食欲魔人日記 04年04月 第3週
4月12日 月曜日
さっぱりと、油揚げと水菜のスパゲティ。ちょっと具沢山すぎ?
トースト with ピーナッツバター
野菜生活ソフト ほんのりピーチ

昨年秋に我が家最寄り駅に小洒落た駅ビル(というか駅高架下商店街)ができたことにより、駅から徒歩3分のところにある大型チェーンスーパーは大打撃を被ったらしい。営業時間を夜遅くまで延長したり、目玉商品をあれこれ並べた日替わりセールもより一層派手に行われるようになった。昨日ちょっと久しぶりに買い物に行ってみれば、スーパー内の至る所で試食販売も展開されていてやたらと賑やか。息子はソーセージをつまんだり、ナゲットをつまんだりして御満悦だった。

「おかあさん、おかあさん、これがね、美味しかったなんだよ」
と、また何やらいただいてきてしまったらしい息子が指さしたところには、ピンク色のジュース。ジュースはダメだよ……とそのパッケージをよくよく見たら、野菜ジュースであるらしい。
「おかあさまも、どうですかー?」
なんて言われてミニコップを手渡され、飲んでみると桃のカルピスのような味がして、けっこういける。息子に
「ほんっとーに飲むね?買ったからにはちゃんと飲むんだよ?」
と念押しして、1本買ってきてみた。

野菜生活ソフトほんのりピーチ」なる、新発売らしいその野菜ジュースは、果物のミックスジュースみたいな味なのに赤ピーマンやらキャベツやらほうれん草やらクレソンやら、色々入っているらしい。野菜ジュース特有のざらっとした舌触りは多少あるけれど、あまり違和感なく飲めるものだった。野菜ジュースなんて、会社に就職したときに最初に受けた新人研修(半月合宿)のときに、野菜不足な料理が続いたからその対策にと買って飲んだ時以来なような気がする。美味しいもんじゃないなぁとその時は思っていたのだけど、これはけっこう好みな味だった。

だんなは10時過ぎの飛行機に乗るとかで、
「最後の日本の飯は、吉野家の豚丼〜!」
とか言いつつ、スーツケース持って海外出張に出かけて行った。私の手料理より豚丼かい、と苦笑いしながら、私と息子はその野菜ジュースとピーナッツバターをこてっと塗ったパン。

おうちで弁当
 ラム肉とじゃがいものカレー炒め
 タコと水菜のサラダ
 茹でブロッコリー・プチトマト
 いぶりがっこ  ふりかけ御飯
麦茶

やーっと息子が弁当持参モードになってくれたので、
「これでやーっと心おきなくジムに行けるわー♪」
と、たっぷり3時間くらい運動してきた。45分ローインパクトエアロに出て、45分ボディパンプに出て、30分くらい泳いで、へろへろになって帰ってきた。昼御飯は、息子の分を作るついでにちゃちゃちゃっと自分の分も詰めてみた、簡単お弁当。ラムとじゃがいものカレー炒めは、あらかじめ揉みダレで肉も野菜も味つけられていた肉屋さんの特売もの。これまたスーパーで試食販売していて、けっこう美味しかったし安かったので弁当用に100gだけ貰ってきたものだ。

息子のと変わらないサイズの小ぶりの弁当箱にふりかけ御飯、いぶりがっこ2切れ、ラムとじゃがいものカレー炒めと、昨夜のタコのサラダ、あとは隙間にマヨネーズをちょっと絞ってブロッコリーとプチトマトを入れてみた。週末にたらふく寿司食べて居酒屋行って……ということをしたので、一応カロリーを気にして軽め軽めな昼御飯。おやつでも食べなきゃやってられないような分量なのだけど、でも最近は息子が幼稚園から帰宅するなり外で夕方まで遊び続けてしまうので、おやつの出番がない我が家。健康的?

油揚げと水菜のスパゲッティ にんにく風味
レタスのサラダ
しじみの味噌汁
アイスティー

今日も遊びまくって帰ってきた息子。暗くなってから私が気づいたのだけど、
「……サッカーボールはちゃんと持って帰ってきた?」
「……あ……」

前回のクリスマスに、"おねぇちゃん"(だんなの妹)から貰った、子供用の(でも本格的な)サッカーボール。いっつも外に持っていって遊んでいたのだけれど、何度か持ち帰るのを忘れたことがあった。こっちも気がつく限り念押しして帰宅直後に探しに行かせたりしていたのだけど、今日も忘れてしまったらしい。でも、もう、外は真っ暗。
「どうして、どうして持って帰るの忘れるかなー。大切なボールだったんでしょ?この!おバカ!」
久しぶりに本格的に叱る。結局、暗くてわかりにくいこともあって、一緒に探しに行ったのだけどボールは見つからなかった。明日、見つかると良いけどねぇ……。

夕食は、パスタ。冷蔵庫内に半端に残っていた油揚げを見つけたので、これを早く食べちゃわなきゃと、水菜と一緒にアーリオオーリオスパゲティ。
オリーブ油で薄切りにんにくをじっくり炒めてカリカリにしたら除けておき、鍋に残ったオリーブ油にざく切りにした油揚げと赤唐辛子を加えて炒めていく。茹でたスパゲティを加える直前に水菜を入れ、全体をざざっと混ぜたらできあがり。すごく淡泊な、和風な味のスパゲティだ。和風な味のスパゲティだからね、ということで、昨夜のしじみの味噌汁の残りも出しちゃう。あとは、昨日買ってきた大きなレタスをバリバリと手でちぎって、薄切りキュウリと共にサラダに。

「そうすると、サラダのドレッシングも和風なものが良いわよねー」
と冷蔵庫を漁ったら「叙々苑 」の胡麻味ドレッシングが。これ、以前試しに買ってみたのだけど、いかにも焼き肉屋さんのサラダにかかって出てきそうな味わいで、とても好み。大根の細切りサラダなんかにすごく似合いそうな味だ。シンプルなレタスのサラダにもとても良く似合う。

野菜がベースだったけれど、パスタのオリーブ油やらサラダのドレッシングやらで、けっこうオイリーな夕御飯。
「あしたは、クリームのスパゲティにしてくれる?クリームのスパゲティが好きなんだよ〜」
という息子にはいまいち物足りない内容だったらしい……。

4月13日 火曜日
「キャラメル杏仁」なるデザート。ちょっとすごい。
ピザトースト
野菜生活ソフト ほんのりピーチ

今日は、昨日突然に決まった仕事の打ち合わせで外出。昨日のうちに息子の幼稚園に
「延長保育お願いします〜」
と連絡を入れておいた。幼稚園からの帰りが毎日2時というのはとんでもなく早く感じられてしまうのだけれど(かつて保育園に入れていた時の事を思うと、なおさらそう思っちゃう)、延長保育の体制が整っているのは本当にありがたい。費用もかかるにはかかるのだけど、1回につき数百円と、懐もあんまり痛まないのだった。

「だからね、今日はお弁当の他におやつも入れておいたから、夕方まで幼稚園で待っててねー」
と、その幼稚園での延長保育のしきたりに従い、煎餅やチョコレートを数点小袋に包んで鞄に入れてやる。
私の本日の昼御飯、食べるタイミングがどのようになるのか見当がつかなかったので、朝御飯はしっかりめにピザトーストにすることにした。

本当は4枚切りくらいの厚切りのパンの方がそれっぽくて美味しいのだけれど、今回は手持ちの6枚切りのパンを使用。ピザソースをたっぷりと塗り、ピーマンと玉ねぎとベーコンをざくざく切ってたっぷり散らし、上からはピザ用チーズをこれまたたっぷりと。焼き方がぬるいといまいちな仕上がりになるので、10分かけてパンをカリッサクッと、チーズを完全にとろ〜んと、しっかりと火を通した。お供には昨日に続いて野菜ジュース(←けっこう好きになっている自分がいる……)。

「きょうは?きょうのごはんは、何かな?」
食卓についた息子が「うわっすごいっ」と驚いている。
「ピザトーストだよ。ピーマンは少ししか入れてないから、ちゃんと食べなね」
「おおー、ピッツァトーストかー。うわぁ〜」
"pizza"の発音も完璧に、何やら喜んでいる息子。パンは薄めだったけれど、これでもかとたっぷりのとろけたチーズが美味しかった。

永田町 「trattoria Margutta」にて
 スパゲティボロネーゼ セット
 (フォカッチャ・サラダつき)
 紅茶

今回の仕事は、これまでの相手とはかなり色合いが違う様子。大学の一級上のY先輩が、
「昔お世話になった人が"Photoshopが扱えてWebデザインができる人"というのを探してるんだけど、どう?仕事してみる?」
と声をかけてくれたのだけれど、その相手先はPerlだPHPだXOOPSだ何だという最先端な技術を駆使したシステムを作成する会社であるらしい。先方は「プログラム言語に抵抗がなくて、ゆくゆくはプログラムにも足を突っ込んでくれるようなデザイナー」を求めているらしいのだけど、でも私はスタイルシートさえ扱ったことがなく、javaやcgiも改造して使うのがせいぜいだったりして、XOOPSなんて名前も知らないぞという状態で、
「……話をしてみて、それであっさり、"あ、君、やっぱいらないから"と言われる率も高いわよね……」
と、あまり期待せずに赴いてみたのだった。大体、息子が幼稚園に通う今、フルタイムの勤務なんてできないわけだし。

小さなオフィス、社長の他は学生のアルバイトだったり他に本業を持つ人が在宅でプログラムを組んでいたりという状態であるらしい。適性検査もなし、「で、君、何ができるの?」なんて話もすっとばして、いきなり
「今、こーゆーことやってるのね。で、こういうことが出来る人が今、いないわけ。これとこれはこういうものをベースにして作ってて……」
などという濃い話が始まった。予期せぬ展開のまま、今日は一日みっちりとお勉強。最初のうちは週に一度、慣れてきたら半月に一度でも顔を出せば在宅仕事でもぜーんぜん構わないらしいのだった。先方、ノリノリ。私もノリノリ。なし崩し的に新たなバイト先が1つできてしまった。

「ん!じゃあ、飯喰いに行こうか!御馳走しますよ、すぐ近くに喰うところあるし」
昼御飯は社長と2人、ぽてぽてと近くのイタ飯屋に向かい、ランチパスタセットを御馳走に。ここは永田町。来るときに国会議事堂前駅を使ったのだけれど、色々と緊迫するこの情勢の中、10mおきに警官が警戒している建物群の脇をぽてぽてとオフィスに向かわなければならなくて、激しく肩が凝ってしまった。こんなところを歩くのは、多分初めてじゃなかろうか。これから何度もオフィスに来ることになると思うのだけれど、一体どこで飯を食ったら良いのか、ちょっと悩ましいエリアだったりして、そんな中にぽつんとイタ飯屋があるのだった。

1000円くらいのパスタセットはアツアツに温められた自家製らしきミニサイズのフォカッチャと、パプリカやセロリがたっぷり入っているミックスサラダがついてくる。赤ワインでじっくり煮込んだようなミートソースは、ソースとパスタを軽くあおって混ぜた上から更にソースがかかっていて、優しい味のものだった。けっこう美味しい。

社長は、息子と同世代の子供がいるということで(でも私より10歳以上年上、でも第一印象は中身も外見もせいぜい30代前半……)幼稚園がどうの小学校がどうの、高校大学時代の友人は人生においてとっても大切ですよね、なんて話をしつつ食事終了。社長は童顔(というか若作り)ですごい切れ者だけど、多分とっても変な人。ちょっとわくわく。

稲毛 「牛繁」にて
 キムチ盛り合わせ
 ネギタン塩
 特撰カルビ・タレ
 ホルモン・味噌
 粗挽きソーセージ
 ハラミ・塩
 ビビンバ
 杏仁豆腐
 キャラメル杏仁
 ビール(中)
 いよかんサワー
 カルピスソーダ
 グレープフルーツジュース
……を息子と2人で。もう腹一杯……。

で、結局、打ち合わせが押しに押して、5時に迎えに行く予定だった幼稚園に到着したのは5時15分になってしまっていた。息子の他にはあと1人しか残っていない状態で、2人と先生が静かに折り紙で遊んで待っていた。うわー、息子、すまんー。その光景は、ちと切ないな。

「おかあさん、おしごと、おつかれさまね」
「うん、すっごく疲れた……何が疲れたってね、2〜3時間の打ち合わせだからって、お母さんは気張ってボディスーツなんか着用してったわけよ。スーツも着てったわけよ。滅多にしないフルメイクもしてったわけよ。……もう限界……次からは、ジーパンにすっぴんで(いや、さすがにすっぴんはマズイ……)仕事に行くわ……」
「……ふーん、ぼくもね、つかれたよ」
「……もうさー疲れちゃったから、外に御飯食べに、行っちゃおうか?」
「いくいくー。あのね、コーラ飲みたい」
「ああ、居酒屋のことか……でもさ、お母さんは焼き肉食べたい……」
「やきにく!いいよ、やきにく!」

帰り道、薄暗くなった道をスーツ着用のまま自転車コキコキ漕ぎながらそんな話をして帰ってきた。仕事に行ったくらいで疲れて外食してたら、その日の仕事の成果はパァな気がしないでもないのだけれど、ともかく今日は疲れたということで。次からはジーパンですっぴんだから疲れないぞということで。

いつもは「牛角」というチェーン店に行くところ、今回は試しにと牛繁なる別のチェーンに入ってみた。これまた駅近くにあって、通りかかるたびにちょっと気になっていたお店だ。まだ6時過ぎという早めの時間帯に息子と2人入店して、4人がけの席に向かい合って座ってあれこれつついてみた。

いつも、焼き肉に行くとこれでもかと注文して平らげてしまうのだけど、息子と私の2人ならそうもいくまい、と思っていた。
「大人は私1人なのに大量に頼んでも恥ずかしいし。そう、いつもあんなに注文が多いのはひとえにだんながいっぱい食べちゃうからなのよね」
などと、不在のだんなにあれこれ勝手に押しつけて考えながら、とりあえず「キムチ盛り合わせ」を頼んでみる。息子にソーセージ、そしてネギタン塩とカルビとホルモン1皿ずつ。息子と2人でつつこうと、ビビンバ1つ。それだけならけっこう美しい注文かな、と思われた。……が、今日の息子はすっごく良く食べた。

「……タン、食べるよね?」
「たべまーす」
「はい、焼いとくからね」
「もうひとつ、たべまーす」
「あー、はい、2切れね」

「……カルビは?どうする?」
「たべまーす」
「ん、焼いておこう」
「……おいしいからね、いっぱいたべまーす」
「いっぱい食べるのか……」

本当に、奴はいっぱい食べた。タンは1/2皿くらい食べたし、カルビも1/2皿くらい。4本盛りのソーセージは、私には一口も入ることなく息子の胃袋に吸収されていった。ホルモンは私一人でつついたのだけど、それじゃ物足りなくてハラミを1皿追加。デザートに杏仁豆腐を2種類頼めば、それでお会計は6000円近い状態になってしまった。だんなと一緒に行ったときのちょうど2/3くらいのお会計になってしまい(牛角よりも牛繁の方が若干価格が高めなのかもしれないけれど、それでも)、色々とショックだった。

味は、まぁまぁ。ブリッと分厚いハラミは美味しかったけれど、カルビは薄すぎてなんだか食べた気がしなかった。胡麻油と塩で和えた刻み葱がこれでもかと添えられたタン塩も、まぁまぁかな、という感じ。ビビンバも悪くなかったのだけど、これも胡麻油がちと多すぎて、胡麻油の存在感ばかりが感じられる味がした。タレの味も可もなく不可もなく……。
デザートの値段の安さとか食後のお茶のサービスとか、妙にジャンクな風味の品揃えの存在とか、細かな点で私はやっぱり牛角が好きかなぁという結論に至った。いまいち杏仁の風味がしない、甘さもやけに控えめなプリプリンとした歯触りの杏仁豆腐にいかにもな市販ものくさいキャラメルシロップがでろでろ〜んとかかった珍妙なデザートも、一度食べれば良いかなという感じで……。

さ、明日からせっせと勉強しよ。とりあえずスタイルシートから……。

4月14日 水曜日
久しぶりに挑戦したリゾット。あとでお腹が空きそ……。
バナナ
牛乳

だんな不在の一週間、これで3日目。なんだかんだと忙しくて寂しいと思う暇もあまりない。今日はつい寝過ごしてしまい、息子の弁当を作るのはなんとか間に合ったものの朝食の支度をする余裕があまりなくなってしまった。
「バナナ!バナナでいいかーい?」
「いいよーん」
「野菜ジュースもちょびっと残ってる!飲むかーい?」
「のむよーん」
文句を出さない息子に感謝しつつ、息子の朝食はバナナと野菜ジュース。あっさりと空になってしまった野菜ジュースを惜しみつつ、私はバナナと牛乳。

「このね、やさいジュースはおいしいなんだよ。なんでおいしいかというとね、味見しておいしかったからなんだよ」
いまいち謎な内容を呟きながら野菜ジュースを飲みきった息子。相当気に入ってしまったらしい。
……でもな、野菜ジュースはちょっとお高いのよ……あんまし頻繁には買えないのよ……。

稲毛 「CoCo壱番屋」にて
 チキンカツカレー
 コーンスープ

仕事もあったし勉強もしなきゃいけなかったのだけど、
「でも!1時間半だけジム行ってこよ!」
と昼過ぎのプログラムに出るべく、ちょっと早めに家を出て腹ごしらえ。さすがにバナナ1本じゃ動けそうになかったので、
「気になっていたカレー屋さんに行ってみましょ〜♪」
CoCo壱番屋を目指してみた。

つい最近、我が町にもオープンした、カレーチェーン店だ。名古屋発祥のお店で、PASTA DE COCOという名のあんかけスパ屋も展開している。私もだんなも産まれ育ったわけでなく親戚がいるわけでもないのに、名古屋の味が妙に好き。ゆえに名古屋発祥のこのカレー屋さんも密かに気になっていたのだけど、行く機会がこれまでなかったのだった。わざわざ出かけていって食べるという類のものではないし、近くにあると良いんだけどなぁ〜と思っていたのだ。

食券制なのかしら最初にレジで注文するのかしら、と色々考えつつ黄色っぽい内装のお店に足を踏み入れる。あっさりと「お好きな席にどうぞー」と誘われ、メニューの置かれたテーブル席に着席した。メニューにはずらりずらりとハンバーグカレーだ野菜カレーだシーフードカレーだと何種類ものカレーが並んでいて、サラダも数種類、デザートやスープなんかもある。これから動くしー、腹減ったしー、と、つい「チキンカツカレー」などというヘビィなものを注文してしまった。650円のそれに、220円のコーンスープもついつけてしまう。他にも数十円でガーリックをトッピングとかゆで卵をトッピングとか、色々楽しそうなことができるらしかった。

「はい、チキンカツカレーとスープですね。カレーの辛さと御飯の盛りのご注文はありますか?」
店員さんに言われ、「はい?」とよくよくメニューを見れば、カレーの辛さは「普通」から「1辛2辛……10辛」と選べ(「甘口」もある)、御飯は300gを基本として200gから1500g(!)まで選べるらしい。辛ければ高くなり、御飯を増やしても高くなる。

「あ……フツー、フツーでいいです……」
初めてのCoCo壱番に緊張しながら、フツーで、フツーでと初注文を終えた。周囲を観察してみれば、
「ゴロゴロポークカレーの2辛、ごはん400gでね」
なんて細かな注文をしている人がけっこういる。「あ、ゆで卵つけてね」とか。

で、やってきたカレーはかなりのボリュームがあった。我が家のカレーの盛りつけより明らかにたっぷりめの御飯にドカッとカツが乗り、ちょっと深さのある大皿にたぷたぷとカレールーが波打っている。とろ〜んと粘度強めのカレーは思ったよりもしっかりと辛かった。じわ〜んじわ〜んと辛さが押し寄せるカレーは食べ応え充分で、ジムの前に食べるにはちと充実感溢れすぎるボリュームだった。サクッとした衣のチキンカツも、なかなか美味しかったし、メニューの豊富さも気になるところで、また食べに来よう♪と思ったのだった。テイクアウトも可能みたいだし。

そしてタポタポになった胃袋抱えてけだるい肉体でボディパンプ。しんど……。

アスパラガスのリゾット
牛肉とミックスリーフのサラダ
ビール(モルツ)
苺 with コンデンスミルク

安くて美味しそうなアスパラガスがスーパーに並ぶようになったなぁ、と思っていたここ数週間。タイミングよく、アスパラガス料理のレシピのページを作成する仕事が入って、数日前にあれこれ作業してページを作り終え、気がつけばアスパラガスが無性に食べたくなっていた。

「んー……リゾット?チーズあるし、久しぶりに食べたい気分……」
と、作ってみたのはアスパラガスのリゾット。オリーブ油で玉ねぎ炒め、米炒め、下茹でしたアスパラガスと共にことことスープで炊いていって最後に数種類のチーズを加えてとろんとさせる、というものだ。リゾットは"おじや"や"ぞうすい"みたいなものだけど、でも作るのはけっこうめんどくさい。常に米より2cmくらい上のひたひたな位置にスープがあるよう、スープを加えすぎないよう、少なすぎないよう、世話をしていかなければいけない。きちんとしたスープを取る余裕がなかったので顆粒鶏ガラスープを湯に溶いて使ったのだけど、インスタント臭さを少し消そうと玉ねぎやクレソン、にんじんなんかの切れ端を入れて15分くらい煮込んでから使ってみた。

リゾットを炊きつつ、サラダの準備。ベビーリーフに茹でた牛肉を混ぜて、肉っけのあるサラダにしてみた。ビネガーとオリーブ油でちゃちゃっと和えるだけにしようかとも思ったのだけれど、ちょっと悩んでピエトロのドレッシングで和えちゃうことに。

リゾットとサラダの夕飯なんて、お洒落な印象が多少漂う感じはあるけど、その実「うわー、後でお腹が空いちゃいそー」とも思えてしまう。あとで苺を食べようね、と話しつつ、息子も私もリゾットをお代わりしてお互い2杯ずつ。サラダも2人でどっさり食べた。

アスパラガスを一緒に煮込んだリゾットは、スープも米にもアスパラガスの香りがしっかり染みこんでとても美味しかった。何種類かのチーズを加えたのだけど、モッツァレラがとろ〜んと糸をひいてとても素敵な口当たり。クリームのスパゲティが大好きな息子も、
「このごはん、おいしいねぇ!すんごくおいしいねぇ!」
と御満悦だった。リゾット作成はちとめんどくさいけど、大抵「おいしいなぁおいしいなぁ」と食べることになるのよね。

……で、やっぱり数時間後にはほんのり物寂しさが胃袋に漂ってきて、苺をぽいぽい食べまくり。

4月15日 木曜日
アークヒルズで、卵とろとろオムライス
フルーツグラノーラ with 牛乳
ヨーグルト

今日も、お仕事。
「とゆーわけなので、今日も幼稚園で待っていてくれる?」
と、息子にお願いしてみたらば、
「……あのね、ようちえんよりね、おばあちゃんちで待ってたいなぁ……」
というリクエストが入ったので、だんなの実家に電話して頼んでみることに。
「あぁら、いいわよ。連れていらっしゃい。大丈夫だから」
お義母さんが快諾してくれて、息子はおばあちゃん家に託すことになった。幼稚園の時ほど時間にピリピリせずに迎えに行けるので、私としてはありがたい。

パパパッと済ませた朝御飯はフルーツグラノーラたっぷりに牛乳たっぷり。私の大好きなジャージー乳のヨーグルトも1個ずつ。

溜池山王 アークヒルズ内「DINER満天星」にて
 特製オムレツライス \1400

今日は昼過ぎに事務所に行くことになっていたので、午前中は余裕があった。
「じゃあ、1時間くらい早く出て、あのへんで昼飯食べて行こうかなー♪」
と、行ってみたのは久しぶりのアークヒルズ。事務所からはちょっと離れているので事務所からの往復はちとつらいけど、電車降りてアークヒルズを経由して行く分にはそれほど負担にもならない、という感じの離れっぷり。
「満天星やバサラには行ってみたかったのよねー。」
と、サラリーマン客で混み合う前にと11時過ぎに到着してみた。

ほげーっとビル入り口の案内板を見上げ、入ってみたのはDINER満天星。安いものは700円くらいから、日替わりのランチセットも1000円くらいと、そこそこお手軽な価格だった。名物らしいオムレツライスなどもテイクアウト用に販売されていて、なかなか良い感じ。
「よーっし、食べるぞー、食べちゃうぞー」
と、注文したのは1400円の"特製"オムレツライス。サラダとスープがついて1400円というのは、微妙にお高く感じられるけど、ここは初めてなので鼻血を出す勢いで奮発してみる。サラリーマンだったら(だった頃は)外食ランチはせいぜい800円まで、かなり奮発しても1000円くらいまで、という感覚だったので、やっぱり平日のお昼に1400円という食事はかなり豪勢な感覚だったりする。

で、盛ってきた文庫を読む暇もなく、数分してずらずらっと料理が並べられた。ワカメがひらひらっと入るビーフコンソメのスープと、大ぶりのガラス製コップに入れられたグリーンサラダ。サラダのドレッシングはシソ風味。そして目の前に、ババーンと大きな菱形のお皿。こんもりと盛られたチキンライスの上にふんわりとろんとしたオムレツ、そして手前には茶褐色のドミグラスソースもたっぷり。オムレツの中には大ぶりに切られた帆立や海老がごろごろと入っていて、そのへんが"特製"なのかしらん、と思えたりした。

ドミグラスソースはさらりとしているけれどしっかりと濃厚な味。じわっと静かな苦みがあって甘さはあまりない大人の味だ。最近美味しいドミグラスソースを舐めていなかったので、「いやん、美味しいわ」と何やらとても幸せな気分に。生ではなく、とろんふわんと火の通ったオムレツもすごく良かった。サラダやスープはフロアの店員さんが持ってきてくれるのだけど、メインディッシュは厨房から「今、俺が作ってきましたー」という風情にコック帽の人がいそいそと持ってきてくれる。

思った以上に美味しくて満足したのだけど、少し残念だったのは、量がほんのり物足りなかったこと。私は大食らいだけれど、でもきっとこれじゃ男性のほとんどが物足りなく思うんじゃないかなぁという分量だった。女性には丁度良いのかな。うーん、でも、1400円という価格を考えるともう3〜4口分多く欲しいかな、と思えるのだった。

ブロッコリーとマッシュルームのクリームソースパスタ
牛肉と根菜のスープ
グリーンサラダ
アイスティー

今日も事務所でお勉強。バイトの大学生M君がlinuxのコマンドやらパーミッションの事やら何やらを懇切丁寧に教えてくれた。うう、このへん早く片づけて、やってて楽しいデザインの仕事をしたい……(でもそれを覚えないとデザインしてもアップロードできない……)。

で、5時過ぎに帰ってきて、「今から帰りまーす」と駅を出たところで連絡を入れておいたら、息子がおばあちゃん家から飛び出るように荷物持って出てきた。いつも「いやーよ、もっとあそんでから帰るの!」と言われることが多かったりするのでちょっと嬉しい。

「きょうはさ、クリームのスパゲティ、つくってくれるんだよね?」
「はいはーい、昨日約束したからね」
自転車こいで帰ってきて、約束どおりクリームソースのスパゲティ。息子の好きなブロッコリーをスパゲティと一緒に茹で、バターで炒めた薄切りマッシュルームに生クリームをだばだば加えて塩胡椒して煮詰めたソースにざざっと和える。コクはあるけど具は野菜しか入れてないパスタ料理だったので、スープには薄切り牛肉をひらひらと。玉ねぎとにんじんもどかどか放り込み、具沢山のスープにした。そしてベビーリーフのミックスサラダ。

スパゲティは、たいていそれを茹でる鍋と、具を炒める(もしくは煮る)鍋が必要で、それを並行して加熱するので2口のコンロしかない我が家では、他の料理ができなくなっちゃうのだった。スープを作ったりおかずを作ったりした時には、オーブンを使ったり事前に準備したりと、なかなか大変。それにスパゲティなどのパスタ料理はできたてアツアツのものが食べたいから急いでうりゃーっと盛りつけることになり、見栄えがイマイチな状態になってしまって撮った写真もイマイチに……と、とにかく色々とめんどくさいのがスパゲティ。作るのも食べるのも大好きなんだけどねぇ。

「ほれ、クリームのスパゲティだぞ!」
とテーブルに出したら、息子は大喜びしてくれた。すごい勢いで、しっかり1人前の分量があるそれをもくもくを食べ始めた。
「……お腹空いてたの?おばあちゃん家で色々食べてきたんでしょ?」
あまりの食べっぷりに思わず聞いてしまったのだけど、
「うん。んとねー、マンゴーのね、杏仁豆腐みたいなやつとー」
「うん」
「あとね、おせんべ」
「うんうん」
「あとね、ぺこちゃんのほっぺ」
「……そんなに喰ったんかい……」
「おいしかったなんだよ」
「そう、おいしかったの」
「これもね、おいしいなんだよー」
「そうかそうか」
息子のまわりには美味しいものがいっぱい。

4月16日 金曜日
旬のサワラを買ってきました
バナナ
牛乳

長かった一週間も、いよいよ終わり。だんなはいないわ、私は新しい仕事の場ができたわで、色々とイレギュラーな生活だった。それでも、息子に「ゆうはん……これだけなの?」と以前言われちゃったのがショックだったので、家で食べるときはそこそこちゃんとしたものを作り、いよいよ気力がないときは外食に、と、できる範囲で頑張ってみた。そう、こんなに忙しかったのに月水金とスポーツジムにはちゃんと行ったぞー。えらいぞ、自分。

そういうわけで、今日はスポーツジムの日。息子の分と私の分、2人分のお弁当を作り、息子を起こしてちゃちゃっと食べたのは"あと2日放っておいたら液状化するかもしれません"というほどに熟したバナナ。固体の状態で食べられるのもあと1日だろうかという熟しっぷりだったので急いで食べちゃうことにした。

「バナナはねー、バナナ食べるときにはねー、やさいのジュースをいっしょに飲んだほうがね、いいとおもうよ」
何やら息子、栄養士のような事を言っている。
それほど美味しかったんじゃしょうがないなぁ、と、また「野菜生活ソフトほんのりピーチ」を買ってやろうと心に決めてみた。確かにバナナと野菜ジュースは栄養バランスが良い……ような気がしないでもない。

おうちで弁当
 豚トロと野菜炒め丼
 ゆで卵
 きゅうりとトマト with マヨネーズ
麦茶

今日もがんばって勉強しなきゃいけないのだけど、座りっぱなしだと腰が痛くなってしまうしそれの解消には運動するのが一番だしということで、オープン直後の1時間半だけスポーツジムに行ってきた。自分の肉体が鍛えられてきているという自覚はあまりないのだけれど、前々回猛烈な筋肉痛になったのが前回は軽めの筋肉痛に、そして今回は筋肉痛なし、と地味だけど着実に私はマッチョ街道を進んでいるようだった。いや、マッチョになりたいわけじゃないんだけど。

帰宅してから、一人でお弁当。先日肉屋さんで試食販売やっていた100g120円とかいう味付け肉と野菜のパック、
「しまった!喰ってなかった!」
と買ったことを今日になって思い出して、慌てて炒めて弁当箱に詰めてみたのだった。豚トロに人参、いんげん、くわいなどが混ぜられて、焼き肉の塩ダレっぽい味つけのタレで和えられていたものだ。炒めた後に味見して、
「ん、御飯の上に乗せてもけっこう似合うかな」
と、弁当箱に詰めた御飯の上に盛りつけ、丼にしてみた。弁当箱の残りわずかなスペースにはゆで卵とキュウリとトマトを詰めておく。ちょーっと手抜きだけど勘弁してねと、息子と私お揃いのお弁当。

豚トロというからには、けっこう脂身が入っているコテッとした肉なわけで、冷めると脂が白く固まっちゃってイヤな食感になっちゃうかしらというのが一番の心配だったのだけど、今日は初夏のような暖かさで心配は無用だった。昼になっても脂は固まらず、肉汁が適度に染みた御飯が美味しかった。

サワラのバターソテー
トマトのガーリックオイルサラダ、きゅうり
卵豆腐
豆腐と油揚げの味噌汁
ミニねぎトロ丼
ビール(モルツ)

本来は昨日が息子のジム通いの曜日だったのだけれど、私の仕事のためお休みさせてしまうことに。振り替えも可能ということで、今日連れていくことにした。息子をジムに置いてから、私は買い物。無性に魚が食べたかった。
「んー……タチウオ……高い……トビウオも……高い……サンマは安い……けど解凍ものかぁ……」
これというものが見つからないなぁと歩いていて、切り身のサワラと目があった。2切れ300円と、なかなかお安い。
「どうやって食べるかは未定だけど、これにしましょー♪」
1パック籠に放り込んだ。ちょっと安かった、マグロのたたきも1パック。御飯炊いてー、味噌汁も作ってー、魚は焼いて食べよう……と思った私は、どうやら和食に飢えていたらしかった。

まずは御飯を炊きはじめ、隣のコンロで湯を沸かしてトマトを湯むき。湯むきが終わったら味噌汁作成。味噌汁の湯が沸くのを待つ間に、湯むきしたトマトはざく切りにして刻んだイタリアンパセリと塩とオリーブ油とおろしにんにくでざっくり和えておく。添えるキュウリは薄くスライス。味噌汁の具は豆腐と油揚げ、マグロのたたきは小さな器に盛りつけておき、刻み葱と刻み海苔も小皿に盛りつける。

御飯が蒸らしに入ったら魚の準備。塩をした切り身のサワラにごく薄く小麦粉をはたき、フライパンで両面こんがりと焼きつける。仕上げにバターを落とし入れ、醤油を風味づけ程度にひとたらししたら、焼き汁と共に皿に盛りつけてできあがり。残りもののライムの切れ端を添えておいた。卵豆腐もテーブルに出したら、ほんのり豪華な食卓に。

バターを吸ったふくふくした白身の魚は想像以上に美味しかった。サワラというのは目立つようで目立たぬ魚だったりして、魚屋で見かけてもあまり注目していなかったのだけれど、淡泊だけどカスカスじゃなくて美味しいんだなぁと思い至った。焼いても良し、煮ても良しな魚らしい。旬の間に何度か買ってみようと思う。

でも、息子を何より魅了したのは"ねぎトロ丼"。
いつもの御飯茶碗じゃあまりに小さいので、ごく小ぶりなサイズの丼を出してみたのだけれど、自分で楽しそうにマグロを盛りつけ海苔を散らし醤油をたらしてかっこんでいた。
「おいしー!これ、おいしーね!いっぱい食べてもいーい?」
「いいよー、サワラもトマトも卵豆腐も全部食べられるんだったら、いっくらでも食べていいよー」
「うん、食べるー」
で、結局、しっかりしたおかずがあったにも関わらず(だからミニサイズの丼にしたのに……)、私も息子もねぎトロ丼をしっかりお代わり。今日も腹一杯食べてしまった。

食後もたもたのんびりしていたら、"金曜ロードショー、名探偵コナン!"なんてCMが。
「あ!おかーさん、コナンだよ!」
「まぁ大変コナンだわ!」
「みなきゃ!コナンみなきゃ!」
「そうよね、見なきゃね、とっととお風呂入っておかなきゃねっ」
もしかしたら息子以上に必死になって早風呂を済ませたおっかさんなのだった。

4月17日 土曜日
初めての"ハニトー"は迫力でした。
オニオンチーズパン
クリームパン
野菜生活ソフトほんのりピーチ

プチ母子家庭生活も、今日で終わり。明日の夕方にはだんなが帰ってくる。
数日前に立てた今日の予定は、"食料を買い込み一日引きこもって、私は勉強&仕事"ということになっていたのだけど、無性に遊びに行きたくなってしまった。ていうか、美味しいもの食べにお出かけしたい。昨夜息子と相談した。

「ねーねー、明日さ、電車乗ってお出かけしない?美味しいもの食べに行こうよ」
「あした?電車にのるの?じゃあねー、ぼくはね、おもてさんどうでおりて、コジマに行くといいと思うよー」
「……開口一番、イタリアンを所望するかね君は。しかも表参道、だぁ〜?」
「……だってね、コジマさんのクリームのスパゲティは、すんごくおいしいなんだよ……」
「いや、美味しいのは母ちゃんもよーく知ってるけど、でもコジマはパスね。母ちゃんはねぇ……ハニトーが食べたいな。ハニトー」
「はにとーって、なぁに?」
「これよ、これこれー」

インターネットで探した画像を息子に見せたら、「ぼくも!ぼくもこれ食べたい食べたい!」とあっさり意向を覆してくれた。美味しそうでしょー、でしょでしょー、と、今日はお出かけ。

朝御飯は、昨日駅前近くのスーパー内に入っていたパン屋さんで買ってきたパン数点。息子にはチョココロネ、私には玉ねぎとチーズを散らしたフランスパンっぽい生地のパンとクリームパン。
「おかあさんのチーズのパン、おいしそうね」
「あー、分けてあげるよ。食べな」
「じゃあぼくのチョコのパンもね、どうぞ?」
「……いや、いいよ。私の分はほら、2個あるから」
「でもね、ぼくのチョコのパンのあじみもね、どうぞ?」
「そういうことならいただくわー、ありがと」

そのパン屋、商品それぞれ、全体的に微妙に素人臭い雰囲気。どうも外見が野暮ったく、食パンなどのシンプルなものもあんまり美味しいと思えなくて、数年前に何度か買ってからしばらく足を向けていなかったのだ。今回魔が差して(?)ふらりと買ってみたのだけど、相変わらずどこかビミョ〜に素人臭いパンで、でもその素朴さが悪くないかなとも思う。チョココロネは焦げ茶色のチョコクリームがみっちり詰まっていて美味しかった。そしてお供に野菜ジュース。

上野 「Who's Food's」にて
 完熟バナナのチョコハニトー \730
 アイスティー \200(セット価格)

で、朝食後早々に向かったのは、上野駅。息子に「これよ、これこれー」と見せたのは このページで、その店Who's Food'sは都内にちょこちょこといくつかお店があるらしい。上野店は昼からハニトーが食べられるらしい、ということで、ここに行ってみることにしたのだった。なんでも「どっちの料理ショー」のデニッシュVSハニートースト対決にも登場したお店なのであるらしい。

せっかく上野まで行くんだったらハニトー食べるだけというのも勿体ないねと、息子を連れて国立科学博物館に行ってみることにした。私が子供の頃、大好きで何度となく親に連れてきてもらった博物館だ。確か別館だか新館だかに「干し首」の展示があって、「首よ首よ、人の首だわ」と行くたびにどきどきしながらその猟奇な品を眺めに行ったものだった(ヤな子供……)。今日の目当ては別に干し首ではなく、新館の科学実験コーナーみたいなのが充実していて面白かったなぁ息子もきっと好きだろうなぁ、ということで。

もう20年ぶりくらいの科学博物館。新館はえらく新しくなっていて、半分はまだ展示コーナーが工事中。でも本館は昔からほとんど変わっていないように思われた。中央が吹き抜けになって天井近くにはステンドグラスが嵌められ、ゆったりした階段付近の空間やら何やらがとても趣のある素敵な建物だ。息子は案の定、新館の実験コーナーに夢中になってくれて、ボタンさわったり紐をひっぱったりおおいに遊びまくってくれた。施設内にはボランティアスタッフが山のようにいて、使い方やら何やらを色々教えてくれる。今年秋に新館が完全オープンするというけど、その頃にまた来たいもんだねぇ。とりあえず、次は科学技術館かしら。

全部見て歩くと疲れるし、興味があるところだけ……と思っていたのだけど、「次はあっちいこ!」「次はね、した!」と息子がみっちり全部歩きまわってくれて、館を出たのはもう午後2時。へろへろになって、(私にとっては)本日のメインイベント会場のお店に向かった。Who's Food'sという店、下調べしたときには気がつかなかったのだけれど、ハニトーが名物のカラオケボックスチェーン「パセラ」と同じ系列であったらしい。
「……なんだ、同じ系列なのか……今日はここで食べて、次はだんなも一緒にカラオケに行こうと思っていたのに……」
と、ちょっとがっかりしながら不忍池近くにある店に訪れた。薄暗く、迷路のように壁が伸びていてどこもかしこもアジアな雰囲気。小さく区切られた4人がけの席に息子と向かい合って座り、ハニトーメニューをじっくりと眺めた。

「あのね、おかーさんは"バナナチョコハニトー"がいいんだけど……」
「あのね、ぼくはね、この、"いちごみるきー"がいいな」
「……でもね、1人1個は絶対無理だよ、1個にしなきゃ……」
「いちごがいいなー」
「でもね、かーちゃんは、まず基本の"ハニトー"をね、食べてみたいんだ、苺のは、ハニートーストじゃないみたい」
「でも、いちごがいいなー」
「ここはバナナチョコにしとこうよー。私の金で食べるんだから、私が決める!」
「ええええ〜」

大人気ない会話をしてしまいながら、「次は絶対イチゴミルキーにしてあげるから」という約束でバナナチョコハニトー。お店で食べるのは初体験のハニートーストだ(一度、どうしても食べてみたくて家で作ってみたことがある)。やってきたのは、迫力の品だった。メニューで写真を見ていたとはいえ、そのまんまのものが目の前に出てくると、かなりの迫力。

たっぷり1斤分ある食パンには深く格子に切り込みが入り、表面はバターとはちみつで黄色に染まっている。その上にずら〜りとバナナの薄切りが並び、アイスクリームに生クリームにチョコソースに粉砂糖、と、「カロリーのてんこ盛り」というか「甘味の競演」というか、大変なことに。
「すっごーい!」
「すごいね……大きいね……」
2人でのけぞりながら、1切れ1切れカットして盛りつけ、つついてみる。表面サクッのアツアツのトーストに触れて溶けていくバニラアイスクリーム、それがパンに染みてチョコレートソースと渾然一体となって、そこにバナナのねっとりした甘さが。私は甘いものが嫌いではないのだけれど、口の中が甘さでいっぱいになるこの物体は、なかなかの強敵だった。しかも、量は十二分だ。ていうか、多い……。

「おかーさん、ぼくね、あと2個食べられるよ」
「……ああ、2切れ食べられるのね、じゃあ食べて……」
「あとはおかあさんがね、食べるなんだよ?」
「……つらい……」
2人に1個でもつらい分量だった。バターとはちみつでジュワッとした心地よい歯触りのパンは案外胃にたまり、その下のふかふか部分、そして耳の部分を平らげていくのが案外と大変。ざくざく切ってはわしわしと食べたのだけど、底近辺の耳の部分だけはどうしても食べきれなかった。思った以上に強敵なのが、初めての「ハニトー」だった。

「はぁー、おなか、ぽんぽんになっちゃったね」
「あはは、軽く食べられちゃったら新宿に出てうどん食べて帰ろうと思ってたのに……全然無理ね」
「むりだぁ〜」
「そだね……」
初めてのハニトーに完敗してヨロヨロと帰宅。思った以上に歩き回っていたようで、すっかりお疲れ。

ミニ牛丼 温泉卵乗せ
豆腐と油揚げの味噌汁 (昨夜の残り)
麦茶

予定では、残りものの牛薄切り肉を使って、中華風のトマト煮込みのあんかけ御飯でも作ろうかなと思っていた。でも、夕方過ぎて、私も息子も全然お腹が空かない。もう夕食はごく軽くか、いっそ食べなくてもいいやくらいにハニトーが胃袋を占拠していた。……でも、牛肉は調理しちゃわなきゃなぁ。

で、息子の「たまごごはんが食べたいな」の一言で、牛丼の半熟卵乗せを作ることに。半熟卵を"半熟卵製造器"に放り込んでいる間に冷凍御飯を解凍し、昨日の味噌汁を温め直し、テフロンフライパンに薄切り玉ねぎと牛肉、同量ずつの醤油と味醂に少しの砂糖を放り込んでくつくつと軽く火を通す。ちゃちゃっと作ってちゃちゃっとそれをかっこんだ。「その後の食事一切が軽くなる(軽くせざるをえない)」という意味では、ハニトーはある意味健康的?……そんなことないか。(アレのカロリーを想像するとおそろしい……)

4月18日 日曜日
だんなの出張土産。わーいわーい。
「モスバーガー」にて
 モスライスバーガー豚しょうが焼
 オニポテセット(オニオンリング&フライドポテト・山ぶどうスカッシュ)

今日はだんなが帰ってくる日。久しぶりに我が家の布団に戻ってくるのだから、晴れていれば布団を干しときたいし、シーツは洗っておきたいし、買い物は午前中に済ませておきたいし……と色々考えていた。考えていたら、7時過ぎに目覚めてしまった。昨日の外出で疲れたらしい息子は昨夜9時前に布団に入ってしまったので、ゆえに彼も早起き。

今日も良い天気で、しかも暖かくなりそうだったのでさっそく布団を干し、洗濯を始めた。ついでに風呂とトイレの掃除もしちゃう。気がつけば最寄りの安売りスーパーの開店時間が迫っていた。
「うー、買い物行っちゃいたいけど、お腹もすいたね。……モス、行く?」
「いくー」
「……軽く食べよっか」
「たべるー」
と、息子と2人、モスバーガーに寄りつつスーパーに向かうことにした。

牛丼が消える消えたと騒がれていた陰で、ひっそりとモスバーガーの焼き肉ライスバーガーも消えていたりする。代わりに登場したのが豚しょうが焼きライスバーガーで、私はずっとそれが気になっていた。生姜焼きにした豚肉は、さぞ御飯に似合うだろうなぁとわくわく。
息子はホットドッグ、私はその豚しょうが焼きライスバーガーのオニポテセット。2人して山ぶどうスカッシュを注文して赤紫色のジュースをチューチュー飲みつつ食事を済ませた。

焼きおにぎりみたいな食感のライスバーガー、モスに来るとつい普通のハンバーガーを注文したくなってしまうのだけど、でもライスバーガーも嫌いじゃない。海鮮かきあげバーガーもなかなか好きだったけれど、こっくり生姜醤油味の染みた豚肉の方がライスバーガーにはより似合っていたように思えた。ケチャップつけつつ食べるポテトやオニオンリングの味にはライスバーガーはちと似合わないけれど、でも、とってもうまー。

フルーチェ(いちご味)

冬用のもこもこ布団を干して片づけて春夏用の薄がけ仕様にした。ストーブ片づけた。こたつ布団も綺麗に洗って乾かして片づけた。今日は色々がんばった。マグロが大安売りされていたので、夕飯は迷わず刺身に決定。お買い物もおおむね済ませ、あとはだんなの帰りを待つばかり。買ってきた刺身用のピチピチしたアジを開きにして自家製一夜干しの作成に取りかかったり、買ってきた豚バラ肉の大きなブロックにたっぷり塩を揉み込んでぴっちりラップでくるんで保存してみたりもした。いつにも増して精力的な一日だ。

「……しかし、お腹が空くわけよね……」
ほんのり遅めの朝食、やけに早い昼食といった時間帯にモスバーガーに行ってから、何も口にせずに午後3時をまわろうとしていた。さすがに腹が減る。食料庫に"賞味期限は2002年2月"という、やや危険な雰囲気を感じるフルーチェがあったのを思い出して、作ってみることにした。

「……におーい、オッケー」
「おっけーぃ」
「……味も、オッケー」
「オゥケェィ」
事情を知らぬ息子が、脇で楽しそうにスプーンを構えて待っている。腹を壊しそうだという予感は特に感じなかったので、息子と2人、スプーンを構えて"4人分"と書かれた1箱分のフルーチェをぺろんと食べきった。パッケージに載っていた"フルーチェがけホットケーキ"の写真を見て、ちょっといいなと思ってしまったのだけど、今回は我慢。

茹で空豆
お刺身(マグロ・マダイ・カンパチ)
卵豆腐・豆腐と水菜のサラダ仕立て
しょうゆコンブ・なんばんみそ・いぶりがっこ
鶏肉とごぼうと舞茸の吸い物
羽釜御飯
ビール(モルツ)

「不二家」のスイートロール
アイスティー

午後5時、だんながやーっと帰ってきた。買い物ついでに駅に迎え。今日で期限が切れる不二家のクーポン(1000円以上の購入で300円引き)を使用すべく、ロールケーキとクレームブリュレを購入して、その袋をぷらぷらさせながら改札でだんなを待つ。大きなスーツケースを引きずっただんなは、無事に帰ってきた。良かった良かった。

「はい、これ、おみやげー。これとこれは、おゆきさんにおみやげー」
連日朝から晩まで仕事だったらしいけど、隙をみてスーパーや帰りの空港などで買い物してきてくれたようだ。私がお願いしていたものもそうでないものも、ざらざらとスーツケースの中から出てきた。

私が頼んでいたのは、"バターミルクパウダー"と、"スーパーで売られているようなお安いバスタオル"。バターミルクパウダーはパンケーキを作るのに必要な材料で、日本じゃあまり見かけないものだ。で、バスタオルは、昨年アメリカ住まいから戻ってきたときに、日本の我が家の使い慣れたタオルを触って「まぁ、なんて小さくて薄っぺらいのかしら」と思ってしまい、かの地の分厚い大きめサイズのバスタオル(しかも値段は1枚5〜600円だったりする)が無性に恋しくなってしまったため。

「バターミルクパウダー買うついでにね、こんなのも」
と、JELL-O(コテコテアメリカンな味のゼリーの素、ブッフェ料理のデザートコーナーで必ず見かけたりする)3箱、アメリカ滞在時にさんざん飲んでいた巨大な缶入りコーヒー豆、そしてクラッカージャック(ベースボールの歌にも登場する、懐かしのお菓子。キャラメルコーティングのポップコーン)。
「日本で暮らしていたときにこれ、よく食べてたから」と外国人がフルーチェと玄米茶とかぶき揚げ買ってきたようなもの……かな?とにかく、どれもそんな具合に懐かしいものだった。そう、それと、桜の木栽培キット。小さなケースと土と種などがセットになっていて、水を入れたらすぐに育て始められるようになっているものだ。更にNASAのロゴワッペン。その2つはワシントンDCのお土産だった。空港で売っていたらしい。ちまちましたものだけど、どれも入手しがたく役立つことこの上ないお土産だった。

「NASAのワッペンは……やっぱりトイレに貼るでしょ」
「……それ、来るお客さん全員が"なにこれー!?"って思うよ……」
「……いーんじゃない?その、わけのわからなさが」
そんなこと言いながら、トイレのドアにそのワッペンを貼ってしまう私たち。我が家の隠語で、「ナサ(NASA)」とは「トイレ(しかも大)」を示しているのだ。「ナサ、行ってくる」だと「ちょっくらトイレ(大)に行ってくる」という意味で、更に展開して「コナサしてくる」は「トイレ(小)に行ってくる」という意味。

えーと、その由来は、確かゲーム「パラッパラッパー」で、"資料提供:NASA"というクレジットがクリア後に出てきて「どこよどこよ、そのNASAの絵は?」と探したところ、パラッパがトイレに駆け込むステージのバッドエンドに使われていたことがわかってだんなと二人大笑いして……というところにある。以来、「NASA=トイレ」というNASAにとっては甚だ不名誉な隠語が私たちの間で定着してしまったのだ。ああ、我が家のトイレのドアに、流れるような美しい書体で「NASA」のマークが……。行ってこい宇宙!って感じ?

そんなくだらない事をしながら、それでも夕食の準備はビシッと整った。刺身は3種類。マグロとマダイとカンパチ。1個だけ残っていた卵豆腐は一口分ずつ3等分して小さな器に盛りつけ、これまた少しだけ残っていた豆腐は水菜と盛り合わせて胡麻味のドレッシングをかけた。あとは茹でた空豆(いよいよ豆類の旬ですねぇ……)と、Hさんが送ってくれた"御飯の友"2種類。

Hさんはこの日記を読んでくれている方で、しかも奇特な方で、「私のお気に入りの焼き肉のタレ、どうぞ!」と先日青森から宅配便を送ってくれたのだ。中にはそれぞれ味の違う焼き肉のたれ3本と、御飯の友にと"しょうゆコンブ"と"なんばんみそ"。段ボールの封をあけると、「……あ、田舎の親戚から届く荷物と同じ匂いがする……」と無性に懐かしく思ってしまったのだけど、その懐かしい匂いの正体は"なんばんみそ"にあったらしい。粕漬けのような、ツンと軽く漂う刺激臭のある甘み少なめ、大人な味のもろみ味噌だった。しょうゆコンブは優しい味。お弁当のおかずの一品になりそうな、これまた御飯のおかずだ。

「あー、刺身、うまー」
「鯛が、脂乗ってて特に美味しいね」
「あー、吸い物、うまー」
「えへへ」
「あー、白い御飯が、もう、うまー」
だんなは、うまーうまー言いながら良く食べた。特に今日は白い御飯が美味しく食べられる料理ばかりで、私も真剣に白い御飯に取り組んでしまう。油断すると2膳3膳と進みたくなるところ、ぐっと堪えて1膳の御飯でおかずをちまちまちまちま食べまくった。

さーて、数日後にはバターミルクパウダー使ってパンケーキを焼いてみよう。デザートはJELL-O。