばねばが好きなのだろうかにほんばし亭。

総じて年長者は"飲むと喰わない"。若手社員も特に女性は同様だ。食べる者と言えば、私と私の横に座る体育会系のH君なのであった。H君は下戸だ。私は"ザルどころか枠だけ"と言われる。タチの悪いのは私だけなのであった。
「これ、喰ってもいいスか?」
「いいよいいよ、誰も喰わないみたいだしオムそば片づけちゃれ」
「いただきまーっス」
「ところでH君、にんにくピザ取ったら手伝ってくれるかね」
「あ、喰いまス喰いまス喜んで」
「すいませーん、にんにくピザ1つね。あとあんかけ焼きそば。(←何故か増える注文)」
長細い席、奥まった席は酒のみがもくもくと消費されて皿は一向に動かないというのに、入り口付近のこのあたりだけ妙にめまぐるしく皿が動いているのであった。困ったことに、先日の台場のトホホ店より遥かに美味しい。安いのに。

宴会終わりて今度はカラオケ。いつもの流れだ。
マイク振り回して「慎吾ママのオハロック」なぞ歌っていた私。もちろんフリつき。
「おっはーでマヨチュチュ〜♪」