食欲魔人日記 00年10月 第3週
10/16 (月)
ベーコンエッグ
御飯
アイス烏龍茶

どぉーも週末から風邪気味だ。鼻水止まらないし喉は痛いし頭が重くてしおしおのトホホだ。

今朝もなかなかベッドから起きあがれずにしばらくごろごろしていたところ、だんながベーコンエッグを焼いてくれた。家族分3つの卵を1つのフライパンで一気に焼く。ベーコン敷いて、こんがり焼いて、卵落として蓋をして、白身が固まって黄身は半生、表面が白っぽく膜が張った良い感じの仕上がりだ。
ベーコンごと卵を御飯に乗せて、黄身を潰して醤油垂らしてわしわしと食べる。

タカナシ なめらかクリーミィヨーグルト

喉がゼレゼレするので、節制も兼ねてヨーグルトの昼御飯。
私はヨーグルトに弱い。スーパーに入ると、コンビニに入ると、ついつい乳製品が並ぶ冷蔵ケースに寄ってはじっくりと棚を眺めてしまう。ゼリーへの関心は薄いけど、プリンとヨーグルトの新作チェックは怠らない。新発売の"焼きプリン"だの"生クリームヨーグルト"なんてものを見つけてしまい、しかもそれが旨かったりすると、その日はそれだけで一日中幸せなのだ。安い女だ。

ヨーグルトは、余分なフルーツだのジャムだのが混ざっていない方が好みだ。プレーン系ヨーグルトで工夫が凝らされているようなタイプ(カスタードなんちゃら、とか生乳なんちゃら、とか)に滅法弱い。
そうして私は、初めて見るタカナシ製「なめらかクリーミィヨーグルト」を前にわくわくしているのであった。
やや強めの酸味、スプーンですくうと崩れてしまう柔らかさ、牛乳の濃い香り。悪くない。悪くないけど、案外普通だ。

小岩井のココナッツ風味ヨーグルトとか、"グリコヨーグルト健康"とか、ジャージー乳ヨーグルトが目下のところのお気に入りだけど、最もわくわくするヨーグルトは実は瓶入りの"アレ"なのだ。学校給食で出た、アレ。丸い紙製のキャップのついた、ビニールのカバーのついた、厚ぼったいガラスの瓶入りのころんとした、あのヨーグルト。ゼラチンがちょっと多めでちょいと固めで、ぷるぷるで甘くて酸味の少ない、あのヨーグルト。口がすぼまってるから全部綺麗に食べるのがなかなか困難で、最後には瓶肌にひっついたやつを必死にかき集めて食べなきゃいけないようなやつだった。あのヨーグルト、本当に美味しいんだよねぇ……。

キャベツとベーコンのコンソメ風味リングイネ
アイスアールグレイティー

風邪ひきの私は、いまいち食欲がなかった。
「白いご飯は……ちょっと違う。」
「牛肉の煮込みがあるけど……食べたい気分じゃない。」
「パスタ、かなぁ。」
「うどん、かなぁ。」
悶悶と悩んでいたら、だんなが早めに帰ってきた。

「もしかして、茶碗蒸しみたいなものが食べたい?」
「カルボナーラスパゲッティみたいなやつは?」
色々問診してくれた結果、ベーコンとキャベツのパスタを作ってくれた。にんにく炒めて、ベーコンとキャベツに火を通してコンソメスープで煮た具に、茹でたリングイネを加えて和えたもの。さっぱり味だ。

火が通ってくたっと甘くなったキャベツに、ベーコンの塩気は良く似合う。ついでにコンソメ味も良く似合う。濃いめの味になっているスープをすすりながら、太くて平たいリングイネをちゅるちゅるとすする。途中で、"これ似合うかなぁ"と思って持ってきたフライドガーリックをかけたらば、香ばしくなってこれまた旨くなった。
フライドガーリック、イカす。オリーブオイルで炒めたいつものにんにくとはまた違った美味しさがある。きっとサラダにかけても旨いぞー。炒め物にかけても旨いぞー、と思う私は最近にんにく星人かもしれない。

10/17 (火)
ヨーグルト
吉野家の牛丼、一口
アイス烏龍茶

本日も頭ずっしり、喉ツキツキ。どうやら風邪菌に冒されているらしい季節の変わり目の自分なのであった。
だんなは朝から、
「うむ、今朝は牛丼だな、うむ。」
とか言いながら冷凍庫から吉野家の牛丼パックを出して鍋に放り込んでいる。しかも「大盛」だ。
冷凍牛丼が冷凍庫にストックされてからというもの、だんなはスキを見つけては何かと牛丼を喰っている。のみならず、平日の昼休みにも喰いに行ってるらしい。週に3回以上吉野家を利用する人を専門用語で「ヘビーユーザー」と言うらしいが(←専門用語かい)、だんなは間違いなくヘビーユーザーなのであった。……威張れることじゃないと思うけど。

で、私はかぐわしい牛丼の匂いを嗅ぎながら、ヨーグルトにて喉のヒリヒリを緩和せんとしてみる。んが、かぐわしい匂いに負けて結局だんなのどんぶりを奪って一口貰っている次第。「朝から牛丼!?しかも、大盛!?」なんて非難がましいセリフを吐いた後だってのに、美味しく思える自分がちょっと情けなかったり。

キヨーレオピン後、水3杯にて打ち止め

湧永製薬のベストセラー商品に、「キヨーレオピン」なる滋養強壮剤がある。
多量のにんにくエキスを原料としているこの薬、疲れにも効くし風邪にも効くし、ついでに喉の掠れなんかにも効くらしい。某演劇集団キャラメルボックスの役者にも重宝され、喉のトラブルへの対処に"喉に直接吹き付ける"なんてこともしているとか。想像するだに顔のパーツが中心に寄っていってしまいそうだ。

そう、この薬はめっちゃくちゃ臭い。そして、不味い。にんにくを基本としているものの、そこは薬だからしてにんにく以外に微妙にブレンドされた、それはそれはえもいえぬ臭気を持っているのだ。通常"喉に直接吹き付ける"なんて危険な処方をするものではなく、添付された空のカプセルにスポイト状に先が細くなっている容器から液体をチューと出して密閉し、それを飲むようになっている。これなら臭くない。安心だ。

……しかし、まだまだ落とし穴があるのがこのキヨーレオピンの恐ろしいところだ。この液体を飲んだが最後、何かの拍子にくしゃみとか、咳とか、もしくはゲップとか、そういう「喉から口・鼻に空気が抜ける生理現象」が起こる度に胃の底からむわわわぁ〜、とあの匂いが口元にせり上がってくるのだ。これはもう、本当に臭い。やってられない。でも効くから飲む。メリットとデメリットを天秤にかけた挙げ句、私はよりによって昼飯直前にこの薬を飲んでしまったのであった。喉が痛かったし、眠くてだるかったし、で。

果たして、今日は日が悪かったのかはたまた腹具合が悪かったのか、ビロウな話で恐縮だけれどもキヨーレオピン摂取後の私のゲップは多発していた。そうそう滅多に出るもんじゃないのに、一体何があったのかゲップ。私が悪いことしたのかゲップ。困惑しても、数回息をつく度に腹の底からあのかぐわしい匂いが口元にせり上がってくるのだ。大ビーンチ。これじゃ御飯が食べられない。臭くて味も匂いもわからない。

「びっくりしたら止まるだろうか」(←しゃっくりじゃありません)
「と、とりあえず片足でケンケンしてみよう」(←耳に水が入ったんじゃないんだから……)
「首の後ろを叩くのはどうだ」(←鼻血でもありません)
「え〜い、水飲んで胃を充満させるってのは、どうだ」
結局氷水を3杯一気飲み。700ccほどの水を飲み干す頃には、口周辺のイヤ〜な匂いも消えていた。……でも、腹も膨れていた。ショックだ。
そういう次第で、今日の昼御飯はキヨーレオピンと水3杯。我ながら哀れだ。

牛すね肉のラグーソースのパッパルデッレ
アイスアールグレイティー

先週末に煮込んで食べた、牛すね肉がまだ残っているのである。
大きな3切れほどが残ってた肉には赤ワインを足して更に煮込み、ついでににんじんやセロリや玉ねぎも追加で放り込まれて日々ゆっくりと火を通されてきていた。今日、鍋を覗いてみたところ肉はホロホロになっていて玉ねぎやセロリもすっかり溶けている。ハーフボトルのワインを入れておいたのに、すっかり煮詰まってどろっとしたミートソースのようになっていた。これはもう……パスタに絡めて食べるしかないでしょう。

濃厚な肉のソースなら、細いパスタは似合わない。ぶっといスパゲッティか、あるいはペンネなんかのショートパスタとか、さもなけりゃフェットチーネなどの平麺が存在感が釣り合って良い感じになる。幸い、パッパルデッレが発掘された。幅2cmはあろうかという、薄べったくて平べったいロングパスタだ。10分ほど茹でて、湯を切ったところでバターを絡める。良く絡んだら皿に盛り付けて、上からラグーをぶっかける。濃い赤茶色の肉たっぷりのソースは、やっぱりパッパルデッレと似合っている。

肉と赤ワインがベースのソースには、そういえばトマトも入れてなかったのでやたらと大人っぽい味がした。隠し味程度にケチャップとソースがちょろっと入ってはいるけれど、甘味といったら野菜の甘味くらいしか感じられない。

「あちゃー、息子には大人っぽい料理だったかも……」
と申し訳なく思いつつ息子を見ると、バターの絡んだ麺よりも先に肉に手をつけていた。ほろほろの肉をむんずと手で掴み、「おぉーいちー」(=美味しい)と何やら御満悦だ。え、美味しいんですか?本当ですか?
食事後、この日記を書く私の膝の上にやってきて画面を眺める息子からは濃厚な赤ワインの匂いとバターの香りが漂ってきた。酒とバターの匂いのする2歳児なんて……なんかイヤ……。

10/18 (水)
ツナのホットサンド
卵のホットサンド
サフラン風味のシーフードスープ(レトルトもん)
アイスカフェオレ

ここ数日私の鼻と喉をゼレゼレいわしてくれていた風邪が、だんなに伝染ってしまったらしい。
昨夜遅く、
「頭が重い〜」
と言って帰宅ただんなはそのままぶっ倒れてしまった。私の体調不良も続いていることだし、と今日は休んでしまうことにする。

昨夜、卵を茹で、玉ねぎを刻んで準備していたホットサンドの具。
「……パン買ってきてあるけど、ホットサンドは食べられないよねぇ。」
と顔色の悪いだんなに尋ねると、
「ホットサンドなら喰うよ、何言ってんだよー。」
とかいう答えが返ってきた。……病気なのか元気なのか良くわからない。

で、我が家に2台あるホットサンドメーカーを駆使して3個のホットサンドを焼き上げる。1台はだんなの嫁入り道具(?)で小さな1個焼きのもの。それでは足りなくなって今年に入ってから買ったのが2台目の2個焼きホットサンドメーカーだ。丁度3枚、家族分が一気に焼けて幸せだ。やっぱり料理は家族分、一気に出来上がってくれないと何だかシラけてしまうではないか。

本日の具はスタンダードに、卵とツナ。ゆで卵を刻んでマヨネーズで和えたものと、ツナ缶をほぐして刻み玉ねぎたっぷり混ぜ込んでマヨネーズで和えたもの。カレーチーズも旨いし、コンビーフチーズも悪くないし、ついでにバナナチョコなんかも悪くないと思うけど、やっぱりマヨネーズ味のホットサンドがなんとなく馴染むような気がする。

レトルトのカップスープを入れて、1人1つのホットサンド。やっとホットサンドが美味しい季節になってきた。

いなりずし
抹茶入り玄米茶

なんとなく、いなりずしが恋しくなった。
「いなりずし作ったら、喰いますか〜?」
と居間のソファベットで寝ころんでいるだんなに提案してみるとパッと目が輝いた。嬉しい申し出だったらしい。

油揚げを買ってきて、2つに両断。袋になるようにペリペリと開いていき、上から熱湯をかけて油通し。下ごしらえはなかなかめんどくさい。薄いところを破きそうになりながら(いや、実際破きながら)なんとか袋にしたやつを、醤油と味醂と砂糖入りのだしで甘辛く甘辛く煮含めていく。
同時並行で酢飯の作成。冷凍御飯があったのでこれを電子レンジで温め、あつあつになったところで酢と砂糖と塩の合わせ調味料を混ぜ込む。炒り胡麻もたっぷり混ぜ込む。油揚げ、煮えた。御飯もできた。後は包むだけ。

……が、煮上がったばかりの油揚げは熱かった。熱くて、煮汁を絞るどころか持つことすらもできない。
レシピをざっと眺めて、"30分もあればできるわねー"と11時半に作り始めた私が愚かだったのだ。油揚げを煮て冷まし、味の染みた美味しいいなりずしを作るには、朝食後すぐに取りかからなければいけなかったようだ。ううう、大しっぱーい。

心中トホホと呟きつつ、とりあえず油揚げが冷めるのを十数分、じっと待つ。箸でつまんでヒラヒラさせてみたり、煮汁をスプーンで押し出してみたり、せこい作業をちまちまとやっている間に、やっと油揚げが触れることのできる温度に冷めてくれた。急いで鍋から出し、手でぎゅっと絞って汁気を切る。綺麗な褐色に煮えた油揚げ、良い感じだ。酢飯を隅まできゅっきゅと詰めて、御飯が残りそうだったのでちょっと無理してぎゅっぎゅと詰めて、4個のいなりずしが出来上がった。熱いお茶を入れて、早速食べる。

胡麻の風味が香ばしい御飯の詰まるいなりずしは、なかなか良い出来映えだった。噛むとじゅわっと甘めの煮汁が染み出てくる油揚げも、コンビニで買うような化学調味料の味がしなくてしみじみ美味しい。ただ、詰めた御飯の量がちょっと多くて、妙にふくよかないなりずしではあったのだけど。

小枝アイスクリーム

おやつにアイスクリーム。
熱っぽいときのアイスはサイコーだよね、と呟きつつ、油揚げと一緒に午前中買ってきたのだ。私は初体験の"小枝"アイスクリーム。だんなには彼からのリクエストにより「爽」。氷の粒入りのラクトアイスの「爽」が彼のお気に入りであるらしい。牛乳命の私は「ラクトアイス」よりは「アイスクリーム」が圧倒的に美味しいと思うけど、だんなはラクトアイスが大好きだ。

初体験の小枝、美味しかった。バニラアイスがチョコでコーティングされているようなものはただでさえ好みなのに、カリカリしたクッキークランチなんかがついているものだったりすると、かなり心に響いてしまうのだ。小さな永細い塊が6つしか入っていないのが残念と言えば残念だけど、その少なさが却って"また食べたい"思わせたりして。あったかい部屋で食べるアイスは、旨い。

水信の
 上親子丼
 にらたま汁・大根の浅漬け
冷茶

風邪だというのに、だんな、食欲はあるらしい。
『丼の誘惑』
なんて、それはそれは油っこそうな本を読んでは「天丼だぁ〜」「かつ丼だぁ〜」「鰻重だぁ〜」なんて言っている。本当にこの人は病人なのだろうか。人の事は言えないが。

で、だんながあんまり「天丼だ」「天丼だ」と言うものだからサブリミナル効果で私まで天丼が恋しくなってしまった。自分で作るにしては、近所に良さそうな海老を売っているところもなく、「じゃー、てんやものだね」とあっさり蕎麦屋の出前を頼むことに。

だんなは「天丼・きつねうどんセット」を、私は親子丼を。セットでついてきたにらたま汁や浅漬けも並べ、皆で料理を分け合って食す。親子丼は何故か椎茸が入っている。鶏と一緒に固められたものの他に、中央に1個半熟の卵が乗っている。卵2個使用だなんて、なんか豪華だ。
いかにも蕎麦屋の丼もの、という感じのだしの効いたちょっと甘めの味つけだ。海老にかき揚げ、茄子にししとうの乗った天丼も、こってりと濃厚な茶色いつゆが染みている。うまひ。風邪ひきが喰うもんじゃないような気がするが、とりあえずうまひ。
氷を詰めたポットに熱い緑茶を流し込んで作った冷茶をかぱかぱ飲みながら、夕食終了。

10/19 (木)
海苔バタートースト
タカナシ生乳ヨーグルト
アッサムミルクティー

8枚切りのパンが2枚、残っている。"家族みんなで分けて食べましょー"と海苔バタートーストに。バターを多めにまんべんなく塗って、オーブンに入れて焼き上がり1分前に焼き海苔1枚ぺろりと乗せる。
だんなには1枚丸々のトースト、私と息子は半分こ。代わりに私と息子にはヨーグルトつき。

たっぷりバターを塗ったパンからは、噛む度にじゅわっと良い香りのバターが染み出てくる。カルピス特撰バターは、今日もやっぱり旨い。

マクドナルドにてMMセット
 月見バーガー
 フライドポテト
 コカコーラ

だんなの言によると、
「おゆきさんも社会人なんだからさー、せめてお財布に1万円は入れておこうよ。」
なのだそうなのである。
私は金にあんまり頓着しない。財布に札が多く入っていたらそれなりに使ってしまうけど気がついたら1000円札2枚、なんて事態もままある。今日、給料日前日の財布の中身は1000円を切っていた。さすがのさすがに心もとない。
(とか日記に書いたら、まただんなが"そんなこと書いてー、んもー"とか言うのである、きっと)

大層寒い懐具合の私は、昼食代すらピンチだった。
「どこかに安い飯屋はいねぇかー」
とナマハゲのような形相で銀座の中をチャリでこぎ進んでいくと、救世主「マクドナルド」の看板が。MMセットなら500円以下で軽く喰える。しかも好物、月見バーガー販売の期間中だ。ナマハゲ、ラッキー。

かくして月見バーガーとポテト、コーラのカップをトレイに乗せて一人もくもくとハンバーガーを食している次第。いかんせん所持金1000円以下の女だったりするから、100円プラスで買えるマロンカスタードパイもつけることができなかった。なんてことだ。
そのような私的事情はさておき、月見バーガーはやっぱり相変わらず好みだ。丸く焼かれた目玉焼きが挟まれているということが、何故にこんなに旨いのか。いつもより塩気を多く感じるポテトをぽりぽりやりながら文庫本のページなどを繰り、10分の昼食終了。

赤ピーマンとアンチョビのマリネ
きのこのストロガノフ
キャベツとハムのカレースープ
軽井沢高原ビール(アンバーエール)、アイス烏龍茶

駅前のスーパーで、まいたけとしめじ、生クリームを買ってきた。今日はこれと冷蔵庫の残り物を用いて、ストロガノフ。
まず、にんにくみじん切りをオリーブ油で炒める。そこへ100g120円くらいだったやっすいやっすい牛肉の切り落とし肉を放り込む。きのこも炒めて、白ワインで風味をつけて、そこへ生クリームと牛乳を投入。沸騰寸前まで火を通して、味つけに粒マスタードと塩と胡椒を放り込む。他に調味料らしい調味料は入らないので、どれもダイナミックに放りこまなきゃいかんらしい。粒マスタードは小さじ2、とある。

「秋になったら山盛りのきのこ!きのこ!きのこ!」
なんて魅惑的なフレーズと共に載っていたこのレシピはケンタロウ氏のもの。先日買ってきた『カツ代流しあわせごはん ケンタロウ流ウマイめし』(2000.09 講談社)にあったものだ。10分でできるくせに、妙に旨そうだ。

ストロガノフに合わせて、スープはビーフコンソメベースにキャベツとハムを放り込んだもの。顆粒コンソメのインスタント臭さが気になったのでカレー粉を放り込み、チリペッパーを放り込み、ちょっとピリ辛に風味を変える。調子に乗ってクミンやコリアンダーやガラムマサラに手を出そうとしたところで"今日はアジアご飯じゃないんだから"とぐっと我慢。

ついでに残り物の赤ピーマンを発掘して、これは網焼きに。表面のところどころが黒く焦げて柔らかになったところで適当にざくざく切り、アンチョビを刻んだものと一緒にオリーブ油で和えて塩をふる。これで3品。よしよし。

折良く帰ってきただんなと、皆で夕御飯。
先日デパートで見つけて買ってきた「軽井沢高原ビール・アンバーエール」を開けてみる。我らの大好物「よなよなエール」と同じ会社が作った琥珀色のビールだ。よなよなと同じくほのかな柑橘香があり、突き抜けるようなカラッとした苦みとキレがあるこれまた好みなビールだ。ビール飲んで独特の塩気があるアンチョビとピーマンのマリネをつまみ、10分で作ったストロガノフを炊きたてご飯にかけて食す。
きのこの旨味が生クリームに染み出たストロガノフは、思った以上に美味しかった。じわりと刺激があるマスタードの風味も悪くない。きのこの季節の間に、またぜひやらなければ。

10/20 (金)
きのこソースがけオムレツ (朝御飯)
きのこソースがけオムレツ
キャベツとハムのカレースープ
ご飯
アイス烏龍茶

昨夜のスープが残っており、ついでにきのこのストロガノフもちょびっと残っていた。
「……このソースさぁ、ちょっと煮詰めてオムレツにかけたらきっと美味しいよ。」
とだんなに伝えたらば
「それって、僕にオムレツを焼けと遠回しに言っているの?」
と返された。そういうわけじゃ……あるけど。

我が家のオムレツ大王はだんなだ。森高千里は「私のママはオムレツ上手〜♪」なんて歌っていたけど、私はオムレツ作れないのである。下手なのである。いつも苛立った挙げ句にスクランブルエッグもどきになってしまうのである。そういうわけで、オムレツ担当はだんな。どういうわけかわからんけど、彼の作るオムレツはなかなかに美味しい。ちゃんと半熟で、オムレツ型になるのだ。

3つの卵で焼いたオムレツにソースをかけて、スープを入れてご飯をよそる。
「今日はとても良くできたよ!」
とだんなが言うだけあって、今日のオムレツは絶妙に半熟。表面はうっすら綺麗にキツネ色、中はトロリと柔らかい。牛乳を加えてちょっと煮詰めて塩気を多めにしたソースと良く似合っていた。オムライスにしてもきっととても美味しい。

最近、「いかに美味しく見せるか」を独学で勉強中のデジタルカメラで1枚撮って加工してみたのが一番上の写真。ライティングも何も知らないけど、Photoshopに手伝ってもらって目指せ料理雑誌の料理写真。コツはいくつか、
・できるだけ自然光で撮る(これは白熱灯だけど)。
・逆光で撮る。手前側に影ができるのが望ましい。でないとのっぺりした写真になってしまうとか。
・フラッシュは極力使わない。これまたのっぺりしてしまうから。
・加工時に"ぼかし"と"シャープ"をうまく使うべし!使うべし!使うべし!
と心得てはいるものの……ちょっと黄色が勝ちすぎた、今日の写真。

会社近所のパン屋の
 シナモントースト
べこの乳

待ちかねた給料が出た。
「木村屋ペストリーショップで豪華サンドイッチかな〜?」
「気になっていた鰻重を出す店に行ってみるかな〜?」
「ここは一人で豪華マンゴプリンなどを食べに……!?」
という野望を叩き崩すがごとく、今日は朝から雨だった。

とぼとぼと、小雨の降る中を傘さして近所のパン屋へ。
同じようなことを考える人が多いのか、いつにもましてパン屋は近隣のOLたちで盛況だった。かき分けかき分け、「焼きたて」の文字が踊るシナモントーストを1枚。分厚い食パンにシナモンパウダーがまぶされ、バタートーストになっている。冷蔵ケースから"べこの乳"なる名前の牛乳も1つ取り出し(ものすごいネーミングだけど美味しい牛乳なんだ……)、会計済ませて会社へ戻る。

グラニュー糖が溶けきらず、シャリッとした舌触りがするトーストは案外に美味しかった。まんべんなくほのかに甘くて、シナモンの甘い香りもふわふわと漂っている。手と顔をベタベタさせながら食べ終え、速攻で顔と手を洗いに洗面所へゴー。

揚げ茄子と揚げにんにくの中華風
さんまのピリ辛葱和え
豆腐の味噌汁
さんまご飯
よなよなエール、アイス烏龍茶

ここ数日、ケンタロウ氏の料理に魅惑されている。『カツ代流しあわせごはん ケンタロウ流ウマイめし』(2000.09 講談社)に続いて『ケンタロウのにんにく とうがらし』(2000.10 世界文化社)まで買ってしまっており、中に乗る魅惑的なレシピを"せりあちゃんのレシピノート"なる自作データベースに入力している最中なのだ。ページを捲る度に美味しそうな写真と目が合ってしまい、どれもこれも作りたくなってしまう危険な書物だ。

「揚げ茄子のこの料理、作りたい作りたい……」
とじわじわと考え続け、今日決行。ついでに安売りしていたさんまも買ってきて、"いつも塩焼きじゃ芸がないし"とさんま料理に挑戦する。

10分でできる揚げ茄子は後回しにして、まずはさんまご飯の作成から。酒と味醂と塩を混ぜ込み、昆布を1枚ぺろりと乗せて御飯を炊く。炊きあがり前にさんまを2尾、フライパンでガーッと焼いてしまって頭とワタと骨を取り、1尾は炊きたてのご飯に混ぜ込んで蓋をして軽く蒸す。
もう1尾のさんまはこれも軽くほぐして、こっちは葱ソースにつけておかずにする。豆板醤だのオイスターソースだの醤油だの胡麻だの入ったタレをまぶした万能葱のみじん切りをうりゃうりゃと揉み込み、皿に盛る。さんま焼いてる間に豆腐の味噌汁も作る。

で、最後に揚げ茄子の中華風。にんにくの皮を剥いた1かけ丸ごとを5つほど、そして4等分にした茄子を揚げる。にんにくはじくじくとゆっくり揚げなければ栗のようなほっこり加減になってくれないので、低めの温度でじっくり揚げる。にんにくが揚がり、つづいて茄子も揚がったところでおろし生姜と胡麻油とオイスターソースと醤油と酒を混ぜたつゆに軽く漬け込むだけ。これだけなのに、何でこんなに旨そうなんだろう。

なんだか魚でありにんにくでありピリ辛であり、とても酒の肴になるようなおかずが揃ってしまった。とりあえずビールで乾杯。醤油ベースのタレに絡む茄子とにんにくは、何だか異様に美味しかった。にんにくは期待どおり栗のようにホコホコになっているし、あつあつの茄子はくたっと柔らかく甘い。これだけでビール生ジョッキ1杯は無くなりますねっ!という感じだ。
さんまの和え物も、やっぱりケンタロウ氏のレシピだった。これまた胡麻油だのオイスターソースだの、似たような調味料がガツンガツン入っているから、ちょっと似た傾向の味がする。こちらのほうがじわりと辛い。香ばしい塩焼きのさんまは、そのまんまでおろし醤油で食べるのがそりゃ一番美味しいけど、タレに和えられてくたっとしているのも悪くない。

ビールでもりもりおかずを食べ、そしてご飯と味噌汁に移行する。焼きさんまを混ぜ込んだご飯はほんのり生姜の香り。ただただ豆腐だけの味噌汁と一緒に魚臭い御飯をがつがつ食べる。味醂が入ってほんのり甘いさんまご飯は想像以上に美味しかった。
「食べちゃわないと、炊飯器が魚臭くなりそうだしね。」
「もう少しで無くなりそうだしね。」
なんて言いつつ、だんなも私も、息子までご飯をお代わり。2合半のご飯はあっというまに無くなった。

10/21 (土)
煮豚、作成中。
コンビニの
 チョコクロワッサン
 ミックスサンド
ピルクル、牛乳

今日は良い天気〜っと、朝から大洗濯。ベッドのシーツを洗い、枕カバーも取り外し、枕も干して朝から洗濯物と格闘していたら、朝食のことをすっかり忘れていた。
味噌汁は残っていたけど、そういえば昨夜のさんま御飯は全部食べてしまっていたのだ。

で、だんながひとっ走りしてコンビニに行ってくれた。ぬかりなく私の好物、チョコクロワッサンとレタスのたっぷり入ったミックスサンドを買ってきてくれる。息子と一緒に500mlのピルクルを分け合って飲んで、パンの朝飯。

チョコクロワッサンは1年以上前からサンクスで売り続けられているベストセラーであるらしい。板チョコ状のチョコレートが入ったクロワッサンは、かなり好み。無くならないといいなぁ……と一人願っている私。

フレッシュネスバーガーにて
 テリヤキバーガー
 オニオンリング
 ハーブティー(レッドジンガー)

本日は、チャリをこいで3kmほど先の街に買い物に行く。滅多にいかないところに行くと、怪しげな喫茶店と目があったり、「1kg牛丼挑戦者募集中」なんてノボリの立った牛丼屋などを見つけてしまったり、なかなかに楽しい。
道中、フレッシュネスバーガーを見つけたので、帰り際に寄っていくことにする。
ねぎみそバーガーに照り焼きバーガー、オニオンリングは2人分。息子用にはバナナケーキを注文し、飲み物はちゃんと3人分。

しばらく席で待っていると、2人分のオニオンリングがこんもり盛られたバーガー入りの籠がやってくる。だんなは小皿に塩を用意、私はケチャップを取ってくる。各々好き勝手なものをつけつつ、アツアツのオニオンリングに囓りつく。やっぱりオニオンリングあってこそのフレッシュネスバーガーだ。

レタスがこれでもかこれでもかと大量に挟まったテリヤキバーガーは美味だった。パンよりも肉の厚さよりも遥かに分厚いレタスがこんもり挟まり、それがシャキシャキとして気持ちいい。100%オレンジジュースを傍らに置いた息子もバナナケーキを前に御満悦だ。

午後2時、帰宅。
1kgの巨大な豚バラ肉を買ってきただんなは煮豚を作り始め、熟したマンゴー2個を買ってきた私はその横でマンゴープリンを作り始める。煮豚、できたら「汁なしチャーシュー麺」を作るのだ。ふっふっふ。

麻婆豆腐
牡蠣のジョン
大根と牛肉のスープ
御飯
モルツ、アイス烏龍茶
自家製マンゴプリン

出始めの牡蠣を買ってきた。
「ジョンにしましょう〜」
と、万能葱をざくざく刻む。薄力粉をふった葱を卵にくぐらせフライパンに並べ、同じく牡蠣もフライパンへ。卵をかけてじっくり焼いて、酢醤油をつけて食べる。

それだけじゃ足りないと、ジョンを作る私の横でフライパンをふるっただんなは麻婆豆腐を作ってくれた。麻婆豆腐と言ったら、陳建一御大だ。彼のレシピを見ながら(でも豆板醤大さじ3は恐怖の辛さなので小さじ1に落としながら)豆鼓たっぷり本場風麻婆豆腐を作成する。豆板醤が激減されてる麻婆豆腐が果たして本場風なのかどうかはともかく。

こんがり焼けたジョンに麻婆豆腐。中華風の大根と牛肉のスープに炊きたて御飯。ビールが進むし、御飯も進む。小さじ1杯の豆板醤のくせに、麻婆豆腐はそれでもじわじわと辛かった。甜麪醤と醤油が多めに入っている黒っぽい麻婆豆腐は、豆腐よりも肉が多くて何だか「麻婆豆腐」というよりも「麻婆肉、豆腐入り」という感じだ。それがまた良いんだけど。

食後に自家製マンゴプリン。中華街の「大珍樓」というお店のレシピを使って作ったプリンはミルクたっぷりでかなり白っぽい。マンゴーの風味たっぷりで、できたプリンは合計10個。明日もたっぷり食べられる。シアワセ。

10/22 (日)
汁なしチャーシュー麺 (昼御飯)
だんな特製ホットドッグ
アイスカフェオレ

昨日スーパーマーケットでの買い物中、気が付くと籠の中にシャウエッセンのソーセージパックが混入していた。だんなの仕業だ。私は私で新発売のヨーグルトだのインスタントレアチーズケーキのキットだのを籠に入れているのだから、全然人のことは言えないのであるけれど。
「ホットドッグ、しましょう♪」
とだんなはその後ドッグパンも探してきて、何だかホットドッグに燃えているのであった。

今朝、私がまだ半分寝ぼけて寝ぼけたままタオルの片づけなどをしている間に、だんなは既にホットドッグ作成に着手していた。キャベツを切りカレー粉を少し加えて炒め、ソーセージもこんがりと焼き、とろけるチーズを冷蔵庫から出す。
かくしてチーズのかかったこんがりホットドッグが1人1個並べられることになる。ケチャップを各自かけて、かぶりつく。
溶けたチーズも温かいパンも、焦げ目のついたソーセージも良い感じに美味しかった。くたっとしたキャベツも似合っている。

汁なしチャーシュー麺
アイス烏龍茶
自家製マンゴープリン

1日がかりで作っていた煮豚は、良い感じに味が染みていた。
「チャーシュー丼だ。」
「チャーシュー炒飯だ。」
「チャーシュー麺だ。」
とチャーシュー料理に期待は高まるが、とりあえず一番やりたかった「汁なしチャーシュー麺」をすることにする。参考は、このところ立て続けに作らせていただいているけど、またしてもケンタロウ氏のものだ。

「汁なしチャーシュー麺、だねー。」
と決定した直後、昼御飯はまだまだ先だというのに、もう台所で何やら仕込みをしているだんなである。洗濯物を干している最中、台所からタイマーのピピピピピという音が聞こえてくる。
「……まだチャーシュー茹でてんの?」
と尋ねると、
「……ふっふっふ、昼御飯に絶対必要なものを準備しております。」
と何やらニヤニヤしている。後で鍋の中を見ると、チャーシューと一緒にゆで卵がしっかり煮汁に漬かっていた。茶色く染まったゆで卵。……確かに必須かもしれない。

大きなボールに細長く切った煮豚と薄切り葱を入れる。醤油とオイスターソース、胡麻油に炒り胡麻を放り込み、ついでに煮豚の煮汁もひとすくい。おろし生姜とおろしにんにく、豆板醤も少々入れる。茹でたての麺をその中に入れて和え、上に煮卵と薄切り煮豚を飾る。"油そば"にも似た汁なしラーメンのできあがり。

ギラギラと胡麻油のこってり絡む麺は、想像以上に美味しかった。肉にもしっかり味がついている。肉の旨味が染み出た煮汁は、麺の調味料としてんもう最高だった。
「うーまーひー」
「うますぎるー」
「でも、こうするときっとまたとても美味しい〜」
と、酢とラー油を持ってくるだんな。確かに"油そば"に酢とラー油は必要だ。麺の消費も中盤を過ぎたところで酢とラー油をひとたらし。味が全体的にまろやかになり、ピリリと辛い中にもスッと抜ける風味が加わる。
「これまたうまひー」
「うますぎるー」
何だか平仮名でしか語れなくなった私たちがいたのであった。ああ……美味しかった。

鶏つみれ鍋
うどん
軽井沢高原ビール(アンバーエール、ブラウンエール)、アイス烏龍茶

私は昼過ぎからコンロの前を陣取っていた。
グラグラと強火で炊かれている熱湯の入る大鍋の前に立つ。熱湯の中には4羽分の鶏ガラ。煮込んで火を通しては肉をほぐし、骨を叩きつぶしていると気分は「大釜の前の魔女」だ。

「ふっふっふ、怪しい匂いがたちこめてきたねぇ。」……ケモノの匂いである。
「ふっふっふ、次は何を入れようかねぇ。」……水と塩くらいしか入れるものはないのである。
一人魔女ごっこを楽しんでいた私。
数時間も炊いていると、水分はすっかり半分以下となる。骨も脆くホロホロになり、砕くと砕いただけスープは美しく白濁していく。最後に骨と肉を漉して、水炊き用スープの完成。

そういうわけで、今日は今シーズン初の鍋、鶏つみれ鍋。
鶏ひき肉を葱と一緒に練り合わせて塩胡椒しただけの簡単な鶏団子をたくさんつくって、スープに浮かべる。他の具はキャベツとうどん、これだけだ。鶏スープで煮たキャベツは甘くて柔らかくて、本当に美味しい。
鶏がらを煮て煮て煮たスープは1リットルほどしかできなくて、
「飲んだら無くなっちゃうから最初からたくさん飲んじゃダメね。」
「おたま2すくいまでね。」
などと紳士協定を結んでストイックに飲む。スープは骨髄からゼラチンが溶けてトロリとなってしまってて、塩をふって黒胡椒をガリガリ挽くと、テーブルをバンバン叩きたくなってしまうほど美味しかった。素晴らしきかな鶏スープ。

濃厚なスープに入れた鶏団子も濃厚な味わいになっちゃうし、鶏団子からだしが出たスープもこれまた濃くなっちゃうし、で後になるほど美味しくなっていく嬉しい鍋料理。最後は冷凍うどんを放り込み、ここぞとばかりにスープをたっぷり器に注ぎ、塩胡椒してつるつる食べる。いよいよ鍋の季節だねぇ。