食欲魔人日記 07年12月 第3週
12月17日 月曜日
多分初体験のホワイトカレー
ホットサンド(卵&チーズ)
3日目の豚汁
カフェオレ

昨夜は夜7時という時間にして、ほろ酔い気分(←ホッピー2杯とお代わり焼酎1杯)。
酔った勢いのまま池袋のデパ地下の酒売り場で日本酒眺めて、数本の酒を見繕って買ってきた。日本酒売り場の特設コーナーのお酒も2本買ったのだけれど、そこでやけに気前よく注いでくれた試飲の日本酒を数杯飲んで、更にふらふらとデパ地下を歩き回る。

「明日の……朝御飯ないよ?何か買って帰らなきゃ。パンとか。」
「じゃあ、このパンだあぁ〜!」
「サンドイッチ用、サンドイッチ用ですか。ホットサンドですか」
「そう、ホットサンド!」
サンドイッチ用のパンを手にして酔っているだんな、上機嫌。頷く私も酔っぱらっていて上機嫌。誰も止める者なく、サンドイッチ用のパンが持ち帰られることになったのだった。

というわけで、問答無用な感じで、今日の朝御飯はホットサンド。さすがにコンビーフという気分にはなれなくて、卵とチーズを挟むことにした。バターやマーガリンが塗られたパンとやけに似合ってしまう豚汁も温めて少しばかりいただきつつ、いつも通りにカフェオレもたっぷり。
寒くなってくると本当にしみじみとホットサンドが美味しくなってきてしまって、どうもいけません。マヨネーズとかコンビーフとか、高カロリーなものばっかり似合うんだよ、ホットサンドという奴は。

西船橋駅構内「Tokyo Roux」にて
 ハーフ&ハーフ (ホワイトカレー・ひき肉カレー) \850

今日は某所で新規のお客さまと初打ち合わせ。ログハウスとかツリーハウスとか、その他クラフト系のあれこれを扱う事業を手がける方らしい。お会いして名刺の交換も済んでいない段階で
「これ、ウチの庭で採れた柚子なんです。うち、おばあちゃんがいましてね、初めての人と会うって家出てきたら"いーから持ってけ、お裾分けしろ"って」
と、美味しそうな大ぶりの柚子をたくさんいただいた。
……前にも、初めて打ち合わせで伺った先で玄米とか卵とか貰って帰ってきたことがあったような。どういうわけか、食べ物と関係ない仕事を請け負うことになっても、こういう展開になることが多い。柚子嬉しいなー。

打ち合わせは、その内容もかなり興味深いものだったので良い具合に進み、後半はひたすら、
「で、ツリーハウスって、実際作ってみてどーですか」
という仕事とは全然関係ないツリーハウス談義に。私自身、今年の夏頃にツリーハウスにすごく惹かれて何冊か本を買って舐めるように読んでいた時期があったのだけれど(この本この本は写真も綺麗でおすすめです)、「平衡を保つには」とか「幹を傷めない固定法って、結局のところ幹を挟んで止めるよりボルトを打ち込む方が負担が少ないと聞きましたが」とか、Webサイト作りに何も関係ない技術的な話を伺ってきてしまった。

アリはけっこう登ってくるけど1回バルサン炊いちゃえばかなり長い間大丈夫とか、生きている木の上に立てた小屋だからシロアリは登ってこないとか、小屋の中を通る幹も当然生きているから夏場は放っておくと葉がもしゃもしゃ繁ってきて大変とか、たいそう面白い話を聞けた。何よりも、ツリーハウスのある暮らしはとても楽しそうだ。日本の建築法には抵触しない(固定資産税もかからないそうで)ツリーハウス、いつか庭付き一戸建てにでも住める機会が来たら、そしてその庭に素敵な枝振りの大木とかあったりしたら建ててみたい。ツリーハウス、普通に萌える。目指せハックルベリー・フィン。

そんな楽しい打ち合わせを終えて、戻ってくるとちょうどお昼頃。乗り換え時間がそれなりにあったこともあって、乗り換え駅だった西船橋の駅構内でお昼を食べてしまうことにした。「エキナカ」的に色々揃っているこの駅の構内にはお気に入りのカルディコーヒーファームの他、パスタ屋中華蕎麦屋といくつか軽食屋さんがあるのだけれど、今回入ってみたのは「Tokyo Roux」。ルーを1種かけても2種かけても同じ値段のカレーだったものだから、好奇心に負けて2種がけにしてもらった。

1種は期間限定ルーだった中辛味のひき肉カレー、もう1種は、多分これが初体験のホワイトカレー。
ホワイトカレーなるもの、噂には聞いていたけれど、「だって、茶色くないカレーはカレーじゃないじゃない」とばかりに今まで特に前向きに食べようという努力はしてこないでいた。これを機にと食べてみたのだけれど、味の方は、おおむね想像通りな感じの「少しスパイシーなホワイトシチュー」といった印象だった。じわっとした辛さは感じるし、クミンやコリアンダーを思われるツンとした風味も感じるけれど、肝心のカレーのカレーたる感じのターメリックの香りがほとんどしない(あれ入れると眼に痛いほどの鮮やかな黄色がつくから……)。具に使われていた鶏肉とも似合っていた味だったし、決して不味いというわけではなかったけれど、「やっぱりカレーをわざわざ白くする必要はないんじゃないか」という気分はぬぐえなかった。

ひき肉カレーの方は、いかにもなちゃんとしたカレーの味で、辛さもしっかり。温泉卵を加えて食べることをメニューなどで推奨されていて、周りのお客さんたちのひき肉カレー率及び温泉卵率は高かった。私も卵を入れてもらえば良かったかなと思いながらもぐもぐもぐ。

あん肝♪
まぐろの山かけ
まぐろのすき身
たこぶつ
ふろふき大根 柚子味噌 茹でほうれん草添え
3日目の豚汁
羽釜御飯(麦入り)
ビール(Nello's blond ・ Patrasche dubbel )
日本酒(神亀ひやおろし)

今日は錦糸町に寄るから「魚寅」で買い物していくよ、とだんなが予告してくれていた。
まぐろのぶつはとりあえず買うけど?、と言われ、「あとたこぶつと、もし見つかったら、まぐろの中落ちみたいな、たたいているやつ買ってきてください」とお願いしておいた。……ら、たこぶつと、そのたたいているやつ("まぐろのすき身"というやつでした)と共に、いかにも美味しそうなあん肝も買ってきてくれた。今日の夕飯はもう魚介祭り決定。

今日美味しそうな柚子をいただいてきたこともあって、夕方からふろふき大根の仕込みもしておいた。米のとぎ汁でゆっくり下茹でし、だし汁(酒と薄口醤油、塩で適当に調味)で、これまたゆっくり火を入れていく。練り味噌は八丁味噌ベースで酒と砂糖と味醂を加えて練ったもの。柚子の果汁は加えずに、食べ際に刻んだ皮だけを散らした。まぐろのぶつは今日は山かけにしようということで、とろろも用意。とろろがあるならと、御飯は押し麦を混ぜて炊いた。

魚介あれこれに、ふろふき大根に、と、なんだかとても居酒屋的な夕御飯。最初は軽くビールにしようかと、だんなが以前買ってきてくれたベルギーのビール「Nello's blond」と「Patrasche dubbel」を開けてみた。こんな感じに、フランダースの犬を題材にした、ネロビールとパトラッシュビール。
「とりあえず、買わなきゃと思って、買ってきた」
と"ラベル買い"されてしまったらしいビールは、でもベルギービールらしい深い香りの濃厚な味のもの。ネタで飲むなんて申し訳ないほど、ちゃんと美味しいビールだった。

ビールの後は神亀のひやおろしを飲み飲み(ついつい4合瓶を8割方飲み飲み)、のんびりあれこれをつまむ。久しぶりに口にできたまぐろのすき身は相変わらずの美味しさだった。骨際のまぐろの身をこそいでまとめたようなそれは、近所のスーパーで売られている"サラダ油混ぜたような変な色合いのねぎとろもどき"とは雲泥の差で、とても美味しい。息子が一番最初に箸をのばしたのがそのすき身で、御飯にたっぷり乗せて幸せそうにねぎとろ丼にして食べていた。

軽く酒蒸しにしたあん肝も最高、ふろふき大根に煮え具合も最高で、
「魚寅、値上げしたし、安かぁないんだけどね、酒だって安かぁないんだけどね」
「でも、昨日の飲み代の半額くらいかね?」
「うん、半額くらいだね」
家飲みは安くて美味しくて良いね、でも突然にマカロニサラダとか食べたくなっても対応できないのが難点だけどね、などとぐだぐだな会話をしつつ、ちゃんと最後は御飯にねぎとろ乗せたりとろろかけたりしながら豚汁も啜って終わりにした。

あん肝は半分しか食べなかったので(なにせでっかい塊が2つパックされていた)、残り半分はアルミホイルにきっちりくるんで冷蔵庫にしまっておいた。今日はあったかいまま食べたけど、明日冷えたところをスライスして、また葱とポン酢かけて食べる予定。

12月18日 火曜日
柚子味噌添えて、ふろふき大根!
とろろかけ麦御飯
豚汁(もうすぐファイナル)
抹茶入り玄米茶
みかん

とろろが残ってるし麦御飯もあるし……ということで、今日の朝は御飯と豚汁。
「……ふろふき大根も食べますか?」
とだんなに聞いたらば、
「んー、それは夜食べる。朝は軽く御飯と味噌汁だけあれば」
ということだったので、そんな感じに。

ふろふき大根、大根1本丸々仕込んでも、せいぜい8切れか9切れかというところなので、2回せいぜい3回も食卓に出せば鍋は空になる。自分の中で、ふろふき大根はどういうわけか「鍋いっぱいできるもの」みたいなイメージがあったのだけれど、そうでもないんだなぁと思いながらだしに浸る大根を眺めつつ、一応火入れしておいた。

突然麦御飯が食べたくなってもすぐに対応できるようにと、簡単に炊ける押し麦を常備するようにしている。いつもより少しばかりポロポロとした感じに炊ける御飯はとろろにすごく似合って、そしてとろろ御飯を口にすると条件反射のように今度は牛タンの塩焼きが恋しくなる。……牛タン、食べたいなぁ……。

あん肝ポン酢
まぐろぶつのナムル風
ふろふき大根 柚子味噌 茹でほうれん草添え
里芋と鶏肉の煮物
豚汁(やっとファイナル)
羽釜御飯
ビール(モルツ)
日本酒(神亀ひやおろし)

ふろふき大根、食べてしまわなきゃ、いやそれ以前に豚汁の鍋をいい加減に空にしてしまわなきゃという観点で、今日も和風の夕御飯。久しぶりに食べたいなと里芋を買ってきていたので、豚と煮ようか鶏と煮ようか迷いつつ、結局鶏と共に醤油味醂味で煮ることにした。肉じゃがの味で鶏肉と里芋を煮ました……という感じ。

昨夜半分食べた残りのあん肝も、今日は綺麗にスライスして(昨日は蒸したてで柔らかかったので、ざっくり大きく切って皿によそっていた)、刻み万能葱とポン酢で。まぐろのぶつの少しばかりの残りは、塩と醤油、刻み葱と炒り胡麻と胡麻油でざざっと和えてナムルっぽい味にした。昨夜と同じ、茹でほうれん草を添えたふろふき大根も各自の前に。オウ、なんか今日も酒の肴くさいおかずたちデース……と、昨日の続きの酒も飲むことに。

だんなはふろふき大根が本当に好物で、そして添えるものは「柚子味噌と鶏味噌、両方好きだけど、ギリで柚子味噌が好き」だと数週間前に聞いたばかり。柚子味噌と言っても、練った味噌に柚子の果汁を加えてしまうと、当日は良くても翌日以降は柚子の香りよりも果汁の苦みの方が気になるようになってしまう。
味噌に柚子は加えず、薄く刻んだ皮を味噌に添える方が結果的には良いようで、
「……で?味噌って白味噌使うやつなのかな、赤味噌ベースので良いのかな……」
と、各種ふろふき大根用味噌レシピを調べた上で、小林カツ代さんの配合のお世話になることにしたのだった。八丁味噌ベースで、加えるのは酒と味醂と砂糖。材料全て鍋に入れ、照りが出るまで練ればできあがり。このレシピでも、柚子は味噌に加えずに、皮を仕上げに添えよと書かれていた。

「というわけでね、料亭のあんなレシピとかこんなレシピも見るには見たけど、小林カツ代さんのにしちゃったのでした」
八丁味噌仕立てのこれで良かったんですかね?と、昨日おっかなびっくり食卓に出したのだけれど、
「そうそう、これ。これイズベスト。八丁味噌の練り味噌が、俺、好きなのよー」
と、幸いだんなからは上々の評価をいただき、息子も息子で
「おー、これ、なんか、チョコっぽい味がするね?」
と、「チョコって、そりゃ味じゃなくて見た目だろう」という評価をしながら、ちゃんと味噌を添えてふろふき大根を食べていた。

そして4合瓶の酒は昨日と今日ですっかり空になってしまったのだった。

12月19日 水曜日
「トリュフアイス」と出てきたのが、これだったのでした。すっごい香り!
「ミスタードーナツ」の
 D−ポップ
 ポン・デ・クランチショコラ
カフェオレ

今、1個100円セールやってるから買ってくよー……と、だんなが朝御飯用にドーナツを買ってきてくれた。セール中ゆえなのか、夜の帰り道途中での買い物は品揃えが心もとない感じだったようで、
「ごめん、チョコ2つ混ぜちゃったから、チョコどっちか食べてね」
とのこと。私の取り分は久しぶりのD−ポップと、ポン・デ・クランチショコラということになった。D−ポップの箱の中に収められたエンゼルクリームがやたらと大きなサイズで、ちょっと得した気分になった。

日比谷 「THE PENINSULA TOKYO」内「ヘイフンテラス」にて
 シェフメニュー Chef's Menu \5,680
     点心と焼き物の盛り合わせ
     ふかひれ入りスープ餃子
     白身魚フィレと生湯葉のホワイトチキンスープ煮
     芝海老と干し海老のあっさり炒め 松の実と干し貝柱添え
     和牛挽肉入りピリ辛あんかけ麺
     グレープフルーツとマンゴー入りココナッツミルク
 グラスシャンパン
 中国茶(プーアル)

今日は友人たちと忘年会。数ヶ月に一度、ちょっと背伸びしたランチをしようじゃないかと時折集まっているのだけれど、他にこの表現を使う機会はまず訪れないということもあって「セレブ会」とふざけて銘打っている。ここはセレブだろうか、うん、ここはセレブじゃないだろうか、などという理由であれこれお店を探しては訪れているのだけれど、今回はセレブっぽさならかなりのものだという感じの、THE PENINSULA TOKYO内にあるヘイフンテラスという中華料理店。

香港のペニンシュラホテル内にある嘉麟樓(Spring Moon)の日本支店、という位置付けらしく、シェフも香港から呼び寄せたのだとか。嘉麟樓のチャーシューパイは美味しかったなぁ、ていうか点心全体、美味しかったなぁと懐かしく思い出しつつ、予約を入れた。

ランチタイムは、グランドメニューの他、4,280円と5,680円のコースがあるらしい。同じ品数ながら内容は全く異なり、一方は蓮の葉包み御飯でもう一方があんかけ麺だったり、前菜盛り合わせに焼き物がついていたりいなかったり。そう何度も来られる場所じゃないですしねと、気合いを入れて5,680円のコースにしてみた。今日のコースの内容は、上に記したような感じ。

軽い気持ちで頼んだグラスのシャンパンは、なんと1杯3000円弱という値段だったりしたのだけれど(期間限定で出しているヴィンテージものだったらしい……すんごく美味しかったけど、でも一言説明が欲しかった……)、そして全体的に「たっかいなぁ」という印象ではあったランチだったのだけれど、でも味の方は満足できた。……あ、でも、分量も割と控えめだったかも……。

点心と焼き物の盛り合わせは、ふかひれを乗せたシュウマイ、浮き粉の緑色の皮の海老蒸し餃子が1個ずつ、そして皮をカリカリに焼いた豚バラ肉と、鴨も1切れずつ、そしてくらげの和え物。それらが1枚のオーバル皿に盛られてきたけれど、点心はしっかり湯気が立つほど温かかった。海老蒸し餃子は驚くほど海老がプリプリだったし、焼き物もとても上品な味つけで、でもしっかりと肉肉している。

でも、焼き物は1切れずつと言わず、できれば3切れ、少なくとも2切れくらいはあると嬉しかったかな……みたいな。
写真に残しておきたかったけれど、このお店、お料理の撮影はご遠慮くださいとのこと。「撮影しても良いでしょうか」と聞いたところ、そのような返答だったのだけれど、確かに検索しても、他のお店ほどにはこのお店の料理の写真を見ることができない気がする。こっそりと、シャッター音を立てずに撮影する分にはお店も何も言わないとは思うのだけれども。

次のふかひれ入りスープ餃子は、デザートのココナツミルクと共に、不思議な演出が。

蓋つきのスープ皿に盛られてそれらの料理はやってきたのだけれど、テーブルに来るなり蓋は取り去られ(ここまでは普通だけど)、お店の方が皿に添えられたレンゲを手にして、くるりとスープ皿の中にそのレンゲを突っ込んでくださる。食べる直前にカトラリーをそのようにベタベタ触られるのはあまり気持ちの良いものではないし、こんなサービスをされたのはこのお店が初めて。少しびっくりしてしまった。レンゲで料理に蓋をするようにセッティングされたその様は、「……写真を撮るなという意思表示なのかしら」と勘ぐってしまいたくもなる。蟹肉や海老がたっぷり詰まったふかひれ入りのスープ餃子は、とても上品な味の上湯だった。

次の料理「白身魚フィレと生湯葉のホワイトチキンスープ煮」が、今日一番不思議だった料理。洋風のスープ皿に並べるように、青菜と生湯葉、白身魚のフィレが横に重ねるように盛られていて、コーンスープのような色合いの、とろみのあるスープがかけられている。チキンスープにミルクや卵などを加えたものだという説明だったけれど、これが何だか懐かしい味。
「……なんというか、子供の頃の給食を思い出す……みたいな?」
「いや、コーンポタージュ味のスナック菓子あるじゃないですか、あんな感じ?」
「もういっそうまい棒的みたいな?」と、セレブなランチだったはずなのに散々な言われようの黄色いスープ、ちょっとオイリーな感じだったのはバターも入っていたからなのか、洋風なようでいてそうでもない、実に不思議な味のスープだった。上品なのに、ちゃんと取ったスープなのだろうに、なぜか「うまい棒」を彷彿とさせてしまうのは、何故だったのだろう。

とてもあっさりした味の、グリンピースが色鮮やかな海老たっぷりの炒め物に続いて、あんかけ麺は、いかにもな細い縮れのない麺でもなく、伊府麺でもなく、日本のうどんに近い(うどんそのもの??)真っ白な、太めのもの。これがまた、メンバーでおそらく最も少食だろうTさんをして「もう少し多くても良いのにね?」という分量だったのが少し悲しかった。

食後のココナッツミルクは、グレープフルーツの酸味もちゃんと感じられる、そしてマンゴーの甘さも濃厚なもの。
後半の食事はプーアル茶を飲み飲み楽しんだ。茶杯はそれなりのたっぷりめのサイズだったけれど、注いでくれる茶壺(急須)はかなり小さめ。お店の人がせっせとお湯を差してはお茶を注いでくれたのだけれど、いかんせん急須が小さめで何だか大変そうだった。

香港に比べて、変に肩肘張っている分、お値段お高め分量少なめ……という感じ。
ランチの予約を入れるのもなかなかに大変なお店だったけれど、この混雑はそう長くは続かないんじゃないかな、と思ってしまった。「もう来ない」と強く思ったわけでもないし、取り立ててすごく悪い印象があったわけでもないのだけれど、うーん。

丸の内 「LES CAVES TAILLEVENT LOUNG」にて
 ティーセット \1,050

食後、少しお茶でもしませんかと丸の内のTOKIAや丸ビル方面に向かって寒空の下、皆で歩く。通りがかったワイン屋さんが気になって看板を見上げるとそこはタイユバンで、併設してLES CAVES TAILLEVENT LOUNGなるラウンジがあった。基本的にはワインと軽食を楽しむお店という風だったけれど、午後はティータイムとしてケーキセットなども出しているよう。居心地も良さそうだったので
「じゃ、ここでお茶を」
と入ってみた。ケーキにさほどの選択肢はなく、チョコムースか「トリュフアイスクリーム」か、という選択。コーヒーか紅茶がついて1050円だ。

「トリュフって……チョコレートのトリュフでしょうか、まさか、キノコ?」
キノコじゃないよね、まさかねと、私がアイスクリームを注文して、残りお二方はチョコムースを選択。大きなカップに注がれた紅茶と共にやってきたのは、キノコの方のトリュフのアイスクリームだった。もうあからさまに、あのキノコのトリュフの香りがする。

「……わ!キノコでした、キノコの方でした!」
まぁ喰ってみ?味見してみ?すっごいから!とアイスクリームとムースを一口ずつ交換しながら、驚きの味だったトリュフアイスクリームを堪能。甘いバニラジェラートの中にしこたまトリュフを混ぜたようなそのアイスクリーム、「甘いトリュフ」というのも少し違和感だけれど、これはこれでありかなとも思う。アップルパイにシナモンジェラート添えて、上からトリュフをパラパラと、といったような演出は何度か口にした記憶があるけれど、アイスクリームそのもがトリュフ風味というのは生まれて初めてだった。「きのこアイス」と思うと、どこのドライブインの失敗名物土産ですかという感じだけれど、面白い。紅茶よりコーヒーより、赤ワインあたりが恋しくなってしまった。

まだそのあたりのイルミネーションの点灯には少し早いかなという時間に、惜しみつつ友人たちとお別れして、帰宅。
「今度はカラオケ行きましょう!」という話で盛り上がり、どうやら新年会にカラオケをということになりそう。

カルボナーラスパゲティ
タコのアラビアータ風煮込み
ビール(ザ・プレミアム・モルツ〈黒〉)

「THE PENINSULA TOKYO」のミルフィーユ
カフェオレ

うっかり午後6時以降の指定で宅配便のお届けを頼んでしまっていたので、買い物もすることなく急ぎ帰宅して、ありもので夕御飯。いずれにしても今日はスパゲティの予定だったしと、買い置きの生クリームと冷凍保存してあったベーコンを使ってカルボナーラにすることにした。本当はタコのアラビアータのペンネあたりを食べたかったのだけれど、それだとタコ嫌いの息子がつまらないかなと、タコはおつまみとして食べることに。

いつもながら分量は適当に、卵(全卵と黄身だけを適当に合わせて3〜4個分)とおろしたパルミジャーノ・レッジャーノ、生クリーム、塩と黒胡椒を混ぜ合わせ、炒めたベーコンに茹でたスパゲッティと卵液を投入、ざっと混ぜたらできあがり……というカルボナーラ。タコは、最初にオリーブ油で赤唐辛子と薄切りにんにく、玉ねぎをじっくり炒めて冷蔵庫に残っていた"たこぶつ"を投入し、自家製ピッツァ作成時に作ったトマトソースの残りを加えて、赤ワインと水を適当に加えてのばし、30分ほど煮込んでみたもの。しっかりと赤唐辛子の辛さを効かせたらすごく美味しくなったけれど、明らかに子供向けの味ではなくなった。すまん息子。苦手なタコが更に苦手な感じに辛くなってしまったよ。

デザートに、お土産に買って帰ったペニンシュラのケーキ。自分用にマンゴープリン、息子とだんなはショートケーキとミルフィーユ、というつもりで買ってきたのに、一目見て息子が
「ぼくはこれね!」
とマンゴープリンを奪ってしまった。少しばかり味見はさせてもらったけれど(ココナッツソースが下に沈んだ、ふわとろ系のクリーミーなマンゴプリン、上にはクコの実とマンゴー果肉がたっぷり)、私の取り分はミルフィーユということに。ラズベリーを使ったミルフィーユはしっかりと固く焼き上げた厚めのパイに、固く重い、濃厚なカスタードクリームが挟まったもの。カスタードの重い感じがすごく好みだった。

そうそう、今日の食事会の話題にものぼったのだけれど、今年のおせち料理は去年一昨年に引き続き、弁いちさんのお世話になることに。

ああ、日本のおせち料理って、「ちゃんとしたおせち料理」って、すごく美味しいものなんだなぁと開眼させてくれた素晴らしい内容で(しっかり煮含められた黒豆とか、自家製唐墨とか、懐かしい味のする鳥団子とか、何もかもが幸せに美味しい)、"2〜3人用"の一段重を今年も美味しくいただく予定です。日本酒かなー日本酒だよなー、熱燗かぬる燗で美味しいお酒がいいよなー、と、今からわくわくしているところ。まだ予約受付中の模様です。

12月20日 木曜日
肉はどこ?って感じですが(一番下なのね)、きりたんぽ鍋。
ホットサンド(ソーセージ・卵・チーズ)
カフェオレ

昨日は、外出ついでに新橋駅前の「せとうち旬彩館」(香川と愛媛のアンテナショップ)を覗いてみた。「はりやのざるうどん」なる常温保存可能なうどんパックをみつけ、パッケージの男前な大将の写真から目をそらせなくなった。思わず2パックお買いあげ。ついでに冷蔵の生麺(でも真空パックで賞味期限は数週間先)もお買いあげ。その足で今度は三河屋に向かって、自宅用と友人たちへのお裾分け用に煎酒も購入し、ゴージャスなランチの予定の前にずいぶんな買い物をしてしまったのだった。

「というわけで、うどんがあるんですけどね?」
「んー、でも、ホットサンドって気分かなー」
今日の朝は、ホットサンドの気分ということで、うどんの出番は来なかった。これから年末年始に向けてうどんの出番はいくらでも訪れるしねと、卵を茹でてホットサンドメーカーの電源を入れる。今日も「こんたまちー」のリクエストが挙がったのだけれど、私としてはコンビーフの気分ではないのよねと妥協案でウィンナーを薄くスライスして散らしてみた。コンビーフよりもかなり蛋白な感じだけれど、パキッとした食感が楽しいし、卵やチーズの味にも似合わなくもない。

「……これ、"こんたまちー"みたいに言うとしたら、なんだろうね"そせたまちー"?」
「いや、"そーたまちー"でしょ」
「あ、ソーセージじゃなくウィンナーってことで、んで、世相を鑑みて"Wiiたまちー"」
「いやいや、"ウィー"だったらこっちのウィーだよ」
「いや、そんなポーズとってもらっても、それ文字で表現できないから」
「ウィーって言えば、テキサスロングホーンだよ?」
「うん、君がそう言いたくなるのはわかるけど」

結局、ソーセージ+卵+チーズの我が家での呼び名は確定しないまま、あーだこーだ話しつつホットサンドを平らげた。

きりたんぽ鍋(きりたんぽ・比内鶏・芹・長ねぎ・舞茸・ごぼう・白滝)
ビール(ザ・プレミアム・モルツ〈黒〉)

先日、秋田の母にみかんを送ってあげたところ、そのお返しにときりたんぽ鍋セットがやってきた。

倍量に薄めて使う濃縮だしと、芹や長ねぎなどの具材もセットになった、鍋セット。御丁寧にごぼうはささがきに加工されていて、あとは葱と芹を刻むくらいで簡単に鍋の準備ができるようになっている。ぺらりと箱から出てきたプリントには「当店の比内鶏は間違いなく本物の比内鶏です」というお墨付きの証明書も。確かに、箱の中に詰められていたのは、かなりな歯ごたえの強さを持つ、味のある肉なのだった。

でも、その比内鶏の肉の分量は少々控えめ。肉はもう少しあった方が嬉しいし、ついでに芹もたくさん食べたいなとスーパーに走って鶏肉と芹だけ追加で買ってきた。きりたんぽは……10本くらい入っている。半分に切って3切れも食べれば(つまり1.5本も食べれば)それなりにお腹が膨れてしまうので、3人家族で10本は明らかに多めだ。セットになっている分量からして、きりたんぽ鍋は肉を味わうというよりきりたんぽを味わうものなのだな(って、だから「きりたんぽ」鍋、なんだよね…当然ね…)。

母の郷里の秋田は、正月のお雑煮も鶏+舞茸+ごぼうという組み合わせの、きりたんぽ鍋的なもの。でも、きりたんぽ鍋のだしは吸い物のだしよりもかなりコクがあるし、甘さもそれなりにある。しっかり味を含めるように煮た舞茸や芹の風味は、吸い物とはまた違った風味でとても美味しい。比内鶏は臓物部分(レバー、ハツ、キンカン(腹卵))も少しずつ入っていたので、それもよくよく煮ながらつつく。昔はキンカンなんてちょっとグロテスクで食べられないなと思っていたのだけれど、今は普通に美味しいなぁと思ったり。

本当はちびりちびりと日本酒でも飲みながら鍋を堪能したいところだったのだけれど、微妙にまだ風邪が残っているのと、やることも色々あるのとで、お酒はごく軽くしつつ、大人2人は最後までだらだーらと鍋をつつきまくっていたのだった。

12月21日 金曜日
お総菜屋さんのサラダ。食感が楽しかったです。
「ランチパック」のメープル&マーガリン
カフェオレ

お母さん、最近あの苺のパンを買ってきてくれないね?と昨日唐突に息子に言われ、ならばと買い物ついでに買ってきたのがランチパックの「いちご&ホイップ」とその他数個。いかにもな感じの、乳脂肪のホイップじゃなく植物性油脂のホイップという風のクリームなのだけれど、息子がいたくお気に入りらしい。定番商品のたまごサラダと、地味に好きなメープル&マーガリンも買ってきて、
「だんな、明日ジムでしょ?いちご以外だったら何をどう食べてってもいいから」
1袋から1切れずつ出して食べてってもかまわないから、と伝えておいたら、たまごサラダが消えていた。で、私の取り分はメープル&マーガリンに決定。

たまーに食べると美味しいんだけどな、たまーに、くらいが美味しいんだな……と思いつつ、噛むと隙間からメープルシロップが零れてくるような白いサンドイッチをむしゃむしゃ。そういえば最近自家製パンも御無沙汰で、年末に少し仕事が落ち着いたら(落ち着くといいなぁ←希望)息子と一緒にパン焼きをしようかなと思っている。

デパ地下のお総菜
 串カツ(豚ヒレ&玉ねぎ・海老・蓮根の挟み揚げ)
 タラモチーズコロッケ1/2個・メンチカツ1/2個
 加賀野菜入りのチキンサラダ
きりたんぽ鍋の残り(吸い物代わり)
羽釜御飯
ビール(モルツ)

息子が音楽教室の鞄に財布をごそごそとしまいつつ、
「今日音楽教室が終わったら、お買い物したいんだけど、いい?」
などと言っている。言葉を濁しつつ、どうやらお父さんとお母さんへのクリスマスプレゼントを探したいらしい。デパートの上のLOFTは綺麗で面白いものがたくさんあるから、そこでお買い物したいんだ、でもお母さんはついてこないでね、と難しい注文を出されて、私はデパ地下でその間買い物していることにした。

食料品売り場内の、椅子の並ぶ一角で待ち合わせしようということにして、私は夕方の割引セールが始まったお総菜コーナーを見て歩く。この調子じゃ家に帰ってから調理とかしている余裕はなさそうだなぁと、半額になっていたコロッケとか1本105円に値引きされた串カツなどを今日も見繕ってきた。彩り鮮やかだったサラダもひとつ。

「じゃーん、買ってきましたー。包んでもらったら、そこがすっごい混んでたから、だから遅くなっちゃった!」
最近とみに"一人のお買い物"が楽しいらしい息子、誇らしげにクリスマスカラーの紙袋を手にして
「どんなプレゼントか、ヒントあげようか?」
などと言ってくる。……そこでヒントとか出してバラしちゃったらせっかくのクリスマスプレゼントがつまらなくなっちゃうんじゃない?とヒントは聞かないことにして、私も息子もそれなりの大荷物で家に帰ってきた。狭い我が家の中、プレゼントを隠すのも面倒だということで、アメリカで見てきたのを真似してクリスマスツリーの下にプレゼントを置いている。クリスマスを目前にして、ツリーの下は箱だらけになった。

で、夕飯は、割引率が高かったものということで、揚げ物中心に。息子の好物のタラコとチーズのコロッケなんてかなり美味しいんじゃないかなと思って買ってきたのだけれど、たらこが明太子だったようで、今ひとつ。ヤングコーンやナッツ類が散らされた、白醤油ドレッシングが添えられた加賀野菜入りのサラダ(確かR1/Fで買ってきた)が案外と美味しかった。

明日は早起き。ちょっとお出かけしてきます。

12月22日 土曜日
蔵王山頂で食べたステーキ丼
「ほんのり屋」の
 鮭いくらおむすび・天むす・厚焼き卵
お茶

今日から息子は冬休み。年末年始、どっか旅行する?……と数ヶ月前にあれこれ調べていて、
「クリスマス連休のスキー場、まだ宿空いてるみたいだよ」
という話になった。クリスマスイブをスキー場で過ごすという、問答無用のホワイトクリスマスというのも悪くないのではということで、今日から3日間蔵王でスキー。雪がちゃんと積もっているかどうか少しばかりやきもきしていたけれど、蔵王なら多分大丈夫だろうなという思いもあった。

今日は朝5時半起きで、早めの時間に発つ新幹線に乗るべく東京駅へ。朝の東京駅で買う御飯と言えば、我が家はたいてい「ほんのり屋」のおむすびか、チキンライス弁当かというところなのだけれど、今回は「どうせ昼にしっかり食べるんだろうし」とおむすびにした。私と息子がお茶を買いに行っている間にだんなが選んでかってくれたおむすびは、鮭いくらと天むす。2切れが1パックになった一口サイズの厚焼き玉子も1人1切れずつという感じでおまけのようにつけてくれた。

通路を挟んで2席2席の、ゆったりめの席の山形新幹線に乗って、一路山形へ。最後まで雪の影を見ることはほとんどなくて、大丈夫かなーと思ってる間に全く雪の積もっていない山形駅に到着した。

蔵王スキー場内「レストラン山頂」にて
 和風ステーキ丼 \1300
 生ビール \600

スキー場までは、バスに乗って30分ほど。町の中は本当に雪が無くて、
「お母さん、雪つもってないね、全然ないね」
「うん、でもスキー場には積もってるって聞いてるから大丈夫だよ」
「雪のハの字もないよねぇ」
「いや、雪という字にハの字は出てこないからね、元々ね」
「そうか、ないか」
「……ないんじゃない?」
息子とそんな漫才しながら、バスに揺られているうちに周囲はちゃんと雪まみれになっていた。蔵王のゲレンデは上から下までちゃんと滑れる状態にあるらしい。

宿に荷物を置いて準備して、歩いてすぐのゲレンデに立つともう11時半というところ。今日は雲もそれなりにあったけれど日差しも感じる良い天気で、山頂付近も綺麗に見通せた。今のうちに山頂を目指す方が良いのではとロープウェイを乗り継いで、まずは山頂に。山頂にあるその名も「レストラン山頂」で昼御飯にした。

ゲレンデで食べる御飯というと、スタンダードなのがカレー、ラーメン、カツカレー、カツ丼、ミートソーススパゲティというところだろうけれど、最近は差別化を図っているのかちょっと違うものを見かける事が多い。
「ああ……牛丼じゃなくてステーキ丼なわけか」
「うん、カレーライスじゃなくてハッシュドビーフなんだねぇ……」
と呟きつつメニューを眺め、私がステーキ丼、だんながハッシュドビーフ、息子は念願のラーメンがメニューに載ってなくて、肉まんを。で、昼からビール。「おつかれさまぁ!」とジョッキを合わせたけど、まだ疲れることはなんにもしていないのだった。

ちゃんとバター醤油の味のステーキ丼は、良い感じにミディアムレアのステーキが乗っていたし、なめこの味噌汁と小鉢数個もセットになっている。丼に添えられたきのこも美味しかった。……しかし、シーズン連休初日だというのに、そして今は昼の12時を過ぎたばかりだというのに、レストランの席にはまだ余裕がある。ロープウェイを乗る待ち時間も全くなく、リフトもガラガラ。好天の中のスキーを午後は思う存分楽しんだ。

スキー宿にて
 小鉢(冬至かぼちゃ)
 洋皿(鮭クリーム煮・ムール貝・海老・わさび菜)
 お造り(マグロ山掛け・ボタン海老・妻一式)
 焼物(メダイの幽庵焼・鴨の燻製・すだち・はじかみ)
 煮物(カリフラワー・湯葉新丈・かに爪・さや)
 鍋(豚ロース肉の水炊き風鍋)
 酢の物(焼しめじときびなごの酢の物)
 お椀(どんがら汁)
 食事(白米 県産はえぬき)
 香の物(おみ漬け・さくらんぼ漬け)
 デザート(ロールケーキ・いちご)
 ビール・日本酒

昼食後は早々に樹氷原コースを山頂から麓まで一気に10km滑り降りつつ、4時頃に肌寒くなってくるまでスキー。最初は感覚を思い出せずにいて四苦八苦していた息子も最初の10kmを滑った後は何かを会得したようにスルスルと滑りはじめ、逆に私はなかなか感覚が戻ってこずに何度か盛大に転倒。一度は顔面から転んで額を地面にこすりつける転び方をして、金網デスマッチのやられ役の気分を味わったりもした。……もういい年なんだから無茶滑りは止めようと思った。

蔵王の何が良いって、その雪質もさることながら、温泉がとにかく素晴らしい。今時はなかなかお目にかかれないほどの硫黄臭ぷんぷんの温泉は、安宿でもかけながしの極上の湯船に浸かることができる。今回の宿も宿泊費はかなり手頃なものだったのだけれど、お風呂はやっぱり最高なのだった。夕飯前・夕飯後・朝飯前、あとは帰宅する日の昼間にも入れるかなと、これから何度入れるかなと考えてわくわく。今日もスキーを終えて早々に風呂に向かい、それから夕飯に向かった。

いかにもな感じの、テーブルにずらりとあらかじめセットされた夕御飯。テーブルには薄紙に印刷された献立表が置かれている。既に並べられた料理がほとんどだったものの、卓上の紙鍋で煮て食べる豚肉の水炊き風の鍋とか、具沢山のどんがら汁などもあったし、いかにも酒の肴という感じのものも多かったので、だんなと2人ビールを飲んだり、地酒セット(800円で半合ほどが3種類、銀嶺月山・一耕・樽平)も飲んでみたり、運動と温泉の後の一杯だったので実に簡単に酔っぱらってしまった。
「どんがら汁」は、鱈と岩海苔、大根と豆腐が入った、酒粕入りのお味噌汁。あら汁ほどには磯臭くなく、酒粕の効果でかとても身体が温まる。

「……やっぱり、東北のお米って美味しいのかね」
「この御飯もすごく美味しいよね」
と、だんなはさんざん飲み食いした後だというのに御飯もしっかりおかわり。最近よく見かけるさくらんぼ漬け(梅干しの梅をさくらんぼにしたような感じ、酸っぱしょっぱい)をだんなの分ももらいつつ、私は一膳、味わいつつのんびり食べた。
夕食の開始時間は6時だったものだから、7時半という早い時間だというのに「……じゃ、もう、寝ましょうかね」という感じに。

今寝たら、ぜーったい夜3時とかに目が覚めちゃうよと、軽く酔いを冷ましてから軽くお風呂に浸かりに行って、でもまだ9時前。眠気を耐えるのもここまでが限界で(今日早起きだったしね……)、そこで早々に床についたのだった。ああ、温泉はいい。とにかくいい。旅行の主旨がさりげなく変わってしまいつつ、明日も滑って浸かってを楽しむ予定。

12月23日 日曜日
玉こん1串100円。美味しいよー。
スキー宿にて
 温泉卵
 焼き魚・わさび漬け
 山菜の煮物・マカロニサラダ・昆布の佃煮
 小松菜のおひたし
 納豆・焼き海苔
 漬物バイキング
 御飯・味噌汁
 お茶

「……ほら、やっぱり早く目が覚めちゃった」
と、午前2時、布団の中で悶々と「目が覚めちゃった……」と困っていた私。何しろ昨夜寝たのは夜9時にもなっていない時間帯だった。でも一人で起き出してネットサーフィンなどをしているわけにもいかず、そのまま無理矢理寝ていたら6時になっていた。息子も起き出してきたので、朝風呂を堪能してから朝御飯。朝食は和風のもので、だんな大喜び。

食堂の入り口には「漬物バイキング」なるコーナーがあって、さくらんぼの漬物をはじめ、野沢菜漬けとかきゃらぶきとか10種類ほどが大皿に盛られている。
「いかんじゃんねー」
「こんなのあったら、御飯何膳でも食べられちゃうじゃんねー」
と、それでもあれこれ盛りつけてきてしまい、そのたっぷりの漬物と納豆と焼き海苔、焼き魚などを前に「さて、どうやって御飯を食べよう」と困ってしまった。納豆で普通に1膳食べられちゃうし、漬物も海苔もあるし……と思っている私の向かいで、だんなは早々に2膳目に取り組んでいる。「さすがに朝から3膳は多いよね?」と困った目で私を見るので、
「3膳目、私が4割くらい引き受けるよ」
と、結局私も軽くおかわりするような状況になってしまった。

お米の朝御飯は腹持ちがいい。昼頃まで思う存分滑ることができた。

蔵王スキー場内「レストハウス102」にて
 玉こん \100
 みそコーンバターラーメン \850
 缶ビール

「お昼はラーメンがいい!」と昨日息子がずっと言い続けていて、ならばと今日のお昼御飯は、昨年玉こんにゃくを食べてめっさ美味しかったラーメンショップに行くことに。ロープーウェイを降りたところにある、「102」という名前の軽食屋さんを目指すことにして、午前中は山頂にも行ってみたり山の右端にあたる大森ゲレンデの方にも行ってみたりと精力的にスキーを楽しんだ。

「今日の目標……昨日みたいな金網デスマッチ的な事態は起こさないようにする……」
「重傷はしないようにする、とか」
「いや、軽傷もしないようにしないと」
「痛いのは筋肉痛の痛みだけにする、でいいんじゃない?」

昨日は調子に乗ってかなり無茶な滑り方をしてしまった(挙げ句板を外すほどの大転倒を2回ほど)ので、今日の目標は「無理しない」ということで、ゆるゆると自制しながら滑ってみた。それにしても、昨日の今日でもう体中が痛くて、きっとこの分では今日の夜はまた大変な筋肉痛に襲われることになりそう。最近あまり運動してなかったからなー……。

昼御飯は、当初の目標通りにラーメン屋さんで。息子はシンプルな醤油ラーメン、だんなは醤油ベースのチャーシュー麺、私は味噌バターコーンラーメン。三者三様のラーメンを注文して、それと忘れちゃいけない「玉こんにゃく」。蔵王名物(山形名物?)玉こんにゃくは、他にも色々なところで食べることができるのだけれど、私もだんなもこのお店の玉こんにゃくが大好きだった。ものすごくいーい感じの煮え具合で、1串100円。大量に仕込まれているようで、カウンター上の大鍋入りの玉こんにゃくが売り切れても、すぐに同程度の煮え具合のこんにゃくが次々補給されていく。飴色になったこんにゃくに練り辛子をちょっとつけて食べると、ビールにたまらなく似合っちゃって、近くの自販機でビール買ってきてだんなと乾杯。

「はぁー……ビール、おかわり?」
「いや、ビールはトイレ近くなるし……どっちかっていうと玉こんおかわりじゃない?」
「そっかー、玉こんかー」
と、結局玉こん3本をだんなと半分こ。

味噌バターコーンラーメンは、豆板醤の効いたスープがピリ辛の、炒め野菜が盛りだくさんの食べ応えのあるものだった。キャベツやもやしが大量で、何かと野菜不足気味になる旅行中に幸せな感じ。

スキー宿にて
 洋皿(豚肉ときのこの網脂包み焼き トレビス)
 お造り(紅鱒 刺身こんにゃく 妻一式)
 焼物(ブリの塩焼き ふき煮 ライム はじかみ)
 煮物(うなぎ柔らか重ね蒸し ブロッコリー)
 鍋(タラとカキのカレー鍋)
 酢の物(炙りサバのマスタード和え 胡瓜 大根)
 お椀(きりたんぽ汁)
 食事(白米 県産はえぬき)
 香の物(おみ漬け さくらんぼ漬け)
 デザート(ロールケーキ いちご)
 日本酒(熱燗)

で、今日は午後4時まで滑りに滑って、私は未曾有の筋肉痛になった。普段から鍛えまくっているだんなと、筋肉痛知らずの息子についていくのは本当に大変。リフトを降りて、後続の私がついていくのを振り返りもせずにツルツル滑って行ってしまうこともあって、
「お母さんの事はまるっきり無視ですかー、一人雪国慕情ですかコノヤロー」
と悪態つきつつ必死に追いかけ、勢い余って新雪に頭から突っ込んでみたりしていた。もう、2人とも元気すぎ。お母さんへとへと。

昨日と同じく、硫黄臭い温泉にたっぷり浸かって、部屋で一休み。宿の近くにコンビニもあったので、そこでおつまみとビール買ってきて夕食前に一杯やったりしていた。お買い物に行ってくれただんな曰く、コンビニのケーキ(直径15cmくらいのホールケーキが山になっていたとか)とシャンパンが次々やってくるカップルたちを相手に飛ぶように売れていたのだとか。……そうか、今日はクリスマスイブイブでした。

「すると、アレだね?私は未曾有の筋肉痛を抱えてクリスマス当日を迎えるわけだね?」
年末にも色々出かける予定あるけど、大丈夫なのかなぁ、町中まともに歩けるのかなぁと不安になりつつ、今日も品揃えたっぷりの夕御飯。今日も紙鍋がセットされていて、具はキャベツやニラやえのき、豚肉に鱈に牡蛎。寄せ鍋みたいな材料で、でもスープはカレー味という面白いものだった。クリスマスを意識してか、大きめの洋皿にはマッシュポテトを敷いてグレービーソースをかけた、網脂包み焼きの豚ときのこ。少し冷めてはいたけれど、思いの外美味しくて、でも他のおかずが和風なのでお銚子貰って熱燗くいくい飲りつつ他の料理を平らげた。

今日のお椀は、「きりたんぽ汁」。具はちゃんと鶏肉とごぼうと舞茸。長ねぎと、薄くスライスされたきりたんぽも入っている。
「散らしてあるのが芹だったら完璧だよね」
表面に散らされた、細かく刻んだ葉は三つ葉のようだったからそう呟いたら、それもちゃんと芹が使われていて、完璧なまでの「きりたんぽ汁」だった。

早めの夕食の食後は、今日も早めに就寝。明日は山形牛を食べる予定だし、なかなかシャンパンとケーキという展開にはなりそうもない今年のクリスマスイブ。でも問答無用にホワイトクリスマス(それも見事な樹氷つき)というのは、とても楽しい。