食欲魔人日記 06年6月 第5週
6月26日 月曜日
今日加工していたお仕事の写真から(これは「赤いサラダ」)
プチフランスパン
カフェオレ
沖縄産マンゴー

先日友人がお裾分けしてくれた、「半焼成パン」。
袋入りで、常温保存で、中には6個の白っぽいパンが詰まっている。焼き色の全くついていないプチフランスパンのような感じで、仕上げ焼きを自宅のオーブンかトースターで7〜10分してから食べてね、というものだった。何度か見かけたことはあったけれど買ったことはなくて、面白いぞ面白いぞと思いつつ今朝焼いてみることに。保存袋を開けてしまったら全て焼かなければいけないらしかったので、袋に入っていた6個全てオーブンに放り込んだ。オーブンに入れる前に、軽く霧吹きで水をかけると良いそうな。

表面がバリッと香ばしく焼けたパンは粉の香りがぷんと漂い、なかなか良い感じ。塩気のあるパンなのでベーコンエッグなどの方が似合うかもと思いつつ、今日はなんとなくベーコンエッグな気分ではなくて、適当にバターやジャムを食卓に出した。

デザートは、今シーズン初の国産マンゴー。沖縄産のアップルマンゴーが昨日八百屋で2個980円だった。
「お、旨そうなマンゴー」
と足を止めたのはだんな。うん、美味しそうだねぇ、沖縄産で1個500円なら安いのかなぁ……でも贅沢品な事に変わりはないか……、とマンゴーのパックを前に躊躇していたところ、
「いいじゃん、買いなよ、買ったげるよ」
と、だんながさっさかマンゴーのパックを1つ持ってレジに向かってくれたのだった。だんなすごーい、今日一番輝いて見えるよ!と心の底から褒め称えたところ、「マンゴー1パックでそう言われても……」と複雑そうな顔をされてしまった。

冷蔵庫で冷やしておいたマンゴー、今朝早速3枚におろして皮つきのまま格子に切って、いわゆるマンゴー切り(こんなの)にして食卓に出した。
期待以上に甘い甘いマンゴーで、ちょっとだけ繊維っぽさはあったけれど、味は秀逸。国産マンゴーならではのねっとりとした完熟の甘さが楽しめて、夏はもうすぐなのだなぁとしみじみ感じられた。また今年もミニマンゴー買えるかなー。買えるといいなー。

クラコット with レバーペースト
アイスティー

今日はジムに行く予定だったのだけれど、朝から降り続く冷たい雨と山盛の仕事に断念して、今日は一日お仕事。パソコンに向かって今日は一日ワインリストとか料理メニューのテキスト化その他に励んでいた。

この週末は大変に飽食気味だったので、昼はごく軽く、クラコットとレバーペースト。週末の宴会でTさんが作って来てくれたレバーペーストが、ココット1個丸々残っていたのでありがたく頂戴してきたものだ。
「簡単なのよー、フードプロセッサーかけるだけで」
とおっしゃるけれど、これがちゃんとレバー味なのに嫌な血生臭さが全くなくてとっても美味しい。パンにつけても美味しいだろうなと思いつつ、半端に残っていたクラコットが発掘できたので、これに少量添えつつ食べることにした。甘くて、ほろ苦くて、ふわふわで良い感じ〜。

お供にアイスダージリンティー。

豚丼
いんげんと茄子のピリ辛
皮蛋豆腐
さやいんげんと油揚げの味噌汁(昨夜の残り)
麦茶

今日のだんなの帰りは遅くて、冷蔵庫には豚肉の薄切り。
さやいんげんと中華炒めにするかなぁ、今日は涼しいから肉豆腐も悪くないかななどと思ったのだけれど、
「……肉丼が食べたくなってきた……」
と、肉丼に決定。フライパンに酒と醤油と味醂を同量ずつ煮立て、薄切り生姜も何枚か入れ、それで豚薄切り肉をコテッと甘辛く煮付けて御飯の上に。味噌汁は昨日の残りがあるしと、あと2品用意して夕御飯にした。

用意した小さなおかず2品は、ちょっと中華風。醤油と酢と砂糖で甘酢たれを適当に作って添えた、水菜を散らした皮蛋豆腐と、胡麻油で炒めた茄子といんげん。本当はがっつりXO醤を効かせたかったのだけれど、息子にXO醤は酷なので、炒めものは塩胡椒と少しの醤油で味付けしておいて、自分の皿だけにXO醤を添えた。

で、肉丼。
「これは、牛肉かなぁ〜?」
「ちがいます、豚です」
「豚かぁ……」
「……なぜ残念そうな顔をする……」
「ざんねんと違うんだけど、よそうと外れた」
「そうか、外れたか」
などと言いつつ、牛丼ならぬ豚丼をがつがつ。

6月27日 火曜日
急遽、ピッツァ。
ココア味コーンフレーク with 牛乳

明け方、大きな箱を開けるようなザラザラとした音が聞こえて目が覚めて、私は半分寝ながら
「あー、だんな、今日の朝御飯はコーンフレークにするのかなー……」
なんて思っていた。コーンフレークこないだ買ってきたのがあるし、私たちもそれでいいなー……と。

私と息子が起きる時間になって、「ほらほら、朝だよ朝になったよ」と息子と起こしつつ、
「朝御飯、コーンフレークにしようか?お父さんもそうだったみたいだし」
と言いつつ台所に行くと、蒸籠と蒸籠用の鍋がコンロの近くに置かれたままになっている。あれ?コーンフレークは?と見渡しても、どこを見ても、「だんなは朝に551蓬莱の豚まんを食べて出ていきました」以外を指し示す状況証拠は何もなくて、あの明け方のガサガサザラザラという音は何だったんだろうかと。おっかしいなあ、豚まんの音じゃなかったんだけどなぁと思いつつ、息子はコーンフレークを食べる気満々になっていたので私たちはコーンフレークを決行。

カルフールで、
「ぼく食べたい、これ食べたい」
と熱烈に希望されて買ってきたのはケロッグのあじわいココアフレーク
「ケロッグは、ちょっとお高いんだよ」
「ほら、シスコーンのチョコもあるよ」
「こっちはこんなにたくさん入っているよ?」
売り場に置かれたそのシリアルはやけに高かったものだから、「別のにしたらー?」と地味な説得をしたのだけれど、「ぜーったいケロッグのこれが食べたいのぉ!」と押し切られて籠に入れてきたのがこのシリアルだった。私もちょっと分けてもらう形で、初めて食べる「あじわいココア」。

要するにチョコ風味のシリアルだったのだけれど、多めにまぶされた表面の粒々チョコが確かにぐっとくる存在感。多分、パッケージの「チョコ粒たっぷり」が息子の心にヒットしたのだろうなぁと想像しながら、久しぶりのチョコ味シリアルは新鮮で美味しかった。

悲しみの 御飯 with ごはんですよ
麦茶

今日はなんだか不幸なお昼。

先日食料庫を整理した時に発掘した「近いうちに食べなきゃ」と思っていた五島軒のカレー缶。2〜3人前とあったのだけれど、とりあえずお昼御飯に開けてみて、残りは冷蔵庫に入れるなり冷凍庫に移すなりすれば良いかなと試しに開けてみることにしたのだった。賞味期限は、2004年2月、とある。「缶詰だったら賞味期限2年オーバーくらい大丈夫」という根拠のない信念を持っている私は賞味期限は気にしない方向で、缶を開けて小鍋に移してカレーを温めてみたのだった。

コンロでカレーを温め、冷凍御飯はレンジでチンして、その間にカレー皿と麦茶の準備。出しやすい場所に収納されていた蛸唐草のパスタ皿を使えば良いやと、以前合羽橋で3枚まとめて買ってきたお気に入りの皿を出そうとして……勢いよく落っことした。手に取った1枚だけは無事だったけれど、残り2枚は粉々に。高いお皿ではなかったのだけれど、とても気に入っていたものだったのですごくショックで、小鍋のカレーがぐつぐつ言ってレンジも「加熱終了だよ」とピーピーアラームが鳴っている中、しょんぼりしながら皿の片づけ。……で、気を取り直して、と、温めたカレーを盛りつける前にと味見をしたら……ちょっと微妙な味だった……。

あからさまに変な味というわけではないのだけれど、カレーの辛みじゃないピリピリ感が舌に微妙に感じられるような、なんとなく嫌な感じ。賞味期限は信じないけど自分の鼻と舌は信じた方が良かろうと、カレーは捨てることにした。最後に見た缶の蓋には、「20040210」じゃなくて「20020410」とあって……あれ、これって賞味期限4年オーバーですか??という事を今更気付かされてしまったりして……そりゃさすがにダメだろうなぁ……。

かくして目の前には、3枚中1枚のみ生存が確認された蛸唐草の器に盛られた御飯1膳分。どうしようどうしよう、このままじゃ私のお昼は「素ごはん」だわと困惑しつつ、せめてもと冷蔵庫内から「ごはんですよ」と引っ張り出して、麦茶傍らにもそもそと食べた。ああ、お皿。ああ、カレー。泣きっ面に蜂。そもそもそんな賞味期限切れカレーを食べようと思わなければこの悲劇はなかったのだけれども。

「ナポリの窯」の
 5種類のチーズのピッツァ \1500
 ナポリのマルゲリータピッツァ \1500
シーザーズサラダ
サンペレグリノ

昼のショッキングな出来事のおかげで、今日は一日シオシオ気分。気を取り直して夕飯はスパゲティにでもしようとパスタ鍋をコンロにかけようとして、そのコンロの火がなぜか一向に点かないものだから一層気分が鬱々としてきてしまった。

「もういい……もう、御飯作るのやめ……」
やる気も何もかも脳天からぷしゅーっと抜けちゃった感じがして、こういう日は無理して何かするのは止めようとピザ屋のチラシを眺めはじめたら、息子が楽しそうに寄ってきて
「今日はピザ?今日はピザかねぇ?ぼくはピザが好きだよー?」
と覗き込んでくる。そうだね、お母さんもピザ好きだよー……と、2人でメニューを眺めて「ナポリの窯」という店のナポリピザを注文することにした。息子のリクエストは5種チーズのピッツァ、私はシンプルなトマト味が良いなとマルゲリータ。

届くまでの時間に、適当にレタスちぎって玉ねぎ刻んで、クルトンとベーコンビッツを散らしたシーザーサラダの準備だけはした。飲み物は大瓶入りのサンペレグリノを息子と半分こ。1枚1500円のピザだったからさほど大きくないのかなと思っていたのだけれど、なかなか食べ応えのあるサイズのものがやってきて、息子に半分以上食べてもらってようよう平らげることができた。

5種チーズのピッツァに使われているのは「カマンベール、ゴルゴンゾーラ、ゴーダ、ステッペン、サムソー」なのだそうで。普通、この手のチーズのピッツァやパスタというとモッツァレラとパルミジャーノとゴルゴンゾーラ、あとはマスカルポーネかウォッシュタイプかという印象があったので、ゴルゴンゾーラがごろごろとトッピングされたピッツァはちょっと不思議な印象だった。ゴルゴンゾーラの塩気が適度なアクセントで良い感じ。

6月28日 水曜日
マンゴー大好き、みんな大好き
「551蓬莱」の豚まん
沖縄産マンゴー
アイスプーアル茶

「……何個くらい食べたっけ?これで9個?」
「いや、7個でしょう、みんなで1個ずつ2回食べて、昨日俺1個喰った」
「……まだそんなもんか」
「そんなもんです」
計18個も買ったと思うと、なんとなく心に余裕のある今日この頃。冷蔵庫にも冷凍庫にも1個もないとなると「はぁ〜、551」「あーもー、551」と大阪方面にしょっちゅう思いを馳せることになるのだけれど、今のところは冷蔵庫にも冷凍庫にも赤い箱がまだまだどっさり残っている。幸せだ。551蓬莱の売店が都内にあったらもっともっと幸せだけれど、多くは望まない。

というわけで、朝御飯に豚まん、1人1個。
週末に2個買ったマンゴーがあと1個残っていたので、それも刻んでデザートにした。早めに豚まんを食べ終わった私がマンゴーを3枚におろして格子に包丁入れて、
「ほい、これ、ペコッてやってね」
とだんなに1切れのマンゴーを渡し、残り1切れにも包丁入れたやつは私がペコッと格子の果肉を開くようにひっくり返す。まさかそこでそんなツッコミが入るとは想像もしていなかったのに、マンゴー2切れが綺麗に皿に盛られたところで
「あ〜〜〜!ぼく、ぼくがペコッて、それやりたかったのにぃ!」
と息子に非難の声を浴びせられてしまった。ああ、君がやりたかったですか、ペコッてひっくり返したかったですか……でも、これ、見た目より難しいのよ?

ごめんごめん、じゃあ次のマンゴーは君にやってもらうことにしようねと話しつつ、適当にフォークで果肉をすくっては食べる。ねっとりと甘く南国の花のような香りのする果物は、相変わらず絶品だった。子供の頃はパパイヤもマンゴーもアボカドも、パイナップル以外のトロピカルフルーツは好きではないものばかりだったのに、今は好きなものばかり。こんな甘く美味しいマンゴーでやったらもったいないことこの上ないけれど、マンゴーミルクにしたら美味しいだろうなぁ。

レタスと玉ねぎときゅうりのサラダ
鶏肉のカリカリ焼き ガーリック醤油ソース
いんげんの炒めもの・にんじんのグラッセ・バターコーン
オニオングラタンスープ
羽釜御飯
ビール(ジョッキ生)

我が家の廊下にはけっこう大きな(具体的には金魚を3匹くらいは飼えそうな)プラスチック製の昆虫飼育ケースが置かれている。だんなの職場の人がカブトムシの幼虫を4匹もくれるというので、それに合わせて買ってきたケースだった。カブトムシ用の腐葉土買ってきてみっちり詰めて、幼虫を潜り込ませて1ヶ月半というところ。羽虫が沸きやすいとは聞いていたけれど、ここ数日やけにケース内に小さな羽虫を見かけるようになっていたので、今日の昼間に一度ベランダに出してケースの蓋を開け、羽虫を追い出そうとしてみた。……ら、表層近くでもそもそ動いている黒い虫が。おお、羽化してるじゃんカブトムシ。

もそもそ動いていたのは3匹のオスのカブトで、残り1匹はまだ蛹のままのよう。羽化していないものはそのままそうっとしておくべきなのは重々知っていたけれど、カブトムシの成虫が3匹入るような容器は我が家には存在しておらず、仕方なく、その残り1匹はそーっと周囲の土ごと掘り起こして小さめな別ケースに移動していただいた。で、大型ケースは一度洗って土入れ換えて、オスカブト3匹の住まいに。息子が帰ってくるのを待ってから、一緒に蜜の木やら何やらをケースにセットした。丸っこい、いかにも「ビートル」体型なカブトムシはどれも立派な角を持っていて、男の子ならずともちょっとわくわくする。長生きしろよー。

午前中は期せずしてそんな作業をやってしまい、今日の異様な蒸し暑さもあいまって仕事がほとんど進まなかった。仕事のちょっとした調べものや作業をしているうちに昼御飯も食いっぱぐれ、「はらへったー……」と思いつつ午後になってから夕飯のお買い物に。空腹のまま駅ビルを歩き、
「ファミレスの定食みたいな夕御飯が食べたいなあぁぁぁ」
とぼんやり思いつつ鶏肉やにんじんを買ってきた。オニオングラタンスープがめちゃめちゃ飲みたい気分だったけれど、今日のこの気温の中玉ねぎを炒め続けるのは無理そうだと炒め玉ねぎの真空パックも買ってきた。

オニオンスープは、その真空パック炒め玉ねぎをブイヨンで伸ばして塩胡椒で調味しただけ。薄切りパンは添えずに、上にとろけるチーズだけを乗せて軽く溶かしたやつをスープカップによそった。御飯を炊いて、にんじんのグラッセ、いんげんの塩胡椒炒め、バターコーンを順に作っていき、メインディッシュは皮目をパリッと焼いた鶏肉のガーリック醤油だれ。塩胡椒して、刻んだにんにくをまぶし、皮をスキレットにぎゅうぎゅう押しつけて油を落とすようにカリカリに焼いた鶏肉に、最後に醤油と味醂をジャーッと流しかけて軽く煮詰めた照り焼きチキン風にした。野菜と一緒に盛りつけると、おお、ファミレスの定食みたいだー……と、自分で自分を褒めてみる。

6月29日 木曜日
名前に反してリッチな味のスパゲティ
半焼成パン
ヨーグルト with りんごジャム
枇杷
牛乳 with ミルメークココア味

友人からのいただきものの半焼成パンは残り3個で、ちょうど良いねと朝御飯に1個ずつ食べることにした。バターやジャム添えて粉の香りが強く漂うバリッとしたミニサイズフランスパンを囓り、ヨーグルトと枇杷もテーブルに。半分寝ぼけている息子に
「どうする?ミルメークだったら飲める?」
と声をかけると「のーめるぅ〜……」と彼方から返事があったので、ちょっと久しぶりにミルメークも出した。

パンも焼けたしミルメークの準備もできたのに、息子は布団から出てこない。昨夜は日付がとうに変わってから帰ってきただんなも布団からまだ出てこない。「パン、焼けましたよ〜?」と声をかけたら、これまた彼方から
「……じゅうでんちゅーう……」
というくぐもった声が聞こえ、数分後に
「充電完了〜っ!」
と息子が元気に起き出してきた。だんなも起きてきた。そうですか、充電完了しましたか。……元気だなぁ……。

今日は暑いね、今日はプールだよちょうど良かったなぁー……と、やっと目が覚めたらしい息子はあれこれ話しながらパンを平らげデザートも平らげ登校していった。プール日和ではあるけれど、仕事日和とは言い難い気温の今日。窓を全開にしても汗が止まらないので、クーラーのスイッチを入れた。これから電気料金が恐ろしくなる季節がやってくるのね。

豆御飯
小魚の佃煮
麦茶

一日ずっとお仕事して、ありもので済ませたお昼御飯は佃煮と冷凍保存してあった豆御飯と麦茶。今シーズン中にもう何度か豆御飯を作りたかったのだけれど、そう思っている間に八百屋の品揃えはグリンピースではなく枝豆に変わってしまった。冷凍グリンピースで豆御飯を作るのもちと味気ないから、豆御飯作成は次のシーズンまでおあずけかしらん。

お供には、お義母さんたちが先日四国方面(あれ?山陰山陽方面、だったかな)に旅行したときにお土産に買ってきてくれた小魚の佃煮。「いかなご」の倍以上大きな魚で、生姜ではなく山椒と共に炊き込まれているさっぱり味のほのかに苦みのある佃煮だった。おいしー。

Spaghetti del Poverello (貧乏人のパスタ)
アンチョビマヨネーズ添え温野菜
アイスティー

夕御飯はスパゲティがいいなと、本日は「貧乏人のパスタ」(スパゲティ ポヴェレッロ)。
諸説あって、「それはアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノの事である」というものや「目玉焼きが乗っているのが基本である」というものを見たことがあるけれど、我が家のそれは、初めてその名を見かけたムックに掲載されていたレシピが基本になっている。ペコリーノ・ロマーノチーズと半熟卵を絡めたスパゲティの上に更にチーズと目玉焼きをトッピングしたのが、我が家のポヴェレッロだ。「貧乏人」という割はけっこうリッチな味になる。しかもペコリーノ・ロマーノは日本人にとっては「すごく安いチーズ」というわけではないから、実のところお金もかかる。

だいたいいつも中華鍋で作るこのパスタ、まずは麺を茹でている傍らオリーブ油を薄く敷いた中華鍋で半熟の目玉焼きを人数分作る。黄身がトロトロになるように焼いた目玉焼きは別皿に除けておいて、麺が茹で上がる30秒くらい前に改めて中華鍋にオリーブ油を適当に注いで熱し、1人1個の卵(目玉焼きとは別の卵)を割り落とし、木べらなどで適当に崩して火を通しつつ、すりおろしたペコリーノ・ロマーノをドバーッと入れて、塩胡椒。茹で上がったパスタを即座にその卵チーズの上に入れて、軽く和えたらすぐに盛りつけ、目玉焼きと追加チーズを添えてできあがり。上から心おもむくままに粒胡椒をガーリゴーリと削ってかけるのが私は好き。

簡単にできるパスタなので、麺を茹でている間にブロッコリーやいんげん、にんじんなどを茹でた。手持ちのドレッシングと共に、適当に包丁で叩いたアンチョビとオリーブを混ぜたマヨネーズも添えて、野菜つつきながらチーズ卵味パスタを食べた。

「パスタできたよー、お茶のコップも運んでね、あとフォークもできたら」
暑いからクーラー効いてる居間で食べようよ、と、色々作業しながら息子に声をかけると、そこまでは伝えていなかったのに最初にテーブルを綺麗に拭いて、フォークを置いてサラダの取り皿も並べて、コップに氷を入れて、お茶ポットも持っていって、そして台所から盛りつけ済のパスタ皿をうやうやしく1皿ずつ運んでいってくれた。すごいすごい。めちゃめちゃ使える。喫茶店バイトをはじめた高校時代の私の初日出勤よりもよっぽど良い仕事だ。大盛にした方のパスタをさりげなーく自分の方に置いたことには、だから何も言わないことにする(そもそもそのつもりで盛りつけたのだけれど)。

6月30日 金曜日
とろ肉ラーメン、ですって。つけ麺とは違うのよ。
ココア味コーンフレーク with 牛乳

「朝です!朝です!今日はどうする?豚まん?それよりもコーンフレーク?」
「こーんふれーく……」
今日はだんなは朝ジムのはずで、だから近くに寝ているはずの息子にだけ問いかけるつもりで目も開けずに目覚まし時計が鳴った数分後にそう口を開いたのだけれど、息子の向こうでガサガサ動いている大きな塊が見えた。……あれ?だんなだ。だんながいる。

「……おや?ジムは?」
「あれ?目覚まし鳴らなかった?」
「鳴ってない……みたいだねぇ……」
「あれ?」
「おや?」

ジム起床用の目覚ましが鳴らなかったのか、鳴っても誰一人気付く者がいなかっただけなのか、そのへんは不明なのだけれど、でも皆揃って朝御飯を食べられたのでちょっと嬉しい。その内容がおそろいのコーンフレークだけだったとしても、なんだか嬉しい。

息子たっての希望で買ってきたココア味コーンフレーク、表面にまぶされたチョコの粒が牛乳に溶けて良い感じのココア牛乳になって、これが案外悪くない。悪くないねぇ、美味しいねぇなんて言って食べているうちにずいぶんなくなってきてしまった。息子、ごめん。また買ってくるからなー。

千葉そごう内「山頭火」にて
 特選とろ肉ラーメン(しお) \1200

千葉そごう内「Galler」にて
 バニラソフトクリーム \380

最近いまいち体調不良。というか、歯が不良。ここ数年のうちに生えてきていたらしい右上奥歯の親不知と、それとは別の治療済みの歯が共に虫歯になっているらしく、どうにも痛んで医者に通いはじめたのが最近。親不知は「早めに抜きましょうね」ということになって応急治療だけして抜くタイミングを見計らっているところなのだけれど、これがどうにも痛い。痛み止めを飲んでようようやり過ごしているほどに、痛い。

ここ数日特につらくて、市販の痛み止めを買ってきては飲んでいるところ。「空腹時は避けて」と説明書きにあったけれど、そんなことに構っていられない状況だったので胃まで荒れてきてしまった感じで、大変によろしくない。効き目が強い薬はその分眠気も襲ってくるようで、最近は歯が痛いか、薬が効いていてだるくて眠いか(しかも胃まで痛いか)のどちらかの状態が続いている。……仕事の効率が悪い。

今日も歯が痛くて、ちょうどそれがお昼時で、何も食べずに薬だけ飲んで「いったーい……」とベッドでごろごろしているうちに1時間ほど眠ってしまって昼御飯が食べられなかった。歯が痛いと何か食べる気もしなくて、かなり不幸だ。

で、夕方。息子の音楽教室行きついでにリニューアルして1ヶ月ほど経過した千葉そごう内を歩いてみた。期待ほどには品揃えはたいしたことのなかったLOFTやペットショップを眺め、あとは食器売り場あたりも眺めた後、
「……今だったら上、空いてるかな。どっかで食べて帰ろうか?」
と息子を誘ってレストランフロアに移動した。週末はどの店にも行列ができる混雑ぶりだったけれど、金曜の午後6時半はどこもすんなり入れそう。どこでも良いよー、どこか気になるお店ある?と息子に聞いたら
「んとね、ラーメン。ラーメンじゃなかったら、ざるそば」
と即答された。何よ、その二者択一。

ハンバーグのお店とかあるよ、ほら、こっちはスパゲティ屋さんだよ?と色々お店を見せたのだけれど、かたくなに
「ラーメンか、ざるそば」
と意見を曲げない息子。「このお店がいいな」と立ち止まったのは「山頭火」という、旭川発祥のラーメン屋さんだった。

とんこつスープのラーメン屋さんらしい。味は塩、醤油、味噌、辛味噌と選べるけれど、塩が一応オススメらしい。中でも名物は「とろ肉ラーメン」なる、具が別分けでやってくるもののようだ。私はとろ肉の塩、息子は普通の醤油ラーメンを注文して食べてきた。

白く綺麗に白濁したスープに固めの縮れ麺。別皿には「とろ肉」なるチャーシューが6枚ほどと刻み葱、きくらげ、メンマ、ナルト、そして梅干。どうやって食べるのかなーと思いつつ、麺とスープを適当に楽しんだ後に具材をラーメンに上に移動させつつ普通のラーメンのようにして平らげた。とろ肉、名物と謳うだけあってとっても美味しい。味はしっかり染みているのに固くなく、全体的にふわふわとろとろと柔らかい口当たり。脂身たっぷりで、数切れ食べて胃に充実感が増してきた。麺も案外と分量があって、1人分食べるとしっかりお腹一杯に。息子はちゃんと全部食べられるかなぁ……と隣を見ると、額と鼻に汗しつつ
「あちー……あちちー……」
とか言いながらせっせせっせと麺を啜っているところだった。数枚乗ったチャーシューもメンマも刻み葱も余すところなくしっかり平らげて、1人前を綺麗に完食。とろみもコクもあるとんこつスープなのに不思議とくどくなく、塩味は薄く感じるくらいのスープだった。

お店にはデザートメニューはなかったので、
「……なんかさ、レモンシャーベットみたいなさっぱりしたの、食べたくならない?」
とか言いながら地下に移動して、またぷらぷら。エレベーターを下りてすぐのところにあった「Galler」というチョコレートショップの前で、また息子の足がびたっと止まって
「あ、これ、これ、デザート」
とのたもうた。ほんの数席のカウンター椅子席があって、そこでソフトクリームやチョコレートドリンク、コーヒーなどをいただけるようになっているらしい。息子が指さしているのは、ワッフルコーンに盛られたソフトクリームだった。

「……それ、食べるの?」
「食べるの」
「ラーメン食べた後で、それ食べますか、コーン、喰いますか」
「……くえるよ?」
「ひとりで?」
「一人でくうよ?」

そうかよ……と、バニラソフトクリームを買ってやった。飾りのミニコーン2つトッピングつき、しかもガナッシュチョコレートまで1個飾られていて、今時珍しいほどにどっしりと甘いソフトクリームだった。ちょっと寄越しなさいよと脇から数口もらって、その甘さに「デザートとしちゃ重いよこれ」と思っているうちにソフトクリームはコーンごと息子の胃袋に消え失せていった。最近の息子の喰いっぷりは本当におそろしい……。