食欲魔人日記 02年02月 第4週
2/18 (月)
めばるの"干蒸魚" (夕御飯)
551蓬莱の
 豚まん
抹茶入り玄米茶

おたふく風邪発症4日目の息子。最初右側だけだった頬の膨らみが、左も美しく膨れ上がりつつある。起きあがった息子の顔は、笑えてしまうほど大福のようにぱっつんぱっつんだった。見事なまでの二重顎。
「ああ……こうしてみると君は田中康夫に似ているねぇ」
冗談を言っている場合ではない。「……いたいよ、いたいよー」と涙目になる息子を連れて、今日は医者に来いと言われている。

朝御飯は、冷蔵庫内にストックされている551蓬莱の豚まん。さすがに少々固くなってきてしまったけれど、まだまだ美味しい。味のある皮を噛みしめ肉を飲み込み、茶を啜ってだんなの出勤をお見送り。

シナモントースト
ホットラム酒ミルク砂糖入り

近所には、だんなが幼き頃からかかっていた小児科兼内科のお医者さんがいる。だんなの両親も診てもらってる、三代続いてのホームドクターだ。今時珍しい状況かもしれない。
「由紀さん、あなたまだN先生のとこ行ったことないでしょ?一緒に行きましょう」
とお義母さんが我が家にやってきて、3人でおたふく風邪診療に。

途中には、越えねばならない踏切がある。息子はそれが大好きで、通る度に「カンカンカン、みるよー」と電車の通過待ちを望むのが常だ。往路で案の定「みるよー」と言い出した息子に対し、お義母さんは
「はいはい、今は急いでるから帰りに見ましょうね〜」
と言い放つ。で、数時間経過しての診療の帰り、同じく「みるよー」と言い出した息子に、
「そうそう、約束だったわね、電車見せてあげなきゃならないわね、ほほほ」
と。

「ええ、そうですね……約束したもんね?」
と息子を振り返りつつ自転車を止めたところで、お義母さん、
「それじゃ、私は帰るわね、ほほほほほ」
と去っていってしまった。
おいおい、そもそも最初に「帰りに見よう」と妥協案出したのは誰だよ!
ツッコミは虚しく胸に響く。
この路線、本数はそれほど多くない。平日の昼間なら、10分に1本以下ということもある。案の定、私は息子と共に踏切で10分ほど電車を待つ羽目になった。ま、約束しちゃったしな、息子は悪くないよな。

このへんの"しょーがないなー、もー"という状況は、私はもとよりだんなも義妹も義弟も心底、身に染みているものらしい。
「おゆきさん、そこで怒っていてはまだまだ小物。呆れるのもまだぬるい。精進すれば何も思わないようになるから」
とだんなは笑う。いや、私もただただ「あ"〜まったくも"〜」と脱力するだけで……不仲というなら私と実母の関係の方が、余程壮絶というか。嫁姑関係は概ね良好というか。

相変わらず頬パンパンの息子と帰宅して、わたわたと昼御飯。
「何、食べる?食べたいのある?」
と聞いたらば
「ぱん〜、ばたーぬるの。ぴーなっつのばたー」
と即答された。はいはい、ピーナッツバター塗りのパンでございますね、喜んで。

息子には、リクエスト通りピーナッツバターを塗ったパンを牛乳と一緒に。私の分はシナモントースト。厚切りパンにバターを塗ってトーストし、焼けたところでシナモンパウダーとグラニュー糖をふりかけて、あと数分トースターに放り込む。温めた牛乳にラム酒をだばだばと入れ、砂糖も放り込んでアルコールの香りのホットミルクが私用のお供。
「おかーさんの、おかーさんのも、ぎゅうにゅう?」
と聞いてくる息子に
「そーだよ、牛乳だよ。ただ、ちょっとアダルトバージョン」
と答える。

「あ、あだるとなのぉ〜?」(←意味わかってない)
「そうそう、アダルトなの」
「そっか、あだるとなのか、うん、そっか」
「そうそう、アダルト」
「あだると、かー」
……意味は全く伝わっていないような気がする。

めばるの「干蒸魚」
残りものの肉じゃが
中華風牛肉とわかめのスープ
アジアン・デリの油淋鶏丼
モルツ、冷茶

米が、ない。一昨日気がついた段階で残りは1合とちょっとというところだった。これでは飯が炊けない。慌てていつも頼む農園に注文を出したものの、米の到着は明後日だ。2日待てば米が来るから、スーパーあたりで買ってくる気もいまひとつしない。で、だんなに、駅前の中華デリで丼を買ってきてもらった。

それに合わせて、メインディッシュは「干蒸魚」。冷蔵庫に入っていためばるに塩をし、葱を敷いた皿の上に乗せる。生姜の薄切りを添えて紹興酒をピピピッと振ったら蒸すこと15分。皿に染み出てきたスープを取りだして醤油や酒を入れて調味し煮立てて上からぶっかけ、白髪葱と生姜の千切り、香菜を山盛り盛りつける。仕上げは煙が出るほど熱した胡麻油を、上からジャーッとかければできあがり。「清蒸鮮魚」なんて名前でもあったように思う、蒸し魚の基本の1つだ。

中華の丼ものと、蒸し魚。牛肉のスープも作った。これで食卓は美しく完璧に彩られたはずなのに、冷蔵庫に残っていた肉じゃがを出した途端に、食卓のバランスは見事なまでに崩壊した。無国籍と言えば聞こえはいいけど、どうみても肉じゃがは食卓に異質だった。でも、美味しいからOK。

胡麻油の香り漂う蒸し魚はぷるぷると柔らかくてなかなか美味しかった。味つけは醤油と紹興酒と塩と胡椒という感じ。シンプルだけど香味野菜の味が絡み合って、酒の肴にも御飯のおかずにも似合う。
で、息子といえば、「これなら食べられるかな?」とだんなが買ってきたクリームコロッケをがつがつ食べた挙げ句、
「その、そのおにくたべるよー」
「……え、揚げた肉食べるの?」
「ごはんも、たべるよー」
「……え、御飯も食べるの?」
「そのおやさい、たべるよー」
「……げ、刻みキャベツ(←コロッケについてきた)も食べるの?」
「うん、たべるの」

おたふく風邪の腫れは、いっかにも痛そうなのである。めちゃめちゃ痛そうなのである。しかし息子、食べる食べる食べる。スープの巨大な牛肉の塊を食いちぎり、コロッケを囓り、御飯もわしわしと口に運んでいる。……あ、キャベツも喰っちまった。

2/19 (火)
スパゲッティカルボナーラ (夕御飯)
551蓬莱のあんまん
551蓬莱の焼売
中華風牛肉とわかめのスープ
煎茶

先日、通信販売で一体何個買ったものだか、まだ冷蔵庫は大阪の豚まん屋さん「551蓬莱」の商品に占拠されている。んが、豚まんはめでたく無くなった。あとは、あんまんと、焼売くらい。
「あんまん、食べる?」
「うん〜、食べる〜……あ、昨日の晩のスープも、飲む?」
「うん、飲む〜」
「……いや、でも……あんまんには似合わない……か?」
「いやいや、気にしない〜、飲んじゃえ〜」
「そうねそうね、飲んじゃえ〜」
眠いもんだから、夫婦揃ってやる気がない。調和してないのは承知の上で、あんまんとスープと焼売の朝御飯。

551蓬莱の豚まんは、そりゃ目玉商品だけあって美味しいんだけど、焼売もまたかなりいける。その味は、「肉まんの具を皮で包んだだけなんじゃないか、もしかして」と思えなくもないけど、その腹持ちの良さそうな肉肉した食感が心地良い。でかいし。

2段重ねホットケーキ
オレンジジュース

おたふく風邪5日目の息子、まだまだ大福顔。最初に耳頬だけが腫れてきて、数日前にやっと左側が膨らんだりしたものだから、お医者さん曰く「こうやってズレるとね、完治までに時間がかかっちゃうのね〜」だそうである。ま、あと数日大福顔ということで。これも試練だ、息子よ。

痛そうな外見の割にはがつがつ何でも食べる息子だが、一応病気なわけなので好物でも作ってやろうかと思う。
「ホットケーキ、食べますか?」
と聞いてみると、
「うん!けーき、けーきたべるよー。けーきけーき」
とケーキを連呼し始めたので、今日の昼飯はホットケーキ。苺刻んでリンゴ煮て、ホイップクリームつけてフルーツホットケーキかなぁ……と一瞬悩むも、「うん、やっぱりスタンダードなやつが一番だよな、うん」と、ごくごくごくごく普通のホットケーキ。ホットケーキミックスに卵と牛乳ぶちこんでかき混ぜて、焼くだけ。焼いたらバターとホットケーキシロップぶっかけるだけ。

ハチミツかけたりメープルシロップかけたりするより、「合成香料の香りがするよなぁ」と思いつつもホットケーキシロップをかけるのが好きだったりする。バターはちょいと良いめのを使う方が好きだったりするけど。
息子と私、ぽってりとした直径20cmほどのホットケーキを1人2枚ずつ盛りつけた皿を前にして、一緒に食べた。きつね色のふわふわとしたホットケーキは、甘くてあったかくて、何というか、なごむ。
「いいね、美味しいね」
「うん、おいしーねー!」
「何というかさ、和むよね」
「なごむの?」
「そうそう、和むの」
「そっかー、なごむのかー。すごいなー、そっかー」
また、息子に言葉を1つ教えてしまったぜ。(昨日は"アダルト"とか教えてるし……)

スパゲッティカルボナーラ
グレープフルーツ
モルツ、アイスカフェオレ

伝染病の子供がいるので、病院へ行く以外は一歩も家から出られないのである。もちろんスーパーマーケットなどに連れて行けるわけもない。で、食材が底をついている非常に危機的状況の我が家。米もないし魚も肉もない。牛乳もなくなりそう。大ピンチだ。

で、だんなが帰宅ついでに買い物してくれることになった。サランラップの底値も把握している我が夫は、はっきり言って私よりも買い物上手だ。「キュウリはイボイボがトゲトゲしている方が良いんだよな」「キャベツは切り口が新鮮そうなやつを……と」と食材を吟味する後ろ姿は素敵だ。というわけで、買い物よろしく、だんな。

だんなを待つ間、ちゃちゃちゃと準備して待っていたのはスパゲティ。チーズと卵と生クリームはあったので、これを使ってカルボナーラ。どうもスパゲティというやつは、作るとそれだけをわしわしわしわし食べるのが快感であったりするので(だって伸びちゃうし)、おかずやサラダやスープは本当のところあまり作りたくない。1人分200g超というような山盛りのパスタを前にして平らげていく悦びは快感そのものだ。

幸い、イタリア版ベーコン"パンチェッタ"も買い置きしてあった。ベーコンよりは水気が多く、ベーコンよりは塩辛い。脂っけも強いので、細切りにしてじくじく炒めると大量の脂が染み出てきてカリカリになってくる。
巨大なボウルに刻みチーズと生クリームと卵をぱかぱかと放り込んでかき混ぜておき、そこに茹でたてのスパゲッティを投入、上から炒めパンチェッタも放り込む。スパゲティがアツアツのうちに、麺を上下に揺さぶるようにしながら全体を混ぜれば完成。うまくすると、それだけで卵が半熟状態になる。今日は、大成功。良い感じに半熟になった。

乳脂肪は山盛り入ってるし、脂っこいパンチェッタもぞろぞろ入ってるし、そもそもパスタは超山盛りだし、きっと恐ろしいほどのカロリーなのだろう。でも美味しいのよね。食べられちゃうのよね。ていうか、スパゲティはエンドレスで喰えるのよね。もぐもぐ。

2/20 (水)
串カツwithミソソース (夕御飯)
くまビスケット
牛乳

夫婦揃って、見事に寝坊。
7時丁度に寝室のテレビが目覚まし時計代わりに動き出し、その10分後には時計も鳴るようになっている。だんながバシッと目覚まし時計のスイッチを切り、そのまま誰も起きることなく1時間眠りこけてしまった。一応テレビの音声は聞こえていて、
「あー、生放送?スケートやってる?おおー、世界新記録おめでと〜」
などと思いつつ、気がつくと8時。

「うげっ、仕事仕事仕事っ!」
と、急ぐだんなを送り出し、その1時間後に起きてきた息子と朝御飯。
「なに食べたいですか?」
と聞いてみたら、ダイニングテーブルの上に置いてあった貰いもののクマ型ビスケットの箱を持ってきた。
「これ!これたべるのー」
「……それはお菓子だよ」
「おかしー、これたべるのー」
「うーん……(美味しそうだなぁ……)」
結局、親子揃ってビスケットの誘惑に負けて、牛乳片手にビスケットつまんでしまうこととなった。近所の奥さんにいただいたビスケットは見慣れないパッケージで、良く見るとオーストラリア製。泣き顔やら笑い顔やらのクマが何種類もざくざく入っている。バターとハチミツの香りたっぷり、甘さも強めの、いかにもなビスケットだった。……ん、旨いぞ。

カレーうどん
アイスウーロン茶

昨日、だんなの実家から冷凍うどんをお裾分けしてもらった。
「カレーうどんとー、きつねうどん、牛肉うどんがあるんだけど?」
「いやぁ、何でも好物ですぅ〜」
と、3種類1個ずつ貰ってしまった。冷凍状態のまま、具がついている側を下にして熱湯に投入してしばし待て、と書いてある。うどんとカレーが一緒にガチガチに凍っていて、何やら面白そうだ。きつねうどんは、でかい油揚げがうどんに貼り付いている。何だか奇妙だ。

息子と2人でカレーうどんを半分こ。煮たらそのまま食べられるものなので、「……器出すの、めんどくさいぞ」と思い、やっとこ鍋(←持ち手のついてない、日本版"ティファール"のような鍋)に作り、そのまま食卓に持っていってしまう。気分は一人暮らしの男子学生という感じ。じゃがいもやにんじんもコロコロと入っているカレーうどんに刻み葱だけぶっかけて食す。
今日は国会が面白いなぁ。ずるずるずる。

M井さん来たりて、宴会
 セルフ串カツ(豚肉・牛肉・帆立貝・ウィンナー・うずらの卵・カマンベールチーズ)
 生野菜(キャベツ・にんじん・きゅうり・プチトマト)
 切り干し大根の含め煮
 豚汁
 羽釜御飯
 モルツ、アイスウーロン茶

久しぶりに、我らの友人M井さんがやってきた。冷蔵庫には名古屋「矢場とん」の味噌ダレが2瓶入っていて、これを消費しようということで、セルフ串カツの宴会にすることに。串に材料を刺した状態でテーブルに並べ、台所に小麦粉・卵・パン粉の揚げ衣セットを作っておいて、各々食べたいものに衣をつけてコンロの鍋にて自分で揚げる。せわしない宴会だけど、これが妙に楽しい。何しろ揚げたてのものばかり食べられるので、美味しいし。

皿に味噌ダレをだばだ〜と注ぎ、「二度づけ厳禁だからね」などと、名古屋文化と大阪文化がごっちゃになったような光景が展開される。生野菜もソースつけつつバリバリと。
M井さんはそこそこ料理ができるけど、餃子を包むことだとか揚げ物をすることだとかは一人暮らし故、ほとんど経験がないらしい。我が家に来ると毎回「生春巻を巻け」だの「餃子を一緒に包め」だの「葱刻め」だの「自分で揚げろ」だの色々言われながらも、楽しそうにあれこれやっている。今日もパン粉と大格闘だ。

衣をつけて、10秒ばかりサッと揚げたカマンベールチーズは表面さくさく、中はトロットロになっている。ものすごくビールに合う肴だ。M井さんはこれが気に入ったらしい。いそいそとうずらの卵などと一緒に手にしてパン粉台に何度も向かっている。
テーブルには味噌ダレの他、とんかつソース、ウスターソース、どろソースも並べて、勝手にあれこれつけてみる。豚ヒレ肉のカツには味噌ダレが良く似合うし、牛カツにはとんかつソースかなという感じもする。軽く揚げて中が生っぽい帆立もまた美味しい。結局、50本近い串が使用済み串入れに続々とたまることになった。皆さん、良く食べた。

で、M井さん、すっかり常なる習慣で当然我が家にお泊まり。
「……わたくしの着替えは、どこでしたっけ?」
「ああ、そこです、そこの天袋開けたとこ」
着替えを置いている我が家と、自らそれを押入から引っぱり出すM井さん。だんだん客なのか否かの境界が曖昧になってきている(いや、既に客ではないという噂)。

2/21 (木)
リコッタチーズのムース (朝御飯)
M井さんと、朝御飯
 ハムチーズのホットサンド
 コールスローサラダ
 カフェオレ
 リコッタチーズのムース

友人M井さんお泊まりの、朝。
大抵は「独身一人暮らし故、白い御飯と味噌汁に飢えていることだらふ」と、和食を出すようにはしている。が、今朝はホットサンド。最近好みのハム&チーズ、それだけじゃ物足りないので昨夜のうちにコールスローサラダを作っておいた。で、昨夜のデザートになるはずだった、でも全員揃って満腹になってしまって出すのを断念してしまったリコッタチーズのムースもテーブルへ。

リコッタチーズのムースは恐ろしく簡単で、そいでもってすこぶる美味しい。リコッタチーズをチーズ売場で発見しては
「あ、タルト作ろうかなー」とか
「確か牛肉にチーズのソースをぶっかけて、っていう料理もあったよなー」とか、
あれこれ考えて買ってくるのだけど、結局このムースを作ってしまう。生クリームを泡立てて、リコッタチーズとサワークリームを混ぜるだけ(作り方はこのへん)。乳製品だけで構成された(ま、砂糖は入るけど)、ふわふわした食感のチーズのクリームだ。ゼラチンも卵白も入らないので、厳密に言えばムースでもないしババロアでもない。そのまま喰っても旨いけど、メープルシロップやナッツをかけて食べても美味しい。

「ん、これ、美味しいですね」
「寒い日にホットサンドって良いでしょー」
「ええ、良いですねぇ」
皆でこたつに入り、ホットサンドをふがふがと食べる。

都内に勤めるM井さんは、だんなと一緒に出勤して行った。いつもと同じ黒いズボン(彼は同じようなズボンを何本も何本も持っている、ていうか黒以外のものは持っていないらしい)にいつもと同じ白いシャツ(彼は同じようなジャケットを以下略)、いつもと同じ寒色系ジャケット(彼は以下略)の出で立ちで、
「わたくしの理想とするコートが、ついに完成形になったのですっ!」
と、ケープつきのオーダーメイドコート(丈だのポケットだの、それはそれは細かなこだわりが隅々まで張り巡らされている)を翻して去っていった。

ああ……今回も"M井さんがお腹いっぱい"になってしまったわ。
(そしてまた数ヶ月で禁断症状が来るんだわ)

きつねうどん
アイスウーロン茶

おたふく風邪中の息子は発症7日目。明日医者に行って「完治だよん」と言われたら、やっとこの隠遁生活から抜けだせる。とりあえず、まだおとなしくしておく。今日の私は家でお仕事。某レストランのレシピページで、手元にあるのは美味しそうな料理写真ばかりだ。

集中して作業していたので、昼御飯は今日も手抜き。昨日に続いて具つきの冷凍うどんを湯に放り込み、茹でた鍋ごとテーブルに持っていって食べる。今回はきつねうどんだ。巨大な油揚げがべろーんとうどんに貼り付いていて、その面を下にして湯に入れたはずなのに、溶けた頃にはそれがぶわんと勝手に一番上に這い出てきていた。さすがだ、油揚げ。

このうどん、何でも"讃岐うどん"であるらしい。これをくれたお義母さんは電話の向こうで
「ほほほほほ、讃岐うどんが届いたのよー」
とか言っていたように思う。それは、再来週、讃岐詣でに行かんとする我らを知っての狼藉か!?(いや、狼藉じゃないと思うけど)
で、やっぱり「讃岐って絶対嘘だよ」と言いたくなるほど腰のないうどんだった。大体つゆがいりこだしじゃない時点で"讃岐"を名乗っちゃいかんと思うけど。

色々考えながら食べていたら、まだまだアツアツの鍋の縁に口をつけてしまった。……あぢぃ。

お総菜屋の
 焼売
 牡蠣フライ
 唐揚げ
切り干し大根の含め煮
納豆
2日目の豚汁
羽釜御飯
ウィンターエール、冷茶
苺 with 牛乳&コンデンスミルク

夕方過ぎて、でも作業は終わらない。夕飯を作る余裕が、あんまりなかった。で、御飯だけ準備しておいて、帰宅途中のだんなにヘルプコール。
「豚汁と、切り干し大根はあるんだけど、おかず買ってきてぇ〜」
だんなは、「ちょっと気になるね」と言っていた数ヶ月前にオープンした総菜屋で何やらあれこれと買ってきた焼売と、牡蠣フライと、鶏の唐揚げ。バランスが悪いような、ていうか「それってビールのつまみじゃん!」みたいな。でも、そういうのがお互い好物だったりするので仕方がない。

ビールを飲みながらつまみ……じゃない、おかずを食べまくり、御飯と豚汁を交互に喰らう。で、ちと物足りなかったので納豆も持ち出して、御飯をお代わり。美味しく御飯が食べられる毎日は良いことだ。息子に納豆半分奪われようとも。

2/22 (金)
ビビンバだ〜♪ (夕御飯)
551蓬莱の豚まん
抹茶入り玄米茶

数週間前に、我が家の冷蔵庫をその赤い箱で埋め尽くしてくれた551蓬莱の豚まんは、いよいよ残り少なくなった(ていうか、まだ残ってたんかい)。
朝からコンロに蒸籠をかけて、朝飯豚まん。相変わらず肉の部分に味わいのあるもちもちねちねちした豚まんだ。横浜中華街で食べるような、いかにもな中華風のブツを想像すると何だかちょっと違うような気もするけれど、日本人が好きそうな味がするというか。

今日は息子を連れて病院だ。おたふく風邪の頬の腫れは、やっと昨日からわからなくなりつつある。今日、「完治だよ」と言われたら、2人で一緒に寿司喰って帰ろうね、と約束して病院へ。
私は病院が大嫌いだ。健康体でも行きたくないのに、病気になった日にはもっと行きたくなくなってしまう。あの独特の匂いも嫌だけど、何しろ待合室に病人がウヨウヨというのが一番つらい。健康体も、ここに数十分いたら色々うつされてしまいそうだ。が、「治癒証明書」を貰うためにも、行かぬわけにもいかないのであった。あ、待ち時間が異様に長いというのも耐えられない。とにかく医者は鬼門だ。

で、息子と二人、少々暗い気持ちになりながら病院に向かう。2時間待ち、1分の診療。「はい、完治だよ」と言われて、「やったー!」「やったー」「寿司喰おう、寿司!」「んとねー、たまごとねー、いくら!」と、とっとと医者を後にした。1週間ちゃんと隠遁していた、自分と息子へのご褒美に、いざいざお気に入りの回転寿司屋「銚子丸」へ。

息子と2人で、稲毛海岸 銚子丸にて回転寿司
 活かんぱち
 かわはぎ
 あん肝軍艦
 平目
 いわし
 白子軍艦
 煮穴子
 うずらねぎとろ
 マンゴプリン
などを、食す。何故親子2人で3600円……(汗)

時間は11時ちょいすぎの開店直後、タイミング良く親子2人で開店寿司屋のドアを開けた。ん、まだガラガラだ。……と言っても既に10人以上が寿司をつまみ始めている。「ソファ席でもよろしいですよ」と案内され、6人がけの席に息子と向かい合いで座り合う。うへへへへ。

速攻で玉子といくらとジュースを自分でセレクトした息子を前に、「よーし、今日は喰っちゃるぞー」と、黒板を見て"今日のおすすめ"から注文しまくる。かんぱち、かわはぎ、あん肝に平目。注文しては平らげ、また注文。
でかくて分厚い切り身が乗るかんぱちは、綺麗なピンク色の身にねっとりと脂が乗っている。比較的淡白な味わいのかわはぎ、あん肝はもみじおろしと万能葱に酢醤油のタレがかかっている。あん肝だとか白子だとかは、寿司で喰うというよりもそのまま箸でつまんで食べた方がきっと美味しい。でも食べる。うふーん。

緑と黒と赤と紺の皿がそれぞれバランス良く積み上がっていき、そろそろ息子と私も満腹になってきた頃。
素晴らしくタイミングが良いんである。今のとこ、店内の子供は息子だけ。息子へのピンポイント攻撃なのかと疑ってしまう。
「はーい、新鮮なフルーツの盛り合わせ、はいりまーす!」
「完熟のメロンでーす!」
「ゼリーやプリンもぜひどうぞー」
「当店自家製のマンゴプリンでーす!」
ぐるぐる回りだすデザートの数々。もう息子の目は回る苺に釘付けだ。苺の動線に合わせて息子の首が左右に揺れ続けている。仕方がないので、綺麗に寿司を食べ終えた息子に苺とメロンの盛り合わせを1つ。ついつい気になってしまって私は150円のマンゴプリンを1つ。

自家製と言っていたので、ほんの少し期待していたマンゴプリンだったけど、その実は「マンゴプリンの素」を溶かして固めただけの、それはそれはトホホなものだった。やっぱりこういうとこでデザートの味に期待しちゃいけなかったのかもしれない。(でも、焼き肉チェーンの「牛角」のデザートはなかなか美味しかったりするんだよなー、見習って欲しいなぁ)

久しぶりの外出は気温も高く、とても快適。ホームセンタで花の苗を物色し、100円ショップで文房具類などを買い、ショッピングモールの中の遊具コーナーで息子を存分に遊ばせて、のんびりと帰ってきた。
息子、完治おめでとう。これで何でも食べられるねっ(病気中も何でも食べていたような記憶はとりあえず置いておいて)。

ビビンバ
3日目の豚汁
ウィンターエール、アイスウーロン茶

先日、会社帰りにスーパーに寄っただんなが
「ビビンバ、食べたいと思ってさー」
とほうれん草やもやしやゼンマイを買ってきた。材料を見ていると食べたくなる。で、ちょっとばかり面倒くさくはあるものの、夕食はがんばって、ビビンバ。

いかなる料理でも良い食材と技術と愛情が必要なものだとは思うけど、ことビビンバに関しては、愛情の込め具合が味に如実に反映するような気がする。話によると、同じ材料、同じ調味料を同じ分量でナムルを作っても、作る人によって全く味が違うらしい。達人のオモニ(おばちゃん)が作るナムルは本当に絶品で、「それは手からオモニ液が出ているからだ」などと言うとか。ならば私も「せりあ液」を出さねばならない。どんな液なんだそれは。とりあえず、「美味しくおなり」と念じながら料理する。

レシピも色々だ。私のレシピデータベース(←本や雑誌などを見て、作りたいと思ったものを片っ端から入力した自作データベース)の中には、dancyu掲載版と、ソウルハウスという韓国料理屋版、チューボーですよ放映版の3種類のビビンバレシピがある。各食材ににんにくをたっぷり混ぜ込むものだったり、砂糖を混ぜるものだったり、大根が入ったり入らなかったり、色々だ。ただし必ず胡麻と胡麻油はたっぷり入り、もやしとほうれん草、ゼンマイは必須のようだ。今日はdancyu掲載版を参考にしてみた。にんにくは、入らない。

ほうれん草はざく切りにして茹で、塩と胡麻油と胡麻を混ぜる。もやしも同様に。水煮ゼンマイは醤油と砂糖を軽くまぶしてから胡麻油で炒める。大根は塩をしてしんなりしたところで酢と砂糖と粉唐辛子を揉み込む。にんじんは細切りにして胡麻油で炒めて塩をふるだけ。牛肉は、サイコロステーキ用のごろごろしたものだったので、ちょっと細かく刻んでからにんにくと醤油で炒めてみた。1つ1つは簡単だけど、それぞれ1つずつやっつけていかなきゃいけないので、なかなか大変だ。

炊きたての御飯をどんぶりに盛り、できたナムルを盛りつけて、炒めた牛肉も盛る。卵黄落として胡麻ふって、美しく仕上げて「いただきます」と手を合わせた後は、問答無用にめちゃらくちゃらにかき混ぜる。御飯と野菜と卵と肉がぐっちゃぐちゃに混ざったところで、いざいざ食べる。

野菜それぞれの味がしっかりと感じられ、にんにく風味の肉はごろごろ、卵黄が絡んだ御飯はキラキラと輝いている。コチュジャンをちょっと混ぜた御飯はじんわり辛くて、胡麻の香りがそこかしこに漂ってくる。口の中のそこらじゅうが美味しすぎて、いけない。

自分で作ったビビンバは、それはそれは美味しいものだけど、へんこ山田の胡麻油を使うようになってからというもの、
「こ、これはヤバい味だよ、人間がダメになるよ!」
「ていうか、これなら金取れるかも、売れるかも!」
「……いや、原価もかかるし、利益出ないよ……」
という非常に危険な領域に近づきつつある。どのくらい危険かというと、山盛りのビビンバを喰ったあとに「お代わり〜♪」と計3合の米(にナムルを超山盛りにして)を一家で食べきっちゃうくらい危険なのだ。これはマズイ。何しろ食べた直後にそのまま後ろへ倒れ込み、満腹すぎて30分ほど動けなくなっちゃうのだから。

2/23 (土)
桃源(千葉そごう)にて昼定食「海老チリがけ炒飯」 (昼御飯)
ハムエッグチーズのホットサンド
アイスカフェオレ

快晴の日差しがカーテンごしに入ってきて、思わず9時過ぎに目を覚ました。昨夜寝たのは午前1時を回っていたので、ちょっとばかり眠い。ぼへ〜っと洗濯機を回し、花に水をやり、窓を開けて空気の入れ替えなどをしていると、だんなも起きてきた。それじゃあ布団も干そう。

朝食は、ホットサンド。最近定番のハムとチーズに加え、今日はマヨネーズ和えゆで卵入り。具沢山のホットサンドは、焼き上がりがムチムチパンパンといった様相になって、そういうのがまた美味しい。やりすぎるとチーズが端から溢れてきてホットサンドメーカーの中で溶けたり焦げたりするので要注意だ。やりすぎはいかん。

アイスカフェオレをコップに2杯飲み干しつつ、カリカリサクサクのホットサンド。寒いうちにあと10回か20回は食べておきたいところだ。

千葉そごう 「桃源」にて
 昼定食(海老チリがけ炒飯・スープ・ザーサイ)
 タピオカマンゴーミルク

「牛すじ煮込みがひっさしぶりに食べたいぞー!」
とだんながおっしゃる。ならば、デパートにでも行って良いめのスジを買ってきたいところだ。
「きいろいでんしゃ、のりたいなー」
と2週間ぶりの電車おでかけに、息子は燃えている。というわけで、電車に乗って千葉駅へ。

「お昼御飯、なに食べたい?」
と息子に聞いてみる。普段は「俺はパスタな気分〜」「私は洋食が食べたい〜」などと、割と息子の意向は却下されることが多い。今日は快気祝いも兼ねて、彼の食べたいものを食べさせてあげたいところだ。
「んとねー、ちゃーはん!」
チャーハン、ときた。このへんに美味しい中華料理店はあっただろうか。ぷらぷらそこらを歩いた結果、千葉そごうの上、という無難なところに落ち着いた。なんでもホテルオークラ経営の中華料理店らしい。

息子には1200円のお子さまセット。息子期待の炒飯に海老のフライ、シュウマイ、卵ときのこの炒め、卵スープにオレンジジュース、ライチにバニラアイスがセットになっている。千葉そごう内大衆食堂のお子さまランチを「おいしくなーい」と言い切った息子も、この中華お子さまランチには満足したらしい。いきなりライチに囓りつき、フライも卵炒めにも真剣に取り組んでいる。

私は「本日のランチ」を。卵と葱のシンプルな炒飯にピリ辛の海老チリがかかっている。海老は少なめ、野菜が多め。赤いあんの下にはふわふわとした卵炒めも入っていた。なかなかなボリュームだ。淡白な味のスープは今ひとつ「美味しい〜!」というほどのものでもなかったけれど、安心して食べられる味ではある、というか。

デザートメニューに「タピオカマンゴーミルク」なる非常に気になるブツがあったので、これも頼むことにした。陶器の器に入ってきたのは濃厚な黄色の、南瓜のスープのような外見のもの。中にはタピオカがぷるぷると山盛り入っている。マンゴーの風味がしっかり漂うとろんとしたスープ状のものは、ココナッツミルクもたっぷり入っていた。レモンかヨーグルトか、爽やかな酸味も漂ってくる。このデザートは、美味しかった。だんなが頼んだ杏仁豆腐もかなり本格な味。杏仁の香りがふわふわと漂い、甘味は少なめ、さっぱりとしたプルンプルンの杏仁豆腐だった。

食後、食料品売場を散策して、帰宅。牛すじも、きっちり買えた。松坂牛だ。ぐふふ。

きじ焼き丼
4日目の豚汁(そろそろデンジャー)
冷茶

本日だんなは飲み会らしい。4時すぎに出ていっただんなを見送り、息子と2人で夕御飯。昼食が遅かったので、ちょっと遅めの夕御飯。「三河赤鶏」なる鶏肉を1枚買ってきたので、これを使ってきじ焼き丼。正式な作り方がいまひとつわからなかったので、適当に作ってしまう。

鶏に塩胡椒をし、カンカンに熱したフライパンで1枚の塊のままガーッと焼く。ひととおり火が通ったら、鶏と一緒に買ってきたつくねと、ししとうも放り込む。で、醤油と味醂をだばだ〜と注ぎ入れ、水も少々。調味料をこってり絡めつつ煮詰めていって、適当な濃度になったら御飯に盛りつける。適当な割には美味しくできた。少々危険な味になりつつある4日目の豚汁も椀によそって、いただきます。

焼いてタレ絡めただけのシンプルな鶏肉は、肉の良い味がそのまま滲み出てくるような感じで感動するほど美味しかった。10玉300円で売られていたつくねも、軟骨が入っているのかコリコリと歯ごたえがして、これもまた旨い。辛みの強いししとうも、醤油と味醂が絡んでこれまた良い味だった。
「ん〜、おいしーよー」
と食べていた息子も、昼の炒飯よりもスプーンの進み具合が早かったりして、実はそれが嬉しかったり。そうかそうか、旨いか。

食べている間に、いつも見ている「アド街ック天国」が始まった。今日の特集は「勝ちどき」。
私は大学1年から結婚する時まで6〜7年間、晴海の集合住宅に住んでいた。結婚後も、昨年頭に母が郷里に帰るまでは、そのまま母が住んでいた住宅を何かと訪れていた。懐かしい「庭」だった場所だ。

が、なんなんだ「トリトンスクエア」とか「トリトンブリッジ」とか「クィーンアリス」とか「トゥーランドット」とか。昨年開店の店とか何とか、「こここ、こんなの私の知ってる庭じゃない!」という感じがひしひしとした。知らないところの方が多いという感じ。何度か通ったワインバーとか、なかなか美味しい焼き肉屋とか、私の知る店はほとんど出なかった。晴海は、のんびりチャリこいで埠頭に行って、ぼへ〜っと海眺めながら芝生に座ってホットドッグ食べたりするのが楽しいなごめる場所だったんだけど、何だかすっかり人気スポットになっちゃったらしい。
「あー、昔はバスしか通ってなくて、"陸の孤島"ってバカにされてたんだけどねぇ」
と呟く私はちょっとばかり老人気分。

2/24 (日)
牛すじ葱スパ (昼御飯)
冷凍カレーピラフ オムライスもどき
冷茶

午前10時起床。今日もそこそこ良い天気。今日は読書したりレシピデータベースを充実させたりと、のんびりした1日になる予定。

朝御飯は、簡単に買い置きの冷凍ピラフを食べることに。私が掃除機をかけている間に、だんなが中華鍋でピラフをせっせと炒めてくれた。皿に盛りつけ、何故かその後もコンロの前で揺れている。何をしているのかと思ったら、薄焼き卵を焼いていた。盛りつけたカレーピラフの上に片面だけ火を通した半熟の薄焼き卵をぺろっとかぶせ、オムライスもどきにしている。おお、そりゃ美味しそうだ。

アツアツに炒めたカレーピラフに、綺麗な黄色の薄焼き卵。インスタントな味わいだけど、あったかい食事はあったかいだけで美味しいものだ。今日も平和〜。

だんな特製 牛すじ葱スパ
アイスカフェオレ

アンナミラーズのバナナパイ
アメリカンコーヒー

昨日購入してきた、松坂牛の牛すじ肉。すき焼き用の肉なんてまず買えないような高級肉屋に行っても、牛すじ肉だけは泣けるほど安い。昨日買ったのは100g60円だっただろうか。高級店であるほど、店頭のショーケースに牛すじが入っているわけもなく、
「牛すじ、ありますか?」
と聞かねばならない。ちょっと恥ずかしいけど、慣れつつある今日この頃。700gほどのすじ肉をビニール袋に入れてもらって、うきうきと調理する。

何しろ、味が全然違うのだ。スーパーで売っているような牛すじは、何だか半分冷凍されているような感じで、どことなくカサカサした感じ。国産か国外産かの区別もついていなかったりする。ていうか、混ざっているのかもしれない。松坂牛の牛すじは、僅かについた肉の部分もどことなくサシが入っていて、白いすじ部もねっとりと美味しそうに光っている。肉が旨い牛ならば、当然すじだって旨いのだ。それに、どこで買っても値段はさほど変わらない。だから、「牛すじ料理を作ろう!」という時は、デパートなどのいかにも高級そうな牛肉専門店を目指すのであった。これ、大事。

いつのまにか、牛すじ料理はだんなの担当となっている。作り方はこんな感じだけど、いつもけっこう適当らしい。最近は、焼酎で煮ていく途中から醤油や砂糖や味醂をガンガン入れていっている。煮汁を舐めて薄いかな?くらいの味付けで、そのまま煮ていけば「牛すじ煮込み」。万能葱の刻みと七味唐辛子をかけて酒の肴にしてしまう。スパゲティ用には、そこからちょいと取り分けて、もうちょっと濃いめの甘辛味にしていったりする。醤油や砂糖も計らない。
「どのくらい入れるの?」
と聞いたら
「てきとー」
という答えが返ってきた。要するに、甘辛ければ良いのだ。

今日のスパゲティには、にんにくが丸々1個分入れたらしい。台所から、オリーブ油でにんにくを炒める香りが家中に広がっていく。オリーブ油でにんにくをじくじく炒めたところに、煮込んだ牛すじを少々の煮汁と共に投入。ちょっとだけ煮詰めてからスパゲティと和えればできあがり。刻み万能葱をたっぷりかけて、七味唐辛子もかけ、いただきます。

今日のすじ煮は、すばらしく美味しかった。素材もいいし、味もいい。白いすじ部分がすっかりゼラチン状になり、溶けそうにプルプルとしている。ちょっとばかりついている肉も旨いこと旨いこと。脂とコラーゲンで全体的にニカニカネロネロしたスパゲティは、こってりしているし少しばかりケダモノの匂いもする。でも、私もだんなも(多分息子も)これが大好きだ。食べた後は口も手もギトギト、そこもまた良し。お肌ツヤツヤになりそうだし。

刺身(ブリ・マグロ・ねぎとろ)
大根と油揚げの味噌汁
羽釜御飯
エビスビール、冷茶

昼に山盛りのパスタ喰った挙げ句にパイを食べ、かなり腹一杯になった午後。夜に重たい肉料理を食べる気もせず、近所のマーケットに刺身を買いに行った。なかなか安いブリとマグロを買ってきて、ビールを飲みながらちょこちょこつまむ。最後は茶碗に小さくねぎとろ丼を1膳……いや、2膳。刺身と大根の味噌汁は妙に似合うような気がする。

さて、いつも何かと買い物をしているお気に入りWebショップ「クック&ダイン」で、最近こんなものをセール中だ。
米国、リーガル社のパン焼き機。ずっと前から通販雑誌『通販生活』で紹介され、かつ絶賛されてて、
「おお、いつか買ってみたいものだ」
と思っていたところ、今月に限り(つまりあと4日)このブツが、定価24,800円が15,800円という特別価格で販売されるとのこと。先週あたりに案内のメールマガジンを受信して、それからずっと苦悩し懊悩し悶え苦しんだ挙げ句、買っちゃうことにした。置く場所が無いんじゃないかとか、ちゃんと頻繁に使い続けるのかとか、使いすぎた挙げ句「パン太り」するんじゃないかとか、色々な事は考えないことにする。だって安いんだもん。

しかし、パン焼き機購入にあたって、先立つものが今ひとつない。正月休みに遊びすぎて、最近の私の懐具合は非常に寂しいことになっている。
「買いたいけどね、お金がないの〜」
とこたつに突っ伏していたら、嬉しいことにだんなが買ってくれることになった。どうやらこれが、私の誕生日プレゼントになってしまうらしい。誕生日プレゼントがパン焼き機。それもまたそれらしくて良いかもしれない。