食欲魔人日記 02年08月 第4週
8/19 (月)
Cafe Du Monde(New Orleans)にて名物揚げドーナツ「ベニエ」 (朝御飯)
この日の詳細は、旅行記にもより詳しくございます
New Orleans 「Cafe Du Monde」にて
 Beignets (order of 3 French doughnuts) $1.25
 Coffee (cafe au lait) Lg $1.85

色々観光したいと思うことはあれど、レジャー施設の入場料だのがこの国はけっこう高いと思う。。生活必需品の価格はおしなべて低いけど、遊ぼうとする人からはどんどん搾取するようになっていて、「湿地帯エアーボートツアー」なんかは1時間ほどのツアーで$35くらいかかったりする。
で、ツーリストセンターで貰ってきたクーポン券を眺め倒す。
「おおっ、これならミシシッピ川遊覧船が2人で1人分の金額になるよー」
「おおっ、水族館は$5オフだ」
「おおっ、この店にこのチケット持っていくとワンドリンク無料だー」
などと、目当ての施設や飲食店の名前をクーポンブックで探しまくる。今日はそれで、水族館と遊覧船に乗ることにした。

朝御飯は、「ニューオリンズと言ったらこれ!」と世界的に有名らしい「Cafe Du Monde」の揚げドーナツ「Beignets(ベニエ)」。ホテルからは徒歩5分くらいなので、朝起きるなりぽてぽてと出かけていく。

屋内席もあるけど、ほとんどがオープンシートになっているカフェは、カフェという言葉の響きより雑多な感じが漂う店だ。ひっきりなしに観光客が押し寄せるもんだから、おばちゃんの愛想もあまり良くないし、床も砂糖まみれという感じ。全然洒落た印象はない、「街のコーヒーショップ」てなところだ。
朝から30℃を軽く越えているような蒸し暑さなので迷うことなく屋内の席に向かう。ラージサイズのカフェオレと、3個セットベニエを注文。だんなはアイスコーヒーとベニエ、息子にはオレンジジュース。周囲を見ると、一人で6個セットを食べている人も多かったけど、その皿ときたら、ドーナツの皿というより純白の砂糖色した小山という感じ。大変な量だ。

「カフェというたら、やっぱりカフェオレでしょー」
とカフェオレのラージサイズを注文。やってきたのは、カフェオレボウルになどは入っていない、ファーストフードっぽい縦長カップになみなみと入ったカフェオレだった。そして空のコーヒーカップがついてくる。自分で紙カップからコーヒーカップにだばだばだ〜と注いでは、飲む。苦さの強いコーヒーは甘さもあって、けっこう好み。牛乳たっぷりで、砂糖をちょいと溶かして飲むとなんとも良い感じ。

そして待望の揚げドーナツが登場。
コーヒーの受け皿(←比喩じゃなくて本当にそのもの)に子供の握り拳大の揚げドーナツがごろごろごろと3個。表面をこれでもかと覆う粉砂糖の山。話には聞いていたけど、これはすごいわー。旨そうだわー。

ドーナツそのものにはそれほどの甘さはなく、表面の1mmほどだけがカリッサクッした食感の後は、ひたすらふわふわもちもちとした柔らかい生地。シフォンのように軽すぎることもなく、普通のドーナツのように詰まっていることもなく、適度なふわふわ感のあるドーナツは確かに絶品だった。素朴な、昔懐かしいような味だ。

鼻息だけでぶわぶわと飛んでいく粉砂糖でテーブルの上も黒いズボンも真っ白にしてしまいながら、
「うみゃー!」
「これはまた、うみゃー!」
と大喜びしながらドーナツを平らげた。……やっぱり6個盛りにすべきだったかなぁ……。

New Orleans 「LOUISIANA Pizza Kitchen」にて
 Pasta Fettuccine Alfredo $7.50
 Pizza BBQ Chicken $8.00
 Pizza Margarita $7.00
 ビール(Abita Amber) $3.25
 ビール(Abita Seasonal) $3.25
 コカコーラ $1.50

今日の午前中は水族館見物。水族館に行くついでに遊覧船のチケットも予約してしまい、その合間に昼御飯を食べることに。遊覧船にはオプションで昼御飯もついているけど、「ご飯はいらないよー。クルーズだけでいいのよー」と安いプランにしてもらった。船の上のご飯も楽しそうだけど、美味しいものを食べたかったら自分で探して食べてきちゃうのが一番だと思って。

で、向かった先は「New Orleansで一番美味しいピザ屋さん」という噂のあるらしい、「LOUISIANA Pizza Kitchen」なるお店。ホテルからもほど近い、「ファーマーズマーケット」なる市場に面した小さな店だった。黒い壁に黒い床のモダンなお店。「ピザを1人1枚取ったら大変なことになってしまうかもしれない」と懸念して、とりあえず息子用にとパスタを1皿、そしてピザを1皿。今日は車に乗る予定もないので、昼間っからビール。その土地のビールを飲むのが一番だと、昨日の「Dixie」に引き続き、今日は「Abita」を飲むことにした。

軽い苦みと甘さのあるアンバーエールは、これまた美味しかった。これでもかとキリリと冷えていて、コップの縁ぎりぎりまでなみなみと入っている(昨日もそうだったけど、こっちのビールは"泡を3割"なんてことは行われていない。とにかくビールそのものがたっぷりと来る)。
「昼間のビール、うまー!」
「Abitaビール、うまー!」
と喜んでいるうちに、パスタとピザがやってきた。

幅がかなり広めの平麺フェットチーネにはシンプルなクリームソースがかかっている。上にはパルメザンチーズを刻んだやつがふんわりと。最初に頼んだピザは「BBQ Chicken」で、テリヤキソースにも似た甘辛いタレが一口大に細長く裂かれた鶏肉の上にかけられている。トマトソースベースで、コーンもたっぷり散らされている。店内の石釜で焼かれたピザはちょっとだけ不格好でこんがりと。いかにも"超高温でたったの数分、カリッと焼きました〜!"みたいな口当たりだ。果てしなく薄い生地に、主張の強すぎないトッピングはアメリカに来て珍しささえ漂うもので、争うようにバリバリと食べていく。息子はパスタに夢中で必死で食べているし、「1枚でいいよねー」と言っていたピザはあっという間になくなった。即座に次の注文。「マルゲリータピザもちょうだいー」

トマトソースにバジル、モッツァレラチーズだけというこれ以上なくシンプルなピザがマルゲリータ。トマト1個使いました、みたいな端っこも乗っている輪切りのチーズがどっさりと、バジルは生のやつの葉が4〜5枚、そしてチーズもたっぷりと。
注文して5分ほどで出てきた第二のピザは、トマトがうっすら熱くなって火が入っている程度に焼けていた。火を通したトマトは甘い。バジルもほとんど生という感じで、パリパリの生地を囓ると「チーズ!トマト!そいでもって…………バジルゥゥゥ」という順番に口中がいっぱいになる。これまた美味しいピザだった。後になって
「クレームブリュレとかティラミスがあるじゃん!」
「こういう店ならきっとデザートも美味しいじゃん!」
とばたばたする羽目になってしまったけど、気合いを入れてピザ2枚にパスタ1皿を家族で食べてしまったのだった。

店内の黒板には「今日のおすすめ」みたいなものが書いてあって、それには「シェーブル(山羊乳のチーズ)のサラダ、サンドライトマトのドレッシングにグリーンリーフをたっぷりと」なんてのまで書いてあってごっつぅ美味しそうなのだった。でも私たちは知っている。そのサラダときたらやっぱり山盛りですごい量なのだ……(隣で喰ってたし)。

New Orleans 「GUMBO SHOP」にて
 Craw Fish Soup $3.95
 Fresh Fish Creole $14.95
 ビール(Abita)
 フローズンストロベリーダイキリ

午後は2時間かけてミシシッピ川をクルーズする遊覧船(気分はほとんどディズニーランドのアレ)。
「中でだらだらしながら食べるのよー」と、朝食を食べた「Cafe Du Monde」でおやつ用揚げドーナツをテイクアウト用に買い込んで乗船した。喉も乾くしとペットボトル入りの水も持参。船室内じゃなく陽光差し込むデッキでだらだらしながら遊覧してきた。でも「のどかなのどかなミシシッピ川光景」というよりは「工業産業が発達しているミシシッピ川光景」の観光という感じ。石炭を山のように積んだ巨大船とすれ違い、その奥にはエクソンモービルの工場なんかがあったりして、風光明媚という光景じゃない。それでもまぁまぁ楽しかった。ミシシッピ川のでかさはとりあえず理解理解。

夕飯には、絶対行こうと決めていた「GUMBO SHOP」に。ガンボの名を掲げる店だけあって、ガンボスープがとりわけ美味しいらしい。素っ気ない入り口から入るとクレオールスタイルの吹き抜けの中庭に出る。屋外の席もあり、屋内の席もある。私たちは屋内の、全面の壁に絵が描かれている重厚な雰囲気のところに通された。

「本日のスープ」のところに「Turtle Soup」とあって、
「私カメ!カメスープ飲んでみる!カメカメカメ!」
と燃えてみたんだけど、残念ながら売り切れでCraw Fish Soup(ザリガニスープ)となった。ザリガニは私たちの住むテネシー州でも名物だし、ここでも同様に名物だ。幼き頃にザリガニ釣りをしたことがあるだんなも私も、
「……え、ザリガニってすっごく泥臭かったよねぇ……アレは海老とは違うもんねぇ……」
という思いがあったけど、とりあえず喰ってみようと。だんなは素直にチキンガンボスープを注文。

カップ入りのスープは手のひらサイズ。これまで1皿の山盛り量に苦しさを感じていた私たちには嬉しいサイズだ。これならメインディッシュもしっかり食べられる。私のスープは茶褐色。だんなのスープも茶褐色。ちなみにジャンバラヤもクレオールソースもレッドビーンズも全部茶褐色。全体的に茶褐色なものが多いこの地の料理だ。見た目はすごいけど、味はサイコー。

ガンボスープよりは辛みのない、でもどっしりこってりとした茶褐色のスープはもう何度も味わったスパイスの味が強く漂っている。中には剥き身のザリガニがごろごろと。ほのかにセロリの香り。だんなのガンボスープにはご飯も入り、ピリ辛味もより濃厚。どちらにも細かく刻んだオクラがざくざく入っている。

そして、私のメインディッシュは「Fresh Fish Creole」。だんなのメインディッシュは「Combinaton Platter」。私のは、ご飯に刻み葱(これが万能葱にそっくりだ)がが散らされていて、ご飯の横に白身魚のソテー。その上からは海老がごろごろ入ったクレオールソースがざっぱりとかかっているものだ。だんなのは、皿の中央にジャンバラヤ、一方の横には海老入りクレオールソース、更に一方にはレッドビーンズ(←これも名物料理)がかかっているボリュームたっぷりのものだ。ジャンバラヤだけでも濃厚なんだから、それにわざわざクレオールソースかけなくても良いじゃないか、みたいなシロモノ。

「甘辛いよー。辛いよー。でも旨いよー。でもたっぷりだよー」
とだんなは苦笑しながら食べていた。私のは適度な量で食べやすい。ちょっとばかりタバスコ的な辛さのある海老入りのソースは、ミートソースというよりも海老チリに近いような気すらする。ハーブの香りがぷわぷわと漂い、刻み玉ねぎやセロリなどもたっぷり入っている感じ。何だかノリは"海老チリ丼"に近いそれをわしわしと食べる。下に置かれた白身魚のソテーが、脂が乗っていてこれまた美味しい。

今日1日使いまくっていたクーポン冊子で、ここのカクテルが1品無料になるとのことだったのでフローズンストロベリーダイキリを注文。南国のリゾートホテルででも出てくるような大きな大きなカクテルグラスにたっぷりとかき氷状のカクテルがやってきた。あまり巨大なので、だんなと分け合って飲みまくっている間に、今日もすっかり良い気分になってしまった。
この土地、暗い道はちょっと怖い。酔いを隠して必死にすたすたホテルに戻った。ふー。

8/20 (火)
Felix's(New Orleans)にてJambalaya (昼御飯)
この日の詳細は、旅行記にもより詳しくございます
New Orleans 「The Market Cafe」にて
 フレンチトースト
 オレンジジュース

8時起床。今朝はホテル近くのオープンカフェで朝食をとってみることにした。昼過ぎや夜には毎日ジャズの生演奏が流れるお店で、そこそこ繁盛している様子。

メニューに「French Toast」なる魅力的な単語を見つけ、私はそれを。だんなは2枚パンケーキに好みの卵料理のセット。オレンジジュースやアイスティーを持ってきてもらい、しばし待つ。今日も暑い。こってりと暑い。35℃を越えるんじゃないかという熱波が朝から感じられる。

笑えるほどのいびつなパンケーキ2枚と、"スクランブルエッグ"という注文にしては妙に「卵焼き」チックな硬めの卵料理、そして長いカリカリベーコンが5〜6枚どっさり乗ったプレートがだんなの元にやってきた。私のところにはそれから3分ほどしてフレンチトーストが……フレンチトーストとは思えない物体がやってきた。

1本25cmほどありそうな巨大なフランスパンの薄切り(というか厚切り)が計3つ。卵液を染み込ませて焼いてあるところは確かにフレンチトーストだけど、今ひとつ卵やバターの風味はしない。表面にはシナモンパウダーがたっぷりと。テーブルに出されたパック入りのバターやメープルシロップをこてこてつけながら食べたけど、味は特別美味しいというわけじゃなく、いたって普通。しかし量だけはたっぷりだった。

New Orleans 「Felix's」にて
 1/2 Dozen Oyster $3.95
 Jambalaya $10.50
 ビール(Abita)

午前中は、「アンティークショップや洒落たコーヒーショップなどが並んでいて楽しい通り」とどこかで読み、「Magazine Street」なるところを散策してみる。じりじりと暑い日差しの中をやたらと歩き、アメリカ最古の路面電車にも乗りまくる。1回乗車につき$1.5、1日フリーパスなら$4、今日は1日券を買って乗りまくっていた。冷房も何もない、香港のトラムにも似た可愛い電車だ(二階建てではないけど)。15人も座れば席がいっぱいになるような小さな電車は、それでも路線によってはけっこう需要があるらしく混んでいるところも多い。

昼御飯は、その散策帰りに路面電車を降りてすぐの繁華街でさくっと食べることに。一昨日オイスターバーの周辺には、同様に人気があるらしいオイスターバーがいくつもあるらしく、昼御飯は「Felix's」なるオイスターバーで昼御飯を食べることにした。こういう店なら、まず大概「Po-Boy」なるサンドウィッチが置いてあって、それが目当て。

でも、オイスターバーに入っちゃったらオイスターを食べちゃうんである。
「おゆきさーん、今晩もそういう店に行くんでしょ?生牡蠣は続けて食べない方がいいんじゃないの?」
というだんなを前に、
「でも、食べなきゃ!1個しか喰わなくても毎日喰っても当たる人は当たるし、当たらん人は当たらんの!」
と力説して、昼間っから生牡蠣。更にビール。

今日は1/2ダース、6個の生牡蠣。レモンと、テーブルの上にはケチャップとチリソースとカップ入りのホースラディッシュが置かれていた。牡蠣につける"カクテルソース"とはすなわちケチャップとホースラディッシュを合わせたものだそうで、実際自分で混ぜてみると確かにまんま同じ味がする。生姜の辛さにも似たホースラディッシュとケチャップは妙に似合う。それをつけた牡蠣は、もう白ワインだ何だというより圧倒的にビールに似合う。
昼間っから
「牡蠣〜今日も牡蠣〜♪」
「ちゅるちゅる生牡蠣〜♪」
とビールと牡蠣を胃袋に流し込んだ。夏だけど、ちゃんと生牡蠣だ。臭みもないしプリプリだし、普通に食べられる。幸せだ〜。

そしてだんなはミートボールPo-Boy、私はご飯ものが恋しかったのでジャンバラヤ。
Po-Boyの巨大さを懸念して、「ご飯なら食べられるだろうし」と思って注文したんだけど、これがまた甘かった。楕円の深さのある皿に、どっぷり山盛りになったご飯は米2合分強とでもいう感じだろうか。ピリ辛味のソーセージや鶏肉もごろんごろんと入っていて、その山は食べても食べても小さくならない。トマトソースの味もするような、その割に酸味よりも甘さや辛さがビリビリと来るような、こってり味の"炊き込み御飯"がジャンバラヤだ。

昨日夕食を食べた「GUMBO SHOP」なる店で、店名をそのまま書名に掲げたレシピ本を買ってきてみたのだけど、それによるとその材料は玉ねぎであったりセロリであったりにんにくであったり、とても身近なものばかり、ただ胡椒だけが「white pepper」「black pepper」「cayenne pepper」と3種類使われている。
「これで我が家でもクレオール料理が!」
と喜んでいる私だけど、ガンボスープの材料に「オクラ2ポンド」などと書いてあって、それだけちょっと困惑。巨大バケツ山盛り分のスープが出来てしまいそうで、まずは材料を計算しなおして少なくすることから始めなければなさそうだ。

New Orleans 「Mike Anderson's Seafood」にて
 Oyster 1/2Dozen $3.95
 Oyster 1/2Rock $9.95
 Soft Shell Crub×2 $15.95
 Kid's Shrimp Fries $4.50
 ビール(Foster Draft) $3.75
 ビール(Abita Amber) $3.00×3
……を家族3人で食す

午後は、アメリカ南部ならではのプランテーションを見学しに行くことに。ミシシッピ川流域には、$5ほどの料金を払って一般向けに見学させているプランテーションハウスが多数あるということで、とりあえず適当に目星をつけて「なんか美しいから」という理由で「Oak Alley Plantation」なるところに行ってみることにした。他より高い入園料$10を払ってから気が付いたけど、映画「INTERVIEW WITH THE VAMPIRE」のロケ地ともなったところだそうである。DVDまで持っていながら全然気が付かなかった私。長い長いオークの並木の向こうに大邸宅が見える様はなんとも美しかった。その時代のものらしくコスプレをしたおばちゃんが1部屋1部屋説明してくれたけど、私の英語能力では3割理解するのがやっとという感じ。とりあえず1階から2階への階段が22段だということは聞き取れた(ダメじゃん……)。

往復1時間ずつかけて、そうして1つのプランテーションハウスを見学するのがやっとでホテルに戻ったのが午後6時。一休みしてから夕御飯探索に出かけた。

ニューオリンズ最終夜は、やっぱり牡蠣!(昼にも食べたけど、それはそれ)
インターネットで調べたところ、「Mike Anderson's Seafood」なるお店の評価が高かったのでこちらに行ってみることにした。「オスターロックフェラー」なるこの地方の名物料理もあるらしい。そして、一度食べてみようと言っていた「ソフトシェフクラブ」もあるとのことで、この店に決めちゃったのだった。

席につくなり、とりあえずビール。そして生牡蠣半ダース。3店で牡蠣を食べ歩いたところ、どうやら初日の夜に食べた「Acme」が一番美味しかったかなぁという感想にはなったけど、ここの牡蠣も充分新鮮で良い感じだ。カクテルソースとレモンを垂らして食べるのはどこも同じ。

そして、ほうれん草をバター風味でくたくたに炒め煮したようなもの(←これもまたクレオール料理の名物)に牡蠣を絡ませてオーブン焼きにしたものが「オイスターロックフェラー」。緑と白のマーブル状のものが牡蠣の殻に詰まっているというちょっと見た目びっくりする外見だけど、生クリームっぽいミルクのこってりさがあるほうれん草が牡蠣と一緒になって生牡蠣や焼き牡蠣とは全然違う風味だ。いかにもクレオール料理という味で、だんなは「うーまーひー」と悶えている。相当ツボに入ったらしい。

そしてそして、ソフトシェルクラブ。なんでも、脱皮直後の蟹なので殻ごとバリバリ食べられるそうなのである。通常は丸揚げにするらしい。
「フライかぁ……」
と"どんな形状で来るのだろう"と思っていたところ、非常に潔い"丸揚げ丸ごと"状態でやってきた。大人の手のひらくらいの大きさの蟹が、ハサミも足も全部そのままの形で、蟹そのままの形で皿に2体並べられている。その光景はなんともシュールだ。「ああ、そのまま揚げられちゃったのねぇ……」という感じ。

塩胡椒くらいの味付けのパリパリのフライにレモンをぎゅっと絞って食べる。噂どおり、足からハサミから腹からバリバリどこでも食いちぎることができる蟹だった。なんだかすごい。蟹が柔らかいというよりも私の歯が強くなったような錯覚を覚える。
足を1本ずつひっぺがしてバリバリ食べていると、自分がワニにでもなった気分がした。茹で蟹なんかを食べるときに口にトゲトゲと刺さってくる透明な殻なんかもバリバリといける。香ばしくて面白くて美味しい。

6個の生牡蠣に6個の焼き牡蠣に2個の蟹。蟹にはフライドポテトやサラダもついてきたけれど、それで見事に腹一杯になってしまった。ビールも1人2杯。ニューオリンズの地ビールを何種類か飲んで、一番「Abita」が好みに合った。中でも褐色のアンバーが最高に好みだ。
本当は「ブードゥー」(←ブードゥー教はここの名物)なんて名前の面白いビールが飲んでみたいのだけど、なかなか置いている店が無かったりするのである。

いよいよ明日、家に帰る。
「イエローストーン、どうだったぁ?」
なんて周囲の言葉に
「え、えっとね……ニューオリンズに行ってね……」
と色々説明するのが恥ずかしかったりめんどくさかったりー。とほほ。

8/21 (水)
LOUISIANA Pizza Kitchen (New Orleans)にてローストガーリックピッツァ (昼御飯)
この日の詳細は、旅行記にもより詳しくございます
New Orleans 「Cafe Du Monde」にて
 Beignets (order of 3 French doughnuts)
 Frozen cafe au lait

今日は旅行最終日。夜の飛行機で私たちは家路に着く。

「やっぱりシメはベニエでしょー」
「やっぱりそうでしょー」
とか言いながら、朝はてくてく歩いて「Cafe Du Monde」に揚げドーナツを喰いに行く。朝8時半のカフェはぽちぽちと席がふさがっているくらいの空き具合。今日も屋内の席につき、フローズンカフェオレとカフェオレ、チョコレートミルクを注文、更に息子分も含めて1人1皿のベニエ。

コーヒーの受け皿に、6個3個と盛られて2皿やってきたベニエ。3個でも壮観だけど、6個も盛られると大壮観なのである。表面は粉砂糖ですっかり覆われていて、その砂糖が皿の端からテーブルにこぼれ落ちてくる。ドーナツ1つ持ち上げると、砂糖がバラバラ崩れてテーブルに降ってくる。今日もまたテーブルを砂糖まみれにしながらの朝御飯。

今日のベニエは、とりわけアツアツだった。表面の砂糖が熱で溶けていくし、手で持つのもやっとという熱さ。不用意に囓ると歯茎や舌が火傷してしまいそうなアツアツ揚げたてドーナツだった。表面がうっすらとサクッモチッで中はふわふわともちもちの間のような食感。生地そのものはそれほど甘さはなく、まぶす砂糖の量で味を調整という感じ。

ベニエのお供に頼んだ「フローズンカフェオレ」は、その名のとおりスムージーのようなしゃりしゃりのカフェオレ。ほのかに甘く、ほのかに苦い。なんでもニューオリンズのコーヒーはチコリの根が入っている独特なものなのだとか。ほのかな苦みがあって、カフェオレにするととても美味しい。

New Orleans 「LOUISIANA Pizza Kitchen」にて
 ローストガーリックピッツァ
 アイスティー

午前10時。ホテルをチェックアウトし、
「あと、昼御飯を食べたら空港に向かおう」
ということに。時間もあるので、「Mardi Gras」の博物館を見に行くことにした。"マルディ グラ"と発音するそれは、2月から3月にかけて毎年行われるカーニバルだ。地元の人は「リオのカーニバルよりすごいけんね」と自慢にしている盛大なお祭りらしい。そのカーニバルで使われるビーズの首飾りや羽製の仮面は街に至る所にお土産として売られている。どんなお祭りなのか見当もつかないでいたけど、博物館を見て「うぉー、お祭り見てみたいー!」という思いを抱くに至った。ディズニーランドのパレードのような山車は出るし、華麗な仮装も各自力を入れるらしい。リオのカーニバルとハロウィンがごっちゃになったようなそのお祭りは、ドクロやブゥードゥー教みたいなモチーフも使われるようで、ちょっとだけ毒々しい。

昼御飯は、
「……なんか、パスタが食べたい……ついでにクレームブリュレが食べられたらもうサイコー」
とのだんなのリクエストにより、一昨日にも入った「LOUISIANA Pizza Kitchen」に。だんなは茄子のラザニアを注文し、私は「ローストガーリックピザ」なる何だかすごいものを注文。もちろん食後にはクレームブリュレを堪能するつもり、だった。

私の前にどどーんとやってきたのは、食べ応えのある具沢山のピザ。
モッツァレラチーズにフェッタチーズ、その上に生のほうれん草が散らされて、低温の油でじっくり揚げたような柔らかいにんにくが、まるで鶏肉か何かのように大きくごろごろとたっぷり乗っている。上からは歯ごたえのあるカリカリの甘酸っぱいドライトマトがこれでもかとどっさり。
一昨日、だんなと2人で2枚のピザを食べたので「今日も大丈夫」とタカをくくっていたけれど、このボリュームはちょっと想定外だった。だんなもまた想定外だったらしい。グラタン皿にこんもりと山盛りになっているラザニアは、「いや、日本じゃ普通グラタン皿にぴったり平たく作るんじゃないか?こういうのは……」と唖然となってしまうような量があった。茄子もたっぷりパスタもたっぷり、そしてチーズも山盛りだ。素晴らしいけど、なんだか凄い。

「あっはっはっはー、美味しいけど、油断したね。たっぷりだね」
「僕のラザニアはね、美味しいんだけど"おいしい〜"っていうよりは"まいう〜"って感じだよ」
「……ジャンクなんですか?」
「ジャンクというよりは……ボリュームが……なんちゅーか"まいう〜"って感じで」
「……そうですか……」
「そうなんですよ……」
と、苦笑しつつ溜息つきつつ、ひたすら我が目の前のお昼ご飯に対峙した。私なぞはピザ2切れが食べきれなくてテイクアウトさせてもらったくらいだ。当然クレームブリュレを食べようという野望も次回に持ち越しになった。

メンフィス空港内マクドナルドの
 チーズバーガー
 フライドポテト
 レモネード

マルディグラも見てみたいけど、やっぱり冬の牡蠣の時期にもう一度来よう。
そう誓ってNew Orleansからレンタカーで200マイルちょっとの距離にあるJackson空港に戻って行った。もうJacksonという地名は一生忘れそうにない。
どうやら1日かければ私たちの住むNashvilleからもNew Orleansに行けそうだということで、冬になったら絶対もう一度来ようと誓った。冬に牡蠣喰って牡蠣喰って牡蠣喰ってガンボスープ飲んでベニエ食べて、そして帰り道はちょっと足を伸ばして国立公園「Hot Springs」で温泉入って帰ろうか、なんて壮大な野望もできた。

午後6時、空港到着。道すがら雲行きが怪しいと思っていたところ、搭乗案内間際になって雷雨になった。窓から見える広い風景、森ばかりが続くところにドッカンドッカン雷が落ちまくる。風も強くなったためか出発も遅くなってしまった。雷も雨もとりあえず止んだ直後に離陸したけど、窓から見える黒い雲の中ではひっきりなしに稲光がバリバリ走っていて、かなり怖い。とりあえず「ラピュタは本当にあったんだ!」とか言って遊んでみる。「竜の巣だよシータ!この中にラピュタが!」とか。

で、離陸がえらく遅れた割には着陸は予定の10分オーバーほどで無事にメンフィス空港に到着、今度は乗り継ぎ先の便が遅れているとのことで、何十分も待たされることに。自分が招いたトラブルやら気候のトラブルやら、何かと悩まされた今回の旅だ。
無事にNashville空港に到着し、タクシーかっとばして我が家に辿り着いたのは午後11時30分。
お、おつかれさまでしたー。

8/22 (木)
牛丼 半熟卵乗せ (夕御飯)
プレッツェル
牛乳

4泊5日の旅行で疲れ果て、でれでれと寝まくった今朝。起きるなり、まずは山のような洗濯物をなんとかしなきゃとランドリーに突っ走った。今日はなんでも「美味しいピザを食べに行きましょう」と留学生仲間&スタッフMさんと連れだってピザを喰いに行く予定なのだそうなのである。特に予定もないので私と息子もついていくことに。

「ピザ……昨日も一昨々日も食べたような気が……」
「ピザよりもお茶漬けなんかが恋しいような気が……」
と思いつつ、とりあえず腹を減らして行かねばなと朝食はプレッツェルに牛乳。昨夜飛行機に乗った時に機内サービスで出されて食べずに持ち帰った小袋入りプレッツェルをぽーりぽーりと食べて牛乳を飲む。

Nashville 「DaVinci's Gourmet Pizza」にて
 Leonardo's Combo Pizza
 Shrimp & Scallop Pizza
 Bella Vita Pizza
 アイスティー

スタッフMさん曰く
「うん、ここのピッツァは美味しいと思うわよ。でもね、アタリとハズレの味の差が大きいのよ」
なるお店が、若干ダウンタウン寄りに位置する「DaVinci's Gourmet Pizza」なる店だった。イタリア絵画の巨匠の名を冠するピザ屋とは……すごいなぁ。

ピザ生地のサイズを選択し、好みの具をトッピングするようにもできるけど、既にトッピングが組み合わされた品名になっているものもたっぷりとある。「レオナルド コンボピザ」だの「ダヴィンチピザ」だの、そのネーミングもなんかすごい。総勢11人でやってきたので、ラージピザを3種類取って分け合って食べることになった。だんながご指名されてピザを選ぶことになり、肉ベースと魚介ベースと野菜ベースの3種類選択。
「Leonardo's Combo Pizza」は
Pepperoni, ground beef, ham Italian sausage, mushrooms, green peppers, black olives & onions.
で、
「Shrimp & Scallop Pizza」は
Shrimp, scallops, mashrooms, onions & fresh parsley.
で、
「Bella Vita Pizza」は
Spinach, tomato, onion ,garlic, feta & fontina cheeses.

と、説明に書いてあった。

やってきたピザのでかいことでかいこと。1枚が12等分に切られているから1人ほぼ1カットが分け前となるけど、3枚食べればかなり満腹になる。2枚しか食べられない人も出るほどのサイズだった。気分はシェーキーズの食べ放題だ。

セモリナ粉で作られたようなピザ生地は、ちょっと厚めでもっちりしていて、いかにもアメリカのピザっぽい。打ち粉がたっぷりめなのか若干粉っぽくて、その歯触りが逆に良い感じ。
ブラックオリーブがたっぷりと効いた「Leonardo's Combo Pizza」の具沢山加減も良かったけど、クリームソースでグラタンのような味のするシーフードものもとても美味しい。ニューオーリンズで食べてきた石釜焼きのピザもとてもとても美味しかったけど、アメリカ風のも案外と美味しいものだ。

が、さすがに和食が恋しくなってきた私たち。
しかも旅行中は妙にシーフードばかりを食べていたから肉が恋しくなってきた。
「和食だ和食だ」
「肉だ肉だ」
「和食で肉だ」
「……牛丼?」
と、スーパーマーケットで巨大な牛肉の塊肉を買ってきた。

牛丼 半熟卵乗せ
大根の味噌汁
アスパラガスのアンチョビマヨネーズがけ
ビール(コロナ)

メロン

そういうわけで、夕飯はしっかり和食。塊肉を包丁で好みの厚さにざくざく薄切りにし、胡麻油で軽く炒める。玉ねぎを加えて水を注ぎ、煮立ててアクを取ったら醤油と味醂と砂糖を同量ぐらいずつ放り込む。あとは煮込んでいけばできあがり。

だんなはよっぽど和食が恋しくなってしまったようで、アメリカに来て初めて、とうとう手打ちうどん作りを始めてしまった。夕方からだしを取り始め、フードプロセッサーで小麦粉と水と塩を合わせた後、こねこねして踏み踏みしている。まーた何だか太くて分厚いうどんになっちゃったみたいだけど、今回は一体どんな感じだろうか。
いざ牛肉を煮込もうとする段になって、
「おゆきさんおゆきさん!いっぱい煮て、あとで"牛肉うどん"!!」
と嬉しそうにだんながリクエストしてきたので、牛肉はたっぷりスライスして煮ておくことにした。

そして、いりこでだしを取って作った大根の味噌汁。細めのアスパラガスはさっと火を通し、刻みアンチョビを混ぜたマヨネーズをぶっかけた。これはビールの肴。これでもかと冷やしたコロナビールに1/8カットにしたライムをぎゅうぎゅうと押し込んで、くーっと飲む。我が家の味で、好みのビール。おきまりの言葉だけど
「やっぱり自分ちがいいなぁ……」
などと思ってしまう。

……その割に、今から
「Nashvilleから車でNew Orleansに行ってその後Hot Springsに行くにはどうしたらいいかなぁ……」
なんて考えているのだ。旅行はまだまだまだまだ先の話だと言うのに。

8/23 (金)
ポークソテーと千切りキャベツ (夕御飯)
だんな特製手打ちうどん(?)
麦茶

昨日、だんなはうどん打ちに精を出していた。だしは、完璧。日本からいりこ、鯖節、鰹節、全部持ってきている。万一使い切っても、鯖節以外ならなんとかなりそう。日本を発つ時に友人から餞別にいただいた薄口醤油もちゃんと持ってきた。

んが、問題はうどんだ。フードプロセッサーを購入したので最初の「水合わせ」は何事もなく終わった。踏むのもこねるのもさほど問題はなさそうだったけど、カットする段になって(パスタマシンも持ってきたけど、それじゃ薄すぎて太すぎるので自分でなんとかしようと思っている我が夫)、
「おゆきさん……やっぱり太いかなぁ?」
と意見を請われた。

太い。
太いよー、だんな。またこれじゃ「フェットチーネうどん」だよぅ。茹でたら膨れるのを想定して、もっともっともっともっと細くしなきゃー。
「お、お、お、おゆきさんがやってもいいかなぁ?」
と申し出て、私も切らせてもらった。一応私の理想とする太さで1/3ほどを切ることができたけど、さて、どうなることか。

今朝はだんながカットした極太うどんを茹でてみた。昨日のうちに取っておいただしは完璧だ。アメリカに香川の風が吹いている、というくらい旨い。そうそうこれこれ、目を閉じると高松のあの光景が……って感じ。
だが、うどんは"うどんもどき"というか"うどんを目指した何か"というか"うどんっぽく見えなくもない何か"というか、とにかく物体Xのような状態だった。やっぱり太い。太いから長めに茹でても微妙に芯が残っているような感じで、口当たりもちょっとばかり悪かった。だしは完璧なんだけどなぁ(しつこい)。

アメリカには万能葱なんて売ってないだろうと思っていたけど、しっかり売っていたのが嬉しい誤算だ。日本のものよりちょっとばかりセロリ臭いような気もしないではないけど、充分使える青葱が売られている。逆に長ねぎはない。長ねぎっぽいものを使いたければポロ葱を買ってくるしかない、という感じ。
アメリカ手打ちうどんの道はまだまだ遠い……らしい(今度は私も打ってみよう……)。

ポークソテー with 千切りキャベツ
パプリカのガーリック炒め
アスパラの冷製ポタージュ
御飯
ビール(SanMiguel)

息子は旅行疲れか、今日は眠って眠って眠りまくっている。起きてきたのは昼間近で、だんなは英語学校のレベル分けテストを受けに出かけていた。
朝茹でたうどんの残りがあったので、「ごめん息子、うどんがゾンビになってるんだけど……」と謝りつつ湯がいて冷やしてだしかけて食べさせる。私も一緒に残りうどんを啜り、なんとなくそれで昼食は終わってしまった。

夕方からお腹がすいてしかたがない。
「もう、肉、がつんと肉。肉喰って白い御飯!」
と目をギラギラさせて本日の夕飯はポークソテーに決定した。

豚ヒレ肉の塊を適当にスライスして塩胡椒し、スキレットで焼き付ける。ざっと焦げ目がついたらバターとウィスキーと醤油を垂らして絡めて完成。横には刻みキャベツが必須だ。ポークソテーの焼き汁に浸ってシナッとなった刻みキャベツほど美味しいものはない。それだけじゃおかずが不足かと、赤と黄色のパプリカをオリーブ油で炒めて塩胡椒し、ローストガーリックとベーコンビッツをぶっかけただけの簡単野菜料理を添えた。

そして、大きな束で買ってきていたアスパラガスはポタージュに。茹でて柔らかくしたアスパラを牛乳と顆粒コンソメと一緒にフードプロセッサーでギャギャギャギャギャと攪拌する。生クリームも加えて、塩で適当に調味して完成。そのまま冷蔵庫で冷やして冷たくしていただいた。

私はそれほど和食嗜好は強くないと自分では思っていたけど、やっぱり白い御飯は美味しい。日本で食べていたものより圧倒的に味は落ちるカルフォルニア米だけど、それでも白い御飯はホッとするし美味しいと思う。おにぎりにすると、それ持ってピクニックに行きたくなってしまう。アメリカに来てあまり頻繁に飲まなくなって、「ああ、味噌汁って美味しかったんだなぁ……」と今更ながらに思ったりする。

8/24 (土)
だんな特製手打ちうどん (朝御飯)
だんな特製手打ちうどん
麦茶

来週から、いよいよだんなは忙しくなる。語学学校に通い出すし、研究所の仕事や勉強も本格化するらしい。ずーっと夏休み気分だったけど、そろそろのんびり気分じゃいられなくなってきた。私も英語の勉強くらいしなきゃいかんと思うし、何より運転免許を取らなきゃいけない。

今朝は、先日だんなが打った手打ちうどんの残りを茹でて食す。茹でたうどんを冷水でキュッと締め、たっぷり用意してくれた冷たいだしをだばだばと盛大にかけて食す。最後には、牛肉のうま煮をかけて食べちゃったり。
今回のうどんは、まだまだまだまだ精進が必要という感じで、限りなく不揃いだし、打ち粉が少なかったのかぺたぺた麺同志がくっついちゃってるし、問題点が色々あって"うどん(仮)"という感じではあった。けど、いりこの味がしまくる讃岐風のだしや何やかやは"あああ〜日本!"と悶えたくなるほど懐かしいもので、しばらく日本の味に飢えたらうどん打ち、という事になりそうだ。

Nashville 「Charley's」にて
 6oz チーズバーガー
 アイスティー

午前中は、いよいよ車の運転の練習。先日知識テストをクリアしたので、今は免許保持者のだんなを助手席に置けばどこででも練習して良いことになっている。どこででも……と言っても公道に出るわけにはいかないので、大学内のでっかい駐車場でぐるぐるぐるぐる動いてみることに。

「はい、アクセル踏んでー」
「ひえぇぇぇぇ」
「はい、ウィンカー出してー」
「はい……だ、だんなだんな、ワイパーが、ワイパーが動いちゃったよ」
もう大騒ぎ。だんなに座学で「ギアってこうなってて……こういうときにはこうやって……」とひととおり教えてもらってはいたけど、何しろ「アクセルを踏んだら走り、離したら止まる」と思って生きてきた私なのである。「ブレーキを離したら走る」ことを知り、私の頭は大変なことになっていた。
……今日はなんとか「走れる」「止まれる」「曲がれる」ところまでいったけど、この先ウィンカーを出すところまで到達できるのだろうか。車庫入れへの道は果てしなく遠い。私にとって"縦列駐車"は職人芸だ。

1時間半ほど駐車場の中をぐるぐるぐるぐると走り回り、途中近隣の住民らしきお兄ちゃんに笑いかけられながら「グーッド!」と親指突き出されて拍手されたりしながら練習していた。駐車場の中をふらふら走る車はさぞかし不審車だったことだろう(でもみんなこうやって練習するのよね)。

昼御飯は、その駐車場からほど近いハンバーガーショップの「Charley's」に向かう。ファーストフードっぽいけど本格ハンバーガーを出してくれるここ、一度行ってから私はおおいにはまってしまった。ポテトも美味しい。
今日もまた前回と同じく6ozチーズバーガーを。紙皿にバンズ、その上にとろけたチーズがけの巨大なハンバーグが乗り、客は自分で中央のカウンターにある好みの野菜を添えていく。サニーレタスと普通のレタス、トマトに玉ねぎ、マッシュルームにスプラウトにピクルスにピーマン……と、欲望のままに積み上げると大変なことになってしまうので注意が必要だ。あとはケチャップやマヨネーズをかけて完成。ソフトドリンクもドリンクバーからいくらでも取ってこられる。最近はスウィートアイスティー(ちょっと甘過ぎ)にアンスウィートティーを半量混ぜてレモンぎゅーぎゅー絞るのがお気に入り。疲れてしまったのでアイスティー2杯を一気飲みした。

トマトや玉ねぎを積み上げたハンバーガーは今日もすごいボリュームになった。そもそもハンバーグからして200g弱のサイズだから、全然「軽食」じゃないのである。更にケチャップこてこてつけながら山盛りポテトを囓る。朝はうどんで感動したくせに、本格ハンバーガーでもきっちり感動しちゃう自分に苦笑しちゃったり。

だんな特製ポークラグーのリングイネ
ビール(コロナ)

このNashvilleに「オペラ座の怪人」が来るらしい。9月末から数週間、ダウンタウンの大きなホールでそのミュージカルが上演されるそうだ。私はこれが大好きで大好きで、日本での初公演を見て感動した後に、大学の卒業旅行先のロンドンでも見て、更に2〜3年前の赤坂再演をだんなと一緒に見に行った。今度見たら4回目。CDも持っているので主要な曲のメロディーも歌詞も、大体の台詞も覚えてしまっているけど、何度見ても面白い。チケットは一番良い席の正規価格でも$71.5ということで、「安いじゃないか!」と早速手配してみてしまった。チケット屋のお兄さんと、「この日の一番良い席は?」「ほいじゃこの日は?」と相談しまくって、週末のマチネで一番良さそうな席を選んでもらった。

夕方から、すっかり疲れてしまってだらだらだらだらしていたところ、だんなが夕御飯にパスタを作ってくれた。残り物の豚肉を細かく叩いてにんにくと一緒に炒めて白ワインで煮込んだラグーのソース。塩味を効かせたそれをリングイネと絡めた、白茶色のラグーのパスタだ。私はにんにく刻んで、ビール用のライムを切っただけ。

「塩味が強すぎたかもー」
とだんなは不安そうな顔をしていたけど、ほんのちょっと強めの塩が逆に良い感じ。白ワインの酸味がほんのり漂う、これでもかとにんにくの味がするパスタだった。ここ何回か、超山盛りのパスタを作ってしまって(1箱が1ポンド=約450gだから、いつも茹でる量よりちょっと多いかなーと思いつつ、めんどくさいから1箱茹でちゃっていた)反省したのか、今日の量は程よくて嬉しかった。やっぱり料理は美味しいと思える量で出てくるのが美味しい料理なわけで。いくら美味しくても山盛りはやっぱり困っちゃうのだ……。

8/25 (日)
鮭御飯 (夕御飯)
ワッフル with ホイップバター&ケーキシロップ
カフェオレ

8時過ぎに目が覚めてみると、だんなが居間でネットサーフィンしていた。昨日の夜の段階では「ちょーっと早起きして涼しいうちに車の運転の練習!」と思っていたはずなのに、私の方が思う存分寝ていてしまった。

息子が起きるのを待って、今朝は冷凍ワッフルを温めて食べる。円形ワッフルが何枚連結してしまって剥がれないので電子レンジで軽く解凍した後にオーブン焼き。こんがり温まったところでホイップバターとケーキシロップを垂らして食べ〜る。大人は1人2枚、息子は1枚。ベーコンエッグなども添えようかとも思ったけど、軽くワッフルだけで朝食を終わらせて、いざいざ今日も車の練習。

だんな特製 肉もやし炒めラーメン(チキンマッシュルーム味)
麦茶

今日も1時間ちょっと、大学内の大きな駐車場をぐるぐるぐるぐる回ってみた。発車OK、停車OK、カーブはおおむねOK。ウィンカーも、おおむねOK。でもサイドミラーやバックミラーを見る余裕が全然ない。駐車の練習すれば、「本番なら間違いなくあちこちにぶつけまくりです」という状態。ハンドル持ってまだ2時間くらいじゃ、そんなもんかもしれない。

滅多に使わない集中力を使いまくるとお腹が減る。シロップたっぷりワッフルを食べたというのに、昼前にしてもう限界近くまで空腹になってしまった。
「おなかがすいたよ、おなかがすいたよ、もうダメ。全然ダメ」
と音を上げて、とっとと家に買えることに。ラーメンにしましょう、と途中のスーパーでモヤシを買って帰った。家には残り物の豚肉もあるし、それを細かく叩いてもやしと炒め、"MARUCHAN"印のチキンマッシュルーム味インスタントラーメンの上にトッピング。

すさまじい人工スープの味がするラーメンだった。鶏肉とマッシュルームの風味のラーメンなんて日本じゃ見たことがない。どこか洋風の気もあるけど、それでも一応きっちりとラーメンだ。コーンなんか乗せたらさぞ似合うだろうなという味だった。塩胡椒のみの味付けの肉もやしをスープに沈めつつ縮れ麺を啜る。

こちらのインスタントラーメンは安い。カップ入りのものも売られてはいるけど、主流は顆粒のスープがついてくる袋入りのラーメンだ。安売りで大きなワゴンに大量に突っ込まれていたそれを見たことがあるけど、1個10セント(13円……)という驚異的値段がついていた。卵1個とラーメン1袋が等価になってしまう価格だ。恐ろしい。

鮭御飯
大根の吸い物
冷や奴
ビール(バドワイザー)

数日前からだんなが「鮭御飯、鮭御飯」と呟いているので、私までなんとなく食べたくなってきてしまった。アラスカサーモンを買ってきて、今日は鮭御飯。脂たっぷりの鮭は茹でてしまってボウルにほぐし、塩を多めにふって醤油を混ぜて、これでもかと胡麻入れてちらりと胡麻油を垂らし、刻み海苔と共に御飯を加え混ぜる。割と簡単に手に入る食材だけでそこそこ日本の味になるからとても重宝。

うどん用のだしも残っていたので、ちょっと調味して大根入りの澄まし汁に。巨大な豆腐は半分使って冷や奴にし、葱とおかかと醤油ぶっかけて食べる。今日はひたすら和風の御飯だった。「永住したくなってきたー」「アメリカのこの大雑把さ、たまらなくいい感じー」と日頃言いつつ、それでもやっぱり和食は手放せない自分に苦笑い。

胡麻たっぷりの香ばしい鮭御飯は旨かった。だんなも息子も、当然私ももりもり食べて、2合炊いた米が綺麗さっぱりなくなった。けっこう大きい鮭の切り身が入ってたんだけどなぁ……。