食欲魔人日記 03年12月 第3週
12/15 (月)
カレーの最期はカレーうどん
2日目のカレーライス
牛乳

息子は冬休み前の「弁当いらぬ期間」に突入した。こりゃーいいやと朝寝をむさぼろうと思っていたのだけど、だんなのリクエストにより今朝は早起き……するはずだった。布団の中から
「おゆきさーん……」
と、私が目覚まし時計を止めた直後にかけてきた我が夫の声は隨分と弱々しかった。

「なんかね、昨日からずうっと、ゲーリー……」
日曜の朝くらいから腹下し状態だったらしい我が夫。夜も何度か起き出してトイレに行っていたそうだ。

「これはね、風邪じゃないかなって思うんだけど……」
「日曜の朝っていうと……前夜の鴨鍋が腐ってた!」
「違うと思われ」
「おやつに食べたアイスクリームが腐ってた!」
「ますます違うと思われ」
「家で食べた空也の最中が腐ってた!」
「絶対違うと思われ」
「あと、何か拾い食いした?」
「してない……」
「そうか、じゃあ風邪だな」
「だから!最初から俺は風邪だって!言ってるじゃん!」
こういうときも漫才は忘れない。

朝御飯なにもいらない、お弁当もやめておく……とふらふらとだんなは出勤していった。……おだいじにー……。

それからばたばたと息子にコーンフレークを食べさせ、幼稚園に送りだし、パタパタとあれこれやっている間にもうお昼。
「うげ、そういえば私は朝御飯食べてなかったじゃーん」
と御飯を温めて昨夜のカレーも温めて薬味もずらずらっと用意して一人2日目カレーライス。温めた御飯の上にフライドガーリックとフライドオニオンを少量添え、薬味はラッキョウと福神漬けとシュレッドチーズ。すっかりトロントロンと良い濃度になった牛すね肉のカレーがどばどばかけてたっぷりの1杯を楽しんだ。
ああ神様、2日目のカレーはどーしてこんなに美味しいでしょうか。

ミニカレーうどん
ミニイクラ丼
冷茶

だんなの具合はあまり芳しくないらしい。これではうどんかおじやが精々かなぁと思っていたら、やっぱり退社間際に
「まだねー……腹具合最悪です」
との連絡があった。ならば、と少量残っていたカレールーをうどんに仕立てて食べさせることに。冷凍庫に入っているうどんは2玉しかなかったので、足りない分は御飯を添えちゃうことにした。

鍋に残るカレーをカレーうどんにするには、適当に水を注いでめんつゆで味を調整するのが一番簡単。濃度が足りなければ片栗粉でとろみをつければけっこうそれっぽいものになる。どうしようもやる気がない時はそのようにしてしまうのだけど、でもせっかく美味しく作ったカレーを市販のめんつゆで薄めるのがいまいち悔しいものだから、なるべくはちゃんと作るように心がけている。

2カップほどの昆布と鰹節のだしを取り、カレー鍋に注いで混ぜてから醤油と味醂と酒と塩で味を調整。肉やにんじんのかけらがちゃんと残っていればそれだけでけっこうリッチな味のカレーうどんになる。今日は薄切り豚肉としめじ、刻み葱も加えて煮込んでみた。牛すね肉の塊もごろりと残っていて、なかなか具沢山のカレーうどんになった。

親子3人で2玉のうどんと、軽く1膳ずつの御飯で夕食。1週間ほど前に作った自家製イクラがそろそろ危険領域に近づいてきたので、カレーうどんに似合わないなと思いつつ御飯に盛大にぶっかけて丼にしてかっこんだ。

だんなは割と胃腸が弱い。風邪が胃腸に来ることも多くて「何も食べないで寝てるよ……」という事になったりする。息子は息子で風邪が吐き気に直結してしまい、熱のあるときは大抵何も食べられずに水分だけ取りつつ寝ることになる。そうして風邪が治ったときのだんなや息子は、いーい感じに顔の丸みが取れてスリムになっちゃっているわけなのだけれど、私はそういう風邪はひかないのだった。風邪をひいても胃腸は絶好調、吐き気はゼロ食欲あり。「風邪で3kg痩せちゃったよー」なんて人がつくづく羨ましい私だった。

12/16 (火)
この油テラテラ加減が大好きな「茄子野菜炒め」
フルーツグラノーラwith牛乳

昨日一日中「腹具合が最悪だよぅ」と体調を崩していた我が夫。昨日は午後9時頃には布団に入ったのだけどいまいち回復しなかったらしい。
「も、ダメ。だるいし頭重いしゲーリーだし、今日はお休み……」
と布団の中でぷるぷるしている。あああ、可哀想。

それでも息子を幼稚園に連れて行ったりせねばならないのでぱぱぱっとシリアル食べて連れて行くことに。「フルーツグラノーラは値段が高いから他の安いシリアルと混ぜちゃうんだもんね大作戦」を敢行しようと思いつつ、適当な容器がないのでいまだに計画半ばで頓挫しているところだったりする。そもそも容器を買っても置く場所もなく……。

稲毛「太閤園」にて
 茄子野菜炒め定食
 餃子

「お昼はうどんでも作る?何か買ってこようか?」
昼で幼稚園が終わる息子を迎えに行く準備をしながらだんなに問うと
「たいこーえんでチャーハン……くいてぇなぁ……」
と信じられない答えが返ってきた。

「太閤園」とは、駅近くにある小さな小さな中華料理屋さん……もとい、「中華定食屋さん」だ。ラーメンとかチャンポンとかチャーハンとかレバニラ炒めとか豚と野菜のカレー炒めとか、そういうよくある料理が並ぶ、なんてことない外見のお店。でもチャーハンとか野菜炒めとかがなんともしみじみ美味しい店なのだった。

でも!あの店の油ガッチョリ度といったら並大抵なものではなくて、胃腸の調子が悪いときなぞに行ってしまったらトドメの一撃をくらうようなものなのである。危険なのである。だいたい、風邪ひいてるんだったら食後5時間は胸焼けしそう。それでもだんなはあの店が恋しいらしいのだった。「だって久しぶりだし、チャーハン食べたいし……」って、もう風邪の存在はどこかに行ってしまったのか。

そういうわけで、幼稚園から帰ってきた息子と3人で太閤園。11時40分頃に店に到着すると、もう店内は1つのテーブルを除いて埋まっていた。4人がけテーブル2つに小上がりに同じく4人がけが2つ、そしてカウンターが4席なので相席は当然のお店なのだけれど、なんとか小上がりの席につくことができた。最近の息子はすごくよく食べる。ちょっと前までは「チャーハンの大盛を注文すれば"大盛にして増えた分"が息子の取り分」だったはずなのに、先日はとうとう「"大盛にして増えた分"が親の取り分」という逆転現象が起こってしまった。ひとつの転換期が訪れちゃったねぇ……と、今日は茄子野菜炒め定食に回鍋肉定食、そして息子に普通盛りのチャーハンを1つ。ついでに焼き餃子も1皿。

けっこう人気の店なのに以前から頑なにオヤジさんが一人で鍋をふるう店だ。料理が出てくるまで、運が悪いと30分くらいは待たされたりする。食べている時間より料理を待つ時間の方が圧倒的に多い店なのだけれど、やってくる人は慣れた風情で雑誌コーナーから1冊持ってきてはじっくり読みふけっていたりする。

ほーら、君だけのチャーハンだよ、でもおかーさんとおとーさんにも分けてね。ね。ね。とか言いながら、だんなと私は定食を前にする。「茄子野菜炒め」は品名からはわからないけれど豚肉も入っている。同じ味つけの炒め物が「野菜炒め」「肉野菜炒め」「茄子野菜炒め」と揃っていて、茄子野菜は肉野菜の上位クラスだったりする。醤油っぽい味付けで炒められた、白菜やキャベツやにんじんが入った炒め物でなんてことない外見なんだけど、でもしみじみと美味しい。

この店の炒め物はチャーハンも含めて素材の1つ1つに煙が出るほどに熱せられた油が薄く膜を張っていて、油っこいことは油っこいのだけれど、でもイヤな油っこさじゃない。テーブルに出てきた直後に箸をつけたら、何を食べても大抵は火傷する。今日も気をつけながらハフハフと口で息をしながらかっこんだのだけど、だんなの皿からつまませてもらった回鍋肉のキャベツであっさりと上顎と舌を火傷した。でもこの熱さがこの店の料理の魅力の1つ。

だんなも良く食べたし、息子も良く食べた。チャーハンは結局0.6人前くらいは綺麗に食べ、私とだんなも横からつまませてもらった。定食は漬物と卵のスープと御飯つき。
ほんとによくある感じの中華定食屋さんなのだけど、近所にこういう店があって本当に嬉しいなぁと思う。

鴨鍋(正確には合鴨鍋)
(合鴨肉・せり・にんじん・長ねぎ・椎茸・しめじ・えのき・豆腐・白滝・うどん)
ビール(モルツ)・焼酎のグレープフルーツサワー割
いちごwith練乳&牛乳

先日、池袋で食べた真鴨の鴨鍋は美味しかった。ほんっとーに美味しかったのだけど、なにぶん量が物足りなかった。我が家で食べている鍋の1人前はもしかしたら巷の2.5人前くらいに相当するのかしらん、と思い知らされた。
「なので!物足りなかったので!無性に私は鴨鍋リベンジしたいわけです!」
鼻息の荒い私だった。回鍋肉定食をぺろりと平らげた我が家の病人が「え……豚味噌鍋のほうが……」と言っていたような気もするのだけど、何しろあの油っこい回鍋肉定食を食べきってケロリとしていた人なのでその意見は軽やかにスルー。午後に何度か苦しそうにトイレに駆け込んでいたのを見たような気もするのだけど、見なかったことにして今日は鴨鍋ー。

お肉屋さんニュークイックで売られていたのは鴨肉ではなくて「合鴨肉」(しかもタイ産)。それでも200gほどの1パックが498円ほどだったので、手が届かない値段じゃないしなと2パック買ってきた。具は先日のものと同様にせりとか豆腐とかきのこ類とか。薬味は大根おろしとだし醤油、ポン酢と刻み万能葱を用意した。だしをくつくつ煮立ててきのこや豆腐を放り込み、ピラピラと薄切りにした鴨肉を固くなりすぎない程度に火を入れては大根おろしを絡めて食べる。先日の真鴨ほどのワイルドさはなかったけれど、独特の血の匂いがするような鴨っぽい味は楽しめた。……おいしー。しかも、肉は山盛り。うれしー。

あんまり真鴨が美味しかったので、「買うと高いってことは……自分で鉄砲持って捕りに行けば良いのかしら?」とまで思ってしまう。……どこで練習すれば良いのかしら……(本気で考えてるし……)。

12/17 (水)
イクラどっちゃりスパゲティを作ろうかなー……と
磯辺焼き
ほうじ茶

一昨日まではふくふくと柔らかかった餅がある。日曜日に自治会で開催された餅つき大会でつかれた餅だった。どうも私はそういうご近所交流イベントが苦手なもので、前日遊び疲れて遅くに帰ってきたこともあって家でだらだらしていたのだけれど、ご近所さんが気を遣ってわざわざお餅を持ってきてくれたのだった。……すみませーん……。

そろそろ食べちゃわなきゃね、とだんなの弁当作りついでにフライパンでこんがり焼いた。こういうとき石油ストーブ使ってたりするとストーブで焼けちゃったりするのだけど(しかもお湯も沸かせるしなー、煮物だってできちゃうしなー)、我が家は残念ながらガスストーブなのだった。石油ストーブは好きなのだけれどガス以上に換気が必要な感があるし、だいたい灯油を買ったりタンクに注いだりするのがめんどくさい、と結婚と同時にガスストーブにしてしまったのだった。餅を焼くときはほんのり石油ストーブが恋しくなる。

手伝いも参加も何もしなかった餅つき大会だったので申し訳なく思いつつもだんなと私は2個、息子は1個の磯辺焼き。両面こんがり焼いたそれを醤油にとぷんと浸してから海苔巻いて食べた。

おうちで弁当
 三色丼
 抹茶入り玄米茶

冬休み間近でもう息子の弁当はいらないはずなのだけど、我が家にはもう一人弁当を欲しがっている人がいた。だんなだ。まぁもう何日もないしね、と弁当作り。昨夜の準備中に息子が
「ぼくのはあるかなー?あるのかなー?」
と物欲しげに覗き込んできていたので、彼の分も作ることにした。勢い、私の分も作ることに。

幼稚園の午前中保育なんて、もう「挨拶だけしに行ったんと違うか」というほどにすぐに帰ってくる。滞在時間はたったの2時間半。なんにもできないーなんにもできてないー、と泣きながら迎えに行った。で、家の中で二人して食卓につき、弁当箱を前にする。せっかくお弁当作ったんだからどっか外に出かけても……なんて気力を吹き飛ばしてしまうほど、今日の気温は低かった。あったかいお茶淹れて、「いただきまーす」と蓋を開ける。

今日の弁当は三色丼。鶏肉を生姜味にテラテラと甘辛味の含め煮にし、卵は湯煎にしてくりくりかき混ぜてふわふわの炒り卵に。青みはさやえんどうを塩ゆでにして刻んだ。なんてことない丼だけど、でもしみじみ美味しくて私はこれが大好き。だんなの大きな弁当箱だけには隅に好物の「キュウリのQちゃん」を詰めてみた。

この、肉の煮汁が染みたとこの御飯が美味しいのよねぇ……と私は鶏そぼろ部分と卵部分とえんどう部分を均等に食べ進むように御飯をかっこんでいく。が、息子はそんな計算などしない。
「おかーさん、お肉のごはん、おいしいねぇ〜」
と彼はそぼろとその下の御飯を全て食べ、続いて好物の卵部分を食べ、最期に非常に味気なくなった「茹でえんどう散らし御飯」をもそもそと食べていた。……それじゃ三色丼は美味しくないと思われ……。

スモークサーモンとイクラのクリームパスタ
鴨鍋スープ(昨夜の残り)
ロメインレタスのサラダ
ビール(モルツ)

だんなは本日英会話学校。まだ残っている自家製イクラをなんとかしてしまわなきゃなぁ、とスパゲティに仕立てることにした。イクラを使うパスタレシピというのはけっこうあるもので、以前は練り胡麻で風味をつけたものを作った記憶がある。今日はケンタロウさんの本に載っていた、スモークサーモンとイクラのクリームソースベースのパスタ。

パスタを茹でている間にオリーブ油で薄切りにんにくを炒め、そこに生クリームを加えて軽く煮つめる。パスタの茹で上がり間際に刻んだスモークサーモンを入れてごく軽く火を通し、クリームソースと和え、最後にイクラをトッピング。サーモンもイクラもたっぷり使ったところ下品な外見になってしまった……。やはりこういうのは、程良い量のものを品良く盛りつけるのが大切だ。頭じゃわかってるけど、どうも私の料理はドカンガツンうりゃぁ!という感じで……色気がない。でも、イクラたっぷりかけたかったのよねぇ〜。

昨日の鍋の残りのスープを椀に注ぎ、ロメインレタスのサラダも添えて魚介のパスタ。スモークサーモンと生クリームが似合うというのは割合簡単に想像はつくのだけれど、イクラと生クリームもけっこう似合うものなのだなぁと新たに知ることができた。乳臭いのに妙に和風チックで良い感じ。刻んだ万能葱なんか散らしても、けっこう合ったかもしれない。

夕飯を早めに済ませ、風呂も夕食前に済ませてしまったので夜はかなりのんびりできた。思い立って先日通販で購入した三浦大根を2本使ってふろふき大根に仕立ててみる。だんなは冬の大根がそれはそれは大好き。焼き肉よりステーキよりふろふき大根が好きなんじゃないのかしらこのヒト、と思ってしまうほどに、特にふろふき大根に執着を示すのであった。先日うきうきと通販手続きを済ませ、昨日には
「おゆきさん、味噌練ってね。柚子味噌作ってね」
と何やら嬉しそうにリクエストしてきたので、とりあえずじっくり含め煮にしましょうとふろふき大根の仕込み。「その料理をより好きな方がその料理を作りましょう」の我が家の鉄則には外れているのだけど、ちゃんと綺麗に面取りしたし!ケチらず鰹節使って美味しいだしも取ったし!ちゃんと米のとぎ汁で下煮したし!これでマズイとか言ったらもう私は二度とふろふき大根には手を出さないもんねとか思いながらくつくつと大鍋を火にかけるのであった。

12/18 (木)
ふろふき大根、炊けました (夕御飯)
トマトパン・ごまパン
牛乳

だんなは毎週水曜の夜、英会話学校が終了してからそこから遠くない距離にあるCucina Tokionese Cozimaで夕食を摂って帰ってくる。夜遅いし一人でぷらっと食べてくるしで前菜とパスタ、ドルチェくらいの軽い食事をお願いしているということだけど、それにしても羨ましい。昨日はすっごく美味しいカルボナーラだったんですって奥さん!ああ羨ましい。

で、一通りのお客が去ってからの遅めの入店ということで、その日に焼いて余ったパンを時々「奥様と子供さんにどぞー」とお土産にいただいてくるのであった。昨夜もまだ温かみの残るパンがアルミホイルにくるまれてすっかり午前様な帰宅のだんなと一緒に我が家にやってきた。夕飯のパスタが割と軽めだったので、おもむろにその場でアルミホイル開いて午前0時半にトマトパン1個を平らげる私。

で、朝御飯にもそのパンをいただいた。ここしばらくお店の定番となっている大福くらいの大きさの小さなパンはトマトピューレを練りこんだ香りの良いものと、黒ごまがたっぷり入ったもの。前菜と一緒にパクパクとそれをいただき、パスタメインディッシュと続く頃には更に別のパンが出てくるのがまた嬉しかったりする。やっぱり何がしかおかずがある方が美味しく食べられるかなぁ……と思いつつ中までしっかり温めたパンを牛乳片手に囓ったけれど、朝御飯のパンとしてもそりゃもう十二分に美味しかった。表面に打ち粉の粉がパサパサッとついていてそこからも粉の良い香りが漂ってくる。表面が粉粉しているパンって、とても好きなのよー。

具多 やわらか肩ロースの叉焼麺
冷茶

息子の幼稚園も今日を入れてあと2日。ほんの数時間の登園で帰ってきてしまうのだけど、その間チャーッとプールに行って泳いできた。納豆御飯が食べたいなー、御飯炊くかなー、と思いつつ息子を迎えに行って帰ってきたところで、衣類乾燥機取り付けの業者さんがばっちり昼御飯時にやってきてしまった。

衣類乾燥機は、だんなから私へのクリスマスプレゼント(の1つ)。
アメリカに住んでいた昨年、かの地では洗濯物を干すという習慣はなくて、乾燥はいつも乾燥機に任せていた。それがらくちんでらくちんで、何しろベッドのシーツを洗って干す労力が格段に低くなったので1週間に1度はちゃんとシーツを全部ひっぺがしてせっせと洗っていた。乾燥機がないと、季節と天気によっては1日かけても乾かなかったりするのでどうしても洗う頻度は低くなる。乾燥機いいなーいいなー欲しいなー、今は洗濯乾燥機もあるんだよねぇ……とヨドバシカメラの広告をまじまじと見つめていた私に、だんなが買ってくれたのだった。洗濯機はまだまだ使えるので買い換えるのも勿体ないねということで単独乾燥機。へへへ、次は食器洗浄機だぁ……(←イヤな感じにアメリカナイズされている自分)。

かくして、業者さんがガチャコンガチャコンと設置工事してくれてる近くで御飯炊いたりするのもなんだかなぁと私と息子は居間で待機。設置が済んだ頃にはすっかり空腹になっていて、とにかく早く食べられるものをとインスタントラーメンで済ませることにしてしまった。グータの冷凍版があるなんだこりゃー、と面白がって買ってきたチャーシュー麺。冷凍麺を沸騰させた湯に放り込んで数分煮、別のボウルに張った湯にメンマの袋とチャーシューの袋と液体スープの袋を突っ込んで温め、それらを麺や湯と合わせたら完成。御丁寧に海苔までついていた。

やっぱり独特のインスタント臭さはどうしてもあるのだけど、日清のインスタントラーメンはいつもすごい。「ラ王」が初めて出てきた頃に「すっごいすっごいホントのラーメンみたい!」とハマっちゃってしょっちゅう食べていた事を思い出す。

すき焼き風サッと煮
ふろふき大根
リーフレタスのサラダ
卵御飯

「とうとう三浦大根が出てきた出てきた出てきた♪」
と先日だんなはうきうきとマウスをポチポチ押しまくっていた。
「今度野菜、届くからねー。卵も頼んだからねー」
とか言っている。
そして昨日届いたのがながしま農園の旬野菜セット、今日の午後に届いたのが青木農園の卵だった。しかも、旬野菜セットに大根追加してもらったみたいでふっとい大根が2本も入ってるし!

「これは……私にふろふき大根を作れと……」
と理解して、昨日せっせと仕込んでみた。だんなは大根が大好き。冬の大根をことこと煮込んだものが、とにかく大好きだ。おでんとか、ぶり大根とか、角煮大根とか、とにかく「スープを吸い込んだ大根の味」というものに弱いらしかった。せっかく美味しそうな大根をそのまま放置しておくのもなぁ……と、2本全部ふろふき大根にしてしまうことに。我が家最大級の量手鍋は大根でみっちみちになった。だんなも本望であろう、うむうむ。

届いた野菜は他に、カリフラワーとかキャベツとかわさわさと育った葱とか、あとは葉野菜。そのままサラダにできる小さな葉のリーフレタスをつまんで袋詰めにしたものと、「セルバチコ」なる馴染みのない名前の葉ものが入っていた。

セルバチコ、最初その名を知らなくてまじまじと眺めて匂いを嗅ぎ、「ルッコラみたいだけど……隨分濃厚な匂いだなぁ……違うのかな?」と思っていた。調べたところ、「ワイルドロケット」という英名を持つ野菜だということだ。そうそう、確かにワイルドロケット(ロケットとルッコラは同じ野菜)という感じ。クセは強いけどそのまま生でもしゃもしゃ食べても美味しそう。さっと火を通してパスタやピザに乗せても美味しそう。

そして、殻がどっしり固くて重い卵も20個。黄身がこってりと黄色味を強く帯びていて白身はくっきり2重に盛り上がっている卵。美味しいけど贅沢な卵だ。段ボールを開けた私の前で、息子が
「たまごだー、たまごだー、美味しそうだねぇ〜」
と喜んだ後に、「これはね、たまごのごはんにすると、美味しいと思うんだよー」とアドバイスしてくれた。続けて「その上にねぇ、かつおぶしかけると、もっと美味しくなるんだよー」とか言っている。あー、はい、卵御飯ですね。かつおぶしもかけるんですね。と、息子に従う私。

かくして夕御飯は、昨日仕込んで良い感じに味が含まれたふろふき大根と卵御飯がメインディッシュ。数日前の鴨鍋の残りの白滝や豆腐があったので安売り牛肉と一緒にちゃちゃっとすき焼き風の煮込みに仕立てて小碗によそってサイドディッシュに。「このクセの強さ、すき焼き味に合うかもしんない」とセルバチコをぶわっと鍋に入れてみた。……けっこう似合うぞ、美味しいぞ。

でーっかいふろふき大根は、決して小さくない片口の器にみっちり収まるほどの断面積。半分に割っておくのが本来あるべき大きさだったと思うのだけど、この大きさを味わいたくてざくざく輪切りにした形状で煮込んでしまった。白味噌と田舎味噌を酒と味醂で練り合わせた味噌を添え、ぺたくた塗りながら卵御飯傍らにふろふき大根。本日だんなは飲み会だそうで、せっかくのだんな好みな食卓なのに息子と2人の晩御飯となった。
寂しいけど、美味しい食材を美味しく料理できると、それだけでなんだか御機嫌。

12/19 (金)
ブロッコリーとカリフラワーをグラタン仕立てにしてみる
ふろふき大根
すき焼き風サッと煮(昨夜の残り)
御飯
抹茶入り玄米茶

「ふろふき大根がありますよー。御飯も残ってますよー」
と、昨夜はすっかりお酒臭くなって午前様帰宅だっただんなに告げると、嬉しそうに「食べる食べるー」と喜んでいる。そういえば朝に御飯を食べるのは久しぶりかも、と大根を温めながら思いつつ、あったかいお茶の準備も。

やっぱりふろふき大根につける練り味噌は白味噌ベースより八丁味噌ベースが良かったかしらん……と思いつつ(単に半端に残っていた白味噌と目が合ったから使っちゃったのねー)、大きな大根にぺたくたなすりつけつつ食べた。うーん、この美味しさ、わからないではないけれど「角煮大根」とか「ぶり大根」とか、そういう肉や魚の旨味を吸い込んでいる方がどちらかというと好みかな。

「アンデルセン」の
 ミックスサンド
 ストロベリーデニッシュ
牛乳

本日は息子の幼稚園、二学期最後の登園日。郵便局行かなきゃー図書館に本返さなきゃーとなんだかんだと用事があったので息子のいない間に一人でぷらっと用事を済ませに家を出た。

「昼はー、パンが食べたいぞー。……美味しいサンドイッチが食べたいぞー」
と駅ビルに入り、パン屋さん「アンデルセン」でミックスサンドを1パック。クリスマス用のパンが積まれたコーナーで苺が上にころりと乗せられた生クリームたっぷりのケーキみたいなデニッシュも見つけたのでそれも1個。息子が帰ってきてから2人でそれらを半分こして食べた。ミックスサンドはトマトと卵とハムの3種類が2セットパックされていて2人で食べるのにちょうどぴったり。でも、ちと物足りなくもある。

「多かったら1つ貰うわよー?」
と、内心の「ちょっと物足りないわね」気分を隠しつつ息子に聞いてみると、
「んーんー。でもね、ぜんぶ好きなものだからね、ぜんぶぼくが食べられちゃうんだよー」
自信たっぷりに返されてしまった。続けて「ざんねんでしたー」なんて言われてしまったりして、母の目論見は息子にバレバレって感じ……。

ひき肉と玉ねぎ入り洋食屋さん風オムレツ(のつもり)
ブロッコリーとカリフラワーのグラタン
ふろふき大根
すき焼き風サッと煮(昨夜の残り)
リーフレタスとセルバチコのサラダ
羽釜御飯
ビール(モルツ)、冷茶

今日はだんなが夕食までに帰ってくる。先日届いた美味しい野菜や卵もある。これはもう色々作るしかー!と色々準備していたら和洋折衷のなんとも言えない食卓になった。バター臭いオムレツにふろふき大根という組み合わせは、さすがにどうにかならんかと我ながら思う。ご……ごめん。

夕食なのにどこか朝食チックなオムレツを作ったのには、だんなが先日から「ひき肉入りのオムレツが食べたいんだよなぁ」と呟いていたから。せっかく美味しそうな卵が昨日届いたばかりなので、早めに作っちゃおうと今日の夕飯のおかずにすることにしたのだった。牛ひきと玉ねぎとバターで炒めで塩胡椒、ほんのり砂糖。それらは一度別容器に除けておき、同じフライパンで溶き卵にパルメザンチーズと生クリームを混ぜたものを流して焼きつつひき肉炒めを戻し入れ、あとはオムレツに仕立てる。仕立てられれば。がんばれば。

そう、私はオムレツが大の苦手だった。具なしのオムレツですら、ちゃんと焼けたことがあるかどうかという不器用ぶりだ。それを突然具入りのオムレツを綺麗に焼こうなんてほうが間違ってた。
「だだだダメです!全然ダメです!崩壊しました!」
ぐちゃぐちゃになったところで帰宅しただんなに手渡しても遅いのである。なし崩し的に、「ひき肉と玉ねぎ入り洋食屋さん風オムレツ」だったはずのものは何だかよくわからない卵と肉の炒め物に化けた。

あとはカリフラワー。先日届いたカリフラワーは小房に分けて買い置きのブロッコリーと合わせ、下茹で。グラタン皿に乗せたらマヨネーズと牛乳とアンチョビを混ぜ合わせたソースを軽く上からかけて、パルメザンチーズふってあとはオーブンへ。どこかの雑誌か本で見た料理だったけれど、マヨネーズの酸味がほんのり違和感な、「これはもうちょっと美味しく改善できるのでは」と思わせられる味になってしまった。マヨネーズじゃなくてホワイトソースにアンチョビ混ぜてもっとそれらしいグラタンに仕立てた方が美味しいかもしれない。

そしてふろふき大根と昨夜の牛肉の煮物の残り。現在ちょっと思い立っての試行錯誤中で「もっと美味しく炊けないか」と日々火の具合と時間を変えてみている羽釜炊きの御飯。少量残ったリーフレタスはセルバチコ(ワイルドロケット)と合わせて胡麻味噌ドレッシングのサラダに。食卓の調和はいまいちだけどやけに賑やかな食卓になった。野菜もたっぷりだし。

失敗作のオムレツ(もどき)だったけれども、昨日届いた卵は本当の本当に美味しいんだなぁと改めて思い知らされた。何しろ、黄身も白身も頑丈で卵をほぐすところから大変。なかなか黄身が潰れなくて、ボウルに菜箸を直角に「えい!えいえいえい!」とズコズコ突っ込んでやっと混ぜ合わせて焼いたのだった。黄身の大きさはさほどじゃない印象だったのに、溶き卵は見事なこってり濃厚な黄色。20個1000円の卵は市販品の4倍くらいの価格ではあるけれど、4倍くらいは充分美味しいからたまにはいいのかなー、とぱくぱく食べた。こここ、これでプリンとかパウンドケーキとか作ったらどうなっちゃうんだろう……(でも失敗すると思うと恐ろしくて……)。

12/20 (土)
クリスマスブッフェ。鴨にターキーに羊に猪に……ぐふぐふぐふ
「アンデルセン」の特選クリームパン
ココア

以前、「都内某フレンチレストランのクリスマス営業」の実体を聞いたことがある。決して安くはないその店(かと言って全く足を向けられないほどに高くはない)、普段は常連さん一見さん含めて賑わっているのだけれどクリスマスの24日25日の2日間だけは"一見さんカップル"だけでテーブルが埋め尽くされるのだそうだ。

高級料理店で食事したことなどほとんどないようなカップルで席は埋まり、ゆえに「会話を楽しみながら優雅に3時間のディナー」なんて展開にはならずに出されたものをせっせと緊張しながら平らげていく彼らのおかげで、普段は2回転することすら希な客席が「5時の回・7時の回」といった風に2回転は楽勝になる。ワインも飲み慣れてないのに格好つけて頼んじゃったりして、
「前菜をお下げして次の料理をお出ししたときに、飲み慣れていらっしゃらなかったらしい女性の方がクラッときてしまって、お皿に顔をババーンとつけて倒れてしまい……」
話してくれた給仕人の方は思い出しながら苦笑いしていた。飛び散った皿と料理を片づけ、外の空気を吸わせてあげた方が良いかとお店の入り口付近までそのお客さんを誘って休ませてあげたのだそうだけれど、結局「もう、気分が悪いです……」と前菜の一皿だけでそのカップルは店を後にしたのだそうだ。クリスマスイブに。

「ですから、常連さんには"クリスマスイブと当日には当店に近づかない方が賢明です"とお伝えしています」
というその方のお話で、その話を聞いてから「クリスマスイブと当日には外食しないに限る」と私は固く誓っている。外食するならその前後の日で。そういう常とは違う異空間になった店に常より高価な金を払ってレストランに押し寄せる意義は……あんまりないと思う。

というわけで(どういうわけで?)今日はお出かけ。案内を見て「ぐはー、美味しそー」と思ってしまったクリスマスブッフェに家族揃って行ってみることにしたのだった。ついでにクリスマス用のスパークリングワインを買ってー、ちょっと早めに出て都内をうろついてー、とちょっとわくわく。気合いも入って8時半には目を覚まし、パンを囓って早速出発することになった。

銀座 「ライオン銀座七丁目店 ビアレストラン」にて
 和風ステーキ丼 \1000
 ランチビール \300

まずは銀座へ。以前、船橋にあるサッポロビール園でジンギスカンを食べたとき、キャンペーンのくじを引いて「年内有効3000円分お食事券」を貰っていたのだった。ライオン系列だったらどこでも使えるということだったので、
「だったら銀座七丁目のビアホールに行きたいなぁ」
と言っていたのだった。ライオンはあちこちにあるなんてことないビヤホールだけれど、銀座七丁目店だけは古めかしい独特の雰囲気を放っていて、料理もビールも美味しいように思える。

当初は1階のビヤホールで昼食を摂るつもりだったのだけれど、2階のビアレストランの案内で「おこさまランチ」を発見した息子が、
「あー!ぼく、これがいいなぁ。おこさまランチが、食べたいなぁ〜」
とリクエストしたため、2階に行くことになった。私は和風ステーキ丼、だんなは目玉焼きハンバーグの定食。飲み放題のソフトドリンクとスープがついてどちらも1000円。バターライスにハンバーグ、クリームソース和えマカロニ、海老フライにコロッケに唐揚げにフライドポテトにオレンジにゼリーに……という絵に描いたようなおこさまランチは700円。

肉はちょいと薄めではあったけれど、ステーキ丼はボリュームたっぷり。小ジョッキに入れられるランチビールをクピッと飲み干し、山菜や胡麻油風味の刻み葱、などが豪華にトッピングされたステーキ丼をわしわしと平らげた。

恵比寿 「ル・シノワクラブ」にて
 プーアル茶 \600

昼食後は有楽町の国際フォーラムで開催中の「人体の不思議展」を見に行くつもりだったのだけれど、あまりの混雑ぶりにチケットを購入したものの入場は断念。
「クリスマス明けの平日に来よう、こっち来る予定もあるし、ね」
と人体の輪切り模型(というか実物)を見るのは断念して夕食を摂る地である恵比寿にとっとと向かうことになった。ディナーブッフェは5時半からだけれど、時間はまだまだまだまだある。のんびり本屋さんを眺めたり、デパ地下の食材コーナー調理器具コーナーをじっくり眺め、お気に入りのワイン屋さん「ワインマーケット PARTY」でクリスマス食材その他諸々お買い物。

クリスマス用のワインはイタリアの発泡酒、フェッラーリのロゼに決定。ヴーヴ・クリコのミニボトル4本がワインクーラーにもなるバケツに収まったのがやたらと可愛くて(ついでに我が家に適当なワインクーラーが存在していなかったりもして)それも衝動買い。せっかく来たんだしねと試飲して美味しかったフランスブルゴーニュ地方の発泡酒クレマン・ド・ブルゴーニュも1本、イタリア・マシャレッリの赤モンテプルチアーノ・ダブルッツォも1本、久しぶりに甘口ワインも飲みたいわぁとソーテルヌも1本。ちっこいボトルのくせに2000円もした白トリュフ入りオリーブ油も1本、枝つきの干し葡萄1袋、最後に玉ねぎとにんにく入りのチーズディップを1瓶。

「豪遊ですね」
「豪遊ではありません、大豪遊ですよ……」
と、2万円ばかりの買い物をごっそりして、とても持てる状態ではなくなってしまったので配送をお願いしてきた。イタリアンのレストランばかりに行っているせいか、ここしばらく購入するワインはすっかりイタリアもの一辺倒になってしまった。一時期本などを見てブルゴーニュがなんだボルドーがどうしたとフランスワインについて覚えようとしていた頃があったけど、もうどっかにそんな記憶は揮発してしまって、ワインの事はもうさっぱりわからなくなってしまっている。イタリアワインはこれまたなんだか難しく……。

で、まだ夕食時間に間があるねと「赤坂離宮」の譚彦彬さんのプロデュースだという「ル・シノワクラブ」で中国茶をいただきつつ休憩。夏にこのお店のマンゴプリンを食べに息子と2人で来たことがあるのだけれど、あれから数ヶ月、店内はほんのりくたびれた印象があった。うっすらピンク色をしたグラスがけっこう汚かったり、洗練されたデザインのものを選択したと思われる急須などもくたびれ感があったり。

物(とか店とか)には「古びるとなんとなくダメになってっちゃうもの」と「古びれば古びれるほど良い味が出るもの」の2種類があって私は後者の方が好きなのだけれど、前者の方が一見あか抜けていたりパッと見の見栄えが良かったりするものだから、マスコミが騒いじゃうようなスポットにあるお店は圧倒的に前者のものばかり。なんかなぁ、あんまり居心地良くないんだなぁ……と思いつつ、「もうあんまり来ることはないかも」と感じながらプーアル茶をくぴくぴと。

恵比寿「ウェスティン東京内 THE TERRACE」にて
 クリスマスブッフェ \6000

夕方5時半の早めの夕食はウェスティンホテルの1階にあるカジュアルなレストランでのクリスマスブッフェ。数週間前にネットサーフィンしていてたまたまその案内を見、「いいなぁ、ランチバイキングならそんなに高くないしなぁ」と予約の電話を入れてみたのだけど、時既に遅く土日祝日のランチの予約はもういっぱいいっぱいとの事。高いけれども、じゃあディナーでいいかー、と今日の夜の予約を入れてもらったのだった。大人6000円、息子は3600円、それだけ払えばブッフェじゃなくても良いもの食べられそうな気もするのだけれど、ターキーとか鴨とか羊とか、好きなだけあれこれ食べたい気分だったのだった。

ホテル内は数メートルおきにクリスマスツリーが並んでいるような状態で、やたらと華やか。中央ホールには2フロアをぶち抜くサイズの大きなツリーが光っていて、ツリーの足下には小さなおもちゃの汽車がくるくる走っていたりするものだから子供たちはそこに集まってきゃあきゃあと嬉しそうにしている。結婚式も何組も開かれているようで、どこもかしこも大にぎわい。

ハーフサイズのロゼのシャンパンをいただきつつ、思った以上に手のこんだ豪華な料理を1時間半ほどかけて楽しんだ。我が家同様、ブッフェという気軽さもあってか子供連れがすごく多かったけれど、気合いの入ったカップルなども少なくなく、賑やかではあったけれど給仕の方たちがとてもてきぱきと動いていてくれて雑然とした印象のない良い感じのブッフェだった。

まずは前菜。猪の煮込みをテリーヌ状に仕立てたものとか、牛肉のたたきとか、息子が大好きなスモークサーモンとハーブを散らしたスモークサーモンのマリネとか。サラダも葉野菜を何種類も取りそろえ、トッピングやドレッシングも他種類から選べるようになっていてかなりわくわくする内容だった。小さなガラスの器には角切りにしたマグロやサーモンがスパイスの利いたマリネ液で和えられたものだとか、あるいはフォアグラのゼリー寄せなんかが入っていたりする。前菜だけで、15種類くらい?

何故か寿司コーナーもあったりする。板前さんが"具なしの軍艦"をどんどん作ってくれ、お客が好みの具をトッピングする仕掛け。柚子胡椒風味の海老のマヨネーズ和えとかマグロのたたきとか、サーモンとイクラを和えたものとか、子供向けにかツナサラダとか蟹サラダなんてものも。息子は角切り玉子を特盛にした寿司を2個3個と美味しそうにつまんでいた。あと、スモークサーモンは「もう止めろ」と言いたくなるほどべろべろと食べている(そんなにスモークサーモンが好きか……生意気な……)。

スープは「生姜風味のかぼちゃのクリームスープ」と「ロブスター入り味噌汁」というちょっと変わった2種類。そして温かい料理はこれまた20種類ほど。ラタトゥイユっぽい野菜の煮物を添えた骨付き羊肉のグリルだとか、シンプルな味わいの鴨のグリルだとか、ビーフシチューだとか鱈と牡蠣の煮物だとか。中央にはローストターキーをざくざく切ってくれるコーナーもあって、クランベリーやグレービーなどのソースが数種類揃っていた。

「やっぱりここはさぁ……」
「ターキーにクランベリーちょいっと添えて、マッシュポテトにグレービーをだばだばかけて食べる!」
「アメリカンだねぇ……」
なんて遊びつつ、あれこれ取ってきてはもぐもぐと食べまくった。値段が張るだけあって、どれもこれも悩めるほどに美味しそうだったし、実際美味しかった。御飯ものはバターライスとビーフストロガノフ、アジア風のパエリア(香菜たっぷり)なんてものもあったけれど、それにはあまり手が出せないほど、肉を堪能してしまった。

前菜を1皿、サラダを1杯スープを1杯、肉料理は2皿か3皿くらい、お寿司も何個か。それだけ食べたらデザートが恋しくなってくる。
デザートコーナーもこれまた豪勢にケーキが7種類くらい。リコッタチーズのケーキにチョコレートケーキ、生クリームを使ったシンプルなブッシュドノエルにシャンパンのムース、パンナコッタと大きなプリンとクレームブリュレ、リンゴのクランブル。フルーツもコンポートの他メロンやオレンジやグレープフルーツ、葡萄などなど。アイスクリームも3種類あった。

「君は"別腹"があるから良いけど、僕には別腹がないから……」
とか何とか言いながらだんなはバニラアイスとクレームブリュレとプリンの"カスタードもの3点セット"。息子はたっぷりのアイスとフルーツ山盛り、私はケーキ3種類くらいにプリンもの3種類くらいにフルーツも少々。食べた食べた、たらふく食べた。とにかく食べた。下品なほど満腹になってしまった。

「えっへっへー、これぞクリスマス〜」
「これが!?なんで!?」
とか言いながら、あれこれの荷物を抱えて8時半頃には帰宅。充実した一日でした。

12/21 (日)
家での焼き肉のラストはこんな感じのガーリックライス
ラ王とんこつ
冷茶

私と息子が寝ている間、だんなはスポーツジムに行ってしまった。最近のだんなはジムで体を動かすのが楽しくてしょうがないらしい。ぐうたらな私は布団の中でごろごろごろごろ。これで同じ会員費用を払っているのだから、我ながらいかんと思う。来週どっかで行ってこよう……。

昨日の飽食の疲れもあって何も食べずにボーッと待っていたところ、ひと動き終えただんなが帰ってきた。ジムを出たところでわざわざ
「あ、おゆきさん?今から帰るけど……御飯どうする?何か買って帰る?」
と連絡してくれたものだから、正直に
「うなぎがたべたい」
と伝えてみると、電話の向こうで
「昨日!あんなに喰ったのに!あんなに御馳走喰ったのに、まだ鰻とか言う!!!」
何か盛大に嘆いている。いやー、鰻、最近食べてないかなー、って……。

その「まだ鰻とか言う!!」の数分後に帰ってきただんなは、その舌の根も乾かぬうちに
「あのさ……今日の夜、焼き肉行かない?」
と言ってるのであった。あんなに御馳走食べたのに!まだ焼き肉などと!!と応戦する私。
「いやー、ジムの壁にさー、"牛角の割引はじめました!"とか書いてあってさー」
とか言っても、それは理由にならぬー。……ていうか、お互いさま?ていうか、似たもの同士?

で、朝御飯もろくに食べずに運動してきただんなと、朝から何も食べていない私は昼食そっちのけで
「ホントに焼き肉行くの?」
「……ああ、肉買ってきて、家で焼き肉というのもいいな」
「ホントに焼き肉食べるの?」
「……イヤ?」
「……いい……」
ごにょごにょと話し合い、結局「肉買ってきて家で焼き肉を致しましょう」という結論に達した。

なので、昼はもうやる気なさげな感じにカップラーメン。スーパーで特売していたラ王とんこつを息子に分けつつちょろりと食べた。ラーメンにしたのは、
「あのねー、ラーメン、ラーメンが食べたいなー」
との息子のリクエストが理由。

近所のスーパーでバナナチョコカスタードクレープ

そういうわけで、午後には肉の買い出し。図書館にちらりと行き、ざくざくと本を借りてから「牛タンはここのがけっこう厚切りで美味しいんだよね」というスーパー地下のお肉屋さんに向かった。ラーメン食べたのは11時半頃、でも息子にもけっこう分けちゃったので2時半頃にはもうすでになんとなく空腹感が漂っていた。
「クレープがあるね」
「クレープ食べたいね」
「クレープたべたいなぁ〜」
と私と息子が看板を見てぷるぷるし始め、我慢できずに苺クレープとバナナクレープを買ってきて交換しながら食べてしまった。

「またそんな、おやつにクレープなんて……太るよ……?」
とあきれ顔のだんなは「じゃ、俺も買ってこよう」と別の店でチャーハン買ってきてたりして、どっちがより罪深いのかまたしてもよくわからない展開に。
「チャーハンも相当カロリー高いと思うよ」
「いやー、チョコとクリームたっぷりのクレープには負けるな」
お互い「いや、こっちがマシだ」と言いつつだんなは私のクレープを囓り、私はだんなのチャーハンを横からつつく。人が食べているものはいつでもなんとなく美味しそうに見えちゃうのよね。

焼き肉
(タン・カルビ・玉ねぎ・長ねぎ・茄子・にんじん・ピーマンにんにくホイル焼き)
だんな特製もやしのナムル
ガーリックライス
ビール(モルツ)
ほうじ茶
ハーゲンダッツの小豆アイス

夜7時、おうちで焼き肉。炭火焼き肉のセットもあるのだけれど、焼き肉後のガーリックライスが食べたいばかりにホットプレート焼き肉となった。1時間くらい前からだんなはもやしのナムルを作り始め、私は刻み葱を作ったり野菜の盛り合わせを作ったり。だんなと一緒に台所に立つと
「そっちのコンロ使い終わったらもやし茹でるよ?」
「あー、じゃあデカやっとこを火にかけといたら喜ばれるね」
「うん、それそれー、あ、そしたらこっちの調理台はあけたほうがいいってわけね」
「うん、今度は葱切るし」
なんて適当に「相手が次に何をしたくて何が欲しいか」がわかったりするのでとても動作がらくちん。今日は野菜を切りながら「あー、今度はにんにく剥かなきゃ……大変なんだよなぁ」と次の作業を想像していたら、だんなが息子と一緒ににんにくの薄皮を剥き始めたところだった。うぉー、ブラボー。

そして、焼き肉。
「牛角行こうって言ってたのを止めたからさ、なんかこう、牛角っぽいの食べたくて」
とスーパーで売られている牛角印のタレで肉を揉みこんでみたり、八丁味噌ベースの自家製タレでカルビを揉みこみ、それ焼いて卵の黄身つけて「月見カルビだ!」「そっくりだ!」「牛角みたいだ!」と盛り上がってみたり、アルミホイルで作った小さな容器ににんにくと胡麻油を入れてホイル焼きにしてみたり。外でさ、焼き肉食べるときさぁ、ナムルも欲しいだけどナムル注文するくらいなら肉1皿多く食べるわ!って気分になっちゃうんだよねぇ〜、そうそうわかるわかるー、なんて言いながら、今日は野菜もたっぷり。月見カルビ(もどき)を御飯と一緒にサンチュで巻いて食べるのも、ごっつぅ美味しかった。床や電灯のカサが油でぎとぎとになっちゃったりして大変だけれど、家焼き肉はやっぱり楽しい。

そして最後はプレートについた肉のこびりつきをこそげつつガーリックピラフ。バターで薄切りにんにくを炒め、肉のエキスを絡めつつ醤油味で御飯を炒める。なんてことない外見だけど、これがすっごく美味しくて、だから余計に家焼き肉は素敵。