食欲魔人日記 04年06月 第1週
6月1日 火曜日
華やかなデザートにちょっと圧倒されてみる
「ファーストキッチン」の
 ハムエッグサンド
 ハッシュドポテト
 オレンジジュース

今日からバカンス。「遅めのゴールデンウィーク休暇」というか、「早めの夏休み旅行」というか。ちょうどJALのマイレージキャンペーンもこの期間に催されていて、サイパンまでほんのり少ないマイルで行けるらしいということで、初めてのサイパンに向かうことになった。他にも中国とか韓国とかの選択肢もあったのだけど、「あー、プールや海でうだうだしたい、水浴びしたい」ということで。

「早めに出て、ミスタードーナツで朝御飯を食べよう!」
と予定の電車の30分以上前に家を出たのだけれど、ミスドの開店はその30分後。
「ダメじゃん……」
「しまってるじゃん……」
とがっくりしながら、その時間にオープンしていた唯一のファーストフード店、ファーストキッチンで適当にお買い物した。ガラガラの成田空港行き車内でもぐもぐと紙袋開いて朝御飯。

ファミリーキッチンの朝御飯というものを初めて食べたのだけれど、クロワッサンっぽいパン生地に挟まれたハムエッグサンドはなかなか。ただ、濃縮還元と思われるオレンジジュースの味が妙に濃すぎて困ってしまった。
「うえーん、濃縮還元100%ジュースというより、濃縮還元120%ジュースって感じの味がする〜」
と、必死に氷を溶かしつつ飲んでみたり。

JALの機内食
 スカイ・ロワイヤル(柚子とスパークリングワインのカクテル)
 ローストビーフサンドウィッチ
 ハムと玉子のサンドウィッチ
 バジルチキンとタラモサラダ
 ジャージャー麺
 コンソメスープ
 フルースカクテル
 リゾッチャアイス
 紅茶

午前10時、大雨の中どうなることかと思ったけれど、ほぼ予定どおりにサイパン行きのJAL便は離陸した。機体には「リゾッチャ」のロゴと花柄が派手にプリントされていて、
「わーいわーい、リゾッチャだ!」
「リゾッチャはじめてだ!」
とわくわくしながら搭乗。乗務員さんたちの制服や機内の内装などだけがリゾート対応なのかと思いきや、機内でビンゴゲームは始まるし、機内食には「リゾッチャ バスケット」なんて名前がついてるしで、全体的にリゾート感がゆんゆん漂っていたフライトだった。

「リゾッチャカクテル」なる、柚子ジュースとスパークリングワインのカクテルをいただき、サンドイッチの盛り合わせとジャージャー麺の組み合わせの機内食。トレイに乗るデザートにはフルーツもチョコレートもあったのに、しっかりと「リゾッチャアイス」なるビスケット生地に挟まれたバニラアイスまで出てきて、それらをすべてぺろりといただいた。

で、息子のチャイルドミールもまた興味深く拝見。ちょっと大きなサイズのバターロールのツナサンドに卵サラダ、ハムとトマト。ウィンナーと唐揚げとハンバーグ、そしてビスケットとチョコレートとりんごのジュースと、最後には親と同じ「リゾッチャアイス」。機内食を綺麗に食べ終わり、ビンゴゲームが終わるともう寝る暇もなくサイパンに到着してしまったのだった。サイパンは近い近い。とてもらくちん。

サイパン Pacific Island Club 「Magellan Room」にて
 ブッフェ夕食
 生牡蠣・茹で海老・茹でムール貝 with カクテルソース
 グリーンサラダ
 イイダコとピーマンのグリル
 キムチ数種
 ニューヨークストリップステーキ
 イカリングフライ
 手羽元フライ
 マヒマヒと野菜の天ぷら
 親子丼
 生ビール3杯ほど
 カスタードプリン・チーズケーキ・アップルクランブル
 ソフトクリーム
 紅茶
などなどなどなど。酔っぱらい。

どうせ南国に行くなら、息子と思い切り遊べるところがいいよね〜、と選んだ宿はPacific Island Club。ウォーターパークつきの宿でビーチにも面していて、なかなか良い感じ。インターネット経由で申し込んだなんとかセーバーパッケージとやらが、なかなかお得だった。朝御飯も全日ついてくる。

午後3時半にホテルに到着し、その直後に水着に着替えてさっそくこれでもかと遊び始め、午後5時を過ぎてから
「部屋に冷蔵庫ついてるしさー、風呂上がりに飲めるようなジュースとか水を買ってこない?」
とバスに乗って最寄りのスーパーまでお出かけ。アメリカンな品揃えのスーパーでついつい安売りされていたココナッツミルクを買ってみたりビールを買ってみたりタコス用のスパイスを買ってみたりしてしまい、ホテルで3食自炊する気かみたいな大荷物抱えてホテルに帰還。買い物ついでに外で夕御飯食べてこようか、なんて言っていたのだけれど、結局ホテルのブッフェレストランに赴くことにした。

和食、韓国料理、メキシコ風、アメリカン、と、種類はこれでもかとあったけれどその内容にはちょっと笑ってしまったブッフェ料理。ソフトドリンクはもちろん、ビールやワインまで自分で注いで好きなだけ飲めるようになっていて、ついついビールを何度も何度もお代わりしては肴を探して盛りつけてきてしまう。料理には韓国風の鰻の照り焼きとか餃子、親子丼、ビビンバ、天ぷら、なんてものがあって、ふと気がつくとキムチつまみながらビール飲んで
「うまー」
と言ってる自分がいて、「……サイパンまでせっかく来て、何やってんだろ……」と軽い自己嫌悪に陥ってみたり。

デザートにはセルフソフトクリーム絞り機があったり色鮮やかなケーキが何種類もあったりして、それもたっぷり堪能。薄く大きく丸く作られたカスタードプリンがねっちりした舌触りで美味しかった。
明日も気合い入れて遊びまくってきます。とりあえず日焼け止めは軽めにしといて、真っ黒に日焼けしたいぞー、の方向で。

6月2日 水曜日
チキンケラグエン。おいしかったですー。
サイパン Pacific Island Club 「Magellan Room」にて
 朝食ブッフェ
 スモークサーモン・チーズ
 ソーセージのパイ包み・ポテトグラタン
 オニオンとマッシュルームとチーズ入りオムレツ
 メキシコ風エッグなんとか
 ワッフル with 生クリーム&はちみつ
 そうめん・韓国風炒飯・キムチ
 パイナップル・メロン・ストロベリーヨーグルト
 りんごジュース・牛乳
 などなどなど

サイパン旅行2日目。今日はもうホテルから1歩も出ずに、ひたすら海やプールでだらだらと遊び倒そうという予定。ホテルを出たところに飲食店が並んでいるというエリアでもないので、朝食から夕食までホテルのお世話になっちゃうことにする。

朝食ブッフェは昨夜の夕御飯時と同じレストラン。ここは朝昼晩とずーっとブッフェ料理ばかりを提供しているお店だ。昨夜デザートが置かれていたコーナーにはデニッシュが並び、サラダが置かれていたところはフルーツや冷前菜に変わっている。昨夜と同じく、和食と韓国風とアメリカンとその他諸々入り交じった内容だった。メロンの隣にいきなり素麺が置かれていたり、エッグスベネディクトの隣に冷や奴が置かれていたりして、ちょっと違和感。ポーリッジの隣には味噌汁セットが用意されていた。納豆や焼き海苔まである。

3泊の滞在のうち、1日くらいは納豆御飯もいいかもしれないけど……と思いつつ、洋朝食セットを自分のテーブルに持ってきた。ワッフルと卵料理、芋料理やスモークサーモン。息子は6種類も用意されていたシリアルから好きなものを適当に組み合わせてボウルに入れてみたり、だんなはオムレツコーナーで玉ねぎとマッシュルームとチーズ入りのを焼いてもらったりしている。だんなからオムレツをもらい、息子には私の皿からスモークサーモンを分けてやり、としながら、皆揃って朝からもりもりとよく食べた。よく食べたあまりに、
「うーん……気になる……もらってこよう」
と全員揃って最後の方で素麺を啜ってしまったりして。かまぼこやさつまあげや刻み葱を添えて食べる素麺は、案外と美味しかった。

サイパン Pacific Island Club 「Galley」にて
 Chicken Kelaguen $7.50
 Large Pizza $17.50
 ビール(Tsing Tao) $4.50
 ビール(San Miguel) $4.50
 ポカリスエット \3.00

午前中は海で泳いだりカヤック(2人乗りボート←家族3人くらいなら一度に乗れる)を漕いでちょっと沖まで出てみたり、あとはプールでひたすら遊んだり。デッキチェアにタオルを置いておいたのだけど、そこに座る間もないほどずーっと動きまくっていた。1周15分だという流れるプールが案外と楽しくて、
「たゆたってみていますー」
「こっちは水死体になってみていますー」
と、巨大浮き輪の上でくつろぎまくってだらだらしていた(でもなんだかんだで腹筋とか使わされるのでとても疲れる)。

昼御飯もそのままだらだらとホテル内で。軽食が食べられる「Galley」という店のメニューを覗いたところ、ピザやサンドイッチのメニューが並んでいたのでまぁいいやと、ここにすることに。メニューには鰻重やカツ丼が載っていて、
「これが今日のスペシャルランチよ♪」
と店員さんが見本を出してくれたのは"マグロの山かけ丼"だったりして、苦笑い。

で、結局前菜に1つ"Chicken Kelaguen"というものを注文し、メインは大サイズのピザを皆で分け合うことにした。喉が乾きまくっていたので、だんなも私もビールを1杯、息子だけ水というのもかわいそうで、息子にはポカリスエット。前菜が来るまでにほとんどを飲み干しそうになってしまう勢いでくぴくぴ飲み物をいただいていたら、前菜がやってきた。

Kelaguen(ケラグエン)とは、この島の言葉で「お総菜」の意味なのだとか。チキンケラグエンは伝統的なチャモロ料理で、その説明書きには
「味付けチキンに薄いティティザスプレッド付き。フィナデニソースで。」
とあった。説明されても"ティティザスプレッド"も"フィナデニソース"もよくわからない。日本やアメリカに占領された歴史のあるこの島の、昔からある料理が"チャモロ料理"というものだということは知っていたけど、それを食べられるレストランはあるようであんまりないらしい。何か食べられるといいなーと思っていたところ、メニューにこの品が載っていたので思わず注文。面白い料理だった。

角切りされた茹で鶏を刻み葱とか玉ねぎとか生姜などと和え、赤唐辛子とレモンで味付けしたような"すっぱからい"料理。大ぶりのレタスの葉と、素焼きしたピザ生地みたいなもの(これがティティザスプレッド?)が添えられていたので、それを口直しにつまんだり、それで肉をくるむようにしたりしながらいただいた。辛さはさほどじゃないように思えたけれど、でも食べた後に唇や舌がジワジワジワジワ〜っと痺れてくる。メキシコ料理に魚介のライムマリネの料理があったけれど、それとちょっと似た味がした。うまうま。

そして大ぶりのピザ。ピザの種類はなくて、メニューにはハムだ肉だトマトだピーマンだと具材の名前が20種類くらいも記されていて、「お好みのものをトッピングします」と書いてある。
「これって……いくつ乗せていいの?何個まで?」
注文時に尋ねてみると、
「なんでもよ。全部でも!」
とわかりやすい答えが返ってきて、逆に何を乗せて良いか迷ってしまいながらいくつかリクエスト。

ハムに挽き肉、トマトとマッシュルームとアスパラガス。やってきたのはとても食べ応えがあるピザだった。先の"ティティザスプレッド"によく似た食感のピザ生地はイタリア風ピザのようにカリカリしたものでも、あるいはモチモチしたものでもなくて、アメリカ風のようにパンっぽいものでもなくて、なんだかビスケットのようにサクサクとしている。で、けっこう分厚く食べ応えがあった。こんがりと焼けていてサクサクホクホクと香ばしいので、食べ応えがある割にどんどん口に運べてしまう。思った以上に美味しくて、これまた全員でもりもりと。息子が2切れ私が3切れだんなが3切れ平らげて、午後にも再び遊びに行った。

サイパン Pacific Island Club 「Seaside Grill」にて
私:
 Hawaiian Prawns $8.00
 Roasted Lamb $25.00
 Choco Brulee $8.00
 カクテル(Marinas Trench) $3.50(Happy Hour)
 ビール(San Miguel) $2.25(Happy Hour)
だんな:
 Tasmanian Salmon $7.00
 Fillet Mignon $27.00
 ビール(Corona) $3.00(Happy Hour)
 グラスワイン(Cab Canyon) $2.50(Happy Hour)
 Coffee Hot $2.50
息子:
 Kid Fish N Chips $5.00
 Haagen Dazs I/C $5.00
 

「うう……いたい……」
「ぬかったよ、痛い……」
「サイパンの太陽を舐めていた……」

こんがり焼きたいから日焼け止めはぬるめでいいね、とか言っていたのがいけなかったのか、それとも連続して屋外で遊び続けすぎてしまったのか、夕方になる頃には肩も背中も太股まで、真っ赤に日焼けしてしまった私たち。どういうわけか息子だけは"日焼けして赤く痛くなる"という経験がこれまで全くない人で(日焼け止めを多く塗ったとかそういうことは全然ないのに……)、今日も赤くならずにストレートにそのまま黒くなった肌で御機嫌だ。ヒーヒー言いながらできるだけぬるくしたシャワーを浴びて保湿ジェルを塗りたくる。私もだんなもちょっと重傷だ。

夕飯は、「ハッピーアワーの時間にグリル屋に行ってみよう〜」と、多分このホテルのメインダイニングと思われるステーキ&ロブスター屋さんに。6時過ぎに到着するとお客は私たちだけで、途中パーティー客が1組屋外で宴会を始めた以外にはお客は最後まで増えず、のんびり食事をすることができた。

ハッピーアワー中は、飲み物は全部半額。私は7ドルもするカクテルを飲んでみたり、その後ビールを飲んでみたり、だんなもビールの後にグラスワインを飲んでみたりとあれこれ美味しくいただく。メロンリキュール入りのハードレモネードといった風のエメラルドグリーンのカクテルを啜りながらいただいたのは、ココナッツ入りの衣をまぶした海老のスィートチリソース和えと、骨つきラム肉のグリル。だんなは"タスマニアンサーモンの薔薇仕立て"とかいうすごい名前の前菜と、フィレミニヨンのステーキ。息子はフィッシュ&チップス。

値段もなかなか良いので、「これは、ものすっごい量の食べ物が出てくるのでは……」と恐怖していた(期待ともいう)のだけれども、出てきたのは繊細な盛りつけの程良い分量の、しかもなかなか美味しい料理。きっちり見事にリクエスト通りミディアムレアに焼かれたラムとか、素揚げしたスパゲティ(それとも素麺?)を触角のようにぴよんと天井に向けて突き立てた添え物類とか、色鮮やかに皿に敷かれた各種のソースとか、どれも盛りつけが美しく、味もそれに相応していてお見事。

「……あ、おいしい」
「すんごく、おいしい」
半額になった飲み物をぐいぐい飲みつつ、たっぷり料理をいただいて部屋に帰ってみればまだ午後8時。でも疲れたからもう寝る……。もりもり食べられたラム肉が幸せだった。明日はステーキ。

6月3日 木曜日
ガツンと、ステーキ。
サイパン Pacific Island Club 「Magellan Room」にて
 朝食ブッフェ
 揚げ豆腐 フィナデニソース添え
 サバの塩焼き にんじん、玉ねぎ、パプリカのグリル
 サルサがけスクランブルエッグ、かりかりベーコン
 スモークサーモンとゆで卵とチーズのサンドイッチ
 メロン、パイナップル、みかん
 クランベリージュース、アイスカフェオレ
 などなど

サイパンの2回目の朝御飯。予約したホテルの宿泊割引プランには朝食もついてきていて、ブッフェ朝食以外にも軽食コーナーでの食事も可能らしかった。でも、あれこれ食べたいし、フルーツもたっぷり食べたいし、牛乳もしこたま飲みたいし……と、今日もブッフェ。明日も多分ブッフェ。

だんなは「今日は米飯!」な気分だったらしくて生卵と御飯と味噌汁を持ってきて何やら満足そう。息子は今日もシリアルと各種フルーツ、素麺を食べて満足気だった。私は薄切り食パンにバターを塗って、レタスと玉ねぎとチーズとゆで卵をスモークサーモンを積み上げて、マヨネーズベースと思われるドレッシングをサラダコーナーから適当にいただいてかけ、食べ応えのあるサンドイッチに。何点かおかずも持ってきて、氷を満たしたグラスにコーヒーと牛乳を入れてアイスカフェオレにしてみたりして適当にブッフェ朝飯を楽しんだ。

時期柄、日本人が少ないせいもあるのか、ホテル内のは韓国人観光客がとてもたくさん。朝からこれでもかとキムチを皿に盛って食べ、そしてなぜか椅子の上であぐらをかいて食べている人たちがよく目に留まり、興味深くちらりちらりと観察してしまった。大声で騒いで歩いているのはけっこう韓国人が多いように思えるなー、とか。

朝食後、だんなは「ウェイク・ボード」なるものをしに、数キロ離れた別のホテルのビーチに出かけていった。送迎つきで40分50ドルだそうで、水上スキーをスノーボード型の板に乗ってやるようなもの、らしい。
私と息子は自分たちのホテルの海やプールで遊んで待っていることに。海賊船を模して作られたオブジェが浮かぶウォータースライダーつきのプールでちゃぷちゃぷと遊び、流れるプールでたゆたい、海でも少しだけ泳いでみた。

昨日カヤックに乗ったときは
「海にちっとも魚、いない……ナマコばっかり……」
と思っていたのだけど、ちゃんとゴーグルつけて海の中を覗きながら泳いでみると、ちゃんと桂三枝みたいな顔をした熱帯魚がちらちらと泳いでいる。食べると美味しそうな形状の魚(アジみたいな……)もいて、背も立つ浅い海の中、何種類も魚を見ることができてちょっと満足。でもナマコはやっぱりウヨウヨと、目に入るだけで20〜30個くらいも視界に黒い物体が入ってきたりして、それがちょっと、イヤン……。

ホテルの部屋で
 怪しいフィリピン製カップ麺
 「Galley」のOnigiri Salmon $7.50
 ビール(Corona)

10時過ぎにだんなはウェイク・ボードから帰ってきた。そのまま家族3人で遊び、私が疲れ切った頃にだんなと息子はホテルスタッフの
「サッカーやりましょう!サッカーサッカー」
の声につられてサッカーをしに芝生コーナーに出かけてしまった。アーチェリーだテニスだ水球だとホテル内には色々な事ができる施設が整っているのだけれど、しょっちゅうスタッフが
「ウォーターバリボー!レッツジョインウォーターバリボー!」
などとお客に声をかけては皆をわらわらと遊ばせてくれている。「そこのパパさんも来てくださーい!そっちの彼女も、彼氏もぉ!」と、誘いはけっこう強引で、「まぁ……やってみようか?」という感じに人々が集まってくる。私はサッカー苦手だし日焼けが本格的に痛くなってきたしで日陰でごろごろと寝そべっていた。

夜は、街に出てステーキを食べよう!ということになっている。だから昼御飯はごくごく軽くにしとこうねー、ということに。実は、「1日くらい、部屋でだらだらとこういうもの食べる日があっても良いんじゃない?」と怪しいカップ麺を3個、スーパーで買ってきてみていたので、今日はそれを食べてみることにした。カップ麺1個じゃもの寂しいので、テイクアウト可能なホテル内のショップからビールとつまみになるものも買ってきた。

「どのレストランででも、ドリンク1杯サービスしますよー」のホテルのウェルカムドリンク券が2枚、まだ未使用状態で残っていたのでそれを使ってコロナを2本。あと、海苔巻きみたいなものが欲しいんだけどー、と伝えたところ、
「朝御飯に出しているものだけど、おにぎりができるよー」
と返されて、結局そのおにぎりセットを1つ。7ドル50セントもしたそれは、鮭おにぎりが2つといなり寿司1個、たくわんとラッキョウ(なぜラッキョウ……)と"はじかみ"(なぜはじかみ……)がドギーバッグに詰め込まれ、発泡スチロールのカップ入りの味噌汁までついていた。で、部屋をインスタントラーメン臭くしての昼御飯。1.8リットルも沸かせる電気ポットがちゃんと部屋についていた。

1個70円ちょっとという、やけに安かったカップ麺は同じメーカーのシリーズものの3種類で、フィリピン製。でもパッケージには「NISSIN」の文字も入っていた。ポークガーリック味やチキン味のクラッカー添え、ごくシンプルなチキン味、といった別々のフレーバーのものを、
「おー、おろしにんにくがついてきてるー」
「こっちは怪しいフローズン鶏肉が入っている模様!」
「ぼくはーぼくはー、どれ食べよっかなー」
きゃあきゃあ騒ぎながら、お互い交換してこれが旨いのこれは普通だの言いながら食べる。レモンの薄切りが入ったコロナを飲みながらフィリピン製のラーメンかっくらって、怪しい形状のおにぎりを囓る。しかも"はじかみ"。……へんな昼御飯……。

サイパン 「Country House Restaurant」にて
 Country House Nachos $8.00
 Onion Rings $4.00
 T-Bone Steak 14oz $30.00
 Rib Eye Steak 16oz $36.00
 Beer (San Miguel) $3.50
 Beer (MGD) $3.50
 Beer (Draft) $3.75
 Country Colada $6.00
 Mix Juice $0.00
……を、皆でもりもりと。

午後も泳ごうかと思ったのだけれど、だんなは日焼けとウェイク・ボードの疲れで腕やら何やらがパンパンに、私も日焼けで肩やら背中やら二の腕やらがビリビリに。外に出る気力もなく、私はベッドに突っ伏して休んでいる間に、だんなと息子はパターゴルフをしにホテル内の施設に出かけて行った。その後は家族揃って昼寝してしまい、気がつくと4時に。ありゃりゃりゃりゃー。

で、夕方から繁華街まで行ってみることに。"ガラパン"という、ホテルから20分くらい車で行ったところに第一ホテルやハイアットリージェンシーホテルなどが立ち並ぶ繁華街がある。DFSもある。そのエリアにあるステーキ屋さんに行ってみようということで、DFSまで送ってくれる無料シャトルバスに乗って繁華街まで向かってみた。

思いのほか小規模でささやかな品揃えだったDFSで職場へのお土産を互いにぽちぽち購入し、いくつかのスーパーを覗いた後に夕御飯。サイパンでなぜかアンガスビーフ(アメリカの黒毛牛)のステーキを出しているというウェスタンアメリカン調のお店があるということで、予約して出向いてみた。午後6時、開店直後は客足もまばらだったけれど、7時を過ぎると店の6割以上の席が埋まっていたという盛況ぶりだった。料理長はどうやら日本人であるらしい。

クーポン持参で息子にはミックスジュースがサービスされ、私は"カントリー・コラーダ"というオリジナルカクテル、だんなはビール。チャイルドメニューもあったのだけれど、息子の食事はステーキを分けてやる他にナチョスを取って、一緒につつくことに。
「あと、オニオンリングでもつまもうかー」
「そうねー」
と、何の気なしに前菜を2皿注文したのだけれど、これが、冗談じゃなく大変な量がやってくることに……。

ナチョスの量は、想像の1.3倍くらいだった。トルティーヤチップがこんもりと皿に盛られ、トマトやチーズや豆やハラペーニョがたっぷりとトッピングされてチーズが溶けるくらいにオーブンで焼かれている。その上からたっぷりのサワークリームが添えられ、別添のサルサもつけられ、小山のような状態で出てきた。
「ひぇー……」
「多い……」
と呟く私たちの前にやってきたのは、想像の4倍くらいの分量があったオニオンリング。

ナチョスが8ドルでオニオンリングが4ドルだったので、せいぜい玉ねぎ1個分くらいの玉ねぎフライなんだろうなぁ……と思って注文したのに、出てきたのは玉ねぎ4個分くらいのオニオンリングの山だった。大きな籠にごっそりと山盛りのオニオンリングが積まれている。この後には大ボリュームのステーキが控えているというのに、食べても食べてもなくならない。結局、持ち帰ることを前提にして、ステーキが食べきれる分くらいの余力を残しつつそれらをつまむことになった。サクッと揚げられたオニオンリングはほのかにスパイスが利いていて、とっても美味しい。久しぶりのナチョスも、香菜の香りが漂うサルサが美味しくてつい手がのびてしまうものだった。

で、メインディッシュは私が14ozのTボーンで、だんなが16ozのリブアイ。セットメニューにすると4ドル追加でスープとサラダとパン(かライス)がついてくる。前菜がそんなに大変な量だと知らずにセットメニューで頼んでしまったので、必死の思いでそれぞれの料理と格闘することになった。

スープはじゃがいもと玉ねぎのスープ。滑らかでトロンとしたスープは素朴な味でなかなか。サラダは千切りキャベツにきゅうりやトマトを合わせたものだった。パンは大ぶりのフランスパンが2切れ、パン皿から溢れそうなサイズでどどーんと。肉がなくてもそれだけでお腹がいっぱいになりそうなボリュームだった。

そしてメインディッシュ。9ozや12ozのステーキを頼んだお客さんたちの前にはジュージュー言っている鉄板ごと料理が運ばれていたのだけれど、私とだんなの分は「あんたたちの肉はでっかいからね」と言わんばかりにステーキ皿じゃない大皿が。いんげんのソテーとにんじんのグラッセ、フライドポテトがステーキと同じくらいの質量があるんじゃないかという分量で添えられ、その前に迫力のサイズのステーキ。私のTボーンはさほどの迫力ではなかったけれど、だんなの1ポンドリブアイは本当に巨大に見えた。でっかいでっかい、でっかいねー、とはしゃぎながら食べはじめたものの、脳裏には「食べ物も、量の限度を越すと凶器になる」なんて言葉が浮かんでくる。肉は全部食べきれるとしても、添え物類を全部食べきるのはとてもじゃないけど無理だった。前菜を取らなかったとしても、このいんげんの山やにんじんの山を片づけるのはちょっと無理……という感じ。

塩胡椒だけで焼かれた肉には醤油ベースの甘辛ソースがついてきて、適当にシャバシャバかけながらいただいた。骨つきのみっちりした肉の旨さとか適度にある歯ごたえは確かに懐かしいアンガスビーフに思われて、とても幸せ。せっせせっせと食べ続け、ステーキの付け合わせは半量ほどを残し、ナチョスは1/5量ほどを残し、オニオンリングは1/2量ほどを残した状態で「ごちそうさま」となった。残して帰るのはしのびないし、ホテルに帰ってからでも食べられるかなぁと、ドギーバッグに詰めてもらうことに。

サイパン ナイトマーケットにて
 アピギギ $1.00

ガラパンの街では、木曜の夜にナイトマーケットが開かれるらしい。
「夜市だ夜市だ!」
「市場だ!」
と、ガイドブックにあった通りを目指したのだけど、そこは全体的に道路を掘り起こしての工事中。あららららー?と、通り沿いのスーパーの店員さんに聞いてみたところ、
「ハイアットホテルの先で左に曲がってね、ビーチ沿いの道路で今はやってるわよー」
と言われた。5分ほどの距離をぽてぽて歩いてその場所に向かう。

思っていたより小さな小さな夜市で、100mちょっとくらいの通りの両側に仮設の飲食店がつらつら並んでいるだけ、といった風のものだった。貴金属屋さんが1軒、洋服を扱う店が1軒、八百屋さんが1軒、甘いもの屋さんが1軒、あとは「ディナーセット5ドル!」なんて日本語の垂れ幕をぶら下げたような料理屋さんが並んでいる。中国語を看板に掲げた麺や丼ものの店もあったけれど、だいたいはバーベキューや煮物などのおかずを売るお店みたい。さすがにステーキを食べた後でそういったセットを食べられる余裕もなく、ぷらぷら歩いて「アピギギ」なるお菓子を1個食べて終わりにした。

「アピギギ」とはこの地に古くからあるお菓子の1つらしい。ココナッツ風味の餅をバナナの葉でくるんであぶり焼きしたもので、笹に似た青臭い葉の匂いが甘い餅に染みついた香ばしい風味のお菓子。こってりねっちりと甘く、1本1ドルでけっこうな食べ応えがあった。ココナッツ好きには嬉しい味がして、だんなが一口、息子が一口食べた後は私一人でもりもりと平らげる。

それを食べた後は、もうあまりすることもなくて夜市を後に。8時半頃ホテルに帰ってきて、限りなく水に近い温度のシャワーを浴びて(もう日焼けが痛くて熱いシャワーなんてしばらく無理……)、部屋でだらだら。ああ、あしたはもう帰国……。

6月4日 金曜日
サイパン最後の食事は巨大なハンバーガーでした
サイパン Pacific Island Club 「Magellan Room」にて
 御飯・韓国風炒飯・キムチ
 卵スープ
 揚げ豆腐のフィナデニソース・鶏の照り焼き・フライドポテト
 ワイルドマッシュルームオムレツ・炒め野菜
 メロン・オレンジ
 アイス煎茶

楽しかった南国滞在も、あっという間に今日が最終日。一昨日も昨日も行ったブッフェ専門レストランに今日も赴いて、いまいち変わり映えしないメニューをちょっとでも目先を変えつつ食べようと、だんなも私もあれこれやってみる。息子だけは3日間変わらず、コーンフレークとスモークサーモンとゆで卵とフレッシュフルーツの盛り合わせ(あと、素麺と)でとても幸せそう。

今日は白い御飯が食べたい気分だったので、平皿に御飯と炒飯を1すくいずつ盛りつけ、その周りにおかず類を一口分ずつこてこてと盛り合わせてみた。キムチも乗せると、なんとなく全体的が韓国料理のように見えてきてしまう。インスタント臭ぷんぷんの卵スープはいまいちだったけれど、ティーバッグを使っていれる煎茶を濃いめに作って氷をたっぷり加えてアイス煎茶にしてぐびぐびとたっぷりいただく。

私がそんなことやって、「ほらほら、盛り合わせ。ナシチャンプル〜」とか言っている向かいで、だんなの方は
「白い御飯があるだろー。醤油はテーブルにあるだろ。パンがあるから、バターも当然置いてあるよね。バター醤油御飯ができるじゃん!」
とか言いながら、御飯のコーナーとパンのコーナーを行き来して、見事な"バター醤油御飯"を作り上げていた。いや、白い御飯にバター乗せて醤油かけただけのものなんだけど。

だんなも私も"黒い"というより"赤い"に果てしなく近い、日焼けしまくりでヒリヒリの二の腕や肩や背中。息子だけはさほど赤くなりもせずにすんなりと黒くこんがり焼けていっているのだけれど、さすがに
「かたがね、痛いのー」
と言い始めた。

それでも今日は最終日、泳いでおきたいよねぇということで、日焼け止めをたっぷり皮膚に擦り込んでからプールに。プールの営業開始時間前に浮き足だってプールサイドに出てきてしまったので、プールがオープンするまですぐ近くの設備でパターゴルフなどやり、その後にプールや海でだらだらと。だんなはホテルが開催するウィンドサーフィンの無料スクールに参加したりもしたので、私と息子はその間、波打ち際で砂の小山を作ってみたり海の中を「魚はいねぇが〜」と覗いてみたりしていた。今日は西川きよし似の魚をいっぱい見られて満足。その西川きよし(似の魚)に追いかけられて足をつつかれたりもしたけど、それもまた楽しい思い出。でもちょっと怖かった……。(かわいらしい熱帯魚のくせに……西川きよし似のくせに……)

サイパン Pacific Island Club 「Galley」にて
 Marianas Sirloin Burger $9.50
 Beer (Tsing Tao) $4.50

飛行機は午後4時発。ホテルのパッケージプランでは午後2時のレイトチェックアウトが可能ということで、12時過ぎまでめいっぱい遊んだ後、部屋に帰ってシャワー浴びて食事して、そこから急いで荷造り開始。バタバタと忙しかったけれど、なんとか荷造りも時間内に終え、送迎の車に乗りこんで空港に到着することができた。

そんなバタバタした中で済ませたのは、結局3日間昼食に何かとお世話になっていた「Galley」というお店。一昨日、近くのテーブルのカップルが巨大なハンバーガーを食べていて、それを「いいないいなー」と思っていたのだ。サイパン最後の食事は巨大ハンバーガー!ということで、うきうきとそれを注文。

「おゆきさん。今日はもう帰国ですし、飲み過ぎないようにしましょうね」
「えー、飲んじゃダメなの?」
「飲んじゃダメとは言ってないよ。"飲み過ぎないように"と申しております」
「……あ、そうか、飲み過ぎないようにね。1杯だけならね」
「そうね、1杯だけならね」
そんな事言いながら、ビールを1本ずつ注文。私は青島、だんなはミラーライト。ハンバーグの焼き加減まで聞かれたそのハンバーガーは、サイドディッシュにとフライドポテトかスパイシーフライドポテト、フルーツ盛り合わせかサラダを選ぶことができた。私はスパイシーフライドポテト、だんなはフルーツ盛り合わせをつけてもらい、適当に交換こしながら食べる。息子はフライドポテトが添えられたハムとチーズのサンドイッチ。

一昨日目撃していたとはいえ、本当に巨大なハンバーガーだった。ハンバーガーの大きさもさることながら、「こんな巨大なバンズ、見たことない」と断言したくなるほどのもの。巨大なパンに巨大なハンバーグととろけたチーズが挟まり、その脇に玉ねぎやトマトやピクルスやレタスが適当に添えられていた。卓上にケチャップとマスタードも並べられていたので、適当にそれらを積み上げたり絞ったりして"自分のハンバーガー"を作り上げる。肉がこれでもかとボリュームたっぷりだったので、ケチャップも負けないようにしっかりと垂らしてみた。

アンガスビーフを使っているのだというハンバーグは、肉の味が濃厚で肉汁たっぷり、とても美味しい。マクドナルドのチーズバーガーを3口で食べきれるくらいの大口を開けてガッブガッブと噛んでいくのだけれど、10口囓っても15口囓ってもなくならない、という感じ。大変に食べ応えがあった。そして旨かった。
「あー、ハンバーガーはこうじゃなくっちゃねぇ」
とか言いながら、すっかり満腹。夕方発の便でも"機内食"がちゃんと出るということをすっかり忘れてしまっていた。

JAL 機内食
 スモークチキンのクロワッサンサンドウィッチ
 冷やし中華
 フレッシュフルーツ
 リゾッチャアイランドクッキー
 どらやき
 スプライト・コンソメスープ・紅茶

早すぎず遅すぎず、ほどよい時間に空港に到着し、定刻どおりに離陸した機内は笑っちゃうほどガラガラだった。私たちが座る席の前後8列くらいの間にお客さんは2〜3人しか座っていない。こんなにガラガラなのは初めてだねー、と、ドリンクワゴンを押してこずに「お飲物は何にいたしましょう?」と聞いてくる乗務員さんに
「えっとー、スプライト」
「ぼくも、すぷらいと」
と伝えたりしながら、ちょっといつもと勝手が違う空の旅だった。食後に改めて配られるはずのものと思われるおやつの"どらやき"も、食事と一緒にやってきた。

機内食はクロワッサンのサンドイッチと冷やし中華、メロンとスイカとオレンジ。チョコチップクッキーと、そしてどらやき。さすがに昼のハンバーガーが胃にたまっていたのでクロワッサンサンドは全部は食べきれなかった。フルーツだけはきっちりと美味しくいただき、どらやきは家族で適当に分け合いつつ1個だけ平らげた。食べきれなかったクッキーやもう1個のどらやきなどは鞄に詰め込み、午後8時に帰宅。数日ぶりの我が家に無事に戻り、帰るなりベランダの花の水やり。シナシナになっていたビオラやイタリアンパセリに全力で謝りながら水やり。ううう、すまないねぇ……自動水やり器なんてものは我が家にはないんだよ……(いろいろ手段を講じようとしたのだけど、"大丈夫!6月だし、きっと4日のうち1日くらいは雨だ!"と判断してたいした手段も講じずに家を空けていたのだ……)。

稲毛 「高円寺ナイルカレー」にて
 ポークカレー ゆで卵トッピング

家に帰って午後8時、そのまま寝るには胃袋が物足りないねと近所のお気に入りカレー屋さんにスーツケース置くなり向かってみた。
「高円寺ナイルカレー」は、野菜や果物がたっぷり使われているような、真っ黒でなのに優しい味のカレーを出してくれるお店。私もだんなも基本中の基本のメニュー、"ポークカレー"をそれぞれ注文、息子には新発売の「おこさまカレー」を。

平日の夜、席はちらりと空席が出来るとまたすぐに埋まって……という状態が続き、小さなお店は今日も繁盛。豚バラ肉がホロリと崩れるポークカレーはやっぱり優しい味で今日もとても美味しかった。自家製と思われる、これまた優しい味のマヨネーズが添えられるコールスローも相変わらず。

「なんかさ、海外から帰ってくるとこのお店のカレーを食べに来るような気がするね」
「この店に限らず、海外から帰ってくるとカレー食べてるかもね、そういえば」
"日本の懐かしい味といえば、カレー!"と思っているわけではないのだけれど、なんだかそんな感じ。

6月5日 土曜日
久しぶりの"キムやせ"焼きそば
「ミスタードーナツ」の
 ハムタマゴパイ
 チョコファッション
カフェオレ

昨日、布団に入ったのは午後11時。息子も妙なハイテンションでその頃まで一緒に起きていたというのに、今朝はどうしたことか午前6時前に活動し始めた。トイレに起きたかと思ったら、そのまま自分の部屋でプラレールを出して遊び始めている。私も背中と肩の日焼けが痛くて、息子につられて起きてしまった。想像以上に早く活動をし始めたので、荷物の片づけや洗濯や録画した衛星放送の番組整理などが進む進む。だんなも
「……なんでみなさん、そんなに早く起きてるのー?」
と普段の休日にはありえない時間に起きてきた。時差が1時間しかない島に行って戻ってきたのに、なんだか皆して時差ボケしているみたいだ。

で、9時を過ぎた頃にもうお腹が空く。
「んー……朝御飯ー……」
「ドーナツでも買ってこようか?」
「ぼくもー!ぼくもいっしょに行ってドーナツ買ってくるー!」
朝御飯は、数十秒の協議の結果、ミスタードーナツに決定した。

「で?おゆきさんはどんなのが?」
「なんでもいい……。……いや、あのね、1個はしょっぱいので、1個は甘いの。しょっぱいのの選択はまかす。甘いのはね、オールドファッション系、チョコファッションがいいな」
なんでもいいとか言いながら、事細かに注文をつけてみる。だんなが買ってきてくれたのはハムタマゴパイとチョコファッションだった。うむ、完璧〜。完璧に私の好み〜。

ドーナツを買いに行く前にセットしてあったコーヒーメーカーにもたぷたぷと苦めのコーヒーがたっぷり溜まっていて、カフェオレにしてぐいぐい飲む。昔に出ていたハムタマゴパイ(とかエビグラタンパイ)はもっともっと美味しかったと思うんだけどなー……と思いながら、それでも美味しくいただいちゃう。私はツイスト系よりエンゼルクリーム系より、やっぱりオールドファッション系が好きらしい。

稲毛 「活力ラーメン 元氣一杯」にて
 チャーシュー麺
 餃子

「……ラーメンがたべたい」
ドーナツ完食後、何時間も経っていないのに、だんながそんな事を言った。
「……それとも、すし?」
と、更に不穏な事を口走っている。

えー、寿司って寿司って、旅行から帰ったばっかでそんな浪費はダメよー。ラーメンにしとこうよラーメン。スーパー行って冷やし中華とか買ってくるとかさー……と抵抗し、結局近所のラーメン屋に向かうことになった。元氣一杯は餃子無料券持ってるし杏仁豆腐もけっこう美味しいし、何しろ息子のお気に入り。でも肝心のラーメンはというと、毎回スープの味が微妙に違っていて、美味しいのか不味いのかいまいちわからない、という印象がある。とんこつ醤油味で化学調味料の味はしなくて、そのあたりは気に入っているのだけれど、加えている鰹だしが妙に生臭かったり風味が強すぎたりと色々なのだ。で、今日はかなり生臭かった。かなりハズレなスープの味で、がっかりー。

だんなは半熟煮卵ラーメン(半割にした煮卵が3個入っている)、私はチャーシュー麺(チャーシューがべろべろと5〜6枚)。卵とチャーシューを適当に交換しながら、息子にも分けてやりつつズルズルと啜ってきた。縮れ少なめの黄色くてちょっと太めの麺とか、豚骨のほのかなケダモノ臭さは好みなのだけれど、何しろ鰹だしの味が毎回ビミョ〜。鰹だしと豚骨スープがばっちり調和していたらすごく美味しいスープなんだろうなぁと思いつつ、でもばっちり調和したスープがまだ飲めていない私だった。それって美味しくないラーメン屋なんじゃないかという気もするのだけれど、でもまたきっと行ってしまうんだ……なぜだろう。

「キムチでやせる」の焼きそば 水菜乗せ(主菜)
羽釜御飯 (主食)
茹で枝豆
ビール(モルツ)・麦茶

午後は、空っぽの冷蔵庫を満たすように野菜や肉のお買い物。旅行中に休んでしまった振り替えで息子はジムにも行ってきた。何をしたわけでもないのに、なんとなく忙しかった今日一日。

"麺喰い"の血が騒いでいるのか、だんなは
「夕飯は……焼きそば?」
とか言っている。そういえば冷凍庫に「キムチでやせる」の焼きそばが残っていたねぇ〜と、夕御飯は焼きそば。ここの焼きそばはすんごく美味しいけどちょっと辛さもあるので、息子には麺を取り分けてオイスターソースと醤油の味つけで息子用焼きそばを作ってやる。御飯もちょっと食べたいよねと御飯も炊き、美味しそうな枝豆も買ってきたので茹でた。

……で、枝豆茹でたのも米炊いたのも焼きそば炒めてくれたのも、だんな。私は水菜を洗って切ったのと、米が炊きあがるのを知らせるタイマーを止めただけだった。ぼーっとしている間に(いや、旅行記書いてたんだ……)、だんながわちゃわちゃと動いていつの間にか夕飯の準備は整えられていたのだった。風呂の準備もされていて、夕食前に入浴もできた。ありがとう、ありがとうねだんなー。感謝してるのよー。好きなのよー、愛してるわー……と、中華鍋を持つだんなに伝えたら、微妙に複雑な表情をされた。いや、別にね、御飯を作ってくれたから愛してるというわけじゃなくてね……。

夕飯は非常に非常に美味しかった。出始めの枝豆は青臭くてパリパリした食感ですごく好みな味がするし、ジワッと辛くてコクのある焼きそばの美味しさも相変わらず。豚肉と葱がどっさり入り、鍋を火からおろす直前に刻んだ水菜が混ぜ合わされている。で、そのジワッと辛くてコクのある焼きそばを肴にしながらビールを飲み、おかずにしながら御飯を食べる。

「焼きそばをおかずにしながら御飯を食べる」というのは当初すごく違和感があったのだけど、
「だって焼きそばパンは美味しいでしょう?それと同じでー、焼きそばをおかずに御飯を食べる。お好み焼きも同様におかずにして、御飯を食べる」
とだんなから諭され実行しているうちに私もけっこうそれが好きになっていたりして。今日はついに、
「えーい、残った焼きそばを御飯にかけて食べちゃえー」
と"焼きそば丼"を作成してみたところ、だんなに今日2回目の"微妙に複雑な表情"をされてしまった。
「俺は……そこまでは、やらない」
と、私との間に溝を作るような発言までされてしまった。えー……ダメですか、焼きそば丼……。
(どうやらこのとき、私はけっこう酔っぱらっていたらしい……シラフの今なら、そんなことやらないよ!と言える……)

6月6日 日曜日
時々無性にこれが食べたくなります
「三徳」のうどん 醤油うどん
麦茶

だんな、今日はこんなイベントに出かけて行くのであるらしい。職場の同僚が申し込んだ葉書があっさり通ってしまい、たまたまそれに名を連ねていただんな共々サッカーの4on4の試合に参加することになったのだそうな。メンバーは"サッカー経験者もいなくはないけれどもー"くらいのシロウトさんたちで、それでも先週あたりからちょこちょこ練習していた。お祭り好きな息子も連れて行けば楽しかろうということで、だんなと息子は2人でお出かけ。

お祭り騒ぎがそれほど好きじゃない私は家で留守番。スポーツジムに行こうと思っていたのだけど、日焼けのピリピリで腕を上げるのもつらい状態なので家でおとなしくしていることにした。
何しろ私は、
「チームにねぇ、元プロサッカー選手が入ってくれるんだって!井原とか!」
「……だれ、それ?」
というほどにサッカーの事を知らない。ルールは知ってるけど(←中学時代あたりに『キャプテン翼』が好きだったクチ)、それだけなのよー。

そういうわけで、ちょっと早起きの日曜日。息子もすんなり起きてきて、
「息子さーん、これから出かけるけれども、朝御飯は何がいい?卵のサンドイッチ作るか、それとも冷たいうどんとか……」
の声に、
「つめたいうどん!」
と即答の彼。現在冷凍庫に入っているうどん「三徳」のは醤油うどんがオススメらしいということで、茹でて水で締めた麺にそのまま醤油ダレをピャッピャとふってかっこんだ。薬味にと冷凍保存してあった揚げ玉なども出してみたり。

イベントに行くことが決定したとき、
「んもー、こないだ課内旅行だか何だかに行ったばっかりなのに、また職場のイベントなのー?しかもそのサッカー、独身女性がうじゃうじゃ参加するんだとぉ?え?既婚者は君だけなの?だったら暇そうな独身男女だけで集まってそういうことやってりゃいいじゃないのよー。んもー」
……なんて、モヤモヤと怒っていた私。他の理由で苛ついていたときにそんな話を聞いたので、ますますプリプリしていたのだった。今日は、笑顔で送り出すぞ。

「いってらっしゃい♪えがお、えがお」
「……おゆきさん……」
「なぁに?えがお、えがお」
「だから、その、"えがお、えがお"って、なに?」
「えー?自分を律するために!……えがお、えがお」
「あ、そう……」
だんなと息子は笑顔で出発していった。
……しっかし、もう雨が降り出しているんだけど、そんな中でサッカーするの……?

リゾッチャ印のどらやき
牛乳

午前11時を過ぎ、
「今頃、ボール蹴ってるのかしらー」
と思いながら、私は空腹になる。ちゃんとした御飯を食べたい気分でもないしー……お煎餅とか……と台所をあさっていたら、どらやきの袋と目があった。機内食で出されたものの、食べずに持ち帰ってきたどらやきだ。リゾッチャのマークの焼き印がついたリゾッチャ印のどらやきで、でもパッケージを見ると「文明堂」の文字。わーいわーいカステラの文明堂のどらやきだわ、なんだか嬉しいわ、と冷たい牛乳傍らに、もぎゅもぎゅと食べた。

私の好きな粒あんのどらやき。あ、文明堂のは「どらやき」じゃなくて「三笠山」って言うんだっけ。
えがお、えがお。

だんな特製 肉団子スパゲティ
卵とチーズのふわふわスープ
枝豆
ビール(モルツ)

だんなと息子は午後3時頃に帰ってきた。あっさりと1回戦で敗退したのだそうだ。
「もーね、みんな、上手いのー。俺らのチームみたいなシロウトさんグループは1つか2つかって感じだったよー」
というトホホっぷりだったらしい。楽しめたのなら何より。息子も雨の中、空いた場所でサッカーボール蹴っておおいに楽しんできたと言うし。
参加賞にもらってきたらしいジャージには、井原の直筆サインが記されていた。ビール会社のイベントだったので、ビール無料券貰って打ち上げしてきたそうで。いいないいな(でもお祭り騒ぎはやっぱり苦手)。

どうもここのところスパゲティが恋しくなっていて、しかも肉団子スパゲティが食べたくなっていて、
「……ドライカレーでも作ろうって、昨日、合い挽き肉を買ったわけなんだけどさ……肉団子スパが食べたいなぁ」
とだんなに提案してみる。あ、そうなの?俺もねー、今日、後輩に貸してた"カリオストロの城"のDVDが返ってきたから、無性に肉団子スパが食べたくなってたのよ、と、快諾されて、夕飯は肉団子スパゲティに決定。カリオストロの城といえば、肉団子スパゲティ。ルパンと次元が2人で奪い合いしながら大皿に盛られたそれを食べるのを、「うまそうだなぁ」といつも見ていたのだった。

「やっぱり大皿に盛るんだよね」
「当然!……で、BGMにカリ城のDVD流しておく?」
「……いや……そこまでせずとも……」
そんな事話しながら、夕方6時を過ぎてから夕食の準備。合い挽き肉の量はあんまり多くはなかったので、すべてを肉団子にしてトマトソースで和えることにした。肉がもっとあったら、肉団子をミートソースで和えたりするのだけれど、どっちもそれぞれの美味しさがあると思う。

肉団子はだんなの担当。刻み玉ねぎや卵黄を加えてこねこねしていく。私はベランダからイタリアンパセリとバジルを摘んできて、簡単なスープを作った。明日のお弁当用に茹で鶏の準備をし、その過程でできたスープを使用する。どこかの本で読んで覚えた卵とチーズのふわふわスープは、簡単でけっこう美味しい。鍋に卵1個、粉チーズ大さじ2、刻みパセリ(とかバジルとか適当に)大さじ2、水少々を入れてよく混ぜておき、そこに熱いスープを少しずつ加えて混ぜていく。最後に沸騰させないように温めればできあがり。熱いスープに卵を流し入れる"かきたま汁"とは違う作り方で、卵が細かく全体にふわふわと散ったできあがりになる。ほんのりチーズが香って、優しい味。

その間に肉団子はこんがりと焼かれ、トマトソースもグツグツと中華鍋の中で煮えつつある。ホールトマトと赤ワインで作っただけのような簡単なトマトソースで肉団子とゆでたてスパゲティを和えればできあがり。彩りにちょっとバジルを散らしてみる。

だんなは「適当に作っちゃった」というけれど、肉団子スパゲティはすんごく美味しくできあがっていた。肉の塩気とか柔らかさがちょうど良く、トマトソースも多すぎず少なすぎず適度に麺に絡まっている。ルパンと次元のように奪い合いはせずに
「あと、どんくらい食べられるー?」
「あ、肉団子、もっと持ってっていいよ」
と、非常に平和的な食卓の風景が展開された。他にサラダもなんにもない夕飯だったけれど、でも肉団子スパゲティのときは肉団子スパゲティだけをお腹いっぱい食べたい気分なのよね。