食欲魔人日記 03年08月 第2週
8/4 (月)
……お、当たった……
いちじくのパン
フルーツのヨーグルト和え
カフェオレ

昨夜は暑くて暑くて暑くて、クーラー全開にしていたのにいまいち効かなくて、ゆえになんだか寝不足だった。本当は美味しい卵でオムレツ作って、パン焼いて……とささやかな朝食の予定を立てていたのだけど、
「……ねむ……」
「も、いい……あと40分、寝る……」
「朝食いらぬ……」
と月曜朝からやる気のない展開になった。あーもー、夏って好きだけど夏ってイヤだわー(どっちだ)。

今日は母の仕事が休み。9時過ぎて遅めの朝食を母と息子と一緒に摂った。
干しいちじく入りのパンと、缶詰のフルーツと輪切りにしたバナナにヨーグルトをかけたもの。けっこう淡泊な朝御飯だったはずなのに、それでもなんだか気怠くて、週の始めから「ぼへーん」と気が抜けた心持ちになってしまった。……いかん。

ミニ冷やし中華
アイスウーロン茶

今日の我が家の昼食必要人数は3名。冷蔵庫内の「そろそろ食べてしまわなきゃ」な冷やし中華は2人前。それでもまぁいいか、と2玉の中華麺を茹でて、ちょっと小ぶりなサイズの冷やし中華を作った。具はごくごく普通にハムとキュウリと卵。さくらんぼが大好きな息子の皿にはさくらんぼを1個。
「ミカンの缶詰なんかも乗せないっけ?」
「……いや、ミカンの缶詰は、どっちかってーと素麺とかひやむぎとかじゃない?」
なんて話しながら、麺よりもキュウリやハムが多いんじゃなかろうかというミニサイズ冷やし中華をちゅるちゅると食べる。卵はちゃんと薄焼きにしたのを刻んだし、キュウリもハムも刻んだけれど、麺茹でてパック入りのタレをかけただけーという料理は、なんだか「料理しました」という気がしない。でもいいの。暑いから(もう心の底からダレダレ)。

氷 いちごミルク

それでも多少なりともクーラーの効いた部屋にいるとなかなか快適だったりして、「あー、アイス食べたい、かき氷食べたい、氷バリバリ囓りたい」なんて気分にはそれほどならなかったりしたのだけど、
「これだけ暑いとねー、やっぱりかき氷食べなきゃねー」
と、窓をちょっと開けて外の熱気を食卓にたちこませ、おやつにかき氷などかいてみる。今日はいちごのシロップ&練乳。お店で食べるそれよりは3まわりほど小さな容器にシャリシャリと氷をかけ、ちろーっとシロップかけてかっこんだ。昨年一年、望んでもかき氷は食べられなかったものだから、もう「おうちでかき氷」が楽しくってしょうがない。我が母まで
「あらー、抹茶のシロップあるなら、あんこ買ってこなきゃ」
なんてうきうきしていたりする。

稲毛 「天狗」にて
 カリカリじゃこのサラダ
 バターコーン
 サイコロステーキ
 牛タンの塩焼き
 一口カツ
 海老と野菜の天ぷら盛り合わせ
 すき焼き定食
 鴨せいろ
 生ビール(中)×2
 ブラウンビール(中)×2
 コカコーラ×2
……を、家族3人で。

夕方になってのたくたと夕食の下ごしらえを始めたところで、だんなの「今から帰るよー」電話。
「ニュースがあります!今日は"ビヤホールの日"だかなんだかで、ライオングループの生ビールは全店半額なんだそうです!」
携帯電話の向こうの、だんなの鼻息は荒かった。いや、でも、そんな、今言われたって、もう夕食の準備を始めちゃったよ……と一度は断ったのだけど、電話を切ったとたんに「ビール……生中……くわーっと、ぷはーっと……びーる……」と無性にムラムラしてきてしまった。こういう日に冷たいビールって、ほんっとーに美味しいのよねぇ……と思ったら、もう止まらない。速攻でライオンの公式ホームページを見て確かに半額セールをやっていることを確認し、ついでに我が家近所のそのライオンでもやっているのかという確認作業を始めてしまった。同時にだんなには
「じゃあ、駅で待ち合わせで!」
なんてメールも入れて。

んが、悲しいことに、我が家最寄りのライオン(歩いても行けるところ)はつい数ヶ月前に閉店してしまったのであるらしい。それ以外となると、電車に乗らなきゃいけないところばかりだ。生ビール半額と言っても、そんな10杯も20杯も飲むわけじゃないんだから遠出するのもねぇ……と、改札を出てきただんなと話し合い。
「あそこの鶏屋さんも、ちょっと気になってたんだよねぇ」
「あそこの居酒屋も」
なんてきょろきょろしながら「ビールビール、やっぱりビール」と呟きながら、結局はいつものチェーン居酒屋「天狗」に向かってしまったのだった。なんでこんなに天狗が好きかね、私たちは。

で、折しも「生ビール1杯飲むとくじ引き1回、2つに1つがアタリです!」なんてキャンペーンをやっていたりして、中ジョッキを2杯ずつ飲んだ私とだんなの手元には計4つのスクラッチくじがやってきたりした。4枚中、3枚アタリ。2枚は2等(100円券)で1枚は1等(500円券)。天狗だけで使えるというこの券は当たった当日は使えないそうなので、結局のところ特だか損だかよくわからないことになってしまったのだけど、ともあれ700円分の割引券を得るに至った。どうせ月に一度くらい来ているのだから、感覚としてはビールが半額で飲めたような気がしなくもない。
「うへへへ」
「やっぱりアレだよ、今日は神様が"ビールをお飲み"と言ってたんだよ」
「ライオンじゃなかったけど、結果オーライってことで」
と、へらへらしながら今日もあれこれ注文。いつも頼んでいるサイコロステーキと、息子用にバターコーン。あとは牛タンとか一口カツとか、気の赴くままにビールに似合う高カロリーつまみをあれこれ取って喰ってしまった。ビールにさいころステーキ、サイコー。ビールに一口カツもやっぱりサイコー。

8/5 (火)
ミニ牛丼の半熟卵添え (夕御飯)
目玉焼き乗せトースト
アイスティー

今朝起きた時にはそれほどではなかったものの、昨夜は大変な暑き夜だった。ビールかっくらってほろ酔い気分で寝たせいなのかもしれないけれど、
「あぢーよ、あぢー。あづーあづーあづー」
とセミのような声を発しながらベッドに横になっただんなは、冷凍庫からベルト型アイスノンを持ってきて首に巻いたりしている。
「え?なに?え?アイスノン?……そんなに追いつめられちゃってるの?」
爆笑しながら怪奇アイスノン男を眺めていたら、息子まで「ぼくもーぼくもー」とアイスノンににじり寄り、怪奇アイスノン男は数分後に増殖する事になった。30度越した日が数日続いただけでこれである。まだ8月も上旬だというのに、ダレダレである。

今日はちょっと久しぶりにおべんと作成。今日の昼間は私と息子だけなので、私と息子の分のお弁当も一緒に作ってみた。昨夜準備半ばにして居酒屋に駆け込んでしまったため、用意してあったと思った食材がちゃんと下準備できてなくて、朝から米炊いたり炒めものしたりとばったばた。

「……で。まだ美味しい卵があるわけですがー。卵御飯食べる?それとも目玉焼き乗せトーストとか?」
弁当作成終了後に腹出して寝ているだんなを起こしつつ尋ねると、目玉焼きトースト所望とのこと。
「ラピュタトーストだねー」
「いや、卵が1人1個だから正確にはラピュタトーストではない。あれは1個の卵を半分こするのだ」
「じゃあ、"ゴージャスラピュタトースト"」
今日も朝からくだらない事を話しながら、黄身をぷるんぷるんに半熟に焼いた卵を乗せたバタートーストを囓った。今日も暑いねー。

おうちでおべんと
 オムライス
 白身魚のフライ(冷凍もん)
 ほうれん草のバター炒め
 炒めウィンナ
 フルーツカクテルと葡萄のコンポート
 アイスウーロン茶

息子はお弁当が必要な保育園や幼稚園には通ったことがないので(「おかずは用意するのでご飯だけ持ってこい」はあった)、「おべんとう」なるものが珍しくて楽しいらしい。時たま、だんなの分を作るついでに息子の分も作ってやると
「わー、ぼくのおべんとだー。わー」
朝からぱたぱたと嬉しそうに弁当箱をつついたりしていた。今日も10時過ぎた頃から
「おひる、まだかなー。おべんと、まだかなー。……ねー、まぁだぁ?」
と、台所をうろうろしている。

今日のメニューはオムライス。つい数日前に「冷蔵庫内に卵が40個弱」という尋常ならざる事態になってしまったので、卵料理が続いている。今日は親子丼かオムライスか、それともおかずを卵炒めにするかとあれこれ悩んで、私が食べたかったオムライスにすることにした。鶏肉と野菜入りのケチャップ炒め飯を薄焼き卵でくるんで弁当箱に。ほうれん草はざざっと刻んでミックスベジタブルと一緒にバターとサラダ油を少しずつ落としたフライパンで軽く炒め、ソーセージもこんがりと焼きつける。何か魚も恋しいなぁ……と、白身魚のフライが冷凍庫にあったのを思い出してチンし、最後の隙間に缶詰のフルーツと自家製の葡萄のコンポートをきゅっと詰めた。ほのかに子供向けな外見のお弁当。だんなのそれにはパック入りのミニケチャップをつけておいた。

「これ、ぜーんぶぼくが食べて、いいんだよね?」
"自分のお弁当"がやたらめったら嬉しいらしい息子は、最初にフルーツを平らげ、フライにとりかかり、ソーセージを囓り、おもむろに御飯から薄焼き卵をべろんと剥がして1枚布のようになった卵をはぐはぐと食べきった。どこから見ても「好きなものから順に食べてます」という感じ。
「あのね、全部君のだけどね、でもね、果物はデザートだから最後に食べた方がいいと思うよ……」
それに、卵は御飯と一緒に食べるんだよ……とアドバイスする間もなく、目の前の息子は薄焼き卵を両手で持っている。それから丁寧にチキンライスを平らげ、最後にほうれん草の炒めものを残さず食べた。……ま、いいんだけど、それだけしっかり美味しそうに食べてくれるなら……。

枝豆
レタスと玉ねぎときゅうりのサラダ
ミニ牛丼
冷やっ汁
ビール・アイスウーロン茶

今日は仕事で帰宅が遅いらしい我が夫。残り物で適当に食べようということで、以前買った薄切り安売り牛バラ肉を牛丼風にしちゃうことにした。玉葱入れて甘辛く煮つけ、昨夜食べようとおもって茹でていた半熟のゆで卵を添える。レタスと玉ねぎときゅうりのごくごくシンプルなサラダと、これまた昨夜に準備してあった冷たいお味噌汁、薄切りきゅうりと茗荷を散らす。

母は冷たい味噌汁を飲むのが初めてだったらしく、
「へぇー、きゅうり入れるの。……へぇ〜、茗荷も入れるの。これって……有名なものなの?」
と不思議そうに具をつつきまわしていた。確かに、母の郷里の秋田じゃ見かけない料理だ。どうも宮崎あたりが「本場」らしいけれど、四国あたりとか富山あたりとか、あるいは山形あたりでも珍しくないものらしい。焼いた魚を入れたり、シソをたっぷり入れたり、味噌に冷たいだしを入れたり、一度作った味噌汁を冷やしたりと、作り方も色々あるようだ。我が家のは、
2倍くらい濃いめの味の味噌汁を作る
→できた味噌汁を水と氷を入れて薄める
→椀に具を入れる
→冷蔵庫で冷やした汁を注ぐ
という作り方にしている。温かく作った味噌汁に水入れて冷ましてしまうのは風味の上ではあんまりよろしくない気もするけれど、だし取る過程でどうしても湯を沸かしてしまうし、温かい方が味噌も溶けやすいだろうしで、大体こんな感じ。

5分で作ったような牛丼は、それでもなんだか久しぶりで美味しかった。……明日は魚食べよ。

8/6 (水)
釜あげシラスが届いたので、とりあえず米の飯と共に (夕御飯)
バターロール
スーパーのポテトコロッケ
牛乳

昨夜のだんなの帰りは午前1時をとうにまわっていた。なんでもここんとこ、仕事が超山積み状態であるらしい。私は一応起きて待っていようとベッドに大量の漫画を持ち込んでせっせと読んでいたのだけど、いつのまにか寝ていたようで、
「んもー、ちゃんと電気消してから寝なさいよー……」
と、帰宅しただんなの溜息まじりの声が聞こえてきて目を覚ましたのだった。

で、全体的に寝不足の今朝。昼に約束があるので弁当もいらぬという話だったので、だんなが出勤する直前まで家族そろって高いびき状態だった。なんだか最近、ちゃんと朝御飯食べているような食べていないような、微妙な感じ。夏だからこそ朝はちゃんと食べておかないと動けないぞー……という自覚があるんだけど、どーにも暑くてどーにもだるくて、ここ1週間ばかりふぬけている。

息子もまだおなかがすいていないということで、息子と2人の食事は朝昼兼用になってしまった。
「なんか、食べたいのある?」
と聞いてみたら、「ころっけー!コロッケがね、食べたいなんだよ」と即答されてしまったので、夕食のおかず買いがてらスーパーマーケットにお買い物。スーパーの総菜コーナーはいつもはあんまり近寄らないのだけど(なんかこう、あのエリアは手抜き気分が充満していて"カートに総菜入れてる自分"がむなしくなっちゃうのだ)、まぁ、ちゃちゃっと済ませたい昼間の御飯だしね、とポテトコロッケを1つずつ。バターロールも購入し、オーブンで軽くあっためてちょいとバターを添えてからコロッケと一緒の皿に転がした。

格別に美味しいコロッケってわけじゃないけど、息子はそれでも大満足だったらしい。
「ころっけー、コロッケだねー。コロッケだー」
と呟きながら両手で大ぶりのそのコロッケを掴んで衣をあちこちに落としながらばりばり食べていた。……そんなにコロッケが好きなら、今度作ってやるか……。家で作るコロッケって危険なのよね。15個くらい作っても、美味しくて食べきっちゃったりするのよね。

枝豆
カマンベールチーズ乗せ薄切りフランスパン
茹でかぼちゃと水菜の肉味噌サラダ
釜あげしらす
豆腐と油揚げの味噌汁
羽釜御飯
ビール・アイスウーロン茶

私はストレスがたまると、
「好きなものばっかり並んでいる雑貨屋さんとか調理器具屋さん行ってー、どっかで美味しいもの食べてー」
などという気分になるのだけど、だんなは「お買い物(主に通信販売)する」という行動に出るものらしい。つい先日、 クック&ダインという馴染みの食材&調理器具屋さんから枝豆が届いて美味しく食べていたところだったけど、だんなは同時に釜あげしらすを注文していたのだった。漁の具合によるから、いつ届くかははっきりしないんだけどー……と言われていたその釜あげしらす、今日のお昼に我が家にやってきた。

要するに「しらす」なんだけど、ほんのり甘ささえあるこのしらすはふくふく柔らかくて生臭さなんて全然なくて、水気が抜けてパサパサという感じでもなくて、と、本当に美味しい。以前も何度か買ったことがあったけれど、
「ごはんが止まらぬー」
「しらすも止まらぬー」
「御飯おかずにしらす食べられるし、しらすおかずに御飯食べられるよね」
と、当時は2合の米をだんなと私で食べきってしまい、しかも足りないなんて事態になっていたりした。さすがに最近はそこまでの暴食はしなくなったものの、これが「危険なしらす」であることに変わりなく、じゃあ今日の夕飯はしらす御飯ね、そういえば最近魚介食べてないから魚もね、という献立になった。

先日レストランで聞いた話によると、今年は微妙に魚の旬がズレているとか。鰹はまだちょっと早いのに脂がちょうど乗った状態になっているし、サンマもけっこう良いものが今、多く獲れるらしい。今日のスーパーでは、サンマが1尾88円の特売品になっていた。サンマ……塩焼き……豆腐の味噌汁としらす御飯……と想像するとニヤけてしまい、いーじゃない美味しそうじゃない、と3尾買ってきた。母は「1尾丸ごとなんていらないわー」と言うのが想像に難くないので、母と息子で1尾、ということで。

以前豆腐に添えて食べた豚肉とししとうで作った肉味噌が残っていたので、刻んだ水菜と茹でたかぼちゃに添えてサラダみたいにして食べることに。枝豆と、チーズを乗せた薄切りフランスパンはビールのお供。ごく普通に塩焼きにしたサンマに大根おろしをがばっと添えて、しらすも深皿にどばーっと積み上げてテーブルに出した。香ばしく焼けたサンマを食べた後は、御飯が見えないほどしらすを茶碗に積み上げてさくさくと食べる。

久しぶりの釜あげしらすは、やっぱり最高に美味しかった。むちむち大きめなものもいるし、糸のように小さなものもいる。この一口で100匹くらいのお魚食べちゃうことになるのかしら……と想像すると、自分がなんだかクジラにでもなったみたいで、妙に大きな気分になってしまったり。ふっくら柔らかでうっすら甘くて適度にしょっぱさもあって、美味しいわぁと思いながらしげしげしらすと目線を合わせつつ大量にいただいてしまった。カルシウム大量摂取完了、という感じ。

8/7 (木)
しらすがあるので、夕飯は和風スパ (夕御飯)
しらすサンドイッチ
牛乳
梨・マンゴー

今日は朝から母に息子をみていてもらい、私は一人スポーツジムへ。
1時間ほどばっしゃばっしゃと泳いで帰宅すると10時過ぎ。母と息子は2人で菓子パンでも食べてしまったようなので、私は一人、食べてみたかった「しらすサンドイッチ」。
薄切り食パンに薄くバターを塗り、「そうそう、ツナだって魚だし」とか言いながら昨夜届いた釜あげしらすをぶわーっと挟んでみた。2枚のパンの間からぴちぴちした白い小魚がみっちりと覗けるというのは、なかなか奇妙な光景ではある。それは、「なんかこう、あとひとつ、なんか味がびしっと決まるものがあればすんごく美味しくなるなぁ……」という味だった。薄い塩気のあるしらすは、確かにパンやバターともあまり違和感なく食べられる。ツナとかベーコンとかに比べると幾分ぼやけた味になってしまうので、ここはレタスとかトマトとか、ついでにベーコンなんかと一緒に挟んで塩気強めにして、ついでにマヨネーズででも和えたらもっと美味しくなるのでは、と思った。

「魚のサンドイッチとかばっかり食べてないで、果物もちゃんと食べなさいよ」
と、食後に母が剥いてくれたのは梨とマンゴー。マンゴーは数日前、だんなの実家からいただいたものだ。なんでも、「沖縄のマンゴー農家の、熟しすぎて売り物にならなくなっちゃった果実」というものが現地では安く売られているようで、それを知り合いから送ってもらったのだそうだ。もう表皮が黒くなりかけているアップルマンゴーは、それでも木でちゃんと熟したものならではの甘い甘い香りがした。あまり美味しそうなものだから、マンゴプリンに加工するのももったいなくてそのまま食べてみようかと冷蔵庫に冷やしていたのだ。

沖縄産の、熟しすぎちゃったアップルマンゴーは、これまで食べたことがないほどに甘く美味しいものだった。果肉も柔らかくなりつつあって、もうトロントロンになっている。確かに売り物にはならない外見になっていたけど、味は最高のものだった。
「ううう、加工して食べたいけどもったいない」
「マンゴプリンというより……牛乳ゼリーか何か作って、それに添えて食べるくらいがいいかもしれない」
食後にごにょごにょ考えた後、朝食後に柔らかめにできるように牛乳ゼリーを作った。牛乳に砂糖溶かしてゼラチンで固めただけのシンプルなもの。美味しい果物が冷蔵庫に入っている状態ってうれしいなぁ〜。

氷宇治金時

数日前のうだるような気温ではなくなったものの、夏らしい気温が続く今日この頃。
「かっき氷♪氷♪氷♪」
ジムに帰りに寄ったスーパーで、ゆであずきの缶詰を買ってきた。目的は、当然「氷宇治金時」。抹茶シロップを先日買ってきたので、これで我が家で宇治金時が堪能できる。

「かき氷、食べるぅ〜?宇治金時、作れるし」
と、これまた宇治金時好きな母に尋ねると、
「え?あんた、宇治金時ったって、あんこなんかな……あら、あるわね」
母までゆであずき缶を見てニヤニヤしている。
「ぼくはねー、ぼくはねー、めろんの氷がいいなぁ」
という息子には氷メロンにしてやって、私と母は氷宇治金時。抹茶のシロップを器の下にちょいと入れ、氷をかきかきした後で粒あんと一緒に更にシロップをかける。

おうちでかき氷は、すごく幸せ。シロップが自家製で、氷にもすごくこだわっていて……という、すっごいかき氷屋さんのすっごいかき氷も食べてみたいけど、汗かきつつわざわざかき氷食べに行くのもなぁ……とも思う(でも行ってみたいとも思う)。

きのことしらすの和風スパ
なすのオリーブ油炒め バジルぶっかけ
ビール、麦茶
ミルクプリン マンゴー果肉とマンゴーソース添え

美味しい釜あげしらすのために、夕飯は和風スパゲッティにしてみることに。
「しらす干しのパスタ」というと、普通は大根おろしと醤油としそと……という組み合わせになるらしい。大根おろしは昨日サンマで食べたしなぁ……と思い、きのこの醤油味パスタの上にしらすを積み上げるという作戦に出ることになった。多分、似合うだろう、似合わなくもないだろう、と思いつつ。

ベランダのバジルがここのところの猛暑で急成長を見せているので、葉をいくつか摘んで茄子の前菜を作ることに。オリーブ油ににんにくを1かけ落として風味づけし、そこで茄子を軽く炒め、塩胡椒。皿に盛りつけてから摘んだバジルを手でちぎりつつピラピラと散らす。
きのこは椎茸と舞茸とマッシュルームとえのきだけ。サラダ油でざっと炒めてから酒と醤油と塩をふりかけ、そこに茹でたてのパスタを落としてざっと絡める。最後にしらすとしそをかけて、できあがり。

本当は、茄子もパスタもこれでもか〜っとにんにく効かせて作りたかったのだけど、我が母はにんにくが大の苦手なのである。にんにくを封じられては私の得意な料理の半分以上が封じられることになるような気がするほど、私はにんにくが大好きなのだけれど、それでもここしばらくは「にんにくは、入れたとしても控えめに。ガツンと効かせるときには副菜で」をモットーにしている。今日は茄子だけほんのりにんにく風味。
私がにんにく大好きになったのは、家の御飯じゃ絶対ににんにくが出てこなかったことの反動のような気がしないでもない。

デザートは、プルプルに固まった牛乳ゼリーにマンゴーのソース。ただ皮を剥いてざくざく刻んだマンゴーの果肉をゼリーの上に乗せ、種の周囲の果肉をぎゅうと絞ったジュースもかける。思ったよりも牛乳ゼリーそのものが甘くなってしまったのだけど、優しい味の良い感じのデザートになった。しかし、それにしてもマンゴーがうまー。

8/8 (金)
懐かしの店「OUTBACK」で、お肉お肉お肉♪ (夕御飯)
はちみつがけバタートースト
牛乳 with ミルメーク(いちご味)

今日は台風がやってくるらしいけれど、夜には総勢5人でお食事の予定。
「来てもいいけど、直撃しないでねー。電車は止まらないでねー」
と祈りながら外を眺めるも、風は強くなる一方だし雨もいかにも降ってきそうな空模様だし、テレビの特別番組はどこも妙に浮き足立っていて楽しそうだ。

朝御飯は、厚切りパンをバタートーストにしてはちみつをたら〜りとかけたもの。まんべんなくバターを塗って焼いたトーストは表面がカリカリサクサクと表皮1mmほどがいい感じに固くなり、そこにはちみつをかけたジュワッとした歯触りがなんとも心地よかったりするのだった。
「おかーさんおかーさん、いちごの粉を入れて、ぎゅうにゅうのみたいなぁ〜」
「……あ〜、ミルメークか。いいよー、入れよう」
と、牛乳にはミルメークをさらさらと溶かしてみたり。

ファーストキッチンの
 焼きとうもろこしポテト
 コカコーラ

今日の約束は午後8時。パンだけじゃ到底夜まで持たないわけで、かといってあまりしっかり昼御飯を食べても夕食に響きそうだったりして、外出前にふらりと駅前のファーストキッチンに寄ることにした。この店の、「焼きとうもろこしポテト」が密かに気になって気になってしょうがなかった私。えー、ポテトでしょー。なのにとうもろこし味なわけ?と一抹の不安を感じながらも、どんな味がするんだろと気になって、息子と2人でつまんでいくことにしたのだった。

もう、ここ5年ほどの定番となっている、ファーストキッチンの味つけポテト。妙なフレーバーもけっこうあるけど、相変わらず何種類もあるところをみると、けっこう人気の品なのだろう。新発売の焼きとうもろこし味ポテトは、確かに焼きとうもろこし味そのまんまだった。醤油がちょっと焦げたような香りと味に、甘いとうもろこしフレーバー。怪しげな粉をちゃっちゃとかけてじゃかじゃかっとポテトに和えただけなのに、気味悪いほど焼きとうもろこしの味がした。ジャンクな味だけど……旨い。
「ぼくがー、ぼくが全部食べるのー」
「だめ、おかーさんも食べるの」
と、息子と2人で奪い合いながらMサイズポテトを平らげる。そして私も息子もそこら中がとうもろこしフレーバー。

幕張 「OUTBACK」にて
 ブルーミン’ オニオン
 アウトバック・スペシャル(310g)
 キリンビール(生中)・コロナビール・アイスウーロン茶

アメリカに住んでいた頃、何かと行っていた「OUTBACK」というオーストラリア風のステーキ屋さんチェーン。あちらこちらに店舗拡大しているこのチェーンは、日本にも8店舗ばかり展開しているらしかった。
「肉、ですねぇ……」
「懐かしいですねぇ……」
「あの、大っきなステーキ、また食べたいですねぇ……」
と、今晩はステーキを堪能しに行こう、という約束になっていた。一緒に行くことになっていたのは、アメリカ滞在中、留学仲間かつご近所さんで何かとつるんでいたIさん。更に、「一緒に御飯でも食べに行きましょう〜」と約束していた、Hさんもご一緒することになった。

Hさんは、うどん仲間。1年前にうどん喰いのオフ会でお会いした人で、フルーツツリーという輸入果物専門店の店長さん。マンゴーの販売ページ上で「せりあさんとこの、マンゴプリン画像使わせてくださーい」というお願いに先日OKしたところ、「お礼に美味しい果物さしあげますからー♪」と言われていたのだった。我が家のご近所さんなので、一緒にステーキ食べに行きましょうということに。レンタサイクルで高松を巡り、うどんを食べるだけに東京高松を日帰りしちゃうようなパワフルなおねーさんだ。

Iさんは以前高松に住んでいて「うどん?毎日食べてたよ当然じゃん」という人であり、Hさんは以前アメリカに住んでいたことがあって、ということで、うどんだアメリカだとけっこう盛り上がった食事会になった。
お店の内装は、アメリカで入ったそれと大差なく、ソフトドリンクを注文すると飲み放題(値段は安くはないけれど)だったり、500gサイズくらいのステーキもあったりと、思った以上に郷愁ぷんぷんのお店だった。

「やっぱり300gは食べないとね」
「食べた気、しないもんね」
なんて言いながら、だんなはサーロイン310gを、私とIさんは「アウトバック・スペシャル」というスタンダードなステーキの310gを、Hさんはさすがにそれより小さなサイズのステーキを。パンと、サラダもしくはスープ、添え物のバターライスか温野菜からポテト類はステーキに無料でついてくる。事前にぐるなびでクーポンを印刷してきて、前菜の名物揚げ玉ねぎは無料に。サウザンアイランドドレッシングに似た薄赤いソースをぺたくたつけながら玉ねぎをバリバリと囓り、懐かしの味コロナビールをがふがふと飲む。

そして、メインディッシュのお肉!
310gのそれは、案外と小さく見えた。
「楽勝〜♪」
「ぜんぜん楽勝〜」
「余裕余裕」
と、一気に胃袋が数ヶ月前に戻ったかのようにざくざく切ってはざくざく口に運ぶ。塩胡椒だけで味つけられた肉は、日本のステーキとは違う赤身のしっかりした歯ごたえのもので、「そうそう、こんな感じだったこんな感じだった」と思えるもの。でも、なんとなく味が足りないというか旨味がいまいちというか、「固いというより"弾力がある"って感じ」と思えていたその歯ごたえはなんとなく「ただ固いだけ」と思えなくもなかったり。しかも、安くはない。「日本のアウトバックは、アメリカのそれの量半分で値段は倍」という噂よりは遙かにまともではあったけど、確かにちょっと物足りなく感じる内容だった。しかも、セットでついてくるオニオンスープはオニオングラタンスープじゃなくてクリームスープだし。

「いやぁ、皆さん、よく食べますねぇ!」
私たち3人の食べっぷりを感心して眺めていたHさんは、
「幕張といえば……"はなまるうどん"ですよねぇ。飲んだ後に食べて帰ったりして」
などと、恐ろしい言葉を口にした。
「はなまるうどんかぁ、いいねぇ〜」
「ステーキの後にうどん!」
「"かけ"くらいだったら楽勝だよね」
と、そのままステーキ屋を出た後に「はなまるうどん」を目指して進む男たち。……え?今300gの肉喰ったのに?え?Hさんも行くの?え?マジ……?と「食べられないよ……」と唸りながら後をついていく私。な、なんだか今日の私はとても小食になったみたい……。

幕張 「はなまるうどん」にて
 冷たいぶっかけ(中)
 おでん(牛すじ)
を、だんなと半分こ

「だんなぁ、"大"にしない?そしたら横からもらうから」
と、1杯のうどんを食べきるのは諦めて、だんなの分をちょっと分けてもらうことにした私。IさんもHさんも、うどんを食べる気満々だった。「飲みの後のうどんはあたりまえ」「うどん別腹はあたりまえ」が讃岐の地に住む人の胃袋なのだと聞いたことがあるけれど、ここは千葉の幕張なのにそういう人がうじゃうじゃいるんです、どうしましょう。

はなまるうどん」は、高松に本拠地がある讃岐うどんのチェーン店。ここ1年ぐらいに東京にも進出してきたけど、チェーンということで、私たちは高松に行った時にも食べたことがなかった(それより興味深いお店があまりにありすぎて……)。
「えぇ?はなまる、行かれたこと、なかったんですか?」
レンタサイクルで香川をまわっちゃうHさんが驚く。
「えー?はなまるは、行くでしょ。高松住んでれば」
高松在住経験のあるIさんが言う。いや、私ら高松住んでませんし。
というわけで、私もだんなも息子も初めての「はなまるうどん」体験なのだった。

"かけ"の小は100円とお安いけれど、それ以外はあまり安く感じられない。肉うどんがあったりぶっかけがあったり、カレー釜玉なんてのもあったりと品揃えはけっこう豊富。おにぎりやおでんがあるのがまた、香川の匂いが感じられて嬉しかった。

ちょっと太めの麺は、でも、なんだかいまいち。ピヨーンと延びるねばりつくようなコシもなく、さりとてどしっと喉に吸いつくようなねっちりした強い弾力もなく、「ぼくぼくっ」とした感じでブツリと切れちゃう。茹ですぎの気もあるし、そもそも麺の生地にコシが足りないような感じで、
「東京で、これ食べて"これが讃岐うどんかー"と思われたらちょっとシャクだなぁ」
と思っちゃったのだった。同じチェーンなら、「うどん市場」の方が嬉しいなぁ……なんて思いながら、だんなのどんぶりを抱え込んで、結局私もずるずるずーと盛大にうどんを啜っちゃったのだった。ステーキ後なのに。300g肉の後なのに。

「で、せりあさんに、これー」
とHさんにいただいたのは、イエローピタヤという、聞き慣れない名前の果物と、キウイがたっぷり、だった。
「ん?バリでも香港でも見たことがないかも……」
としげしげと眺めると、
「そりゃそーですよ!コロンビアの果物だもーん」
とHさん。サボテン科の果物で、横か縦にばっさと両断してスプーンですくって中の果肉を食べるのだそうだ。面白いものをいただいて、感謝感謝。

そしてIさんは今夜当家にお泊まり。カレー好きなIさんと、明日は一緒にカレー梯子をするのだ。

8/9 (土)
Shiba(稲毛)の、混ぜ混ぜカレー。美味しいのよ
 サービスターリ \1000

「アメリカを堪能しよう」と昨夜ステーキを食べた私たち一家と、かつての留学仲間Iさん。Iさんはカレーが大好物で、暇さえあれば都内のあちこちのカレー屋さんを巡り歩いているという話だったので、
「うちの近所にも!けっこう美味しいカレー屋さんあるから!」
と誘いをかけ、遊びに来てもらったのだった。

で、今日は「カレー屋さんをハシゴしよう」ということになっていたのだった。皆さん大食らいなので、朝食抜いたら余裕で2軒のカレー屋さんくらいいけるでしょう、ということで、お昼12時、開店前に到着するつもりで向かったのが、1軒目のお店「Shiba」。都内を対象にしたカレー屋さんガイドブックなどにも、こんな僻地なのに登場してしまう、カレーマニアの間ではかなり有名なお店だ。私たちは、もう4〜5年前に雑誌『dancyu』の特集記事で知り、「稲毛にこんなお店があったのかー」と通うようになったのだった。

まだまだ台風は去っておらず、朝から風や時折の雨で大変なことになっているのに、開店前にはもう空席ができないほどのお客さんが溜まっていた。10分ほど前に到着した私たちが一組目。御飯にルウが添えられた、普通のビーフカレーやチキンカレーもあるけれど、このお店の名物は「サービスターリ」。ビール(甘口)・ベンガルチキン(甘口)・チャナマサーラ(甘口)・チキン(中辛)・ラムスパイス(激辛)と5種類のメインとなるカレーから1種類を選び、それにベジタブルカリーとサグ・マサーラ(ほうれん草などの青野菜の煮物)、豆のスープ(ダールスープ)、漬け物(アチャール)、ドリンクがついてきて、1000円。

その昔は、「サービス・ターリの食べ方」なんて小さな札がテーブルに置いてあり、それによると「とにかく全て(2種のカレーも、サグもスープも)を御飯の上にかけてしっかり混ぜて食べてください」なんて事が書いてあった。1年ほど前に"裏さびれた喫茶店あるいはバー風"といった感じだった店内は改装されてすっかり小洒落た風になったのだけど、それを機にメニューも見やすく模様替えし、「サービス・ターリの食べ方」も消えてしまった。今では特に、「混ぜて食べろ」ということは熱烈に勧められてはいない……らしい。

お店にやってくる人のほとんどがこのサービス・ターリを頼んでいたけれど、見ていると、"ちょぼっと肉のカレーをかけて御飯を食べ、次にはちょろっとベジタブルカレーをかけて御飯を食べ……"としている人が割合と目に付いた。スープはスープとして飲み、野菜は付け合わせに……と食べていたりする。でもでも、2種のカレーとサグとスープ(スープをかけるのは……賛否両論ありそうな感じなんだけど、けっこうベシャベシャになってしまうし)をぜんぶぶっかけて、わちゃわちゃっと汚らしい外見になるまでかき混ぜて食べるカレーは、それはそれでビビンバの如きうまさがある。私はその汁っぽくなったシャバシャバしたカレーが大好きなのだった。

カレーはサラサラとしたタイプのもので、どれもクローブの香りがとても強い。舌の根に独特の苦さと甘さを混ぜたような刺激が残る香辛料で、お好きな人にはたまらないタイプの匂い。私は大好き。
開店直後にすぐ満席になった店内で、息子はパッパルという名の豆せんべいをぽりぽりと食べ、ラッシーを飲み、私たちはせっせと混ぜカレーを堪能した。相変わらずの人気のようで、地元客からもカレーマニアな方々からも愛されている店。この近くについに2号店ができたということだ。

予定では、このまま第二のカレー店、「高円寺ナイルカレー」に行くことになっていた。こちらはスパイスぷんぷんインド系ではなく、どちらかというと欧風カレーに分類されると思うのだけど、ルウはさらさらとしていて、しかもその色は黒々としていて、これまた独特なカレーのお店だ。
「いけそうだねー」
「ハシゴ、楽勝でしょう!」
と、強風吹き荒れる中意気揚揚とそのお店を目指したのだけど、店頭には「都合により本日は夜から営業いたします」の無情の一言が貼り紙されていた。

「そんなぁ……」
「今日はカレーハシゴが目的だったのに」
「残念……」
「……ま、また今度ってことで……」
Iさんは、ちょっとばかり寂しそうにびゅうびゅう吹く風の中を帰っていった。また来てねー。

枝豆
水菜とかぼちゃの肉味噌サラダ
鶏手羽の塩焼き 葱ソース
釜あげしらす
羽釜御飯

午後からはずっとすごい天気だった。雨もすごいし、風も強い。一瞬雨が止んだかと思うと、また十数分後にはばしゃばしゃどばしゃと雨が降ってくる。
「うう……買い物どころじゃないね」
「なんかこう、魚が食べたい気分だったけど」
などと言いつつ、冷蔵庫の中のありもので済ませる夕御飯となった。当初、醤油とかオイスターソースをベースにした味でテラテラに煮て食べようかと思っていた鶏手羽元があったので、塩ふってオーブン焼きにしちゃうことにする。

「それさぁ、油淋鶏ソースで食べるって……ヘンかな?」
とだんなが言うので、では葱ソース作ろうか?ということに。酢と砂糖が入る甘酢味の油淋鶏味も悪くないけど、脂多めの手羽肉なら、塩気が強めのさっぱり味の方が良いんじゃないかなと思えた。長ねぎをざくざく刻み、ごま油を垂らして和え、ついでに塩も少々。タン塩につけて食べるような油和え葱を準備して、焼いた手羽に添えてみた。あとは枝豆と、先日も作った水菜とかぼちゃのサラダをもう一度。ちょっとばかりおかずの量が物足りない感じだったので、炊いた御飯は多め。足りない分は白い御飯をわしわし食べようねっ、ということになった。

「……ふーん。ネギ?ネギをどうしたの?」
母は、今日も見慣れぬものが出たことに、奇妙な顔をして鶏と葱をつつきまわしている。
そういえば「料理は嫌いだし、苦手」と言って憚らなかった母のレパートリーは少なかったよなぁ……と思い出す。牛丼っぽい味の肉野菜煮込みが多かったし、にんにくもオリーブ油も買うことはなかったからイタリア風の料理は皆無だった。スパゲティは市販のソースを絡めるだけ。一度だけ作ってくれた酢豚はすごく美味しかったけど、「もうイヤ!なんてめんどくさいのかしら」の一言で、それから二度と食卓にあがることはなかった。

でも、母の手料理が不味かったかというとそんなことはなく、母が作ったポテトサラダやコロッケはすごく美味しかった。お弁当に入れてくれた肉じゃがも、幸せな昼御飯の友だった。作れる料理のレパートリーと、それを食べる家族の喜びは必ずしも正比例するものではないのだと私は身をもって知ってはいるのだけれど、それでもいろいろ目先の変わったものを作りたいし、食べたいなぁと思っている。で、その反面、「これがおふくろの味」と息子に思ってもらえるような「これが私の味」という料理を作れるようになりたいわけで……。

「ねぇね、かーちゃんの作った料理、何がすき?」
食後、息子に聞いてみたところ、
「んとね、んとね、たまごごはん!」
と言われてしまった。……そーかい、それが君のおっかさんの味かい……。

8/10 (日)
ミルクゼリー マンゴーかけ
カレーどん兵衛
麦茶

ここ1週間くらい我が家のパソコン、唯一のデスクトップタイプであるメインマシンの調子が変だった。
渡米時に日本に残して行ったパソコンだったのだけど帰国すると起動できなくなっており、修理に出していたものだ。「マザーボードとハードディスクを交換しました」と帰ってきたパソコンは、保証期間内だったので無料での修理だった。ありがたいことだねー、とデータを入れ直して使っていたら、1ヶ月も経たないうちにハードディスクから「しょりしょりしょりしょり」と異音がしてくるように。あれこれ使っていると「しょりしょりしょり」という音と共にフリーズする。「また変になっちゃったんだけどー」とサポートセンターに電話してもいつも話中でつながらず、メールを出しても3日くらいは余裕で返事も来ず、かなり困っていたここしばらくだった。

「もう、原因はハードディスクってのははっきりしてるから、買ってきちゃおうか」
「1万円くらいで買えるもんね、今はね……」
と、ほかの用事もあるとのことで、だんなが秋葉原まで行ってくれることになった。一応、今現在入っているハードディスクの型番などを確認しておこうと開けてみると、取り替えてもらったハードディスクには、それが中古品であることを示すシールが貼られている。
「修理してくれた、とはいうけど……」
「中古品のハードディスクと取り替えただけかい……」
「なんかヒドイね……」
「修理して、結果、自分が使っていたのより手荒な扱いをされてたハードディスクを押しつけられたのかもしれないわけだ」
と、無料修理とはいえ、これにはかなりげんなりだ。台風一過でめっちゃめちゃ蒸し暑い中、だんなはでかける準備をしてくれた。

朝御飯……うどん茹でるのも暑いし、白い御飯って感じじゃないしねぇ……と、だんなが手に取ったのはカップ焼きそば類。そういえば安売りしてたのを買ってきたのがあったっけねぇ、と一緒に棚をがさがさやって、だんなと息子は焼きうどん、私はカレーどん兵衛ということになった。うどん茹でるのは確かに暑いけど、熱いうどんを食べるのも、やっぱり暑い。
じーわじわじわじーとセミが朝から鳴きまくる中、とろ〜んと熱く粘度のあるカレースープをずるずる啜った。いろいろと消耗する秋葉原に全員で行くこともなかろう、と私と息子はお留守番。いってらっしゃーい。

ミルクゼリーのマンゴーソース

久しぶりの秋葉原を堪能しているらしいわが夫、なかなか帰って来ず。
「あついねー」
鼻の頭に汗びっしりかいているくせに、全然だるそうじゃない元気な息子と
「……あづいね……」
と、すっかりへばっている私。
おやつに、先日作ったミルクゼリーを食べることにした。息子はかき氷。

牛乳に砂糖とバニラエッセンスとゼラチンを加えるだけで作れるゼリーは、別に何をみなくても作れそうなものなのだけど、「おおっこれは良いかもっ」と思ったのが、『母さんの甘いもの』(近藤清子/著 高橋書店 2003.04)という本に載っていた作り方。牛乳パックをまるまる使った1リットルサイズのミルクゼリーで、1リットルの牛乳に対してゼライス10g(2袋)を使用する(本では粉ゼラチンではなく顆粒ゼラチンを使用することを推奨していた)。若干柔らかめではあるけどなかなか良い感じのぷるぷるとろとろ感になる。こりゃいいやぁ、とたっぷり作って、がつがつ食べていたのだった。

だんなのお祖母ちゃんからいただいた沖縄の完熟マンゴーをざくざく加えたミルクゼリーは、好物のマンゴプリンとはまた違った優しい味。

「ケンタッキーフライドチキン」の
 フライドチキン
 フライドポテト
 ビスケット
 コカコーラ

午後3時過ぎに帰ってきただんな。お願いしていたハードディスクの他、あれこれわちゃわちゃと買い物してきたようだ。
「いやー、すっごい探したけど、僕の目当てのものは見つからなかった……」
と汗だくになっただんなは、「おなかすいたでしょー?はい」と、ケンタのチキンを手渡してくれた。

昼食というにはかなり遅めのファーストフード。手と口を油でギトギトにしながら数本のチキンを囓り、ポテトを食べる。ビスケットにはメープルシロップをごってりつけて、「うへぇ、これじゃ満腹になっちゃうね」なんて言いながらももりもり食べる。たまーに食べたくなるのよね、このチキン。

枝豆
お刺身いろいろ(マグロ・ハマチ・スモークサーモン・甘海老・帆立)
羽釜御飯
ビール・冷茶

近所のスーパーで「刺身バイキング」なる刺身特売をやっていたので、夕飯はお刺身。マグロにハマチにスモークサーモン、それに甘海老と帆立。遅めの昼食はかなり胃を圧迫してくれていたので、刺身つまみつつ枝豆つまみつつビールをくいくい、あとは御飯をちょりっと……というサラリとした夕飯になった。だんなが見繕ってくれたマグロはビンチョウマグロのトロ。包丁入れると包丁の重さで崩れてしまいそうなほど柔らかな魚肉で、色はあまりよろしくないけど味は最高。

「ぼくはねー、すもーくさーもんが、好きなんだなー」
などと呟いている生意気な息子に(スモークサーモンなんて、私は中学校卒業するあたりまで美味しいなんて思わなかった……)それをぽいぽいと取ってやりつつ、大人たちはハマチやマグロを堪能。夏のお刺身ってなんでこんなに美味しく感じるんだろう。