食欲魔人日記 01年08月 第1週
8/1 (水)
カマンベールチーズとクラコット (夕御飯)
有楽町レバンテのあんぱん
牛乳

昨夜のだんなのお土産は、"あんぱん"だった。
有楽町、交通会館ビルの目の前にある「レバンテ」という洋食屋(というかビアホールというか)の小さな名物のあんぱんだ。以前このレストランの母体企業が営業先だったのだけれど、その会社の方が揃いも揃って
「うちのあんぱん、美味しいんですよー」
「あんこが、こーんなにいっぱい入ってて!」
「いやぁ、うちらは木村屋にも負けてないと思うんですけどねぇ〜」
と絶賛しちゃっているのであった。その口ぶりたるや、本気で「あのあんぱんも、あの店も自分たち大好きなんです」という思いが感じられるものだったりして、いつのまにか私もこの店とあんぱんが気に入ってしまっていた。今や、だんなまでふらりと通う店になってしまったらしい。

かなり薄めのパン生地にくるまれるのは、げんこつ大の粒あんがごろりと入っている。なかなか大きなあんぱんなので、1つ食べてしまうと昼まで腹持ちは充分、という感じ。
「あんぱんには、牛乳ですよね。」
「うむ、そこはゆずれませんね。」
などと言いながら牛乳のグラスを家族分並べる。
このままじゃきっと息子まで、「あんぱんには、牛乳」なんて思いを抱えて生きてしまうのかもしれない。

温泉玉子
納豆
御飯
和風コンソメスープ
麦茶

納豆嫌いのだんな居ぬ間に堪能する納豆御飯。
納豆に合わせて、昨夜の和風スープの残りだとか温泉玉子だとかを並べたら民宿の朝御飯のような食卓になった。「ねばねばねば〜」と呟いて、一人ねばねば感を堪能しつつ納豆御飯。

カマンベールチーズとクラコット
レタスと玉ねぎのサラダ
モルツ

午後6時頃から、「ちょっとゲームを先に進めてみようかな」と始めた「Final Fantasy X」だったが、怒濤のラスボスイベント戦に突入してしまった。セーブができない。戦闘が続きまくって一向に終わる気配がない。そんな折、だんなから
「今日は遅くなるよー」
の電話。これはもう、「思う存分やっちゃいなさい」という神様の啓示なのだと勝手に解釈し、ちょっとだけポーズボタンを押してさささと夕食の準備をし、さささと食べて続きをやる。

母が上京した時に買ってきて食べた、彼女の好物のなんとかいう名前(←どんなだ!)のカマンベールチーズの残りと、クラコット。両方山積みにして交互に囓っていく。レタスと玉ねぎを適当に刻んで、オリーブ油とワインビネガーぶっかけただけのサラダも。ビールを片手にさささと食べる。息子にはプラス、チーズトースト。

10分で用意して、10分で食べた食事の後にそのままコントローラーを握りしめる。結局全てが終わったのは10時を過ぎていた……らしい。
そういうわけで、この日記の更新すら放り投げて取り組んだRPGは無事クリアしたのでした。やれやれ。(でも明日から、もう一度最初からやるのよ……←やり残しイベントがまだまだ沢山あるらしい)

8/2 (木)
しぐれ丼 (夕御飯)
マリボーチーズのチーズトースト
目玉焼き・炒めウィンナー
アイスカフェオレ

「食パンがあって、チーズもあるのでチーズトーストにしませんか?それとも、海苔トースト?」
と起き抜けのだんなに提案すると、
「……僕は海苔トーストがいいなぁ……」
という答えが返ってきた。彼は海苔トーストが大好物なのであるらしい。別に「ごはんですよ」を食パンに乗せたりするわけじゃなくて、普通のバタートーストの焼き上がりに焼き海苔を1枚ぺろりと乗せただけのものだ。バターをたっぷり使ったたらこスパゲッティに海苔が合うように、バタートーストにも海苔が合うものなのであるらしい。我が家でトーストをするときには、だんなは大概最後に海苔を1枚ぺろりと乗せて食べている。

私はというと、「アルプスの少女ハイジ」に出てきたような、みょ〜んと伸びるチーズを乗せたトーストを囓る。おかずは目玉焼きにウィンナー。焦げ目ができるまで炒めたウィンナーにはケチャップをつけて、ついでに目玉焼きにもケチャップをつけて食べる。

アメリカンドッグ
アイスミルクティー

一人で食べる昼御飯。冷蔵庫の中から大好物のアメリカンドッグが発掘できたので、これをチンしてケチャップをにょろにょろとつけて食べる。ついでに粒マスタードもたっぷりつけちゃう。

まだまだはまり中のテレビゲームの画面を見て、コントローラーを片手に握りながらお昼御飯は、一人飯ならではの自堕落さがあってちょっとばかり快感だった。……でも、後でおなか空くのは目に見えているのだ。

ソフトクリーム

息子を保育園に迎えに行き、その足で駅ビル商店街に向かう。今晩用の肉や野菜を買わねばならない。
3パック100円なんて素敵な値段の貝割れ大根のパックを抱えてレジに向かっていたところ、息子が数メートル離れたところにあるたこ焼き屋の店頭で「アイス!アイス!」とじたばたしていた。見るとそこには息子と同じくらいの高さのプラスチック製ソフトクリームの看板が立っているのだ。ああ、そりゃ魅力的だねぇ。

「アイス、食べたいの?」
「たべたいのー」
という会話の後、少なめ昼御飯からの空腹もあって、思わず1つ購入してしまい、ショッピングセンターの片隅で交互に囓りつつ食べる。ごくごく普通のソフトクリームだけど、久しぶりで何とも美味しかった。

胡麻豆腐
豆腐と油揚げの味噌汁
しぐれ丼
モルツ、麦茶

不二家の直火焼きプリン
アイスカフェオレ

牛丼チックなものが食べたくなったので、「しぐれ丼」を作ることにした。酒と味醂を煮切り、醤油を加えただけの割り下で肉をしゃぶしゃぶさせて御飯の上に乗せたもの。同じ割り下で煮た玉ねぎと、緩めに作った半熟卵、刻み海苔と貝割れ大根などを乗せたらできあがりだ。濃いめの味で牛肉や玉ねぎを煮てあるので、つゆはほとんどかけない。

あとは胡麻豆腐と味噌汁だけ、というシンプルな今日の夕御飯。なんかちょっと物足りないかも、なんかデザートみたいなの欲しいかも、と思っていたところ、
「これ、美味しそうだから買ってきた〜」
と不二家のプリンの箱を抱えただんなが帰宅した。今日も夫婦間の電波は良好に働いているらしい。ナイス受信、だんな。

甘辛い味の牛肉は御飯ととても良く似合う。とろとろの卵の黄身のこってりさとか、貝割れ大根のピリピリくる辛さも良い感じ。どうも夏場は1皿でさらっと食べられそうなものが食べたくなってしまうようで、何かというとどんぶりものや麺ものが多くなってしまう。やんぬるかな。

夕食後は「鉄火丼VSウニ丼」対決の「どっちの料理ショー」を涎垂らして眺めながらプリンを食べる。
表面がクレームブリュレのようにカラメルがパリパリになっているプリンは、正統派カスタードプリンの味がした。カラメルの程良い苦みも良い感じ。
ああ、しかし、ウニ丼はいけません。大好物なんです……。

8/3 (金)
天狗(稲毛)にて「蟹と鰻のちらし寿司」 (夕御飯)
冷凍海老ピラフ
アイスカフェオレ

パンも御飯も無い時の朝御飯に、冷凍ピラフの存在はちょっとばかり嬉しい。
冷凍ピラフとフライパンを前にしただんなの背後に立ち、
「ピラピラピラフを炒めましょ〜」
と歌いつつ見守った。どうも炒飯担当がだんなであるので、冷凍ピラフの炒めもだんながやってくれる事が多い。

適当な旋律をつけつつ
「ピラフは焼いてはだめなのね〜♪」
「蒸したらちょっと美味しいかもね〜♪」
とだんなの背後で歌い続けていたら、
「じゃあ喰うな。これから蒸すぞ。」
と言われてしまった。蒸しピラフはちょっとイヤだ。

コンビニで買ってきた
 たらこおむすび
 麦茶

本日、お仕事。一時期の40℃を越えんとする熱暑の日々と比べると隨分楽ではあるけれど、暑いことに変わりはない。
「きっと仕事始めたら部屋から出たくなくなるんだわ」
と、仕事前に麦茶をたらこおむすび1個買って仕事場に向かった。案の定、一度建物の中に入ったら夕方まで出たくなくなってしまったのだった。

パリパリの海苔の、コンビニのたらこおむすび。ほろほろに崩れるたらこは案外とたっぷり入っていてちょっとシアワセだ。すっかりぬるくなってしまった麦茶を飲みつつ、一人で昼飯。おむすび1個だと、さすがに3時を過ぎると腹が空く。

「おなかすいたな……でも暑いな……でもすいたな……」
と呟きつつ、じっと耐えて帰宅は7時前。ぐるぐるぐる〜。

稲毛 天狗にて
 寄せ豆腐
 サイコロステーキ
 豚肉の冷しゃぶピリ辛ソース
 ポテトフライ
 鶏の唐揚げ和風ソース
 大根のサラダ
 牛肉の鉄板焼きセット
 蟹と鰻のちらし寿司
 ブラウンビール(中ジョッキ)×3
 はちみつレモンサワー
 ……を家族3人で食す。

「おなかすいちゃったぞ……御飯、作るのめんどくさくなっちゃったぞ……」
と、帰宅しただんなと一緒に、今日は外食することにした。
「焼き肉だ焼き肉だ!」
と近所の「牛角」に行くも、予約簿には名前がぎっしりだ。目的地を変更して、
「飲みだ飲みだ!」
と居酒屋「天狗」に行くことにした。大学生の頃から大好きなチェーン店だ。

店は、"仕事帰りに一杯やるサラリーマン"的なおっちゃんらのグループと、"だんなもいないから御近所さんと飲んでるのよ"的なおばちゃんらのグループでいっぱいだった。男性と女性で見事に二極分解された店の中、それでもカップルなどもちらちらと。

まずは当然ビール。思いのままにサイコロステーキだの冷や奴だのサラダだのを注文し、思いのままに食べまくる。大根おろしがたっぷりのサイコロステーキや、店の自家製だと書いてあった寄せ豆腐。シャキシャキの大根サラダに、甘酢のたれがかかる鶏の唐揚げ。ビールには悲しいほどに油ものや塩気のあるものが良く似合う。あいにく、だんなも私も「アルコールを入れればいれるほど胃袋絶好調」なタイプなものだから、テーブルの上はついつい料理だらけになってしまうのだった。

ジョッキのビールを飲み終えて、私はレモンを絞って飲むはちみつレモンサワーに移行。だんなはビールをもう一杯。その頃には
「頭の上にお星様がキラキラ飛んでおりまする〜」
「ははは〜俺はね〜、全然、酔ってないよぉ〜」
とすっかり御機嫌になっていた。
御機嫌のまま、「最後のシメ」とばかりに定食を頼むだんな。あれだけ喰って、まだ御飯と味噌汁と茶碗蒸しと鉄板焼きのセットを喰おうというのだから恐ろしい。私の前にも、蟹と鰻と卵焼きを散らされた寿司なぞがあったりするのだから、全然人の事は言えないのだけど。

かくして、午後11時、すっかり良い気分になって帰宅。眠そうな息子に「すまぬ、すまぬ〜」と謝りつつ、風呂に入って速攻就寝。
飲みの後に、そのままの勢いで寝るのって気持ち良いんだわ……。

8/4 (土)
鶏と卵のうま煮 (夕御飯)
うどんですかい
麦茶

昨日から、どうした事か息子が
「でんしゃ、のる?でんしゃ、のる?」
とうるさいのだ。どうやら電車に乗りたくて仕方がないらしい。というわけで、今日は「電車に乗るために外出する」という目的と手段が逆転したような外出予定をいれたのだった。予定地は未定。

朝起きて、とりあえずJAL製カップうどん「うどんですかい」を啜ることにした。油揚げがこれでもかと入るカップヌードル、だんなが「だってあったら食べるでしょう?」と2箱も通信販売で購入したので、とりあえずはまだまだまだまだストックがあるのである。今日食べたので、とりあえずは1箱クリア。
彼曰く、「一番美味しいカップうどん」なのだそうである。確かに何個か食べてみると、そのほの甘いだしの味だとか油揚げのたっぷり感とか、小ぶりなサイズだとかがいちいちツボにはまる……ような気がする。

船橋 明月館にて
 ハラミ定食
 ビール

「電車に乗るために外出する」
という今日の目的地は船橋となった。雑貨などを見にLOFTに行こうということに。ついでに6階建ての巨大100円ショップも発見し、しっかり買い物を始めてしまったのであった。「100円なんて、安かろう悪かろうだしねー」とか言いつつ、100円の靴下だとか100円の片口だとか100円のひらがなおもちゃだとかを買いまくる。すっかり大荷物だ。

「そうそう、このへんにユッケも食べ放題になる焼き肉屋があるんだよー」
とだんなに誘われ、駅前すぐの小さなビルの7階にある「明月館」なる焼き肉屋に行ってみることにした。食べ放題は夜からだけど、ランチメニューで営業している。カルビ定食ロース定食ハラミ定食、全て700円。だんなは大盛りセットのカルビ、私はハラミ定食を食べることにした。当然ビールも。

どこか古びたお店は、器もいちいち、つい10分前まで入っていた100円ショップで見かけたようなものばかりだった。んが、安いと思えば悪くもない。ナムル3種とキムチと共に肉がやって来、御飯とワカメ入りスープも並べられた。適度に脂の入った肉は適度に柔らか。さっとあぶって噛みしめると、脂と一緒に肉汁がじゅわっと染み出てきて良い感じだ。

「お〜、思ったより良い感じだったぞ」
「これはまた、夜に来てみなければならないぞ」
昼からビール飲んで焼き肉喰って、すっかり御機嫌なまま東武デパート地下の今半で100g100円の牛すじ肉を買って帰宅したのだった。
ちなみにこの店の食べ放題、90分で男性3480円、女性2980円ということだ。ユッケや豚足、キムチやスープ、ビビンバも食べ放題。ちょっと、嬉しいかもしれない。

R1/Fの
 ベトナム風生春巻
 生ハムとチーズの生春巻
 ローストビーフのサラダ
 じゃがいものサラダ
鶏と卵のうま煮
御飯
モルツ、麦茶

デパ地下をそぞろ歩き、
「久しぶりにR1/Fのサラダが食べたいよー」
とサラダと生春巻を買ってきた。

「ビールはさ、飲むと喉渇くじゃない。昼にビール飲むと、夜のビールがまた美味しいんだよねぇ〜」
と自堕落な事を言いながら飲む夜のビール。

R1/Fは、ここ2年ばかり生春巻ものがブームであるらしい。ベトナム風生春巻はともかく、最近は「鶏照り焼き生春巻」だの「生ハムとチーズの生春巻」だのがあったりする。何でも巻けば良いってもんじゃないだろうに、お店の思惑どおり「おおお、面白い〜」と買ってしまう自分がいる。
ベトナム風生春巻には甜麪醤ソース。生ハムとチーズの生春巻はレモン風味のドレッシングソース。どちらも美味しいは美味しいけど、一般向けに食べやすいような材料ばかりが使われているような感じだった。バジルでなくしそが使われていたり。

「やっぱりベトナム風生春巻にはバジルだよねぇ〜」
「あの青虫臭さが良いのにねぇ〜」
と言いながらもきゅもきゅ食べる。レタスやビーフン、バジルや海老を沢山皿に並べて自分で巻く生春巻は楽しいし美味しい。暑い時期の間に一度はやらねばと決意してみた。

8/5 (日)
だんな特製 牛すじ葱スパ (夕御飯)
モスバーガーの
 てりやきチキンバーガー
 モスチキン
 コールドパンプキンスープ
ダイエットコーク

今日は朝から家中がケダモノ臭い。昨日買ってきた牛すじ肉を、だんなが昨夜から仕込みして今日も朝から煮続けているためだ。
普通の牛肉臭ともちょっと違う、独特のケダモノ臭さが充満する中、モスバーガーから買ってきたハンバーガー類で昼御飯兼用朝御飯。
私はてりやきチキンバーガーにモスチキン、というチキンまみれの選択をしてしまった。

レタスパリパリ、マヨネーズたっぷりのてりやきチキンバーガーが、もうここ10年ほど私の中で「モスで一番好きなバーガー」のトップに君臨し続けている。高校時代、学校帰りにおやつ代わりとして喰っていた事もまだ古くない記憶だ。あの時から、味もほとんど変わっていないような気がする。いつ食べてもしみじみ美味しい。

そして、私にとっての「てりやきチキンバーガー」が、だんなにとっては「モスチキン」なのであるという。
「ファーストフードのフライドチキンで、ここのこれが一番だって!」
とだんなが主張するモスチキンは、生姜醤油味のフライドチキン。当初私は「え、フライドチキンと言ったらやっぱりケンタなんじゃないのぉ〜?」とだんなの主張を半信半疑で聞いていたのだったが、何度か食べていたらはまってしまった。このてらいのない生姜醤油味が、日本人の舌には馴染みまくってしまうらしい。サクサクの衣も良い。適度に平べったく、衣と肉のバランスも悪くない。いつのまにか私まで、フライドポテトではなくモスチキンを頻繁に注文するようになってしまっているのだった。

あずきバー

今日は一日ごろごろごろ。だんなはゲーム、私は『ルー=ガルー』(京極夏彦・徳間書店)を読みまくる。p750強もある本は、持っているだけで腕の筋肉が鍛えられてしまいそうだった。
「面白い、重い、面白い、重い、面白い……」
と居間で寝っ転がって読書している間に昼寝していたらしい。気がついたら、3時過ぎだと思っていた時間が5時過ぎまで瞬間移動しているのであった。

「だんなだんな、アイス食べよう、アイス」
と、空腹をまぎらわすべく家族でアイス。ミニアイスもなかやらあずきバーやらを冷凍庫からざらざらと出して皆で囓る。あずきたっぷりのアイスは甘さも薄めで良い感じ。

だんな特製 牛すじ葱スパ
モルツ、冷茶

昨日買ってきて、ただいま仕込み中の牛すじ肉は、本当は「これでXO醤蒸しやったら美味しいよ」と言って買ってきたものだ。先日作ったアサリのXO醤蒸しがえらいこと美味しくて、
「今度はスペアリブでやってみよう!」
「いやいや、牛すじ肉なんかでも案外美味しいかもしれないぞ」
と盛り上がっていたのだ。
買ってきたのは1kg近くの牛すじ。全てをXO醤蒸しにしては多すぎてしまうので、幾分かを取り分けて、甘辛く醤油と味醂で煮込むことになった。本日の夕飯は、その醤油と味醂で煮込んだすじ肉で、「牛すじ葱スパ」。

焼酎で下茹でした牛すじを5時間ほども煮たものは、脂やらコラーゲンやらがやわやわと崩れそうに柔らかになっている。にんにくたっぷりのオリーブ油で絡めた牛すじをパスタに絡め、刻み万能葱と七味唐辛子を上からうりゃうりゃとぶっかけて、食べる。舌も口もニカニカと光ってしまいそうな、かなりこってりしたパスタだ。

朝から食事を1回しかしてなかった今日、7時になる頃にはすっかり空腹も極まっていて、
「めまいするほど空腹でございます……」
とパスタ鍋の前に立つだんなに訴える。
「では、めまいするほどパスタを茹でましょう」
とだんなが掴んで鍋に放り入れたパスタは450g弱。何人前なのか想像するのも恐ろしかった。

肉の輪郭がやわやわと崩れ去りそうな、ちょっとばかりケダモノ臭い肉がごろごろ入ったパスタをがふがふと皆して食べる。この肉の柔らかさとか旨味が牛すじならではの味わいだ。
今日の牛すじはまた、ひときわ美味しかった。購入した「今半」の店頭には、100g1500円のすきやき肉だとか100g1800円のしゃぶしゃぶ肉だとかが燦然と輝いていた。そんな肉は到底買えないけれど、牛すじだったら100g100円だ。スーパーなどで買うものの倍近い値段はするけれど、味の方は10倍ほども違う気がした。良い肉屋で買うすじ肉は、やはり美味しい。それがわかったので、今半などで普通の肉を100gも買うことなく
「すみませーん、牛すじ、置いてますか?」
と聞くのも最近は恥ずかしくなくなってきた。「あるよ、あるよ」と今まさに処理していたようなバットをがばっと持ってきて測ってくれた牛すじは、ピカピカツヤツヤで、いかにも美味しそうだった。いや、実際、とても美味しかった。

明日はこれをXO醤蒸しにするのだ。きっととても美味しい。むふふ。