食欲魔人日記 00年8月 第2週
8/7 (月)
目玉焼き
チーズ入り笹かまぼこ
牛肉とワカメの中華スープ
御飯

昨夜、だんなは
「スープ、たっぷり作るね。」
と言った。そう、たくさん作るのは料理の極意であるらしい。

「料理における大切なコト。いつも多く作るアル。お客が来るかもしれないアル。多く食べる人いるかもしれないアル。」
とファイナルファンタジー9のキャラクター、ク族のクイナ氏もそうおっしゃっている。世の中は全て食べ物で動いている彼をとても他人とは思えず、私は名前設定で彼の名前を"せりあちゃん"と名付けてゲームしているのであった。彼からは色々教えられる。先日なぞは
「この世には食べられるものと食べられないものの2種類しかないアル」
と哲学的な事をおっしゃっていた。そうだそうだそのとおりだ。

で、ともあれスープがたくさんあるのである。昨日お代わりして喰ったのに、まだまだたっぷりあるのである。たっぷり鍋にあるスープというのは嬉しいものだ。
御飯にスープ、そして目玉焼きと最後に残った笹かまぼこもテーブルに並べて朝御飯。

白玉だんご
冷茶

息子の体調があんまり宜しくなかったので本日は息子も私も休んでごろごろすることに。
腹具合が良くなくて食欲も無い息子のために、昼御飯をどうするかと思案する。冷たくて甘くてツルツルしたものなんか嬉しいかなぁと思い、白玉団子を作ってみる。

白玉粉を水でこねこねして、団子を作ってお湯に入れる。浮き上がったら穴あきお玉ですくって氷水でしめればできあがり。そうそう、小学校の家庭科の時間、かなり最初の頃にみんなで作ったのがこの白玉団子だったっけ。男子がきったない手で作った団子はなんとなく灰色に薄汚れていた記憶が残っている。水は一気に加えず、様子を見ながら"耳たぶの柔らかさ"になるまでチロチロ加えるのがコツだったのだ。
色々な記憶を蘇らせつつの白玉団子作成。

15分後、2つのガラスの器に冷たい白玉団子を盛り付けて、粒あんを横に添える。冷たい緑茶も用意した。
モチモチとした白玉団子は何だか懐かしいような味がする。そうそう、きなこ振って喰ったりもしたっけか。
朝食も摂らずにいて心配していた息子も4玉ほどの団子をはぐはぐとたいらげた。……ほ。

コールスローサラダ
ポークカレー
牛肉とワカメの中華スープ
アイスカフェオレ

カレーが無性に食べたくなり、先日カレー用豚肉を買ってきておいてみた。真夏のカレーというのもサイコーに美味しいけれど、足が早いのが難点だ。3日もすると、朝晩火を通していても"旨いカレー"は"腐ったカレー"になってしまう。で、いつもの半量ほどのカレー作成。ダイナミックさには欠けるけど、まぁしょうがないのである。

まず、薄切り玉ねぎをじっくりじっくり茶色くなるまでバターで炒めることからカレー作りは始まる。クタクタを通り越して水気が飛ぶ頃まで茶色く玉ねぎが炒まったところで具を炒め合わせて煮込みに入る。最初の玉ねぎは溶けてしまうので、後から食べるための玉ねぎも1個投入する。玉ねぎだらけのカレー、これがとても好きなのだ。

マヨネーズ味のコールスローも用意して、アイスカフェオレと一緒に並べて、いざいざカレーに対峙する。あ、そういえば腹具合の悪い息子にカレーはちょっとマズかったかもしれない。すまん息子。

久しぶりのカレー、じゃがいもたっぷりのちょっともっさりしたやつだった。豚肉ごろごろ、玉ねぎもどっさり入っている。インド風、タイ風のガツンとスパイスの効いたカレーも大好きだけど、"カレーが食べたい"と思って想像するのは市販のルーを使ったどろりと濃度のあるこんなカレーだ。本日は"こくまろ(中辛)"を使用。そうそう、こういうのが食べたかったのよー。

8/8 (火)
2日目のカレーライス ゆで卵乗せ
アイス烏龍茶

「明日の朝は、カレーです。」
と昨夜だんなに報告すると、それはそれは嬉しそうにニパッと笑うのであった。
「じゃあさじゃあさ、目玉焼きを乗せよう。……いや、ゆで卵がいいな。うん、ゆで卵だ。」
と嬉しそうに言うもんだから、今朝はゆで卵を作ることから始まる朝御飯の準備。
私もだんなも、"朝にカレーなんて重くて喰えないよ"なんて微塵も思っていないところが何というか食欲魔人なのである。

美味しく馴染んだ2日目のカレーに、輪切りにした固茹での卵を盛り付ける。御飯たっぷり、横には烏龍茶もたっぷり。何だかやる気の沸いてくるボリューム朝御飯だ。

あああ、2日目のカレーって、なんでこんなに美味しいかなぁ。玉ねぎもじゃがいもも熱で煮溶けてちょっとグズグズになったような2日目のカレー。肉も茶色くカレー色に染まっている2日目のカレー。ああ、2日目のカレー2日目のカレー。
そんなに美味しいなら、いつも食べたい前日にカレーを作れば良いようなものだけど、そうもいかないのがカレーの魔力だ。
「作ったらすぐに、食べたいのよねぇ〜」
と料理研究家小林カツ代さんもおっしゃってるではないか。そう、カレーはカレーの匂いがしたら最後、食べたくて仕方がなくなってしまうのだ。

かくして、いつもより少なめに作ったカレーは余すところあと1人分弱になった。
……明日の朝にカレーうどん、かなぁ〜♪(←これもまた楽しみ)

ホットケーキ ホイップバターとメープルシロップ
牛乳

昨日に引き続き、息子の体調悪しで会社をお休み。
朝食のカレーも食べたがらなかった息子はひたすら牛乳ばかりをガブガブと飲んでいる。それもまた腹下しの原因になっちゃうではないか、何かちゃんと腹に入れなさい、と母親らしい心配を一応しつつ、でも本当は私が食べたかったからという大きな理由でお昼御飯は息子も私も大好きなホットケーキ。

生協で買ってきたチープな感じのホットケーキミックスに、卵と牛乳入れて焼くだけ。焼く時はバターたっっぷりフライパンに放り込んでじくじくと。1枚焼いている間に1枚が冷めて行ってしまうので、オーブンで先に焼いたやつと皿を保温しつつアツアツのホットケーキ2枚重ねを完成させる。常温に戻してふわっと混ぜたカルピス特撰バターに、以前親戚からカナダ土産でいただいたメープルシロップ。何だか豪華なホットケーキになった。良い感じだ。

揃いの大小のお皿に、揃いの大小のデュラレックスのグラスを並べてホットケーキも2枚重ねが大小サイズ。ナイフとフォークで私が8等分にして喰ってる横で、息子は自分の顔ほどの大きさのホットケーキを両手で持ってかぶりついていた。あ、美味しいですか。そりゃ良かった。

ホットケーキ(パンケーキ)を見ると、いつも思い出すのが"ぐりとぐら"の絵本の話。
確か、大きな大きな卵を見つけて大きな大きなパンケーキを焼くという話があったはずだ。幼少の頃、あの話を図書館で借りてきた本で見た私は、当然の如くそのパンケーキが食べたくて仕方がなくなってしまった。母にその本を見せて、
「あのね、これが食べたいの」
と伝えると、母はするにホットケーキを焼いてくれた。美味しかったけど、でもごくごく普通のホットケーキだった。私は絵本に載っていたような、自分の身体の大きさくらいのホットケーキが食べたかったのに、それは本当に普通のサイズのやつだったのだ。
「これじゃないの〜」
と焼きたてのホットケーキを前にぐずる私を前に、多分母は困惑していたのだろう。

さて、息子がもしも同じことを言ったらどうしたら良いんだろう。今なら言えるけど、身体サイズのパンケーキを作るなんてこた不可能なのである。
だんなの実家から譲り受けた巨大な電気オーブンなら、30cmくらいの大きさの円形の型が入りそうだ。これで我が家でできる最大級のホットケーキ焼いたら、息子は満足してくれるだろうか。……かつての私はそれでも満足できないと思うけど。

夏野菜のアーリオ・オーリオ
トマトソースのスパゲティ
冷たいコーンスープ
よなよなエール、アイスカフェオレ


アクアパッツァ製、真空パックのパスタソースが冷蔵庫に入っていたので、トマトソースのそれを使って夕飯はパスタ料理。透明な袋から、具のあまりなさそうな真っ赤なソースが透けて見えたので、何か具を添えようと夏野菜を炒めることに。幸い冷蔵庫には茄子もパプリカも美味しそうなアスパラガスも入っている。

細くてすらりとしたアスパラガス、赤と黄色のパプリカ、茄子をざくざく切ってみると、えらく華やかになった。緑に紫に赤に黄色。これをたっぷりのオリーブ油(奮発してエキストラ・ヴァージン・オリーブ油、しかも高かったやつ)で炒め揚げしてみることに。薄切りにんにくをたっぷり入れたオリーブ油に野菜を入れ始めると、えらい勢いで茄子が油を吸い始める。野菜がこんがり焼けた頃には、鍋に油はほとんど残らなかった。なんだか期せずして高カロリーな添え物に……。

塩と胡椒をガリガリかけた野菜をパスタ皿の周囲に盛り付けて、中央にパスタこんもり。トマト色のソースをかけて、全部適当に絡めながら食す。おお、ニンニクと塩の加減が丁度良い。ちょっと淡泊めなソースにコクが加わって良い感じだ。油吸った茄子喰ってると、"ああ、夏なのねー"と何とはなしに思ってしまう。

デザートも夏らしく、桃。
やっと安くなってきたやつを、土曜日に4つ買ってきた。ちょっとまだ固めだったそれを部屋に置いておくこと3日間、満を持して今日は冷蔵庫でキリリと冷やしておいたのだ。ツルリと剥いた桃をそぎ切りにして盛りつけて、皆でつつく。まだ薄ら甘いくらいのものだったけど、柔らかくて香り豊かな桃は私の大好物だ。

ああ、夏っていいなぁ……(秋も冬も春も良いんだけど)。

8/9 (水)
カレーうどん
冷茶

"カレー最後の日にはカレーうどんにすべし"
のせりあ亭鉄則に基づき、今朝はカレーうどん。

元は、だんなの実家の風習で、"カレー鍋は最後にうどんにすると鍋がピカピカになってくれる"のがその習慣の根拠になっているらしい。私の実家では一度も作られることが無かったカレーうどんだが(単に私の母親がカレーうどんにあまり愛が無かっただけだと思う)、結婚してからというものはカレーというとうどんを喰っているような気がする。

だしが効いたカレースープにはまだふわふわと玉ねぎや肉、じゃがいものかけらなんかが浮かんでいて、それがなかなか幸せだ。3玉のうどんをたっぷり茹でて、家族3人ではふはふ良いながらうどんをすする。今日もヘビーな朝食だ。

銀座 スワンベーカリーの
 シュークリーム 2個
牛乳

暑い。
「パンを買おう……」
と外に出たのは良いものの、お気に入りのパン屋にたどり着く頃にはマヨネーズ味のパンやらシチューパンやらは食べる気がすっかり無くなってしまっていた。パイ系も重いし、ああ、どれもこれも心に響かない……と店内をうろうろした挙げ句、心に響きまくったシュークリームを2個抱えているのであった。今日に限らずシュークリームはいつでも心に響いているし、"私を食べて♪"と常々私に訴えかけてきていたりするのだが、まぁそんなこたどーでもよろしい。

このお店のシュークリームに惚れてから半年ばかり、でも2個のシュークリームを買ったのは初めてだ。薄い皮に、どっしりもっちりした固めのカスタードクリームが入っていて、この食べ応えのある感じがいかにもパン屋さんのシュークリームという感じ。牛乳200mlのパックを傍らに置いて、もしゃもしゃとシュークリームを食す。1個食べても、も1つあるなんてなんて幸福なのだろう。うふふふふー。

自家製角煮
キャベツとニンニクのスープ
米久の
 洋風弁当
よなよなエール

だんなの帰りが遅いというので、"じゃあ適当に残り物処分……"と思っていた矢先、「やっぱり早く帰れそう」との電話が。御飯炊くのも時間がかかるし、パスタは昨日喰ったしで、
「お赤飯のお弁当でも買ってきてくださいなー」
とお願いする。

数十分後、私の希望通りのお弁当を買ってきただんなが帰宅した。
私用にはおこわ屋さん"米久"のお赤飯の入った洋風弁当。自分用にはステーキ丼、息子にはうなぎ御飯。各自それぞれ好みなものがそれぞれ別のお店で買われているあたり、だんなのこだわりが見える。

昨夜、だんながうきうきと作っていた角煮も、まだ出来上がりには早い段階だけど良い具合に煮えている。ついでにその角煮を下茹でした時の茹で汁も残してあったので、これにキャベツやにんにくを放り込み、塩で味つけして、ついでに隠し味で角煮の煮汁などもひとたらししてみてスープを作成。
買ってきていただいた弁当に冷えたビールと出来たての角煮、スープを並べたらそれなりに豪華な食卓になった。

下茹でして醤油と酢で焼き付けて、それを醤油と砂糖のタレでぐつぐつ煮込んだ角煮は、まだ若干固さがあったけど甘辛くて良い具合に美味しくなってきている。2かけ食べたいところをぐっと堪えて1かけで我慢。

お弁当には、私の大好物(そう、お米料理の中でおそらく最大に好物)なお赤飯に、ハンバーグ、海老フライ、コロッケ、お煮しめ、こんにゃくの甘酢漬け、しば漬けなんかがこちゃこちゃと詰まっている。何だか洋風なんだか和風なんだかいまいち不明な内容だけど、ハンバーグも海老フライも好物なので美味しくいただく。
ああ……冷蔵庫にはデンジャラス鶏肉が入っているのだった。明日はこれを食べなければ。

8/10 (木)
木村屋総本店の
 フォカッチャ
 カルツォーネ
 クリームパン
アイスカフェオレ

我が家の"美味"を示す表現の1つに、「ありがとう、旨かった」という言葉がある。期せずして想像を絶する美味に出会った時、職人の技を見た時、安価でたまらなく旨いものが喰えた時、夫婦で溜息つきつつ「……ありがとうっ!旨かったぁ……」などと呟いたりするのだ。
その発端となったのが、銀座4丁目に大きな店舗を構えるあんぱんの木村屋、その総本店なのであった。

このお店でのウリはあんぱんである。当然である。入り口すぐ右にて木箱がずらりと並べられ、いつも桜あんぱん、栗あんぱん、クリームパンなどが飛ぶように売れていく。そのコーナーも大好きだ。大好きなのだが、左方向ちょっと奥まったコーナーを見逃してはならない。そこでは折々にテーマを変えてカレーパンを数種売っていたり、チーズ系パンを売っていたりする。そこで数年前出会ったのが気合いの入ったイタリアパンの数々。フォカッチャやカルツォーネなど、担当者がムキになって作ったとしか思えないやけにハイクオリティーな本格的イタリアパンが並んでいたのだ。カリカリとしたパン生地や、濃厚なたっぷりのモッツァレラチーズ、程良い焼き加減、何を取ってみても美味しくて、純日本風のパンを売る木村屋とは対極にあるような美味なパンだった。
「これは、旨い!」
「……ありがとう、旨かった〜!って感じ。」
「ああ、それは良いそれは良い。"ありがとう!旨かった!"、これから使おう。」
と話が盛り上がったのを記憶する。

そして今朝、オーブンでじっくり温めているのが、そのフォカッチャとカルツォーネなのである。昨日だんなが買ってきてくれたパンの数々、あんぱん数種類やツナワッサンなどの他に、あのイタリアパンが入っていたのであった。ナイス選択、だんな。

じゃがいもや玉ねぎと共にたっぷりのチーズが乗せられたフォカッチャ。ハムやチーズが挟まれて二つ折りになった形状のカルツォーネ。どちらも良いオリーブ油の香りがふわりと漂うけれど、だけど全然くどくはない。温めると良い具合にサクサクになってくれて、相変わらずの美味だった。

あと1つ、ツナワッサンを食べる予定だったのだが、さすがに油っけのあるものが続くと胃にもたれるような感じがしてクリームパンに変更。
「ツナワッサンは重いから、クリームパンを食べるね」
とがさがさと袋をいじくっていたら、だんなが目を剥いていた。
「おゆきさん……カロリー的にはあまり変わらないんじゃ……。」
いいの。私の感覚ではクリームパンは軽いの。

麦チョコ
牛乳

新橋そばのビルで本日はお仕事。
「昼御飯は新橋ででも美味しいものを食べよう♪」
と思っていたのに激ジョブでそんな余裕もなく、結局目の前のコンビニで調達する羽目になる。12時半ともなるとろくな弁当もパンも、おにぎりも残っていない。いまいち気に入らないおにぎりを我慢して喰うかどうか思案した挙げ句、麦チョコ1袋と牛乳のパックを買って帰ることに。

麦チョコ、好きなのである。幼少の頃からの大好物ではあるが、漫画『笑う大天使』を読んでからというものは一層好きになってしまった。作者は川原泉(この日記の"食欲魔人"という単語も彼女の漫画の題名から拝借している)。
誘拐事件に巻き込まれた主人公達を救うキッカケとなったのがそう、麦チョコだ。3人の高校生の主人公達が「麦666」なる麦チョコ666粒が入った大袋を抱えてもっきゅもっきゅと喰う様は、"ああ!麦チョコ食べたいっ!"と思わせるに十二分だったし、その後誘拐された彼女たちを追跡するのに車に挟まれた袋からこぼれる麦チョコを犬が追いかけていく、というエピソードも笑わせていただいた。ああ、麦チョコ麦チョコ麦チョコ。愛しいぜ麦チョコ。

そういう次第で、麦チョコは川原泉の漫画のキャラクターのような顔をして、漫画のように「もっきゅもっきゅ」と食べなきゃいけないのである。
"燃えよドラゴン"を見た後のだんなの顔がブルースリーになってしまうのと同じく、私は麦チョコを食すと川原泉顔になってしまうのだ。
……って、あら1袋無くなっちゃったよ。666粒はさすがに無かったと思うけど。

焼き鳥丼 ししとう乗せ
キャベツとニンニクのスープ(昨日の残り)
冷茶

「焼き鳥丼が食べたい」
「チープなチープな味のやつが食べたい」
「食べるぞ食べるぞ食べるぞ」
ぶつぶつ言いながら帰宅。
折しもだんなの帰りは遅く、私は私の食べたいチープな焼き鳥丼を意気揚揚と作成する。

フライパンをガンガンに強火にかけて、塩胡椒をたっぷりすり込んだでっかい鶏もも肉1枚を焼くことから始まる。皮目も裏もこんがりと焦げ目をつけて焼いた後は弱火でじっくり中まで火を通す。ついでにししとうも肉の脇で一緒に焼いちゃう。
炊きたてのご飯に海苔をびっしり敷き詰める。肉が焼けたらししとうと一緒に取り出して、ししとうはご飯の上に。肉はそぎ切りにして、も一度ガンガンに熱したフライパンに戻して、即座に市販の焼き肉のタレをジャーッ。ついでに醤油とXO醤も少量放り込んでみる。良い色に煮詰まったらご飯に乗せて、フライパンに残ったタレもかけて、胡麻ふって七味唐辛子振って、白髪葱なぞ乗せれば完成だ。おおお、一見豪華になった。

昨日の残りのスープに冷茶。あったかい丼をテーブルに乗せて、いざいざ焼き鳥丼に取りかかる。期待通りのチープな味。濃い味の甘辛いタレに香ばしい焦げの部分。良い感じだ。
美味しく肉にかぶりつき、ご飯をかきこみ、2本目のししとうに囓りついたところで口中がカッと熱くなった。うわ、"当たり"のししとうだ。ししとうの中にはたまに、唐辛子よりも辛いような"当たり"のやつが存在する。舌から歯茎からビリビリしそうな辛いやつを冷茶で流し込み、今度は美味しいししとうを2口で食べる。夏の味のししとうも、私の好物。

8/11 (金)
木村屋総本店の
 チーズあんぱん
 ツナワッサン
アイスカフェオレ

昨日に引き続き、木村屋パンの朝御飯。チーズクリームの入った小ぶりのパンに、サクサク生地のツナ乗せクロワッサン。お供にコーヒー多めのアイスカフェオレ。

木村屋の和風パンの生地はほの甘くて、ちょっとモチモチとしていて御飯に似ている食感だ。あんこの具にすこぶる似合うその生地は、クリームパンやチーズパンになってもやっぱり美味しい。 桜あんぱんには上に桜の塩漬けが乗り、くりあんぱんには上に切込が入って栗の甘露煮が顔を覗かせている。チーズあんぱんはツルリとしたもの。それぞれ少しずつ表面に見分けられるよう細工がしてあるけれど、形は全部同じ、くるりと丸く小さなものだ。可愛らしい。

週末の歩行者天国の時間には以前、店先で小売のあんぱんと共に冷蔵ケースに入った牛乳なんかも売られていた。それもあまり見かけないナカザワの牛乳だったと記憶している。ナカザワの牛乳と一緒にあんぱん1個買って、銀座通りをほてほて歩くのはたまらなく美味しくて楽しくてシアワセなことだ。

カルピスウォーター500ml缶

激ジョブで、昼飯喰う余裕なし。
昨日に引き続き麦チョコの購入を一瞬考えたけれど、今日も喰ったら何だか鼻血が出そうな気がする。今はそんなことないけど、中学生の頃の私はチョコが大好物であるのに、キットカット1つで盛大に鼻血を出してしまう困った体質だった。好物のキットカットを食すのは、必ず自宅で、しかも傍らにティッシュが必携であった。単に血の気が多かっただけだと思うけど。

かくして、「増量キャンペーン」などとシールが貼ってある自販機で、120円にて500ml入っているカルピスウォーターを購入。すぐさまぐびりと一気飲み。

アスパラガスのアンチョビソース
棒棒鶏
だんな特製 豚の角煮
ソト・アヤム風エスニックスープ
茗荷御飯
モルツ、アイス烏龍茶

メイン料理は、機は熟した"だんな特製角煮"。火曜の夜に仕込みして、味見しつつ待っていた3日間。やっとホロホロの良い具合になった角煮が完成したのであった。たっぷりの白髪葱を用意して角煮に臨む。

で、後は食べたいものを食べたいように何も考えずに作っていく。
茹で鶏肉をキリリと冷やして、胡麻だれを作って棒棒鶏に。アスパラガスが冷蔵庫から出てきたので、これはアンチョビとオリーブ入りのマヨネーズソースで食べる。茹で鶏のスープで作り始めたスープはいつのまにかエスニック風になり、何だか食卓は和洋中どころかイタリア風やエスニックまで混ざった大変な状態になってしまった。統一性ゼロである。

スープ、最初は普通に卵でも溶いて中華風スープにしようと思ったのだ。それが"酸辣湯風にしよう"と方向転換し、"ああ、ナンプラーで味つけちゃえ"と移行し、いつのまにかガラムマサラの瓶を鍋に傾けていた次第なのであった。
たっぷりの鶏エキスが溶けこんだ鶏の茹で汁。そう言えば、バリ島で喰ってきた「ソトアヤム(SOTO AYAM)」は正に鶏のスープではなかったか。想像は膨らみ、結局そのソト・アヤムの再現に夢中になってる私である。そう思い立った途端、厨房は怪しげな実験室のようになってくる。少しずつ買い足して、今や20を越えたスパイスの小瓶をずらりと並べ、色々投入し始める。

あのスープは蛍光イエローの色であった。ターメリックの粉末をたっぷり投入。
確かコリアンダーの香りもした。コリアンダーの粉末も投入。
スパイシーな香りなら、クミンも必要だろう。クミンの粉末も投入。む、怪しげな香りが漂ってきた。
ナンプラーも入れちゃえ。ガラムマサラも、もちょっと入れちゃえ。なんか違う気もするけどカルダモンも入れちゃえ。……なんだか厨房はますます怪しい匂いがしてくる。それでもなんとなく、あのバリ島で喰った味に似てきた様な気がする。
具は海老とビーフン、本当はゆで卵とか鶏肉とか揚げ玉ねぎも入っていたけどそこは割愛してアスパラガスと刻み葱を放り込んだ。

純和風な角煮。純中華な棒棒鶏。イタリアンなソースがかかったアスパラガス。エスニックな香り漂うスープ。以上を並べて、冷凍庫からキンキンに冷えたグラスを取り出してビールを注ぐ。ジャンルは違えど、どれもビールに合うということでは一致しているようだった。

だんな特製3日目の角煮は、脂が脂でなく、ツルツルとしたゼラチン質の塊のようになっている。5cmくらいの厚みのそれを、層を崩さないようにしながら一気にかぶりつく。肉はホロホロ、脂っこいところもなくて今日も絶品の角煮だ。白髪葱を乗せて、2個3個と食べ進む。1.4kgの巨大な豚バラ肉で作った角煮は、さすがに個数もたっぷりあって嬉しくなってしまうのだった。

そして御飯は旬の茗荷を乗せたもの。
いつもあきたこまちを買っている、花咲農園から今日お米が届いたのだけれども、夏野菜が一緒にたっぷりと入っていた。大きな米なすに、綺麗なパプリカ、プリプリのししとうにプチトマト。そしてスーパーで見かけるものとは違う、形が不揃いで香りもものすごく強い茗荷が袋にたくさん入っていたのだった。茗荷は大好き、とても嬉しい。

茗荷は早速水洗いして、薄切りにしてかつぶしと醤油で和える。それをそのまま御飯に乗せてわしわしと食べる。
茗荷入りの味噌汁や、サラダに乗せたりカツオの叩きに乗せたりしてもそれはそれで美味しいけれど、茗荷御飯で食べるのが一番茗荷が美味しく感じられるのだ。あの喉から鼻に抜けていくような独特の芳香がいかにも夏!という感じがする。
御飯をお代わりしたいところ、ぐっと堪えて1膳で我慢。

8/12 (土)
豚角煮丼
麦茶

まだまだ鍋に残っている豚角煮。
温めて、御飯の上にタレと一緒にいくつか乗せて、わしわしと食す。調子に乗って食べていたら、角煮はあと3個になってしまった。
大きな大きな1kg以上ある塊肉で作ったのに。

シャーベ いちご味

本日は晴海で東京湾大華火大会。
台風が近づいてきていて、空模様は怪しいことこの上ない。もくもくと黒っぽい塊の雲が続々と海側からやってくるような感じだ。空を眺めて、
「行く?」
「やめる?」
と言いつつ、昼過ぎ頃に家族でシャーベを食す。

チョコレート味1つといちご味1つ。冷凍庫にて固まった、シャーベット状のシャーベを袋の上から揉み揉みして柔らかくし、それをグラスに入れて牛乳を少しばかり注いでシャクシャクとかき混ぜる。適度に滑らかになったら牛乳たっぷり注いでできあがり。いかにもな味のシェーク状の飲み物が、私の大好物だったりする。

天気、なんとか持ちそうだ。
梅雨の季節の結婚式に晴天をもたらしただんなの"晴れ男"度合いに期待しつつ、会場近くに住む母のところに出かけていく。

東京湾大華火大会会場にて
 枝豆
 煮茄子、大根のうなぎ入り煮染め
 ローストビーフのサラダ、フルーツサラダ
 焼き鳥
 おにぎり
 ビールたっぷり、烏龍茶

午後5時過ぎ、天気はますます怪しくなってくる。ポツポツと感じられる雨の中、外出していた母が帰宅途中にデパートで買ってきてくれた惣菜の数々を抱え、傘やレジャーシートも怠りなく準備して会場に向かう。

クーラーボックスにたっぷりのビール。枝豆に息子のジュース。銀座のデパートで母が買ってきてくれた、山盛りの焼き鳥にR1/Fのローストビーフのサラダにフルーツサラダ。和風の煮茄子、うなぎが巻かれた大根の煮染め、おにぎりが5つほど。
開始までまだ2時間、打ち上げ場所に最も近い最前の席は、フェンスに囲まれた野球場の中になる。グラウンドの上に巨大なビニールシートが敷かれているものの、レジャーシートを敷くだけでは数時間座り続けるのは厳しいものがある。で、荷物になるのは承知の上で、巨大な織物の布を持って行って敷くことにしている。布の感触は気持ち良いし、雨やこぼしたジュースなんかも多少なら余裕で吸い込んでくれる。寝ころんでも良い具合だし。

で、青い布の上で密やかに宴会。と言っても、雨はどんどん強くなる。全員で折り畳み傘を寄せ合いつつ、中央にカバーをかぶせつつ料理を並べてあわただしく御飯を食べる。それでも、外で飲むビールは旨いし焼き鳥や枝豆もすごく美味しい。

料理の数々を大方平らげた頃、雲に切れ目が出てきた。やや強めの小雨だった雨も一気に晴れてくる。
で、めでたく華火大会開催。至近でどかんどかん打ち上げられる花火は、ほぼ真上で開くようなものもあって、とても楽しめた。
何とか雨に降られないまま、午後8時半に大会は終了。母の家に着いた途端に、雨は本降りになった。帰宅は11時。疲れたけれど、たまにはこういうのも良いものだ。

8/13 (日)
角煮乗せうどん少々
赤飯おにぎり
焼き鳥、煮茄子、大根の含め煮(昨夜の残り)
麦茶

「暑いっ!暑いからうどんだっ!」
わけのわからない事を言いつつ、起きて少ししてうどんを茹で始めるだんな。

だんなはたっぷりのうどんに角煮を小皿で添えたもの。息子はすうどん。私は小さなどんぶりに3口分くらいのうどん、角煮を1個ころんと乗せてもらった。あとは昨日母が買ってきてくれたおにぎりやおかずの残りを温めて食べる。
うどんつゆの表面に豚の油がうっすら浮かんだようなうどんも、なかなかイケるのである。さっぱりしたつゆが、角煮の甘辛い汁でちょっと濃いものになって、これがまたいつもと変化があって嬉しくなってしまう。

つけ麺 (胡麻味)
麦茶

台風が過ぎていく今日も一日曇天、ていうか雨。
「おゆきさーん、雨が止んでるみたいだよー。」
とだんなが言うので、家族で自転車10分ほどこいでちょっと大きなスーパーマーケットに買い物に行く。
「あれがなかった」
「これもなくなりそうだった」
とわさわさと買い物。おろし生姜の瓶詰に、胡麻油、冷凍うどんや竹串、菜箸。買い物は楽しい。

ストックが無くなったビニール袋を探していたところ、目の隅に何か訴えかけてくる桃色の瓶が映った。なんだなんだ、とカートを押して戻ってみると桃屋のちらしずしの素。ああ、もう10年くらい喰ってないかもしれない桃屋のちらしずしだ。小学生の頃、「お誕生会」なんてこまっしゃくれたイベントが友人たちの間で流行っていて、誕生日を迎える女の子は招待状なぞを仲の良い友人に配って自宅でお祝い会をしたものだった。プレゼントを用意する、招待された側も大変だけど招待する側のお母さんはもっと大変だ。働いていた私の母も、当日は鶏の唐揚げやフルーツの盛り合わせ、ちらしずしなどを一生懸命作ってくれたのだった。そう、あの時に食卓に並んだのが確かこの桃屋のちらしずしだった。

しばらく食べてないなぁ。
食べたいなぁ。
ふんふん、と棚の前に座り込み、
「今晩、このちらしずしをしても宜しいでしょうか?」
とだんなに尋ねると、
「ん、宜しいんじゃないですか?」
とのこと。合わせてまぐろのぶつ切りのパックやしじみを買って帰宅。
昼御飯にと、冷蔵のつけ麺セットを買ってきた。

帰るなり湯を沸かして麺を茹でる。午後2時のお昼御飯。
氷で締めた麺に、刻みきゅうりと白髪葱を散らして、胡麻味のたれに浸して食す。甘ったるい胡麻だれの味が実は大好きだったりするのだ。

まぐろの山かけ
ちらし寿司
しじみの味噌汁
キリン端麗生、麦茶

昼食後、テレビゲームをやり始めたらだんなも息子も昼寝に突入してしまった。
あんまり気持ちよさそうな寝息が聞こえてくるものだから、私もそのままフラフラと熟睡。目が覚めると周囲は真っ暗になっていた。台所からはカチャカチャと音がしている。なんてこった。

時刻はもう6時45分。
台所ではだんなが動いていた。御飯が炊けてる。味噌汁も出来てる。なんてこった。
「ああー、起きちゃった?静かに準備するようにしてたんだけど。何かお飲みになりますか?喉乾いたでしょう。」
とグラスを差し出すだんな。なんて良い奴なんだ、だんな。

で、私は大和芋をすり下ろしてだし醤油で伸ばし、炊けた御飯にちらしずしの具を混ぜ合わせるのはきっちりやらせていただくことにする。パタパタと横からだんなにウチワで仰いで貰い、私は木製の飯台に木しゃもじでざっざと御飯と粉末の寿司酢を合わせる。甘い具もたっぷりと。

ぶつ切りまぐろにトロリととろろ、ちらしずし入りの飯台はそのまま食卓に乗せて、小皿に取りつつ揉み海苔乗せて食す。ざらざらとたっぷり入ったしじみの味噌汁。魚介たっぷりのシアワセな食卓だ。
桃屋のちらしずしの味は、相変わらずあの味だった。甘さの強い、やや子供向けの酢のあまいものだ。
「そうそう、これよこれ!」
妙に感動しつつ、2合の御飯はあっと言う間に空になる。