食欲魔人日記 04年10月 第1週
10月1日 金曜日
材料は「きりたんぽ鍋」、でもパスタ料理。
コーンマヨパン
「HIROTA」の
 ツインフレッシュシュークリーム
 ミルクティーシュークリーム
カフェオレ

昨夜、7時半を少し過ぎたくらいの時間に、新橋駅前を息子と2人で手をつないでぷらぷらと歩いていた。ビールも飲んでいなかったし、ゆえに酔っぱらってもいなかったのだけれど、
「あー、ヒロタがあるよー……シュークリーム、買ってく?」
「うん!買ってく!」
「あー……明日のパンでも買って行こうか……まだ駅ビルやってるかな?」
「うん!買ってく!」
なんて、ついぷらぷらと食べ物を買い歩く。名前も知らないパン屋さん、閉店間際の商品の残り少ないショーケースからミートパイとかコーントッピングのパン、息子用のカスタードコロネなどを買い求め、シュークリームの小さな箱も2個持って、それで帰ってきたのだった。シュークリームはその日のうちに食べる予定だったのだけれど、家に到着したところで疲れが湧き出てきてしまって撃沈。シュークリームは今朝に持ち越しとなった。

新橋で夕飯の後に別れただんなはそのまま仕事を続け、帰ってきたのは深夜も深夜。
「こりゃぜーったいお風呂入ってないな」
と顔を見て判断し、今朝は起きるなり風呂のスイッチを入れ、息子の弁当を作り、花に水などやったあとに
「だんなー朝だよー……お風呂つけたけど入る?それとももっと寝てる?」
と声をかける。「昨日、帰ってきたの3時半だったや……」とフラフラと風呂場に消えただんなを見送り、
「こりゃコーヒーでも淹れておいた方がいいかね」
と、ミートパイをあっためてコーヒーメーカーのスイッチも入れて、朝食の準備。

ちょっと濃いめのコーヒーにした方が目が覚めるかしらとは思ったのだけれど、できあがったコーヒーはおっそろしく濃いめだった。本当はスプーンに2杯ちょっと入れれば良いはずのコーヒーの粉は4杯も入れちゃったし、本当は「5と6の間」くらいのラインに水を注ぐべきところは「4のちょっと上」に。かくして、いつもの2倍以上の濃ゆいコーヒーがサーバーに溜まっちゃったのだった。あうあう、私コーヒーにあまり思い入れなかったりして、んで、いつもだんなが淹れてくれちゃったりしているもんだから、記憶を頼りに淹れたらこんな事になっちゃって、もう。かいがいしい妻を演じてみたのに、あっさりと夢破れてしょぼーんとなってしまうわたくしだった。私と息子はカフェオレにして飲んでるから濃くても薄くてもあんまり影響ないんだけど、ブラックがお好きなだんなにはちょっと酷。
「ごめん、濃いね。牛乳入れて牛乳。ほら、だばだばだーって」
と牛乳パックを押しつけ、アツアツのミートパイを手渡した。

昨夜に食べられなかったシュークリームもテーブルに。
「んとね、"今月のシュークリームでーす"って売られてたんだ、これ。んでね、今日からは"焼いもシュークリーム"なんだってさ」
とか言いながら、昨日で発売が終了したらしいミルクティーシュークリームと、あとは定番のツインフレッシュ(生クリームとカスタードクリーム入り)を各自1個ずつ。

数ある洋菓子店の、大きかったりお高かったりするシュークリームもそれぞれ個性的で大好きなのだけれど、どれを食べてもつい「あれより美味しいかな」「あれより美味しくないな」と半ば無意識に比較しちゃうのがHIROTAのシュークリーム。あちこちの駅構内で買えてしまう、コージーコーナー並に目につくお店ではあるけれど、1個70円相当で買えちゃうちょっと小さめのふわふわシュークリームは相変わらず美味しかった。何もミルクティーの味にしなくても良いじゃないかと思わなくもないけれど(そして焼き芋味はなおのこと……)、それでも美味しかった。なんか懐かしい味がするのよね。

日清ラ王 麦茶

今日はジムに行こうと思っていたけれど、あれこれあれこれ仕事があって、ちょっと無理め。週末をのんびり過ごすためにも今日のうちにできるところまでやりたいなー、と、せっせせっせとお仕事した。気がつけば、お昼。昼御飯についてはなーんにも考えていなかった。

台所の食料庫をがさがさ漁って、
「これを食べちゃえー」
と取り出したのは、最近リニューアルしたらしい日清ラ王(どうでもいいけど、「らおう」を変換して最初に「ラオウ」が出てくる自分のパソコンの辞書がちょっとイヤ……)。先日、だんなが「とんこつ味」を手にとって
「このパッケージの肉がなんか美味しそうでさぁ。1個買っても……きっとおゆきさんが食べちゃうんだろうけど……」
と失礼な事を言いながら買い物籠に入れていたものだけれど、その予言を成就してやろうと、パッケージをがさがさと開ける。

ジェット湯切りだかなんだか知らないけれど、最近のラーメンの湯切り構造はすばらしい。かつてインスタント焼きそばなどは、四角いパッケージの角のところをくいくいっと3ヶ所ほど折り曲げてそこから湯を出していたりしていたものだけれど(あれ?今もそういうの残ってるのかな?)、私はあれで何度も何度も麺をシンクにグシャッと落としてしまった経験がある。一度、だんなの目の前でその失敗をしてからは、
「君はもう、焼きそばのお湯は切らなくていいから。ね?」
と哀れみに満ちた眼差しを投げかけつつ湯切りを代行してくれるようになった。不器用な人間にとっては、あのジェット湯切りはすばらしい。カップを90度以上に傾けさえしなければ(いや、傾けても)、麺はこぼれない。しかもカップから外しやすい。ああ、湯切りがこんなに楽しい作業になるなんて。

で、久しぶりのラ王は「……味は、あんまり変わってないかな?」という感じ。元々好きな味ではあったのが、相変わらず好きだなぁという感想だった。ただ、レトルトパック入りのメンマと角煮がついてきて、あらかじめ湯に浸して温めたそれを最後にトッピングするようになっている。いかにも〜なレトルトパックの味だったけれど、それはそれで悪くなかった。というわけでラ王、食べちゃいました。ごめんね>だんな

鶏肉とごぼうと舞茸のクリームソースペンネ
コーンスープ
ライチツリーフィズ

夕方は息子のピアノ教室。それが終わると、デパ地下に赴いて赤札がつけられ始める魚売り場をひやかして帰るのが習慣になりつつあるのだけれど、今日はいまいち魅惑的な魚には出会えなかった。鉄火丼あたりが食べたかったのだけれど、マグロも高いし、シンプルに塩焼きにして食べられるような魚もいまいちお安くない。煮魚って感じでもないのよねぇ……と、何も買わずに魚売り場を後にした。

「はぁ……今日もお父さんは帰ってこられないだろうしねぇ……何食べよっか」
「んとね、クリームのスパゲティー!」
「うん、君はそう言うよね……」
「じゃあね、マッケンチーズ!」
「そうだよねー……」
息子の聞き慣れたリクエストを話半分で聞いていて、ぽやーんと「きりたんぽ鍋食べたいなぁ……でもまだ、さすがに鍋って季節じゃないよね……息子と2人で鍋つつくのも、なんだかなぁ、だし」と考える。で、ひらめいた。そういえば以前、Cozimaで、きりたんぽ鍋の材料みたいな具のクリームソースのパスタを作ってもらったことがあったなぁ、と。

「うん、あれ、作ろう、あれ。美味しかったしね」
と、ごぼうと舞茸と鶏肉と生クリーム買って帰ってきた。
「クリームのパスタ作るなんだらね、コーンスープもつくると、おいしいと思うよー」
なんて生クリームを選んでいる背後からそんな事を言われ、クリームコーンも。

スパゲティでも美味しいけれど、今日はペンネで。鍋に少量のサラダ油熱して鶏肉とささがきごぼうと適当にちぎった舞茸を炒めていき、そこに140ccくらいの生クリームをだばだばだーっと。弱火にかけて煮詰めていきつつ、隣のコンロでペンネを茹でる。茹であがったらそのクリームのソースに絡めてできあがり。味つけは塩胡椒だけなので、塩がちゃんときいてないと、とってもボヤけた味になる。コーンスープは手抜きして、クリームコーンの缶詰を牛乳で伸ばして顆粒コンソメと塩加えただけ。手間かけるときにはみじん切りにした玉ねぎを最初にバターで炒めたりするけど、今日は時間もなかったのでその行程をすっとばした。

ペンネ、生クリームの煮詰まり方は「そうそう、お店で食べたのもこんな感じ」という具合に仕上がったのだけれど、でもそのソースの分量がやけに少なめ。2人分のパスタならやっぱり1パックの生クリームは使わなきゃいけないみたいで、お店で使われる生クリームの分量を改めて知ることになった。……カロリーもすごいことになりそうね。鶏肉とごぼうと舞茸の組み合わせはとっても和風だけれど、案外と生クリームのソースとパスタに似合って面白い。ごぼうも舞茸もちょっとアクというかクセのある食べものだけれど、鍋にしたり吸い物にしたりする以外にもパスタの材料として生クリームと合わせられるというのが面白いなぁと。

「おいしいですかー?」
「おいしいでーす」
「コジマさんとこと、どっちが美味しいですかー?」
「どっちも」
即答しない息子にちょっと感心しながら(うむ、見事な処世術だ)、更に質問。

「お母さんと、お父さんと、コジマさんが君の目の前に立っててね、"スパゲティ作ってあげまーす"と言ったら、誰にお願いする?」
「ぜんいんにおねがいする」
「全員じゃなくて、誰か1人だったら?」
「んっとね……んっとね……コジマさん」
……そりゃそうだわよね。でも、なんで?
「んとね、コジマさんはね、おりょうりが、かしこいから」

そっか、プロの料理人はお料理が賢いのか。「手抜かりない」とか「完璧に計算しつくされてる」とか、そんな意味合いなのかしら。私も相当クリームソースのパスタをあれこれ作ってきたけれど、まだまだまだまだ息子の理想の味には届いてないらしい。道は遠いのぅ。

10月2日 土曜日
昼御飯に、駅弁。一面蟹!なお弁当
「越前かにめし」を半分
「とんとろ丼」を半分
サーモンオニオン巻き寿司とか、ネギチャーシュー巻き寿司とか
麦茶

ここ何週間か、妙に仕事が集中して私はちまちまと忙しく、だんなもだんなで深夜帰宅が相次いでいて全体的に我が家はお疲れ気味。
「あーもう、のんびり温泉にでも行きたいー行きたいー」
という話が盛り上がり、今月半ば頃に1泊2日で南房総の温泉にでも行こうということになった。計画は立てているけど、でも先立つものはあんまりない。期せずして年末に母と海外旅行に行く話も出てきたこともあって、
「もうちょっとお仕事あるといいな。しごとーこいー!しごとーこいー!」
と願っていたここ数日。願っていたら、ほんとに仕事が降ってきた。こんなヘビィなのが来なくてもいいのに、というのが降ってきた。Wordの文書で50ページ以上ある文書をホームページで公開するためのファイルに加工しろという。しかも期限は1週間。

「うげっ、こんなに表があるよー……図もあるよー……」
と半泣きしながら昨日の夕方からせっせと作業。今朝もつい7時前に目覚めてしまって、静かな朝のうちにとせっせせっせとお仕事した。この報酬でシンガポールに行くぞー。がんばるぞー。

で、どこにも出かけない(出かけられない)土曜日。明日は前から「映画に行こう!」という事になっているので、明日たっぷり遊ぶためにも今日のうちにがんばっておかなければならぬ。
「……じゃ、俺はジムに行ってこようかな。カップラーメン食べてくけど、おゆきさんも食べる?」
カップラーメンは昨日のお昼にとんこつのを食べたばかり。2日続けてインスタントラーメンを食べるという気もしなくて、あんまりお腹すいてないからいいわー、と、そのままパソコンに向かっていた。

昼過ぎてさすがにおなかが空いてきたわー、と思っていたところでだんながジムから帰還。スーパーで駅弁フェアをやっていたとかで、いくつかのお弁当を買ってきてくれた。ほぐした蟹の身が御飯の上全面に散らされた「越前かにめし」と、北海道の「とんとろ丼」。そして、「小僧寿司」の巻物をいくつか。弁当はだんなと半分こして、寿司も少しいただいた。駅弁って、駅弁というだけでなぜか3割り増しくらい美味しく感じてしまうから不思議だ。どちらもお弁当も、空腹にしみじみ美味しかった。

蟹味噌を混ぜて炊いたのだという茶色い御飯の上には、蟹の身がみっっちりと。漬物やら何やらが添えられていることはなく、ただただ御飯と蟹の身ばかり。蟹の形をした赤い器の上にはスプーンと切り海苔が添えられていた。最高に美味しい!というほどの蟹の味ではなかったけれど、この迫力が嬉しい。

で、かなり美味しかったのが「とんとろ丼」。殻つきの卵(温泉卵だった)が入っているので、それを一度除けてからレンジでチン。御飯の上に、トロンプヨンとした食感の"とんとろ"が何枚も乗り、青菜炒めとじゃがいも、にんじんが添えられている。ミニパックに入ったタレは、ピリッと辛くてコチュジャンのような感じ。そのタレを添えつつ、肉の上に温泉卵をパカンと割り落として御飯となじませながら食べる。北海道は富良野のお弁当だということだったけれど、なぜ富良野でトントロ……?

丹後のオイルサーディン 白髪葱添え
「魚久」の粕漬け(鮭・いか)
かきたま汁
まぐろといくらの丼
ビール(モルツ)
日本酒(一人娘・本醸造/茨城)

午後もずーっとお仕事。思ったよりも作業が進み、そこまで根を詰めてやらなくても良い状況になったのだけれど、止められなくなってしまってダラダラと5時になっても6時になってもお仕事。だんなが駅弁と一緒にまぐろの刺身なんかも買ってきてくれたので、あとは御飯炊いて吸い物でも用意して、グリルで粕漬けを焼けば立派な夕飯ができあがりそうだったのだけれど、台所に立つ気力が全然沸かない。調理に使うべき注意力とかやる気とか、そういうのがぜーんぶパソコンの前に落ちて溜まっているような。

「おゆきさん、夕飯前にお風呂入ってきちゃったら?俺はジムで風呂入ってきたからさ」
「んー……じゃあ、御飯炊いて……いや、お風呂のスイッチをまず入れてー」
「……おゆきさん、なんでお風呂場に羽釜持ってっちゃうの?」
「……おやー?」
「……あれ?風呂場でピーピーピーって言ってない?」
「……ん?……あー、お風呂空だきにしちゃってたや。水、昨日抜いたの忘れてたやー」

もういいから、君はとりあえず風呂に入ってらっしゃい、何もせんでいいから、と、だんなに背中を押されて、とりあえず息子と2人でボヘーッと入浴。だんなはその間に御飯を炊いて、きちんとだしをとってかきたま汁を作っていてくれた。私はまぐろを皿に盛りつけ、あとは葱を刻んだことくらい。粕漬け焼きとまぐろだけじゃ寂しいかしら、と、丹後のオイルサーディンを皿に盛って出した。缶詰の中身をそのまま盛りつけただけではなんとも味気ないので、上から白髪葱をたっぷりと。魚ばかりがずらずらと並んだ夕御飯になった。

魚久の粕漬け、何度食べてもやっぱりしみじみと、顔がニヤけてしまう美味しさ。今日焼いた鮭もなんとも優しい味になっていて、酒粕の香りがぷんと漂う香ばしいイカ焼きも酒の肴にこのうえなくぴったり。早々にビールを飲み干してしまって、
「……さけ……何かないかな。発泡酒はヤだなぁ……」
「日本酒1本くらい冷やしてなかったっけ?」
「ああ、うん、これね……"一人娘"……」
茨城のお酒だよ、何かの理由で同僚に貰ったんだー、なんて話を聞きながら、辛口ながら優しい味わいだったその酒をくいくいと冷やで飲む。うん、やっぱり粕漬けには日本酒がよく似合う。コリコリプリプリしたゲソも、もっちりと噛みごたえのあるイカの胴も、最高に美味しい。お吸い物とまぐろ丼が控えているというのに、ついカッパカッパと日本酒飲んで粕漬けやらオイルサーディンやらをつまんでいたら、すっかり酔っぱらってしまったのだった。

だんなも相当お疲れだったのか、食後はそのままソファーで爆睡。私も全然仕事なんかできる状態じゃなくなってしまって、のんびり漫画見たりこの日記をつけてみたり。今日は早めにしっかり寝て、寝不足解消して、明日はバイオハザード2鑑賞。息子はこの夏に映画慣れしたとはいえ、さすがに内容が内容なのでだんなの実家でお留守番していただく予定。

10月3日 日曜日
リブ食べてきました。こってり甘い、アメリカの味。
「がもう」のうどん あつあつ
麦茶

今日は朝から冷たい雨がしとしとと。
「……おゆきさん、そんなに今日のお出かけ、楽しみだったの?」
「うん……そうかも……」

我が家のジンクス、
「私が楽しみにしていればいるほど、そのイベントは雨になる。だんなが楽しみにしていればいるほど、そのイベントは晴れになる。」
だから、雨になると「そんなにおゆきさん、楽しみだったんだー」とか言われちゃうのだった。ええ、けっこう私、楽しみにしていました。小雨じゃなくて、かなり本降りの雨だよー。しょぼん。

ちゃちゃっと済ませた朝御飯は、温かいうどん。冷凍の「がもう」のうどんを茹で、熱いだしをかけて刻みねぎとすり胡麻を添えて。冷凍のうどんも、濃縮のだしも、本物に比べると「なんかちょっと(いや、激しく)ちがーう」という気はするのだけれど、でも、讃岐うどんへの飢えはこれでごく軽く抑えられるかな、という感じ。ほんとは「ひやひや」が好きだけれど、この気温じゃあんまりそんな気分にもなれず、温かいうどんに温かいだし。うまー。

幕張 「カプリチョーザ」にて
 なすとホーレン草、ミートソース和えスパゲティー
 生ビール

今日は幕張に向かい、だんなと2人で映画鑑賞。事前に買っておいた(しかもネットオークションで安く買った)前売り券を握りしめ、いざいざと見に行ったのはバイオハザードUアポカリプス。先日のテレビ放映でTを見て、別の映画を見に行った際に予告編なども目にして、
「うっわー、気になる気になる」
「面白そうかも」
と、楽しみにしていたのだった(だから雨だったのかしらん)。

映画が終了するのは2時過ぎということで、映画の前に軽く腹ごしらえ。映画の内容が内容なので、息子はだんなの実家に行っていただいている。だんなと2人だけで御飯を食べるのは久しぶりだなと思いつつも、でも映画が始まるまであまり時間もなく、
「……ハンバーグ?それともこっちのオムレツ専門店は……お高いね……」
「スパゲティでいーんじゃない?カプリチョーザは久しぶりだし」
なんて会話をしながら駅近くのカプリチョーザに。

スパゲティの盛りがたっぷりなこのイタ飯屋チェーン店、入るのは10年ぶりくらいかもしれない。学生の頃はちょこちょこ入っていたし、何より「親と一緒じゃなく友人と入る、初めての夜の外食のお店」がここだったりする。高校卒業後数ヶ月後に開催されたクラス会の会場がこのお店だったのだ。私の母はあまりパスタ料理を食卓にのぼらせることはなくて、しかもにんにくが大嫌いときていたので、私はこのお店のそこら中にただようにんにく臭さにものすっごくびっくりした記憶が残っている。

家族連れや若いグループ客などで店はかなりの混雑。
「ここのスパゲティ、2〜3人前あるから、これ1つ取って半分こしよう」
「うん。……このミートソースかな」
「うん、そだね。すみませーん、このパスタと……あと、ビール?」
「うん、ビールビール」
「じゃあ生ビールも2つ」

子供がいないのをこれ幸いと、昼間から飲んだくれ。深めの白い陶器の皿にどっさりと入ったパスタはかなりの迫力だった。やけに甘めなミートソースが絡むパスタには、揚げた茄子とくたくたほうれん草もたっぷりトッピングされている。ほのか〜にジャンクな味だけれど、それがまた懐かしい。「イタリア料理店」というよりは「イタ飯屋」という表現の方がしっくりきてしまう雰囲気と味のお店で久しぶりに食事して、
「君と一緒に入ったことなかったよね」
「うん、学生時代にはよく行ったけどね」
と、ちょっと気持ちが若返った気分。

幕張 「TONY ROMA'S」にて
 オニオンローフ(ハーフ) \610
 ベイビーバックリブ \3130
 ビール(ハーフ&ハーフ) \580

映画は、思っていたよりもずっと面白かった。「うわっ、その名前はあの名前じゃん」とか、「こういうところ歩くと、ゾンビが下から出てきそうだよね……ほら、でてきたー」とか、あのゲームが好きな人ならぐぐっと来るシチュエーションがあれこれと。主役のミラ・ジョヴォヴィッチも美しいしカッコイイし乳首見えたし(え?)。
「……見えましたね」
「ええ、見えました」
なんて会話が終演後の初会話だったというのは何だけれども、でもとにかく面白かった。後味はほんのーり悪いけど、前ほど悪くもないかな、と。

映画が終わるのに合わせて、お義父さんとお義母さんが「私たちも幕張でお買いものがあるから」と息子を幕張まで連れてきてくれた。カルフールでワインの試飲をしてワインを買ってラム肉なども買い、欲しかった本もあれこれ買い、ゲームセンターでダーツコーナーをちらりと覗いて、沖縄食材屋さんで、沖縄そばの生麺とかフーイリチー用のお麩、ランチョンミートなどを購入。夕飯もそのまま幕張で済ませてきた。

「なんかね、こないだっからリブが恋しくて恋しくて、めちゃめちゃ恋しくて」
と向かったのはアメリカのリブがメインの肉料理チェーンTONY ROMA'S(トニーローマ)。子豚の骨つきあばら肉をスモークしてグリルして、甘ったるいバーベキューソースの味でいただく、いかにもなリブのお店だ。ここに来たからには、リブを食べねばなりませぬ、と、フルサイズ(骨12本)のリブを注文し、だんなと半分こして食べることに。前菜には、「オニオンローフ」という名前の揚げ玉ねぎを。昼からビール飲んで、スーパーで試飲のワインもくいくい飲んだ後だというのに、ここでも当然ビールをいただく。息子はコーラと、キッズメニューのハンバーガーやチキンのセット。

直方体の形をした、ちょっと珍しい外見の揚げ玉ねぎには、辛めのバーベキューソースがついてきた。ただ塩ふってつまんだり、ソースをどっぷりつけてみたりしながらビールにすこぶる似合う揚げ玉ねぎをぽりぽりと。そうするうちに、迫力の"骨12本"のスペアリブが乗った皿がやってきた。ハーフなら骨6本、レギュラーなら骨10本、
「うーん、レギュラーを1人で食べても、これなら食べられるかも」
「まぁ、今日は映画館でポップコーンバリバリ食べてきたしね、こんなもんで」
と、だんなとフルサイズリブを半分こしていただいた。

軽く焦げ目のついた肉は表面がごくわずかにパリッとしていて、中はふくふく。味がしっかり染みてはいるけど染みすぎているということもなく、骨と骨の間にナイフを入れて1切れずつ切り離しながら骨までしゃぶってガツガツと食べる。あまり親しくない友人や知り合いと一緒に焼き肉を食べにいくのは憚られるけれど、リブを食べに行くというのは、焼き肉以上に恥ずかしいものがあるんじゃないか、と思い至った。なにしろもう、口の回りも手もベッタベタで、大変。先日OUTBACKでだんなが食べていたリブも相当美味しかったけれど、この店も侮れない美味しさだ。店内にただようアメリカ〜ンな雰囲気も、さりげなくメキシカンなメニューがあるのもちょっと嬉しい。

映画は楽しかったし、欲しかった色々なものを買えたし(こないだ通販で、牛柄・豚柄・魚柄・魚介柄というすごくキュートな瓶のワインを買ったのだけれど、その同じシリーズの鶏柄とチーズ柄を見つけられたのが、何より嬉しい〜)、天候だけはいまいちだったけれどすごく楽しい週末の1日。さ、明日から気持ち入れ替えてお仕事お仕事。