食欲魔人日記 05年03月 第1週
3月1日 火曜日
念願の魚な夕食。ぶりてり。
フルーツグラノーラ with 牛乳
今日は息子の幼稚園の春先の一大イベント「お弁当パーティー」。幼稚園からのしちめんどくさい指示に応えるべく、5時半に起きて準備を始めた。

主旨は、「仲良く遊んだ友達とのお別れ会も兼ねて、お弁当を友達や先生と交換しながら楽しく食べるパーティー」なのだとか。子供が食べやすい大きさの「お寿司・おにぎり・サンドイッチのいずれか」を作ってこい、とある。指示がこれだけなら、もうちょっとわくわくして準備したくなるのだけれど、事前に渡されたA4のプリントにはみっちりといろーんな指示が書いてある。

「お寿司、細巻きは1本の1/4位の大きさで」
「太巻きは1本の1/8位の大きさ」
「いなり寿司は細めにするか1/2の大きさ」
「はしを使わずに、食べやすいように工夫」
「中身やまわりにまぶすものを工夫して」
「サンドイッチは1斤12枚切りの食パンで作り耳を落として1枚の1/2で作って」
「ロールサンドは1枚で作って1/2の大きさに」
「手作りあんぱん、手作りメロンパンなども小さめに」
などなどなどなど。

読んでいるとだんだん疲れてきてしまって、
「そんなに"理想"があるんだったら、その理想どおりの仕出し弁当でも取ればいいじゃん……」
となどという気分が盛り上がる。

まぁ、「お寿司・おにぎり・サンドイッチのいずれか」と言いつつも手作りあんぱんなどに言及してもいるのだから、要するに「数口で食べられるそれっぽいもの」を作れば良いのであるらしい。こうなったらちょっと不思議なものを作ってやろうと、10日くらい前から
「マーライコー作ろうかな……ちょっと甘い、中華蒸しパン……」
「いやいや、饅頭の皮を作ってだな、テリヤキチキンとか挟んで割包(カーポ)っぽく……」
などと色々考え続けていた。

結局、用意したものは、好き嫌いがあるお子さまでも食べていただけそうなミニピザ。週末に作ったピザ生地、セルクルで直径7cmくらいの丸形にポンポンと抜いたのを冷凍してある。それを2分ほど下焼きし、ピザソース塗って、炒めたベーコンとコーンを散らして更に2分。ピザ用チーズを使ってしまうと冷えてカピカピになってかみ切れなくなってしまいそうだったので、パルメザンチーズをパラッとかけておいた。一度に5枚しか焼けないので、20枚弱用意したミニピザを焼き上げるまでに4回もローテーションさせなければならなくてちょっと大変。タイマー片手にオーブンの中身を生地が焦げないように睨んで確認しつつ、1時間半ほどでやっとなんとか仕上がった。あとは冷まして容器に詰めて持っていくだけ。

「今日、お弁当パーティーでしょ?」
「うん、そうだよー」
「じゃあ、朝御飯は軽〜くにしとく?」
「うん、しとく」
お弁当パーティーに向けてやる気満々な息子のために、朝御飯はごくごく軽めな分量のコーンフレーク。

「お弁当、ミニピザ作ったからね。乱暴に持つと割れて崩れちゃうから気をつけてね」
と、ミニピザ12枚詰めたバスケットを息子に渡したら、息子は忍び足でそろりそろりと幼稚園の門の向こうに消えて行った。いや、そこまで慎重に持たなくても大丈夫だから……。

ベーコンとコーンのミニピザ
ヨーグルト
アイスティー
息子に持たせたミニピザは12枚。失敗分も考えて多めに焼いておいたので、テーブルの上には残りが4枚。朝に焼いたピザが昼にはどうなっちゃってるのか気になってもいたので、昼御飯はこの残りのミニピザをつまんじゃうことにした。今頃色々やってるのかなぁ……と思いながら、温めずにそのままミニピザ囓ってみる。

焼きたてはパリッパリだったけれど、さすがに数時間経つとピザソース塗ったところはしっとりと。それでも縁の部分は適度にパリパリ感が残っていて、コーンとベーコンがたっぷり乗ってなかなか幸せな味になっていた。息子は間違いなく好きな味だと思うけれど、他の子供達が食べてくれるかどうかがちょっと気になったりして。

数時間後に迎えに行った息子は、空のバスケットぶらさげて
「たべた、たべたよー」
と帰ってきた。幼稚園側で用意してくれたフルーツなども合わせて、なんでも「32個も食べた!」のだそうで。一体何を32個食べてきたのか、激しく気になるところ。

ぶりてり
ほうれん草とベーコンとコーンの塩炒め
豚肉と茄子の和え物
カクテキ
じゃがいもとえのきだけの味噌汁
羽釜御飯
ビール(モルツ)・抹茶入り玄米茶
ここ数日魚が食べたくて、今日もスーパー覗いてきた。そのスーパー、「火曜日は魚の日」。その割に品揃えはいまいちで、
「魚の日って……いつもと変わらないじゃーん」
とちょっとがっかりだった。でも、ぶりの切り身は安かったのでこれを3枚。味噌汁作って御飯炊いて、「ブリ照り」にしようと買ってきた。

醤油と味醂をあらかじめ絡めておいたのをグリルで焼く照り焼きも嫌いじゃないのだけれど、パサついたり焦がしてしまったり、さりげなく難しい。小林カツ代さんがレシピ本で「これでいいんです、照り焼きは」なんて紹介しているのを見てからというもの、私は照り焼きはフライパンで作るようになってしまった。軽く塩しただけの魚をフライパンで焼きつけ、火を通してから最後に合わせ調味料をフライパンに流し込んで魚の両面絡めつつ煮詰めてテリッとさせるやり方だ。失敗しないし醤油が焦げたえぐみも出なくて良い感じ。

ミニピザに使ったベーコンとコーンが半端に余っていたので、これはほうれん草と一緒に炒め合わせてしまうことに。で、それだけじゃおかずが物足りない感じだったので豚肉と茄子の和え物も作ってみた。豚肉は茹で、茄子は縦4つ割りにして素揚げし、それらを醤油(だば)・オイスターソース(ちょろ)・酢(ちょろ)・胡麻油(とろ)・おろし生姜(うりゃ)・おろしにんにく(とりゃ)で和える。上に刻みトマトと白髪葱散らしてできあがり。誰のレシピか忘れてしまったけれど、この調味料の感じから言って、多分ケンタロウさんのレシピじゃないかなぁと……。
茄子と豚肉が手元にあったので作った料理だったのだけれど、これが案外と美味しくて、だんなにも好評だった。ちょっとの酢が良いアクセントになって、この味付けが不思議とトマトにも似合う。

3月2日 水曜日
おやつはバームクーヘン
「山越」のうどん 釜玉
抹茶入り玄米茶
最近、卵が妙に高い。近所のスーパーでは1週に1度くらい卵1パックが98円になったりするのだけれど、ここしばらくそんな値段は見かけない。150円でも稀な方で、いつどこのスーパーでも1パックが200円近くしたりする。200円出して普通の卵買うなら250円出してヨード卵光や地鶏卵買ってしまうほうが満足感が得られるわよねぇということで、最近の我が家の冷蔵庫にはちょっと良いめの卵が常備されている。

「……せっかく美味しい卵買ってきたことだし、釜玉にすっかー」
と、今日の朝御飯はうどん。釜玉と言えばこれ!の「山越」の冷凍麺を使っての釜玉だ。溶き卵に茹でたての麺を絡めて半熟のトロトロ状にして食べる。味つけはだし醤油のみ。

つるつるモチモチくにゅくにゅした歯触りのうどんは、これまたツルツルした食感の生卵にすんばらしく良く似合う。優しい味のうどんを啜って、だんなは出勤、息子は幼稚園、私は久しぶりのスポーツジム。

惣菜屋さんのおにぎり弁当 \500
麦茶
今日はどうしたわけか、朝からビキビキバキバキに首と肩が痛い。寝違えたかな……と思いきや、どうもこれは「筋肉痛」らしい。で、どうも原因は「テレビゲーム」であるらしい。一昨日昨日とコントローラー握って「Devil May Cry 3」をやっていたのだけれど、肩にぐぐぐーっと力を入れすぎていたようだ。朝、朝食後にだんなが
「あらまぁ奥さん、首の筋がバキバキですよ」
とほぐしてくれた。「ジム行って運動してほぐしてらっしゃい」と。

「……おかしいよねぇ、運動してたわけじゃないのに筋肉痛ってのも」
「ゲームの中の人はすごい運動してたけどね」
「中の人など!」
くだらない事をやりとりしつつ、ジム行きの準備を。ボディパンプをうりゃうりゃやってこよう、と当初は思っていたのだけれど、思った以上に首と肩が重傷で後ろを振り返られないし腕も肩より上に上げられない。今日はゆっくり筋肉動かすにとどめておこうと、プログラムには参加せずに1.5kmの距離をゆっくり泳いで帰ってきた。

昼御飯は、帰り道おにぎり屋さんで買ってきたお弁当。好みのおにぎり2個を選ぶと唐揚げと卵焼き、漬物がセットと共にセットにしてくれる。これ以上なくシンプルな具のおにぎりが恋しかったので、選んだのは焼きたらこと鮭。家に持ち帰り、冷たい麦茶飲みつついただいた。1個1個のサイズが案外と大きくて満足な分量のおにぎりが2個。運動の後には実のところちょっとばかり物足りなかったのだけれど、今日はおやつにバームクーヘン食べるのよー……と、ぐっと我慢。

バームクーヘン ホイップクリーム添え
カルピス
だんなが結婚式の引き出物でもらってきたのは「ヨックモック」のバームクーヘン。いつもどおり、放射状にざくざく切って食べようとしたら、添えられていた説明ペーパーには
「スプーンですくうようにしてカットしてください。バームクーヘンならではの繊細な食感が味わえます」
なんて事が。更には
「ホイップクリームを添えても美味しいです」
と。

そうかそうか私がこれまで食べていたバームクーヘンの食べ方は繊細な食感を感じられないやり方だったのか……と反省して、ホイップクリーム用意して、スプーンですくうような形に切って食べてみることにした。

ちょっと小洒落た風にしたバームクーヘン、でも味はやっぱりバームクーヘンだった。「繊細な食感」が感じられない事もなかったのだけれど、でも私は1層1層ペリペリ剥がすようにして食べるのが実は好きだったりして、あんまり形状による食感の恩恵を感じられなかったりして。……あ、でもホイップクリームを添えるのは確かに旨かったです。もぐもぐ。

春野菜のスパゲティ
ルッコラとクリームチーズのサラダ
アイスティー
夕方、私は待っていた。昨日発送、今日到着予定でだんなが注文してくれた、ながしま農園のお野菜青木農園のうみたて卵

「あーもー、卵がお高い!なんてことない卵ですらお高い!」
「だったらいっそ、旨い卵を買ってしまおう」
ということで、卵を買おう、ついでに野菜も買おう、ついでにサンルイ島のチーズケーキも買ってしまえ、とあれこれあれこれ注文したのだった。チーズケーキが届くのは週末だけれど、野菜と卵は今日届くそうで……でも、6時になっても7時になっても届かない。おかしいなぁ、大抵午前中には届くのになぁ……と待っていたら、8時半になってやっと届いた。時間指定のミスで20〜21時配達設定になっていたらしい(チーズケーキをその時間帯で頼んじゃって、それと混同しちゃったらしい……)。

今日は昼過ぎかららふてぇ(沖縄の豚角煮)の仕込みをしていて、予定では今日は沖縄そばがメインのはずだった。……が、だんなは激ジョブで帰れそうにないということで、だんな好物の沖縄そばは明日に延期。ならば今日は今日届く予定のお野菜使って色々やろうと待ちかまえていたのだった。野菜がなかなか届かなくて、ちょっとショボーン。

8時半まで待って、それでも届かなかったらしょうがないから別の何かを作ろうと思っていたところ、そのぎりぎりの時間に諸々が到着。大きな箱の中には、これでもかと立派なブロッコリー、ころりと可愛い蕪、ほうれん草のようにボリュームのあるルッコラ、綺麗な色の水菜、みずみずしいほうれん草と、いかにもな感じの巻きのゆる〜い柔らかな春キャベツが入っていた。まだまだ寒い日が続くけれど、届いた野菜の品揃えには「春だなぁ」と思わせられる。

今日はその野菜を使って、春野菜のスパゲティ。薄切りにした蕪、外側部分のキャベツの葉をちぎったの、ブロッコリーは茎の中心部分も削いで混ぜ、それらを麺と一緒に茹でていく。せっかくの新鮮な野菜、あまりグダグダ火を通してもよろしくないだろうなと、麺が茹であがる1分前に野菜を鍋に放り込んだ。ゆだった麺と野菜は皿に盛りつけ、塩ふって風味の良いオリーブ油かけて、パルミジャーノチーズガリガリ削って、生ハム数枚飾ったらできあがり。以前 Cucina Tokionese Cozima で食べさせてもらったパスタを真似してみたのだけれど、もうちょっと人参とかきのことか豆とか入れてみたら良かったかも。

パスタが茹であがるのを待つ間に、ルッコラのサラダの用意も。届いたばかりのルッコラは近所のスーパーで買うものよりも色がぐんと濃くて葉もごわっと力強い。ざくざく刻んで、サイコロ状に切ったクリームチーズと合わせ、オリーブ油と白ワインビネガー、塩胡椒、少しの砂糖で和えて。お腹空いちゃったので20分ほどで猛烈な勢いで作った夕食だったけれど、材料が良かったのかとても美味しく仕上がった。最後に散らしたチーズとハムの塩気が良い感じ。

芯までほっこりと甘いブロッコリー、柔らかいけれどごわっばりっとした力強さもあるキャベツ、とろけそうな食感の蕪、どれもこれもとっても美味しかった。ほうれん草は一部を明日の沖縄そばで使って、水菜はちりめんじゃことサラダにする予定。これからしばらく、野菜料理を考えるのにうきうきする日が続きそう。

3月3日 木曜日
雛祭りに関係なく沖縄そば……
卵とチーズのホットサンド
カフェオレ
美味しい卵と美味しい野菜が昨日届いたばかりなので、卵料理と野菜料理に心ときめかせる今日この頃。今朝はここしばらく御無沙汰していたホットサンドを作ることにした。3月になったというのに、ここ数日はやけに寒いけれど、なんでも明日明後日あたりは雪になるとか。

卵は茹でてマヨネーズで和え、ピザ用チーズと共にホットサンドメーカーに。美味しい卵と美味しいマヨネーズ(←買い置きしてあった「松田のマヨネーズ」なるもの)を使ったら、やけに美味しい卵サンドになってしまった。

今日の息子のお弁当は、
「ぼくはねぇ、オムライスが好きだなー」
との言葉に応じて、オムライス弁当。
「あのねぇ、すみっこにはブロッコリー入れてね、あとね、いちごも入れるんだよー」
と細かな指定も入ったのでその通りにしてやった。息子はなぜかブロッコリーが大好き。あのツブツブした感じがよろしいんでしょうか。

「かのん」の
 山形パンサンド
牛乳
今日は春も近づいたということで久しぶりにベランダで草花いじりして、あちこち掃除したりその合間にちょこちょことお仕事したり。のんびり通販のカタログ眺めて春の花の苗を注文してみたり、今日は1日まったりと過ごしていた。今年はひまわり植えたいなぁ……。

昼御飯はちょっと遅めに、息子を幼稚園に迎えに行きがてらパン屋さんでサンドイッチを1パック買ってきた。山形パン2枚分のサンドイッチ、2種類の具が詰まっている。1つはポテトサラダと野菜、もう1つはハムとチーズと野菜。いちいちレタスとトマトが挟まれているのがさりげなく良い感じで、しかもお安くて更に良い感じ。

沖縄そば(らふてぇそば)
きのこ入りフーイリチー
茹で野菜のオリーブ油かけ 温泉卵添え
水菜とちりめんじゃこのサラダ
ビール(San Miguel Dark)
麦茶
今日は雛祭りだけれど、それとは全く関係なしに本日のディナーは沖縄そば。昨日の午後に仕込んだらふてぇ(角煮)は良い感じに煮えていて、あとは美味しい卵と美味しい野菜使って何かしようと準備万端だんなの帰りを待ちわびる。

沖縄そば、スープは豚を下茹でした煮汁と、鰹と昆布で取っただし汁を合わせて使う。味つけは醤油と塩と、沖縄そば用の濃縮スープも隠し味程度に。トッピングはらふてぇと、かまぼこ(沖縄のかまぼこ使いたかったけれど、ごくフツーのやつで代用……)と、茹でたほうれん草。そしてこーれーぐーすーも忘れずに食卓に出しておく。沖縄そばにひと垂らしすると、唐辛子と泡盛のなんともいえない良い香りがふわふわと周囲に広がってくれて、とても便利な調味料だ。ラー油の代わりに餃子食べたりするときに使っても良いらしい。

フーイリチー(お麩と卵の炒め物)には、今日はにんじんとエリンギ、えのきを混ぜて。昨日届いたブロッコリーとキャベツ、蕪はごく軽くさっと茹でて皿に盛りつけてから中央に温泉卵を割り落とし、塩胡椒散らしてオリーブ油を垂らした。水菜はざくざく切ってちりめんじゃこと和え、醤油と酢と油と塩胡椒、すり胡麻でシンプルな自家製ドレッシングで。

「……ちょっと作りすぎちゃった?……沖縄そばはけっこうボリュームあるのに……」
作り終えてからそう思ったのだけれど、時既に遅くて結局色々余らせることになってしまった。でも沖縄そばはしっかりたっぷりいただいた。

讃岐うどんは1玉余裕で食べられるのにう(何なら2玉でも食べられるのに)、沖縄そばは1袋を1人で食べきるのになかなか大変な思いをしなければならない。見た目はなんてことない分量に見えるのに、もっちりとした黄色い麺はかなり食べ応えがあるのだ。恐ろしい麺だ。しかもモタモタしていると水分吸ってどんどん膨れてゆくのだ。油断していると「食べても食べてもなくならない」という恐怖体験が味わえる恐怖な麺だ。……でも、見つけるたびに「うわーい、沖縄そばだー♪」といそいそ買ってきては冷凍保存してしまっているほど、私もだんなも沖縄そばを気に入っている。麺のくにゅくにゅもちもち感も好きだけど、豚と鰹だしの味のスープがなんともいえない美味しさなのよね。

「ラーメン、たーっくさん食べられるよー」
の息子の声に、
「今日は麺、2玉でいっか……」
「うん、おかず多かったしね」
と、ひととおりおかずをつついた後で、さぁ麺を茹でようとしていた私とだんなは結局3玉の沖縄そばを手にすることに。

3玉茹でて息子にもしっかり食べていただいて、そして全員腹一杯になった。今日のスープはいつにも増して出来が良くて、大満足。さすがにお腹一杯になってしまって、私もだんなもスープを全部飲み干すことはできなかったのだけれど、息子は一人んっくんっくと音立ててスープを飲み干して完食した挙げ句、
「この、ピンクのおもち、なぁに?おかし?あんこが入ってるの?」
と言いつつ、今日は雛祭りだしねと買ってきた桜餅のデザートも見事に平らげた。私が桜餅買ってきた張本人だけれど……ダメ、今日は桜餅食べられそうにない……。

3月4日 金曜日
ドライカレーにキャベツを添えて
「かのん」のチョココロネ
カフェオレ
雪になるとは聞いていたけれど、朝起きると本当に積もっていてびっくりしてしまった今朝。

ジムに行くだんなを午前5時半、布団の中からお見送りしたときに
「……積もってる〜?」
「うん、積もってる……まぁまだ白くうっすらと、だけど」
「……降ってるぅ〜?」
「うん、降ってる」
「……いってらっしゃあぁ〜いぃ〜」
「あいよー、行ってくるよー」
なんて会話をしたのだけれど、7時に改めて起きてみて、窓から見える風景が見事に白一色になっていてどびっくり。

ああ、幼稚園行けるかなぁ……歩いていくにもなんか危なそうだし、かといって自転車はもっと危ない……と思いつつお弁当の準備をし始めたところで、幼稚園から連絡網がまわってきて本日は「休園」の旨伝えられた。雪で休園ということもあるのねと思いつつ弁当作りはそこで中止。起きてきた息子と2人、
「ゆきゆきだー!」
「うん、めちゃめちゃゆきゆきだねぇ〜」
と温かい部屋の中から外を眺めてちょっとわくわくしていた。

息子はわくわくするだけでは終わらないわけで、起きるなり早々に着替えを終え、上着を手に取りマフラー手袋帽子も手にして
「じゃあ、じゃあ、外であそびましょう!」
と午前7時から外で遊びそうな勢い。いや、せめて朝御飯食べてからにしようね、雪の降りがもうちょっと少なくなってからがいいかもよ〜?と色々宥めて、とりあえず朝食だけ済まさせていただくことになった。

朝御飯は、昨日買ってきた「かのん」のチョココロネ。本当はクリームパン目当てに昨日お店に寄ってきたのだけれど、残念ながらクリームパンは売り切れということで、今日はチョココロネ。尻尾のほうまでたっぷりとチョコクリームが詰まったコロネで幸せだった。チョココロネ、チョコ感が少なくてバタークリームや生クリームっぽい味が強いものはあんまり好きではないのだけれど、このお店のはしっかりくっきりはっきりと濃厚なチョコ味。クリームパンと同じくこれも甘さ控えめだった。

「はい、食べたから、食べたから、外にいってもいいですか?」
息子はもう、雪への欲望の塊。

ラ王 味噌味
麦茶
幼稚園が休みで良かった……と思ったのは午前8時頃までで、それからは息子と雪にお付き合いする1日になってしまい、「ああ、こんなことなら幼稚園に行ってくれていたほうが……」と全力で思うことになった今日。タイミング悪く、近所の仲良しのお友だち(同じ幼稚園なので今日は皆お休み)は軒並風邪でダウンしているようで、10時頃に「いっしょに遊ぼ?」と誘いに行った息子はショボーンとして帰ってきたのだった。しょうがないので私が全面的にお付き合い。

午前9時から30分くらい、外で軽〜く雪合戦。私は手がかじかんで動かなくなったところで帰ってきたのだけれど、息子はその後もドカ雪ふりしきる中きゃあきゃあと遊んでいて、
「……くつした、ぬれぬれになっちゃったー」
とヨレヨレになって帰ってきた(で、一人遊びでヨレヨレになる前に友達の家に誘いに行ったんだけど断られた、と)。それでも足りず、11時から1時間くらい、再び外で雪遊び。今度は私と一緒に雪だるま作ってみたりして、やっぱり
「……おかあさーん、またね、くつしたぬれぬれ……くつもね、ぬれぬれ……」
だそうで。ああ、もう……。

お昼御飯はあったかいものが食べたいなぁ、ホットサンドの材料もいろいろあるし、でなきゃラーメン屋さんに歩いて食べに行くとか……と思ったのだけれど、全身ぬれぬれで御機嫌な息子が言うには
「カップラーメンがいいなぁ」
だそうで。

「……他にもいろいろあるよ?炒飯とかも作れるよ?お肉とほうれん草乗せたうどんとか」
「カップラーメンがいいなー」
「それとも外に行くとか。ハンバーガー屋さんとかラーメン屋さんとか……」
「カップラーメンがいいなー」
「ホットサンドも好きじゃない?」
「カップラーメンがいいなー」

カップラーメンカップラーメン言われ、根負けしてカップラーメンにしてやることにした。昨日、近所のスーパーで安売りしていた「スガキヤ」のカップ麺、塩味醤油味味噌味を1個ずつ買ってきて台所の棚に積み上げていたら、それがめちゃめちゃ気になってしまったのであるらしい。

「……でも、このスガキヤのは、ダメだよ?3つあるから、お父さんと一緒に1個ずつ食べようよ、お父さんもきっと食べたいだろうし」
「……そっかー」
「じゃあ、別の食べ物にしとく?」
「でもー、でも、カップラーメンがいいなー」
手持ちのカップ麺を全部出して「さぁ、じゃあどれがいいんだー?」と聞いてみたら、すごく真剣な表情でワンタン入り中華麺(よくわからないメーカーの……お義母さんがちょっと前にくれのだった)を選んでいた。私も買い置きの中から、ラ王の味噌味を。

一体なぜそこまでカップ麺が恋しかったのか謎なのだけれど、息子はそれは満足そうにワンタン入り醤油味ラーメンを啜っていた。猫舌なので小碗にちょこちょこ取り分けつつ啜り、「あとはね、さめたからね、このまま食べられるから」と最後はペナペナなプラスチックどんぶり抱えて汁も一気飲み。今日も見事な喰いっぷりだった。

私も久しぶりのラ王を満喫。表面に油が浮いたこってりこてこての味噌味は相変わらず美味しかった。
ラ王、美味しいんだけど、すごく好きなんだけれど、インスタント麺と言うには「本物」っぽすぎる味がしちゃって、「カップ麺が恋しいのよね」欲望はいまいち解消されない味。お湯注ぐだけで食べられる、あの卵とか肉とかナルトのようなものとか得体のしれないかやくがいっぱい入っているカップ麺が、私にとってのインスタントラーメンの味なのだった。今日はそんな感じの味の方が恋しくて、でも我が家の買い置きにはそういうのがなくて、ほんのりと欲求不満。
「らおう」を変換する時に「ラオウ」が最初に表示されてしまう私のパソコンにもほんのりと欲求不満(北斗神拳かよ……)。

ドライカレー with 千切りキャベツ
きのこ入りフーイリチー(昨夜の残り)
茹で野菜のオリーブ油かけ(昨夜の残り)
水菜とちりめんじゃこのサラダ(昨夜の残り)
刻み野菜とベーコンのコンソメスープ
麦茶
幼稚園は休みだったけれど息子のピアノ教室はいつも通りあったので、夕方お出かけ。とうとう「ト長調」とか登場するレベルになってきた。左手ドソーを同時に引きながら右手でメロディー弾いたりだとか、少〜しずつ難しい内容になってきている。そろそろ「もうピアノ行くのイヤ」とか言い出すかと思いきや、息子はそれなりに真面目に練習して、毎週楽しそうに通い続けている。

帰りには、買いたいと思っていた本があれこれ溜まっていたこともあって本屋をはしごしたり他の用事もあれこれ済ませ、帰宅は6時半過ぎ。だんなは激ジョブで帰ってこられないというし、冷蔵庫内には昨日のおかずが非常に半端な分量ずつ余っているしで、さてどうしたものかなぁと考える。肉団子か野菜と重ね蒸しの料理にでもしようと買ってきた豚ひき肉があったので、これで手早くドライカレーを作ってしまうことにした。

生のレタスとトマトとチーズとスパイシー挽き肉を混ぜ合わせて食べる「タコライス」に似た感じのが恋しかったので、刻んだキャベツをたっぷり添えてみることに。キャベツと御飯とドライカレーをざくざく混ぜ合わせて食べたら何だか旨そうだな、と。

挽き肉はまずそれだけ炒め、ポロポロに火が通ったら除けておく。炒めたスキレットをざっと洗ったら再びそれを火にかけ、今度は刻み玉ねぎをせっせと炒める。おろし生姜とおろしにんにく加え、塩胡椒とカレー粉を加え、角切りにしたにんじんと炒めた挽き肉も混ぜ合わせる。ざっと炒めたら、ひたひたにお湯を注いで顆粒コンソメをちょっと散らし、ローリエ1枚放り込んだら汁気がなくなるまで中火でしばし火を通す。参考にしたレシピにはそんな風に書いてあったのだけれど、いまいち物足りない味だったので(カレー粉増やしても苦みが増してしまいそうだったので)、ウスターシャソースとケチャップと醤油を少しずつ加えて味を調えてみた。

で、皿に盛りつけた御飯の上にそれをたっぷりとかけ、刻みキャベツと香菜の葉を添えてみる。キャベツは先日届いたながしま農園産のものなのだけれど、写真を撮るとこの色は何か間違ってるんじゃないかと思われるほどに鮮やかな黄緑色をしていた。水に放すとシャクシャクとしたなんとも心地よい食感になって、こうやって食べるのがなんだか勿体なく思われたりもした。私は生で食べるキャベツがものすごく好きなのだけれど、でもキャベツの甘さを実感するにはロールキャベツとか水炊きの具にしたりするのが最適な気がするし。

ベーコンと根菜類で簡単なコンソメスープも作り、あとは昨夜のおかずの残りをずら〜りと並べて。昨日は温かいうちに食べた茹で野菜、今日は冷蔵庫にしまっておいてキーンと冷えた状態で出したのだけれど、塩胡椒して食べるその味もまた温野菜とは違った風味でなかなか美味しかった。フーイリチーは「たまごだ、たまご」と息子がドライカレーの上に乗せてせっせと食べてくれ、残った料理諸々もめでたく綺麗に完食。

「そうか、これがドライカレーか!」
ドライカレーを作ったのはこれが初めてじゃなかったはずなのに、息子は何か悟った表情をしてドライカレーを食べきった。……ほんとはセロリも入れると美味しいんだけど、今回は手持ちがなかったのでセロリは抜きで。

3月5日 土曜日
初めて食べた、バジリコを練り込んだ手打ちパスタ
ホットサンド (ドライカレーとチーズ)
カップスープ(コーンクリーム)
今日はおでかけ。朝食には、昨夜調理して余っていたドライカレーを使ってホットサンドにすることにした。ちょうどお弁当2人分くらい残っていたから週明けのお弁当にでも使うかなぁと思っていたのだけれど、
「ドライカレーで……ホットサンド?」
とだんなが目をキラキラさせながら言うものだから、ホットサンドに。チーズと一緒に挟み、出かける準備しながら沸かしたお湯でちゃちゃっとカップスープ用意していただいた。

ちょい薄味のドライカレーだったのだけれど、ホットサンドの具として使うには程良い塩加減に感じられて、なかなか美味しかったかも。

神楽坂 「白秋」にて
 今週のサービス定食B \770
「……さて、そこそこボリュームのある朝御飯食べたわけですが……」
「それで夜まで保たせるのはちょっと無理があるよね」
「1時半に劇場行かなきゃだから、どこか寄って何か食べて行くかねぇ」
電車に揺られながらだんなと話し合い、乗換駅の飯田橋で下車。

「あそこの定食屋に行ってみるかー」と、だんな馴染みの店に向かってみるも土曜の昼は休業で、「じゃあ、あそこに新しくできた飯処を覗いてみるかー」と覗いたところは長蛇の行列で、じゃあここだ!とだんなが連れて行ってくれたのは「白秋」という名前の小さな中華料理店だった。ちっこいビルの2階にあるお店で、ドアの感じとかテーブルや椅子、内装の印象は「ひと昔前の喫茶店」風。

「俺ね、昔、上海焼きそばの大盛ばっかり喰ってたよ」
若かりし時代をこのエリアで過ごしたというだんなは、そう言いながらメニューを眺める。私は「今週のサービス定食B」の[木窄]菜肉絲(豚肉細切りとザーサイの炒め)、だんなは「今週のサービス定食C」の干貝豆广(揚げ豆腐・野菜・貝柱の煮込み)、息子はシンプルなラーメンを。

定食にはひじきのサラダとライスとスープ(大根とえのきの味噌汁)、おしんこがついてきて、けっこう食べ応えのある分量の料理がテーブルにやってきた。豚肉たっぷり、筍とピーマンたっぷり、そしてザーサイたっぷりの炒め物は、味は青椒肉絲と同じ系統。かなりしっかりめの味がついていて、御飯がいくらでも恋しくなりそうな味わいだ。店内はガランガランで、常連らしいおっちゃんが2人、上海焼きそば(おそらく大盛)をがつがつと食べていた。

頭上ではずっとAM放送のラジオがけっこうな分量で鳴り響き、中華とも東南アジア系ともつかない怪しい雑貨が窓辺に並び、隅っこにはすっかり壊れて動かなくなっている「黒ひげ危機一髪」が置いてあり、なんというか時の止まった感のあるお店だった。平日は近くの学生さんとかで混雑するお店なのかしらん。

中目黒 「Pagliaccio」にて
 Cena B \6500
午後はサンシャイン劇場で演劇集団キャラメルボックスの公演「TRUTH」を。劇団結成20周年ということで、サンシャイン劇場への道路沿いや地下道にはこれでもかと劇団ロゴ入りの旗だのポスターだのがぶら下がっていて、ちょっとびっくりしてしまった。

今回は劇団所属の俳優、上川隆也も出演している。幸いにして抽選予約で前列寄りの席を取ることができたものだから、
「うわー、私の2m前で上川隆也が喋ってるよー、チャンバラやってるよー、おいー」
という状況を楽しめた。今回は1999年にやった舞台の再演で、主要なキャストはそのままでの再演だったのだけれど、演技もこなれているしチャンバラ(殺陣)もぐっと格好よくなっていたしで、とても楽しめた舞台だった。

終演は4時過ぎ。劇団の託児サービス(1公演たったの1000円で子供をみていていただける……本当にありがたい)にお願いしていた息子を迎えに行き、そのまま中目黒に移動。夕飯に、中目黒駅から歩いて5分ほどの距離にある「Pagliaccio」(パリアッチョ=イタリア語でピエロの意)という店に向かった。

以前Cucina Tokionese CozimaにいたマネージャーのHさんが、現在はこのお店のマネージャーをやっているということで、お店のオープニングパーティーに1年ほど前にお招きされたことがある。そのときに伺って以来、「そのうち食べに行きまーす」と言い続けて結局1年ほど経過してしまい、久しぶりにHさんにも会いたいねぇということで今回行ってみることにしたのだった。中目黒駅前に伸びる大きな通りからくねくねっと100mほど脇道に入ったところにある、ちょっとスタイリッシュなビルの2階にそのお店はある。30人も入れば満席なお店で、シェフはイタリアとスペインで修行してきたという中村孝之さん。

子供もいるしと、混雑しないだろう開店直後の時間にお邪魔したところ、前半1時間はお客は私たちだけの貸切状態。カウンター席につかせてもらい、Hさんと近況を話しつつ目の前のカウンター上にあるコンロでパスタの仕上げをするシェフとも言葉を交わしつつ、6500円のコースをいただいてきた。だんなと私の皿の内容を色々変えてくれ「どうぞ交換して召し上がってくださいね」ということだったので、色々食べられてなんだかとっても得した気分。

アンティパスト
わたし:鱈料理3種
わたし:(鱈のブルスケッタ・干し鱈のマンテカータ・白子と鱈の小さなスープ仕立て)
わたし:Gambellara I Masieri ’03 La Biancara (Angiolino Maule)
だんな:豚料理3種
だんな:(豚タンと豚耳と春菊のサラダ・豚足のコロッケと春菊のフリット・イベリコ豚の春菊巻き)
だんな:Irpinia Aglianico Cinque Querce '03

同じ食材を使いつつ、全く別の味で色々食べさせてくれたとても楽しい前菜のプレート。それぞれ適度な分量があって、しっかり食べ応えがあるのも嬉しかった。

私の皿にはふわっとした口当たりの鱈のほぐし身を乗せたブルスケッタ、柔らかく火を通した赤いパプリカで干し鱈をくるんだ"マンテカータ"という料理(その脇には鱈で作った自家製カラスミも数枚)、そして可愛い可愛いサイズの鍋に入れられた、白子と鱈の身のさっぱりとしたスープ。料理に合わせたグラスワインということで、カラッと辛さのある軽い感じの白ワインをいただいた。

対してだんなの皿は、全体的に褐色がかった濃厚な色合いのもの。豚とともに春菊も使われていたけれど、それぞれ見事に別の味に仕上がっていて面白かった。コリコリとした豚タンが共に和えられた春菊のサラダの下にはグリルした豚タン。表面がカリッと揚げられた豚足のコロッケは案外と淡白な味わいで、濃厚な豚肉の匂いが漂うイベリコの薄切り肉で春菊を巻いて。こちらは適度に重さもある赤ワインをグラスでいただいて、ワインも交換しながら料理もつつきあってみた。

どの料理もどの料理も、いちいち細かい仕事がたっぷりとされていて、一皿目でかなりびっくり。パプリカの甘さが濃厚に感じられる"マンテカータ"も良かったけれど、春菊の青臭い香りが豚肉とよく似合っていたイベリコ豚の巻物も最高だった。さりげなくカラスミがとても美味しい。

プリモピアット
バジリコを練り込んだタリオリーニ ほたるイカと菜の花
ポロ葱とじゃがいものアニョロッティ 九条葱のソース

プリモピアットは、3口分くらいずつのパスタを2種類。バジリコを練り込んだ手打ちの幅広パスタ「タリオリーニ」にはほたるイカと菜の花、プチトマトを合わせてあり、トマトの風味がほのかにただようアニョロッティ(詰めものパスタ)の中にはほっこほこのポロ葱とじゃがいもの詰め物が。こちらはさっぱりと九条葱のソースが和えられていた。

シェフは手打ちパスタがお好きで、しかもそれに色々なものを練り込むのがお好きだとか。後にやってきたお客さんのために、今度はカレー粉を練り込んだパスタを茹でたりしている。

バジルを練り込んだパスタというのを初めて食べたのだけれど、葉っぱを茹でた麺に和えるよりもずっとまろやかな香り。パスタに練り込んであるものだからその香りが消えることなく、最初から最後まで心地よくふわふわふわふわと漂ってくる。菜の花もクセのある野菜だからバジルと合わないんじゃ……という印象も見た目あったのだけれど、食べてみるととても良く似合っていた。ワタの味が濃厚なほたるイカがどっさり入っていて、とても幸せ。

この後は、小さなグラスに入れられた大葉とレモンのグラニテをいただいて、いざいざメインディッシュ。

セコンドピアット
わたし:金目鯛のソテー ひよこ豆のソース 下仁田葱添え
わたし:Langhe Bianco Printanie '03 Poderi Aldo Conterno
だんな:仔羊のオーブン煮込み

前菜の時にいただいた白ワインをクパーッと飲み干しちゃったので、バターやナッツに似た濃厚な味のシャルドネの白ワインをまた1杯いただきつつ、私の前には金目鯛のソテー。ごろりと大きな切り身、一度燻製にしてからグリルしたのだそうだ。魚の下にはふわふわとしたひよこ豆のペーストが添えられ、魚の上には甘く火を通した下仁田葱。

そしてだんなの前には、ぶっとい骨付き(ラムチョップなんて可愛らしいもんじゃないサイズで)の仔羊の肉塊がごろーんごろーんと2個。「オーブン焼き」ならぬ「オーブン煮込み」したものなのだそうで、豆やじゃがいも、芽キャベツなどが添えられている。この肉が、なんとも素晴らしい感じにケダモノ臭く、でも嫌みな味ではなく、柔らかでジューシーで(で、ケダモノ臭く)実に美味しかった。この手の「臭い肉」が大好きな私たちは大喜びで平らげたのだけれど、話によるとシェフもこの手のものがお好きみたいで。

「ホルモンいいですよね〜」
「コブクロなんか最高ですよね」
「ああ、私、コブクロリゾットにしたことありますよ。コリコリッて」
「うおー、いいですね、食べたいですね」
鹿だウズラだ鴨だ臓物だと好みな食材のお話をして、
「ああ……もう少し後にいらっしゃっていれば、子山羊が出回るんですよ。春先だけの短い期間にね、子山羊をお出しできるんです」
だそうで。うぉー、子山羊食べたい!(←よく考えると微妙に残酷なんだけど……)

ドルチェ
わたし:柚子3種
わたし:(柚子パンナコッタ・柚子ジェラート・柚子のジャム入りゼリーとシャーベット)
わたし:エスプレッソ
だんな:ティラミス3種
だんな:(ティラミス・エスプレッソとクリームのセミフレッド・"飲む"ティラミス)
だんな:ダブルエスプレッソ
最後のドルチェも素敵に豪華。私の前には「柚子尽くし3品」、だんなの前には「ティラミス尽くし3品」のプレートが並べられた。かなり濃厚な生クリームの味が漂う柚子風味のパンナコッタ(牛乳の味に柑橘の柚子の味は不似合いそうな気もするのに、スカッと爽やかな香りが広がって少しも違和感がない……)、「シャーベット」ではなく「アイスクリーム」に近いミルキーな柚子風味のジェラート、そして柚子ジャムが底に沈められた透明な柚子ゼリーに柚子風味のざっくりしたシャーベットを添えたもの。

だんなの前にはスタンダードなティラミスに、ティラミス味のセミフレッド(半冷凍タイプの冷たいデザート)、"飲むティラミスです"と紹介されたトロリと滑らかなクリームタイプのチーズドリンクエスプレッソ風味。似た味のものが並んでいるのに、でも飽きさせない工夫が随所にされていて、見た目にも意表をつかれるし口にしても意表をつかれるし、最後まで楽しませていただいた。

「イタリア料理」と言うにはちょっと違うし、かといって「スペイン料理」と言うのも激しく違うオリジナリティ溢れる料理の数々で、「ピエロ」という店名にもお似合いな料理の数々に大満足。
お会計は、息子用にと単品で頼んだスパゲティと、カッパカッパと飲んだグラスワイン等々で合計2万円ちょっとというところだった。

今日は、「おすすめなものを食べさせてくださーい、おまかせで」とお願いしたのだけれど、次回は「臓物たっぷり、くっさいものシリーズで!」とお願いしてみようと思う。
ああ、子山羊食べたいなぁ……。

3月6日 日曜日
夕食後のデザートはチーズケーキでした
らふてぇうどん
麦茶
今日はのんびり起床の日曜日。
「俺、来週はなかなかジムに行けそうにないから今日行ってこなきゃ」
「私も金曜行けなかったから、今日は行きたいなぁ……」
だんなと話し合い、交代でジムに行くことにした。

午前中のプログラムに参加したいというだんなのために、お肉とほうれん草を乗せたちょっとボリュームのあるうどんが朝御飯。先日作ったらふてぇが3切れ残っていたので1人1切れトッピングし、あとは茹でたほうれん草を。

泡盛で煮た沖縄の角煮「らふてぇ」はすっかり味が染みちゃって、ついでに油っけもかなり抜けちゃって、ちょっと火を通しすぎちゃったかなという感が。角煮の煮汁でほんのり甘くなったうどんだしが寒い日の朝にはしみじみ美味しかった。

お総菜屋さんの味噌かつ弁当
抹茶入り玄米茶
信玄餅
それじゃ2時にスポーツジムの前で待ち合わせしようね、息子連れてくから、だんなが連れて帰ってね……という話だったのだけれど、お昼過ぎに仕事先から電話があって「先日送ったファイルの更新はどうなりましたかー?」と。金曜夜に受信したファイル、更新は週末空けてからでいいかなぁと思っていたのだけれど、どうも急ぎで処理しなきゃいけないらしいので慌ててパソコンの前に座った。ジムは……明日行くことにしよう……しょぼん。

「……で?ジム行けなくなっちゃったの?じゃあ買い物とか済ませてこようか」
みっちり動いてきただんなにお願いして、夕飯の食材等のお買い物をしてきていただいた。できればついでに昼御飯もお願い〜……と頼んだところ、安売りされていたという味噌かつ弁当を買ってきてくれた。御飯のパックと、千切りキャベツが添えられたとんかつのパック(どっぷりと味噌だれトッピングつき)の組み合わせ。味噌だれは、以前名古屋で買った「つけてみそかけてみそ」と同じような味で、何やら懐かしい感覚がある。甘めの八丁味噌味で、いかにもな味で、こってりした味が素敵に御飯に似合っていた。

で、お弁当の他にもだんなは魅惑的な食べ物を持ち帰ってきたのだった。信玄餅。
「いやぁ、これ見たら、おゆきさんの顔がぽわーんって浮かんできたから……」
と、8個入りの信玄餅もお土産に買ってきてくれたので、これも食後に1個ずついただいた。信玄餅は私の大好物だ。

信玄餅、毎回ちっこい発泡スチロールの容器に無理矢理黒蜜垂らして溢れさせそうにしてみたり、小皿を出して盛りつけなおして食べたりと色々やっていたのだけれど、今回、餅に添えられたリーフレットを見たら「正しい食べ方」なるものが書かれている。それによると、風呂敷状の包みを広げた中央に発泡スチロールのケースを置き、そのケースの手前に袋入りのきなこをあけ、しかる後に発泡スチロールの容器の中の餅を1個取り出してその空白に黒蜜をあけ、餅を黒蜜ときなこに浸しつつ食べよ、と。

「うぉー、この風呂敷も皿代わりにするのか!」
「これが食べ方の"正しいお作法"だったのかー」
盛り上がりながら、久しぶりの信玄餅を。「信玄餅味アイス」はしょっちゅう食べている印象があるのだけれど、信玄餅は久しぶり。

だんな特製 天津丼
だんな特製 牛肉とわかめのスープ
水餃子
水菜とかぶのサラダ
ビール(モルツ)・麦茶

「サンルイ島」のチーズケーキ
カフェオレ

「夕飯は天津丼にしようと思いまーす。いかが?」
と、だんなはスーパーで1パックの蟹を買ってきた。ズワイガニ1匹分の足が入って500円。

「んふふー、蟹缶よりお安くて、蟹缶よりたっぷりあるねぇ」
「剥くのはちょっと大変だけどね」
夕方一緒に蟹を剥きまくり、「焼き」はだんながやってくれた。私は水菜とかぶのサラダを作り、だんなはわかめ入りのスープを作ってくれ、ビールも冷やして夕御飯。冷凍庫に残っていた水餃子も茹でて食卓に出した。

だんなの天津丼は、いつもながら素晴らしい味。具は蟹肉と筍と長ねぎで、それを一度炒めてから溶き卵と混ぜてふわんと焼き上げる。両面こんがりと焼けているのに中はふわふわで、上からかける甘酢あんは醤油と酢を使ったちょっと大人っぽい味つけ。今日は特に、「こんなに蟹が入っている天津丼もそうそうないぞー」ってくらいに蟹肉たっぷりで、焼き加減も最高だった。

「……さて、約1人分、具が残っちゃったわけですが」
「うーん……お代わりしたい気分でもあるけど、でも、デザートにチーズケーキあるし」
「じゃあ、残しておくか」
「ん、明日のお昼にでも私、焼いて食べるからさ」
「そしておゆきさんはだんなの偉大さを思い知ることになるのだ」
天津丼作成は全面的にだんなにおまかせの私、「かに玉」を作ったことは多分数えるほどしかない。……明日、だんなの偉大さを思い知ることになるのかどうか、ちょっとがんばってみようかなぁ、と。

デザートは、今日の午前中に届いたサンルイ島の「葉山思い出チーズケーキ」。先日野菜や卵を注文するときにだんなが一緒に買ってくれたのだった(ああ、またこんなポイズンを……嬉しい……)。小さめに切って、食後にコーヒーと共にいただいた。

しっかりこっくりとしたチーズの味が濃厚だけれど、適度にふわりと空気を含んだ食感で「重さ」をあまり感じないチーズケーキ。レアチーズケーキとベイクドチーズケーキの中間のような印象があるケーキで、油断するといくらでも食べられてしまいそうな、好みな味だ。明日明後日あたりかけてちびちび食べるのが楽しみ。

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