食欲魔人日記 00年11月 第2週
11/6 (月)
インド風チキンカリー (夕御飯)
鮭の粕煮
御飯
抹茶入り玄米茶

だんな特製、鮭の粕煮で御飯。
私の実家では「粕煮」というものはついぞ食卓に出たことがなかったものだから、家庭料理としての"粕煮"なるものは実は初体験。
作り方を尋ねると、材料は鮭と酒粕と水とひとたらしの醤油だけであるという。酒のアルコール臭がまだぷんと匂う、こっくりとした煮物だ。それを御飯の上にぶっかけて、食す。
多く食べると酔っぱらってしまいそうな粕煮はかなり濃厚だった。粕煮に免疫のない私はこれだけでくらくらしてしまいそうだ。

だんな、本日より3泊4日の福岡出張だ。また熱が出てしまった息子と二人、お見送り。
「鉄鍋餃子とラーメン持って帰るからねー」
と本気か冗談かわからないような台詞を残して彼は出ていった。
……どうしよう。餃子の乗った鉄板を本当に持って帰ってきたら。

餃子の皮のチャーシュー巻き
餃子の皮のチーズせんべい
プーアル茶

冷蔵庫に餃子の皮が残っているのである。
「バターを塗って砂糖やチーズをふって焼くと簡単おつまみに」
という事をどこかで読んだ。焼いて喰えるのなら、きっとタコスみたいなことができるんじゃないだろうか。
思いついた私は早速怪しげな作業を始めた。

餃子の皮に胡麻油塗り塗り。少しばかりの胡麻をパラパラ。それをオーブンで5分ほど焼いてみたところ、見事なせんべいになってしまった。"何かを巻いて食べる"のは不可能なブツで、仕方ないのでそのままポリポリ食べる。息子にとってはこのポリポリが心地よくて旨いらしいけど、私の目指すところはちょっと違うところにある。
とりあえず"オーブンで5分焼いたらせんべい"となることが立証されたので、餃子の皮何枚かはバター塗って粉チーズかけてチーズせんべいにする。

焼き時間を少々少なめにしたところ、焼き色がついてはいるが"パリパリ"ではなく"くたっ"の状態の皮がめでたくできた。
細切りにしたチャーシューを乗せ、白髪葱も乗せ、皮にくるくると巻き込んで食べる。どこか北京ダックにも似た味がする。こりゃ美味しいわ。
焼いては巻き、巻いては食べ、食べては焼いてを繰り返しえんえんと台所と食卓を往復する。
最後には調子に乗って"クリームチーズとマーマレード"だの"バターを塗ってシナモンシュガー"だののおやつまで作り始めてしまい、25枚ほどの餃子の皮は怪しげな昼食で無くなってしまった。

インド風チキンカリー
じゃがいものチーズソースサラダ
アイスアールグレイティー

だんな不在の夜1日目。
残り物の鶏むね肉と、買ってきたばかりの手羽肉があったので両方使ってチキンカレー。ルーは使わない、スパイスたっぷりのインド風だ。

ギー(←インドのバター、風味がちと違う)で2個分の玉ねぎみじん切りをわっせわっせと炒め、茶色くなるまでひたすらがんばる。洗濯物を取り込むのを忘れていても、ここは後回しだ。途中電話がかかってきても無視である。息子が何かいたずらしていても無視……って、君がニコニコしながら開け閉めしているのは、先ほどスイッチを入れた炊飯器じゃあ、ないかね……?
ここは玉ねぎの方を一旦火から下ろして息子にデンジャラスバズーカデコピンをお見舞い。ギャーギャー泣く息子を尻目に、再び玉ねぎに向かい合う。

玉ねぎたっぷりに加え、スパイスもたっぷり。玉ねぎと一緒に炒めたシナモン、ローリエ、唐辛子に加えてクミンパウダー、コリアンダーパウダー、ターメリックにチリパウダーにガラムマサラを盛大に放り込む。台所一帯は怪しい香りで満ち満ちたところで鶏肉も炒め合わせ、少しばかりの水を加えて蒸し煮にする。蓋をして火が通るまでガーッと煮たら出来上がり。仕上げに少々のマンゴーチャツネを入れて砕いたナッツを散らせば出来上がり。本当はナッツと一緒に干し葡萄も混ぜ込むらしいけど、カレーに入る干し葡萄な苦手な私はこれは無視。

ついでににんにくで炒めたじゃがいもに、ベーコンと生クリームとクリームチーズで作ったアツアツのソースをかけたサラダも用意。ソースのチーズが固まらないうちに速攻食卓へ持っていく。
やたらとスパイシーにできあがったカレーはターメリックの黄色もギラギラと美しい。辛さは少ないので、御飯と絡めてはふはふと食べる。きっと御飯よりナンのほうが似合うだろうけど、御飯だって悪くない。骨からするりと取れる鶏肉が心地よくて、親子してもりもり食す。

さて、今日の料理じゃないけれど何人かの物好き……もとい、食いしん坊な方から「汁なしチャーシュー麺の詳細な作り方を教えてくれろ」とのメールをいただいたので以下に掲載。人のため、というよりは二度と同じものを作れないかもしれない自分のための備忘録だったりする、ということはヒミツ。

【 汁なしチャーシュー麺のつくりかた 】

1. チャーシューを作る。
豚バラブロック(大きければ大きいほど旨い)を30分程度下茹でし、茹で上がったら、醤油3カップ・酒1カップ・ねぎの青い部分1束・生姜1かけ・八角1かけ(お好みで)と共に30〜40分ほど煮込み、煮汁に一晩漬けこんでおく。煮汁に殻を剥いたゆで卵を3時間ほど漬けておくと煮卵ができる。
2. たれと具の準備。
チャーシューの適量を薄切りに、葱を斜め薄切りに。以下のたれの材料と一緒にでかいボウルに混ぜ合わせておく。
 (2人分)
 チャーシューの煮汁 : 大さじ3(既製品のチャーシューを使うなら醤油で代用)
 胡麻油 : 大さじ2〜3
 胡麻、オイスターソース : 各大さじ1
 おろし生姜、おろしにんにく : 各小さじ1/2
 豆板醤(もしくはXO醤) : 小さじ1
 がらスープ(既製の中華スープで充分) : 1/2カップ
3. 麺茹で。完成。
中華麺を茹で、茹だったら水気を切ってたれと混ぜ合わせる。よっく絡める。
別途薄切りにしたチャーシュー、煮卵、好みでメンマなどを上に乗せる。
4. いただきます。
適当に食べたところで酢とラー油を少々垂らす。これがまた旨い旨い旨い!

11/7 (火)
8枚重ねパンケーキ 林檎の飴煮添え (昼御飯)
鮭と根菜の粕汁
ご飯
抹茶入り玄米茶

だんなが作ってくれていた「鮭の粕煮」、少し余っているけど煮詰まってしまって「鮭粕鮭粕」と全体的に鮭の塩気と酒粕のアルコール分でやたらと濃厚なものになってしまっていた。
で、思い切ってお湯で割り、割ったついでに醤油と味醂で酒粕のみの味だったものをちと調整し、汁っぽくなったので大根と人参も放り込んでみた。こうして「粕煮」は「粕汁」へ。おおー、適当にやった割には良い感じ。

味醂を心持ち多めに入れて甘口にした粕汁は身体がぽかぽかと温まる。
酒粕は、この時期になると出てくるペースト状の柔らかなものが美味しい。この粕煮はお義母さんがくれた「山田錦 大吟醸」の酒粕で作ったものだ。冬も本番になってくると、「越乃寒梅」の酒粕などが味噌売場に出たりする。これで豚味噌鍋作ると最高に旨いので、密かに待っている私。……別に越乃寒梅そのものの味がするわけじゃないけれど、やはり旨いと思う。

8枚重ねパンケーキ 林檎の飴煮と生クリーム添え
カラメルミルク

まだ熱の下がらない息子のために、昼御飯を思案する。朝の粕汁もいらんと言うし、ご飯も食べたくないというし、牛乳は飲めないけどカルピスは飲むと意思表示する。わがままだ。……病気なのだから仕方ない。

そして目の前には、つい数日前に買ってきた『バーンと、おいしいおやつ』(文化出版局 小林ケンタロウ)なる書籍がある。表紙のホットケーキにバーンと心に揺さぶりを受け、捲ってみたところ分厚いパンで作ったフレンチトーストなんかがあってまたまたバーンと琴線をかき鳴らされ、いそいそと買ってきてしまったものだ。どうも私はケンタロウ氏のレシピに弱いらしい。しかもおやつだなんて、困っちゃうではないか。

で、その表紙だ。表紙のパンケーキが圧巻なのだ。
うず高く積まれた、8枚ほどのパンケーキ。上から柔らかなホイップクリームがたら〜んと垂れかけていて、更に上からは果実のフォルムもはっきり残った美味しそうなイチゴのソースがこれまたたらたら〜んとかかっている。めっちゃ旨そう。たまんなく美味しそう。
今日の昼飯の目標、「これを真似してみよう」。息子もきっと食べるはずだ。

いちごは無いので、林檎で飴煮をすることにする。アップルパイの中身に入っている茶色く煮詰められた林檎。林檎とレモン汁と砂糖を鍋に入れ、水分は入れずにとろとろ火を通すとあのようなものになるらしい。砂糖が溶けて液体になり、林檎から出た水分と良く絡んだ後にじわじわと茶色く染まっていく。程良く飴色になったところで飴煮完成。カラメルのこびりついた鍋は洗うのが大変だけど、牛乳を入れて熱してしまえば、カラメルが牛乳に溶けて美味しいホットミルクになる上に後かたづけが楽になって一石二鳥。

普段はホットケーキミックスで焼くパンケーキも、今日は神妙にレシピを見ながら自作する。卵をほぐして砂糖を混ぜ、牛乳と溶かしバターとバニラエッセンスを混ぜ込んでから薄力粉とベーキングパウダーと塩をふるい入れ、滑らかに混ぜたらあとは焼くだけ。思いの外簡単だ。
焼いては皿に盛り、冷めないように布巾をかぶせて、更に焼く。うずたかく積まれたパンケーキは本と同じ、8枚になった。林檎の飴煮を上に乗せて、ホイップクリームを横に添える。壮観だぁ。幸せだなぁ。

さて。作ったは良いけどどうやって食べれば良いのだろう。
せっかく積み上げたのに、上から1枚1枚剥がして食べるのは邪道のような気がする。しばらく考えて、結局上からナイフをえいやっと入れることにした。下までスパーンと一口大の大きさで切ってから、3〜4枚をフォークにぶっすと刺して、食べる。息子にもその「3〜4枚セット」のやつを皿に分けてやって「このまま食ってみ?」と告げる。素直な彼は、口の幅いっぱいにパンケーキを詰め込んではふはふと食べ始めた。美味しいらしい。

いつも作るような、厚めで大きくて2枚食べたら満腹しちゃうようなパンケーキもとても美味しいけど、ちょっと薄めに焼いた壮観美麗な"積み上げパンケーキ"も美味しかった。いちごの季節になったら今度はいちごソースを作ってやることにしよう。

三つ葉と牛肉のサラダ
鮭の混ぜご飯
大根の味噌汁
よなよなエール、麦茶

塩がきつめの鮭があるので、「……とりあえず茹でちゃえ」と思う。
焼いて食べるには塩辛そうだ。「茹でちゃえ」から、「だったら混ぜご飯だな」と夕飯計画はより現実味を帯びてきた。
茹で鮭をほぐして、胡麻とちぎった焼き海苔を合わせ、醤油と酒と胡麻油を垂らす。ご飯を混ぜ込めばできあがり。よし一品。

続いて冷蔵庫の残り物と相談しておかずを一品。牛肉の切り落とし肉を茹で、三つ葉を刻み、刻み唐辛子と醤油と胡麻油でガーッと混ぜたもの。三つ葉は生だ。生々しい三つ葉をシャキシャキ言わせてビールを傍らに食す。
サラダでビールを一缶飲んで、大根の味噌汁と一緒に鮭の混ぜご飯を食す。

……良く考えたら、サラダもご飯もケンタロウ氏のレシピであった。何だか彼のレシピに染まってしまった今日。

11/8 (水)
かじきまぐろのかぼす漬け (夕御飯)
りんごの飴煮混ぜヨーグルト
牛乳

昨日、パンケーキ用にと作ったりんごの飴煮がちょっとばかり残っている。
カラメルの味が濃厚に甘く、そのままつまんでも良い感じ。
「余ったら、ヨーグルトに入れて朝ごはんにどうぞ」
なんて手本にした『バーンと、うれしいおやつ』(文化出版局・小林ケンタロウ)にあったものだから素直に真似してプレーンヨーグルトにぶっこんでみる。カラメルと酸味のあるヨーグルトの組合せやいかに!?と戦々恐々口にしてみたら、これがなかなかいける。甘い甘いりんごがヨーグルトに混ざってかなり良い感じだ。

ヨーグルトと一緒に牛乳を流し込んで、今日はお仕事ほいさっさ。

鮭の混ぜご飯おむすび×2個
いぶりがっこ
緑茶

昨夜作った鮭の混ぜご飯がまだまだあったのでぎゅうぎゅう握って会社に持っていく。
大きめの三角形のやつを2個、海苔でくるんで"いぶりがっこ"と一緒にアルミホイルに包む。私は沢庵はいまいち好きでないけど"いぶりがっこ"は大好きだ。桜のチップで燻製された沢庵である"いぶりがっこ"は秋田に住む伯母が良く送ってくれるもの。秋田に行くと茶うけとして菓子代わりに出てきてしまうのもこの"いぶりがっこ"だ。味わい深い。

おかずに鶏の唐揚げでも近所で買おうかと思いつつ、おむすびの巨大ぶりにそれは諦めた。ずしっと重たいおむすびを緑茶を傍らにはぐはぐと食べる。塩のきつかった鮭は、茹でてご飯に混ぜてもまだちょっと塩辛かった。

かじきまぐろのかぼす漬け
アスパラガスのきんぴら風
茄子と油揚げの味噌汁
ご飯

かじきまぐろを買い置きしてある。パスタにしようか、丼ものにでもしようかと思案しながら帰宅。正直言って、昨日の「8枚重ねパンケーキ」で微量の胃もたれ継続中(だから朝・昼と軽くしてたのね……)。8枚パンケーキでへこたれてしまうなんて、私の胃袋も惰弱だ。(←ホントにそうか?)

ともあれ、かじきまぐろはさっぱりと食べることにする。帰宅するなりフライパンでジュッと焼き、醤油と酒と味醂とかぼすの絞り汁を放り込んだバットにそのまま漬け込む。漬け込んでから御飯を炊く。炊いてる間に味が染みる。頑張れかじきまぐろ。

お味噌汁は茄子と油揚げ。茄子の紫色も鮮やかな、火の通り具合が絶妙の美しい味噌汁よりも、煮込まれてくたっと味噌色になってしまった茄子が浮かぶ味噌汁の方が実は好み。いつも使う、秋田の祖母手製の味噌に赤味噌を混ぜて濃い目に作る。
発掘したアスパラガスは赤唐辛子と一緒にオリーブ油で炒め、醤油をひとたらし。

"さっぱりした夕食"を狙って作ったさっぱりした魚料理は、想像以上にさっぱりしてしまった。
元々脂の少ない魚に柑橘類を合わせたものだから、何だか喰ってる気がしないほどさっぱりさっぱりしている。たっぷりのオリーブ油で炒めたアスパラガスのほうが余程こってりと舌に残るので、アスパラガスと濃いめの味噌汁をおかずに御飯を食す。

ああ、しかし物足りないなー。アイスでも喰っちゃおうかな。

11/9 (木)
チーズソースのペンネ (夕御飯)
胡麻入り卵焼き
茄子と油揚げの味噌汁
ご飯
アイス烏龍茶

胡麻入りの卵焼きを焼く。卵焼きフライパンはないので普通の小型フライパンに胡麻油をなじませ、だしと醤油入りの卵液をじゃーっと流し、固まる前にうりゃっ!と胡麻をふった後、急いでパタンパタンと折り畳む。じゃーっ、うりゃっ!パタンパタンを3回くらい繰り返すと少々いびつな形ながら卵焼きができる。美しく盛り付けた後、くちゃっとなってる端の部分は皿を並べてくれる息子と一緒につまみ食い。

我が家には卵焼き器はない。こないだスーパーで300円にてテフロン加工の四角いフライパンを売っているのを見つけたけれど、収納場所等々を考えて買うのは止めた。それにどうせ買うならあのピカピカした銅製の卵焼き器がやっぱり欲しい。
大体、四角いちゃんとした卵焼き器を買っちゃったら"くちゃっとなってる部分のつまみ食い"ができなくなってしまうのだ。お弁当を作りながらぽいっと食べたり、朝御飯の準備しながら影でぽいっと食べたり、そういう密かな楽しみがなくなるのは非常に困る。困ってしまう。
だからしばらくいらないのだ、卵焼き器は。

キットカット Petit
牛乳

「おむすびか菓子パンで簡単に済ませるかな〜」
とコンビニへ。目が合ってはいけないものと目があってしまった。そもそも大体、何故私はお菓子売場に立っていますか。

商品名は「Kit Kat Petit」というらしい。見慣れない四角い箱に入ったそのキットカットはどうやら小袋入りのキットカットが入っているようで、公式サイズのあの4本くっついているやつの1本分、しかも長さ半分くらいものが1袋あたりのサイズであるらしかった。14個入り。
1日1個食べれば14日分。
1日2個食べても7日分。
1日3個食べると……最後の日は2個で我慢して5日分。
1日4個食べちゃったら2日4個、続く2日は3個で我慢。
1日5個盛大に食べると3日しか食べられない。しかも3日目は4個だ。
……おお!1日7個なら2日できっちり喰いきれるじゃないか!
売場で悶悶と考えてしまう私がいる。「2箱買ったら1日4個で1週間喰えるわ……」なんてことまで応用として思い至ってしまい、一人どきどきする。バカである。

「それは低カロリーだよね」
自分以外には全く理解できないであろう論理にのっとり、1箱買ってきた。あの時の自分は3〜4個つまんだ残りは息子とでも分け合うつもりであったのだと、後に私は述懐する。

お供には牛乳だ。キスチョコには緑茶が似合うけどキットカットならば牛乳だ。牛乳を傍らにネットサーフィンなどしながらぽりぽりと食べる。食べる。食べる。
……気が付いたら、箱の残りは3個になっていた。
あれぇ、この箱6個入り?不良品だ……(←嘘はいけません)。

チーズソースのペンネ
鮭の洋風煮込み
アイスコーヒー

冷蔵庫の中の「そろそろ食べちゃわなきゃいけないクリームチーズ」と「そろそろ食べちゃわなきゃいけない鮭」と目が合う。
「鮭のクリームチーズ煮込み」。
……それはちょっと違うような気がする。冒険は止めておこう。

ここはスタンダードに、チーズはペンネに絡めて食べることにする。ゴルゴンゾーラチーズも冷蔵庫から発掘されたので、両方合わせて濃厚なソースに。
にんにくたっぷり、ベーコンたっぷりをまずは用意。ペンネを茹でている横でオリーブ油にて薄切りにんにくと角切りベーコンをじくじくと炒める。炒まったらチーズを投入。本来は生クリームも投入するのだけど生クリームはないので牛乳を少量垂らして代用する。チーズが溶けたそのソースの中に茹でたてのペンネを放り込んで軽く和えたらできあがり。胡椒をガーリガーリと挽き、冷めたら固まって不味くなるので速攻食べなきゃいけない。

そして鮭はコンソメで煮たスープにすることにする。バターでにんじんと玉ねぎを炒め、更にバターを足して鮭をジュッと焼き付ける。焦げ目がついたら白ワインをジャッとかけて、水と顆粒コンソメをぶっこんで煮ただけのもの。夕食が終わったら、ルーを溶いてクリームシチューに化けさせる予定。化けたシチューは明日の朝御飯になるはずだ。

さて、ひっさしぶりに家で作ったチーズのペンネは旨かった。
イタ飯屋では「4種のチーズのペンネ」なんて名前でモッツァレラだのエメンタールだのゴルゴンゾーラだのゴーダだの、色々な種類のチーズを使って作ったりする。ものの本によると「青かびチーズを1種類でも入れると引き締まります。入れすぎは禁物。」なんて書いてある。確かに青かびチーズはつきぬけるような匂いがあってピリリと辛みがある。諸刃の剣のような食材なのだ。
息子も食べるし、とほんの1かけ入れたゴルゴンゾーラはそれでも独特の風味が漂ってくる。生協ブランドの、しかも安売りしていたクリームチーズを使ったのにこれだけでちょっと変わった味になる。うりゃうりゃと入れたにんにくとベーコンも良い感じ。

さて、あと2時間ほどでだんなが3泊4日の福岡出張から帰ってくるはずだ。
「シュークリームとラーメン買ったよー」
と元気な声が電話の向こうから聞こえてきた。
きっと帰ってきて早々にシュークリーム食べるんだわ。……コーヒー、煎れておこう。

福岡 しゅうくりぃむ屋さんの
 シューサクくん
アイスカフェオレ

「どっちの料理ショー」を正座しながら見ていた私。
めでたくシュークリームが6対1で勝ったところで、福岡からだんな帰宅。
渡された大きな箱に入っていたのは、博多駅名店街にある「しゅうくりぃむ屋さん」なるところのシュークリーム5個。福岡の住人だった友人Kさんが教えてくれたお店だ。だんな、予約してまで買ってきてくれたらしい。「持ち歩きは2時間まで」と言われていたところ、強硬にこっそり4時間持ち歩いて帰ってきた。さすがだだんな。今日の対決を見越して買ってきてくれたのねっ(←そんなことはありません)。

大きなシュークリームの生地はやや固め。上のほうはカリッとしている。中にはカスタードクリームとホイップクリームを併せたような柔らかなクリームがみっちり詰まっている。この巨大さが嬉しい。さっぱりめの淡い甘さのクリームもまたよし。
夜も10時半を回っているというのに、だんなと2人2個ずつ食べる。息子は1個。

で。「どっちの料理ショー」である。どら焼きVSシュークリームである。

当然私はシュークリーム派だ。どら焼きの素朴な皮も粒あんも馴染み深くて大好きだ。例えて言うなら産まれた時から知っている従兄弟のような存在だ。しかしシュークリームはいけない。生クリームに牛乳、バターに卵たっぷりのシュークリームはいけないだろう。例えて言うなら及川光博みたいなもんだ(すいませんファンなんです)。

どうするよ。目の前にどら焼き持った従兄弟と、シュークリーム持ってキラキラしてる及川光博がたたずんでいたら。
そりゃもう及川光博に突進してしまうってもんだ。全く良くわからない例えである。しかもどら焼き持った及川光博とシュークリーム持った従兄弟が立っていたら、私は従兄弟に突進してしまいそうでそっちのほうが恐ろしい。すまん及川光博。

閑話休題。
しかしあれだね。番組の中で作っていたのもそうだったけど「シュークリームの美味しいお店」ってのはどうしてああ気張ってしまうのだろう。ラズベリー詰めてみたりイチゴ飾ってみたりキウイ乗せてみたりチョコかけてみたり大変なことになっている。「皮はサクッサクで」なんて言いながら、まるでパイのようにグズグズ崩れてしまう生地だったりなんかして。そういうタイプの皮はミルフィーユあたりに任せておけば良いと思うのだけど、どうだろうシュークリーム。

やっぱり理想は噛むと適度に弾力があるような「ふかっ」とした感じの生地。そいでもって中身はこってり濃厚なバニラの粒々のあるカスタードクリーム。もしくはカスタードクリームとホイップクリームの二層。混ぜてあっても可。華美な装飾はなく、フルーツなども飾らず、ただただ「ふかっ」の皮の中にクリームが詰まっているような、そんなシュークリーム。身近なところで言えば「ヒロタ」のシュークリーム。そんなシュークリームが好きなんだけど……それは世間一般の嗜好とは異なるのだろうか。みんな華美華美なやつが好きなのだろうか。むぅ。

番組、最終的に出てきたシュークリームの華美な装飾に多少のめまいを覚えながら思った。
「あの特選素材を使ったロイヤルミルクティーは、ずるい……」

11/10 (金)
手羽と大根の中華煮 (夕御飯)
鮭のクリームシチュー
ご飯
アイス烏龍茶

塩鮭でシチューは、無謀だったらしい。
昨日コンソメ味だったスープは塩気といったら鮭のものだけで塩を追加でふったりなどはしなかった筈なのに、シチューのルーを溶いて牛乳を足してシチューにしたものの塩辛いこと塩辛いこと。喰えないほどじゃないけれど、やっぱり磯の香りのクリームシチューよりは鶏肉のクリームシチューの方が美味しいもんだなとしみじみ思った次第。

塩気のあるシチューとご飯。塩味をごまかすがごとくわしわしと銀シャリをぶっこんでいたら、ふと「アカシア」のロールキャベツを思い出した。
確か新宿アルタ脇の道をぐぐぐっと歌舞伎町方面に向かって歩いたところにある洋食屋「アカシア」。あそこの名物ロールキャベツはコンソメでもなくトマトソースでもなくクリームソースで煮られている。どろりと濃度の高いソースはいつもちょっとばかり塩気が効いていて、時にはとんでもなく塩気が効いていたりする。本格洋食というよりはちょっとチープめな味がするその店の料理は安さもあいまっていつも人気、混雑している。
私は当然その店がかなり好きだけれども、だんなに至ってはソウルフード値(記憶に残る魂の味ってやつ)がめちゃめちゃ高いようで絶賛しまくり状態だ。そろそろロールキャベツも美味しい季節だねぇ。キュッと締まった冬キャベツでロールキャベツ。

プレーンヨーグルト ダイエットシュガーぶっかけ

朝に濃厚塩気ものを食べてしまったのでさっぱりしたものが食べたくなる。
プレーンヨーグルトに砂糖をかけただけみたいなやつをツルツルと飲み込みたい気分。
で、タカナシプレーンヨーグルトに常備している袋入りパルスイートスリム(ダイエット甘味料)をうりゃ!とかけて食す。酸味の淡いヨーグルトは口が「*」印になることなくいくらでも食べられて、美味しい。

にんにくの芽と舞茸のオイスターソース炒め
手羽と大根の中華煮
青梗菜と卵のスープ
ご飯
軽井沢高原ビール(アンバー)、アイス烏龍茶

昨日までの出張で4日間外食続きだっただんなのために、ちょっと気合いを込めつつ夕食の支度。
鶏の手羽肉には醤油と砂糖と豆板醤と五香粉(=うーしゃんふぇん。中華のスパイスミックスみたいなもの)を混ぜ込み混ぜ込み、漬けている間にスープを作る。青梗菜をラードで炒めて鶏がらスープでのばし、湯で戻した干し椎茸と塩と水溶き片栗粉と溶き卵を次々放り込む。胡麻油を垂らせば、なんとなく中華スープ。

漬けていた手羽肉は、レシピによると揚げなきゃいけないものらしい。しかしめんどくさいのでちょっと多めの油で焼き付けることに。煙が出るほどカンカンに熱した中華鍋で一気に手羽を炒め、程良くキツネ色になったところで水を入れる。大根も入れる。味つけは引き続き醤油と砂糖、豆板醤などを加えつつあとは煮詰まりすぎないように見つつガーッと煮込んでいくだけ。1時間もしないうちに大根も鶏肉も綺麗な褐色になる。美味しそう。
ついでに付け合わせにとにんにくの芽と舞茸をオイスターソースで炒めたものも作り、中華な晩御飯。

醤油味の甘辛い煮込みに、オイスターソース味の甘辛い炒め物はどちらもビールが進んでしまう。ご飯も進んでしまう。手羽の骨をしゃぶる作業もあって、何やら食卓は無口になる。それでも骨からほろっと撮れる手羽や表面から内部7mmほどまで綺麗に褐色に染まっている大根も思った以上に上出来だった。

話は変わるけど、いつか読んだ本によると小林カツ代家では「食事を作った者は食事の後かたづけをしなくても良い」という掟があるらしい。羨ましい掟で是非我が家でも真似したい掟ではあるけど、目下のところ動ける者が2人では機能させるのが難しい掟である(息子は2歳で手伝いよりも破壊行動のほうが得意だ)。それでも準備や片づけは皆で動いた方が早く終わるので、何となく皆でばたばたすることに。

今日もビールを飲み終わった後、お茶入れ・スープ準備・ご飯盛りをしようと席を立ったところでだんながススと寄ってきた。
「おゆきさん……ご飯、よそいましょうか?」
両手をこちらに差し出し、眉毛の端を下げ気味にしているだんなは、心なしか森本レオの声だ。
「……なんで森本レオがご飯をよそってくれるの?」
と返すと、
「ん〜なんででしょうね。……わからないですね。」
と森本レオの声のままでしゃもじを持って動いていた。
森本レオのよそってくれたご飯を食す。へんな感じ。

11/11 (土)
銀座グリルスイスにて「千葉さんのカツカレー」 (昼御飯)
銀座 グリルスイス にて
 千葉さんのカツカレー
 ミニサラダ
 烏龍茶

突き抜けるような青空の天気の良さに
「動物園に行こう!」
と盛り上がる。近隣の動物園と言えば、やはり上野動物園だ。パンダである。ゾウである。キリンでありカバである。ニホンザルも忘れずに。
続く議題は"どこでご飯食べる?"だ。上野で鰻だの、銀座で鰻だの、あるいは晴海埠頭でホットドッグだの、さんざん話し合った結果、
「千葉さんのカツカレーだ!」
ということに。

銀座の裏通り、かの有名な「煉瓦亭」の横に「グリルスイス」はある。なんでもカツカレー発祥の店であるということで、「元祖カツカレー」なるものがあるが、その他に「千葉さんのカツカレー」がある。元プロ野球選手の千葉繁さんが愛していたという名物カレーだ。銀色のトレーにどかんとカツ、どかんとご飯、どかんと千切りキャベツ。そしてひき肉ベースの辛さ控えめなカレーがどかんとかかっている。スープつきで通常1600円。ランチタイムサービスで12時前の今は1300円。400円足すとミニサラダとドリンクがついてくる。いかす。

開店後そう時間は経ってないはずなのに、今日も煉瓦亭は大行列。いかにも銀座らしい"ハレの日"的お洒落をしている親子連れや老父母を連れた息子夫婦らしき人々、恋人たちに女性客数人のグループ。確かに煉瓦亭はすごく美味しいと思うけど、でも行列に並んでまで飯を喰うという気にはならない。グリルスイスは密かに人気はあるけれどそうそう大行列にはならない。いつでもすぐに座って喰える店。だから嬉しい。美味しいし。

だんなも私も「千葉さんのカツカレー」。息子用に「オムハヤシ」を頼む。すぐにいつものスープがやってくる。じゃがいもベースのような、コーンスターチでとろみをつけたような感じのとろりとしたアツアツのスープだ。ベーコンのかけらや野菜のかけらがふわふわと漂っていて、ほんのり塩味のやさしい味のスープはだんなの大好物。コーンの大好きな私はコーン抜きのこのスープはちょっとばかり物足りなく思ったりするけど、来たるべきカツカレーの濃厚さを思うとこんな感じが良いのかもしれない。アツアツのスープをすすりつつ、料理が来るのを待つ。

今日もどかんと、銀色のトレーがやってきた。大きなカツにいつものひき肉カレー。起き抜けで朝御飯を食べてこなかったとは言え、12時過ぎたばかりの時間にこんなボリュームのあるもん喰ってもよろしいんでしょうか。脂身もあるじゅわっとしたカツにカレーを絡めて食べ、ご飯のカレーを絡めて食べ、ついでにキャベツにも絡めて食べ、はふはふ言いながらひたすらカレーを食べる。野菜の塊などは一切ない、ただただカレーソースにひき肉が漂うだけのカレーだ。それがまた時々無性に食べたくなる。千葉繁さんの事は知らなくても、この店に来るものは皆「千葉さんのカツカレー」を知っている。そここで飛び交わされる注文にもこの単語がとても多く含まれる。……相変わらず、旨い。

横の息子は息子でアツアツのスープと格闘しつつ、自分の分のオムハヤシに真摯に取り組んでいる。
ご飯の上に可愛らしいオムレツ、周囲には少しケチャップの風味がする甘さの強いハヤシソースがたっぷりかかっている。ソースの中には塊肉やら野菜やらが、こちらはごろごろと入っている。

水を何回かお代わりしつつ、全員料理を平らげてからいざいざ上野動物園へ。

銀座 おかずや にて
 ガーリックトースト
 江戸餃子
 さっぱり豚しゃぶサラダ
 油淋鶏
 茄子の揚げだし
 長春巻
 五目あんかけおこげ
 フレッシュマンゴープリン
 生ビール、モスコミュール

午後5時。上野から銀座に戻ってきた。
いや、しかし晴天の土曜日の上野動物園はすごかった。どこからこんなに子供連れが沸いてくるのかと思うくらい子供連れが多かった。そういう我らも沸いて出た子供連れの一組だ。
動物園内をぐるぐる歩き、ユニクロでフリースを買い、本屋で大量の本を買い込み、そうして足の裏は疲れでジンジンと痺れていた。足の裏だけではなく、だんなと交互に息子をだっこしたりなどしていて身体中が披露していた。
しかも園内の休憩所には「生ビール」なんて魅惑的な文字をちらつかせたノボリが立っていたりなんかして、疲れも頂点の頃にその3文字を見てからというもの私の頭の中には「生ビール」という言語しか浮かんでこなかったくらいだ。

「おゆきさん、そろそろ帰りましょうか。」
「生ビール……飲みたい……。」
「うん、だからデパートで食材買ってさ……。」
「生ビール……飲んで帰りたい……今ここで……。」
「すき焼き食べ放題でも行く?」
「生ビール飲めるならどこへでも……。」
その時の私は「生ビール」を語幹としなければ会話もできない状態であったらしい。

で、結局乗り換え地点である銀座に戻ってきた。夕飯のメインは当然「生ビール」だ。お供は当然「生ビールが美味しくなるつまみ」だ。私もだんなも大好きな「おかずや」なる店に向かうことにする。

「おかずや」は洋風居酒屋だ。チェーン店ではなく、ただ銀座内に1〜2店ばかり支店ができたらしい。高速道路の下、銀座インズの2階にある。ビールや日本酒、ワインやカクテルを適当に配し、酒の肴になるようなおかずが揃っている。何故か妙に「おこげ」が旨く、デザートも"飲み"の後に嬉しいものがいくつかある。何かとぐっとくる店だ。店員さんの元気は良いし、気配りも悪くない。

5時半の開店と同時に、他の数組の客ともども入店。幼児連れの客は当然我らだけだ。
「生中、2つ。あとオレンジジュース1つ。」
と言ったやいなや、
「はいっ!ではまずお飲物をお先に!」
とぴゅーっと店員さんは奥に消えていき、すぐにビールがやってくる。まずは互いの今日の健闘を讃えて乾杯。歩き回って喉が乾きまくったところでのビールの何と旨いこと旨いこと旨いことっ!すぐに1/3ほどが空になる。
「本日のおすすめ料理」のコピー紙を見ながらあれこれぽいぽいと注文。私もだんなも飲めば食欲に拍車がかかるタイプだ。
「カツカレーがまだ消化しきれてないしね。」
なんて言っていたはずなのに、一口飲んでは食べたくなり、二口飲んでは追加料理が欲しくなる。

息子用にと頼んだガーリックトーストは、バターと一緒にパンに染みているにんにくの他に細かい刻みにんにくも上にたっぷり散っている。
小さめのものが5個並んだ「江戸餃子」なる1日25皿限定の焼き餃子は、不思議とほんのり甘かった。こんがりと焼けた皮の中には肉汁たっぷりの柔らかな肉あんが詰まっていて、想像以上に美味しい。餃子で有名な銀座「○龍」よりも数億倍好みだ。
生野菜が敷かれた油淋鶏は相変わらず衣パリパリだし、茄子の揚げだしは何故か衣がついた天ぷら状のものだったが、これまたビールと合う合う合う。いつしかビールもなくなり、私はモスコミュール、だんなはワインを続行して飲む。

息子はというと、自分の分のオレンジジュースを飲むよりも横の親が飲んでいるアルコール飲料がどうにも気になって仕方がないようなのであった。ビールを奪って一口飲み、モスコミュールも「おいちぃ!」と言って一口飲み、座った眼をしながらだんなのワインを数口飲んでしまって数分後、顔が赤くなってきてしまった。居酒屋に酔っぱらいは不自然じゃないけれど、幼児の酔っぱらいは異様である。赤い顔してソファ席に「ふぃ〜」なんて言いつつニコニコごろごろしている息子を尻目に食事を続ける。あああ、どうか周囲の席が埋まりませんように。

チーズと長芋、海老入りの長細い春巻という創作料理もつまみつつ、最後は当然おこげだ。ここのおこげは美味しい。マジで美味しい。揚げ方が絶妙なのか、アツアツのあんをジャーッとかけても想像以上に長い間パリパリ食感が続くのだ。うずらの卵やきくらげ入りのあんもまた、酒の後になんとも馴染む味がする。

「まだ早いからさ」
食べ終わっても7時というところだ。きっと後で腹が空く。そう、腹が空くんだよ、私たち……。
「……家に帰ったら、福岡土産のマルタイの棒ラーメンでも食べる?」とだんな。
「それもいいけど、不二家のショートケーキを買って帰る?」と私。
「……両方っ!?」とだんな。
「……両方っ!?!?」と私。
さすがにそれはヤバいでしょう。どうヤバいのかはわからないけど。

11/12 (日)
ヨコイのスパゲッティ (朝兼昼御飯)
ヨコイのスパゲッティ チキンナゲットwithめだま焼き
アイスカフェオレ

久しぶりにヨコイのスパゲッティ。
名古屋名物"あんかけスパ"のヨコイ。その粘度の高いソースはレトルトパックになっている。ソースに合うようにと作られたオリジナルの太めの乾麺はこれまたパック詰めになり販売されている。この近隣で買えるところと言えば横浜クィーンズイーストのThe dancyu shopくらいしか知らないので、せっせと通信販売している我が家であった(山盛り買っても送料300円で届けてくれるし)。

朝起きて早々(と言っても時間は既に午前11時だったりする)に、だんなが台所で動き始める。ヨコイへの愛が深いのはだんなである。従ってヨコイ調理はだんな担当。「その料理への愛がより深い者がその料理を作るべし」(せりあ家家訓より)

レトルトパックを使うにも関わらず、なかなかめんどくさい工程のスパゲッティである。最終的に洗わなければいけない鍋の数は他のどのパスタ料理よりも多い。

  1.  麺を茹でる。アルデンテに。
  2.  ソースのレトルトパックを熱湯に入れて温めはじめる。
  3.  麺が茹であがったら一度冷水でキュッと締める。
  4.  中華鍋にサラダ油をなじませ、「こんなに入れちゃって良いんだろうか」(だんな談)というくらいのたっぷりのバターを投入。締めた麺を入れ、わっせわっせと炒める。バターがなじみ、良く炒められた状態になる頃にはアルデンテをすっかり通り越して中まで火の通ったスパゲティになる。これがベストな状態。
  5.  4と同時並行に具の準備。ソーセージを焼いたりチキンナゲットを温めたり。目玉焼きも忘れずに。目玉焼きは当然半熟。
  6.  大皿に麺を盛り、具を盛り、目玉焼きをてっぺんに乗せる。そして麺の周囲にソースを敷く。
  7.  あとは、半熟の卵の黄身とソースと麺に絡めつつ、ついでにチキンナゲットもソースに絡めつつ、喰うべし喰うべし喰うべし!

麺がアルデンテではいけなかったり、水で締めてからバターで炒めたりと、イタリア人が見たら唖然としてしまいそうなスパゲッティだ。それでもこの麺とこのパスタはこの状態でしっくりと来るのだから仕方がない。
ヨコイのソースには、ちょっとジャンクな具が似合う。カキフライとかエビフライも当然美味しいけど、冷凍ナゲットや安売りしているシャウエッセンなんかの方が一層しっくり来る。

家族全員、太い麺をもっきゅもっきゅと喰いながら、"この味をどう表現するか"について議論する。
「マクドナルドのチキンナゲットについてくるバーベキューソースと似ているような。」
「でもそんなに甘くないよ。」
「だから、バーベキューソースからケチャップ味を抜いて、胡椒をうんと効かせたような。」
「……それ、すでにトマトの味じゃなくなってる。」
「辛いし。」
「とろみ、っちゅーより"あん"だし。」
「ヘンだよねー。」
「美味しいよねー。」
……結局ファンなのである。

アメリカ人から貰ったチョコレート
アイスココア

午後3時、おやつ。
福岡出張の際、会議に同席していたアメリカ人からだんなが貰ってきたチョコレートの箱をばりばりと開ける。
ころんと並ぶ20個ばかりの丸いチョコレート。美味しそう。
床暖房で部屋がぼわぼわと暖かいのでアイスココアを入れることにする。

ココアは「バンホーテン」だ。粉のやつを手間かけて練り練り練り練りして作るやつがやっぱりサイコーだ。
いつもならマグカップにココアを入れ砂糖を入れ、ほんの少しの熱湯を入れてペースト状になるまで練るところを、今日は小型ボウルに家族分のココアを入れ砂糖を入れ熱湯を入れ、小型泡立て器でえっさえっさとかき混ぜる。溶けただけではいまいちで、ちょっと粘っこくなるくらい執拗にかき混ぜる。そうしてペーストをグラスに分けて牛乳をたっぷり注ぐ。熱い牛乳ならホットココア、冷たい牛乳ならアイスココア、簡単だ。

"どうせみんなお代わりするし"とグラス6杯分作ったアイスココアを飲み干しつつチョコレートを囓る。
表面がカリッと固いチョコレートの中には甘く甘く甘く煮てあるチェリーがころんと入っている。チェリーチョコレートだったようだ。しかし……甘いなぁ。チョコレートはチョコレートだけの味がする混ざりもののないシンプルなものが好きだったりして、どうも中にヌガーだの果物だの洋酒だのが入っているのはイマイチ好きじゃない。

すまん、すまんアメリカ人!とこっそり心中謝りながら、1個食べて蓋してしまったチョコレートの今後を懸念する。だんな、職場に持っていってくれないかなぁ。

そうそう福岡出張と言えば、朝食後からだんなは一生懸命キーボードを叩いている。色々な福岡ラーメン店に寄ってきたようで、あそこの店は旨かったとかあそこは最悪だとか色々報告してくれたので「レポートでも書いたら?」と勧めてみたのだ。鉄鍋餃子屋でいろいろおまけして貰ったり、かつてないほどのムカつくお店に入ってしまったり、それなりに波瀾万丈な喰い歩きであったらしい。
食欲大魔人特別寄稿 : 九州ラーメン(+α)行脚
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アスパラガスのアンチョビマヨネーズがけ
ロールキャベツ
ご飯
モルツ、アイス烏龍茶

昨日、閉店間際の銀座松屋で買い物してきた。1kg500円(税込)の合挽肉だ。残りほんのわずかだったセール品の合挽肉は1kgには満たなくて、売場の兄ちゃんは隣のケースに入る100g200円の牛ひき肉や100g130円の豚ひき肉をうりゃうりゃと詰めていた。ちょっとばかり得した気分。

1kgのひき肉の半分ほどを使ってロールキャベツを作成。キャベツも1個、どかんと使用。
キャベツの芯をグリッとえぐってから丸ごと茹で、玉ねぎと卵と塩胡椒を加えて練りこんだひき肉を包んでいく。私が1枚1枚キャベツを広げる脇でだんながひき肉をその上に乗せていき、どんどんロールキャベツを作っていく。13個ほどのロールキャベツがめでたく完成。あとはコンソメスープで煮ていくだけだ。

トマトソースやホワイトソースのロールキャベツも美味しいけど、「我が家のロールキャベツ」となるとコンソメ煮をどうしても思い浮かべてしまう。だんなも念を押すように、「コンソメで煮てくださいねー」などと言っていた。

子供くさいと思いつつコンソメ煮のロールキャベツにはケチャップをかけて食べなきゃ済まない私。
1個1個のロールキャベツの上ににょろにょろと多めのケチャップをぶっかけて始めて美味しいと思う。最後にはケチャップ色に薄く色づいた赤いスープを飲み干して、それで満足。ロールキャベツは美味しいねぇ。