食欲魔人日記 01年04月 第1週
4/1 (日)
青空の下のおむすび (昼御飯)
お祖母ちゃんの山菜おこわ
お祖母ちゃんのきんぴらごぼう
抹茶入り玄米茶

昨日の天気の悪さはどこへやら、今日は突き抜けるような快晴だ。桜もきっと綺麗に咲いていることだろう。日曜にしてはやや早く、9時頃に起きて洗濯機を回していそいそと花見に向けて心躍らせる。数十分後に起きてきただんなに
「花見しよーよしよーよしよーよ〜」
と騒ぎ立てて、そして急遽花見に行くことになった。特に食材の準備もしていないので、ご飯はデパートででも買っていくことにしよう。

朝御飯は、昨夜お祖母ちゃんが手土産に持たせてくれた手製のおこわときんぴらごぼう。
ちくわや筍も入っているちょっと薄い味付けのおこわに、甘い味がこってり染みてるきんぴらごぼうをつまむ。長さも太さもちょっとバラバラ、という感じのきんぴらごぼうであるのに、お祖母ちゃんのきんぴらごぼうは何だかしみじみと美味しいのだ。

青葉の森公園にてお花見〜♪
 デパートで買ってきた各種フライ
 同じくおむすび
 同じくお弁当
 同じくエビスビール

千葉に越してきて未だ2ヶ月ちょっと。お花見と言っても近隣のお花見スポットなぞは全然しらない私であった。こういう時こそインターネットの検索術を使わなければならない。
「マザー牧場は、すごいらしいよ〜。……で、遠い?」
とパソコンに向かいつつ声をかける私に、だんなはちょっとばかり呆れていたようだった。

結局、千葉駅からバス十数分で行けるという「青葉の森公園」なるでかい公園に行ってみることにする。桜は1000本以上もあるらしい。しかも入場無料だ。千葉駅につくなり駅前のデパートでざかざかと食料入手に励む私たち。

まずは焼き鳥屋さんで美味しそうなお弁当を1つ購入。唐揚げや鶏の照り焼き、チキンカツなど鶏おかずがみっちり詰まった豪華な品だ。
続いてフライ屋さんでコロッケや串カツ、玉葱の肉詰め揚げなどを入手。「うずら卵とウィンナー揚げ」という行楽にもってこいの品も見つかったのでこれも3本。更に「おむすびも必要じゃーん」とおむすび屋をみつけておむすび数個も買ってみた。ビールも買い込みお茶も買い込み、大荷物抱えてバスに乗り、いざいざ公園へ。

んまぁ、すごい人なのであった。マイカーで来る人々の駐車場待ちの列で道路はかなりな渋滞になっている。広々とした公園の芝生地帯に桜はわさわさと植えられていて、古いやつから新しい樹まで綺麗に花をつけていた。ちょっと奥まったところの若い桜の木を「マイ桜」と命名し、この木の下にレジャーシートをべろんと広げる。

雲ひとつない快晴で、日差しも暖かで、風も弱め。花見にはサイコーの天気である。
でっかい輪切りの玉ねぎにハンバーグのタネのようなものをつけて揚げた巨大な串揚げを片手にエビスビール。長ねぎが間に入っていたヒレカツの串とか、期待の「うずら卵とウィンナー揚げ」も堪能し、適当に満腹したところでビール終了。お茶なぞ飲みながらおむすびをばくばく食べる。たらこおむすびに、葱味噌おむすび。赤飯おむすびと、岩海苔おむすび。
たまたま見つけて買ったおむすび屋だったけれど、ここのおむすびはイカしてた。本物の竹の皮でくるんと巻かれていて、しかも沢庵も数切れ一緒に包まれている。素晴らしい。巻かれた海苔がしっとりしていて、弁当気分がますます高まる。味噌味濃厚な葱味噌むすびも、こんがり焼かれたたらこが入ったたらこおむすびもしみじみ旨かった。

「やっぱりサラダも買ってくれば良かったよ。」
「ていうか、フライが多かったんだよ、単に。」
「……ああ、お菓子も買ってくれば良かったなぁ〜。」
「まだ食べる気ですか?」
青空の下のご飯は、何食っても旨いんである。今度は余裕のある時に自家製弁当を持って来たいものだ。

ヨコイのスパゲッティ ガーリックソーセージ乗せ
モルツ、アイスカフェオレ

昼間にたっっっぷりの揚げ物を食べてしまった所為で、あまりおなかが空かない。
「さくっとヨコイのスパゲッティでも、ね。」
「そうそう、さっぱりとね。」
と言っていたはずであるのに、だんなが用意してくれたスパゲティは超山盛りだった。我が家で1、2を争う巨大な2枚の皿で、麺が山と化していた。
「いったいどれだけ茹でたの?」
と聞いたところ、とぼけた顔で
「……さぁ?」
という返事が返ってきた。たぶん500g麺一袋分くらい茹でたのであろう。そんな量だった。

名古屋にしかないという、「あんかけスパゲッティ」のヨコイ。店舗はもちろん名古屋市にあり、他県への進出はない。関東圏の我が家が唯一食べられる手段が、ヨコイブランドのレトルトパックソースなのであった。同じくヨコイブランドの、うどんのように太いスパゲティを茹で、茹でた後に水にさらして一度キュッと締め、それをたっぷりのバターで炒める。炒めただけの白いスパゲッティを皿に盛り、具を乗せ(今日はガーリックソーセージと半熟目玉焼き)、しかる後にレトルトパックヨコイソースを皿の円周ぞいにドロリとかける(このかけ方もお約束であるらしい)。何ともオリジナル色溢れたスパゲッティがヨコイなのであった。私とだんなはこれが大好き。

トマト味のようなドミグラスソースのようなケチャップ味のようなソースは濃度があって胡椒がピリリと利いている。ジャンクなようでいてなかなか奥の深い味なのだ。半熟卵の黄身を潰して、麺とソースと絡めて食べるのがめっちゃ美味しい。具はウィンナーでもソーセージでもチキンナゲットでも、豪華に牡蠣フライでも。どことなくジャンクな香りのする肉製品が合うような感じである。

唖然とするような量のスパゲッティを、ビールで半量平らげて、アイスカフェオレで残り半量平らげた。
そう、実は今月21日〜24日、いよいよ名古屋に行くことが決定したのだ。
味噌煮込みうどんでしょ、味噌カツでしょ、ひつまぶしでしょ、天むすでしょ、きしめんでしょ、手羽先でしょ、モーニングセットでしょ、イタスパでしょ、小倉トーストでしょ、そいでもって、あんかけスパ。名古屋では独自の食文化がこれでもかと待っている。
滞在中の3泊4日、実質3日くらいの間に果たして全部制覇できるのでありましょうか。
「ここは旨いぞ、喰っとけ!」情報、お待ちしております。

4/2 (月)
焼き肉サラダ丼 (夕御飯)
男爵コロッケ
お祖母ちゃんのきんぴらごぼう
お祖母ちゃんの山菜おこわ
赤飯おむすび
抹茶入り玄米茶

さて、今日から4月だ(いや、昨日から4月だけど)。
息子はこの地域の保育園に通い始め、私はスポーツジムへの入会を済ませた。秘書の仕事も始まる。だんなは昇格したらしい。良き哉良き哉。

朝御飯は、まだ食べ切れていなかった「お祖母ちゃんシリーズ」をテーブルに並べる。山菜おこわにきんぴらごぼう。いつもいつも、えらくたっぷりな量をお祖母ちゃんは土産に持たせてくれるのだった。我が家は家族3人だからしてそう困るものではないけれど、一人暮らしの義弟などはいつも「そんなにいらない!半分、いや3分の1!」と有り難がりつつ悲鳴をあげている。お祖母ちゃんの頭の中は「孫たちはとても良く食べるもの」という、孫たちの高校時代頃の胃袋許容量のままで印象が止まっているようなのだった。

そして、昨日の花見弁当の持ち帰った残りものも平らげる。コロッケと赤飯むすび。何だか少しばかりしっちゃかめっちゃかな食卓なのだった。

卵サンド
ハムサンド
ミルクティー

本日は、保育園の入園式。木造の保育園は、えらく年期が入っている。ツヤツヤと黒光りする廊下は大人が歩くとミシッと音がするし、ガラスの曇りガラスがはまる木造の窓もいつの時代のものだ、という感じ。灰色のコンクリートの渋い手洗い。全体的に渋い印象が漂う味わい深い保育園だ。土の運動場もすっごく良いじゃないか。桜の巨木がどかどか植わってるし。

入園式と説明会とひととおり済ませ、息子と一緒に家に帰る。もう12時目前であったので、昼飯は途中のパン屋で買ってきた卵サンドとハムサンド。シンプルな卵だけのサンドイッチに、レタスとハムとトマトが挟まったやつと。

熱いミルクティーを入れて、息子と一緒に昼御飯。
そうか、明日からはもう息子と2人で昼御飯を食べることはなくなっちゃうんだわ。ちょっと気合い入れてお昼ご飯作れば良かったわー。

焼き肉サラダ丼
ワカメのスープ
アイスウーロン茶

だんなは飲み会。
肉をもりもり食べたいし、ついでに野菜もバリバリ食べたいし、更に簡単に作れる料理が嬉しいぞ、ということでどんぶりもの。

ご飯を炊いて、肉を炒める。肉はあらかじめ醤油とオイスターソースと砂糖とXO醤と胡麻油、ついでに少々の焼き肉のタレ、以上を絡めて揉んでおくいたやつ。ざかざかと炒め、火を止めてから白髪葱をぶわっと大量に入れてかき混ぜて、サニーレタスをたっぷり千切ったやつと一緒に炊きたてご飯に盛りつける。
お供に恐ろしいほど手抜きなスープ。鶏ガラスープと乾燥ワカメと醤油と炒り胡麻、胡麻油と刻み葱を椀に入れ、湯を注いでかき混ぜただけの手製インスタントスープ。
15分でできた丼とスープを並べた夕御飯。肉も野菜も食べられてちょっと満足。

さて、以下はひっさしぶりの道具コラム。半年に1回の連載は連載と言えるのか。……きっと言えない。


【私の好きな道具たち − 調味料入れ】

photo

料理のたびに、巨大な醤油のボトルをだばだばと傾けるのは非常に面倒だ。
で、液体調味料を入れるために「油差し」を買ってきた。3つ買って、醤油と味醂と日本酒を入れてある。大さじ1とか2とかの調味料がこれで、レンジ脇から格段に早く入れられるようになった。ばんざい。

んでもって、油はサラダ油とオリーブ油の2種類をそれぞれプラスチックのへにゃへにゃ容器に入れてある。オリーブ油の方はマスタードを入れるような容器の口を細く切って、糸状に油が垂れるように。サラダの最後にうにょにょにょにょとオリーブ油をかけたりする時にめっちゃ便利。サラダ油の方は、もうちょっと出しやすいように口を太く切ってある。フライパンの上にたらっと垂らすのに丁度良い感じ。

確か、油の容器はレストランでこんな風にしているのだと、どこかの本で読んで真似た方法だった。あるレストランの厨房に入った時、本当にこれと同じようにオリーブ油がプラスチック容器に入っていたのでちょっと感激を覚えたのであった。

料理をやりやすいように「場」を作っていくのはちょっと楽しい。次は鍋を頭上にぶら下げたりしたいんだけど……それはちょっと無理っぽい。とほほ。


4/3 (火)
鮭の利休焼き (夕御飯)
千疋屋のフルーツサンド
牛乳

昨夜、飲み会に出て夜11時半すぎに帰ってきただんなは、何故かフルーツサンドを鞄にしのばせていた。
「いや、課内で1次会やったときに、千疋屋のフルーツサンドのプレートを注文してさぁ〜」
ふむ。
「美味しかったから"おゆきさん喜ぶかな?"と思ってね。」
ふむふむ。
「食べながら、"これ確保〜♪"って、この分横に除けてたの。」
ほうほう。
「課の人に変な顔されちゃったぁ〜。」
…………変な顔されるようなら持って帰ってこなくていいんだよ、だんな……。

しかも8切れもラップにくるまれている。私と息子の朝御飯分くらいはゆうにある。ますます課の人の呆れ顔が想像できようってもんだ。まるで私がフルーツサンドを滅多に食べない人みたいじゃないか。いや、滅多に食べないんだけど。

そうこうあって、一応はだんなに感謝しつつフルーツサンドの朝御飯。
食パンに生クリームたっぷり、中には苺やキウイやパインやりんごやらが詰まっていた。フルーツ屋さんのフルーツサンドはやはり美味しい。

卵どんぶり
抹茶入り玄米茶

朝御飯、私と息子はフルーツサンドであったわけだが、だんなには卵どんぶりを作ってあげていたのであった。そのだんなの食べていた卵どんぶりが妙に心に残っていたので、昼飯は自分用に卵どんぶり。息子は今日から保育園なので私一人だ。彼の今日の献立は「ご飯・すきやき風煮・南瓜のバター煮・味噌汁・いよかん」だそうだ。給食って美味しそうなのよねぇ。ちょっと良い感じなのよねぇ。しかも明日はスパゲッティミートソースだ。明後日はカレーライス。ああ、保育園児になりたい。……でも「レバーの味噌焼き」が出る日なんてのもちゃんとあるのだけど。

で、卵どんぶり。丼鍋にお湯を張って顆粒だしを少々。醤油と味醂と酒を同量入れて、煮立ったところに溶いた卵を2個分、どばっと入れる。蓋をしないで30秒、ざっとかき混ぜてから蓋をして20秒。タイマー片手に火を通すと、絶妙な半熟状態になる。ぶわっとご飯にかけて、熱いうちにちゃっちゃと食べる。ああ、小林カツ代さん今日もありがとう。卵どんぶりは相変わらず美味しいです。(彼女のレシピ本で覚えたのね)

鮭の利休焼き
牛肉と茄子の生姜煮
小松菜のお浸し
若竹サラダ
じゃがいもと玉葱の味噌汁
ご飯

魚が食いたくなったので、鮭を買ってきた。醤油と味醂と酒と練り胡麻を混ぜたタレの中にしばらく漬けておいてから、タレを絡めつつ焼く。
残りものの少しばかりの牛肉と、同じく残りものの1本だけある茄子は千切り生姜をたっぷり入れて醤油と味醂味で煮込む。小松菜は油揚げと合わせてだし醤油で。味噌汁は、じゃがいもと玉葱と油揚げの具。

で、筍の水煮を買ってきてあったので、これはサラダに。レタスと三つ葉とワカメと、残り物の茹で枝豆、そして筍のスライスを全部併せて、だしと醤油と柚子酢とおろしわさびを混ぜ合わせたドレッシングで食べる。わさびをガツンと効かせるのがポイントらしい。味を見ながら5mmずつにょろにょろと入れていく。うむ、何やら野菜だらけの良い感じの夕食になりそうだ。

8時半、帰宅しただんなと一緒に夕御飯。
胡麻風味濃厚な、ちょっぴり甘い鮭もこんがり焼けて、甘辛くこってり煮た牛肉の生姜煮もまずまずの出来映えだった。サラダも美味しいし。
ただ……小松菜ってやつは、茹でてもあまり容積が変わらないものだということを忘れていた。ほうれん草のように小さく小さくなると思った小松菜1束は、茹で終わってももこもこと大量にボウルに溢れてしまっていた。大きな鉢に入れたお浸しは、あと3日くらいしないと食べ切れそうにない。とほほ。

4/4 (水)
4種のチーズのペンネ (夕御飯)
目玉焼き乗せ御飯
じゃがいもと玉葱の味噌汁
小松菜のお浸し
冷茶

今日はスポーツジムに行くのだ。美容院にも行くのだ。どうも私は最近浮き足立っている。春だからかもしれない。

昨夜の味噌汁を温め、お浸しをテーブルに出す。御飯の上には、半熟に焼いた目玉焼きを1人1つ。大中小3つの茶碗に1つずつの目玉焼きがどかんと乗せられた。箸の先で黄身をつついて、醤油を垂らして御飯と一緒にわしわし食べる。

アジアン・デリの
 叉焼飯
 マンゴープリン
冷茶

午前中、スポーツジムのオリエンテーション。トレーニングマシンの使い方を少しだけ教えてもらったので、ガシャガシャと背筋胸筋腹筋腿筋などを数セットずつ鍛えてみた。明日は更なるカウンセリングを受けて、もう少し別のマシーンの使い方を教えてもらおう。
500mほどの水泳も済ませ、直後に最寄りの美容院の予約を入れると1時間後なら来ても良しとの返事であった。時間は午後1時。お気に入りのカレー屋に行くも今日は閉店日であったので、同じくお気に入りの「アジアン・デリ」にて丼を買い一瞬帰宅。

中華な丼を弁当にしてくれるこのお店、なんといっても「豚排飯」(揚げ豚が乗る)や「油淋鶏飯」(揚げ鶏が乗る)が美味しいのである。美味しいのであるけれども、ここで揚げ物の丼など食ったら何のためのジム通いだという後ろめたさがある。しばし店頭でぐねぐねと思案した結果、叉焼丼を買って帰ることにした。チャーシューが5〜6切れ、どかんどかんと乗る丼だ。煮豚ならおそらくヘルシーなことであろう(ほんとかなぁ)。
注文するときに、マンゴープリンが新しく出ているのを見て、思わず注文。それじゃ揚げ物丼を避けた意味があまりないような気もするけど、気にしないことにする。

美容院予約時間まで30分ほど。冷茶をがぶがぶ飲みながら御飯をちゃっちゃと食べる。高菜の炒めともやしの炒めと青梗菜が乗る御飯は相変わらずしみじみ美味しかった。マンゴプリンは……なんかインスタント臭い味でいまいちではあったけど。

海老とブロッコリーのガーリックバター炒め
カレー味のミネストローネ
4種のチーズのペンネ
冷茶

不二家のショートケーキ
アイスティー

明日は私の2X歳の誕生日だ。「2X歳」と表現できるのもあと1年と思うと感慨深い。……って、伏せ字にする意味がありませんがな。
期せずして、私は誕生日チックな料理を作り、だんなはだんなで1日早いバースデーケーキを買って帰ってきた。何だか今日がお祝いの日のようだ。

数日前から食べたかった「4種のチーズのペンネ」を作ることにした。冷蔵庫の中にはグリュイエールとゴルゴンゾーラ、パルミジャーノ・レッジャーノの3種類はすでに入っている。あとモッツァレラでも買ってくれば美味しいペンネが作れるであろう。で、買ってきた。
生クリームをだばだばと鍋に入れて数分煮立ててとろっとさせ、そこにチーズをどかすか入れる。何でも4種の中に1種は青カビチーズを入れるのがポイントであるらしい。あの鼻にくる刺激臭とか辛さとかがこの料理には必要なのだろう。入れすぎは悲惨な結果を招くと思うけど。
どかすか入れたチーズを生クリームに溶かしてソースにして、そこへ茹でたてのスパゲッティを入れて絡める。さめると当然固形化してくるので急いで食べなければならない。

付け合わせに海老も買ってきた。海老とブロッコリーを大量の刻みにんにくと一緒に炒め、最後にバターを1かけ落とすだけ。にんじんやセロリの入ったミネストローネもどきのスープはほんのりカレー味に。
何だかお祝い席の料理のようになってしまった……と待つことしばし、ケーキの箱を持っただんなが帰ってきた。駅前の不二家のケーキ。「1切れずつのケーキがもうなくってさ」と、小さいけどホールのショートケーキを買ってきてくれた。苺がどかすか乗っている。中にもどかすか入っている。素朴な味の、スポンジケーキと生クリームと苺だけのシンプルなショートケーキ。セイロンティーをアイスで入れて、幸せなケーキタイム。

「おゆきさん、鈍角でいく?」
とケーキを前にナイフを持っただんなが言った。
そ、それは……昨年の悪夢がちょっと蘇ってきて遠慮したいところ。

4/5 (木)
和牛と大根のステーキ (夕御飯)
ピザトースト
アイスミルクティー

昨日、唐突に「明日はピザトーストだ」と思い立って材料を買ってきた。トマトにピーマン、厚切り食パン。そいでもってカゴメのピザソース。
家に常備のトマトピューレがあるのだから、別にピザソースを買わなくてもできるのである。しかし、ピザトーストには何となくあの既製品のちょっとチープなピザソースが似合うような気がする。売り場でしばしカゴメ製とデルモンテ製を見比べて、なんとなくカゴメ製を手にとって買ってきた。

厚切りパンに少しばかりマーガリンを塗り、ピザソースを敷き、野菜をぶわっと散らす。だんなのリクエストによりベーコンもどかんと乗せる。とろけるチーズをぺろっと1枚乗せて、いざいざトースターへ。
「実はね、僕はね、ピザトーストがとっても好きなんだよ。」
とだんなが神妙な面もちで告白した。え、そうなんですか。結婚してからもうすぐ4年だというのに私は知りませんでしたよ。そうなのか、ピザトースト好きなのか。それはめでたい。

とろけたチーズと、まだ食感の残る玉ねぎに苦労しながらもっきゅもっきゅと厚切りトーストを食べる。パンのサクサク感がいまひとつ少なくて、今度は10分くらいトースターに入れておこうと思った次第。

スモークサーモンとゴルゴンゾーラチーズのサンドイッチ
アイスアップルティー

運動するぞ運動するぞということで、今日はン年ぶりのエアロビクスに挑戦してきた。5年前、週3回の割合でジムに通いまくっていた独身謳歌時代の私は、「中級エアロビクス」にも余裕で出られる体力があったはずだ。だが、なんとしたことか。「初心者はぢめてエアロ」のコースに出ただけで、明日はもう全身筋肉痛間違いなしという身体になってしまっていた。ああ、なんて醜いの私の身体。ちょっとこれは、痩せるとかそういうこと抜きで、体力の無さが情けなさすぎる。がんばらなければ。がんばれ、私。

そうこうして午前中は体育会系ノリで経過し、ピザトースト用の残ったパンにてサンドイッチの昼御飯。本気で痩せたいのなら、チーズもバターもマヨネーズも避けた方が良いと知りつつも、それはそれこれはこれと美味しいサンドを作らんと努力してしまう、悲しい性の私。
パンは2つに切り、バターを薄く塗る。サニーレタスを敷き、スモークサーモンを並べ、ゴルゴンゾーラチーズを散らし、マヨネーズを1筋にょろりと絞ってからパンで蓋。きゅっと押さえつけてがぶりと行く。
おう、美味しいぞスモークサーモンサンド。ピリッと辛くてもやんと臭みのあるゴルゴンゾーラチーズはスモークサンドと良く似合う。

ホタテのタルタル、サーモン巻き
千切りかぼちゃのサラダ
和牛と大根のステーキ
カレー味のミネストローネ
御飯
ポーターエール、冷茶

不二家のショートケーキ
カフェオレ

今日は私の誕生日なのである。今週末にはだんなが素敵な昼食と夕食を馳走してくれるらしい。今日は、私が私のためにそれらしい夕食を作ってみた。

午後4時、最寄りのニュークイックにてステーキ肉を前に苦悶する私がいた。豪華にステーキでも、と思ったのだった。
だが、高い。100g780円、980円、1500円なんて品ばかりが並ぶ。しばし悩み、100g560円のサイコロステーキ用の肉を買うことにした。400g測ってもらい、包みを見ると1000円以下の値段がついている。入れてた肉は確かに560円のものであったのに、お店のおばちゃんは脇にあった100g230円のサイコロステーキ肉と混同してしまったようだ。私は善人ではないので、こういう場は無言で静かに立ち去るに限る。「天使の分け前……」と内心で呟き、私はひっそりとその場を後にした。

半額で入手できた牛肉は、オリーブ油を垂らしてじっくり焼いた大根と一緒に牛脂でざざざっと炒めてミディアムレアのステーキに。焼き上がりに醤油と味醂をざっと垂らしたところを食べる。
千切りにした南瓜はさっとゆがいて、玉葱とカリカリベーコンと一緒にサラダにする。更にちょっとフレンチレストランの前菜のようなやつを。刺身用の帆立と玉葱とケッパーとピクルスを刻んで細かくしたやつを塩胡椒とオリーブ油で和えてからスモークサーモンでくるんと巻く。イタリアンパセリを飾ると、おお、なんとなくレストランチック。

サラダと前菜もどきと豪華ステーキ。そこでフランスパンでも囓れば格好つくのに、ついつい炊きたての白い御飯を用意してしまう我が家。醤油と味醂がサッと絡んだ和牛のステーキはめっちゃ美味しかった。うふん。

4/6 (金)
豚肉とキャベツの焼き飯 (夕御飯)
冷凍すじめし
冷茶

なんとなく「すじめし」な気分であったので冷凍庫から1袋のブツを取り出し、中華鍋でざかざか炒めて朝御飯。
「そばめし」以来、様々な「○○めし」シリーズが冷凍食品コーナーに溢れつつある昨今、先日は「岡山名物えびめし」を試したばかりだ。今日は「すじめし」。冷凍の加工品だからして、すじ肉も、すじ肉だかなんだかいまいちわからない微細なかけらになっている。どうせだったら親指の先ほどのどでかいすじがあっても良いんじゃないかと思うけど、冷凍食品にそこまで期待しちゃいけないらしかった。ちょっとがっかり。

鶏照り焼き弁当
ウーロン茶

今日は、初めての秘書日なのである。これから週に1回あるいは2回ほど、母校の大学学部の教授付き私設秘書のアルバイトだ。時給はそれほど良くもないけれど、何しろ気楽な仕事なのでちょっと嬉しい。

昼御飯も、適当にいつでも行けば良いものらしい。そのうち三田界隈の旨いもの屋制覇でもしたいところだ(有名なラーメン二郎はもう無くなっちゃったのねー)けれど、今日はちょっと余裕がなかった。時間の余裕はともかく、身体の余裕が。何しろ昨日のン年ぶりエアロビクス体験で身体中がバッキンバッキンなのであった。もうどこにも行きたくない。学食への階段を降りるだけでも憂鬱だ。

仕方なしに、購買部で弁当を買ってきたのであった。そのへんのコンビニ弁当と大差ない。御飯の上に鶏そぼろと炒り卵、中央には鶏肉の照り焼きがごろんと乗っている小さな弁当。500mlのウーロン茶も買ってきて、研究室に帰ってぐびりぐびり飲りながら、んぼーっと窓の外を眺めつつ弁当を食べる。まだ大学の授業も始まってないのである。たまんなく平和だ。

だんなの実家にて
 唐揚げ・ゆで卵・パン

豚肉とキャベツの焼き飯
モルツ2缶

6時半帰宅。急ぎ、息子を迎えにだんなの実家へ赴く。行ったらパンやら唐揚げやらがぞろぞろ出てきた。
「いや、だってねー。保育園から帰ってきたらお腹すいたみたいで。」
とお義母さんの言葉どおり、息子はもりもりと食物摂取に励んでいる。

ついつい私も居間にぺたりと座り込んで唐揚げをつまむ。地鶏だそうだ。う、うまい。ゆで卵も出てきたので、食べる。レタスも食べる。パンも食べる。何だか夕飯喰ってる気分になってきたぞ。夕食に不安を残さない量になんとかとどめ、なんとか帰る。

ちと遅めに帰ってきただんなと一緒に簡単な炒め飯を食べる。だんなは大盛り、私は小盛り。豚肉とキャベツを炒めてウスターソースとケチャップと共に御飯と炒め合わせる。ソース焼きそばの御飯版という感じのけったいなシロモノだ。上には目玉焼きをごろんと。ああ、なんだかとてもジャンクな味で、こういうのは夜中でもいくらでも食えそうな感じだ。危険な味であった。思わずビールを2缶開けてしまう。労働の後のビールはなんと最高に美味しいのだろうか。

いつも恐縮するくらい食材を分けてくれるお義母さんだが、今日はまた一段と大荷物なありさまになってしまった。なじみの八百屋がこれでもかというくらい野菜を置いていったらしい。巨大な蕪に大根、茄子、山盛りのえのきだけにしめじ、レタスにきぬさや。オレンジのような鮮やかな色のみかんまで。サラダ油2缶、地鶏肉に一夜干しの魚。ああ、冷蔵庫の中身が少ないタイミングで良かった。本当に良かった。

4/7 (土)
璃宮(赤坂)にて「ガチョウのロースト」 (昼御飯)
バタートースト
アイスカフェオレ

週末土曜日、少々早めの起床。今日はだんなが私の誕生日祝いに昼飯と夕飯をプレゼントしてくれるらしい。昼飯は外食、夕飯は家で。

午後1時の予約に備えて少々軽めの朝御飯。厚切りパンをトーストしてバターを軽く塗って囓る。今日はあったかくて良い天気で何とも外出日和みたいだ。

赤坂「璃宮」にて
 ガチョウのロースト
 前菜の盛り合わせ
 青菜の炒めクリームあんかけ
 帆立の豆鼓蒸し
 酢豚
 福建炒飯
 マンゴープリン
 生ビール、プーアル茶

だんなが連れて行ってくれたのは、一度行ってみたいねと以前から言っていた赤坂「璃宮」だった。かつては、周富徳が料理長とのことでもてはやされていた店だ。その絶頂期の頃、私は同じ季節に母に連れてきてもらったことがある。名目も同じ、私の誕生日祝いだった。
そのときの料理はお世辞にも美味しいとは言えなくて、いまいち感動の気持ちは沸かなかった記憶がある。
料理長が譚彦彬さんに代わり、数年。美味しいらしいという噂も聞くようになった。そこで、ここに来ることになったのだ。

赤坂のプラザミカドビル地下1階にこの店はある。1階から吹き抜けの階段を降りて行ったところに入口があるのだが、上から見下ろしたその地下の中庭然としたところはタバコの空き箱とか紙くずとか、雑多なゴミが少しばかり目立ちすぎる程度に散乱していた。ちょっと不安だ。

だんなが予約してくれたのは数日前。子供が同伴する旨も伝えてあり、そのとき電話向こうの担当者は「では子供椅子を用意しておきますね」と言ったと聞く。だが、壁際に用意された席は2人分のセッティングしかなされておらず、私たちが到着してからバタバタと子供椅子や食器が用意されていく。こうバタバタされると、こちらとしては印象はあまりよろしくない。周囲には子供連れが他に何組も座っており、決して格調高いという店ではなさそうだ(値段は格調高いけど)。大体、入口そばの壁で仕切られた向こうには「リキンキ招待客御一同様」なる大団体が何やら会合をやっていて、そのざわめきがしっかりこちらに伝わってきている。

座ると、なんてこった。白いテーブルクロスはところどころ赤や茶色の汚れがついている。一応洗ったものではあるようだけど、座った者を悲しくさせるには充分な汚れだった。もしかして全く歓迎されてませんか私たち?という感じだ。ああ、ますます不安になってくる。

だんなは、名物だという「ガチョウのロースト」を予約していてくれた。早々にこれがテーブルにやってきた。1/4羽分、皮も艶やかに焼かれた褐色の物体がたっぷり皿に盛られている。甘くカラメルが固まったくるみも添えられ、マーマレードにも似た甘いタレがついてきた。皮はパリパリ、中はふくふく、肉汁たっぷりでこれは美味しい。確かに美味しい。料理が出てくるまでにいきなり印象が悪いことばかりだったけど、料理は確かにレベルが高いものであるらしかった。骨付きの肉をしゃぶるように味わう。うん、こりゃ美味しい。シアワセだ。

料理はコースを頼まず、食べたいものをメニューから選ぶことにした。後から思うとこれが失敗だったのかもしれないけれど、メニューに載っているものを普通に頼んで、どうして悲惨なことになろうと想像できようか。

続いて、前菜盛り合わせ。フォアグラのテリーヌにカラスミを詰めたもの、くらげ、チャーシュー、大根の紹興酒漬け、いちぢくのコンポートなどが皿に盛られている。紹興酒の香りが強いいちぢくは中にシロップがたっぷり詰まっていてプクプクしており、厚切りチャーシューは肉汁たっぷり、くらげも何やら良い香りがする太めのもので良い感じだった。良い感じだったのだけど……。

次の料理がこない。全然、こない。
オーダーのときに、「息子に食べさせるから五目焼きそばを早めに持ってきてください」と言ったのに、その焼きそばはオーダーから30分経とうというのに来る気配もない。
また、私たちも青菜の炒めや帆立の蒸しもの、私の大好物の酢豚などなどを最初に注文したというのに、前菜の皿が下がってから待てど暮らせど次の料理がやってこない。そう難しいものを頼んだつもりはないのだが。

10分ほど経過しただろうか。やっと息子用の焼きそばがやってきた。とりあえず息子にはそれを食べさせて、私たちは引き続き、待つ。
来ない、来ない、来ない。
広々と空白の目立つテーブルを前に、不機嫌そうな客が座ったっきりだったら、普通はオーダーの状態を確認してくるなり、客に一声かけてみるなりするのがフロアスタッフの仕事というものじゃなかろうか。料理の値段の高さや、サービス料を取る店であることを考えるとそれぐらいしてしかるべきのような気がするが。
スタッフは、多くが奥の大団体にかり出されているようだった。厨房もまた、かり出されているらしかった。大きな皿が頻繁に奥の部屋に消えていき、また、一般客が座るフロアでもおきまりのコース料理を頼んでいる客にはえらくスムーズに皿が出続けている。私たちのところだけ、止まっている。声をかけようにも、そのスタッフの姿がないのはどういうことだ。

合計25分も待たされただろうか。店に入ってから1時間以上が経とうとしていたとき、やっと3皿目の皿が登場した。あと3分遅かったら、「もう何もいらないよ」と席を立つ、そういうタイミングだった。私たちはかなり怒りまくっていた。
「青菜の炒めのクリームソースです」 と若いスタッフが皿を出す。だんなが明らかに怒りを滲ませた声で
「隨分時間がかかるんですね。」
と言ったところ、少し驚いた顔をして
「もう少し早めにお出ししましょうか。」
という返事が返ってきた。
もう少し早めも何も、赤坂璃宮では皿を下げてから25分待たせてから次の皿を出すのが流儀なのだろうか。その割には、隣のコース料理客は絶え間なく料理を口にしているようにも見えるけど。
「ええ。……隨分、待ちましたよ。」
とこちらが言うと、今度は怒濤のように料理がやってきた。

青菜が出てから3分後に帆立。帆立が出てから4分後に酢豚。そんな感じだ。テーブルは皿で溢れかえった。これってお店の嫌がらせだろうか、と本気で思ってしまった。そうそう変な格好をしてきたわけでもないのに、一体何が悪かったのか。団体客でもなく、コース料理を頼んだのでもないのがいけなかったのだろうか。

味は……美味しかったのだと、思う。豆鼓の効いた帆立も、ミルクの味が濃厚な青菜も確かに美味しかったような気がする。でも、はらわた煮えくりかえっていたから、正直あまり覚えていない。料理の美味しさは、必ずしも料理の味だけで決まるものじゃないのだと、改めて実感してしまった数十分だった。

最後に御飯、福建炒飯。
シンプルな炒飯に、五目のあんがかかっているのが福建炒飯だ。とろんとしたスープに魚介や野菜がたっぷり入るあんが絡むこの炒飯を、私は大好きなのだった。
最初に食べたガチョウのローストをぶつ切りにした肉が入るこの料理は、旨味濃厚で確かに美味しかった。でも、はっきり言って「もう二度とこないぞ」という言葉ばかりが胸に渦巻いていた。

デザートのマンゴープリンもそれなりに堪能しつつある午後3時前、大団体の「リキンキ招待客御一同様」の宴会は幕を下ろしたようだった。ぞろぞろと出てくる大人数の客たち。そこへ、厨房から出てきた譚シェフが入口そばにやってきた。握手を交わし、名刺の交換。大人数の客を見送った彼は、そのまま客席を一瞥だにせずに厨房にまた帰っていった。
「そーね、そういう客だけ大事にすればぁ?」
と思った自分は、ひねくれているだろうか。

赤坂「しろたえ」の
 レアチーズケーキ
カフェオレ

悲しいランチではあったけど、美味は美味であった。腹も充分満腹した。赤坂から赤坂見附方面に向かっててくてく歩き、途中の「しろたえ」でチーズケーキを買って帰ることとした。ここのレアチーズケーキは美味しい。めっちゃ美味しい。

午後4時半、帰宅した私たちは遅めのおやつ。
小さな長方形のケーキは、そのほとんどが真っ白な生地でできている。底3mmほどが土台のタルト生地。このタルト生地がまた、ビスケットにバターを混ぜて砕いたような感じの、なんとも素朴なものなのだ。これが、良い。
そしてケーキの生地も、良い。
ねっとりもっちりとした重さのある生地は、チーズの味がこれまたこってりと濃厚で胃にずしんと来る。大変に小ぶりなケーキであるのに、妙に腹持ちの良いお菓子なのだった。簡単に真似できそうで、やっぱりこの店のこのチーズケーキは他じゃ食べられない。私もだんなも大好物だ。

だんな特製揚げたて天ぷら
だんな特製天ぷらそば
越後長岡 吟醸にごり酒(お福酒造)

夕飯は、だんなのお手製。
3年前の私の誕生日、3週間後に出産を控えていたそのときの私のために、だんなは週末2日間に御飯を作りまくってくれた。蟹クリームコロッケや天ぷらなどなど。そのときの天ぷらは、かき揚げがちょっとばかりペショペショになってしまっていたのだった。一生懸命作っただけに、この失敗がだんなにはたいそう悔しいものであったらしい。

「天ぷら、リベンジ。」
数日前からそう宣言していただんなは、天ぷら屋のように揚げては食卓に持ってき、また別のを揚げては持ってくる、というのを繰り返してくれた。私の好物のさつま芋の天ぷらに、海老。玉葱とにんじんのかき揚げ。本当はキスとか穴子もあったら嬉しかったけど、残念ながら近所のスーパーにそれらは売ってなかったのだ。

きちんとだしを取ったつゆは、ほんのり薄口。揚げたてのさつま芋の天ぷらは衣サクサクでとても良い出来映えだった。海老もかき揚げも、とっても良い。私がやるのより、全然上手い。
買い置きの、越後のにごり酒をくぴくぴ飲りながら、だんなが次々揚げてくれる天ぷらを食べる夕食はサイコーの夕食だった。

シメには、天ぷらそば。
ざる蕎麦に天ぷらを添え、貝柱と桜海老と葱のかき揚げを囓っては蕎麦を啜る。天ぷら過程で出きた揚げ玉もたっぷりつゆに放り込んで食べる。キリッと冷えた蕎麦と、熱いかき揚げのバランスが何とも気持ち良かった。
台所をしっちゃかめっちゃかにしながら、豪華夕飯を作ってくれただんなに感謝。片づけも嬉々としてやってくれてしまっただんなに大感謝。だんなの誕生日には盛大に祝ってあげよう。

4/8 (日)
だんな謹製焼き餃子 (夕御飯)
ツナホットサンド
アイスカフェオレ

赤坂「しろたえ」のシュークリーム

遅めの起床。今朝はホットサンドだ。
ツナにマヨネーズを和え、玉葱を加え、チーズを乗せる。だんなに作っていただいたところ、パンにこってり塗ってくれたマーガリンでパンがサクサクに焼けた。クロワッサンのようなパイのような食感で妙に美味しい。

お供にアイスカフェオレ、そして昨日買ってきた「しろたえ」のシュークリーム。
小ぶりのシュークリームは洋酒の味が漂うクリームがみっちり詰まっていて良い感じだ。何だか平和。

胡麻味冷やし中華
アイスウーロン茶

だんなはこの数日、餃子に燃えていた。今月号の『dancyu』が餃子特集だったのがいけなかったらしい。昨夜放映の「チューボーですよ!」が焼き餃子だったのがまたいけなかったらしい。番組中に出てきた「街の巨匠」なるお店3軒のうち1軒が、だんなが愛して止まない大森の「大連」というお店だったのもまた、いけなかったのだろう。彼の脳細胞は本日餃子のタネと化しているようだった。

材料を買いに行こう、と昼過ぎに近所のスーパーへ。冷やし中華の袋を買い求めてき、お昼は今世紀初の冷やし中華となることとなった。
胡麻だれ味の冷やし中華。具は茹で鶏と錦糸卵、刻みキュウリとスタンダードなものを用意して、茹でた麺をキリリと冷やして盛りつける。冷やし中華がしみじみ美味しいということは、もう春も本番なのだろう。あったかくて気持ちが良いったらない。

そういえば、お店で食べる冷やし中華はトマトが乗ってたり、はたまた缶詰のミカンが乗ってたりする。あれってどうも似合わんのじゃないかと密かに思っている私。(ミカンはやだわ……)

レタスのサラダ
だんな謹製焼き餃子
だんな謹製肉団子スープ
御飯
モルツ、アイスウーロン茶

赤坂「しろたえ」の
 レモンチーズケーキ
紅茶

だんなの作る料理をいつも「だんな特製○○」と記載していた私だが、「謹製の方がいいな」とだんなに言われた。
特製→特別に作られたもの
謹製→心をこめて作られたもの
くらいの意味であるらしいけれど、そうおっしゃるのであるのならばこれからは「だんな特製○○」ではんかうて「だんな謹製○○」と書いてあげることにしよう。というわけで、今日は「だんな謹製焼き餃子」

白菜を茹でてフードプロセッサーにかけ、その水気を思い切り絞ったやつをどっさり入れるのが我が家の餃子となっている。にんにくが入ったりラードが混ぜられたり、味も案外としっかりとついている餃子だ。大体、タネが大量にできることになるので焼き餃子の他に肉団子スープも平行して作られるのが「ならわし」となっていた。たくさん作って冷凍保存しようとかいう予定は最初から無いのが我が家なのであった。作ったら全部食べるのだ、なにしろ。

今日は野菜ももりもり食べたかったのでサラダも用意。手でちぎったレタスに薄切りにしたピーマンと玉葱とにんじんときゅうりもどっさり混ぜる。レタスをバリバリ食べながら、だんなが焼いてくれた餃子をもりもり。こんがり焼けた皮がパリパリとなった餃子は、中身ももっちりと充実していてとても良い感じなのだ。

48個できた餃子は、数個を残して全てが異次元に消えていった。少しばかり残ったやつは肉団子スープの鍋に入れちゃって、明朝水餃子のようになったやつを食べるのだ。んふふー。

食後に「しろたえ」のレモンチーズケーキ。ほろほろのパイ生地にレモン味のチーズ生地、上にたっぷりホイップクリーム。周囲にはくるみを刻んだものがまぶされている。ほんのり酸味のあるチーズ味濃厚なケーキは、他のものと同じでやっぱりどことなく素朴な味。ここのケーキは案外と安い。だんなの実家にお裾分けする分も含めて14個のケーキを買って3000円ちょっと出たくらいだった。いつか2000円ちょっとする、レアチーズケーキのでっかい長方形ホールケーキを買ってみたいものだ〜。