食欲魔人日記 08年02月 第3週
2月18日 月曜日
チリチョコレートは、本当にすさまじくチリだったのでした
ベーコンエッグ
御飯
豚汁
麦茶

せっかく昨夜にたんまり豚汁を作ったことだしと、今日の朝御飯も御飯と味噌汁で、ベーコンエッグを用意した。先日、手頃な価格のテフロンフライパンを買ってきたのだけれど(普段使っている鉄のフライパンはかなり重いので、息子が使うのに良さそうな軽めのものを選んだ)、これがベーコンエッグなどを用意するのにちょうど良い具合。蓋をしつつ蒸し焼きにして、好みな感じの半熟に焼いた。

「いただきます」の少し後に、私が
「……乗せちゃえ」
と、半熟に焼けた卵をベーコンごと御飯に乗せてしまったところ、息子が即座に真似をして、十数秒後にはだんなも一緒になって、結局皆して「目玉焼き御飯」という状態に。生卵かけ御飯も素晴らしく美味しいけれど、目玉焼き乗せ御飯も素晴らしく美味しい。ベーコンの塩気が良いよねと、黄身を潰して御飯にまぶしつつ。

豚味噌鍋(豚肉・白菜・長ねぎ・うどん)
ビール(モルツ)

ほうじ茶
チョコレート

息子と2人ではとうてい食べきれないサイズの白菜半玉が冷蔵庫に残っていて、気になっていたここ数日。ちまちまと外側の葉を使っては塩揉みしたり色々やっていたのだけれど、そんな些細な使い方では一向に無くならないので
「今日は豚味噌鍋にしちゃおうと思います!」
と宣言して、白菜をざくざくと盛大に刻む。冷蔵庫の野菜庫の多くの部分を占めていた巨大な白菜が、やっとこれで消えた。

何の工夫も変哲もない、いつも通りの白菜と長ねぎと豚肉、シメにうどん、というそれだけの鍋。白菜の芯の部分はだんなが帰る15分くらい前から柔らかく煮ておいて、卓上でしゃぶしゃぶ用の豚バラスライスを散らすように乗せて、火が通ったところで早速食べる。汁ごと器によそいつつ、刻んだ万能葱をたっぷりかけて、七味唐辛子は軽くふって、いつもの味の豚味噌鍋。

肉は、息子が習い事の帰りに肉屋さんに寄って買ってきてくれた。メモにして渡したのだけれど、カウンターで店員さんに内容をちゃんと口頭で伝えて包んでもらってきたのであるらしい。
「お手伝い?えらいねー」
と言われたそうで、息子的には「手伝っているわけじゃなくて、僕の"仕事"なのにー」と思うところがあったらしい。
「僕が、お仕事で買いに来たんです。豚味噌鍋が大好きだから、買いに来たんです!」
とかなんとか、「おねぇさんにお話しちゃったー」と、買い物袋ぶらさげた息子が暗くなってから帰ってきたのだった。豚味噌鍋が!と言われたお店のおねえさんもリアクションに困ったんじゃないかなぁ……と、聞いていて笑ってしまう。

もう大抵のものはお使いをお願いできるようになったし、力もついてきたのでそれなりの重さがあるものでも頼めるようになった。あとは、「美味しそうなキュウリを選ぶのはどうすれば良いでしょう」とか、「美味しそうなサンマを選ぶのはどうすれば良いでしょう」とか、そういうのを一緒に買い物行った時に教えておきたいところ。

食後は、昨日に続いてだんなのお土産チョコレートを数粒。
「昨日のドリアンチョコに続いて、今日はこれだぁ!」
と、口にしてみたのは「Chilli Truffle」。地元産のチリペッパーを使ったチョコレートなのだそうで、チョコの説明ペーパーのタイトル部分にも、上からペッパーガリガリかけてるチョコレートの写真が使われていて、力の入った「作品」であることが伺える。丸くツルリとした外見のトリュフの表面には、いかにもな荒く砕かれたスパイスがトッピングされていた。

「表面だけ、ってことはないよね?」
「中も当然胡椒味なんじゃない?」
そうだよねぇ……と口にしてみたら、びっくりするほど鮮烈なチリペッパー味。ちゃんとチョコだしちゃんと甘いのだけれど、舌の根から喉まで焼け付くような辛さが広がる。なんというか上品な辛さではあるのだけれど、昨日のドリアンチョコに続いて、また面白い味のチョコレートだった。胃が熱くなるチョコレートなんて、産まれて初めての味だ。16個入りのチョコの1/3ほどがローカル食材を使ったちょっと変わったもの、というのがなんとも面白い。

あとは普通にホワイトチョコレートも口にしつつ、じゃあ明日は「パンダン」あたりを食べてみようかなと。

2月19日 火曜日
新玉ねぎと、鰹のたたき。
チーズパン 半分
クリームパン 半分
コーンパン
カフェオレ

週末を2週潰す形での出張だっただんな、今日は代休でお休みとのこと。
でも朝はいつもと同じ時間で皆で起きて、パンを食べた。だんなが買ってきてくれたのは焼きそばパンにカレーパンと色々あって、温めて食べた方が美味しそうなものが多かったのでクリームパン以外は全てオーブンで軽く温めてみる。

息子は焼きそばパンに興味津々で(私はあまり買ってくることのないパンだし、もしかしたら息子は初めてだったのかもしれない)、「気になるけど、全部食べられるかどうかはわからない……」といった感じだったので、2つに切ってお父さんと半分こという形になった。ついでにチーズパンやクリームパンなども半分に切り、食べたいものを少しずつつまむような感じに。

「おゆきさん、俺がいない間全然コーヒー淹れてなかったでしょ」
と、だんな。
「なんかね、めんどくさくって。粉セットして水入れて、っていうのが。だから紅茶飲んでた」
「……ポットから茶葉捨てて洗ったりする方がよっぽどめんどくさいと思うんだけど……」

いやいやコーヒーのがめんどくさいよ、いや俺は紅茶の方がめんどくさいね、と、どちらがめんどくさいかという変な話で盛り上がる。
紅茶、殊に中国茶になると、朝使ったポットにお湯を足しつつ昼間もけっこう美味しく飲めてしまったりするのよね。コーヒーは我が家のサーバーだと電源入れっぱなしだと煮詰まってしまうので、昼間だらだら飲むのにはコーヒーは向いていなかったりして。

「サイゼリヤ」にて
 肉サラダ
 熟成生ハムピザ
 生ビール

息子の学校では、「リクエスト給食」なるものがあって、ローテーションで「○月○日は○年○組のリクエスト給食日」なるものが回ってきたりするらしい。息子のクラスのリクエスト先日実現されて、「鶏肉の唐揚げとわかめ御飯」という内容だったのだそうで、今日も別のクラスのリクエスト給食日だったようだ。献立表には
「肉まん・味噌ラーメン・わかめときゅうりの酢の物・フルーツ白玉・牛乳」
という文字が燦然と輝いていた。いいなー今日はまた一段と御馳走っぽいなー。

「献立表見てたら、俺も味噌ラーメン食べたくなってきた」
「いいね、どっか食べに行こうか、それとも材料買ってきて家で作って食べる?」
と、今日は家でのんびりしているだんなとそんな話をしつつ、気がつけばすっかりお昼時。近隣には軽く10軒ほどのラーメン屋さんがあるにはあるのだけれど、そういえば味噌ラーメンの美味しいお店というのは、今ひとつ記憶にない。あの店は?この店は?と相談しているうちに、
「サイゼリヤはどうだろう」
と、だんなが全く違ったジャンルのお店の名前を挙げた。

「サイゼリヤ?ますますなんか違う……」
と私は二の足を踏んでいたのだけれど、
「いやね、ハンバーグと焼肉の盛り合わせに、生ビールとかってどうかなぁって」
のだんなの一言で「あ、サイゼリヤいい。サイゼリヤ行きましょう」と、諸手を挙げて賛成している私。
おゆきさん簡単すぎる……弱すぎる……とだんなが大笑いしながら外出の準備をし始めた。

で、本当に生ビール飲み飲み(平日昼間のビールってなんでこんなに美味しいんだろう)、だんなは当初の宣言通りにハンバーグと焼肉の盛り合わせ、私は生ハム乗せピザ。最初に「肉サラダ」をもらってそれをつつきつつビールを飲み飲み、ピザやハンバーグも分けあいつつ食べた。

ビールまで飲んだのに2人で3000円でお釣りが来るこの店の異様な安さは相変わらずで、ランチセットメニューもドリアとサラダとドリンクバーのセットだと600円ほどだ。それでもちゃんと、ピザには大きな生ハムがどどーんと溢れんばかりに2枚トッピングされていて、
「あ、ちゃんと生ハムだ」
「うん、ちゃんと端がとろけるような感じする」
と、とても満足。

ほうれんそうのナムル・もやしのナムル
ポテトサラダ
餃子
新玉ねぎを添えた鰹のたたき
いぶりがっこ
豚汁
羽釜御飯
ビール(COEDO 瑠璃)

今週末は外出の予定なのに、うっかり先日豚汁を大量に作ってしまった。昨日は鍋料理にしてしまったし、うかうかしていると飲みきれなくなってしまう。
「だから、今日と明日の夕飯は、豚汁に合うようなおかずってことで」
と、昼食後にだんなと2人スーパーを覗いてきた。

冷凍庫内に自家製餃子の残りをしまっていたので、まずそれを食べてしまおうということになり、あと魚系のおかず1品つけたくない?と鮮魚コーナーも覗く。白身魚の切り身で、餃子に合わせて中華風に「清蒸鮮魚」などが良いかなと思っていたのだけれど、鰹のサクがお手頃価格だったのでこれを買ってきた。新玉ねぎの買い置きがあったので、それをスライスしてたっぷり添えつつ、表面を直火で炙った鰹にポン酢をかけて、鰹のたたき。

あとは餃子のお供にとほうれん草のナムルともやしのナムルを用意して、ビールはスーパーで見つけたCOEDOという川越の地ビール。パッケージのデザインが美しく、「瑠璃」「伽羅」といった種類の名付け方もちょっと素敵だ。伽羅ってアンバーエールみたいな感じなのかな?瑠璃はピルスナー?と、缶で売られていたその2種類を買ってきて開けてみた。味の方は……残念ながら、割と普通。「よなよなエール」のような鮮烈な個性もなく、見た目よりも軽い飲み口のビールだった。

「餃子、これだけ?たくさんは無かった?」
と、餃子好きの息子は20個弱焼かれた餃子の個数に不満だったらしい。前に作った餃子の残りだからね、これしかないのよと言いつつ、じゃあまた家で餃子作って食べないとねという話になった。あの中国加工の餃子の事件からこっち、毎日餃子餃子と騒がれ映像が流れるものだから、テレビ見る人皆して「あ、なんか餃子食べたくなってきた」となってしまったらしい。一時期、餃子の皮がスーパーの店頭から消え失せてしまっていたようだけれど、さすがにもう普通に売られているかなと思う。

大判の皮もでっかい餃子ができて楽しいけれど、どちらかというと小ぶりの薄めの皮が好き。焼くより茹でる方が美味しいと思うけれど、自家製皮の餃子もとても好き。次回の餃子は久しぶりに皮から作ってみようかな。

2月20日 水曜日
美味しそうなグリンピースを見つけたので豆御飯!
豚味噌うどん
麦茶

「豚味噌鍋の翌朝は、豚おじや」が長年の定番だったのだけれど、去年か今年の冬あたりからそれが崩れつつあったりする。
ついつい白菜も肉もうどんもモリモリ食べてしまうところに問題があると思うのだけれど、夕飯に豚味噌鍋を堪能して翌朝に同じスープでまたおじや、というのが少し重く感じられるようになってしまった。味そのものは大好きだし、残ったスープを捨ててしまうのももったいないと、その翌日の朝に食べることが多い。

で、今日の朝にうどんを入れて食べた。冷蔵庫に切り落とし豚肉が半端に残っていたのでこれを追加で入れたのだけれど、半端と言うにはたっぷりめの分量だったことが判明して、「豚味噌うどん」というより「肉うどん」という風体に。

スープには煮えた白菜も残っていたので、全体的に具沢山。今日はそれほど寒い感じはなかったけれど、この季節の朝に温かいうどんというのはめちゃめちゃ美味しい。

ほうれん草のナムル・もやしのナムル
赤軸ほうれん草のサラダ
厚揚げと白菜のさっと煮
ぶりの照り焼き
豚汁
羽釜御飯
ビール(モルツ)

今日はお魚!と、この季節定番のブリを買ってきた。秋にはサンマ、冬にはブリ(あと、金目鯛)、春から夏はカツオ……と、魚を買ってくる時にはどうしても私の好物なものが増えてしまう。息子はマグロとかサーモンのような骨の少ない(あったとしても大きい骨しかない)魚が好き。だんなは……アジの叩きが大好き。キンメの煮付けとかも多分好き。卵を抱えた魚は嫌い(子持ちカレイとか、そういうの)。ともかくも、この季節はブリだ。ブリが美味しい。しかも安い。

ブリは定番の照り焼きに。醤油だれに浸してから焼くと焦げやすいし、それほどには味が染みた感じがしなかったりするので、照り焼きに関してはフライパンで作るようにしている。今日はブリの切り身に薄く小麦粉をはたいてから焼いてみた。火が通ってから酒と醤油と味醂を同量くらいずつ合わせたものを流し入れ、ついでに椎茸も一緒に入れて甘辛く火を通してみる。

あとは、「赤軸ほうれん草」なる面白い野菜が安売りされていたので、それをサラダに。「葉の柔らかいほうれん草です。サラダにどうぞ」などと紹介されて売られていた野菜だったのだけれど、確かに普通のほうれん草と比べると葉が若干柔らかめ。味はアクの少ないほうれん草といった感じ。適当にちぎってトマトや玉ねぎと合わせて盛り合わせた。

あと一品、豆腐っぽいのが食べたいなと、厚揚げと白菜を、醤油と味醂を加えた煮干しのだしでさっと煮たものを用意した。それと、御飯は豆御飯。美味しそうなグリンピースが出てきていて、「あ、豆御飯食べたい。とっても食べたい」とうずうずしてしまって、まだそう安くはなかったそれを買ってきてしまった。グリンピース料理と言えば豆御飯を連想してしまう私は、子供の頃の給食でこの御飯がとっても好きだったのだろうなと思ってしまう。適度に塩気のあるワカメ御飯とかも好きだったけれど、豆御飯が出てくるのもとても嬉しかった記憶が残っている。

豆は御飯と一緒に炊いてしまう作り方もあるけれど、実のところは炊いた御飯に後から豆を混ぜ込んだ方が綺麗だし美味しいと思う。「青柳」の小山裕久さんの著作でのレシピがまさにそんな感じで、御飯は普通に炊き、軽く塩しておいた豆をさっとゆがいて熱いうちにすぐに炊きたての御飯と合わせ、塩と酒をふって混ぜる、といった感じのものだった。歯ごたえの残る豆が青々として綺麗だし、目下我が家の豆御飯はその方法で作っている。

残りものがあれこれあったせいもあって今日はやたらと品数の多くなった夕御飯。メインのブリ照りは、今日もまた素晴らしい脂の乗りっぷりで、血合いのところまで美味しかった。カツオやマグロの血合いはそれほどに美味しいとは思わないのだけれど、ブリの血合いの部分はなんとなく好きな味。

2月21日 木曜日
菜の花としらすの卵とじ……というか、卵焼きというか。
ピザトースト
カフェオレ

食パンを買ってきたところ、「だったらピザトーストにして欲しいなー」と、だんなからリクエスト。玉ねぎは新玉ねぎがまだ残ってるし、幸いピーマンもベーコンも買い置きのがある。チーズも「モントレージャック」がまだ少し残っているからちょうど良いなと、久しぶりにピザトーストの用意をした。

パンにトマトピューレを薄く塗って、野菜とベーコンを散らして、チーズをトッピングしたらいつものトーストより1.5倍くらい長めの時間でオーブントースターに。全体的に水分が少し飛んだような、パンがサクサクした感じに焼けたあたりがとても好き。今日もいつもと同様にそんな感じで焼いたのだけれど、使ったチーズがものすごく溶けやすいタイプだったのでいつも以上にとろけんばかりのピザトーストになった。傾けるとチーズが流れてきそうな勢いだ。

実際、のんびり食べている息子の手からはチーズがこぼれそうになってしまいつつ、傾けすぎないように気をつけながらかぶりついた。今回、6枚切りの薄さの食パンでピザトーストにしたけれど、本当は4枚切りくらいの分厚いパンで作るともっと美味しい。

鶏もも肉のカリカリ焼き 葱ポン酢
菜の花としらすの卵とじ
いぶりがっこ
豚汁(やっとファイナル)
羽釜御飯
ビール(モルツ)

調子に乗って鍋にいっぱい作ってしまった豚汁も、今日でやっとおしまい。3日連続和風寄りの夕御飯を用意して、最後の今日は鶏肉をおかずにしようということだけは決めていた。鶏肉と根菜の煮物かな、いっそ筑前煮みたいなものとか……と思っていたところ、だんなから「油淋鶏風にしませんか?」と、朝食に続いてリクエストが。

「油淋鶏」は、衣をつけて揚げた鶏に葱入りの甘酢だれを絡めたものだけれど、我が家のは、揚げずに焼いて油淋鶏風。皮目をパリパリにグリルした鶏肉に、刻み万能葱をたっぷりまぶして、油淋鶏と同じ感じの甘酢だれを添えたり、単にポン酢を添えたり。

今回は、冷蔵庫に「旭ポンズ」がまだ残っていたので、せっかくだからとこれを使うことにした。関西ではあたりまえのように使われているらしいポン酢だけれど、関東では、馬路村のポン酢は見つけることができるけれど(これも柚子の香りが爽やかに漂うポン酢でとても好き)、旭ポン酢はさっぱりだ。時々、通販で扱うところを見つけては数本ずつまとめ買いをしている。

なんだか「春の食材」に惹かれてしまっている今日この頃のようで、菜の花も買ってきた。シンプルにおひたしにしようか色々考えて、しらすと合わせて卵とじにしてみることに。フライパンに固めて作る、スパニッシュオムレツ風の卵とじのレシピがあったので、それを参考にミニスキレットで焼いてみた。だしを加えて薄口醤油と味醂、塩で調味した卵なので、ちょっとゆるめに固まった印象。菜の花独特のほろ苦い感じが私は好きなのだけれど、子供が好む味ではないなと息子を見たら、それでももぐもぐと卵とじも果敢に食べてくれていた。でも、それ以上に鶏肉にもせっせと箸を伸ばしていて、やばい、鶏肉3枚じゃ足りなかったかしらという状況に。

だんなはもとより、最近は息子も「鶏もも肉1枚なんて、楽勝だよね、足りないくらいだよね」という食べっぷりなので、そろそろ鶏肉を4枚単位とかで買わなきゃいけないのかしらと、お母さんは戦々恐々としている。蕪と一緒に炊いたりする時にはせいぜい2枚くらいしか使わないのだけれど、「がっつり肉」というおかずにすると、やっぱりそのくらい必要らしい。

やっと冷蔵庫の中身もコンロの上もすっきりして、さて明日の夕御飯はどうしよう。夜には寝台列車に乗って北国に行くのよ。

2月22日 金曜日
地元のお店の酢豚。これが大好き。
バタートースト
炒めソーセージと目玉焼き
カフェオレ

昨日はピザトーストにした食パン、3枚残っている今日は、ごくごく普通のバタートーストにした。モッツァレラ入りソーセージを1人2本炒めて、あとは目玉焼き。
「卵も添える?」
「うん、添えるー」
「……調理法は?おまかせ?」
「うん、おまかせでー」
と、判断を妻に委ねてくれているのか、それとも単にやる気がないのか、今ひとつ判然としないだんなの返事に従って、おまかせで「目玉焼き」。

私はどうにも目玉焼き大好きで、多分スクランブルエッグよりもオムレツよりも卵焼きよりも目玉焼きが好き。次点でポーチドエッグとか半熟のゆで卵が来るのだけれど、ポーチドエッグはうまくできた試しがほとんどないので、結果ほとんど目玉焼きを作ることになる。

ソーセージに焼き色をつけるために、いつもの目玉焼きの火加減より心持ち強めの火加減にしたところ、卵の裏に焦げ目ができてしまい、少し失敗。
「お母さん、卵の裏の、このへんがちょっと苦い……」
と息子にダメ出しされてしまった。すみません……。

稲毛 「太閤園」にて
 焼き餃子
 酢豚定食 \800
 ビール

夜10時上野発の寝台列車に乗って、この週末は青森県にスキーをしに。
だんなが一度帰宅するのを待ってから大荷物抱えて家を出て、地元で夕食を済ませてから上野に向かうことになった。幸いタイミングが良かったようで、昼も夜も満席の事が多い中華定食屋さん「太閤園」に空席があって、夕御飯はそこで。

「なんかすっごく久しぶりに来た気がするよ。だとするとやっぱり茄子野菜かなぁ……いやいや、ここは大好きな酢豚かなぁ」
「俺、茄子野菜の料理大盛りにするけど?」
「僕はチャーハン!」
「じゃ、じゃあ私は酢豚かなぁ……」
と、あれこれ悩みつつ、結局私は酢豚定食にした。

私は酢豚が大好きなのだけれど、「幸せの青い鳥はすぐ近くにいたのでした」的な感じに、このお店の酢豚はすごく好み。厳選した酢を使っていたりする感じはなくて、ごくごく普通な味つけの酢豚なのだけれど、良い具合に衣がサクサクと揚がった大ぶりの豚肉とか、絶妙な感じに火の通った野菜などでそれは見事な完成度なのだった。相変わらず、玉ねぎやピーマンがしゃきしゃきしている。なぜかキュウリも具に使われているのもいつもの事だ。

美味しい夕飯に満足して、私は久しぶりのブルートレインを楽しみに、だんなと息子は「初めてのブルートレイン」をそりゃもう熱烈に楽しみにして、上野に移動。

2月23日 土曜日
今日は3食ブッフェだったのでした
雫石プリンスホテル内 「プリンスルーム」にて
 朝食ブッフェ

今年は2月に息子の音楽教室の発表会があって、それまでの数週間は週末返上で合同練習が続いていた。スキーに行きたいね、でも2月の下旬にならないと色々無理だねと「ガーラ湯沢日帰りでも良いから」と計画を立てていたところ、JRのツアーで「ブルートレインで行く安比・雫石」というものを見つけてしまったのだった。金曜夜発の寝台列車に乗り、土日みっちりスキーをして日曜夕方の新幹線で帰宅。バスの送迎を含めた往復の交通費とホテル1泊、2日分の朝食と1日分の夕食、2日分のリフト券つきといった内容で、でも3万円しないくらいの格安料金だった。これだー!と申し込みして、スキーはもとより寝台列車をそれはそれは楽しみにしていた我が家の男たち2人。

2段ベットが通路に対して垂直に並び、4つのベットで1つのブースといった感じにずらりと並んだB寝台列車。向かい合った下段2つに上段1つといった割り当てだった私たちのそのブースには、幸い空いた上段に別のお客さんがやってくることもなく、のんびりと過ごすことができた。……でも、残念なことに、すぐ近くに大人数のグループ客の席があったようで、夜中2時頃まで大騒ぎの大宴会。私が子供の頃に何度も乗っていたブルートレインはほぼ100%帰郷のための列車だったこともあってか、「人の気配はすごくあるのに、静かすぎる不思議な空間」の印象が強かったのだけれど、今回はツアー用貸し切り列車ということでそういうわけにもいかなかったらしい。

それでもだんなと息子はたいそう楽しかったようで、上段を陣取った息子は何度もハシゴを上り下りしては窓の外を眺め、「ここにフックがある」「あ、ここに栓抜きがついてる」と機能的な寝台列車のギミックの数々にだんなも目をキラキラさせていた。シングルベッドに満たない幅の狭いベッドではあるけれど、でもやっぱり楽しい。狭い狭いと言いつつシーツを広げて毛布かぶって、電車の車輪の音を聞きながらの夜は私もとても楽しかった。なんだかんだ言ってもちゃんと寝られたし。

で、盛岡駅から送迎のバスに乗り、朝7時過ぎには宿泊ホテルに無事到着。嬉しいことに早々に部屋のキーも渡されて、一度荷物を置いてから朝食ブッフェのレストランに向かった。洋食半分、和食半分といった感じの種類豊富なブッフェで、サラダや果物は少なかったものの、肉じゃがやホッケの塩焼き、野菜炒めに卵料理各種、寄せ豆腐にソーセージにナゲットに……と、おかずはたくさん揃っている。青森りんごジュースや、小岩井牛乳がキンキンに冷えたのが用意されているのもとても嬉しかった。おお、パンケーキもある。

今日は洋風の朝御飯にするんだー……と、パンケーキを皿に盛り、かぼちゃのスープ、目玉焼き、ウィンナー、ナゲット、野菜サラダなどなどで朝御飯。息子は息子で自由奔放に、シリアルを食べた後に、御飯と共にパンコーナーのバターと、和食コーナーの醤油を持ってきたりして「バター醤油ごはんー!」などと怪しいものを作って食べている。だんなは和朝食。最近はどこに旅行しても韓国や中国からの旅行客を目にするけれど、雫石までそんな状況でちょっとびっくりだった。

雫石プリンスホテル内 「プリンスルーム」にて
 パスタブッフェ
 生ビール

雫石にスキーに行くよ、と秋田に住む母に伝えたら
「あら雫石、近いじゃない。会いに行くわよ。ていうか、ホテルもう1部屋取れないの?」
と。あいにくホテルはこのツアー企画があってか満室状態で、部屋は取れなかった。
「じゃあ盛岡に泊まるわ。孫のスキーが見たいから、会いに行くわね。……私も、スキーウェア持っていったら滑れるかしら?」
母、相当やる気だ。

午前中、滑って滑って、早くも足がガクガクになってしまいつつ麓のホテルに戻ってきたら
「今、2階のレストランの窓際の席にいるわよー」
と母からメールが入っていた。……本当に来たよ。

案外、当日申し込んだら部屋取れるんじゃない?などと言っていたのだけれど、本当に今日になってフロントに聞いてみたら「お部屋、御用意できます」とのこと。母は急遽同じ宿に泊まることになって、ついでに私たちと同じ食事のプランにしてもらい、2日一緒にスキーをすることになったのだった。

昼御飯は、その「2階のレストラン」(今日の朝食ブッフェのレストランと同じレストランなのだった)でそのまま食べてしまうことに。7種類のパスタと7種類のデザートが食べ放題!というものをやっていたので、パスタだったら息子が嬉しいかなとこれにしてみることにした。あいにく息子の好物のクリームソースのパスタはなくて、ペンネアッラビアータや、ミートソースを絡めたフェットチーネ、にんにくの芽と豚肉の塩味スパゲッティ、シーフードラザニアなどなど。ブランマンジェや苺を挟んだミニブッセ、マロンケーキ、苺のムースなどのデザート類も心惹かれるものがあって、美味しかった。

昼から母も一緒になってビールを飲み飲み、午後はだんなと息子は速攻でまた滑りに行き、私は母がレンタルスキーの手続きを終えるのを待ってだんなたちに合流。午前中は晴れ間も覗く良い天気だったのだけれど、午後はあいにくの荒天で、地吹雪が感じられるほどの強い風と大雪に早々に下山。雪国育ちの母は「スキーなんて何年ぶりかしらねー」などと言いつつ、けっこう鮮やかに滑っていたのだった。

雫石プリンスホテル内 「プリンスルーム」にて
 夕食ブッフェ
 生ビール
 日本酒(堀の井)

ツアーのセット夕食は、ブッフェ夕食(朝昼と同じレストラン……)か、メインダイニングで洋食のコース料理か、和食のお店でコース料理かのいずれか。
「ブッフェがいいなぁ!」
「まぁ……君はそう言うよね……」
と、結局3食続けて同じ店になってしまったけれど、ブッフェレストランに行ってしまうことにした。折しも今晩は、そのお店で「わんこそば大会」開催とのことで、それもあってかレストランは大混雑。やっとの思いで4人テーブルを確保して、ビールや日本酒をもらってきつつだらだらのんびり楽しんだ。わんこそば大会の前には、青森の郷土の踊りの披露などもあって、賑やかな良い夜だった。

夕食ブッフェは、さすがに夕食らしく種類も豊富で目移りする内容。和洋中ひととおり揃っていて、海老団子の揚げ物が目の前で次々揚げられていったり(タルタルソースを添えて食べる)、良い感じにレアに焼かれた牛ステーキなども次々やってくる。母と息子は2人して「鴨、美味しいね」「鴨の燻製、私大好きなのよー」と合鴨の燻製を山盛りにして持ってきてみていたり、私もビールのアテに牛たたきやテリーヌなどをあれこれ持ってくる。稲庭うどんや、自分で茹でるしゃぶしゃぶコーナーなどもあったりした。

ビールを飲み干し、次は日本酒に移行して辛口の酒を舐め舐め、秋刀魚の自家燻製やお刺身なども持ってきつつ、最後は、「ひっつみ鍋」というのを啜ってきた。

写真に撮ろうとしたら
「やめてよー、そんな貧乏くさい料理、写真に撮ったりしないでー」
と母にたしなめられたのだけれど、聞けば子供の頃にさんざん食べてきたものなのだそうで。関東では「とんすい」にあたる、平たいペラペラとした布状の小麦粉団子の入った煮込み汁だった。大きな鶏団子や大根、人参なども入っている。具沢山で全然「貧乏」って感じじゃないじゃない、と、構わず写真を撮ってみたりして。

調子に乗って、ビール飲んだ後に4合瓶の日本酒も空にしてしまったものだから、部屋に帰る頃にはすっかりへろんへろん。スキー疲れもあって、まだ9時にもなっていない時間だというのに早々にベッドに沈没してしまったのだった。明日は一日晴れると良いけど、どうだろう。

2月24日 日曜日
初わんこそば記録は43杯でした。
雫石プリンスホテル内 「プリンスルーム」にて
 朝食ブッフェ

だんなは今回、ものすごい勢いでスキーを堪能している。
「朝の山頂の気温は、普通にマイナス10度を下回ります」
という説明を聞いただけで「いい、お部屋で寝てる」と私と息子は即刻降参したのだけれど、だんなは1人元気に早起きして、ホテルの早朝スキーイベントに出かけていった。なんでも営業前のゴンドラを特別に動かして、山頂からその日初めてのお客さんとしてファーストトラックを体験するイベントなのだとか。

「お父さん、元気ねー」
「元気だねー」
などと話しつつ、私と息子そして母も一緒に、だんなが山頂から滑り始めたであろう時間にホテルで朝御飯を摂った。昨日と同じブッフェスタイルの朝御飯で、昨日は洋風寄りのものばかりを食べていたので、今朝は和風に。

御飯と野菜スープ(味噌汁もあったけれど、にんにく風味のソーセージ入り野菜スープの方を選んでみた)、焼き海苔とたらこと納豆、卵焼き。サバの味噌煮と筑前煮、イカと大根の煮物、笹かまぼこと青菜のおひたし……と、そんな感じのものを持ってきてみた。

圧倒的に洋食が好きな母は
「よく、朝から煮魚とか食べる気になるわねー」
などと言いつつ、フルーツとヨーグルト、トーストにボローニャソーセージにオムレツに野菜サラダといった、私とは対極の料理の選択をしている。息子は息子で卵コーナーでオムレツを焼いてもらって、小型のパンケーキをどっさり積んできたりしていた。

昨日も堪能したけれど、ドリンクコーナーにある「小岩井牛乳」がものっすごく美味しい。新鮮なせいかな、それとも成分とかも違うのかしらと思いつつ、今日も朝からコップに3杯飲んでしまった。最後は紅茶半分牛乳半分のミルクミルクしたミルクティーも飲んで、スキーの準備。

雫石スキー場内「レストランアリエスカ」にて
 フライドチキンとポテトセット
 生ビール

朝スキーから帰ってきただんなも合流して4人でのスキーだというのに、午前中は「本当のところは仲悪いんですか私たち」というほどに単独行動だった私たち。だんなは一人急斜面に挑みに山頂方面に向かい、残りの面々は同じリフトを使っての初級者コースで遊んでいたのは良いのだけれど、
「いいわよ、私ゆっくり行くから、あんたたち勝手に滑ってなさいよ」
という母と、
「びゅんびゅん滑っていい?もうリフトも1人で楽勝だし」
という息子と、息子を追いかけて一緒に行きたいところだけれど、もう息子の滑走スピードについていけなくなりつつある私の呼吸が全然合わず、それぞれ勝手な感じに滑っていた。幸い、ゲレンデとリフトが並行していてお互いが見渡せるので、お互い手をふってみたりしつつ、最後はゲレンデ麓のロッジで落ち合ってお昼御飯。息子はまた一つ何かを掴んだようで、ボーゲンから脱出できてはいないながらも実に鮮やかに滑れるようになってきた。

今日の夕飯は早めの時間にわんこそばを予定しているので、お昼はごく軽くフライドチキンとポテトをおつまみにビールを飲んでおしまいに……というつもりだったのだけれど、母が頼んだホワイトカレーが母の口には今ひとつ合わなかったらしく、「残り食べてよ由紀ちゃん」とお鉢が回ってきてしまった。結局、お皿1/3量ほどのホワイトカレーも手伝いつつ、ビールとチキンとポテトというお昼御飯に。

ホワイトカレー、私も一度くらいしか食べたことがないのだけれど、以前食べたそれはちゃんとカレーの味だった。このロッジのそれは、ホワイトシチューをベースに、カレーの風味をほんのり漂わせてみました……的な、確かにちょっとビミョーな感じのもの。海老や帆立、アサリなどのシーフードが具になっていたのも、母には「お肉の方が良いのに」という感じだったらしい。

午後は皆で別の初級者コースを試しに行ってみたり、だんなと息子が2人で中級者コースに行ってみたり、私と母は疲れてしまって後半ロッジでお茶してみたり。雫石のゲレンデの雪は、ここしばらくの天候の状況もあったのだろうけれどなかなかにアイスバーンでシャリシャリした雪質。降ってくる雪は結晶の形を残した見事な粉雪なだけに、「アイスバーンの上に、ふかふかの新雪」という、転倒を誘う危ない場所がそこかしこにあった。昨日はリフトに乗っていると上からぽたぽた水が垂れてきたりもして、気温が案外高いのであるらしい。今日は晴れ間を覗かせつつ、でも気温は低めな1日だった。

午前中楽しんでいたあたりは、山の中腹にあたるところ。ホテルに帰るには中級コースの「熊落とし下山コース」なるところを行くか、ロープウェーを使って下山しなければならない。これも最後だし、と、皆で「熊落とし」を滑ってきた。だんなと息子は楽勝のペースで視界から遠ざかっていったけれど、母と私はヒーヒー言いながらなんとか下山。「熊落とし」部分はほんの300mほどの距離だったと思うけれど、狭くて急で恐怖感を煽る感じの斜面だ。
「ロープウェーで行けば良かったー!」
と悲鳴を挙げていた母もようよう降りてきたけれど、母の年齢を考えると普通に「すごいな」と思う。「スキーは10年ぶりくらいよ」と、シニア料金で買えるリフト券などに微妙に不満そうな顔をしていたけれど(シニア扱いしないでよって感じらしい)、いや、親子3代で一緒にスキーをするというのはなかなかすごいことじゃないかと。

午後2時頃にスキーを終えた後は、ホテルの温泉につかってのんびりしてから盛岡に移動。

盛岡 「東家」にて
 わんこそば \2625
 日本酒(中津川)

盛岡の名物と言ったら「わんこそば」。昨夜もホテルでわんこそば大会が催されていたけれど、せっかくだから一度くらい食べてみようと、駅前の「東家」というお店に予約を入れて行ってみることにした。わんこそばは食べないけれど見てみたいわと、母も同行することになり、母はかつ丼を注文。私とだんなと息子の3人で、初わんこそばを体験してきた。

面白いことに、「テーブルにお椀を重ねる」わんこそばと、重ねないわんこそばでは値段が違う。重ねる方は500円増しで、重ねられていくお椀で食卓はかなりな迫力の光景になる。私たちは、まぁ重ねなくても良いかなと、重ねない方で体験。次々上から降ってくるように入れられる蕎麦の碗は次々片付けられていくので、何杯食べたかのカウントは自分で、食卓に用意されたマッチ棒などを使って行っていく。自己申告になるのだけれど、最後には「わんこそば証明書」も渡された。大人なら、100杯を超えて食べると特製の「手形」が渡されるらしい。……100杯なんて、無理でした……。

「はい、どんどん」
「はい、じゃんじゃん」
「はい、まだまだ」
「はい、もひとつどうぞー」
というかけ声と共に、自分の持つ大ぶりの碗に、小さな碗から一口サイズの蕎麦が移されていく。茹でた麺に熱いつゆをくぐらせてあって、麺と共につゆ10ccばかりが移されてくるような感じ。つゆをいちいち飲んでいては麺が食べきれなくなってしまうので、いくらか溜まると卓上の専用容器につゆを捨てながらいただく。

麺はあまり色の濃くない、薄い色合いのもの。しこしこしていて、だしもそう甘くないもので好みなものだった。ちなみに15杯食べればかけそば1杯分になるのだとか。

麺だけではなく、卓上にはわさびを添えたまぐろのお刺身数切れと、鶏そぼろ、なめこおろし、漬物、焼き海苔、胡麻、葱などの薬味類もずらりと並べられる。合間にひょいひょいとそれを碗に入れながら目先をかえつつ食べると案外食べられるようで、やっぱり食べられないようで。お酒も飲みましょうよと母に誘われて注文した2合瓶の日本酒もちびちびやりながら、それなりのペースで食べてきた。

1つのテーブルに1人、おねえさんがついて、各自の碗に入れていってくれるのだけれど、20杯くらいが経過したところで
「はい、少々お待ちください、お代わり持ってまいりますー」
と、数十秒のインターバル。「もう、お蕎麦要らない」という事になったら、おねえさんが居るタイミングで、手元の碗を全て空にしてから次の蕎麦を入れられないうちに蓋をしなければならない。そこそこ手加減してくれていると思うのだけれど、これが案外難しい。

息子は、なんとか蓋をしたところで
「あら?お蕎麦1本残ってない?」
と言われ、確認しているうちにするりと蕎麦を追加され(本当に蕎麦が1本碗の底に残っていたのだった)、それを食べきってようよう蓋を。

私は、「お代わり持ってきますー」とおねえさんが席を外れたところで蓋をしていたら
「あら、ダメですよー、私がいる時に蓋してくださいねぇ」
とそれから数杯碗を重ねることになり、ようよう蓋をすることができた。蓋をして
「あら、お上手でしたー」
と誉められるというのも面白いものだ。

結局、私が43杯、息子は21杯、だんなは83杯。なんでも女性平均で30〜40杯、男性平均で60〜70杯というところだそうだから、それなりには食べていたらしい。だんなは100杯超えを本気で目指していたようだけれど、100杯の壁はなかなかきついものだったようだ。

岩手の地酒も買って(もとい、母に「お土産よ」と買ってもらって)、母と別れて東北新幹線に乗って帰宅。停電の影響があって新幹線のダイヤが乱れていたようで、帰宅は予定の1時間ほども遅いものになってしまったけれど、充実した2日半のスキー旅行に皆とても満足。
「次は雫石じゃなくて、安比かなー」
と、ブルートレインに来年も乗る気満々な私たちだった。