食欲魔人日記 03年07月 第1週
7/1 (火)
ひっさしぶりに作ってみましたお弁当
「味でこい」のうどん(ひやひや)
麦茶

もう、かなり前からだんなに
「お昼、お弁当作って欲しいなぁー、お弁当がいいなぁー。食べ物屋、職場のまわりにいっぱいあるけど毎日考えて食べに行くのめんどくさいし、お金もかかるし」
とリクエストされていた。以前、息子がまだお腹の中にいた頃とか、出産後職場復帰前とか、職場復帰してからも、ちょこちょこちょこーっとお弁当を作っていた時期はある。でも、もうここ2〜3年は弁当を作ることにご無沙汰な気が。久しぶりにまた作ってみるのも悪くない、と今日から弁当作りをすることにした。昨夜、夕食を準備するときに材料を刻んでおき、今朝は30分早く起きてお弁当作成。

プラスチック製のお弁当箱というのは今ひとつ私の好みじゃなくて、木製とか竹製とかステンレス製が好みだけれど蓋はぴったり閉じてくれなきゃ困ってしまうし……と、新しいお弁当箱を買いたいなぁとあれこれ探し回った挙げ句、こんな感じのほのかにアジアな香り漂う角形フードキャリーを買ってみた。弁当箱に限らず、「こんなにイケてない皿に盛りつけるのイヤだわぁ」なんて思いながら料理を作るよりは「これに料理作って盛りつけてみたい!」と思えるような食器を使う方が精神衛生上非常によろしい。
「というわけで、形からはいってみましたー」
と買ったばかりの弁当箱をだんなに披露したところ、なかなか気に入ってくれたようだったので、だんなの弁当箱はこれに決定(気に入らなかったら私が使おうと思ってた……)。

で、今日のお弁当の中身はふりかけご飯・牛肉とピーマンのきんぴら・海苔巻き卵焼き・小松菜のおひたし・かぼちゃと玉ねぎのサラダ・プチトマト。
底面積が少ない分厚みがたっぷりなので、しばらくは盛りつけに努力が必要に思える。初回の弁当としては、まぁこんなもんかなー、と胸を張ったところで目覚まし時計が鳴るいつもの時間になった。

朝御飯は、千趣会「恐るべき讃岐うどん」の冷凍うどん。届いたのはつい数日前だったような気がするのだけど、もうこれで食べきってしまうことになってしまった。買い置きの揚げ玉をぱらぱらぱらーっと散らし、刻み葱もどっぶぁーと散らし、茹でた後水でしっかり揉み洗いしてキンキンに冷やした麺に、冷たいだしをかけて食べる。来月のうどんも楽しみだわぁー。

焼きそばパン
コロッケ
牛乳

本日の私はごろごろ、母も仕事が休みなもので、母娘揃ってごろごろごろ。午前中、私が家で掃除とか洗濯とかしている間に、母は近所のスーパーに買い出しに行ってくれた。「お昼ご飯よー」と買ってきてくれたのは、スーパー併設のパン屋さんのパン各種と、お総菜コーナーのコロッケ数個。
「はーい、コロッケ。あとね、安かったから焼きそばパン♪」
とテーブルに並べられた光景に、「うっわぁー、高校生の昼御飯とかみたい」と苦笑いしてしまいながら、だったら牛乳よねとコップになみなみ牛乳入れて飲み干しながらパンとコロッケを齧る。

「そろそろだんなも職場でお弁当食べてる頃かなー」
なんて言っていたら、そのうちだんなからメールが。
「明日も明後日もお昼に約束が入っちゃって、金曜日には歓送会ランチまで入っちゃって、だから今週はおべんと不要になっちゃった……」
と。ももも、もしや「弁当美味しくないからもういらなーい」という遠回しな表現だろうか?そんなにイマイチだった??と一瞬ショックをうけたところ、数十秒後に2通目のメール。
「あ、もちろん今日のおべんとは非常に旨かったよー。かぼちゃサラダと小松菜のおひたしがなにげにハッピーでした。量も意外と少なくなくて、ちょうど良かったしー」
しっかりフォローはいってる。私の心の流れがそのまま伝わったようなメールが届いたものだから、モニターの前でニヤニヤしてしまう。せっかくだから、体力と気力が続く限りあれこれ作ってみようっと。三色弁当とか、オムライス弁当とか、いなり寿司なんてのもいいな。サンドイッチ弁当も好きだけど、あれは量ががさばる割に腹は膨れなかったりするから……(そして数十分妄想炸裂)。

豚肉の冷しゃぶ ポン酢添え
2日目の角煮
スティックきゅうり・セロリ、トマト
茹でとうもろこし
ご飯
ビール

今日は母と私と息子3人の夕御飯。だんなは飲み会。
だんなのいない夕飯の通例どおり、「手抜きかつ軽めに」がテーマとなり、安売りしていたのを買ってきたしゃぶしゃぶ用の豚肉をサッと茹でてポン酢で食べることに。茹でただけのとうもろこし、刻んだだけのキュウリとセロリとトマトにはマヨネーズ添え。昨日の角煮の残りのうち、1切れを小皿に盛りつけ、野菜の彩りで色だけは華やかな食卓でさっぱり夕食。夏の野菜は、シンプルに火を通しただけとか、刻んだだけで食べて美味しい野菜が多くて、暑さと湿気にバテ気味になるときにとても心地よい。冬は冬で、だしでほっこり炊くのが似合うような野菜がうじゃうじゃ出てくるのだから、良くできているなぁと思う。桃も美味しくてシアワセだし。

7/2 (水)
すみた(十条)にて「かしわざる」〜♪♪♪
アップルデニッシュ
トースト
カフェオレ

今日は午後からお出かけ。今日も仕事が休みだという母と息子と3人で、だらだらだら〜っとパンをつまむ遅めの朝食を摂った。だんなは朝用事があるそうで、ぎりぎりまで寝てから食事も摂らずにすっとんで行ってしまい。

私とだんなは食べ物の好みが相当似ているのだけど、私と母は血縁だというのにさっぱり食べ物の好みが合わない。
今日も
「うどんなんて、どこで食べても同じじゃな〜い」
という母に讃岐うどんの美味しさをとうとうと語り、更には
「我が家の近所のパン屋さんだったらあそこが美味しい」「いや、あそこは不味い、ここが美味しい」
と激しく口論。我が家の近所には、「マロンド」(千葉近辺に多くあるチェーンパン屋)と「サンジェルマン」(これまたチェーン)」、そして「焼きたて工房」(スーパー、マルエツの中で展開しているやっぱりチェーン)があるのだけど、私はサンジェルマンが一番美味しいと思っている。コーンパンなんか、けっこういけるし。母に言わせると、"マロンド・焼きたて工房・サンジェルマン"の順らしいのだけど、私に言わせるとその順位は全く逆で"サンジェルマン・焼きたて工房・マロンド"となっちゃうのだった。

にんにく嫌いで、匂いの強い食材(香菜とかハーブとか)嫌いな我が母。かつて私がすさまじい偏食家だった頃、母からは「好き嫌いなくしなさいよー」と言われていたものだけど、今はきっぱりはっきり私の方が苦手なものが少ないものだから、母に「ちゃんと食べなよー」とあれこれ言っていたりする。

東京 丸ビル内「Cafeteria L'OASIS」にて
 シーザーサラダ \450
 ポムソテー、 ローズマリー風味 \230
 チキンサンド \320
 ロアジス風マンゴープリン \350
 アイスカフェラテ \320
 アイスティー \300
……を、息子と2人で。

で、午後にお出かけ。今日は午後7時から宴会に行くことになっていたので、ふらりと午後2時頃に家を出て気になるスポット「丸ビル」をぷらぷらしてみることにした。未だ保育園が決まらない(ていうか最短で8月だということだし……)息子も一緒。たまにーは動物園とか博物館とか連れて行こうと思いつつ、今のところはついついマンゴプリンハントにデパ地下を右往左往してしまう。ごめんよ息子、今日も母は激しくデパ地下をブラウン運動だ。

昼御飯を摂らずに家を出てきたものだから、東京駅に着くころには空腹きわまりない状態になってしまい、「でも丸ビル行ったら何かあるよね」ととりあえず丸ビルを目指したのだけど、ほとんどのお店が夜営業の準備のために昼営業を終えて閉店状態。あまり高価なお店でがっちょり食べる気もないし(数時間後には美味しいうどんだし!)と、ふらふらしているところで「Cafeteria L'OASIS」という営業中のお店の前を通りかかった。後で知ったことだけど、恵比寿にあるフレンチレストラン「カーエム」がやっている、カフェテリアであるらしい。同名のお店が地下のお総菜コーナーにもあって、あれこれテイクアウトできるようになっている。

5階にあるこの店も、基本は持ち帰る用になっていたのだけど、店内にもスツールがいくつか並んでいてそこで食べられるようになっている。最初は素通りしたのだけど、メニューに「マンゴプリン」の文字を見つけてしまい、ならば、と入店。息子も脇で「おなかね、ぺこぺこになっちゃったんだよー」と小さく呟いていたので、チキンサンドとサラダとポテトと……とあれこれ取ってみた。全部で2000円くらい。

フランスパンのような、ごわっとした食感のパンに挟まる鶏肉とトマトとレタス。それはごくごく普通の味で、チーズとクルトンが散るサラダも、ごくごくごくごくフツーの味。"ポムソテー"と洒落た名前がついているじゃがいも料理は、じゃがいもを炒めるかして火を通してローズマリーの風味をつけただけのような感じで、「なんだこりゃ」という味気ないものだった。全体的に、なんとなく今ひとつ。素材を選び、作りたてをいただくのならあるいは美味しいのかもしれないけれど、作り置きの料理として供するには、今ひとつ工夫も面白みも足りないような気がした。後で知ったのだけど、この店、「丸ビル内唯一並ばない店」とか言われちゃったりしているらしい。……た、確かにそうかも……。

「あっちの、ハンバーガー屋さんに行けば良かったかなぁ……」
と向かいにあるハンバーガー屋を眺めながら、デザートのマンゴプリン。こちらは素朴な味で、マンゴー果肉も入っているふわふわの生地がなかなかの美味しさだった。このあとビル内のお総菜コーナーをぷらぷらしてマンゴプリン2つ購入。更に大丸で2つ購入。こうして今日も荷物がマンゴプリンで埋まっていく……(どーするの、私……)。

十条 「すみた」にて
 おでん盛り合わせとか、
 かきあげとか
 半熟卵の天ぷらとか、
 かしわざるとか、
 いか天ざるとか、
 Kさん製のおうどんとか、
 ビールとかアイス烏龍茶とか
 その他色々色々……。

今日はオフ会。最近は「新しい人と出会うのもねぇ……何だか疲れちゃって」と隠居人のような事を呟きつつオフ会なるものに足を向けなくなってしまったのだけど、Kさんのお誘いとあれば、別。元々はWeb日記書き仲間ということで知り合った、当時は"うどん好きのおっちゃん"という感覚でしかなかったのだけど、All About Japanのうどんガイドになってしまってからは、何だか大変なことになってしまっている。アメリカにいる間、日本で発売されている雑誌も気になるものだから時々チェックしては
「あー、○○って雑誌の今月号、讃岐うどん特集やってるみたいだから買っておいてー」
などと日本の義妹などに頼んでいたりしていたのだけど、帰国してその雑誌群を読みすすめていくと、そのおっちゃん写真入りでぱんぱん出てるし、日記もこれまで以上にうどんまみれだし、何だか「関東の田尾団長(←讃岐うどんのチョーエライ人)」と化しつつあるような気が……。

で、そういう人が声をかけて集まるような人々は、当然うどんその他深い分野にまみれているような人々なのだった。「うどんも好きだけどラーメンも好きなんです」「あ、私はカレーが……」とその多くは食べ物の深い世界にはまりこんでいる方々だ。
ちょうど1年ほど前に、Kさんには行ってらっしゃいオフを今回と同じ店、すみたで開いてもらったのだけど、今度は「おかえりなさいオフ」ということだ。前回お会いできた人も、今回初めてお会いする人も、全部で15人ほどが集まってうどん屋貸切でわいわいと食べて飲んで騒ぎまくった。

最初はおつまみ。おでんの盛り合わせを頼み、これでもかと巨大なかき揚げを頼み、半熟卵の天ぷらは1人1つずつ頼んじゃったりしながらビール飲んだり日本酒飲んだり。天ぷら屋さんでは出てこないような、でっかいでっかいサクサクのかき揚げも、箸で押し切ると中からとろんと黄身がこぼれてくる卵の天ぷらも、しみじみと美味しい。そのまま食べても美味しいけど、「あー、これをな、冷たいぶっかけの上に乗せて、一緒にうどんをこう、つるつると……」なんて想像すると、またそれだけでご飯3杯はいけちゃう勢いだ。ゲソ天も、かしわ天も、全部ひっくるめてうどんのためにあるような天ぷらだ。

狭い狭いお店で、カウンター5〜6席の他は4人がけテーブルが2つしかない。入口側の4人席に座った私とだんな、息子の向かいにはAll About Japanのディレクターさんと、「テレビチャンピオンラーメン大会で準優勝した」というカレーマニアなお兄ちゃん(ラーメンとカレーと、どっちや!みたいな)がいらしてて、食べ物話からいつのまにかゲーム話に発展し、その横のカウンターには『さぬきうどん偏愛(マニアックス)』の著者の方々(Kさんも著者の一人)。3ヶ月に1度はうどん喰いに東京から香川に行っちゃう人とか、1日にカレー5杯食べ歩いて平気な人とか、何だかわやくちゃにディープな空間だった。
友人や知人に
「いやー、デパ地下でマンゴプリン5個見つけちゃって〜。その日のうちに一気食い」
とかいう話をすると、大抵いつもは「うえぇぇぇ」と言われちゃうのだけど、こういう"場"に来ると、
「あー、わかりますわかります。やっちゃいますよね」
「もう、持って歩くのイヤになっちゃってその場で食べられるところ探して座り込んで食べちゃったり」
と、賛同者続出なのが、心地よいというか「いいのかそれで」というか。

深い、深いわ〜、とぐにゃぐにゃになりつつあるところで、本日のメインディッシュ「うどん」を各種、いただいた。私は前回と同じく「かしわざる」。鶏の天ぷらがごろごろごろっとざるうどんに添えられた、冷たいうどん。ツヤツヤ光るピシッとコシの強いうどんに、きりっと冷えただしは、相変わらず絶品中の絶品だった。香川に行くと、自分の腰が砕けそうなうどんをあちこちで食べることができるけれど、東京でその味を、と思うとなかなかない。このところ東京も空前絶後の讃岐うどんブームがやってきてしまっていてあちらこちらでセルフうどんの店や讃岐うどん専門店なるものができつつあるけれど、それでも「やっぱりね、すみたなんだよ」「そうそう、すみたなんだよー」とうどん喰いの心を惹きつけてやまないお店が、この小さな小さなうどん屋さんなのだった。

長い長い麺は、だしの猪口からずぞぞぞぞーっとツルツル腹の底に落ちていって、舌というか上顎というか喉というか食道というか、全体的に心地よさが漂ってくる。釜あげは釜あげで、柔らかなのにしっかり押し返してくる弾力があるし、冷たいのは冷たいのできっぱりどっしりした"固い"というのとは違う強さがあったり。
「そうそう、讃岐うどんだよー」
「モチモチだよー」
「うまいよー」
と涙出そうになりながら、宴会後半はひたすらうどんをちゅるちゅる。かしわざるをぺろりと食べ、だんなの注文したぶっかけも分けてもらい、追加注文したイカ天ざるもきっちり食べた。更に、Kさんが打ったうどんも「ご試食〜」と皆でつるつる。農林なんちゃら号なる、くすんだ色のうどん粉を使って打ったのだというそのうどんは、蕎麦のようなちょっとくすんだ色だった。つるりと第一印象が柔らかいうどんなのだけど、「くにゅっ」というか「ほにゃっ」というかな独特な押し戻しがある、ちょっと面白いうどん。「おもしろいおもしろい」「おいしいねー」と、1つのざるに何本も皆で箸を伸ばしながらつるつる食べた。

ああ、ディープな夜であったー。帰宅は12時間近でもうぐにゃぐにゃ。

7/3 (木)
サバの塩焼きイタリア風 (夕御飯)
「ポールボキューズ」のオニオンパン・クリームパン
アイスカフェオレ

宴会の一夜でへばってへばって帰宅した昨夜。
「みんな、今日もお仕事なんだよね……えらいえらいえらい……真似できない……」
と、私はぐでぐでとホームページの更新作業などしてみたり。

遅い朝御飯は昼御飯と兼用で、昨日買ってきておいた菓子パン2つ。東京駅の大丸デパート地下をぷらぷらしていたところ、「ポールボキューズ」なる名前のパン屋さんがあって、店頭でしばらく
「……ポールボキューズって、フランス料理のすごい人じゃなかったっけ……?」
と息子と一緒にその場足踏みを5秒くらいして考えた後、買ってきてみた。このパン屋さんで買うのは初めてだ。後で知ったところによると、大丸デパート内で展開しているオリジナルブランドだということだった。コテコテのフランス人な店名でありながら、棚に並ぶのはクリームパンとかチョココロネとか、心中ツッコミを入れたくなる品が多い。それでも美味しそうかも、とクリームパンとか、チーズと玉ねぎを詰めたオニオンパンなどを買ってきた。

火を多めに通して作ったような、ねっとりしたカスタードクリームが詰まったクリームパンはなかなかの味。オニオンパンは、ちょっとばかり「なんかこう、味がちと物足りないような……」という印象があったけれど、もちもちとした食感のパンは悪くないものだった。それにしても、ポールボキューズさんはチョココロネとか作ったりするのかしらん……多分作らないんじゃないかな、と……。

茹で枝豆
サバの塩焼き イタリア風
きのこのソテー
豚肉の角煮
かぼちゃのスープ
羽釜御飯
ビール・麦茶

ここ数日、肉ものが続いていたような気がするので、今日はお魚な気分。昼過ぎに買い物に出かけたスーパーで、サバが安売りしていた。半身におろしたやつ1尾分買って300円くらい。でも、味噌煮込みにしてとか、塩焼きにして葱のたれでも添えて……という和風の食べ方はちとつまらないように思って、トマトソースをかけて食べるちょっと洋風なものにしてみることに。きのこ類も安売りしていたので、添え物にとざくざく買ってきた。買い物中は毎回、息子の「食材名前記憶大会」と化す。

「これは、なぁに?」
「きのこだよ。これはね、エリンギ、といいます」
「えりんぎ?えりんぎの、きのこ?」
「"エリンギのきのこ"とは言わないなぁ……"きのこのエリンギ"ならおかしくないけど。……あ、そっち、舞茸」
「まいたけ?えりんぎの、きのこの、まいたけ?」
「いや、舞茸はエリンギじゃないから。どっちもきのこだけど」
子供に「食べ物って集合の中にきのこって集合があってー、そのきのこという集合の中にエリンギとか舞茸とかえのきがあってー」ということを説明するのはなかなか難しい。

「いや、"きのこ"っていう、仲間なのね。なかま」で片づけようとしたら、
「アイスと、ヨーグルトものも、なかま?」
と、冷蔵コーナーで、こちらはもう忘れていた続きの話を繰り出された。
「え"?アイスとヨーグルト?……うーん……違う気がする……なぁ……」
詰まっていたら、
「でもね、どっちもぼくは好きなんだよ?だからー、なかまー」
と勝手に結論を出されてしまった。"好きだから仲間"となると、私の中では讃岐うどんとマンゴプリンは仲間ということになってしまう。納豆とカルピスアイスも仲間だ。それにパイの実とか加わっちゃって、「納豆とカルピスアイスとパイの実は仲間」とかいうことになっちゃったら、全くわけわからないじゃないか。それはちょっと困る。困るんだよ、息子ー。

で、夕御飯。サバはざくざくっと切って塩胡椒してスキレットでこんがり焼き付けた。湯むきしたトマトを刻んで、ピーマンと玉ねぎの角切りと合わせてちょっと強めに塩効かせてオリーブ油とレモン汁でマリネ。焼いたサバの上にぶわっとかけて食べた。ほんのり洋風な夕飯ということで、きのこはオリーブ油で炒めた後、軽く日本酒(白ワインが良いのになぁと思いつつ、料理用のがなかったことに直前になって気がついた)をふってアルコールを飛ばした後、醤油をちらりと垂らす。かぼちゃはコンソメと煮て牛乳たっぷり入れてスープに。あとはビールのつまみにと枝豆を茹で、数日前に作った残りの角煮数切れを温める。短い時間で適当に作った割には、けっこう充実した食卓になった。適当にやってみたイタリアチックなサバ料理も、なかなかの味。サバはすごく美味しい魚だと思うのだけど、「これ!」というきわめつけの調理法がなくて、いつも密かに「サバ、すまん」と思っている。どこかで食べた、生のサバのお寿司はすっごく美味しかったなぁと思いつつ、そんなもん家で作るわけにはいかないわけでして。

7/4 (金)
卵とベーコンの手抜きピザ (夕御飯)
「551蓬莱」の豚まん・焼売
アイスティー

あと残りわずかな551蓬莱の豚まん及び焼売。
「これ……ですかね」
「これ、ですな」
と、今日も朝から蒸籠から湯気をしゅーしゅー言わす。このお店に限らず、美味しい肉まんのお店というのはあちらこちらに存在していると思うのだけど、私たちにとってはこの店のそれはとりわけ中毒性があるようなのだった。私もだんなも、数ヶ月毎に「あー、あの豚まんの味がなー、懐かしいんだよなー」とのたうちまわってしまい、がばっと通販で購入する事がここ数年続いている。

お供にはアイスティー。暑い季節には「水出しアイスティー」(こんなの)を作るのが習慣で、アールグレイにしてみたり、ダージリンや中国茶にしてみたり、フレーバーティーもちょこちょこ使ってみたりと毎回あれこれ色々なお茶をその日の気分で適当に作ってみている。作ると大抵1〜2日で飲み干すので、また夜のうちに茶葉を水に浸して常温で放置プレイ。今回作ってみたのは、L'EPICIERで売られている"ペニンシュラ"という名のブレンドティー。なんでも中国の半発酵茶に焙じ茶をブレンドしたものなのだそうで、ほのかに柑橘系の香りが漂ってアイスで飲むとスキッとしていて良い感じ。調子に乗ってあれこれ色々なお茶をアイスにしてみているのだけど、
「ラプサンスーションは……やっぱり止めたほうが良かったみたい……」
「香りの強いフレーバーティーも……なんか香料飲んでる気分になっちゃうし……」
などとあれこれ地味な失敗を繰り返している今日この頃。ペニンシュラはやはり美味しい。ぐびぐびぐー。

卵どんぶり
サバの塩焼き イタリア風(昨夜の残り)
麦茶

今日は全体的にやる気のない一日……というか、ここ数日間。
日本を離れていた間、気になるゲームソフトはちょこちょこ通販して日本の家に届けておいてもらっていたのだけど、ここ数日は「Final Fantasy X-2」を暇さえあればやっている私。1年近くテレビゲームから離れていたので、その反動からかコントローラーが手から剥がれてくれない。とりあえず一度クリアするまでがんばろうかと……。

そういう次第で、息子と2人の昼御飯も、母と息子と3人の夕御飯(だんなは飲み会〜)もはっきりくっきりと手抜き。
「おかーさん、ぼくはね、卵のごはんが、食べたいなんだよー」
と息子にリクエストいただいて、昼御飯は卵御飯。ただの卵御飯じゃあまりに芸がなさすぎるので、軽く火を通した"卵どんぶり"にした。

酒と味醂と砂糖をぽいぽいぽいと小さじ2ずつ丼鍋に入れ、大さじ1の醤油と大さじ2のだし(顆粒だしと水で代用)も加えて強めの中火。2個分の溶き卵を流し入れ、蓋をしないで30秒。そこでざっと箸で混ぜたら蓋をして20秒。ほどよく半熟に火が通った卵を御飯の上にぶっかけて、三つ葉でも添えればできあがり。数年前に小林カツ代さんの本で見かけた料理だった。2分ほどの手間で、生卵を使った卵御飯とはまた違った美味しさが味わえるので、私はこれが大好物。1人2個の卵を贅沢に使うのがまた美味しいのだけど、今日は息子と2人で半分こだ。昨夜の残りのサバの塩焼きも冷蔵庫から取り出し、南蛮漬けのように味がしみたそれを、トマトや玉ねぎの冷たいソースと一緒につついて食べる。平和だなぁ。

卵とベーコンの手抜きピザ
茹で枝豆
ビール

やる気のない今日の食事、第2段。
だんなは飲み会だと言っていたので、私は朝から
「いいないいな飲み会いいな。ビヤガーデン〜枝豆〜。唐揚げとかモロキュウとか、ほっけとか……」
と、「私も飲み会行きたい」欲望に駆られまくっていた。夕御飯の準備もせず、仕事から帰ってきた我が母に
「そういうわけで、ビヤガーデン行きたいんですがー」
訴えてみたのだけど、「いやーよ、私、疲れてるもん」と一言の元に却下。とほほほほー、と食事に支度に取りかかった。

御飯を炊こうか、いやスパゲティはどうかな……としばし考え、自家製のピザ生地が冷凍庫に残っていたのを思い出した。これならオーブンに放り込めば、すぐに焼くことができるしね……と生地の下焼きの準備を始めると共にゆで卵を作り、野菜やベーコンを刻みだす。今日のテーマはとにかく「手抜き」というか「やる気無し」だったので、ピザソースも市販品、チーズもピザ用チーズをぶわぁっと乗せるだけ。具は玉ねぎとピーマンとベーコン、ゆで卵という、「それじゃまるでピザトースト……」みたいな内容になったけど、息子が横で
「ピザだー!チーズだぁ!」
と喜んでくれたので気にしないことにする。どうも息子、アメリカの食べ物ではピザとマカロニ&チーズが二大お気に入りになったらしい。「ピザ」という単語にキラキラとした眼を向けてくるようになった。ぴよーんと伸びるチーズを前にして、
「おいしいねぇ!ほらほら、ぴよょーんって」
チーズぴよんぴよんさせてピザを齧っている。まだまだ"私ん家オーブン"でのピザ焼きは精進努力が欠かせないみたいだけど、自分ちで作って食べるピザはやっぱり美味しい。

7/5 (土)
船橋ららぽーと内「麻布茶房」で、クリームスィートポテトを食べる
稲毛 「中むら」にて
 冷やしたぬきそば

「今日……どっか行くぅ〜?」
「……暑いね……」
「たるいね……」
と、いきなりやる気のない週末の朝。昨夜飲み会だっただんなは日付が変わる前に帰ってきたものの、随分たらふく呑んできたようでぺろんぺろんに酔っぱらっていた。だから今朝も高いびき。8時過ぎに目を覚ましてしまった私は一人ネットサーフィンしたりテレビゲームしたりして静かにこそこそ活動していた。

どよ〜んとした顔で起きてきた我が夫と話し合い、
「行ったことないし、船橋のららぽーとでも行ってみる?僕、安いスーツ屋さんで夏スーツが欲しいんだよなぁ……」
というだんなのリクエストに応じてららぽーと行きが決定。何でもすごくどでかいショッピングモールらしい。

「朝御飯……ていうか、もう昼御飯だけど、冷たい蕎麦でも食べに行こうか?」
「食べてから向かうってことで」
と、向かったのは近所にあるお蕎麦屋さん「中むら」。50年くらい前から時が止まってるんじゃないかと思われるような古めかしい内装の、昔っからこういう感じだったんだろうなぁ……と思わせられる小さなお蕎麦屋さんだ。特段蕎麦もうどんも変わった味ではなく、ごくごく普通。蕎麦屋なのにカツカレーとか鰻重とかあったりするのも「よくあるよくある」という感じ。このお店、冷やしたぬき蕎麦が妙に美味しい。具だくさんで、ちょっとシアワセなたぬき蕎麦なのだった。

私もだんなも冷やしたぬきそば。私は普通盛り、だんなは大盛り。息子は息子の要望によりざるうどん。
やってきた冷やしたぬきそばは、だんな曰く「もうね、10年ぐらい、ず〜〜〜〜〜っとこの味。変わってない」というものだ。なんでも学生時代、この店の近所の塾でバイトしていた時期があったそうで、その頃にせっせとこの店のこの蕎麦を食べていたのだとか。
やや平らめな深皿に麺が盛られ、濃いめな味のだしが張られ、麺が見えないほどたっぷりと上に乗るのは揚げ玉とワカメと細切りきゅうり、そして細切りナルト。一番上には厚切りのかぼちゃの天ぷらが。ワカメもきゅうりもナルトもかぼちゃの天ぷらも、10年以上前からこのままなのだとか。歴史ある冷やしたぬきそばだ。

麺はとびっきり旨い!というほどのものでもないし、だしも「ちょっと美味しいかな?」程度のごく普通の味。でも、きゅうりやナルトの存在がさりげなく嬉しいし、揚げたてのアツアツかぼちゃはしみじみ美味しい。割烹着を着たおばちゃんがちょこちょこ動く店内を久しぶりに眺めながら蕎麦を啜り、
「あー……なんちゅーか、"渡る世間は鬼ばかり"に出てきそうな空間、というか……」
と、テーマパークにでも来た気分になりながら最後のそば湯を楽しんだのだった。今時こういう店って、ありそうでなかなかないもので。

船橋ららぽーと内フードコートにて
 「麻布茶房」のクリームスィートポテト(宇治金時味)半分
 「地雷也」の天むす3個
 「SARIO 聘珍茶寮」の牛バラ飯 数口
 アイス烏龍茶

南船橋駅から無料シャトルに乗ってららぽーとへ。噂以上に大きな施設で、専門店も飲食店もかなりの数うじゃうじゃと詰まっている。バーゲンシーズンの週末ということもあってか、どこもかなりな混雑だ。だんな目的のスーツもセール品を購入でき、駄菓子屋で「ミルメーク詰め合わせ」なんてものも買ってみた。学校給食でよく出てきたというミルメーク、私は一度も給食でそれにお目にかかったことはなかった。「牛乳に溶かして飲むのよー、なかなか溶け切らなくて、箸突っ込んでかき混ぜてみたりして」という話を聞くたびに「いいないいな」と身悶えし、5〜6年前に通信販売で買い込んでしまったことがある。最近は100円ショップでも見かけるし、スーパーで普通に売らているのも見るようになった。

やっぱり溶けにくかったり、ビミョ〜にジャンクな味だったりもするのだけど、その味は"銭湯で入浴後に飲む瓶入りコーヒー牛乳"的な幸福感があって、駄菓子屋で色々な味のが詰まった袋を見つけて、小躍りして買ってきてしまった。詰まっていたのはバナナ・ピーチ・コーヒー・ココア・メロン・いちご。バナナとピーチとメロン味を見たのは初めてだ。どんな味がするのか、ちょっと楽しみ。

服買って、駄菓子を買って、紅茶葉なども買ったりして、疲れたところでフードコートで休憩。レストランも多くあるけれど、ショッピングモール内にはきっちりファーストフード店が並ぶフードコートもあったので、そこで軽くひとやすみ。ちょっと変わったお店が並ぶフードコートで、私は「地雷也」の天むすを5個と、「麻布茶房」のクリームスィートポテトを買って席につく。だんなは「SARIO 聘珍茶寮」で牛バラ飯を。適当に分け合って食べればいいや、と思いつつ買ったものをテーブルに並べたところ、すっかり空腹になっていたらしい息子にむさぼり喰われた。私が少なくとも2個食べるつもりで買ってきた天むすはだんなと息子に2個ずつ喰われ、お気に入りの"クリームスィートポテト"は7割ほどが息子の腹の中に。しょうがないので天むすを3個追加購入して、息子に1個あげつつ私が2ついただいた。息子よ息子、天むす3個にクリームスィートポテト7割というのはけっこう食べすぎではなかろうか。いや、天むすをだんなにあげた代わりに私は牛バラ飯もちゃんといただいたけれど。

"クリームスィートポテト"とは、温かいスィートポテトの上にソフトクリームを積んだもの。この店のソフトクリームはカスタードや小倉、杏といったソースをかけてもらえるのだけど、これに添えてもらったのは宇治金時。粒あんがスィートポテトの脇に盛られ、ソフトクリームの上からは抹茶のソースがかけられる。高校時代に品川の駅前ビルに入っていたこのお店に時々寄ってこれを食べるのが1つの楽しみだったのだけど、もう15年以上もこの味が続いているのはちょっと驚きだ。他にあまり支店も見かけなかったお店だけど、気が付くとあちらこちらに出没している。

「ららぽーとでお買い物した方先着100名にプレゼント」と案内されていて貰ってしまったハイビスカスの鉢植えまで抱えながら、大荷物で帰還。ららぽーとも船橋西武・船橋東武も歩いてきたのだけど、私の目当てのマンゴプリンは1個も見つからず……。

自治会の夏祭りにて
 焼きそば
 ビール

そういえば、今日は自治会の夏祭りだったのである。
買い物を終えて帰宅すると、ちょうど宴会が始まったところだった。駐車場の片隅に置かれたバーベキューセットで肉を焼き、焼きそばを作り、子供用のくじ引きコーナーやヨーヨー釣りコーナーが作られている。少しだけ顔を出してきた。ビールと焼きそばをいただき、ちょこちょこっといただいておしゃべりしてから帰宅。
夕飯の準備をすることがなくなってそれはそれで良かったかな、という土曜日の夜だった。

7/6 (日)
山梨からやってきた葡萄。すっごい大粒!
日清 GooTa 七枚入叉焼麺

「そういえばさ、日本発つ前からうちにあったインスタントラーメンがそのままここにあってさ……」
と食料庫を漁る我が夫、日曜日の朝。少なく見積もっても1年前からここにあるラーメンということになる。実際は「非常食だしね」と数ヶ月ごろごろと置かれている事が多い類のものだからして、いつ買ったものか確認するのもちょっと怖い。

「というわけで、僕はヤバめな"ぶぶか"を食べます!」
とだんなに宣言されたので、じゃあ私はと1週間ほど前にコンビニで買ってきたGooTaなるラーメンを食べてみることに。これまた"ぶぶか"と同じくだんなが選択し買ってきたラーメンだ。「外で食べるラーメンも好きなのよ?でもね、インスタントラーメンはインスタントラーメンで好きなんだなぁ、これが」などと言いつつ、だんなはちょこちょこ怪しい新商品を買ってくる。先日買ってきたそのGooTaなるものは、「具多」と書くそうで、一月ごとに新しい具や味のバージョンが発売されているらしい。買ってきたのは七枚入り叉焼麺なるもので、他にも麻婆麺だの雲呑麺だの豚キムチ麺だのがあるそうだ。インスタントラーメンで麻婆麺というのは、ちょっとすごい。さすが日清というかなんというか。

具沢山が売りのラーメンだからして、そのたっぷりな具はレトルトパックになっている。湯に突っ込んで温めて、液体スープを投入してかき混ぜた麺の上からそれをかける。豚バラ肉のチャーシューは確かに7枚ほど。レトルトカレーに入っている肉のような、缶詰の牛大和煮のような、ちょっとばかり"肉だかなんだか"的な独特のグニャグニャ感があったりするけど、それでも確かにそれは肉だった。あと、メンマと葱。ギトギトこってり味の醤油スープがけっこう好み。もとより"ラ王"出始めの頃から、日清の出すこうしたインスタントラーメンはけっこう好みだったりして、
「……あ、けっこういけるかも」
「今出てるのは雲呑麺だってよ」
なんて盛り上がってしまうのだった。"ぶぶか"もヤバくなってはいなくて一安心。

近所のスーパーの海老フライ巻き
うなぎパイ
麦茶

今日はカレーだ、カレーをしようということで昼頃から仕込みを始めた私。冷蔵庫のチルドコーナーにはちょうど1週間前に買った豚バラの塊が突っ込まれているままだったので、これをそろそろ食べなきゃいけなかった。
「ホイコーロ?」
「ウンパイロー?」
「……いや、カレーかな」
「んだな、カレーだな」
「カレー!ぼくも、カレーすきだなー!」
満場一致でカレーライス決定。材料を刻みはじめたところで玉ねぎが足りない事に気がつき
「とりあえず煮込みの段階は今ある1個半の玉ねぎで大丈夫だけど、後から2個くらい追加投入したいよねぇ……」
と呟いたところ、だんなが近所のスーパーに飛んでってくれた。

豚バラ肉には塩胡椒をしっかりすりこみ、ついでにカレー粉もまぶしてみたりする。ダッチオーブンにサラダ油をちょっとたっぷりめ、大さじ3くらい投入して今日はにんにく3かけ放り込み、その中で肉を全面こんがり炒めていく。ざくざく大ぶりに切ったにんじんと、同じくざくざく切った"煮込み用玉ねぎ"を放り込んでせっせと炒めたら、あとは水を入れてアクを取りつつ蓋をしてじくじくと数時間煮込んでいく。あとは、ルーを投入する20分ほど前に"追加玉ねぎ"とじゃがいもを入れ、それに火が通ったらルーを溶かし、完成。ビーフカレーなどにするときは最後にバター1かけ落としたりするけど、今日は豚バラぎとぎとカレーになったのでバターは抜き。夕御飯どきにはいかにも美味しそうなトロトロカレーになった。

……なんてことをやっていて、昼御飯のことはすっかり忘却の彼方で夕飯のカレーにばかり思いを馳せていた私。買い物に行っただんなは頼んでいた玉ねぎと共に、総菜コーナーの"海老フライ巻き"なる怪しいパックを買ってきてくれた。
「いやー、なんかさ、おなかすいたなーと思って、なんとなくなー」
と差し出されたそれは、海老フライを海苔巻きにして一口サイズにぶった切り、マヨネーズ味のタレを上ににょろにょろ細く絞ったもの。いかにもジャンクな外見だけど、そこそこいける。コンビニとかで売られている"とんかつ巻き"とか、"ビビンバおにぎり"とかいう類の怪しげな味だけど、それはそれで。

そして食後に静岡名物"うなぎパイ"。先日1日静岡出張に行っただんなが「静岡だったらうなぎパイでしょー」と、お土産に買ってきてくれた。「名物に旨いものなし」と言われるけれど、うなぎパイは仙台の「萩の月」と並ぶ私の好物名物だ。あ、でも、ういろうも好きだし、八つ橋も良いし、もみじ饅頭も……(結局好きなものが大量にあるらしい)。20cmくらいの長いパイはけっこう固めな歯ごたえ。砂糖が軽くまぶしてあって、別に鰻の味がするというわけじゃない。「夜のおかし」なんて箱に書いてあったけど、息子も含めて家族皆で昼間っからばりばーりと食べる。

豚バラ肉のカレー 茹で卵のスライス添え
酢油キャベツ
ビール・アイス烏龍茶
葡萄(ピオーネ)

夕方、それはそれは美味しそうに煮上がったカレー。御飯を炊く傍ら、卵を茹でて酢油キャベツを作る。"酢油キャベツ"とは、日本橋の洋食屋さん「たいめいけん」の名物の1つだ。千切りキャベツと薄切り玉ねぎ、千切りにんじんを合わせて塩をふって軽く揉み、その後サラダ油と酢を混ぜ合わせる。塩で更に味を調え、隠し味に砂糖を少々。要するにコールスローなのだけど、酸味を控えめにして作る塩と油でしんなりしたキャベツはシンプルな味でなかなか美味しい。カレーライスにも良く似合う。

煮込みすぎたのかモロッモロに崩れそうになってしまった豚バラ肉がざくざく入るこってりカレーにスライスゆで卵を乗せて私は軽くお代わりして2杯、だんなは普通に2杯、息子と母は1杯ずつ。今日もよく食べた。

そしてそして、今日最後に食べたものは山梨から届いた葡萄!
奇特な方がいたもので、先日
「いつもせりあさんの日記、読んでます!突然ですが実家が葡萄農園でして、ぜひ葡萄をお送りしたいのですが」
なんてメールをある方からいただいてしまった。私は日記をつけているだけなのに、葡萄貰っちゃってよろしいんでしょうか。
「……良いんじゃないですか?」
「ほら、息子が葡萄好きだ葡萄好きだ書くものだから……」
「じゃあ、"うちの息子はキャビアが大好きで大好きで"と書いたら……」
「キャビア来ない。ていうかそれはイヤなガキ確定だし。嫌われるし」
夫婦間漫才をした挙げ句、ありがたーく頂戴することにしてしまった。

そして今日の朝に届いたのは、ハウス栽培の"ピオーネ"という品種の葡萄。巨峰にマスカットを交配した、大粒だけど種なしの葡萄だそうだ。箱を開けると葡萄の葉が2枚飾りのように置かれていて、その下には薄紙にくるまれた大きな房の葡萄が数個。房の切り口には鮮度保持のためにと砂糖水の小さな容器がつけられていたりして、
「うっわー、千疋屋さんとかで買ってきたような果物みたいじゃないですか!」
「……千疋屋さんとかで果物買ってきたこと、あったっけ?」
「ないけど!想像で!マスクメロンに張れるような果物だなぁって感じで!」
濃い紫の葡萄の粒はどれもツヤツヤでむちむちしてて、ピッカピカ。冷やしておいて、いざいざと夕飯後にいただいた。

甘くて瑞々しい葡萄は果汁たっぷり。1粒が大きめなビー玉くらいの大きさがあって、種がないから大粒のそれをそのままシャクシャクを食べられる。そういえば魚や肉やお菓子なんかはお取り寄せ〜なんてやっちゃうけど、果物ってあんまりやったことなかったね、なんてことに気付きながら、上品な味の葡萄をもりもり食べた。何より、以前から「ぶどう、好きなー(←好きだなー、の意)」と言っていた息子が後半になって皿を抱え込み、独占状態でひたすら葡萄にむしゃぶりついている。手も口も服も紫色に染めながら、
「ぶどうね、好きよー。すいかよりもね、好きよ。いちごよりもね、好きよ」
と、好きよ好きよと目の前の葡萄にラブコールを送りながらむさぼり食べている。葡萄はむさぼり喰うものではないと思うのだけど、相当ツボにはまったらしかった。

たっぷり届いた葡萄、せっかくなので「ぶどう菓子」にチャレンジしてもみようかと一瞬思ったのだけど、立派な葡萄すぎて加工なんてとてもとてももったいない状態に……。