アイスカフェオレ
朝起きて、冷蔵庫の中に1個だけ残っているハンバーガー用のパティを前にし、
「……この残りの肉、喰っちゃうか」
と我が夫。
「じゃあ、私はボローニャソーセージのサンドでいいやー」
と私。
「ぼくはぁ、パリパリでいいかな?」
と息子。で、三者三様の朝食になった。私とだんなはバンズをオーブンで温め、スキレットで焼き付けたハンバーグやボローニャソーセージを挟みこむ。両者チーズ乗せ。息子はフローズンストロベリー入りコーンフレーク。最近同じメーカーのレーズン入りコーンフレークも買ってきてみたものの、やっぱりフローズンストロベリー入りが好みだと自覚したようだ。
我が家で愛飲されている成分無調整の牛乳はオーガニック系会社が扱ってるもので、近隣マーケットでは1/2ガロンのものしか見かけることがなかった。ずっと1ガロン牛乳を買いたいと思い続けているのに成分無調整ものは肩身が狭そうにこぢんまりと1/2ガロンのものしか置かれていないのだ。だが、昨日、オーガニックものに強いスーパーマーケットチェーン「Wild Oats」で、ついに愛用牛乳の1ガロンバージョンを発見!
「ガロンだ!」
「ガロン牛乳だ!」
と意気揚揚とその4リットル弱詰まった牛乳パックを買ってきたのである。
現在、1ガロンアイスティー(無糖と間違えてダイエットシュガー入りの甘ったるいのを買ってきてしまった)と1/2ガロングレープジュース、2リットルボトルに詰めた麦茶などが詰まっている冷蔵庫に、ついにガロン牛乳も加わり、大変なことになりつつある。しかもアイスコーヒーまで作っちゃって、冷蔵庫はすっかり飲み物専用庫と化してしまいそうな勢いだ。
焼き餃子
海老のガーリック炒め
チャーシューと野菜の炒め
五目焼きそば
チャーシュー炒飯
ビール(青島)
今日はおうちでお仕事。その合間にお洗濯。
どうもランドリーコーナーの洗濯機のいくつかが調子が悪いようで、1ドル入れて動かしても1時間後に全然洗濯できていないことがある(そしてお金は戻ってこない)。仕方がないのでもう一回1ドルを入れて動かす。洗濯槽にこれでもかと洗濯物を詰める私もいけないんだろうなぁとぼんやり考え、今日も2度の洗濯となったものを乾燥機にかけようと再び訪れると、私の動かしていた洗濯機に「OUT OF ORDER」の張り紙が。
「ええええええ!?」
と洗濯機にがぶり寄ると洗濯槽には汚水がたまったままで、私の洗濯物は両隣の洗濯機にぐしょぐしょになったまま放り込まれていた。
「こ、これは"そんなに1台に詰め込むなボケェ!"という警告???」
と怯えつつ、めんどくさいのでその両隣の2台の洗濯機を動かしちゃうことに。洗濯だけで4ドルも使ってしまった(そして乾燥機に2ドル)。なんか腑に落ちない。
そんなこんなで仕事もはかどらず、せっせせっせとやっていたところ、横から息子に
「おかーさん、おかーさん、ぼくはおなかがすいたよぅ」
と訴えられてしまった。気がつくと2時過ぎ。
「ごめん!ごめんね、ちょっと待って」
とわたわたしている間にだんなも帰ってきてしまった。とりあえず空腹極まる息子に買い置きのドーナツを喰わせ、
「……実は俺、昼飯喰ってないんだよねー」
「……あ、私たちも」
と互いの空腹を確かめあうという事態に。だんなは朝御飯に食べていったハンバーガーが重くて昼食を食べる気にならなかったようだ。
4時過ぎて、いよいよ腹も空いてきた。
「どどど、どっかに食べに行きましょう!」
「……焼き肉、とか」
「私は美味しい中華が食べたいよぅ」
「ぼくはねー、チャーハンが食べたいなぁ」
と好き勝手言いつつ、我が家最寄りの中華料理店に行ってみることにした。車で5分ほどのところにある、モール(というにはこぢんまりしすぎている商店街みたいなところ)に「銀座」なる日本食屋と並んで「Chinatown Restaurant」はあった。
とりあえず青島ビール。「フライド ダンプリング」を「揚げ餃子?揚げ焼売?」とわからぬままに注文し、あとはなんとなく海老の炒め物とチャーシューの炒め物を注文。息子希望のチャーハンに、焼きそばも。多かったらテイクアウトしちゃえばいいよねー、と軽い気持ちでどかどか頼んだ。
最初にやってきたのは焼き餃子。「フライド ダンプリング」は焼き餃子であった模様だ。自家製らしい皮はちょっと厚めにプリプリとしていて、中にはモチモチとした肉団子。適度な火加減でムチムチしていて、かなりいける。葱入りの醤油だれはほんのり酸味があって、たまらなくビールと似合った。これまでちょっとトホホなバイキングもの中華しか食べておらず悲しい思いをしていたけれど、これはかなり本格的に美味しい。やっぱりどこかアメリカンな味ではあるけど、全体的に「アメリカで手に入る食材でなんとかがんばってます」といった感じの好感の持てる味付けのものばかりが出てくるのだった。オイスターソース風味の焼きそばを食べて、だんなは涙ぐんでいる。
海老のガーリック炒めも、チャーシューの炒めもオイスターソースベース。でも海老はガーリックたっぷりだし、チャーシューの方は甘さが強めだし、どちらもそれぞれ楽しめた。チャーシューと葱と卵がたっぷりのチャーハンは、息子も必死にもりもり食べている。
「ううう、旨いよ」
「ちゃんと中華だよー」
「残して持って帰るつもりなのに、残りそうにないよー」
と感動しながら、気取りのないその料理が次々空になっていった。頼んだチャーハンとは別に、どうやらおかずについてきているらしい卵チャーハンまで添えられていて、そして私たちは呆れるほど満腹になった。途中でビールもなくなり、「お茶、くれる?」とお茶をリクエスト。ウーロン茶がやってきた。
「あなたたち、日本から来たの?」
「仕事で来てるの?それとも旅行?」
と中国語訛の英語で話しかけてくる給仕のおっちゃんはやたらとフレンドリーだ。
「ウーロン茶ってどういう意味か知ってる?英語で言うとブラックドラゴンなんだよー」
とか、
「日本語、ちょっとだけ知ってます、"オハヨーゴザイマス"とかね」
などとにこにこと話しかけてくる。英語を第二外国語とするもの同士、
「あなたの母国語は北京語ですかー、それじゃニーハオ、とか、シェイシェイ、とか」
「そうそう」
と妙に盛り上がっていた。
話が盛り上がったからというわけじゃなく、店の常なるサービスだと思うけど、食後には自動的に息子にアイスクリーム、私たちにはオレンジがテーブルに出てきた。ちょうど甘いものがちょっと恋しいところだったので非常にありがたい。そして伝票と共に出てくるのはフォーチュンクッキー。
さすがにこれだけは残ってしまった卵チャーハンを「持って帰りたいんだけど」と伝えると、小さな洒落たお弁当パックに詰めてくれた。
最後は給仕のおっちゃんが「サヨナラー」と言い、だんなが「再見(ツァイチェン)」と言い、お互い笑いながら店を後にした。旨かったし面白かったので今度は仲間も連れてこよう。あそこのチャーハンなら、みんな旨いと言って喜ぶはずだ。
麦茶
今朝、だんなは早くに出かけていった。私は起きられず。だんなが活動し始めた気配を布団の中で感じながら、でも瞼が開かない。
「ちゃんと食べていきなよー」
と布団の中から念じていると電子レンジの"チーン"という音が。
「ああ、昨夜のチャーハンを温めているな」
と察した私、"よしよし、ちゃんと食べていくな"と安心しつつも"でも、全部食べないでね"と祈っておいた。
祈りが通じたのが、後でテーブルを見ると紙パックに半分ほど少なくなったチャーハンが残っている。昨夜、中華料理屋で食べた卵チャーハンの残りだ。
「ちゃーはん?ちゃーはんだねぇ。僕はちゃーはんが食べたいなぁ」
と一緒に起きてきた息子が横から言うので、一緒に食べることにした。見かけは大きくない紙パックのテイクアウトケースだったけど、これがしっかり1膳半ほど詰まっていたので息子と私で半分こ。
日本の米とは違う、細長い米のチャーハンは、こういう炒め飯にするとパラッとなってなんとも旨い。油のギトギト感もなくて朝からもりもり喰えちゃうのだった。
麦茶
「おかーさん、おかーさん」
今日も仕事でぺけぺけパソコンを叩く私に、11時半頃息子が話しかけてきた。
「おなかがすいたよー、卵ごはんなんか、いいんじゃない?」
卵御飯をリクエストされた。
「……へ?でも2時間前くらいにチャーハン食べたじゃん。また御飯?」
「卵ごはんは、卵ごはんでしょー。チャーハンじゃないでしょー」
……最近の息子、口が達者だ。しかも怪しい英語まで駆使しつつある。「チャーハン、チャーハン」と呟きながら台所に去った息子は、次の瞬間ぶどうジュースのパックを抱えて戻ってきて
「うっじゅー、ぎぶみー、ぶどうのジュース?」
と言ってきた。多分「Would you give me〜?」と言っているのだと思う。そこまで言えても「ぶどうのジュース?」じゃアメリカ人は理解してくれないと思うが、どうか。
ともあれ、息子のリクエストに応えてあげて、卵御飯。熱湯に生卵を1分くぐらせ、サルモネラ菌除去の呪いをかける。白身が少々白くなっちゃうけど、とりあえずは黄身が生っぽい御飯がこれで食べられる。醤油をチーッと垂らしてかき混ぜて御飯にかけてかき混ぜて、更に上から鰹節をふりかける。
「卵ごはん、おいしいよねー」
息子は御満悦だった。息子のリクエストに応えてあげたという名目で、一番美味しく食べていたのは私かもしれないけど。(やっぱり卵御飯は良いわねー……)
ミートピザ・ポテトチップス・キリンビール
Nashville 「Koreana」にて
タン×2皿
カルビ×2皿
プルコギ
骨つきカルビ
豚バラ
ビビンバ
ユッケビビンバ
カルビタン×3つ
ビール×2
オレンジジュース
……を大人4人、子供1人で。
9月から来年の6月あたりまで、第三火曜日は「Third Tuesday Party」なるものが研究所1階のロビーで開かれるらしい。だんなも属する、日本人留学生を7名ほど抱えるこの研究所が「この地域に住む日本人と、日本に興味のある人を招いて」という内容の軽食パーティーだ。私たちはホスト側なので、事前に到着してせっせと準備。5時半を過ぎて続々と人が集まってきた。「こんなに日本人がいたのか」とびっくりするほどの日本人と、北京や韓国からの留学生、先生の友達関係の欧米人、などなど。
中央にビールやソフトドリンクの入ったボックスが置かれ、周囲にはポテトチップや何枚ものピザ。適当につまみながら適当におしゃべりする。17歳だという英語ペラッペラの北京からの女の子とあれこれ話してみた。このパーティーの後に、焼き肉に行こうという計画があるので、つまみはなるべく控えめに。ピザは1枚で止めておいた(でも巨大だし……)。
楽しい会だった。けれど、いわゆる"日本人コミュニティ"の奥様方などに「???」と感じるところが少なからずあったりもした。口を開けば「あなたのだんなさま、どちらの企業からいらしてるの?」などと初手から聞いてくる奥様とか、夫の名刺を奥様たちに配りまくる奥様とか。
夫のステイタスがイコール自分のステイタス。そんな感覚が当たり前であるかのようにふるまう人というのが、存在しているのだ。どうも○○大学の大学院にいるのー、とか、うちの夫は日本では○○銀行にいてー、とか、そういうことが自慢で仕方ないらしい。そういう人種とは縁がなかったから、ある意味興味深いけど……ちょっと疲れた。
「あー、もう、あの女共はなんとかならんかね」
「……あ、男性もそう思ってるんですね、良かったぁ」
などと、くだまきながら夜8時前、パーティーが明けたあとにIさんとMさんと我が一家が連れだって焼き肉屋さんに行くことに。両名とも、かなり前から「焼き肉ぅ〜焼き肉ぅ〜」と焼き肉恋しさに吼えていたのだ。焼き肉屋さんなんて一人で行く気にならないだろうし、それに旨いと噂の店はちょっと遠いしで、誘い合わせて一緒に行くことになったのだった。
寿司バーもくっついている、和食だかコリアンだかよくわからない内装の店内、お客はほとんどが韓国人のようだ。店内がいっぱいだったので奥の個室に入れてもらい、韓国語と英語が併記されたメニューをまずは必死に睨む。
「あ、これ、カルビだよね」
「タンもあるある」
と焼き肉メニューを解読し、タン2枚とカルビ2枚、骨付きカルビとプルコギと豚バラを一気に注文した。即座に出てくる大量のナムルとキムチとサンチュ。で、肉はお店のおねぇさんが網の上ぎっしりに肉を並べてボイボイと焼いていく。ある意味、日本の焼き肉屋さんよりも韓国チックだ。韓国で食べた焼き肉って、確かこんな感じだったっけ(そしてナムルとキムチとサンチュが無料でどかどかと出てきたり)。
「もやしのナムル、うまーーー!」
「カクテキ、うまー!」
と小皿を前にいきなり盛り上がり始める私たち。ナムルは確かに絶品だった。しゃきしゃきのもやしがとても良い感じで、すぐに「お代わりちょうだい」とリクエスト。塩の入った胡麻油につけて食べるタンも、脂の乗った豚バラも(この地に来て、初めて生の豚バラ肉を見た)、甘辛いタレに揉み込まれたプルコギも、全体的に懐かしい味がした。焼き肉サイコー。いくら食べてもなくならないサンチュもまた素晴らしい。
「1皿ってどのくらいだろ?」
と思いつつ注文した7皿分の肉が、なんとも丁度良い量だった。で、仕上げにと男性陣がカルビタン(御飯つき)を注文、私がユッケビビンバを注文。この注文だけが、憶測を上回っていた。
ビビンバ、でかい。カルビタンも、超でかい。
でっかい陶器の器に入るのは、盛り合わせたナムルと肉の山だ。モヤシやほうれん草、ワカメや大根、レタスなどの
ナムルがみっちり盛られたその上にたっぷりのユッケ(というかひき肉、というか)。そして生の卵黄、上に海苔。御飯は別盛りで、ステンレスの蓋つき容器に入ってついてきた。もともと丼一杯くらいありそうなナムルの山に御飯を混ぜるのだから、たまらない量になる。男性陣はと見ると、これまた洗面器のような巨大な器になみなみと透明スープがたゆたっているのだった。たっぷりのふわふわ卵と大根が浮かび、底にはごろごろと巨大すぎる骨つきカルビが3個は沈んでいる。
「こ、これは、でっかいねぇ」
「食べられるかなぁ」
と苦笑しながら取り組み始めた私たち。最初のうちは、
「おゆきさん、ユッケビビンバ食べられなくなっても、今日は後に3人も"ポリバケツ"が控えているからね。防波堤3人」
などとだんなも軽口を叩いていたけど、元ラガーマンで大食漢のM氏も、M氏並に食べていたI氏も、そして我が夫も、次々とカルビタンを前に陥落。さすがに7皿の肉喰った後で洗面器大のスープ(肉入り)は苦しかったとみえて、防波堤は3つとも同時に崩れてしまうのだった。私も必死でユッケビビンバ食べたけど、あと3口分ほどだけがどうしても食べられずにリタイア。
食後には、シナモンとナツメの味がする甘辛いお茶が出てきた。
一口飲むとふわんと甘いけど、後味は猛烈に辛いデザート茶だ。
夜10時、満腹を抱えて高速道路をかっとばして、帰還。もう風呂に入る気力も日記を書く余力も残っていなくて、そのまま
「焼き肉臭いけどー」
「身体中臭いけどー」
「寝ちゃえ〜」
と寝てしまったのだった。ちょっとばかり堕落している今日この頃。
昨日は食べ過ぎた。確か、一昨日の夜も食べ過ぎだ。さすがに胃腸に負担がかかっているのか、昨夜からずーっと胸焼けしている私。風呂も入らずに寝てしまった昨夜は、クーラーを消していてちょっと蒸し暑かったということもあり、
「あついよー、おなかいっぱいだよー、自分の身体が焼き肉臭いよぅ」
と、うなされそうな状態で寝ていたのだ。なんとなーく寝不足気味。
朝御飯は、いつもよりは少なめのコーンフレーク。干し葡萄入りのそれは、フローズンストロベリー入りのと同じ会社のものだけど、ストロベリー入りよりは甘くない。息子は大盛りのそれをバリバリと平らげ、私は心持ち少なめにしてみた。うー、胸焼け……。
アイスティー
胸焼け続行中。今日は特に予定がないので、のんべんだらりとネットサーフィンなどして過ごす。
ごめんよ息子、胸焼けの母はハムサンドくらいしか食べたいのがないのだ……と、昼御飯はハムサンド。本当は香菜和えの中華麺でも作りたいところだけど、どうも麺という感じでもなく。
冷凍してあったころりと丸いパンにバターを塗ってオーブンへ。半分にぶった切ったパンの片側にとろけるチーズを乗せて焼き、とろけたところでハムを挟んで囓りつく。
「ねぇねぇ、おかーさん、これは塗らないの?」
と、冷蔵庫からジャムを持ってきた息子。
……ハムチーズサンドにジャムですか?それは……ちょっとオススメできない気がするよ、お母さんは。
じゃがいも・にんにく・ほうれん草添え
ピータン豆腐
筍と豆腐の味噌汁
羽釜御飯
ビール(Red Hook Blonde Ale)
今日は夕方になってから日本食材屋にお買物。明後日、仲間と一緒に「餃子パーティー」をする予定なので、諸々の材料入手が目的だった。無事に冷凍ものの餃子の皮も購入し、巨大な白菜も購入し、更には予定外の豚バラ肉(←今まで見かけたことがなかった、豚バラ肉はとっても貴重品)やら甜麪醤やら焼き肉のタレやら、よくわからないものまでどっさりと買い込んでしまい、意気揚揚と帰宅した。時間はもう7時前。
冷蔵庫に数日前に買った豚肉が入っていたので、とにかく喰わなきゃいかんと、急いで夕食の準備。最初に米を研ぎ、炊いている間に他の全ての準備を終わらせようと、30分の時間制限一本勝負。
時間もないので飲み物はキャンベル缶でごまかそうと思っていたのに、冷蔵庫の中にあった水煮筍と豆腐に目があってしまったので味噌汁に転向。更に残った豆腐は角切りにしてピータン乗せてピータン豆腐に。
豚肉はスキレット焼きにすることにした。イタリアンレストランで食べたようなものを真似してみようと、豚肉にたっぷり塩胡椒を揉み込む。それを煙が出るまで熱したスキレットに放り込み、じゃがいもと皮を剥いただけの粒のままのにんにくも放り込み、焼き色をつけてからは火を弱くして蓋をかぶせて放置。10分ほど蒸し焼きにして火が通ったところで表面にほうれん草をたっぷり散らし、塩胡椒ふってオリーブ油もだばだばだ〜と散らすようにかけ、また蓋をして1分ほど。スキレットごとテーブルにどかんと出して、「さぁ、喰え〜」と食事を始めた。今日のビールは濃厚な茶褐色のエール。
塩胡椒だけの味付けの豚肉は、想定以上に美味しかった。じゃがいももにんにくも、同じようにホクホクと火が通っていて良い感じ。くたっとなったほうれん草もまた、適当なつけ合わせになってくれた。イタリアンを目指した夕食で、横にあるのがピータン豆腐と味噌汁というのがちょっとばかり情けないけど気にしない。
アイスカフェオレ
毎週木曜の午前中は、教会のイベント。
が、だんなを送り出し、さて息子を起こし……としようとしたところ、どうも息子の具合が悪そうなことに気がついた。汗びっしょりだし、やや熱っぽい。
「なんかー、ちょっとー、ぼく、ぐあいが悪いみたい……」
とゴロゴロゴロゴロしているので、仕方なく今日は外出を断念。本当は午後に研究所関係のパーティーにも誘われていたのだけど、それも併せて断念。アメリカに来て一度も体調を崩すこともなかった息子だったので、「まぁ、疲れも出るわよねー」という感じ。
朝食は、だんなと一緒に摂った冷凍もののホットケーキ。
「冷凍のホットケーキ、案外美味しいですよー」
と留学生仲間に教えられて思わず買ってきてしまったバターミルクパンケーキ。だんなと私と2枚ずつかなー、と思って箱を開けたところ、3枚1組でラッピングされていた。「3枚が一人分かよ!」とツッコミつつ、だんなが2枚で私が1枚。直径15cm程度の、薄っぺらい可愛らしいホットケーキだ。それでも2枚1組にすべきじゃないかと内心思う。
高熱に温めたオーブンでさっと1分ほど温め、皿に盛る。上にはホイップバターとA先生からいただいたハチミツ。まだまだまだまだあるハチミツをどうやって食べようかと思案しつつ、やっぱりパンとかワッフルとかパンケーキにつけて食べるのが一番かしらねぇということになりつつある。そのうちカジキマグロのハチミツ醤油焼きとかやってみても楽しいかもしれない。チャーシューとかね。
アイスミルクティー
だるそうな息子は、朝起こした段階でオレンジジュースを飲み干し、そのまま数時間寝続けた。ぼーっとした顔で
「おかーさん、おかーさん、おなかがすいたなぁ」
と言って起きてきたのが11時。
「お肉と卵を入れたおじやでも作ってあげようか?」
の私の問いに
「うーん、僕は、チャーリーズに行きたいなぁ」
とボリュームハンバーガーの店の名前をご指名で出され、狼狽える。……え?熱あるのにハンバーガー?そいでもってフライドポテト?しかもコーラ?息子がアメリカ人に見えてきた。
「いや、でも、外に出るのはダメだよ。チャーリーズは今度」
「ええぇ〜?じゃあね、スパゲティがいいなぁ。ソースの、スパゲティ」
今度はミートソーススパゲティを指名された。しかも彼の言う「ソースのスパゲティ」とは、瓶詰めミートソースの事に他ならない。ああ、息子ったらすっかりアメリカ人。
前回買って気に入ってしまった「Ragu」社のミートソース缶詰の、今回は「Classic Italian Style」なるものを買ってきておいてある。"牛肉とソーセージ入り!"と書いてあるけど、本当にクラシックイタリアンなミートソースがソーセージ入りなのかどうかは今ひとつ不明だ。
トマトの酸味がちょっと強めの、甘ったるくないミートソース。確かにソーセージのかけららしきものがごろごろと入っていて、そのちょい強めの酸味と軽い甘さはやっぱりけっこう美味しいと思った。
息子はもりもりとスパゲティを平らげ、食後にオレンジジュースまで所望して飲み干した挙げ句、「ねてくるね」と、また寝室へ。この時まで具合が悪そうだった息子、次に午後3時に目覚めた時には熱も下がって絶好調になっていたのだった。飲んで喰って寝て、自力治癒に成功したようだ。
筍と豆腐の味噌汁(昨夜の残り)
ビール(コロナ)
夕方帰ってきただんなは、息子が発熱したと聞いてアイスクリームを買ってきた。「buy one get one free」(1個買うともう1個タダ。ここらのスーパーでしょっちゅう見かける特売の仕方)だったそうで、チョコチップとクッキー&クリームの箱を1個ずつ抱えている。
「あいすくりーむ、あいすくりーむ♪」
とこれでもかと元気に家中駆け回る息子を見て、
「熱出した、って聞いたからアイスクリーム買ってきたのに……」
とだんなは苦笑。
そしてだんな、台所で煮豚を作り始める。
昨日は、アジア食材マーケットで憧れの豚バラ肉を買ってきたのだ。アメリカにおいて、生の豚バラ肉は希少な存在だ。どうもほとんど全てがベーコン化されてしまうようで、普通のスーパーに生の豚バラ肉は置かれていないのだった。中華料理などには必須の部位なので、アジア食材屋には置かれているということで、冷蔵ケースを舐めるように見渡し、ついにそれを見つけたのだった。
「これ、この豚バラの塊くださいっ!……え?骨がついてるの?じゃあ取ってくれる?」
と、1kgほどの塊肉を購入。中華料理でお使いいただけるように、ということからか、嬉しいことに皮つきのバラ肉だった。
「これは、角煮かなぁ……?」
「いやいや、汁なしチャーシュー麺も捨てがたい」
と議論しあい、「でも、あそこにあるとわかったら、いつでも買えるじゃないの。焦るの止めよう」と、冷蔵庫に置いてある生麺を処理するためにもとチャーシュー麺用の煮豚に加工することになった。
下茹でした豚バラ肉を醤油と酒で軽く煮込み、漬けておく。卵も茹でて皮を剥いたら、煮汁に漬けておく。
あとは、チャーシューの煮汁をベースにオイスターソースや豆板醤、胡麻や胡麻油などなどを刻み葱と刻み煮豚と共に放り込み、麺と和えたらできあがり。上にも煮豚飾っちゃったり、ゆで卵飾っちゃったりしたら、いただきます。(詳しいレシピはこのへんに)
ノリとしては、数年前に流行った「あぶらそば」(あぶそば、とも言うんだっけ?)みたいな感じ。元はケンタロウさんのレシピ本に載っていたものだけど、「ちょっと味が濃いめかな?」「好みとしてはこんな感じに……」とだんながせっせと改良して我が家のスタイルになった。この麺料理に魅せられちゃった我が家の友人M井さんなぞは、一人暮らしなのに毎日のように煮豚を煮ていた時期があったという。
めでたく煮豚も煮上がって、煮豚たっぷり葱たっぷりのテラテラ光る汁なし麺ができあがった。豚の下茹で時の煮汁と、醤油だれを合わせて作ったタレはこってり濃厚。適度に味の染みた味つけ卵も良い感じだ。
麺は、1袋10セント程度で買ってきたスープつきの乾麺を、顆粒スープとはサヨナラして麺だけ使用。3玉茹でて水気を切って使った。
アメリカに来て初めての汁なしチャーシュー麺は、日本のものとほとんど変わらぬ味がした。安っぽい麺だけが微妙に泣かせてくれるけど、それでも"ラーメンの上に餃子が乗って出てくる"という噂の、近所の日本ラーメン屋よりはまともな味になっているはずだ。皮つき豚バラ肉には皮目にしっかり味が染みて、そのコラーゲン層はプルプルと柔らかい。角煮にしたらさぞ旨いだろうなぁという皮っぷりだった。醤油と酒で煮ただけだけど、充分美味しい。
明日はHさん宅で総勢8人(うち子供2人)の餃子パーティー。渡米2ヶ月目にして「日本のあの味を再現!」という傾向に燃えている我が家と仲間達であるらしかった。多分微妙にホームシックになりがちな時期なんだと思う。
アイスカフェオレ
ホットドッグにも色々な名称があると知ったのはつい最近だ。ホットドッグ専門のファーストフード店で「シカゴドッグ」だの「ニューヨークドッグ」だのという地名つきの品名があり、「わかりづらい名称だけど、この店のオリジナルの名前なのかしらん」と思っていた。が、どうも違うらしい。シカゴドッグはピクルスや玉ねぎのみじん切りやトマトが添えられるホットドッグで、ニューヨークドッグは茹でた玉ねぎが添えられるものだとか。
で、いつものホットドッグとはちょっと違ったものを試してみようということに。今日のホットドッグはシカゴ風。ソーセージは軽く茹でてから焼き目をつけ、パンは電子レンジでちょっとだけ温めてふかふかにする。ソーセージを挟んだら、上には山盛りの刻み玉ねぎと刻みピクルス。マスタードをたっぷりめにかけてからケチャップをそれ以上にニロニロとたっぷりかけた。
いつもの"カレー風味炒めキャベツ&とろけるチーズ"の組み合わせも最高に美味しいホットドッグのあり方だと思っていたけど、ピクルス&玉ねぎもかなりいける。先日、教会のオークションで貰ってきたそのあたりの住民のおばちゃん自家製のピクルスを初めて使ってみたけど、酸味は柔らかく甘さが強めでかなり食べやすく良い感じ。
しばらく色々なホットドッグを試してみようと思う。
天ぷら&鳥照り焼き定食
午前中の授業だけで帰ってきただんなと一緒に外でお昼御飯。
「なんだか魚が恋しい感じ〜」
「寿司……とか?」
「いいねぇ、お寿司」
ということで、自宅近くの「新富」なる名前の日本料理屋に行ってみることにした。ここらへんの日本料理屋では「一番の味」と定評のあるところらしい。値段も高いらしい。
店に入った途端、ナチュラルに
「いらっしゃいませー」
と言われてしまった。いかにも日本のオヤジといった感じのおっちゃんがレジのそばに立っていた。店内は浮世絵チックなポスターから鯉のぼりまで飾ってあって、「日本風といっても、ここまでやる必要はあるのか」と頭を抱えたくなるような妙な飾り具合。寿司を食べようとしたけどあまりに値段が高く(イクラが1カン4ドル70セントくらい)、私は定食を頼むことにした。天ぷらと鶏の照り焼きの定食が5ドル70セントくらいで、けっこうお得だ。
やってきたのは、かなり懐かしい味わいの定食だった。白い御飯はちゃんと日本の米っぽい味がしたし、ワカメと豆腐の味噌汁も好みなちょっと濃いめの味つけ。香ばしい鶏の照り焼きに、天ぷらは海老とピーマンとズッキーニとさつまいも。漬物と枝豆とオレンジと、あとはスパゲティナポリタンと鶏の唐揚げもついてきた。何を囓ってもどこか懐かしさの漂う嬉しい味がした。けっこう嬉しい。
が、9ドルほどしただんなのちらし寿司は今ひとつ。トビコとツマでボリュームアップされていて、具はあまり多くない。これなら大学近くの寿司屋に行った方が値段も良いけどネタの盛り具合は満足できそうな感じではあった。
せっかく海外に住んでいて日本食屋を目指してもなぁ……と内心思わないでもないけど、時々こういう味が猛烈に恋しくなっちゃうのはやっぱりしょうがないことかもしれない。満足でござった。
焼き餃子・揚げ餃子
鶏の唐揚げ・フライドポテト
煮豚&煮卵
生キャベツ&キュウリ with バジルマヨネーズ・マヨネーズ・味噌
キムチ
肉団子スープ
羽釜御飯
ビール (たらふく)
葡萄
クッキー&クリームアイスクリーム
紅茶
麦茶
今日は夕方6時に、車で5分の距離のHさん宅に集まっての餃子パーティー。我が家とHさん宅の他には独身群のIさん、Mさんを呼んで大人6人子供2人のパーティーになった。
そもそもは、我が家で餃子をしたときに残りの8個ほどの餃子をIさんとMさんにお裾分けしたところ、
「うまかったよー」
「実はあの日の昼間に、日本食屋でわざわざ餃子定食食べてきてたんだけど、これがまた不味くてさー」
「だからもう一回、餃子やってよー」
と好評だったのがきっかけ。
「餃子、やってもいいけど人の分まで包むの大変だから、どうせだったら皆で包もうよ」
と提案したところ、そりゃもう喜んで、と皆さん賛同してくれたのだった。
で、餃子のタネは我が家で仕込んで行った。肉は4ポンド(1.6kg)、白菜は2玉。学校給食でも作るのかという勢いだ。我が家で一番大きなボウルになみなみたっぷりタネを詰め、更にはニラ餃子も作ろうということで刻みニラと刻みにんにくを合わせたものも持っていく。更に昨日の残りの煮豚と煮卵もつまみにとスライスし、更なるつまみに生のキャベツとキュウリもバジルマヨネーズを添えて持っていった。餃子焼き用のスキレットも2つ、羽釜も持参して、大変な荷物だ。
ちなみに餃子の皮はアジア食材屋で韓国産の冷凍皮を発見して購入し、更に日本食材屋でまさに日本産の皮(輸入もの・冷凍)を発見したので、これも併せて持っていった。
Hさん宅ではHさん宅で、鶏の唐揚げやフライドポテトなどを用意して待っていてくれた。独身男性陣は、「その日飲むビール代を負担してよね」と、ビール2ダースの持参を義務づけた。
Hさん宅に到着し、皆でどえぇぇぇぇと皮包みを行い、うりゃあぁぁぁぁと我が夫が厨房で焼きまくり、つまみを盛り沢山に食べまくる。せこせこせこせこ餃子を包むのはめんどくさいけど、皆で包むとすごく楽しい。経験不足で不器用な人をからかったりしながら、こればかりは経験がものを言って私とだんながせかせかと包みまくる。後で「あー、このヒダがまっすぐなのは○○さんのやつだよねー」なんて笑いながら食べることにもなったり。
あまり自炊に熱意がないIさんMさんは、それ故に"家庭の味"への望郷の思いが強かったらしく、すさまじい喰いっぷりだった。
「餃子、うめー!!!」
「煮豚がまた、サイコーっす」
「白い御飯だよ、白い御飯〜」
と食べる食べる食べる。私やだんな、Hさん夫妻もそりゃよく食べるけど、彼ら二人の喰いっぷりは凄かった。ちょっと目を離した隙に、一回目に焼いたフライパン2個分の60個ほどの餃子も、深皿にたっぷりの煮豚もすっかり無くなっていた。2つの鍋を駆使しまくってだんなが焼いた回数は、4回。240個ほどの餃子が焼かれただろうか。更に、Hさん宅に電動のフライヤーがあることを良いことに、揚げ餃子まで作ってしまった。にんにくたっぷり風味のニラ餃子も好評だ。
しかし、240個もの餃子、最後はさすがに食べきれなくなって、独身陣が「明日から1泊2日の車旅行する予定だから、車内で朝御飯に食べるよ」と焼いた餃子の残りを持って帰った。ならばと残った御飯もおむすびにして持たせることに。自家用車の中でそんなもの食べたら、車内中餃子臭くなって大変じゃないかなぁとも思うけど、良いんだろうか……。
子供達も大笑いしながら楽しく遊びまくり、大人も笑いまくり、気がつくとなんと10時半を回っていた。子供達も眠そうにしてなかったので全然気づかず思わず長居になってしまい、皿を洗い終わったところで急いで帰還。
いやー、餃子パーティーは楽しいものだ。串揚げパーティーとか生春巻きパーティーとか、鍋料理の会とか、またやって集まることにしよう。
デボンクリーム・ストロベリージャム
アイスミルクティー
昨夜、Hさん宅で
「これ、よろしければお土産にどうぞー」
と、スコーンというかビスケット(←あの、ケンタのビスケットっぽいやつ)というかなブツをいただいた。
なんでも缶入りの生地が売られていて、缶から押し出した生地を包丁でぶった切って焼くだけなのだとか。「美味しかったら私も買ってみよう……」と思いつつ、いただいて帰ってきたのだった。
スコーンよりは塩気があり、スコーンよりはかなりふわふわ。でも、もしかしたら先日買ってきたクロテッドクリーム(品名はデボンクリーム、となっていた)と似合うだろうかと、クリームとジャムをつけて食べてみることにする。
瓶入りのデボンクリーム、果たしてクロテッドクリームとの差はいかなるものや?と薄黄色のクリームを瓶から出して塗ってみる。日本で買えるナカザワのそれよりも若干濃いめの黄色味があり、若干硬めでねっとり感が強い感じ。生クリームとバターの間のようなその牛乳感たっぷりな濃厚な味は、まさにクロテッドクリームだった。アメリカで作っているのかと思ったら、どうもイギリスから輸入しているものらしい。これ、ちゃんとスコーンに塗って食べたらめちゃめちゃ美味しそうだ。そろそろ気合いを入れてスコーン作製をしてみようかなと思う。
Taco Salad (Beef)
Iced Tea
遅めの朝御飯を食べた後、久しぶりの運転の練習に出かけた。このままじゃいつまで経っても免許が取れそうにない、と、この週末に練習して来週あたり免許を取りに行ってみようと私が決意したのだった。ちょっと郊外に出たところで、そこまで運転してくれただんなと交代し、起伏ありまくりの1車線の道路を突っ走る。今日の目的は「スピードに慣れる」ということでもあったので、身体中緊張でガッチガチにしながら必死でアクセル踏みまくった。
最後はちと混雑している道路も走り、私の運転で家まで帰還。ここらの車、一般道でも混雑してなければ70マイルくらいは出すのが普通。今日の私は55マイルが精々だったけど、それでもkmに換算すると時速90km弱。知識テストを受けただけの仮免許の人間が、一般道を90kmで突っ走ってしまえるアメリカの現実を改めて考えると恐ろしくなってしまう。でも車庫入れはまだまだ全然ダメ。
「もう1周しますか?」
と自宅に帰ってきたところでだんなに聞かれ、全力で首を横にふる。乗りたいのは山々だけど、初めての遠出で足が緊張して膝は笑いまくっていた。
「じゃあ、お買物に行きますか?……あ、ロールケーキでも買いに」
と、次のだんなの言葉に全力で首を縦にふる。そういうわけで、だんなの運転にてお気に入りのパン屋さん、「Alpha Bakery」に出発。
緊張すると、腹が減るのだ。運転すると、肩は凝るし足は筋肉痛になりそうだし、腹は減る。大変な重労働になっている今の私だった。
そういえばAlpha Bakeryのそばに、山ほどのファヒータランチが食べられるという噂のメキシコ料理屋さんがあるらしいよね、と探してお昼御飯にすることに。午後1時を過ぎて、店は大混雑だった。薄暗い店内のソファーシートにつき、だんなはそのファヒータランチを注文、私は「タコサラダ」なるものを注文。テーブルには入店直後に一口サイズのトルティーヤとピリリと辛いサルサがどかんと出されており、それをバーリバーリと食べながら料理を待つ。
だんなも私も1皿5ドル程度。なのにおっそろしく大量の料理がやってきた。
だんなの前にはアツアツの楕円のミニフライパンに盛られた牛肉と玉ねぎの炒め物。更に別皿には豆のペーストと、ライス、ハラペーニョ入りのサラダとたっぷりのサワークリームが盛られ、アルミホイルにくるまれた温かいトルティーヤが3枚やってきた。夕食にしても多いくらいのたっぷりなランチだ。
私の前には、タコスの化け物みたいなものがやってきた。大人の顔くらいの巨大なパリパリトルティーヤが両端を立ててナプキンスタンドの形のごとくに大皿の中央に置かれている。そのトルティーヤの窪みには山ほどの牛肉がスパイスを効かせて詰められ、更にレタスにトマトにチーズにサワークリームに、とタコスの中身のようなものが山ほど散らされている。見た目は本当に「タコスの化け物」という感じ。
「キャー」
「すごいわー」
「すごいねー」
と驚き笑いながらもりもりと食べていく。が、いかんせん多い。アメリカ人ですら、店を出る時にはドギーバッグに残ったものを詰めまくり、発泡スチロールのケースを抱えて帰っていく人ばかりだ。しかもだんなのファヒータランチ、3枚のトルティーヤを食べ終わると、「One more?」とおっちゃんが聞きに来て、頷くとまた更にトルティーヤを追加で持ってきてくれる。もう食べても食べてもなくならない感じ。
私のお化けタコスも相当すごかった。パリパリの皮は、タコスの皮ともちょっと違う感じ。サクサクと軽い食感でパイのようだ。器にもなっているそれをバリバリ崩しつつ、肉や野菜と一緒に口に放り込んでいく。肉やタコスの皮などはちょっと油っけはあるけど、アメリカ飯の中では格段にさっぱりして食べやすいメキシコ料理はアメリカ人も好みらしいようで、あちらこちらのテーブルで山のようなファヒータやタコサラダと格闘する姿が見られた。
食後は
「もう食べ物見たくないかも……」
と苦笑いしながらお隣のスーパーでお買物し、「Alpha Bakery」でメロンパンとロールケーキを買って帰ってきた。荷物の中にはもちろん昼食のドギーバッグも含まれている。
ハマグリのジョン
だんな特製 会心のチャーシュー麺
ビール(コロナ)
「Alpha Bakery」のチョコロールケーキ
アイスプーアル茶
だんなが
「ナムル食べたいよナムル食べたいよ」
とおっしゃるので、「こないだ焼き肉屋に行ったばかりでは……?」と思いつつ材料揃えて帰ってきた。ビビンバ食べたいというよりは、ナムルが食べたい、という心境らしい。ならば、と韓国風お好み焼き"ジョン"も作ることにした。本当はアサリや牡蠣でやりたいところだけど、クラム(ハマグリ)の缶詰を発見したので、それで代用。更に残った自家製煮豚でチャーシュー麺もやっちゃうことにした。最近の夕食の献立の統一性の無さったらない。アメリカ人のアバウトさが身体に染み込んできちゃったんだろうか(って、アメリカ人に失礼な>自分)。
フライパンに胡麻油を敷いてカンカンに熱し、フライパンの直径弱くらいの長さにカットした万能葱に小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせる。それをフライパンにみっしり並べてぺたぺたと平たく広げ、残った溶き卵を半分ほど上から流しかける。なんとなく固まってきたら具(貝とか赤ピーマンとか)も小麦粉を絡めて溶き卵の残りにつっこみ、溶き卵ごと葱の上に散らしかける。更に適当に固まったらフライ返しでホイッとひっくり返し、両面こんがり焼けたらできあがり。醤油2に対して酢とレモン汁を1ずつ加えた酢醤油につけて食べる。簡単で、ほのかに韓国チックな味。
ほうれん草やモヤシのナムルも首尾よくできて、コロナビールをだらだら飲みながら韓国風なおかずを楽しんだ。
締めはチャーシュー麺。台所のコンロには残った煮豚とその煮汁、更に豚を下茹でしたときのスープが残っていて、更には冷蔵庫に生麺の残りもあって、それを眺めていた我が夫が
「うむ、チャーシュー麺であるな」
と宣言して作ってくれたのだった。事前に温めたどんぶりに煮豚の煮汁を少量入れてスープでのばす。茹でた麺を即座に入れて煮豚のスライスと葱を散らしてできあがり。ひどく簡単に作った割には、しっかりこってりチャーシュー麺になった。そこらの怪しい日本食もどきラーメン屋で食べるよりは遙かに日本のラーメンっぽい味がする。何しろ調味料は醤油と酒と塩だけだし。あとはメンマと卵でも入れて海苔でも立てればかなり本格的な見た目になるはずだ。
1.豚バラ肉を塊のまま下茹でする(葱の頭と生姜でも放り込んでおく)
2.醤油3カップ、酒1カップの煮汁に下茹で後の豚を入れて30分ほど煮込む(煮込みすぎは禁物)
3.煮た直後に食べてもそれはそれで旨いし、一晩おいたらなお旨い
というだけで作られる(確かかつてのdancyuのラーメン特集か何かの記事に載っていた作り方だった)煮豚は、なかなか便利。昨日Hさん宅に持っていった時に食べていたIさんは
「なんか、ラーメン屋のチャーシューの味がするよー」
と、笑いながらすごい勢いで食べていた。確かに、ラーメン屋さんのチャーシューの作り方、みたいな記事に載ってたやつだったし。煮汁ちょっと入れて肉刻んで炒飯にしてもすこぶる旨いのだ。
アイスコーヒー
本日、急遽思いたって"ダッチオーブン"のLODGE社のアウトレットショップに行ってみることに。100マイルほど離れたお店に、車かっとばして行くことになった(私の運転の練習はどーした、と心中ツッコミを入れつつ)。
以前、何人かとチャタヌーガという街に行く途中の高速道路上で、そのアウトレットショップの立て看板を見つけたのだった。これは見逃せないお店だと、家に帰ってから「LODGE Tennessee outlet」などというキーワードで検索してみても、ヒットするのは山小屋の方のロッジばかり。違うんだ、私たちはキャンプに行きたいんじゃなくてキャンプに使う道具を売ってる店に行きたいんだと、必死こいて検索したところ(最終的に、高速道路の出口の番号を入れたらヒットした)、やっとその店の住所や営業時間がわかったのだった。それによると、日曜日は午後1時から5時までしかやっていないらしい。急げ〜。
とりあえず、たらふく食べてから出発しようと、朝食昼食兼用で山盛りビビンバ。
冷凍御飯をチンして、昨夜作った山盛りのナムルをどかどか乗せてかき混ぜて食べる。今日は肉抜き。
生キャベツ&キュウリ with バジルマヨネーズ
ビール(Red Hook Blonde Ale)
11時半すぎに出発し、さほど迷いもせずに無事にアウトレットショップに辿り着くことができ、帰還は夕方5時。今現在も既にダッチオーブン・スキレットというLODGE基本アイテムは所持し、更にチキンフライヤーなる深鍋も持っていたというのに、なのに予想通りというか何というか大量のお買物をして帰ってきたのだった。(詳しき内容はこのへんに)
手のひらサイズのミニミニスキレットから、怪しいオブジェ状物体から、ステーキ皿的風情のファヒータパンから、最後には100ドル以上購入したからとピザ&パンケーキ用の"グリドル"なる平たいフライパンをおまけに貰ってきてしまった。パンケーキ用のフライパンを貰ってしまうとは、それは「パンケーキを焼け」という食欲魔人の神様のお告げなのでありましょうか。
そして我が家はもう鍋だらけ。重量感ある鍋は、存在感もばっちりだ。台所は一挙に黒光りする鍋で占拠されてしまった。安い安いと喜んで買ってきたは良いけれど、もしかしたら日本への輸送費は購入価格を軽く上回るんじゃないかと予想される。とりあえずは、あまり考えないことにする。
そして、LODGEの鍋は買ってきただけではまだ使うことができない。丁寧に洗い、油を塗り、オーブンに1時間ほど放り込んでワックスを溶かして油の膜を張る"シーズニング"なる作業が必要なのだ。オーブンに放り込めば良いからさほどの手間ではないけれど、ただ樹脂が溶けるときに目にシパシパと刺激がくる。その間は厨房に近づくことままならぬ、という感じ。
帰宅直後にそんなことを始めたものだから(そして一度ではオーブンに入り切らぬ買い物の量だったので、2回に分けてオーブンを動かしていた)、夕食は全体的にやる気が出ない(出ようがない)状態に。幸い生クリームも卵もベーコンもあったよねということでカルボナーラにすることになった。リングイネを山ほど茹でて、生クリームたっぷりのチーズ卵ソースでざざざっと和える。塊ベーコンをざくざく切ったやつもたっぷりと。
今回使ったベーコンは、ちょっとばかり塩気が強かった。いつものつもりでパスタの塩加減とソースの塩加減をしていたら、全体的にちょっとしょっぱめのカルボナーラに。
「……ん、ちょっと……しょっぱい」
「でも、まぁ、ビールに合うし」
とエール片手に、生のキャベツとキュウリをバリバリ囓りながら食べた。
……しかし……目が痛いです……(未だシーズニング中……)