食欲魔人日記 03年08月 第4週
8/18 (月)
魚が食べたくて、サバの塩焼き葱ソース (夕御飯)
「Tops」のプリン
カフェオレ

チョコレートケーキで名を馳せている「Tops」。「デパ地下のどこにでもあるケーキ屋さん」という印象で、あんまりパッとしなかったりするのだけど、あそこで密やかに売られているプリンはだんな及びだんなの実家一同様の大好物。
マイルドとストロングの2種類があるプリン、その味の違いはカラメルの苦さの違いで、マイルドであってもかなり苦めの大人の味。プリン本体は卵濃厚なプル〜ンとしたいかにもなカスタードプリンの食感で、昨今流行の「なめらか系」ではない食感が私も大好きだった。

5年くらい前までは、そのプリンはごつい素焼きっぽい黒と茶の和風チックな器に固められていた。1個500円と高価なものだったけれど、その器はけっこう味があり、"蕎麦猪口"としてぴったりというサイズ。プリンを買っては器を保存し、しまいには器が目的かプリンが目的か、購入の意図が自分でもわからないようになってしまっていた。で、地味に売られていたものだからやっぱりあまり数が出ないものだったらしく、気がつくと2まわりほど小さくなり、しかも渋い器はやけにファンシーなものになってしまっていた。素焼きの器に手書き風のパステル色の模様が描かれたその器は、蕎麦猪口というよりも「植木鉢」。
「植木鉢になっちゃったよー」
「……うぅ、かわいくない……」
と嘆きつつも、やっぱりプリンは変わらず美味しいのだった。

昨日、Tさんのお宅におみやげに持っていったのがこのプリン。みんなで一緒に食べようねー、と大量に買ったは良いけど、結局鰻だケーキだお茶だ夕食だと食べ続けになり、プリンが入る胃袋の余裕がなくなってしまったのだった。夫婦で何個ものプリンを食べるのは大変だしね、と結局我が家もちょっと分けてもらって持ち帰ることに。朝食にプリンというのはいかがなものかと思うけれども、「久しぶりだねぇ」「トップスのプリンだねぇ」と心なしかニヤニヤする私たち。

私が作るカラメルはここまで苦くならないよという味のカラメル(それでもマイルド)が底に入り、ややねっとりめの弾力のあるプリン生地。生クリームが大量に入っているようなほわほわした食感の最近のプリンの味も悪くはないのだけど、やっぱり私はスタンダードなカスタードプリンが一番好きだ。ホイップクリームもなし、フルーツもなし、のストイックなプリン。美味しかったー。

チーズトースト
牛乳
葡萄

朝食にストイックなプリンを食べたところで(カロリーは決してストイックではないとは思うんだけど)、今日は一日ストイック風味な食生活にしましょうと密かに決意。昼御飯は、チーズ少なめのチーズトースト。特売品のを以前買ってきたエダムチーズを薄く薄くしょりしょりと削り、トーストにはらりと散らしてトーストにした。お供に牛乳、それと、昼食直前に買い物に行ってきたスーパーで安売りしていた種なし葡萄を少々。

「パンにチーズのせて、どうするのー?」
「焼くのー」
「やくと、どーなるのー?」
「おいしくなるのー」
息子は相変わらず人の調理作業に興味があるようで、夕食を作る時もとうもろこしは僕が茹でるだの御飯の火は僕が止めるだのと騒がしい。ここしばらくは、
「大きくなったらね、ぼくがごはん、作ってあげるからねー」
なんて言っている。

あらそう、嬉しいわぁ、何作ってくれるの?とその度に聞いてみるのだけど、答えはたいがい
「カレーライスとね、サラダとね、スープ!」
ということになっている。スープは息子の好きなコーンスープで固定らしい。最近はそれにプリンも加わるようになり、美味しいカレーライスとサラダとスープとプリンを作るのはけっこう至難の技だぞー、と私はにやにやしちゃうのだった。

茹でとうもろこし
牛タンのテリーヌ
肉じゃが(一昨日の残り)
サバの塩焼き ねぎソース
いぶりがっこ
小松菜と豆腐のとろみスープ
羽釜御飯
ビール・アイスウーロン茶

そしてストイックな(ストイックを目指した)夕御飯。そろそろ魚な気分なのよねー、と買ってきたのはサバだった。トマトと煮込もうかな、ハーブ焼きかな、と購入後にあれこれ考え、結局さっぱりと塩焼きにしちゃうことになった。塩がりがり胡椒がりがりふって焼いて、最後に卓上でねぎソースをかける。醤油と砂糖と酢をベースに、砂糖と酢は少なめのさっぱり味。赤唐辛子も混ぜたピリ辛ねぎソースを、サバと一緒に盛りつけたサラダ菜とトマトにじゃばじゃばかけながら食べた。

我が母は60を過ぎているのに「魚よりも圧倒的に肉が好き」というちょっと希有な味覚の人で(娘の私が数年前から"魚って美味しいわぁ"と思い始めているというのに……)、「サバねぇ、キライというわけじゃないんだけどねぇ……」とサバを少量取ってつつきまわしている。だんなも悪くないなという顔だけど、「やっぱり肉がおかずとして食いでがあるのよね」という表情。息子も「焼いたお魚よりね、おさしみがいいなぁ」という顔つきだ。焼き魚も美味しいじゃないかー。魚も安くないんだから皆もっとありがたがれよー、と内心呟く私。

相変わらず涼しい……というかほんのり寒い今日なので、スープはとろみのある中華スープ。ちょっとクタっていた冷蔵庫内の小松菜を中華顆粒スープで茹で、バーミックスもどきでぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃと細かく粉砕する。綺麗な緑色のスープになったところで塩胡椒して紹興酒をちょっと放り込み、小さく角切りにした豆腐を入れ、片栗粉でとろみをつけてできあがり。
うーん、ストイックストイック、と食卓眺めて満足げに夕食の準備をおおむね整えたところで、母が
「あのねー、昨日の夜に私が一人で食べていたやつの、残りあるからそれ食べて」
と冷蔵庫からテリーヌを数切れ取り出した。成城石井で買ってきたらしい、それは牛タンのテリーヌらしい。コンソメのゼリーでスモーク牛タンを固めたといった感じのもので、こってり濃厚な味がした。
「ストイックじゃなーい……」
と、これまた内心呟く私。

8/19 (火)
おやつは自家製マンゴプリンと、Topsのカスタードプリン
(後ろの、手書き風植木鉢状素焼きカップがTopsプリン)
Mさんの中華おこわ
小松菜と豆腐のスープ(昨夜の残り)
烏龍茶(黄金桂)

今日の朝食は、先日遊びに行ったMさん家でおみやげにもらった中華おこわ。
「すごいよね」
「なんかさ、新妻とは思えないほど料理が堂に入ってるよね」
「もうすでに"おばあちゃんの味"の域に達しそうだよね」
と我が家で噂の料理上手妻、Mさん。タッパーに詰めてもらったおこわを蒸籠で蒸して、昨夜の残りのスープと一緒に食卓に。

蒸籠がシューシュー湯気出している間にお湯も沸かし、中国茶を淹れた。今日のお茶は、どっかのデパ地下の中国茶フェアでだんなが見初めて買ってきた「黄金桂」。福建省安渓県を産地とする烏龍茶で、綺麗な黄金色の水色に桂花(キンモクセイ)の香りが感じられることからついた名だとか。Mさん家であれこれお茶を御馳走になってから、最近の夏ならぬ涼しさもあいまって「そうよね、家に溜め込んでいるお茶、せっせと飲まなきゃ」とせっせと茶葉を使おうとしている今日このごろだ。Mさんの話によると、中国茶ガパガパ飲む中国や台湾の人々は、お茶ガラを集めて干してパリッと乾燥させて、枕に詰めたりするらしい。
「あー、蕎麦ガラ枕みたいな?」
「そうそう、蕎麦ガラ枕みたいな」
「……お茶の枕だと、なんだか良い香りしそうでいいねぇ」
と、我が家でもやってみたいなぁとほのかに思った。……でも日本じゃ湿気ありすぎてカビ生えそうかも。

「木村屋」のスコーン ホイップクリーム&いちごジャム添え
チャイ

先週木曜日の夜に銀座で買ってきた「木村屋」のスコーンが、そのまま台所に置かれていたのに、今日気づく。
「あちゃー……カビてない?だいじょぶ?」
と、"スコーン、すまん"と心中謝りながら確認し、ちょっと固くはなっていたけど余裕で食べられそうだったので昼御飯はそれにする。

そもそも、母が買ってきたクロテッドクリームが少量残りっぱなしだったのを気にして買ってきたスコーンだ。クロテッドクリームは大丈夫かなぁ?……と匂いを嗅いでみると、こちらはくっきりはっきりアウトだった。クロテッドクリームはこんなに酸っぱい匂いはしない。ううう、クロテッドクリーム、すまん、と今度はクロテッドクリームに謝罪。計画性のない買い物がしょっちゅうこういう事態を招く。反省する割にあんまり改善してないのが情けない。

で、そういえばマンゴプリン作ろうと思って生クリームは買ってあったんだっけ、と今度は生クリームの鮮度確認。こちらは大丈夫だったので、懸案のマンゴプリン作成ついでにスコーン用に泡立てた。コリアンダーだのシナモンだのぽいぽい効かせて作った牛乳たっぷりの煮出し紅茶、チャイを作る間にスコーンもこんがりあったまった。固く泡立てた生クリームをこてこてつけつつ、ついでにジャムで甘みも加えつつ、スコーンの昼御飯。

「木村屋」スコーンは、かなり大きめ。フォートナム&メイソンのショップあたりで売られているスコーンの倍くらいの大きさがある。高さを等分するあたりの部位にむがーっと亀裂が入っているのは確かにスコーンの形状だし、そのサクサクホロホロとした口当たりも「そうそう、スコーンってこんな感じ」と納得できる食感。でも、なかなか巨大で、息子はハンバーガーを食べるかのようにスコーンを抱えて食べていた。

自家製マンゴプリン
Topsのプリン
霧社高山茶

昼食準備と同時に作ったマンゴプリンが、おやつの時間くらいにはゆるゆると緩めに固まった。Topsのプリンも1個余っていたので、息子と一緒に分けながらつつくことに。せっせとお茶を飲みましょうキャンペーンということで、またもや中国茶、今度は台湾の霧社高山茶を淹れてみる。

美味しいマンゴーを使って作ったマンゴプリンだったので、「でっきるだけ果実を含む割合が多くて、あんまりヘンな材料も入ってなくて、ココナッツ味とかも避けて……」と選んだのは、新宿のホテルセンチュリーハイアット内の中華料理店「翡翠宮」の総料理長山岡洋さんのレシピ。マンゴーをほんのちょっとの牛乳と生クリームと共にゼラチンで固めたようなこのレシピ、加えたゼラチンが少なかったのか(それともアップルマンゴーってフィリピンマンゴーと比べてすっごく固まりにくいのか?)、かなりゆるめのものになってしまった。マンゴプリンというよりマンゴクリームという感じ。それでも満足のできるマンゴーマンゴーしたデザートになったので、息子と一緒に「おいしいねー」「マンゴーだねー」と言いつつ食べる。

ひき肉と茄子の中華カレー炒め丼
蟹クリームコロッケ
サラダ
おばあちゃんのとうもろこしのコーンスープ
ビール・アイス烏龍茶

母が帰省したときに、伯母の畑で獲れたのだという茄子を沢山持ち帰ってきた。茄子があるなぁ、ひき肉もあるなぁ、と考えて、当初の予定ではイタリア風にミートソースで重ね焼きにしようかなと思っていた。んが、夕食の時間が迫ってきたところで「なんかねぇ、ミートソースって感じじゃないんだわぁ」と急遽予定変更して中華風のカレー丼にしちゃうことに。茄子をざくざく切って素揚げして、生姜とにんにくと共に炒め合わせた合いひき肉と混ぜ合わせ、味つけはオイスターソースと豆板醤とカレー粉。ケンタロウさんの本で見かけた料理だった。確か『とびっきりの、どんぶり』。母がスーパーで「安かったのよー」と言って買ってきた蟹クリームコロッケを添えたら、やたらとボリュームのある一皿になってしまった。

そして今日、感動的に美味しかったのは缶詰ものじゃないとうもろこしで作ったコーンスープ。これまた母の郷里で伯母が作ったとうもろこしだったのだけど、何本もあるそれを茹でたは良いけどなかなか減らず、えいやっとスープにしてみたのだった。茹でたとうもろこしから包丁で実をざくざくとそぎ落とし、牛乳と一緒に火にかける。バーミックスを鍋につっこんでギャギャギャギャギャと粉砕し、コンソメと塩で味を調えるだけ。ただそれだけで、漉してもいないからとうもろこしの細かい粒がけっこう舌に残ったりもしたのだけど、かつてなく美味しいコーンスープになった。砂糖などは少しも加えていないのに、ものすごく甘い。甘いけれど缶詰コーンを使った時のようなくどい甘さがなくて、コーンスープ好きの息子ならずともおかわりしたくなる味だった。息子は食事が始まるなり、両手で器を抱えて一気飲みしていた。

8/20 (水)
D's Lagoon(新宿御苑)で、チキンカレー。このお店のマンゴプリンはもう絶品! (夕御飯)
おばあちゃんのお赤飯
麦茶

本日はだんなと2人で観劇の予定。母の仕事が夕方終わるので、母の勤務先の近くで待ち合わせし、息子を連れ帰ってみていてもらうことになっている。せっかくだから待ち合わせ場所の近くで遊ぼうか?と、息子と2人で午後はぷらぷらすることに。
ぱたぱた家事したりいろいろ準備していたら、朝御飯がすっかり遅くなって昼御飯と言っても良い時間帯になってしまった。
「おかーさん、おなかすいちゃったよー」
という息子の言葉にそういえば朝御飯食べてなかったじゃん!と思い出して、あわてて準備。

先週行った、だんなのお祖母ちゃん家でいただいてきたお手製のお赤飯がまた残っていたので、これを蒸かしなおして食べることにした。匂いかくにーん、味かくにーん、OK、全然悪くなっておりません、とシューシュー湯気出させてしっかり蒸して食卓に。小豆を一旦甘く煮てある、素朴な風情のお赤飯だ。おばあちゃん、孫たちがお赤飯を大好きだからと2升3合もの餅米をお赤飯にして待っていてくれたらしい。
「飯台というよりさ……」
「これはもう、たらいだよね……」
と皆がそれを見てびっくりしてしまうほどの大きな器に盛られた赤飯は、本当に壮観だった。

だんなの実家側(だんなの実家とか、お祖母ちゃん宅とか)では、「赤飯に胡麻塩を添えるけど、それは黒胡麻でなければならない、ということはない」という文化がある。「ほら、これをかけてー」と出てくるのは白胡麻を煎ったやつで、たいていは塩と胡麻が別々に用意される。食べる人それぞれが好みで胡麻をかけ、塩をふって食べるのだ。私はといえば、「赤飯にはやっぱり黒胡麻でしょー」という文化で育っていたので、当初、この「白胡麻かけて食べるお赤飯」がなんだかすごく物足りなかった。あの黒い粒々をかけてこそのお赤飯、というイメージがあったので、
「白胡麻って……なんだかものたりなーい」
と最初はかなり思っていた。けど、ここ数年はすっかり慣れてきたらしい。白胡麻でも黒胡麻でも、お赤飯の美味しさは別に変わらないのだし。

舞浜イクスピアリ内「Great Beam Market」にて
 マンゴープリン
 アイスウーロン茶

午後になって息子と一緒に出かけてみたのは、舞浜にあるイクスピアリ。ディズニーランド及びシーに隣接している大型ショッピングモールだ。レストランやケーキショップもうじゃーっと入っているということだったので、「食べたことないマンゴプリンはないかいなー」というのが行ってみた主な目的。他に面白いお店とか、息子が遊べるとこもあったら嬉しいなー、とか、あまり期待もせずにぷらりと行ってみたのだった。

やはり夏休み時期ということで、子供連れ家族がそれはそれは大量にいた。午後2時を過ぎて、「もうディズニーシーは疲れたよ……」といった風のおみやげもの袋付属の子供連れを多く見た。もうおとーさんもおかーさんも疲れ果てていて、未だ元気な子供を追いかける気力も出ないらしい。棚に並ぶパン屋さんの売り物のパンを子供がぺけぺけ直に手で触りまくっているのに注意しない(というかそもそも気づいていない)人もいたり。だめだよー、と近づこうとしたら、先に店員さんが気づいて小さく悲鳴をあげていた。もう大変。

イクスピアリは、期待していたほど面白いショップは入っておらず、これならまだ台場の方が面白いというか、船橋ららぽーとの方がましというか。あっさりと一周してしまい、結局一番充実した買い物ができたところはスーパーマーケット「成城石井」だったりした。どこかのレストランに入るほど空腹でもなかったので地下のフードコートで休むことにした。息子にはソフトクリーム、私はたまたま見つけたマンゴプリン。1杯のアイスウーロン茶を一緒にずるずるずーと啜りながら一休み。

そういえば、浦安は今の我が家から全然遠くないはずであるのに、ディズニーランドにもディズニーシーにも千葉に住んでから一度も行ったことがない。どころか息子は一度も行ったことがない。「ミッキーさん!」「プーさん!」と時折楽しそうにショップの販売グッズとか、走るモノレールの窓を見て喜んでいた。……今度来てみます?ディズニーシー……(人混み苦手で、ちょっと憂鬱)。

新宿御苑 「D's Lagoon oriental sweets」にて
 ココナッツ風味チキンカレー \550
 フレッシュマンゴープリン \380
 アイスプーアール茶 \150(セット価格)

母と会って息子を頼んで別れたのは午後4時半。演劇のチケットはすでにだんなにも渡してあって、劇場の席で落ち合う事になっている。開場は6時半、開演は7時半。会場は池袋だったのだけど、
「……これだけ時間あったら、新宿に寄ってから行けるかなぁ……」
と、京葉線から八丁堀で日比谷線に乗り換え、銀座から丸の内線に急ぎ乗り換え、新宿御苑駅を目指してみた。気になって気になって気になっていたのになかなか行けなかったお店に寄って食事を済ませようと思ったのだった。

向かったお店は「D's Lagoon oriental sweets」というお店。昨年末くらいから「マンゴプリンがすんごく美味しくて!」という噂を聞いてはいたものの、くるタイミングがなかなか見つからなかったお店だった。新宿御苑駅から歩いて5分ほど。小さな商店街をうねうねと歩き、静かな裏通りに面した小さなお店だった。一見、え?ここが飲食店?と思ってしまったほどさりげない店頭。いくつかのカウンター席といくつかのテーブル席だけがある、ご夫婦で経営している小さな小さな店だった。シンプル(というか質素)な店内は、でも「ここが私たちの城ですよー」という控えめな主張が感じられて、居心地もなかなか。基本はアジアンスイーツのお店で、ただ終日通してココナッツ風味チキンカレーも食べることができるらしい。事前にカレーがあることを調べてあったので、ここで夕飯摂りがてらマンゴプリン食べようじゃないか!と考えていた。

チキンカレーはたったの450円。大盛りにしても550円。マンゴプリンは380円で、それに何種類もある中国茶(アイスでもホットでも)をつけてもらうとプラス150円。カレーとマンゴプリンとアイスプーアル茶で1029円だったのだけど、かなりのお得感を感じた。なにしろもう、マンゴプリンが美味しくてしかもボリュームたっぷりだ。そこらの中華料理店で700円出しても食べられないほどの果肉ざくざく入りの美味しいマンゴプリンが380円。幸せな夕食だった。

カレーには、かほちゃなどの野菜がたくさん入れられており、水はほとんど加えられてないのだとか。溶けた野菜がほろほろになった食感のある、肉もほろほろと砕けそうな優しい味のカレーだった。もとよりココナッツ味のものは大好物なので、がつがつと食べる。御飯の上には松の実が1個飾られ、ラッキョウが2つ添えられていた。あまりスパイス臭の強くない、ざっくりした素朴な味だった。

そしてそして、マンゴプリンはこんな感じ。かつて、たったの380円で、こんなにマンゴーの果肉が入っているプリンはなかったんじゃないかというほどに果肉たっぷりのものだった。それでも後でお店の奥様に伺ったところによると、今日はマンゴーの味が酸味強めなものだったので、エバミルクを多めに加えていたのだそうだ。いつもはもっとマンゴーの味が強くって……というお話だったので、まだまだまだまだ美味しいマンゴプリンがこのお店で食べられるということらしい。やわやわぷるぷるとしたプリンはやや柔らかめで、けっこうクリームっぽさも強かったので好みは別れるかもしれないけれど、久しぶりに「これは美味しいぃぃぃ」と涙したくなるマンゴプリンが食べられて私はとても幸せだった。……が、さすがにあまり時間がない。

「きゃー、急がなきゃー」
と、新宿御苑から四谷に出て南北線に乗り、飯田橋から有楽町線。東池袋からだだだーっとサンシャイン劇場を目指してめでたくだんなとも会え、一緒に見たのは演劇集団キャラメルボックスの夏の公演、「ナツヤスミ語辞典」だった。学生時代(もう10年以上前)に知り、以来ちょこちょこと、時には数公演連続して見続けているキャラメルボックス、今回見るのは1年ぶり以上だ。
「昔の台本のって……楽しいよねぇ」
「別に、最近のが楽しくないって、わけじゃないんだけどね」
「なんかこう、楽しいんだよねぇ」
と、だんなとニヤニヤしながら楽しく数時間の観劇を終えた。帰宅は11時過ぎ。ねむねむー。

8/21 (木)
だんなの好物の大根を鶏肉を一緒に炊いてみる (夕御飯)
「成城石井」のあんぱん
牛乳

「あんぱんだー。いいなー」
と、昨日の夕方、観光地舞浜の観光地イクスピアリにあるスーパー「成城石井」であんぱんを買ってきてみた。ころりと大きく、中央に芥子の実が少々。茶色の皮がつやつやと光っているスタンダードなあんぱんだ。
「うむ、粒あんである」
それが粒あんであることをきっちり確認して、買ってきてみた。イクスピアリ内には他にパン屋さんが何店舗も入っていたのだけど、いかにもディズニーランド帰りですみたいな姿のお子さま(推定年齢4歳)が、親の目の届かないところで売り物のパンをぐにぐにと直接押して触りまくって遊んでいたのを見てしまい、棚にパンがそのまま並んでいるパン屋で買うのは諦めた。

適度な、食べ応えのある大きさの、ふわふわのほのかに甘さ漂う生地に粒あんが入るあんぱん。スタンダードな味で美味しかった。で、あんぱんのお供には牛乳なのである。
「牛乳なのよね」
「牛乳なのだ」
と、だんなと一緒にあんぱん&牛乳セットを食べた。

寿司(巻物4種)
焼きそば
麦茶
……を、母と息子と3人で

久方ぶりに母の仕事休みと私の外出予定なしが重なった今日。息子を母に託し、朝一番にスポーツジムに行ってぱっしゃばっしゃと泳いできた。お盆休み後ということもあってか思いの外ジムは空いていて、1コースに自分だけという幸せを満喫しまくってばっしゃばっしゃと盛大に動いてきたら、帰る頃には腿がパンパンな状態になった。

私の帰宅と入れ替わりに母は歯医者に出かけていき、そしてお昼時に。
「うどんでも食べる?……いや、日本蕎麦かな」
と息子と話していたら、口から空気の抜けるような、妙な発声になってしまっている母が帰ってきた。具合が悪いなと思い詰めて歯医者に行ったら、行ったその日に歯を抜かれてしまったらしい。

「あほへ、おひふごふぁんたふぇはひと、くふりふぁね……」
「何言ってるかわかりません」
困った顔をしながら母は総菜の入ったビニール袋と、医者でもらってきた薬の袋をぷんぷん振り回している。昼御飯をちゃんと食べてから薬を飲むように、と言われてきたらしい。スーパーで買ってきたらしい総菜は、焼きそばと巻き寿司。明らかに1人分の分量を超えている2つのパックで、それを私と息子にも食べろということらしい。どっちが食べるのに楽か判別つきかねたので、自分はより良い方を食べるので残りを私と息子がつつけ、という意図のようだった。お昼御飯の準備をしなくて済むのはまぁ良いことだ、とお相伴に預かることに。

ねぎとろ巻きと穴きゅう巻きと、カニカマ巻き、鉄火巻きがパック詰めされたものと、ごくごく普通なソース焼きそば。結局母はどちらもなんとか食べられる状態だったようで、全員で適当にそれらをつつきまわした。
しかし、歯医者に行ったら突然抜歯というのは……ちょっとヤだなぁ。

鶏と大根の煮物
サラダ
漬物(いぶりがっこ・茄子)
じゃがいもの味噌汁
羽釜御飯
ビール・アイスウーロン茶

本日の夕御飯については、午後6時に至るまでなぁ〜んにも思いを馳せていなかった。鶏肉があるから適当に親子丼かな、とかパスタかな、とか。が、
「今日はとっても忙しそうなんですけど……夕飯の献立によっては無理矢理帰ろうかな、と……」
と午後6時過ぎにだんなからの電話。美味しそうな内容だったらなんとか帰ろう、という事のようだ。んーんーんー……鶏肉あるけど、なぁ〜んにも考えてないんだよねぇ……と電話では返し、だったらいかにも好きそうなものを用意してやろうかなと大根と一緒に煮物にしてしまうことにした。だんなは大根が大好き。いや、煮た大根が大好きだ。ふろふき大根とか、おでんの大根とか、ぶり大根とか、角煮大根とか、ともかく何らかの味つけでほこほこに煮た大根がそれはそれは愛しいらしい。
「鶏と大根の煮物にしたからー」
とメールを投げておき、ちょっとめんどくさいその料理の仕込みを早速始めた。

まずは大根を米の研ぎ汁で下煮。その間、別鍋に水と酒と醤油と砂糖でちょっと濃いめの、しかし少なめに作った煮汁で鶏肉にぎりぎり火が通る程度にさっと煮込んでいく。煮すぎると鶏肉は固くなるので肉は一旦引き上げ、残った煮汁に鰹だし、更に醤油、酒、味醂、砂糖などをぱぱぱぱっと投入し、ひたひたくらいの水位にしたところで大根をほっこりと煮込んでいく。食べ際にもう一度肉を戻し入れ、味をなじませる程度に火を通したらできあがり。茹でたさやいんげんをパッと散らす。

メインディッシュを煮込んでいる間に、サラダ作ろう、あと一品茄子料理か何か……とぱたぱたしていたところ、再度だんなから電話。
「ううう、やっぱり帰れそうにない……先に食べてて……」
大根食べたかったのに、とっても食べたかったのに、ていうか帰ったら食べるから残しておいてー……という心の叫びがちゃんと聞こえてきたので、おかずはちゃんと残しておいてあげることにした。ていうかそもそも最初から4人分見当で作ってるし、どっちみち余るし。

結局、それじゃそんなに品数そろえなくてもいいね、と煮物の他はサラダと漬物程度を準備する。秋田の親戚が庭で作ったじゃがいもを味噌汁にし、秋田名物いぶりがっこをざくざく刻む。母が好きだという小茄子の漬物(これはそのへんで買ってきた)も薄切りに刻む。刻んでいたら
「あーら、小茄子の漬物はね、田舎じゃね、刻まないのよ。このまま食べるのよ。水に浮かべてテーブルに出すのよ」
と母からツッコミが入った。漬物道は難しい。すみませんねぇでも刻んじゃたし、とそのまま盛りつけ。

以前は「御飯は炊くけど、味噌汁は滅多に作らない」という我が家の食卓だったのだけど、最近すっかり和食チックなものばかりを作っているような気がする。バルサミコ酢とかワインビネガーとかはあまり減らないのに、味醂や米酢や醤油は恐ろしい勢いで減っていく。あまり強く自覚していなかったのだけど、1年のアメリカ暮らしはすっかり「和食ってステキ」という嗜好に味覚を変えてくれちゃったようだった。……ここは脱却を図るためにインド料理とか作ろうかなぁ……(そしてきっと母からまたブーイングが)

8/22 (金)
お茶うけに「おばこ餅」。母の郷里の名産品。
鶏肉と大根の煮物(昨夜の残り)
じゃがいもの味噌汁(昨夜の残り)
納豆
いぶりがっこ
御飯(昨夜の残り)
麦茶

目覚まし時計が鳴って、ちゃんとだんなも私も7時過ぎに目を覚ましたのに、
「ねむーい……」
「すんごく、ねむーい……」
と二人して二度寝に入り、結果一緒に朝御飯を食べられなかった。なんだか最近はそういうパターンがけっこう多い。情けない。

出勤予定の15分前にもぞもぞと布団から抜け出し、「いってきまぁ〜す……」と眠そうに出ていっただんなを見送り、1時間ほどしてから私は息子と2人で朝御飯。昨夜の残りの料理があれこれ残っていたので、温めなおして食べる。
煮物に味噌汁、御飯の友に納豆と漬物。なんだかえらく和風な朝食になっちゃったなー、と息子を見ると、なにやら嬉しそうにニコニコとしている。御飯をよそってやるとニコニコに加えて「なっとーなっとー」と節つきでぱたぱたと踊り始めた。納豆御飯が食べられるのが相当に嬉しかったらしい。ああそうか、君は納豆がそんなに好きだったか……と少々びっくりしてしまいながらの朝御飯。納豆は半分以上奪われた。朝に和食というのもなかなかステキ。昔はホテルの朝御飯(美味しいトーストに好みの卵料理、フルーツに紅茶に……みたいな)ばかりに憧れていたのだけど、ここ数年は「旅館の朝御飯が一番豪華よね」という思いの方が強くなっている気がする。

「モスバーガー」にて
 ジャンバラヤチキンバーガー
 オニポテ
 山ぶどうスカッシュ

久しぶりにここ数日は夏らしい天気が続いていて、
「あついねー」
「汗だくだねー」
なんて言いながらも内心はその夏らしい気候が嬉しかったり。これでかき氷が美味しいねー、なんて言いながら、昼前に図書館に出かけてみた。息子は大好きな電車の本を何冊も借り、私はお菓子のレシピ本とか中国茶の本とかゴシック建築の本とか京都観光名所案内とかを今日もいろいろ無節操に借りてきた。昼御飯は……カレーが食べたいな、と自転車をこぎこぎ。背後の補助椅子に納まっている息子に声をかけつつ帰宅の途につく。

「息子さん息子さん、お昼御飯、どっかで食べてく?」
「うんー。たべるー」
「……カレーでいいかな?ナイルカレー」
「カレーでいいよぉ〜……あ!でも!おかーさん!モスバーガーなんか、あるんじゃない?」
「いや……モスバーガーもあるよ?あるけどさ……」
「ぼくはねぇ、ハンバーガーがたべたいなんだよ。ポテトもたべたいなんだよ」
食べたいなんだよ食べたいなんだよ、と言葉の使い方が今ひとつ正しくない息子が背後でじたばたと騒いでいる。カレー屋の前に自転車が近づいたところで、「違うんだよー。あっちなんだよー」と息子は道路向こうに見えるモスバーガーをびしっと指さした。根負けしてしまい、まぁいいかとモスバーガーのお昼御飯。

ただいま期間限定中のジャンバラヤチキンバーガーなるものがあるのだそうで、私はそれを。オニオンリングとポテトにドリンクもついたセットにしてもらい、息子はチーズバーガーとストロベリーシェイク。この夏モスバーガーでは限られたお店で限られた個数、1個600円弱もする匠味なんて名前のすごいハンバーガーもあるらしいのだけど、我が家がよく寄る店にはそれがないのだった。密かに気になっている。

いつのまにかハンバーガー1個をぺろりと食べられるようになった息子に驚きつつ、私はスパイス臭ぷんぷんのなかなか美味しいチキンサンドをもりもり食べた。アスパラガスがたっぷり挟まっていて、とろんと濃厚なクリームソースがかかっていて、期待以上に美味しかった。もとよりモスバーガーのテリヤキチキンバーガーなどが大好物だったので、かなりツボ。

ボンゴレリングイネ
マグロのカルパッチョ風ポルチーニ・ソース
ビール・アイスティー

おばこ餅
葡萄
桑の実緑茶

今日はとても魚介な気分。しかもイタリアンな気分。にんにく嫌いな母には申し訳ないけれど、にんにくたっぷりのボンゴレ・ビアンコが食べたかった。幸いスーパーで小ぶりなアサリが詰まったパックが1つ100円で売られていて、それを購入。ルッコラとマグロのサクもお安かったので、「よーし、カルパッチョも作ろう〜」と計画立てた。

マグロはオリーブ油とハーブでマリネする。適当なハーブがあったかなぁ……と、ベランダに植えてあるローズマリーとバジルとセージを適当に摘んで刻んでパラパラッとマグロに散らす。しばし置いてなじませてからハーブは取り去り、熱したフライパンでマグロの両面を軽く焼き付ける。あとはスライスしてルッコラと一緒に皿に並べ、あとはソースの作成。乾燥ポルチーニ茸(←イタリアのキノコ。かなり独特な、もやんとした芳香がある)を細かく刻み、マヨネーズを混ぜ、それだけじゃちょっと濃厚すぎる感があったのでオリーブ油と牛乳でのばして塩胡椒してみる。それをミニサイズジップロックに入れ、袋の隅っこを小さく切り取り、絞り出し袋の要領でマグロとルッコラの上に格子状にぴろぴろと絞り出した。乾燥ポルチーニを砕いてマヨネーズと混ぜてソースに……というこのカルパッチョの作り方はTさんに教えていただいたもの。

あとはパスタ。中華鍋にオリーブ油を入れ(炒めパスタするときは中華鍋が便利で、ついつい……)、刻みにんにくと赤唐辛子を炒め、そこにアサリを投入。適当に油が回ったところで白ワインをだばだばだーと流し入れ、アサリの口が開ききるまでぶわーっと火を通す。あとは乾燥パセリをたっぷり混ぜつつ塩胡椒しつつ茹でたパスタと和えるだけ。

「まるでイタリア料理みたいだね」
「……だからイタリア料理なんだってば」
帰宅しただんなに早々にからかわれつつ、なんだか久しぶりな気がする御飯を炊かない夕御飯。赤唐辛子をしっかり炒めすぎたようで全体的にピリピリと辛めな、お子さまにはちょっとつらいボンゴレビアンコになってしまった。
「ぼくはね、このからいスパゲティじゃなくてね、白くて、チーズで、クリームのスパゲティのほうが好きだな……」
控えめに、でも「今度はカルボナーラかアルフレッドを作れよゴルァ」という要望を強くにじませつつ、息子は「こっちの、お魚のほう、いっぱい食べてもいーい?」とカルパッチョをもりもり食べていた。にんにく嫌いな母も、ルッコラは大好物。カルパッチョはかなり好評だった。

で、スパゲティ。今日茹でた量はちょっと少なめで、ゆえにちょっと物足りなかった。ここのところパスタ料理というと大人3人子供1人で500g袋を全部茹でていた我が家。4人で500gはほんのり多すぎる分量で、でも取り分けて残しておくには半端な分量しか残らず、毎回「ううう、5口分くらい多いよ」「僕は3口分くらい多い」とだんなも私も含め全員が超満腹、という状態に陥ってしまっていた。今日は450gくらいを見当に取り分けて茹でてみたところ、そしたら微量に足りない。肉っけのない夕御飯だったということもあってか、ほのかに物足りないことになってしまった。

で、デザートは和風。日本茶をいれ、葡萄を出す。あと、母が郷里の秋田で買ってきてくれた「おばこ餅」。
「"おばこ"って、どんな意味ですかー?」
「若い娘さんのことね」
という、つまり「娘餅」。パッケージの娘さんのイラストはちょっと怖いものがあるけれど、この店のこのおばこ餅は確かに美味しい。似ている食べ物は「ゆべし」だろうか。細かいクルミがざっくり入った、もっちりねっちりとした素朴な感じの甘い餅。私はそんなに長い期間を田舎で過ごして育ったわけではないのだけれど(年にせいぜい二度、遊びに行くくらいだった)、秋田の食べ物の味はやっぱり馴染みのある味だ。きりたんぽとか、ハタハタ寿司とか、いぶりがっことか。おばこ餅も、なつかしの味。

8/23 (土)
牛角で「冷やし牛角麺」。野菜たっぷし。(夕御飯)
モスバーガーの
 モスチーズバーガー
 モスチキン
 山ぶどうスカッシュ

「確かに暑いのが夏だけどさー」
「そうそう、"これぞ夏っ"って感じだけどさー」
「……あついねー」
「……あついよね」
と、朝からだらだらだらだら……ていうか、もう時間は10時半だったりした。ここしばらく週末だけどちょっと早起き、という事がちょこちょこあったけれど、今週はなんにもみじんも予定がない。だらだらしましょー、という予告どおり、10時半まで寝こけてしまった。

「どうする?お買い物行っちゃって、で、ラーメンでも作ろうか?」
と朝食の算段をだんなに話しかけると、
「……もす?」
返ってきただんなは一言。モスバーガーがご所望らしい。いやー、モスは昨日行っちゃったのよねー、でもまぁ、昨日はモスバーガーが食べたくて行ったのに期間限定のチキンバーガー食べちゃったのよねー……などともごもご呟いた後、「ん、いいよー、モスにしよう」ということになった。

「というわけで、私、モスバーガー。いや、モスチーズバーガーでひとつよろしく」
買い物メモをつけ始めただんなにリクエスト。
「モスチね?あと、モスチね?そいでもって山ぶどうソーダだよね?」
そうよそうよ、モスチーズバーガーとモスチキンと、山ぶどうソーダよ。今日も夫婦間電波送受信は完璧だねっいぇーい、と親指をつきだした私に、「ほいじゃー、行ってくるー」とだんなはモスバーガーに仕入れに行ってくれた。

アメリカで過ごした弊害なのか知らないけれど、ここのところとみにハンバーガーが恋しくなる。ハンバーガーが恋しくなる割にはテリヤキチキンだのロースカツバーガーだのを食べているような気もするのだけど、ソーダものがぶがぶ飲みながらポテトつまんでバーガー囓って「……いいなぁ〜これよねぇ〜」と喜んでしまう自分がいる。
ミートソースがどっぷり挟まったモスチーズバーガーはすごく久しぶり。「この、はみ出ちゃったソースをね」「ポテトにつけて食べるのがまた美味しいのよね」と、口も手もベタベタにしながら食べた。それにしても暑い。

氷いちごミルク

ここ数日続いている、嬉しいかき氷日和。毎年大きな瓶(というかスーパーで普通に売られているサイズ)のかき氷シロップを買っては大量に残ってしまって捨てる羽目になっていたので、今年は200ml程度しか入っていない小瓶ものをあれこれ買いそろえてみていた。イチゴにメロンにみぞれに抹茶、ココナッツ。味の変化が楽しめるので何回も氷を削っていたら、今度はシロップが足りなくなってきた。毎年なかなかうまくいかないもんである。

本日は、息子は氷いちごに缶詰のさくらんぼ乗せ、だんなは宇治金時、私はいちごミルク。いつもよりシロップ少なめに氷いちごを作り、上からたっぷり練乳をかけた。ベトナムとかシンガポールあたりでもかき氷はメジャーな食べ物のようだけど、かの地では煮豆(あんこも煮豆なんだけど)乗せたり、スイートコーンかけたりするらしい。それも食べてみたいなぁなんて思っていたりして。

「牛角」にて
 シーザーサラダ
 サンチュ
 ごはん(小)
 王様ソーセージ
 にんにくホイル焼き
 ねぎタン塩
 さがり タレ
 胸ヒレ タレ
 照りマヨちゃっく
 にんにくハラミ
 フォアグラ焼き
 カルビ 塩ダレ
 ピートロ 塩ダレ
 熟成ハラミ 塩ダレ
 ビビンバ
 冷やし牛角麺 (無料)
 白玉deきなこアイス
 白玉deチョコバニラ
 もなかアイス バニラ
 生ビール×2
 生グレープフルーツサワー
 夏みかんサワー(ジョッキ)
 コカコーラ
 カルピスウォーター
……を、家族3人で。ちょっと(いや、かなり)食べ過ぎ。

予告通り今日は一日だらだらしていた(録画していたアメリカンプロレスをまとめ見したり、本読んだりゲームしたり……)のだけど、だんなはなんだか具合が悪そう。微量に熱っぽい。
「なんかね……焼き肉喰いてぇなぁ、って気分なんだよなー」
「……具合悪いのに?」
「いや、具合悪いから……焼き肉……」

わかるようなわからないような、な気分だけれど、焼き肉に依存はなかった。8月下旬で有効期限が切れる割引券だの試食券だのがあったので、今行けば1600円くらい割引であれこれ食べられる勘定だった……ということもあって、夕食にはちょっと早めの時間にぷらりとチェーン焼き肉屋「牛角」に行って来た。すーっごく美味しい!というほどでもないけど、風変わりなものが色々あって楽しめるし麺や御飯類はハーフサイズもあって嬉しいし、デザートも美味しいし。何しろ安くて、親子3人でどんなに食べてもまず1万円は超えないというのが嬉しかった。高級そうな焼き肉屋に行くとつい箸の動きにリミッターがかかってしまったりするのだけど、ここだったら安心、という気持ちもある。何しろ我が家から電車に乗ったりせずに行けるというのがありがたい。腹一杯食べて、ぷえーっと歩いて帰ってそのままベッドに沈没、ということができることが一番の理由で、我が家はしょっちゅう牛角に行っていた。

私もだんなも生ビール、息子はコーラ。サラダとね、牛タン塩とにんにく焼きと息子用にソーセージと……と一気に最初の注文をし、心の赴くままじゃかじゃかと注文してみた。ねっとり濃い味の照り焼き味の肉を焼いて最後にマヨネーズつけて食べるという風変わりな「照りマヨちゃっく」とか、おろしにんにくがこれでもかとまぶされた「にんにくハラミ」とか。なんだこりゃ?と気になって注文してみた「フォアグラ焼き」は、最初から小さな鉄板で焼かれた状態のものがテーブルにやってくるものだった。薄切りのちょびっとしたフォアグラに温泉卵が添えられて、上から"特製タレ"なるものをかけて食べるようになっている。これは……普通というかまぁまぁというか、これ食べるなら普通の肉喰った方が良いかな、というか。

いつもかなりの量の肉を焼いては喰っている我が家だけど、今日は格別にすごかった。何がすごいって、息子がすごかった。
「おにくー、おにく食べるよー」
と、それでもこれまではタンとカルビくらいをちょこちょこっとつまんだ後は御飯とか冷や奴とかを食べているのが常だったのに、今日は8切れ乗る肉の皿のうち確実に2切れは食べていく。ハラミだろうが何だろうが気にせずもりもり食べ、御飯も食べ、サラダもきっちり小皿に取り分けてやった分は食べ、「王様ソーセージ」はほとんど一人で食べきった。そのうちきっと、「頼むからもう止めてくれ」いうくらい食べるようになるんだろうなぁ……と思いつつ、喰いっぷりの良い息子を見るのは楽しいことだ。

たらふく肉を食べた後は、レギュラーサイズのビビンバと、レギュラーサイズの冷やし麺(これはクーポンがあったので無料)まで平らげてしまい、しかも1人1つのデザートまで消滅させ、かなり大変な状況で帰宅するに至った。
「最後の方のさ……ピートロとかあのへんの皿、2枚くらい多かったかな……」
「……やっぱりぃ?」
なんて言いながら、だんなはなんだか元気。体調不良は焼き肉食べてふっとばせたらしかった。

8/24 (日)
豚肉の生姜焼き (夕御飯)
だんな特製 西山ラーメン(味噌)
麦茶

昨月末に北海道出張に行ってきた我が夫。おみやげに「高山ラーメン」を買ってきてくれたのだけど、常温保存でけっこう保つよー、という話にすっかり油断して放置プレイになっていた。さすがにそろそろ食べなきゃね、と、昨日モヤシとか豚ひき肉を買ってきた。で、朝から(と言っても起床は今日も10時半)ラーメン。「その料理をより愛するものがその料理を作るべし」の掟にのっとり、だんなが台所に立ってじゃかじゃか準備をしてくれた。

「西山ラーメンって?地名?聞かない名前だけど」
とにかく地理が苦手な私。北海道の地名に"西山"なんてあったっけ、と激しく不安になってしまう。
「いや、メーカー名だよ。西山製麺っていう。北海道じゃ有名な製麺所らしいよー」
醤油味と味噌味が2玉ずつセットになっている西山ラーメン、2玉分の味噌スープを使って3玉の麺をラーメンに仕立てた。

最初に中華鍋でひき肉をせっせと炒め、炒まったところでモヤシを加えてざっと混ぜる。あとはスープと熱湯を加え、軽く火を通してスープの完成。スープだけをどんぶりに入れ、茹でた麺を盛りつけ、最後に肉モヤシをトッピング。あとは今回のそのセットに入ってきたコーンメンマとか、味噌ラーメンにはこれでしょ!なコーンやバターを添えたらできあがり。この、「肉野菜を炒める→インスタントスープと熱湯加えて少々煮込む」な作り方は、ジャンクな味のスープでもそこそこ食べられる味になったりするので、何かと重宝しているのだった。欠食児童……いや、欠食少年時代だっただんなが深夜密かに家の台所で繰り広げていた技なのだとか。

肉もやしたっぷり、コーンは更にたっぷりの豪華ラーメン。さほどこってり味ではない、食べやすい味の味噌スープにシコシコした麺が美味しかった。味噌ラーメンは大好き。コーンとバターが似合っちゃうところがたまらなく好き。……でも、一番好きなのはとんこつラーメンなんだな。福岡行きたい……。

おばこ餅
「緑碧茶園」の果実の雫 山査子・茘枝
台湾茶(文山包種茶)

今日も一日、だらだらだらだら。今日の暑さはなかなかのもので、クーラーが29℃くらいから一向に下がる気配を見せない。
「よっしゃ!お茶でも飲もう!」
と、だんなが立ち上がったのは午後3時半頃だった。いいねいいね、と私はお茶請けを用意する。

お茶は台湾の烏龍茶、「文山包種」。烏龍茶にしてはかなり薄めな水色の、ふわんと軽い香りの美味しいお茶だ。お供には秋田のお菓子「おばこ餅」と、ゼリー状のミニお菓子。「果実の雫」という、どこかメルヒェンなそのミニ菓子は緑碧茶園で以前買ってきたお菓子。サンザシとライチの味のそれは、上品な味で外見も可愛いらしく、お茶請けにはぴったりだ。息子は手づかみでわっしと食べようとしているけど、手づかみはいかん、手づかみは。

豚肉の生姜焼き with 千切りキャベツ
さやいんげんのマヨ醤油
わかめと油揚げの味噌汁
羽釜御飯
コロナビール・ほうじ茶

のんびり日曜日の夕飯は、やはりどこかやる気なさげ。豚肉の買い置きがあったので、ちらりと眺めて
「よーし、生姜焼きにしちゃいましょー」
と、工夫もへったくれもない献立にしてしまった。冷蔵庫に残っていたキャベツをたっぷりざくざくと刻み、豚肉はこんがり炒めてから醤油と酒と味醂と山盛りの刻み生姜を合わせたタレで絡めつける。御飯が炊ける間に味噌汁を作り、あと一品欲しいなとさやいんげんをさっと茹でた。

母の郷里の文化なのか、母だけの文化なのかは謎だけど、母は「マヨ醤油」が大好き。茹でたアスパラやさやいんげんにはマヨネーズをにょろりと絞って醤油をちろりと垂らして食べるのがこのうえなく好みなのであるらしい。私がバジルマヨネーズとかアンチョビマヨネーズとか、にんにく風味の葱ダレとかを作っても、たいていは「やっぱりマヨネーズ醤油が美味しいのよねぇ……」と非常に張り合いのない事を言ってくれるのだった。まぁそれでいいか、と、マヨネーズと醤油を食卓に出しておく。

純和風の夕飯だけど、なぜかビールはメキシコのコロナ。近所のスーパーで1本240円程度に安売りされていたのだけど、安売りされていてもアメリカでの購入価格の2倍以上の値段だった。
「うわっ高い……」
「でも久しぶりだね」
「買っちゃえ買っちゃえ」
と少しだけ買ってきたそれには、「ライム果汁ミニパック」なるものがついていた。そうそうライムも高くてねぇ……1個100円とかするもんねぇ……と、ちまちまとそのミニパックを破いてビールに落としてみる。生のライムをギュッと絞るのには到底かなわなかったけど、それでも懐かしき味、コロナ。
コロナが安売りされている間に、メキシカンな夕飯というのも悪くないかもしれない。