食欲魔人日記 03年01月 第3週
1/13 (月)
Memphis 「Comfort Inn」無料朝食
 クリームシチュー(のようなもの)
 ゆで卵
 ミニパンケーキ
 ビスケット
 バター、ピーナッツバター
 クランベリージュース、牛乳

メンフィスの朝。宿泊した「Comfort Inn」には、なんでもスペシャルなコンチネンタルブレックファーストがついてくるらしい。
どのようにスペシャルなのかが気になって、ロビーフロアに降りてみた。

一般的なモーテルの無料朝食は、パンとシリアル類、牛乳とコーヒーという品揃えだ。ちょっとマシになるとベーグルや食パンの他に菓子パンやドーナツ、マフィン類などとパンの種類が豊富になり、果物やジュースが置かれていたりもする。このホテルのブッフェ台には、ゆで卵が置かれていた。ジュースも3種類。更に、蒸し器に入ったビスケット(←ケンタのビスケットみたいなやつ)と、クリームシチューのようなものも。広告どおり、見事にスペシャルな朝食セットだった。バターやジャムも豊富だし、ピーナッツバターもある。しかもミニパンケーキまである。

うきうきとミニパンケーキとビスケットを皿に盛り、ゆで卵やクリームシチューを紙皿に取ってきてもりもり食べる。クリームシチューのような物体は、塩気がほんのり強く、ソーセージのかけらのようなものが入っている。シチューよりも粘度が高めで、シチューとグラタンに絡めるクリームソースとの中間のような感じ。これと同じものをあちらこちらで食べたことがあるけれど、一体これが何という名称のものなのかは未だにわからず……。「グリッツ」という、とうもろこしの粥がこれなのかとも思ったけれど、どうも違うみたい。

コーヒー以外に温かいものがあるという朝食は嬉しかった。ついでに卵も嬉しかった。普通のモーテルじゃ、牛乳とバター以外からの蛋白質摂取はまず望めないという感じなので、「卵だ卵」「卵があるよ」と4人で6個以上の卵をもりもり食べていたのであった。

チェックアウト後は、少しだけメンフィスをぷらぷら。
メンフィスといえば、エルヴィス・プレスリー。彼とその家族の墓があり、かつて住んでいた家もある。彼の所有していた土地にテーマパークまでできてている。毎年多くの人がプレスリー詣でに訪れるのが、メンフィスなのだ。
「いや、でも、プレスリーには用はないし……」
「"用がない"とか言うかね、君は……。彼を目的に世界中の人がやってきているというのに」
「いや、でも、用がない」
「まぁ、僕も……用がない」
と、プレスリー詣では却下。代わりに「National Civil Rights Museum」に行ってみた。マーティン・ルーサー・キングが暗殺されたモーテルが博物館として保存され、彼について、彼が行った公民権運動についての展示がされている。

「あー、確か学校でそんなことを習ったような……習わなかったような」
とうすぼんやりした気持ちで入場してしまったのだけど、内容はずっしりと重かった。黒人たちに公民権をという運動の流れは、つまりは黒人迫害の流れでもあって、諸々の展示で胸がどよ〜んと重くなってくる。当時のバスが展示されており、中に入って座ってみると「黒人は後ろへ行け、ゴルァ」「ここは白人専用の席だゴルァ!」とセンサーが入ってそんな声が流れてきたり、周囲に飾られた看板には「COLORED」の文字も黒々していたり。「非暴力闘争」のモデルとしての展示なのか、白黒で壁にえんえんと流されていたテープでは、ダイナーで食事をする黒人たちの背後から白人たちが怒声をあびせながらケチャップやらコーヒーやらを頭から浴びせて笑っている(で、黒人たちは怒ることもなくもくもくと食事をしている……)などというものもあったりした。重い、重いよ……。勉強にはなるけれど、ちょっとつらい。

そして昼前にメンフィスを後に。
同じテネシー州であっても、ナッシュビルとはかなり違った雰囲気の土地だった。ナッシュビルは白人の町という印象だけれど、メンフィスは黒人の町という感じ。

Bellevue 「Grand China」にて
 焼き餃子
 五目炒飯
 中国茶

密かに「メンフィスで、プレスリーが好きだったという"ピーナッツバターバナナサンド"(←バナナをフォークで潰しまくり、ピーナッツバターを塗ったパンの間に挟む……らしい)も食べてみたかったかも」と思いつつ、あまりメンフィスを出るのが遅くなると帰宅も遅くなる。昼前にメンフィスを出て、ひたすら我が町へと車を走らせ、家まであと10マイルほどというところで遅めの昼御飯。本当はチェーンハンバーガーショップ「Steak 'n Shake」にIさんを連れて行こう、と言っていたのだけど、道中その店、全然見つからなかったのだった。

ちょうど通り道ということで、入ったところは中華料理屋さん「Grand China」。年末に忘年会をした時に利用したお店だけど、お店の人ほとんどが私たちを覚えてくれているので非常に行きやすいお店だ。今日も「ブッフェじゃなくてアラカルトなんだな?」とメニューを渡され、焼き餃子と炒飯を注文。
皮が厚めのぶりぶりとした食感の焼き餃子に、鶏肉や海老や牛肉やチャーシューが豪華に混ざったパラパラの炒飯。そういえば中華料理はちょっとばかり久しぶりだったよね、と口にしてから思い出した。パラパラの炒飯はとにかく美味しい。

マグロのユッケ風丼
牛肉とわかめの韓国風スープ
ビール(MICHELOB)

午後3時すぎ、無事に帰宅。私たちがニューオーリンズからの帰宅最終組だ。他のメンバーも事故もなく無事に帰宅している模様。1人1ダース以上の生牡蠣を一度に食べていたりした割には、幸いなことに一人も牡蠣にあたらなかった。良かった良かった。

夕飯は、「魚が恋しい……醤油味で」ということで、マグロを買ってきた。胡麻油や醤油、豆板醤や塩胡椒、砂糖などと共に葱と一緒に一口大に切ったマグロをユッケみたいな味に揉みこみ、ユッケ風どんぶり。上には黄身を半熟に焼いたゆで卵を乗せ、海苔と胡麻をたっぷりとかけた。お供は牛ひき肉を胡麻油で炒め、ビーフコンソメを注いで醤油と塩で調味してわかめを散らした韓国風スープ。ご飯が炊ける間にちゃちゃちゃっとだんなと一緒に作り上げ、さらさらっと食べた。ニューオーリンズでの食事は不思議と日本食に通ずるものがあり、他の地域に旅行するよりも日本食への飢えが格段に少ないような気がする。ご飯料理はやたらとあるし、ベニエなんかはもう「おっかさんの味」という感じでもあるし。それでも我が家のご飯は我が家のご飯でやっぱり美味しいのだった。
「我が家がやっぱり一番ね」
なんて言いつつ、半日でニューオーリンズに行けるとわかった今、また生牡蠣を求めて南下してしまいそうな予感。

1/14 (火)
Cafe Nonna(Nashville)にて、魚介のブルスケッタ (昼御飯)
おにぎり
牛肉とわかめの韓国風スープ(昨夜の残り)
抹茶入り玄米茶

昨夜、息子は疲れてしまったのか夕食前に寝てしまったのだった。
「ま、そのうち起きてきたら食べさせましょう」
と、残りご飯でおにぎりを作っておいたのだけど、当の息子はそのまま"朝まで熟睡"モードに突入。結局朝まで腹が空いたとも何もいわずに寝続けた。

で、朝御飯は昨夜作ったおにぎりに、昨夜の残りのスープ、あったかいお茶。
留学も半分を終え、気がつくと留学仲間と撮った写真が随分溜まってしまった。帰国するときに皆に配れるように、ちょこちょこ整理などしてみたり。

Nashville 「Cafe Nonna」にて
 魚介のブルスケッタ
 シーザーズサラダ
 クラムクリームソースのフィットチーネ
 アイスティー

「美味しいパスタが恋しいかも」
「あの店のシーザーサラダが恋しいかも」
「ついでに旨いというティラミスも食べてみたいかも」
と、午前の授業が終わって帰ってきただんなと一緒に、今日のお昼は「Cafe Nonna」に行ってみた。パスタというと"離乳食じゃないんだから"くらいにクタクタに茹でられたものが出てくるアメリカにおいて、まともなスパゲティが食べられるこの町では希有な店だ。全体的に味は濃いめではあるけど、どれもこれも良い感じに美味しい。ケチらず使われるたっぷりのチーズやオリーブがとても嬉しく、くせになる味なのだった。

かなり空腹きわまっていたので、パスタにサラダをつけ、アンティパストもつける。魚介のブルスケッタは1皿10ドル以上もするけど、美味しそうな予感がする。だんなと2人で1皿を分け合うことにして、ブルスケッタを1皿取った。息子には細麺のキッズ用クリームパスタを。
やってきたブルスケッタは、笑ってしまうほど巨大だった。私が食べたことのあるブルスケッタという料理は、薄く薄く切ってトーストしたフランスパンにトマトで和えた魚介だとか、あるいはシンプルにトマトとバジルを混ぜたものだとかを乗せたものだ。2口くらいで食べられる、カナッペみたいな料理が、私の記憶の中のブルスケッタだった。

目の前にあるパンは、どう見ても厚さ2cmくらいある。しかも直径も20cmくらいある。アメリカのステーキのごとくに巨大なパンに、それを覆い隠すようなトマトソースの具がこれでもかこれでもかと小山になっていた。一口では食べきれないほどの大きさの帆立がたっぷりに、プリプリした海老が丸ごと5尾ほど。丸のままのオリーブもごろりごろりと入っており、フェタチーズとパルメザンチーズ、バジルが上に散らされていた。これだけでもメインディッシュと言えるんじゃないかというほどボリュームのある巨大なブルスケッタだ。
「きょ、巨大だよ……」
「どう食べろと」
と笑いながら、とりあえず土台のパンを切り分け、小さくしてから具を乗せて囓った。ガーリックバターがたっぷり塗られたパンに、さっぱりした魚介のマリネ、塩気の強いチーズがよく似合う。ブルスケッタにするにはもったいないほどの大振りな魚介がとてもゴージャスで、確かにこれは1皿10ドル以上するだろうなぁというシロモノだった。ああ、デザートにティラミスを食べるという野望が遠のいていく。

チーズと胡椒がどっさりかかったロメインレタスのシーザーサラダを食した後は、片手ですくっても掬いきれないほどの山盛りのクラムが入ったクリームソースのフェットチーネ。貝の肉は形がそのまま残されてざくざく入り、バターと生クリームがたっぷりな感じのソースに和えられている。だんなはバジルのソース"ジェノベーゼ"にグリルした鶏胸肉をオプションでトッピングしてもらっていた。どれもごく微妙に味が強い(かけられたチーズの塩気がかなり強いせいもあるらしい)けど、豪快なパスタに嬉しくなってしまう。クリームソースの真っ白なパスタを前にした息子も
「これね、このスパゲッティね、おいしいと思うなぁ〜」
といやにおとなしくチュルチュルとスパゲティを食べている。不味い店のパスタの時は15分くらいでフォークが止まりがちになるくせに、今日のパスタにはもくもくと取り組んでいる。

かくして、今日もデザートを食べるという野望は達成できないのであった。
メニューにはティラミスの他、リコッタチーズのケーキやイタリア風ブレッドプディングなど気になるものがいくつも並んでいる。今度は前菜抜き、軽くピザでも1枚食べてデザートに臨みたいところだ。

食後、この店の前にあるガソリンスタンドの売店に。友人Rさんから教えてもらったのだけど、このガソリンスタンドには"イクラ"が売られているらしいのだ。なんでもロシア人兄弟が運営していて、ロシア系食材が売店に並べられている中にイクラがあるのだとか。「なんかすごい話だね……」と一体どんなイクラが売られているのやら、と戦々恐々としながら店を覗いてみたのだった。

どっから見ても兄弟です、というそっくりな顔のロシアな顔のオヤジが2人、広くはない店に詰まっていた。
冷蔵庫には、確かにこのあたりでは見慣れない食材がいくつも並んでいる。初めて見る名称のチーズ類に、ハムや燻製魚、瓶詰めになっているのはキャビアのようだ。で、ガラスの透明な瓶に詰められている赤いつぶつぶは、確かにイクラのようだった。
「何か出そうか?」
と、背後に兄か弟かは不明なオヤジがやってきていて話しかけてきた。イクラください、えーとあの瓶1個分もいらないんだけど、と伝えると、好みの量で分けてくれるという。では半ポンドね、と言うと、ソフトドリンクを入れるカップにイクラをじゃじゃじゃじゃじゃーと入れてくれた。蓋もソフトドリンク用のそれ。ストローを刺すとイクラジュースが飲めてしまいそうだ……(うげ)。
1ポンド20ドルという値段は安いのか高いのかよくわからない。10ドル分ほどのイクラを抱えて、今日はイクラ丼決定。家に帰って味見をしたところ、醤油の味はしない"筋子をほぐしただけ"のものだった。イクラらしいイクラにしようと、醤油と酒を同量くらいずつだばだばだ〜とふりかけてみる。うむ、知っている味になった。

更に今日はアジア食材屋にもお買い物に。目当ては豚バラ肉だったのだけど、「国府田米」を見つけたのでこれも購入。
米を買うのには特に不自由はないアメリカだけど(銘柄にこだわらなければそのへんのスーパーでいくらでも買える)、我が家も含め友人知人たちが揃って「これが美味しいよね」と言っているのは「國寶」(こくほう)という銘柄。我が家はずっとそれを使っていたのだけど、更にその「國寶」の中の「国府田米」というものが値段は高いけどそれがとびきり美味しいのだと、先日とある方に教えていただき、たまたま見つかったそれを買ってみたところ、確かに「國寶」より明らかに美味しい。値段は「國寶」の2倍だ。2倍美味しいかというとちょっと微妙なところではあるけれど、確かに美味しい。

今日も2袋だけ所在なげに置かれていた「国府田米」を発見し、1袋カートに積み込んだ。レジのおねぇさんが
「これ、コクホーだけどコクホーじゃないの。1袋19ドルなんだけど、OK?」
と確認してくる。大丈夫、ちゃんとわかって買ってるよ、とだんなが返したところ、
「そう、それならいいけど、すっごく間違える人多いのよー。袋がそっくりでしょ?」
とアジア系の顔立ちのおねぇちゃんが続けて話しかけてくる。
「高いけどこのお米、美味しいの?私食べたことないんだけど」
と聞かれた。
「うん、美味しいよ。コクホーより、確実に美味しいよ」
と答えるだんな。おねぇちゃん、国府田米に興味津々らしかった。

あんかけ豆腐
腸詰
いくら御飯
豆腐と油揚げの味噌汁
わかさぎの佃煮
焼き海苔
ビール(Corona)

美味しい米とイクラがあるということで、夕飯のテーマは「米と共にイクラを喰う」というものに決定。国府田米を炊き(秘蔵のあきたこまちがあるけどそれはもうちょっと米が喰いたいと切羽詰まったときに使わなければならない)、ソフトドリンク容器に入ったイクラを和風の容器に移し替える。佃煮も出し、味噌汁を作り、昼のボリュームたっぷりパスタランチがまだ胃に溜まってる感じがしたのでおかずはあんかけ豆腐とさっぱりめに。あまりにも肉っけがないということで、だんなが腸詰をスライスしてレンジでチンして酒の肴にした。

3合炊いた米で、家族全員白米をもりもりと食べる。
「いくら御飯なら、まだ食べられる」
とだんなが3杯目の御飯を茶碗によそい、「うわ、まだ食べてるよこの人」と言った私が3分後くらいに
「ああ、やっぱりいくら御飯はいくらでも食べられるわねぇ」
と3杯目の御飯をよそったりしていた。息子も息子で
「ぼくはねぇ、イクラがほんっとーに、好きなんだなぁ〜」
と(アイスクリームもおにぎりもぶどうも"ほんっとーに好き"なくせに……)と、2杯目の御飯にイクラをまぶして海苔を巻き、これでもかと食べていた。おかずが控えめだったこともあり、これでもかと食べた御飯の残りはわずか茶碗に1杯ほど。イクラ万歳、イクラありがとう。でもロシア人もイクラを食べているとは知らなかったわぁ。

1/15 (水)
いくら御飯〜♪ (夕御飯)
自家製肉まん
プーアル茶

冷凍庫に自家製肉まんがまだ残っていた。
「あと3個しかないけど〜」
「ま、1人1個食べましょうかね」
と、朝から蒸籠を出動させている我が家だった。ニューヨークで買ってきた蒸籠は今日も大活躍してくれている。日本に帰る時は後任に引き継いでアメリカに置いて帰るのか、それとも日本まで持って帰るのか、微妙なところだ。

2週間ほど冷凍していたところ、やっぱり何だか「けっこう長く冷凍されていました」みたいな匂いと味になってしまっていた。ラップでぐるぐる巻きにしてジップロックに突っ込んで置いたのだけど、やはり長期の冷凍はあまりよろしくないらしい。
初めて作った肉まんは"饅頭の皮ミックス"みたいなものを使って作ったのだけど、あれこれレシピを探してみるとベーキングパウダーだけを入れるものあり、イーストを使うものあり、両方入れるものあり、と様々ある(更に"かん水"を入れたりもするらしい)。パンみたいな食感のふわんふわんしたものも好みなので、今度はイースト使って自分で作ってみようかなぁ。

Nashville 「KEN's Sushi Restaurant」にて
 Ten-Zaru (Soba)
 Salmon Skin Roll

午前中、研究室に用事があるというだんなにくっついて行き、お昼は今年初めての「KEN's Sushi」。大学が休みの期間じゃない平日の昼間を舐めていたようで、店には待つ人が出るほどの繁盛ぶりだった。まだ12時前なのにね、とびっくりしながら席につき、注文した品を待っている間にじわじわと行列ができていく。お客は日本人や中国人が多いかと思いきや、白人が圧倒的に多い。みなさん器用に箸を使って寿司や蕎麦を食べている。面白いのは、日本人には木製の寿司下駄に握り寿司が盛られてくるのに、それ以外には平皿に乗って出てくること。どうも欧米人は「木製の食器は汚い」というイメージがあるのだと、どこかで読んだこともある。私たちにはいつも木製の台で出てくるのに、そういえば周囲の人々は皆、陶器の角皿で寿司を食べているのだった。

私は天ざるそば。それだけではちと物足りないので鮭皮を炙った海苔巻きもつけてもらった。お客は席にみっしりと座っていて、寿司カウンターに3人入って必死に作業しているのになかなかはかどらない様子。結局25分ほど待ってようやく料理がテーブルに並んだ。
ここの料理は大概美味しいけれど、蕎麦はいまいちだと聞いていた。で、やっぱりいまいち。つけだしの味はそれほど悪くはないけれど、蕎麦の味や香りも希薄で、今ひとつ何を食べているのかわからない感じがする。天ぷらは揚げたての海老が2尾。蕎麦を啜り海老を囓りしながら、鮭の皮がこんがり焼かれたものが牛蒡やキュウリと共に巻かれる細い巻物をつついた。

だんな特製 豚肉と青梗菜の中華炒め
だんな特製 コーンと卵の中華風スープ
アスパラガスのアンチョビマヨネーズ
イクラ
羽釜御飯
ビール(MICHELOB)

昨日、アジア食材店で美味しそうな青梗菜を買ってきたので夕飯は中華炒め。豚肉と一緒にオイスターソースや醤油の味付けでにんにくたっぷり混ぜたやつをだんなが作ってくれた。まだイクラが残っているので御飯もたっぷり用意。ここ数日野菜に飢えていた感があったので、アスパラガスを茹でてアンチョビマヨネーズ(←アンチョビを細かく叩いてマヨネーズと併せるだけ)を添える。私がアスパラガス茹でたり野菜や肉を切ったりしている間にだんなが中華スープも作ってくれ、かなり充実した食卓になった。

「ロシア人もイクラを食べるんだろうか」
と思っていた昨日、日記を読んだ方からいっぱいメールをいただいて(ありがとうございます、ありがとうございます)、「ロシア人もイクラを食べる」どころか、「イクラはロシア語が語源」ということを初めて知ってしまった。
日本語の「イクラ」はロシア語の「イクラー(икра)」(意味は「魚の卵」)が語源であり、ついでに言うとロシア語の「イヴァシー(иваси)」は日本語の「いわし」が語源なのだそうだ。「イクラー」は鮭に限らず魚の卵のことなので、「黒いイクラー」はキャビアを指し、「赤いイクラー」は鮭の卵(日本で言うイクラ)を指すのだとか。イクラ、なかなか奥が深い。ハラショー。(※一部、機種によっては読めないかもしれない文字が入っております、ごめんなさい)

おかずもたっぷり、スープもたっぷり、イクラもたっぷり(すると必然的に御飯もたっぷり)で、どこをとっても満腹になりそうな夕御飯。案の定、おかずをもりもり食べまくった挙げ句にスープも全員がお代わりし、御飯は最低一人2膳という有様になった。息子もイクラを乗せた御飯はどうやら止まらなくなる様子。海苔で巻いてやったらますます御飯の消費が止まらなくなり、「お前、実は4歳児じゃなくて6歳児くらいだろう」と問いただしたくなるほどに食べていた。そういう私やだんなも「君たち、学生とかじゃないんだから」というくらい食べていたことは秘密。

1/16 (木)
今夜は5人で豚味噌鍋 (夕御飯)
チーズサンド
カフェオレ

8時。起きると雪がちらちら降り始めたところだった。
「おおー、雪だ〜」
「今度は積もるかなぁ」
と、まだのんびり構えていた頃に朝御飯。
これまで"なんとなく雪っぽいものは降ってるけど、全然積もらな〜い"という程度しか雪はみていなかったので、うすぼんやりと"積もるといいな"くらいにしか思っていなかった。

朝御飯は、コーヒーをいれてチーズサンド。だんなと息子はハムチーズサンド。大きめの丸っこいテーブルパンを横にスライスし、チーズやハムを乗せてからオーブンへ。チーズが溶けたところであったかいうちに食べた。

朝飯を食っている間に雪はもりもり降り始めた。これは何だか積もりそうだなぁ……。

あんころ餅
牛乳

だんなが通学する頃には、既に5cmほどが積もっていただろうか。
「うー、怖い、車に乗るのヤだなぁ……」
と言いながら、ゆっくりゆっくり走っていった。全然止む気配なく、雪はどかどか降ってくる。自分の家の周囲が積雪するのはひさしぶりで、
「おかーさんおかーさん、お外がね、しろしろだよー」
と息子は大騒ぎ。
「お外ね、すごいんだよ。ゆきゆきだよ」
と、一体どこで"しろしろ"だの"ゆきゆき"だのという造語を編み出したのか、ともかく息子は楽しそうだ。

あまり楽しそうなので、一緒に外に出て雪合戦などしてみたり、雪だるまなど作ってみたり。粉雪でもない、ベタベタでもなし、雪合戦にぴったりな良〜い感じの雪だった。周囲は足跡もない見事な雪原と化しているのに、我が家の周囲だけ子供が集団で遊びまくったような状態に。しっかり踏み固めてしまったものだから、しばらく溶けないかもしれない……。

だんなはまだしばらく帰ってこないようだったので息子と2人で昼御飯。餅を焼いて、冷蔵庫に保存してあった自家製小豆煮(餡と言うには粒っぽいし水っぽいので小豆煮……)を温めてかけて食べる。あんころ餅喰って外は雪だなんて、なんだか田舎の正月のようだ。その割に部屋に流れているのはニューオーリンズで買ってきたマルディ・グラのパレード用のジャズだったりする。

豚味噌鍋
ビール(Abita Ambar)
ビール(MICHELOB)
プーアル茶

夕方遅くまで降り続いた雪は、20cmほどの深さになっただろうか。雪だらけで夕方帰宅しただんなは
「途中の坂で、目の前の車が止まっちゃってさー。押してあげたんだけど、今度はこっちの車が坂の下で止まっちゃってたからもう大変だったよ。ギャギャギャギャギャギャってがんばって帰ってきた……」
と、いつもの3倍ほどの時間をかけて帰ってきたのだと言っていた。Bellevue(ベルビュー)という、ちょっと遠くの町に住む留学仲間は大学にたどり着くまで4時間もかかったりしたのだそうだ。A先生もスタッフMさんも、「ここ10年くらいのうちでこんなに積もったのはこれが最高」というくらい、久しぶりな積雪らしい。東京よりは若干多めに雪は降るけどあまり積もることはない、それがこの町の冬の気候らしい。

今日は数日前から決めていた、Iさん・Mさんを呼んでの夕食会。「旨いから!一度喰わせるから!」と前々から予告していた豚味噌鍋の準備をする。用意した肉は約2kg、白菜は1玉半、葱は5本ほど、うどんは8玉。これだけ用意すればいくら大食漢でも足りるはず……と準備万端整えて、足元が雪だらけになった2人が到着するのを待って、コンロにかけていたダッチオーブン(←土鍋がないのでこれで代用)をカセットコンロに移す。カセットコンロは、先代か先々代か先々々代かの留学生仲間たちがお金を出し合って買い、共用物品として研究室に置いてあるのだそうだ。この代では、使っているのは我が家だけのような気が。

土鍋でやるときは白菜は1つかみほど、豚肉はヒラヒラと美しく並べるようになどとやっているのだけれど、深さのある鍋に大食漢がテーブルについているということもあって、白菜は3つかみほど、豚肉は400g強を一気に投入。「鍋料理」というよりは、もはや「煮込み料理」。蓋をして火を通したら
「煮えた、煮えたよ〜。取って取って〜」
と、わらわらわらわらと皆で箸を出し、がっぱがっぱと盛りつけて食べる。食べたら再び3つかみの白菜と400g強の豚肉を……と、やっぱり光景は「鍋の会」とはほど遠いのだった。最後にうどんを6玉。息子が1玉ちょっと分ほどつるつると食べまくり、あとは大人が盛大に啜りこんだ。
雪の日の鍋は、また格別だねぇ〜。

1/17 (金)
ビーフシチューがけハンバーグ (夕御飯)
豚味噌鍋翌朝の味噌おじや(肉と白菜入り)
冷茶

大量積雪から一夜明けて、今日は雲ひとつない良い天気。でも気温は低く、雪は思うようには溶けなさそうだ。踏みしめられた道路の雪は綺麗に凍ってしまっていて、「今日はお洗濯ものの日〜」と洗濯物をかついでランドリーコーナー(通常徒歩1分半ほど)に行った私と息子は途中何度もコケそうになった。雪投げ合ったりしながら帰ると、10分以上も経過しているし。

今日はもう、車で外出などとても無理そうだ。車で外出できないということは、もうどこにも行けないということを意味している。
幸いあれこれと食材はあるので、今日1日外に出なくてもどうにでもなりそうではあった。

昨夜は豚味噌鍋だったので、今日は恒例の味噌おじや。鍋の残りのスープに冷凍御飯を凍ったまま投入し、水気がすっかり含まれるまでことこと煮ていく。今回は刻んだ白菜や肉がまだ少量残っていたので、おじやにもそれらを投入するという豪華版になった。たいてい肉や野菜はすっかり食べきってしまっているので、「あ、肉のカケラが入っていた、ラッキー!」と1cm角ほどの肉塊を大切に囓るという光景が展開されるのが一般的な"豚味噌鍋の翌朝"の光景だ。今日は肉も白菜も程良く火が通ったものがざくざくと含まれていた。素晴らしく豪華だ。

だんな特製 ヨコイのスパゲッティ ナゲット&目玉焼き乗せ
San Pellegrino Limonata

何の予定もなかった金曜日、午前中にメールチェックをすると、お仕事の依頼がちらちらちらと数件入っていたのでこれ幸いと私はお仕事。だんなは50数ページあるという授業のレジュメ(英文……)を「大量だよ、終わらないよ、読み終えないよ……」と泣き言いいながら必死で読んでいる。息子は息子で
「おとーさんおとーさん、お外であそばないの?ゆきゆきだよー」
「おかーさんおかーさん、ぽーんって、ほら、投げようよ。しろしろだよー」
と雪景色を前に今日もハイテンションだった。そのうち一人で遊び始めた息子、家の左側から雪を抱えてきて家の右側に積む、というよくわからない作業をし始めた。なにやってんのー?

そんなこんなしているうちに午後2時。遅めの昼御飯は、だんながヨコイのスパゲッティを作ってくれた。日本の家から持ってきた貴重な名古屋の麺と名古屋のソースは、でもまだ持ってきたうちの半分以上が残っている。たまにそれらが詰まる棚を見上げては、
「ダメだ、これを食べるのはもっとヨコイに飢えてからにしなければ!」
「そうそう、半端な飢えでこれを食べてしまってはもったいない。大切にしなければ!」
と第一級の貴重品扱いをしていたら、これがさっぱり減らないのであった。

今日は定番の目玉焼きと冷凍ナゲットという組合せ。チンすれば良いだけのナゲットは、多分これが一番簡単なヨコイ料理であるはずだ(いや、麺にソースかけるだけというのもありかもしれないけど、それはちょっと淋しい……)。後ろのコンロでソースを湯に浸して温めておき、手前の大鍋では麺を茹で、茹でたら水で一度締めてからたっぷりのバターにてスキレットで炒める。麺を炒め始めたら、別のコンロで目玉焼きを作る。レンジにナゲットを温めていただく。一番簡単であるはずのこの皿でさえ、コンロは3つ必要だし鍋は3つ洗わなければならない。ジャンクな味と見かけのわりに、なかなかめんどくさいのであった。

ピリ辛のテロテロソースはなつかしの味。ああ〜、牡蠣フライとか乗せたらめちゃめちゃ旨いだろうなぁ(ニューオーリンズにこのセットを持っていけば良かっただろうかと、一瞬いけない想像をしてしまった←どこで調理するんだか)。

ビーフシチューがけハンバーグ
茹でアスパラガス
クラムチャウダー(缶詰)
羽釜御飯
ビール(Abita Turbo Dog)

冷蔵庫に牛ひき肉が入っている。
「うーん……タコライス……」
「レタスがありませーん」
「メンチカツ!メンチカツはどうだ!」
「……明日はベニエを作る予定で、その翌日はバッファローウィングたらふく食べるんじゃなかったっけ?どっちも揚げものだよ」
「……うーん……あとはねぇ、ドライカレー……」
「違うんだなぁ、そんな感じじゃないんだなぁ……」
と、あーでもないこーでもないと話し合った挙げ句、牛ひき肉料理の原点である「ハンバーグ」に今夜のメニューは決定した。だんなは、ドミグラスソースかけハンバーグが大好物なのである。私は……とんかつソースで充分なんだけど。
「でもドミグラスソースの缶詰とかってなかったよね?」
「いや、ある!あるぞ!冷凍庫にビーフシチュー冷凍してとっといてるのがあるぞ!」
「おぉそうか!それかけよう!」
と、話はうまい具合に展開した。

今ひとつやる気がなかったので(昼食が遅くてあんまりお腹が空いてなかったというのもあり)、付け合わせは茹でたアスパラガスだけ。スープはキャンベルのクラムチャウダーを開けるだけ。ビーフシチューはそこそこ手間をかけたまともな味だし、ハンバーグはちゃんと焼くし、そのへんでなんとか体裁は整えてもらうことにした。
パン粉に牛乳をちょっと垂らして湿らせて、卵を1個落としてかき混ぜる。そこに牛ひき肉を混ぜ込んで、粘っこくなるまでひたすらこねこねこねこねこねこね。本当はここで炒め玉ねぎを入れるのだけど、「今日は牛100%な舌触りを演出〜」とか言いながら玉ねぎは抜き。単にめんどくさかったというのはここだけの秘密だ。
あとは1人分ずつの塊に分けたタネを「うりゃ!うりゃ!うりゃうりゃうりゃ!」と両手の手のひらでキャッチボールするようにパシパシ投げまくりつつ形を整えていく。ヒビが入ったら、それを消すように丁寧になんとかする(そこから割れちゃうからね)。なんだかえらく細長い楕円のハンバーグになったが、気にしない。

鋳鉄フライパン、スキレットで焼かれたハンバーグは、惚れ惚れするほど綺麗な焼き上がりになった。絵に描いたハンバーグのようだ。
アメリカ、どうも「ハンバーグ」という料理はあまりメジャーではないらしい。ハンバーガーならある。山のようにある。腐るほどある。けれど、一品料理としての、パンに挟んでいない「ハンバーグ」なる一品料理はレストランではあまり見かけることがない。名称も、「Hamburg Steak」とは言わず、「Chopped Beef Steak」「Salisbury Steak」といった表記がされている(でもレストランでこの文字列を見かけることはほとんどない)。

ハンバーガー大国のアメリカなら美味しいハンバーグがあるだろうと思いきや、あの日本の洋食屋さんで食べるような厚みのあるフクフクとした、ソースとケチャップを合わせたような感じのトロ〜ンとした甘辛いソースがかかっているような、フォークとナイフで食べるようなハンバーグというものはかなり気合いを入れて探さないと食べられないものらしかった。都市部ならまた話は違うかもしれないけれど、少なくとも我が家の周囲ではそんな感じ。

そういうわけで、ある意味"日本食"であるハンバーグ。ビーフシチューがけも悪くないけど、やっぱり私は途中からとんかつソースをだばだばかけちゃうのであった。これぞ日本の味なのよ。

1/18 (土)
ベニエ度約4.6の、ベニエ (朝御飯)
自家製ベニエ
チコリコーヒーのカフェオレ

ニューオーリンズ旅行に行ったとき(しかも先日の旅行じゃなくて8月の)、「Café du Monde」のBeignet Mixを買ってきていた。先日の旅行では名物のチコリ入りコーヒーも購入。これで自宅でカフェ・ドゥ・モンドごっこが出来るねぇ、と盛り上がっている我が家だ。

今日、早速作ってみた。ベニエミックスの箱の中には4カップ分の粉が入っているらしい。作り方を見ると、4カップの粉を使うと4ダースのベニエが出来るそうで。とりあえず食べきれる分ということで1カップ分の粉で作ってみることにした。粉に3.5オンスの水を入れ、こね合わせたら台の上に置き、伸ばしてから正方形にナイフでカットし、あとは揚げるだけ。厨房がガラス張りになったお店で、ひととおりの作り方の光景を見てきたのだけど、生地は随分と柔らかい。手にベタベタとくっついてしまいそうなぽってり柔らかめの生地にこれでもかと小麦粉をふって機械にかけて伸ばしていたのが印象的だった。あんな感じで良いのよね、と思い出しながらこねこね伸ばして揚げていく。

……が、どうも生地を薄く伸ばしすぎたみたいで、本来"外側1mmほどがサクッ、中はもちもち"という揚げあがりになるはずのドーナツが、"外側3mmほどがパリッ、中はサクサク"という、なんだかひどく違うものになってしまった。生地の厚さも薄すぎたし、低めの温度でちょっと長めに揚げてしまったのも敗因だったらしい。外見はなんとなくそれっぽくなったし、粉砂糖をかけた味そのものは確かにベニエなものではあったけれど、ちょっと失敗ものとなってしまったのだった。
「完全なベニエを10ベニエと仮定するとー」
「……これは4.6ベニエ、というところでしょうか」
「ベニエ度4.6というところですね」
と意味もなく数値で表現してみたり。
ちょっと悔しいので、揚げ鍋をそのままコンロに置きっぱなしにしておいて明日の朝もベニエにしようということに。
明日の朝はベニエ度8くらいを目指したいところだ。

Nashville 「Cafe Korea」にて
 Oyster Pancake
 Gal-Bi-Tang

明日はHさん宅でアメフト観戦。オラが町のアメフトチーム、タイタンズが、全米ナンバー1の座をかけて争う「スーパーボール」の出場権をかけての最後の試合が明日の夜に西海岸のオークランドで行われるのだ(それに勝ったら次はスーパーボール)。「タイタンズ応援しましょー」「パーティー用品取りそろえましたー」と、スーパーなども大変なことになっている。ソフトドリンクやビールがタイタンズの旗つきで安売られ、タイタンズのロゴ入りグッズが山のように売られている。

アルコールの買い出し担当が我が家になったので、昼過ぎに安売りビール店に行って来た。ビール安売り店とリカーショップが並んでいたのでリカーショップもちょっと覗き、バナナリキュールなんてものを籠に入れてみたり。これとラム酒があれば、バナナフォスター(ニューオーリンズのBrennan's発祥のアイスクリームデザート)が作れるのだ。ニューオーリンズの味再現にちょっと凝っている今日の我が家だった。

お昼御飯は、久しぶりに「Cafe Korea」に行くことに。韓国人のおばちゃんとおっちゃんが2人で経営しているような、20人も入ればいっぱいという小さな韓国料理店だ。チゲ類も豊富だけどカルビタンが超旨い。パジョンなんかも相当旨い。お客はほとんどが韓国人で、英語といえばメニューの説明文にある程度で、あとは壁に貼られたメニューも雑誌も張り紙も放映しているテレビから流れている音も、全てが韓国語だというお店だ。

「オイスターパンケーキ(←牡蠣入りジョンはこういう名称になっている)とね、カルビタンを2つ」
と注文すると、しばしして丸い大皿に盛られたアツアツのジョンが出てきた。続いて6皿のキムチやナムル。青菜のナムルにもやしのナムル、白菜のキムチに輪切り大根のキムチ、ピーマンと玉ねぎの酢の物のようなものと、干しイカの佃煮のようなピリ辛味のもの。どれも素朴な外見の素朴な味わいのものばかりで、見知った味のするそれに癒されてしまいそうな感じ。大皿からは焼けた牡蠣の匂いがぷんぷんと漂ってきて、卵たっぷり葱たっぷりのお好み焼きといった外見のジョンには葱入りの酢醤油をつけて食べる。これもまた、表面がカリッとしていて中はふわふわで絶品なのだった。

そして石鍋に入りグツグツ煮立った状態で出てくるカルビタン。中には骨つき肉の大きなやつが4切れも入っていて、大根や春雨が沈んでいる。さらさらのスープは見事なまでの白濁っぷりでほのかに好みなケダモノ臭さも感じられ、上から散らされたたっぷりの葱がこれまた良い感じだ。
具を囓りつつスープを飲みつつ、ジョンを囓りつつキムチを囓る。御飯が茶碗に盛られて傍らにあり、それはリクエストするといくらでもお代わりを持ってきてくれる。しばらくひたすらスープを飲み、御飯は御飯で食べ進むのだけれど、最後は残った御飯をスープに全部混ぜ込んでしまって雑炊のようにして食べちゃう。その頃には、キムチの辛さやらスープの熱さやらで体中汗まみれだ。

「冬のカルビタンはいいね」
「サイコーだね」
と店を出ると、また雪が降ってきていた。一昨日降った雪もまだまだ全然溶けていなくて大変なことになっているのに、今日もまた寒波到来らしい。

だんな特製 煮豚・煮卵
御飯
ビール(Sierra Nevada Pale Ale)
クッキー&クリームアイスクリーム

夕方、だんなは「明日のアメフト観戦のつまみに〜」とか言いながら煮豚を作り始めた。ゆで卵も準備していて、鍋にみっしり沈んだ卵は、数えると12個もある。
「12個も茹でたのね……」
「いや、大人6人に子供2人でしょ?無くなるって。絶対」
と、色々な意味で明日が待ち遠しい我が家である。

昼食が想像以上にボリュームたっぷりだったので(何しろジョンだけでもピザ1枚分くらいの大きさが)、夜は軽く、出来たての煮豚を刻み、煮卵を3個ばかり消費してビールと御飯を供につまんで食べることにした。
本日安売りビール店で発見して買ってきたのは、旅行先で見つけるとちょこちょこ飲んでるネバダ州のビール、「Sierra Nevada」。Stoutなどのこってり系濃厚ビールを始め、Wheat、Porter、Pale Aleとひととおりの種類は出ている。我が家はPale Aleがお気に入りだ。コクもあるけど飲み口がなんとなく爽やかで良い感じ。大手ビール会社のビールはいまひとつ美味しく思えないものが多いアメリカだけど、地ビール系はおしなべて旨いところばかりで嬉しくなる。

軽い軽い夕飯にしようと、茶碗にほんの少し御飯を入れ、肉や卵をちょこちょこつまむだけの夕御飯。結局いまひとつ物足りなくて、食後にクッキー&クリームアイスクリームをもりもり食べてしまったのだった。

1/19 (日)
今日もベニエだ!(今日のベニエは9.2ベニエくらいの出来映え) (朝御飯)
自家製ベニエ
チコリコーヒーのカフェオレ

「ニューオーリンズの美味を再現してみよう」キャンペーン実施中の我が家。昨日の朝に引き続き、今朝もベニエ作成に燃えているのだった。昨日は"温度低すぎ・生地薄すぎ"なる失敗点があったので、今日は厚め厚めにのばした生地を、油温計を入れてしっかり380度Fまで熱した油に放り込んだ。油温計持ってるなら昨日のうちから使っておけば良いのに、昨日は使用しなかったものぐさな自分だ。

昨日の失敗をふまえ、新たに気合いを入れて揚げあげたベニエはかなり完璧な出来だった。お店で食べたベニエを10ベニエとすると、昨日のベニエは4.6ベニエというところだったが、今日のベニエは9.3ベニエという感じ。かなりベニエに近づいた。いや、充分ベニエを名乗って良いような出来映えになった。おー、ぶらぼーぶらぼー。
食いしん坊仲間のDちゃんから「横浜のCafe du Mondeで食べたけど、7.5ベニエって感じ」とメールをいただいたので、数値の上では我が家の今日のベニエが上ということになる。ふふふ……(だからどんな数値なんだと、根拠は何なのだと……)。

上から粉砂糖をこれでもかとばっさばっさとかけた揚げたてベニエは、しかし本当に美味しかった。お供は当然チコリコーヒー。店で食べた時は
「こんな砂糖の量は多すぎだよー」
「もっと少なくていいよー」
なんて言っていたのに、自分ちで作っても同じくらいの砂糖をかけなきゃなんとなくニセモノのような気がしてしまうのだから困りものである。全面に砂糖をまぶしつけて囓る揚げドーナツは、表面サクサク中はもちもちで、かなり理想の歯触りと味だった。今後の問題は、「ベニエミックスを使わなくてもこの味が再現できるか」なのだけど、ちょっとそれには自信がない……。

バジルチキン&スパゲッティ (冷凍食品)
バナナフォスター
アイスカフェオレ

今日は夕方からHさん宅でアメフト観戦かつ宴会。
昼御飯は軽くていいやねー、と貯蔵の冷凍食品を2箱がさがさと冷凍庫から取り出した。私が食べてみたのはバジルに和えたパスタとチキンがクリームソースに和えられているもの。全体的に均一で面白みのない味だけど、冷凍臭さがバジルで薄れてそこそこ良い感じ。

そして、冷凍食品だけでは結局物足りなくて、「バナナフォスター」を作ってみた。ニューオーリンズ発祥のバナナとアイスクリームのデザートで、レシピが公式ページ内にあったのでそれを見ながら、昨日買ってきたばかりのバナナリキュールの封を開けてみた。熟したバナナの香りがぷわ〜んと漂うバナナリキュール、かなり面白い。
レシピのとおりにアメリカの1カップ(240cc)で計量しながら作ってみたけれど、かなりソースが大量に出来るし、かつ甘くなるので、実際には日本の1カップ(200cc)を4人前の基準にしても全然問題ないかもしれない。というわけで、換算しなおしたのが↓のレシピ。

【 バナナフォスター(Banana's Foster)のつくりかた 】

材料 (4人分)
バナナ4本
ブラウンシュガー1カップ
バター45g
バナナリキュール1/4カップ
ラム酒(ダークラム)1/4カップ
シナモンパウダー小さじ1/2弱
バニラアイスクリーム4人分

  1. フライパンにバターとブラウンシュガー、シナモンを入れ、砂糖が溶けるまで弱火で熱する。
  2. バナナリキュールを注ぎ入れてかき混ぜたら、長さを半分にし更に縦割りにしたバナナをフライパンに並べ入れる。
  3. バナナが柔らかくなり、茶色く色づいたらラム酒を入れ、火を入れてフランベする。
  4. 皿にアイスクリームを盛りつけ、バナナを脇に添え、上からフライパンに残った熱いソースをたっぷりかければできあがり。
参考:「Brennan's」公式ホームページレシピコーナー
上記サイトは米国カップ表記(240cc/1カップ)なので、
日本用にバターの量などを換算しなおしました。

洋酒がかなり入るけれど、できあがりはほとんど洋酒臭くならなかった。とろ〜んと柔らかくなったバナナとカラメル状のソースがバニラアイスクリームに絡んで、とても良い感じ。「こういうときのアイスクリームは、低脂肪とかじゃダメでしょ〜」と、ハーゲンダッツのを買ってきておいたのだった。

Hooters」のバッファローウィング100本
だんな特製煮豚・煮卵
スナック色々
ビール

夕方からHさん宅で大人6人子供2人でアメフト観戦会。Iさん・Mさんがダウンタウンの「Hooters」にバッファローウィングの100本パックを買いに行ってくれ、その代わりに我が家はアルコール調達係として昨日のうちにビールを2ダース買ってきた。

今日は我が町のチームTITANS(タイタンズ)VS西海岸のOaklandという町のRAIDAERS(レイダース)。試合の場所は、敵の本拠地のオークランドだ。チケット取ってオークランドまで車で往復しようか、などと男性陣は1週間ほど前に盛り上がっていたけれど、結局チケットも取れず、西海岸往復もとても無理ということで中止になったらしい。
試合開始の午後5時半を前に、5時くらいからまずは腹ごしらえとフライドチキンをバリバリ食べる。で、あとはテレビを前に大人6人が真剣ににじり寄り観戦。

レイダースは黒と銀がチームカラーの、しかもドクロがモチーフの、何だかやたらと迫力あるチーム。会場のスタンドは黒と銀の色で埋め尽くされていて、我がタイタンズの白とスカイブルーの配色は一体どこに!?という感じだった。
……で、結果は、負け。
前半は「取られたら取り返す」という、かなり良い具合に一進一退していた(おおむね向こうのリードだったけれど3点差で勝っている場面もあり)、流れだったけれど、後半になって10点差をつけられ、試合終了が迫ってきた頃にだめ押しとばかり17点差をつけられた。オラが町のシーズンは終了した。

その後、
「いっそのこと監督(←めちゃめちゃカッコイイ)がフィールドに出れば良かったのよ〜」
とかめちゃめちゃな事を言いつつ、試合後は気落ちしたまま飲んだくれる。結局日付が変わるまでだらだらと喋ったり飲んだりを続け、全員へろへろになって解散したのだった。この数週間で、アメフトのルールも反則もおおむね理解して盛り上がれるようになってしまった自分にちょっとびっくり。