食欲魔人日記 02年01月 第3週
1/14 (月)
ホテルのビーチサイドにて、タイ風汁ビーフン (昼御飯)
Dusit Laguna Hotel 「LAGUNA Cafe」にて
 朝食ビュッフェ

目覚めたら9時だった。バカンスに来て寝坊というのはある意味正しい道なのかもしれないが、何だかとてもつまらない。
「今日は他のホテルの朝飯を試しに行ってみよう!」
と水上バスに乗ってラグーンの対岸に位置する「Dusit Laguna Hotel」に向かってみた。こぢんまりとしたどことなく大人っぽい印象のホテルだ。プールに面したカフェが朝食ビュッフェの場所だった。

種類豊富な生ジュースに、シリアルにパンにおかずにタイ料理。日本のビジネスホテルのビュッフェ朝食はげんなりするような内容のものが多いけど、リゾート地のそれはほれぼれするほどシアワセな内容のものが多い。今日も
「あー、美味しそうなミックスジュースが〜」
だの、
「お粥が何種類もあるぅ〜」
だの、
「ジャムも美味しそうなのがたっくさん〜」
だのと言いながらたらふく食べてしまった。

かけつけ一杯にミックスジュース。バナナとキウイとパパイヤとパイナップルの味がした。それ以上の味もしたけど今ひとつわからない。更にグレープジュースとドリンクヨーグルトを飲み干し、紅茶も数杯。
シュガードーナツとクロワッサンとバナナケーキを息子と分け合いつつつまみ、カリカリベーコンにハッシュドポテト、ハムとスモークサーモンを盛った脇にはカニチャーハンに牛肉炒めに野菜炒めのタイ料理。挽き肉入りのお粥には葱とガーリックオイルをひとたらししてたっぷり食べた。朝から胃腸も絶好調だ。

で、最後は当然南国の果物。熟しまくった甘い甘いグアバにパパイヤ、マンゴーにすいかにパイン。
食べた分だけ動かなければならぬ。

Laguna Beach Resort 「Andaman Pool Bistro」にて
 フィッシュ&チップス
 シンハービール

午前中は宿泊ホテルのプールと海でだらだら泳ぎ、午後はラグーンでつながるグループホテルのシェラトンのプールで遊ぼうということに。ウォータースライダーだの海辺でボール遊びだので全力で遊ぶ。遅めの朝食をたらふく食べた後なので、昼になっても全然お腹が空かなかった。

「か、軽く軽食チックなものを食べようか」
と水着のままでプールサイドの"Bistro"と名のついているカジュアルレストランで昼御飯。だんなはタイ風ラーメン(と言うものの、内容はラーメンというより汁ビーフン)、私はフィッシュ&チップス、息子にはお子さまメニューからチーズソースのスパゲッティ。昼間っからシンハービールを思い切り飲み干しつつ料理を分け合いつつ食べる。

妙にふわふわと分厚い衣の白身魚のフライにはタルタルソースがついている。やたらと脂の乗りまくった柔らかい魚だ。山盛りのフライドポテトと、"切りっぱなし"という感じのにんじんのサラダがついてきている。
イカ団子や真っ赤なチャーシューだのの具が山盛り乗った汁ビーフンも、何だかしみじみと美味しかった。

「なんでスープがこんなに甘いの?」
と思いつつも、その甘さがビーフンや具に似合っているような気もする。
なんだかんだ言って、「まっとうなタイ料理はこの旅行が初めて」と言っているだんなの方が真剣にタイ料理を注文しているような感じ。
「この旅行こそ、日本からお煎餅でも買って行く必要があるかも」
なんて、実はだんなは事前に言っていたりしたんだけど、何だかすっかりタイ料理になじみつつあるようだった。

Dusit Laguna Hotel 「LAGUNA Cafe」にて
 タイ舞踏ショーつきタイ料理ブッフェ

今日も遊びまくって、夕御飯。
「タイスキを食べに行こう〜」と別のホテルに出向くも、ランチ限定ということが判明してさまよう羽目に。結局、タイ舞踏ショーつきのタイ料理ブッフェを食べることにした。今朝の朝飯を食べたところと同じ場所だ。

全て英語で説明がしてあるものの、初めて見るような料理が並ぶ。ゆで卵がたっぷり入った魚介入りのサラダは甘酢の味で後味が猛烈に辛い。「甘いか辛いか酸っぱいか」というタイ料理の王道を行くような料理がずらっと並んでいた。私はパクチーの風味が全面的に漂う挽き肉のサラダと、揚げた卵がたっぷり混ざる甘めのサラダが気に入ってそれを山盛り。トムヤムクンもしっかり飲んだ。

牛肉や野菜の炒めと、それに合わせるのは真っ白なタイ飯。長くて細いパラパラとした御飯は、いつどこで食べても本当に美味しい。チャーハンにすると格別に美味しい。羽釜で炊いたモチモチした日本の米も最高に美味しいけど、タイ米も甘さがあって軽い食感でいくらでも食べられそうだ。ピリ辛のおかずにものすごく似合う。

ココナッツの味のするローストダック入りのカレーや、グリーンカレーにレッドカレー。赤茶色のビーフカレーは、基本的な味は欧風のビーフカレーなくせに、妙に舌に残る甘さは間違いなくココナッツのもので、
「なんか、洋風の味がするのにやっぱりタイの味〜」
と笑いながらタイ米と一緒に平らげた。

フロアの隅にはシェフが2人並んで構えていて、そこでは汁麺と炒め麺、あんかけ麺などをその場で作ってくれる。
やっぱり甘さのあるスープの小麦麺の汁麺には、レバーや空芯菜、もやしが山盛り乗っている。あんかけ麺には魚介がたっぷり。前面では入れ替わり立ち替わり数人の踊り子さんがひらひらと踊り始めていて、「これが辛い」「あれも辛い」と言い合いながら食べる料理は楽しかった。料理が並ぶ合間にはキャベツやきゅうりなどの生野菜も置かれていて、辛さを和らげるのにこの野菜がとても丁度よかった。
「キャベツが、キャベツがなごみの味です」
「ああ、辛さが癒されます……」
と、ハフハフ言いながら食事を終えた。

懸案のタイスキは明日の昼に食べに行こう。

1/15 (火)
タイ風お粥。なごみの味…… (朝御飯)
Phuket Laguna Beach Resort 「RIM TALAY」にて
 タイ風お粥
 ミックスジュース

旅行出発直前まで、風邪だの下痢だのでヒーヒー言っていたとはとても思えないほど、一家の胃腸は快調な今日このごろ。おかげでどことなく暴飲暴食な日々が続いているようで、
「きょ、今日はお粥で軽く済ませない?」
とホテル内のタイ料理レストランへ向かってみた。アラカルトの洋風朝食と少しのアジア料理飯が朝には供されている。

ビーチ沿いにはホテルとは関係ない地元の人が運営するレストランもちらちらと建っていて、そこも実はものすごく気になる存在だ。でも、3歳児に腹を壊されても困るし、実はだんなも胃腸は強靱とは言えなかったりして、なかなか挑戦できずにいるのだった。でも、朝御飯180円くらいで食べられたりするのよね。安いのよね。気になるのよね。

ともあれ、ホテルのタイ粥朝食、こちらは120バーツほどなので400円弱というところだ。それでも日本の価格と比べれば格段に安い。
目覚まし用にミックスジュースを頼んだところ、タンジェリンとパイナップルとバナナ、それにいくつかの別の果物の味も混ざったオレンジ色のジュースが出てきた。こってり甘くて僅かな酸味がある。

お粥は、ものすごく強いにんにく臭。揚げにんにくが大量に浮かんでいて、一口大の鶏肉も混ざる粥には半熟の卵が沈んでいた。上にかかる青葱も、日本のものより香りが強いちょっと独特のものだ。
香港で食べる中華粥と比べると塩気も強いし油っけも強い。でも気温25℃を越えるようなテラスで食べるには良い具合に力強いお粥だった。
今日も全力で遊ぶのだ。

Phuket Dusit Laguna Hotel 「CASUARINA HUT」にて
 シーフードタイスキ
 シンハービール
 フローズンピーニャコラーダ
 ザ・ココナッツ・コネクション

昨日一昨日と曇天続き、今日は見事な晴天になった。
「焼く!焼くぞ!焼かねば!」
とプールサイドでごろごろ、ビーチサイドでごろごろ、昼には見事な焼き豚のような肌になった。
「予定通りタイスキを食べに行こう!」
と、ラグーナを走る水上バスに乗って対岸のホテルへ。海際の小さなレストランでお二人様560バーツ(1800円くらい)のタイスキを食べることにした。

目の前にはホットプレートに似た、形状は鍋の"電気鍋"のようなものがやってくる。中にはいまいち馴染みのない、辛くもなく甘くもないスープがたゆたっている。
続々と数枚の皿に乗ってきたのは具の数々。海老に白身魚にイカ、空芯菜にキャベツにもやしにニンジンにニラに椎茸。更に春雨と豆腐と卵麺。何故か生卵が2個乗っていた。ソースは刻みにんにく、刻み唐辛子(←これがもう辛そうで辛そうで……)、スイートチリソースに胡麻を散らした醤油。

「この卵、どうやって食べるんですか?」
と英語で聞いたらば、
「As you Like ♪」
と爽やかな返事が返ってきた。ど、どうしろと。
更に続けて聞いたところ、こちらでは溶き卵に魚介をくぐらせてからスープに入れるものであるらしい。何しろ東京の「コカレストラン」でタイスキを食べた一度きりの経験しかなかったりするので、おっかなびっくり鍋に対峙する。

1人1個の深さのある網杓子が用意されていて、魚介や野菜をそこに放り込んで鍋の中でしゃぶしゃぶ、として食べる。器にスープを入れてスイートチリソースなどを放り込みつつ、具に絡めて食べていく。炎天下の気温の中で汗をかきながら食べる熱く辛い鍋料理。シンハービールがどんどん進む。それでも足りずにフローズンカクテル、ピーニャコラーダなど頼んでしまったりして。

ピリ辛の鍋は、期待以上に美味しかった。火の通ったキャベツやもやしは、辛さのあるタレにものすごく似合う。片栗粉と卵白をあらかじめまぶしたような魚介類もプリプリでとても良い感じだ。
「ヒー、辛い」
「辛いけどおいしー」
「麺だけもうちょっと足してもらおう」
と、卵麺をお代わりしてまで全ての具を平らげてしまった。最後は残った溶き卵をスープに流してうどんと一緒に煮込んで食べる。太さのある縮れのない卵麺がこれまた素朴な味でしみじみと美味しかった。

で、食後に「ザ・ココナッツ・コネクション」なる何やらすごい名前のココナッツアイスデザートを注文。ココナッツの実をくりぬいた中に3スクープほどのココナッツアイスがごろごろと詰まり、チョコレートソースがたっぷりかかったシロモノだ。南国のココナッツデザートはとにかく美味しい。ピーニャコラーダからして、「パイナップル味はどこへ?」というくらいに濃厚な脂分たっぷりのココナッツミルクの味がものすごい主張をしていた。ココナッツ好きの私にはたまらない快感だ。ああ、何喰っても美味しい……。

Phuket Dusit Laguna Hotel 「La TRATTORIA」にて
 サーロインのカルパッチョ
 イカ墨のタリアテッレ 魚介の白ワインソース
 鴨肉のグリル 温野菜とポレンタ添え
 ティラミス
 エスプレッソ

午後もひたすら全力で水遊びし、ついでにホテル付設のアーチェリー場でアーチェリーなどやってみた。連日遊び続けて、かなり身体もぐにゃぐにゃになってきた。

プーケットには、イタリア料理店が案外と多いらしい。このラグーナ内のホテルにもイタリアンレストランが2軒ほどあるようだった。
「タイのイタ飯って、どうよ?」
「ちゃんとしたパスタが出るのかなぁ」
「興味あるなぁ……」
と、今晩はおもむろにイタ飯を喰いに行ってしまった。

"トラットリア"とは名ばかりの、リストランテ然としたシックな雰囲気の料理店だった。各テーブルにはキャンドル1本。小さな花瓶に熱帯の花が飾られているのが似合わなくてちょっと笑えた。
メニューを眺めると、ピザもある。パスタも、メインとして食べられるたっぷりサイズと前菜用サイズの2種類が用意されていた。前菜やメインディッシュ類も案外とたくさんの種類が並んでいる。

で、結局前菜だけだんなと分け合って1皿を食べることにして、パスタとメインは各々好きなものを食べることにした。「外国の料理は1皿の分量が多いしね」とこうしたのだけど、後になって本当に前菜を分け合って良かったと思うことに。

前菜のカルパッチョは、大皿にたっぷりのレタスと薄切りパルメザンチーズ、生の牛肉が色とりどりに大雑把に盛られたのものだった。「ブラックペッパ〜?」と言いながら店員さんが巨大なミルを持ってやってくる。頷くと盛大に上からガーリガーリとかけてくれる。見た目どおりにどこか大雑把な味のする前菜だった。南国で生肉喰うのって、どうよ、と心中思いつつ、とろんと柔らかな肉は新鮮な味がした。チーズやバルサミコ酢は日本で食べるのとあまり変わらない味だったけど、油の匂いがいまひとつ違う。なんとなくタイっぽい味のするオイルだ。

続いて、イカ墨を打ち込んだタリアテッレが1皿。100gほどのパスタがどーんと盛られてしかも具沢山の、やけにボリュームのあるものだ。海老だのムール貝だの帆立だのイカだの、これはブイヤベースかパエリアかという感じにたっぷりの魚介がワインで煮られた白いソースになって和えられている。アルデンテをちょっと(いや、かなり)通り越した感じの歯ごたえのパスタだったけど、ぷりぷりの魚介は美味しかった。でもやっぱり何だか大雑把な味。不味くはないけど大味だ。

前菜もパスタもかなり大きな皿だった。でもそれは前哨戦だったとばかりにやってきたのがメインの巨大皿。ランチョンマットになっている籐のシートが思い切り隠れてしまうほどの巨大な楕円皿に鴨肉が10切れほど、それは美しく並べられてやってきた。葡萄を赤ワインで煮込んだようなものと、にんじんのグラッセ、ブロッコリーが添えられている。温野菜に囲まれるように2切れどかんどかんと盛られているのが黄色いポレンタだ。全体的に、食べる人のサイズが違うんじゃないかというような大ぶりな盛りつけだった。すごい。

日本で食べたら5切れ程で終わるだろうという鴨肉は、食べても食べてもなくならない。1切れ1切れのサイズからして巨大なのだ。ワインと生クリームで肉汁を伸ばしたようなソースは正直いまひとつだったけど、こんがり焼けた鴨肉は肉汁たっぷりで期待以上に美味しかった。それにしても、こんな200g超サイズみたいな量を出してくれなくても。

用心していたにも関わらず、またも満腹になってしまった私たち。
「えと、ドルチェはティラミスとエスプレッソ……」
「僕はエスプレッソをダブルショットで……」
と注文したところ、ダブルショットエスプレッソはどう見てもシングルショットの4倍量はありそうな巨大カップになみなみと入ってやってきて、ティラミスは巨大な山が2つ盛られたのがやってきたのだった。大人の握り拳2つ分はあるんじゃないかというくらいの巨大ティラミス。ちゃんとマスカルポーネチーズの味がしたし、ココアパウダーもたっぷりで淡い甘さが良い感じ。山2つ分じゃなかったらもっと美味しかったかもしれない。
「うぉー、エスプレッソが大量だー」
「こっちはティラミスが大量だー」
と苦笑しながら食べ終えたイタリアン夕食だった。

明日の夜にはとうとう帰国。午後6時にホテルを出て午後8時過ぎのバンコク行きから乗り継いで成田に戻る予定だ。食べられる食事もあと2回か3回か。
「シェラトンホテルに中華料理屋があるんだよー、しかも飲茶!」
「ううー、気になる、タイの飲茶、気になる〜〜〜」
などと不穏なことを話している私たちにもう一度トムヤムクンを食べる機会は来るのだろうか。ちゃんとタイ飯を満喫して帰りたいと思いつつ。

1/16 (水)
KHAO OB SOPPAROD パイナップルライス (昼御飯)
Phuket Laguna Beach Resort「Similan」にて
 朝食ブッフェ

今日がプーケット滞在の最終日。私一人気合いが入って7時前から目を覚ましてしまい、だんなと息子が起きるのをえんえんと待つ。「はやく食事行こーよー、早く泳ごーよー」と心中悪たれをつきつつ。

8時過ぎて皆が目を覚まし、「ま、近場でいいよね」とホテルのビュッフェ朝食に赴いた。数日前は中国人の団体旅行客がどわーっと押し寄せてきていてものすごく混雑していたのに、今日のホテルは何やら閑散としている。ビュッフェの内容も、なんかちょっと寂しげな品揃えだ。ちょっと悲しい。

まずはアップルジュースを一杯。大皿にハッシュドポテトとカリカリベーコンを盛った後、コックさんが立つ卵コーナーに赴いて
「コーンとね、チーズとね、あとオニオン入れてくれい」
と注文してオムレツを焼いてもらった。卵3個分は入っているだろう、なかなか巨大なオムレツだ。

すぐ脇ではホットプレートにバターを落として焼かれている円盤状のケーキのようなものが。プレートには「SCONE」と書いてある。スコーンと言ったらクロテッドクリームとジャムをこてこてつけて食べるもののはずだけど、目の前のそれは厚さは多少はあるものの薄っぺらいし円盤状だし、何だかとても紅茶と一緒に食べる雰囲気の食べ物じゃない。それでも、「2つくれい」とオムレツの隅っこに乗せてもらって、ハチミツかけてホイップクリーム添えてテーブルに持っていった。

このスコーンが妙に美味しい。サクサクでホロホロで、表面はバターでこんがり焼かれてはいるけれど食感はスコーンと遠くは違わないものだ。香ばしく焼けたところに山盛りのホイップクリームつけて食べたりすると何とも美味しい。思わずコップに牛乳をなみなみと注いできて一気飲みしてしまった。

ひとおおり洋風チックな朝食をたいらげたあと、「やっぱりタイ粥食べなきゃねぇ〜」と、器にたっぷりの鶏肉粥。薬味コーナーで葱とガーリックオイルをたっぷりと、ついでに刻み唐辛子を軽くかけて食べる。タイ料理は案外とにんにくを多用するみたいだ。ここ数日は「だんな、にんにくくさーい」「おゆきさんも、くさーい」と怪奇にんにく男とにんにく女に変貌しつつある。日本に帰ったら超迷惑かもしれない。

最後の朝食は、当然南国フルーツでシメ。定番のパインにすいかにパパイヤ、ついでに今日は茶色く固い殻に包まれたロンガンと、「Langsat」なるライチに似たものを食べてみた。ライチに似てライチよりは2まわりほど小ぶりなロンガンは、味もどことなくライチっぽい。半透明の白い果肉が茶色い種の周りにプルプルとついている。花のような良い香りがする果物だ。剥き身で置いてあった「Langsat」なるものも、味はロンガンに良く似ていた。ムチムチしていて美味しい。

「あー、今日帰国だよー」
「帰りたくないよー」
とメランコリーな気分になりまくりつつ、最後の水遊びを堪能。ウォータースライダーを5回ほど全力で滑る。アクアビクスもやっちゃう。

Phuket 「RIM ANDAMAN RESTAURANT」にて
 KHAO OB SOPPAROD(パイナップルライス)
 シンハービール

「タイのホテルの飲茶というものに挑戦してみようか」
と言いつつ、
「でもやっぱ、タイ料理なものを食べて終わらせたいよね」
と、ビーチ沿いにある民間経営の小さなレストランに入ってみた。ホテルの敷地に隣接しまくっているものの、値段を見ると笑っちゃうほど安かった。ドリンクメニューの値段は半分か1/3ほどしかない。シンハービールの700mlほどの大ボトルを頼んで250円ほど。焼きそばは180円、私の頼んだ「KHAO OB SOPPAROD」なるパイナップル炒飯も300円以下だ。

「お客少ないね」
「ハズレかなぁ」
「まぁ、そのときはそのときで」
と期待半分不安半分で日傘の下の籐の椅子でだらだら座って待っていたところ、パイナップルの果実の中身をくりぬいた器に入ったチャーハンがしずしずとやってきたのだった。上には細切りのハムが並べられている。これがこれが、「タイで一番旨かったの、これかもしんない」というくらいに美味しかった。

黄色いタイ米はうっすらとカレーの味。玉ねぎや魚介がどかどかと入り、細かく刻んだパイナップルも入っている。それにカシューナッツもたっぷりと。豆はカリカリして良い食感だし、カレー味のほの辛さとかパイナップルの甘酸っぱさだとか、ほわほわと漂う甘さや辛さが何とも良い感じ。タイ飯はこわごわと挑戦しつつ、結局あまり食べられていなかった息子も横からがつがつと食べていく。
「料理にフルーツが入るなんて、邪道だ」
と酢豚やパイナップルピザを好まないだんなでさえ、「これ!うまいよこれ!」とがふがふと食べていた。最後の2口 口は器のパイナップルのジュースを吸い込んで更に甘酸っぱくなっている。これがまた妙に美味しい。

「こ、これ美味しすぎるよ」
「テイクアウトできるかなぁ。もひとつ貰って、荷造りしながら部屋で食べよう」
と、交渉してテイクアウト用にもひとつ作ってもらってしまった。テイクアウト用もやっぱりパイナップル容器入り。笑える。

ホテルのプールサイドレストランで割り箸を分けてもらい、午後は荷造りしながら2つめのチャーハンを喰っている私たちだった。

Phuket Laguna Beach Resort 「ANDAMAN POOL BISTRO」にて
 COCO FROTH

今日発つ便は、夜8時40分発だ。ホテルにチェックインしたときに
「レイトチェックアウト、したいなー」
とお願いしてみたところ、めでたく4時まで無料延長してくれることになっていた。のんびり準備してチェックアウトし、出発までの2時間ほどはゲームルームのビリヤードコーナーで遊んでみる。ナインボールやって2勝1敗、間に1回エイトボールやって、それは1敗。だんなはビリヤードが上手いけど、私ははっきり言ってへたくそだ。でも良い勝負ができて楽しかった。

午後6時に送迎の車を出してもらうことになっていて、残り時間はあと1時間ほど。
「今ならプールサイドがハッピーアワーだ!」
と、最後に"バカンスらしい飲み物"を飲もう、とプールサイドに行ってみた。いくつかのドリンクが50%オフ、しかもおつまみまでついてくる。
これからパスポートだの荷物だの持って移動するのにアルコールはヤバイでしょ、とノンアルコールカクテルの欄から「COCO FROTH」なるものを名前で決めた。きっとココナッツでありフロスティな飲み物であるはずだ。だんなは「SWEET ORANGE」なるノンアルコールドリンクを。

氷と一緒に冷たくシェイクされた、ココナッツとパイン、それに何だかライムかオレンジのような柑橘系の味がする甘酸っぱく純白の飲み物がやってきた。蝶型にくりぬかれたパインに蘭の花が添えてあって、ますますメランコリーな気分が高まってくる。あああ、帰りたくない。

おつまみは、スモークサーモンのカナッペとローストビーフのカナッペ、それに鶏肉のフライ。傾きつつある西日を浴びながら、最後の休憩。

プーケット空港にて
 チーズバーガー
 エスプレッソ

20時40分発のバンコク経由フランクフルト行きという飛行機に乗り込み、バンコク乗り換えで成田を目指す。最初に乗るのがフランクフルト行きなものだから、妙に国際色豊かな乗客の顔ぶれだ。真っ赤に日に焼けたお兄さんたちがドイツ語を話しながら同じ方向へ歩いていく。

「1時間ほどのフライトで、飯は出るか出ないのか」
「いや、きっと出ないに違いない」
「じゃあバンコク発のは?」
「それも午後11時発とかだから、きっと出ないだろう」
「じゃじゃじゃあ、夕飯は?」
「……うーん」
と頭を抱えつつ、結局最後の20分ほどで軽食コーナーのハンバーガーを食べることにした。チーズバーガーは300円ほど、まったくお安くない。みっしりした牛肉に柔らかいパン、薄切り玉ねぎとトマトとレタス。日本で食べるそれよりはちょっと大きめサイズで、それは嬉しかった。でも、お安くない。

で、これを食べて30分後くらいにバンコク行きに乗り込んで、もうすぐ離陸という頃に、いきなり私の腹が痛くなってきたのだった。何故だ。

1/17 (木)
帰国後早々に刺身を買い求めに…… (夕御飯)
タイ国際航空 機内食

昨夜20時40分発バンコク経由フランクフルト行きを経て、バンコク23時40発成田行きにて無事帰国。
でも、かつてなく辛いフライトだった。プーケットを離陸した直後に原因不明の腹痛に私がいきなり襲われてしまい、脂汗を垂らしながらバンコクに到着。「タイのマンゴプリン事情を探ろう」という目的があったにも関わらず何度もトイレと親密な関係を築いてしまい、だんなには「薬局はないかー」「航空会社のスタッフは薬を持っていないかー」と色々尋ね歩いてもらい、"歩くのがやっと"という状態で成田行きに乗り込んだのだった。な、なんなんだ。ヤバイものを食べたという心当たりが全くない。

幸いなことに、機内には薬が常備されていたのか乗務員さんが持ち合わせていてくれたのかで、「腹が痛い」と訴えたところ真っ黒な錠剤を2つ貰うことができた。「3時間後にまた2錠差し上げます」というスチュワーデスさんの英語を朦朧とした頭で理解し、そのまま「痛いよー痛いよー」と顔をしかめつつなんとか寝ようと努力する。何度かうとうとしているうちに、腹痛はなんとか収まった。

離陸から4時間ほど、日本時間の朝5時過ぎにおもむろに朝御飯。「オハヨーゴザイマスー」と問答無用で熱いおしぼりが配られ、ジュース類がどかどかと配られていく。ちょっと和風な魚の皿と、オムレツの2種類が選択できて、数種類の温かいパンも自分で選んで取れるようになっていた。温かいパンはちょっと嬉しい。オムレツは固くて味気なかったけれど、熱いクロワッサンはありがたかった。

オムレツとハッシュドポテトとチキンナゲット。パンにはバターとイチゴジャム。そえにフルーツカクテルと果物入りのヨーグルト。でも、あまり食べたら一層トイレと親密な関係になってしまいそうだったので、ごくごく軽く食べて済ませてしまった。

息子用のチャイルドミールはテイクアウトできる紙バッグ入りだった。チョコ味のフレークの箱にバナナ、パック入りのジュースに牛乳、顔の形をしているデニッシュ。ホイルにくるまれた温かいプレートにはスクランブルエッグやマッシュポテト、野菜のピューレなんかが詰まっていた。息子は離陸直後から爆睡中で、結局テイクアウトボックスをそのまま持って帰宅することに。おつかれさんでした。

稲毛 高円寺ナイルカレー
 ポークカレー
セイロンティー

帰宅するなり、スーツケースも開けずに「さむいさむいさむい」とストーブつけてこたつに入って、まずは昼寝。2時間ほど寝てやっと起きられるようになったところで荷物の整理に入った。山のようなTシャツや水着類のお洗濯、土産物や洗面道具類の整理。昼御飯は
「あー、食べたい、日本のカレーが食べたい」
「俺、ナイルに行ってちょっくら買ってくるわ」
と、だんながタッパーを抱えて御近所のイカしたカレー屋「高円寺ナイルカレー」にひとっぱしりしてくれた。その間、羽釜飯を炊いて待つ私。

基本は「お店の中で食べる」ようになっているカレー屋さんだけど、テイクアウト用にもしてくれる。"ルーだけお持ち帰り"に至っては、鍋だのタッパーだのを持っていくと喜んで詰めてくれる。あんまり頻繁に行くのでそろそろ顔を覚えられたらしく、
「たっぷり詰めておきましたよ」
とだんなは言われてしまったそうだ。確かにこれは、何だか3人前くらいはありそうな。

さらっとしていて黒々としていて、スパイスの香りはあんまりしないほんのり甘くてマイルドなカレー。それに炊きたてのあきたこまち。
「う、うまい、うまいよ、日本の米だ」
「やっぱり日本が一番よねー」

つい半日前は
「タイ飯サイコー」
「もー帰りたくなーい」
とか言っていたのに。

刺身(ビントロ・ブリ・鯵・甘海老)
大根と油揚げの味噌汁
羽釜御飯
モルツ、抹茶入り玄米茶

数日間完全に日本食から離れて、
「うぉー、シンプルな塩味が恋しい〜」
「醤油味が恋しい〜」
「ていうか、羽釜御飯が食べたい〜」
と身悶えしていた私たち。早々に刺身セットを買ってきた。3パック1000円なりのブリと鯵と甘海老、ついでにビンチョウマグロのサクを1つ。ざくざく切って山盛りの刺身を前にモルツで乾杯。おろし生姜におろしわさび。日本の味だ。感動だ。

ビールで刺身をつまみ、飲み干したところで日本茶に御飯に味噌汁をテーブルに。炊きたての御飯に醤油とわさびをつけた魚の何と似合うことか。やっぱり最後に還ってくるのはこの味だ、という気がした。
明日はきじ焼き丼かなぁ。醤油と味醂に飢えているようで。

1/18 (金)
肉〜!焼き肉〜っ! (夕御飯)
うどんですかい
アイスウーロン茶

旅行から帰って翌日の今日。冷蔵庫はまだまだスカスカだ。パンもないし御飯もない。だんなは出勤、私も休んだ分、本日出勤だ。全体的にボケボケとしつつも日常の生活に無理矢理戻される気分。

「朝飯、インスタント麺でいいっすかねー」
「そうっすねー」
と、インスタント和風うどんの"うどんですかい"の朝御飯。パッケージのJALマークを見て「じゃる!じゃる!」と飛行機愛好家の息子は何やら嬉しそうだった。油揚げざくざく入りのほんのり甘めの小さなカップ麺を食して出勤。ああ、ボケボケ。

エクセルシオールカフェの
 コールスロー&エッグサンド
 ごぼうときのこのサラダ
 メープルカフェ ラージ

身体はボケボケながら、今日の仕事はちょっと切羽詰まっている。2月上旬に行われる研究会のOB会にて配布する名簿を今日中に入稿しなきゃいけないのであった。旅行直前にその時点での最新の名簿をプリントアウトして教授の自宅に速達で送ったのだけど、ちゃんと確認して赤ペンでも入れてくれただろうか。あまり期待はできないのであった。教授の動向はなんとなく予測できる。

ともかくも、私が不在の間に届いていた諸々の情報を入力しなければいけない。単純作業なのに切羽詰まっている今日の仕事だった。で、やっぱり想像していたとおり、切羽詰まった状況なのに今日の教授もお茶目さんだった。
「あ、その人の読み仮名はね、違ってるんです、違っていたんです以前から」
「……(早く言ってくれえぇぇぇぇ、索引作っちまったぞぉぉぉぉ)」
「あ、それでですね、実は院生が1人増えているんです。入れてあげないと可哀相、ですね」
「……(だからそれを私の休暇中に紙にでも書いておいてくれえぇぇぇぇ)」
「やっぱり、勤め先の電話番号までは要りませんかね?」
「……いや、もう印刷しちまったです……」
とにかく色々大変だった。作業が、というよりはそれに付随する別の事が。

で、こうあることを予想して、昼飯は朝に買っていったサンドイッチとサラダ、ラージサイズの甘いコーヒー。
もう味を自覚することもあまりできずに、端末叩きながらサラダの挟まったパンと卵の挟まったパン、ごぼう山盛りのサラダをがふがふと食べる。初めて飲んだメープルカフェなるものは、メープルシロップが妙にまだらの味になった甘いんだか苦いんだか良くわからない微妙な味のコーヒーだった。最近のテイクアウトカップは、保温力抜群。2時間ほど経ってもまだまだ温かくてすんごくありがたい。

稲毛 牛角にて
 牛角風冷奴
 厚切り牛タン
 ハラミたれ
 月見カルビ
 ホルモン塩
 にんにくハラミ
 ピートロ塩
 みじん葱
 にんにくホイル焼き
 ソーセージ盛り合わせ
 おろしポン酢
 サンチュ
 御飯 小
 ニンニクスープ ハーフ
 冷麺 ハーフ
 ビビンバ
 生ビール×2
 生グレープフルーツサワー
 カルピスサワー
 オレンジジュース
 カルピス

 白玉きなこアイス
 白玉バニラもなか
 

……以上8,599円也親子3人で完食。

昨夜の会話。
私 「……まだお腹がちょっと、痛いのです」
夫 「ありゃぁ」
私 「お刺身は美味しかったけど、自制しなきゃなと思うです」
夫 「明日あたり、焼き肉喰いてぇなぁと思っていたんですが……止めとこうね」
私 「あ、焼き肉は大丈夫です。焼き肉オーケー。モウマンタイ」
夫 「それ……全然自制じゃないよ、おゆきさん……」

妊娠中、つわりでちょいと苦しかった頃に、
「あーもー、油っこいもの全然ダメ。トンカツなんて絶対無理。あ、でもね、カツ丼は平気、さっぱりしてるから」
と全くもって意味不明の事を言って、呆れるだんなと一緒にカツ丼を食べに行ったことがある。それと同じだ。カツ丼、別腹。焼き肉も、別腹。別腹万歳。

午後8時半、帰って来ただんなと駅前で待ち合わせて、いざいざ最寄りのチェーン焼き肉屋「牛角」へ。ハラミにカルビに牛タン、ホルモン、狭いテーブルがあっという間に埋め尽くされるほどの注文を一気にして、いざいざと炭火の網の上に肉を置いていく。網の隅にはこれだけは外せないニンニクホイル焼きを乗せてじくじくと焼き、ついでに息子用のソーセージなども並べ、まずは牛タンから。焼いては刻み葱を巻いてレモンをギューッと絞り、ビールで流し込むようにして食べる。至福。

タンを一気に平らげた後は、生卵の黄身を絡めて食べる「月見カルビ」とか、ハラミやホルモンを立て続けに焼いていく。甘辛いタレをつけたり、葱とレモン、おろしポン酢でいただいたり。「肉喰ってます」気分が爆発的に盛り上がる。時間は9時を過ぎ、でも店は"狂牛病なんてどこへ行ったの?"という感じに大混雑だ。

6皿の肉類を平らげた後は、ハーフサイズの冷麺を。だんなは息子と一緒に通常サイズのビビンバをがふがふと食べていた。キムチやチャーシュー、味付け卵が入る冷麺はかなりマイルドな味。酢の瓶が別についてきて、適宜ぶっかけて食べるようになっている。
きなこアイスに黒蜜と白玉団子が添えられてくる「まんま信玄餅じゃん!」的な味のアイスもしっかり食べて、ほろ酔い状態で帰宅した。にんにくものを過剰に摂取したようで、毛穴からにんにく臭が立ち上る感じだ。でも満足。でもシアワセ。

「酔ったねー」
「おなかいっぱいだねー」
「もう寝ちゃおっかー」
「お風呂、いらなーい」
と、全体的にわやくちゃになりながら帰宅後すぐに眠りこけてしまった私たち。

1/19 (土)
親子ヨコイだ (夕御飯)
ホットサンド ハム&チーズ
アイスカフェオレ

一昨日放映の「どっちの料理ショー」、内容は「キッシュVSホットサンド」だったりした。どちらも美味しそうだったけど、
「やっぱりホットサンドよねぇ〜」
「豪華なキッシュもホットサンドには負けるのよねぇ〜」
が我が家の一致した見解だった。あんなもの見てしまった日には、ホットサンド熱は猛烈に高まっちゃうのである。殊に寒い朝のホットサンドなんて、涙ちょちょぎれるほど美味しいものだ。

しかも、豪華な具も悪くはないけど、シンプルすぎるほどシンプルなものこそホットサンドにするには美味しく思える。生ハムよりもお肉屋さんのボンレスハムを。エメンタールチーズなどよりもスーパーのピザ用チーズを。手をかけたソースよりも絞ったままのマヨネーズを。卵もいいし、ツナもいい。というわけで、サンドイッチ用のパンとボンレスハムを買ってきた。今朝はハムチーズサンド。

我が家に(というか、かつてはだんなの実家に)古くからある1個焼きの四角いホットサンドメーカーはとても愛しい存在だ。後に加えて購入した2個焼き用のホットサンドメーカーは対角線に斜めに一本、サンドする線が余分に入ってしまっていて、外見はお洒落だけどどうも好みじゃないのである。何も一家で3個同時に焼ける体勢を整えなくても、とは思わなくもない。

お肉屋さんで「昔ながらのボンレスハム」という名前で売られていた大きなハムは、確かに昔チックな味がする。とろけたチーズとハムは最高に良く似合っていた。こたつで食べるホットサンドはシアワセの味。

お刺身(ビントロ・ブリ・アジ・甘海老)
海苔の佃煮
大根の味噌汁
羽釜御飯
アイスウーロン茶

午前中、我が家に国際小包が1個届いた。私が11月下旬に注文した、だんなへのクリスマスプレゼントだ。いくら船便といえども1ヶ月あれば届くだろうと思っていたら甘かった。2ヶ月かかってしまった。でも多分、日本じゃ買えない品のはずだ。案の定、だんなは大喜びしてくれた。

「かばちゃん」とも呼ばれることがある、我が夫のトレードマーク(イメージキャラクター?)は昔からカバだ。我が家には「カバグッズ」がじわじわと増殖中、とりわけメトロポリタンミュージアムのウィリアムグッズはだんなのお気に入りだ。未だ見ぬウィリアムグッズはないか、と探していたところ、結局本家本元のメトロポリタンミュージアムから買い求めるに至ってしまった。得意とは言えない英語の文章を前に、とまどいながらもお買物したところ、なんとか無事に届いてくれた。
ウィリアム柄ネクタイにウィリアム型金属製のオブジェ、ついでにウィリアム柄バスタオルに息子用のウィリアム型リュックサックまで。部屋は全体的にカバに占拠された。

そんなこんなでバタバタとしていた午前中、気が付くと、一昨日食べた刺身の残りが冷蔵庫内に残っていた。「食べなきゃ食べなきゃ、これ、食べなきゃ」と御飯を炊き、残り物の味噌汁を温め、こたつに入って昼御飯。残り少ない刺身を適当に分け合いつつ、お義母さん手製の海苔の佃煮なぞ御飯に山盛り乗せつつ食べた。
刺身はいいねぇ、日本の味だねぇ。
「あー、そういえば回転寿司も行きたいわぁ」
なんて、食事終わったその口で言ってる私だったりする。

親子ヨコイ
ポーターエール
苺withコンデンスミルク・牛乳

きじ焼き丼でもしようと思って買ってきた、特売の知床鶏もも肉。でも、昼御飯にたっぷりの炊きたて御飯を食べてしまったので、いまひとつ「丼を食べよう」という気分にならない。
「では、ヨコイにしませうか?」
のだんなの言葉に一も二もなく頷いて、今晩はヨコイのスパゲッティー。しかも親子丼風。

スパゲティの上に半熟卵を絡めた炒め鶏肉をトッピングして、ソースをかける。炒め肉を卵とじにしてヨコイソースをかけるのが、最近の我が家での小さなブームだ。

すっかり中毒者のように、最低でも月に一度はヨコイを食べずにいられない私たち。最初に食べたときは、
「お、美味しいけどちょっとヘンな味……」
と正直思ったものだった。二度目に食べてもやっぱり
「ジャンクだし、ちょっとヘンだし」
と感じるところが少々あった。
しかし、もうダメだ。三度四度と食べ進むうちに、「あ、なんかまた食べたいかも」と時々思い出すようになり、今はすっかり中毒者。ソースの中に、何かいけないものでも入ってるんじゃないだろうか。"名古屋液"みたいなものが。体内に名古屋因子を持っている者のみが反応してしまうような何かが。

不穏なことを考えつつも、太くて旨いヨコイの麺。じんわりと辛いあんかけソースは肉類に良く似合う。半熟卵にも素晴らしく良く似合う。久しぶりのヨコイはやはりしみじみ旨かった。やっぱり名古屋液が入っているとしか思えない。

1/20 (日)
銚子丸(稲毛)にて大トロ寿司500円皿! (昼御飯)
ホットサンド ツナ&チーズ
オレンジジュース

「寒い日は、これに限りますな」
「そうですな」
と、ホットサンドブーム到来中の我が家。昨日に続いて今朝もホットサンド。

今日はツナサンドに。刻み玉ねぎをたっぷり混ぜたツナにマヨネーズをまぶし、とろけるチーズも挟んだらホットサンドメーカーにセット。いつも使っているマーガリンを切らしてしまったので、今日はバター(しかも六花亭のマルセイバター←すげぇ旨い)をレンジでチンして柔らかくして塗ってみた。これがもう、
「あ、ヤバい、もうマーガリン使えないかも」
と思ってしまうほど、めちゃめちゃ美味しいホットサンドになってしまった。やっぱり本当のバターの風味に敵うものはない。いつもついつい「固くて塗りにくいしー」と、ホットサンドにはマーガリンを使ってしまうのだけれども、これはバターに切り替えちゃおうかなと本気で考える。

今日はあまり寒くもないし、良い天気。
「お寿司食べたいよー。回転寿司〜、銚子丸〜」
と私が駄々こね、自転車に乗っておでかけすることに。あ、その前に借りていたスーツケースをだんなの実家に返しに行こう。

稲毛 回転寿司銚子丸にて
 焼きサーモンとか、
 あん肝軍艦とか、
 うずらネギトロとか、
 あら汁とか、
 いくらとか、
 関サバとか、
 アジとか、
 カンパチとか、
 ウニとか、
 大トロとか。満喫。

だんなの実家に寄った後、目下のところ
「だって、ここらの回転しないお寿司屋さんより格段に美味しいんだもん」
という理由でいたくお気に入りの「銚子丸」へ向かう。値段を気にせずおもいっきり食べても(いやそれでも500円皿はちょっとだけ勇気が要る)5000円をちょっとだけ越えるくらい。腹が破れるほど思い切り食べる寿司はたまらない快感だ。

今日の店は大混雑。既に20人ほど待っている待合コーナーでしばし座して待ち、いよいよボックス席に着席する。「今日のおすすめ」をざっと眺めて、なくならないうちにそれから注文。あん肝軍艦巻きだとか、関サバ、カンパチ。絶妙のタイミングで、頼んだそばからその品物がどんどん品切れになっていく。なくなる前に出会うことができた、あん肝に感謝の視線を捧げつつ、まずはそれから。ポン酢で和えたもみじおろしが乗る、こってりとした舌触りの滑らかなあん肝だ。うま〜、いきなり、うま〜。寿司最高。

「今日は(今日も)リミッター外して食べようね」
と言いつつも、ついつい「うずらねぎとろ」とか「納豆巻き」とか、チープなものが気になってしまう。あ、茶蕎麦いいなぁ、なんて思っちゃったりして。
「いや、でもここは!……ウニ、おねがいします」
「俺は中トロを」
食べる食べる。黒い皿も青い皿も食べる食べる。この店はネタもでかいしシャリもでかい。一人10皿も食べれば、かなり胃袋はヘビィな状況になってしまう。煮穴子なんかも大変危険だ。長い皿一杯に1尾の穴子がどどどーんと乗ってくる。これ1つで胃袋の6/1ほどは占拠されてしまいそうな、大変危険な煮穴子だ。

かくして、テーブルの上には皿が積み上がっていく。だんなも私も、あと1皿ずつ食べたらお店を出ようね、という腹具合になった。やはりこのタイミングだろうか。あこがれの500円大トロを食べるチャンスはここ!という感じがした。せっかく高くて美味しいもん食べるなら、空腹の段階で喰え、という気がしないでもないけれど。
「俺は……うずらねぎとろ下さい」
「あ、私、大トロ」
値段はおおいに違うものの、だんなと一緒にマグロを喰ってのシメ。回ってる寿司もいっぱい食べるけど、ここぞというものは、なかなか回ってこなかったりする。そういうものは注文すると、すぐに握って持ってきてくれる。そういうところもこの店が好きなところだったりした。

500円の(←しつこい)大トロ、ピンク色の身はツヤツヤと光っていた。縞になった、ちょっとだけスジの入った大トロは、それでもトロンとしていてふわんとしていてムチムチしていて脂こっっってりで、それはそれは美味しかった。口に入れた途端に「んんんんんん〜」と愉悦の表情で上向いてじたばたしちゃう、そんな感じ。

豚味噌鍋
(豚バラ肉、白菜、大根、長ねぎ、うどん)
シンハービール、アイスウーロン茶

夕御飯は今年初めての豚味噌鍋。練り味噌の残りが少なかったので、昨日の午後にだんながせっせと味噌練りをしてくれた。やっとこ鍋にたっぷりの味噌を煮詰めて煮詰めて40分ほど、外見はこんな風に変わる。

これが、(まだまだ水っぽい)こうなる。(ケチャップのような粘度)

作り方はこのへんに

昼の遅くに山ほどの寿司を食べてきてしまったので、今ひとつ空腹にならないままに夕御飯。それでも豚味噌鍋はもりもりもりもり食べられる。こたつで囲む鍋物というシチュエーションがこれまたイカす。
「豚肉入れるよー」
「おー」
「白菜も入れるよー」
「おおおー」
と、結局のところ、やっぱりもりもりもりもり食べちゃったのだった。明日の朝は、味噌おじや。