食欲魔人日記 06年4月 第3週
4月17日 月曜日
ピリリと辛かったアラビアータ
ホットサンド(こんたまちー) 1/2個
カフェオレ
いちご

明日の朝御飯どうしようどうしよう、と、だんなと2人、昨日の夕方駅ビルを歩いていたのだった。肉買ったー、野菜買ったー、あとは明日の朝御飯。パン屋の前でだんなが
「ほっとさんど……」
と呟いて、いいねいいねホットサンドいいね久しぶりだもんねと食パンを10枚に切ってもらってきた。だんなはコンビーフのホットサンドが大好き。私も好きなのだけれど、でもコンビーフはちょびっと入ってるくらいがちょうど良いんだな。チーズとか卵とかが入る、ちょっとマイルドめな味のホットサンドが私の好みだ。

で、起きるなり卵を茹ではじめる。登校前の息子はそうたくさんは食べられなくて、毎回ホットサンドを「半分でいいや……」と残していくので、今日は1枚を私と半分こすることにした。半分こする分心持ち具沢山にあれこれ詰め込み、だんなはコンビーフ多めのこんたまちー、私と息子は卵増量こんたまちー。コンビーフとゆで卵のマヨネーズ和えとチーズを挟むホットサンドは、すっかり我が家の定番ホットサンドメニューになっている。

具沢山のあつあつホットサンドにかぶりつきつつカフェオレぐいぐい飲んで、デザートに苺を数粒食べたところで息子の登校時間になってしまった。バタバタと息子が登校していくと、家は一気に静かになる。

稲毛 「ドルチェ ヴィータ」にて
 ランチセット \1500
     アラビアータスパゲティ
     鶏とじゃがいものグリル ローズマリー風味
     サラダ・パン
     紅茶

仕事もあるけれど、今日は「だめだー、何がなんでも運動したい!」と気持ちが盛り上がって、お昼前にジムに行ってきた。久しぶりのボディパンプを軽く流して、軽く泳いで、ちょうど昼飯時だったので母と合流してお昼御飯を。炒飯でも食べる?それともカレー?と相談しつつ、なんとなく駅近くを歩き回り、そういえばここにイタ飯屋さんがあるんだよと、「ドルチェ ヴィータ」に入ることにした。

この町では、かなり本格的な"イタリア料理"を出してくれるお店。ランチも手頃な価格でコース仕立てのものが食べられてなかなか嬉しいお店だったのだけれど、何度か訪れた時に接客してくれたフロアマネージャーらしき人がなんとも慇懃無礼な感じで、なかなかまた来たいと思えなかった。味は良かったんだよなぁ、まだあの人がいるのかなぁ、いたら嫌だなぁ……と不安半分店のドアをくぐってみると、給仕しているのは今風の若い兄ちゃん(顎髭つき)。きびきびと気持ちよく働いていて応対も良く、初めてこのお店で気持ちよく食事をすることができた。味も心なしか良くなっているような気がして、ますます嬉しい。母と2人でのんびり昼御飯を楽しむことができた。

ランチは、日替わり3種のパスタから1種を選び、パンとサラダとドリンクがセットで1000円。6種類くらい揃うメインディッシュ(と前菜)メニューをパスタメニューに加え、それらの中から好みの2皿を選択して、パンとサラダとドリンクをセットにしたのが1500円。ドルチェは別料金で10種類ほどが揃っているのが全て400円だった。パスタだけにしとこうかなぁと思ったのだけれど、お腹が空いちゃってメインディッシュつきのセットに。母は野菜のトマト煮込みを添えた豚肉のローストを、私は鶏肉とじゃがいものローズマリー風味のグリルをメインディッシュにして、パスタを1皿ずついただいた。母は茄子とバジルの塩味パスタ、私はアラビアータ。

ここ最近トマト味のものが恋しくなっていたところだったので、トマトソースを煮詰めたような濃厚な味のアラビアータが心地よかった。上からおろしたパルメザンチーズがたっぷりかかっていて、こっくりとした味。にんにくと赤唐辛子の存在感も強くて、パスタを口にするそばから食欲が増進されちゃうような勢いで、ぺろりと食べる。皮つきにんにくを一緒にローストしたメインディッシュも、鶏の皮目が丁寧に焼かれてパリッパリになっていて、その鶏の染み出た脂を丁寧に絡ませたじゃがいももにんにくと鶏のエキスを吸って表面はカリカリ、中はほくほくと香ばしく。ランチ向けの小さなメインディッシュだったけれど手抜きなく仕事がされている感じで、母の野菜煮込みがけ豚肉もとても良い感じだった。

雰囲気良くなって、味も良くなって、だからかお店は大混雑。これならまた家族で来たいなと思いつつ、帰り道に母と本屋さんに寄ってアジアンリゾートの本など眺めつつ帰宅した。母が先日突然に「私ねぇ、アマンプロに泊まりたいの」と言い出したのだけれど、それがどれだけ大変なことかというのをわからせようと、一生懸命旅費の比較を示してみたり。泊まれるものなら私も泊まりたい。でも1部屋1泊8万円なんてホテル、とてもとても無理ってもので。1万5千円の焼き肉よりも無理ってもので。

水菜とルッコラ、レタスのミックスサラダ
「FLO」のキッシュ
白いんげん豆と野菜の煮込み 鶏肉入り
パンいろいろ(エピ・グリッシーニ)
ビール

10代20代の頃は、豆を美味しいものだとは思えていなかった。豆腐の美味しさすらいまいちわかっていなかった。でも、それが反動だったかのように、三十路に入って豆がやたらと美味しく感じられるようになってきた。美味しい豆腐は本当に美味しい。豆を煮たのも美味しい。

で、最近豆食べてないなぁと、でも乾燥のを戻しているほどの余裕もないなとスーパーで「白いんげん豆、白いんげん豆」と呟きつつ水煮缶を探して買ってきた。が、母は私の倍も人生を送ってきているはずなのだけれど、背後で
「あらぁ、豆なんて買うの?私、豆って美味しいと思わないのよねぇ」
とか呟いていたりする。年齢と豆喰いはあんまり関係ないのかしらと思ってしまいつつ、でも母の呟きは聞かなかったことにして豆を買ってきた。野菜やお肉と一緒にトマト味のスープにするのよ。

にんにくを1かけオリーブ油で炒め、そこに一口大に切ったベーコンと鶏肉を加えて炒め、更に玉ねぎ、にんじん、マッシュルームも加えてせっせと炒める。刻んだトマト、いんげん豆を混ぜたらひたひたに湯を注いでコンソメを溶かし、しばし煮込んでから刻んだじゃがいも、ブロッコリーを加えて更に煮る。あまり濃厚なトマト味にはせずに「あっさりトマト味」くらいにしておいて、おかずにもなるように肉っ気も添えたスープの完成。あとはサラダと、母が買い込んだパンを消費することにすれば良いかなと思っていたのだけれど、スープを煮込みはじめたところで母が
「あ〜!私、私、キッシュ買ってくるわね、キッシュ食べたかったのっ!」
と言い置いて総菜屋にキッシュを買いに行ってしまった。……またそんな重そうなものを、ママン……。

でも結局のところ、だんなが夕飯の時間に間に合うように帰ってきてくれたので、母がキッシュを買ってきてくれてちょうど良い具合になった。サラダは水菜とルッコラとレタスと新玉ねぎを同量くらいずつ合わせたものにして、あとはスープボウルに優しい味のスープをどっさり。グリッシーニやエピ(チーズやベーコンを巻き込んだ、麦の穂の形をしたフランスパン)をつまみつつ、キッシュがなんとなく御飯代わりになった。

母はいよいよあと数日で秋田に帰っちゃうらしい。これが最後よと、明日は美術展を見に行く予定。

4月18日 火曜日
なんともお上品な、地鶏のサラダ、トロピカル風
ミクニのスコーン
ミルクティー
キウイ

あと数日で秋田に帰ることになった母と2人で、今日は美術展に。上野の東京都美術館で開催中のプラド美術館展に行こうということになったのだけれど、かなり人気な展覧会のようで平日昼間もかなりの混雑になっているらしい。開館直後を狙っていくのが空いてて良いよと、8時前に家を出て上野に向かうことにした。

朝御飯は、母が週末の幕張散策の帰り道に買ってきてくれたAS cafe MIKUNIのスコーン。もうクロテッドクリームもほとんど残ってなかったので、少しばかりのジャムを添えながら軽くスコーンを1個囓るに留めておいた。外見がシュークリームのようにゴツゴツしたちょっと変わったスコーンで、ポソポソモロモロとかなり崩れやすい仕上がりになっている。ちぎって食べようとするとそこら中に崩れた生地が散らばってしまい、味は悪くなかったのだけれど激しく食べにくいスコーンだった。なんだかスコーンの1/4分ほどがダイニングテーブルに食べられてしまった気分。

ホテル西洋銀座内「レペトワ」にて
 ランチコース\5,250
     地鶏胸肉とリンゴ、セロリ、パイナップル、マンゴのサラダ ミントとライムの香り
     ビーフコンソメと季節の野菜
     柔らかく煮込んだ仔羊肉のクスクス仕立て クミンの香り
     デザート盛り合わせ
     ミルクティー
 ミモザ・グラス白ワイン

プラド美術館展は、予想を超える大混雑。開館直後に入ったのに、それでも各絵の前には必ず2〜3人が立っているような混雑ぶりで、更に人は増えていくばかり。帰り際に入り口付近を覗き込むと、1枚の絵の前には二重三重に人垣が出来ているような具合になっていた。

エルグレコにルーベンスにベラスケスにゴヤに……と、主なものは宮廷画であり宗教画であり、陰影の強い「こってり系」なものが多い。私が好きなのはダリにマグリットにアンリ・ルソーに、ミュシャにクリムトに……という方向なので、フリルの細部までみっちり描かれた肖像や苦悶の表情を浮かべるキリストの絵なんかはこれまであまり興味がなかったのだけれど、こういうのもけっこう楽しいものだなぁと思いながらじっくり眺め歩いてきた。個人的には「ポデゴン」という静物画がとても面白い。厨房画とも呼ばれるその題材は果物であったり水差しであったり狩猟の獲物の鳥や兎であったりして(こんなのね)、「まぁなんてリアルな葡萄なのかしら」とか「ほー、鴨か、鴨を食べるのか。ほー」と、さほど点数はなかったのだけれど面白い絵が多かった。

午前中はそうしてみっちり絵を見て歩き、お昼は銀座に移動。「上野は、なんかごちゃごちゃして嫌だわぁ」という母のために、「じゃあ日本橋か銀座にでも移動する?」と声をかけ、事前にいくつか調べておいたお店の中からホテル西洋銀座のフレンチのお店に行ってみることにした。フランス語で「レパートリー」を意味する「レペトワ」というお店、ランチはプリフィクス形式で3675円(前菜1品メイン1品選択)、5250円(前菜2品メイン1品選択)、7350円(前菜2品メイン2品選択)という内容になっているらしい。デザートとコーヒーがつき、前菜メインそれぞれ5種類くらいずつ用意されている。

食前酒にミモザをもらってそれを飲み飲みメニューを眺め、本当は前菜1品メイン1品で済ませるつもりだったのに「スープも気になるわねぇ」と、ついその上の前菜2品のコースにしてしまうことに。前菜1品の「地鶏胸肉とリンゴ、セロリ、パイナップル、マンゴのサラダ ミントとライムの香り」は母も私も一緒に頼み、スープは私がビーフコンソメ、母がカリフラワーのポタージュ。メインディッシュは私が羊で母が鴨。フレンチも久しぶりなら、こんなお高いフレンチも久しぶりだっていうくらいゴージャスな昼御飯になってしまった。もうお皿も調度も何もかもがゴージャス。お皿にはいちいち1つ1つドーム形の蓋がかぶせられ、刻んだ野菜だけが美しく盛られた器がやってくると目の前でスープが恭しく給仕用のボウルから皿に注がれる。私はやっぱり、もうちょっと肩の力が抜けるお店の方が居心地いいなぁと思ってしまいつつ、母のゴチによる豪華フレンチを堪能してしまった。

前菜の地鶏のサラダは、なんともトロピカルな味。鶏肉とリンゴとパイナップルとマンゴーが同量ずつ混ぜられているような感じで、ゆえに「鶏のサラダ」というよりは「フルーツサラダ」という感じ。マンゴーがどっしりと甘くて、ますますデザートのような味のサラダになっていた。上に控えめに添えられたミントの香りがサラダによく似合う。添えられた葉野菜にも少量のドレッシングが丁寧にもかけられていて、皿にはピンクペッパーを砕いたものが美しく散っていた。

んで、たまらなく美味しかったのがビーフコンソメ。ズッキーニやパプリカなど、みじん切りにされた色合いの綺麗な野菜の上から注がれたスープは、美しい茶褐色で、その澄んだ外見と同じく味も雑味のないなんとも上品なもの。こんな美味しいコンソメは本当に久しぶりだなぁ……と思いつつ、母のポタージュも気になりつつ、でもお皿を交換できるような雰囲気じゃないので
「由紀ちゃん、おいしい?」
「ん、おいしい。そっちも……おいしそうね?」
「おいしいわよー」
と、おいしいおいしいと言葉だけを交わしつつ、そしてメインディッシュ。

深皿に仔羊肉を使ったちょっとスパイシーなシチューが盛られ、絶妙の歯ごたえに火が通された蕪や人参が添えられる。で、花びらのように交互に丸く重ねられたトマトと茄子の下にはズッキーニをぐるりと巻いたレーズン入りのクスクスが。仔羊はほのか羊特有の匂いがちゃんと感じられ、ホロホロと柔らかく崩れそうになるまで煮込まれたものだった。

デザートはワゴンサービス。目の前にゴロゴロとワゴンがやってきて、その上にはホールのケーキが5種類ほどとアイスクリームやシャーベットの類が4種類、そしてコンポート(プルーンとパイナップル)も。好みなものを好みな量だけ盛りつけてくれるそうで、私はモンブランと苺のソースを間に詰めたレアチーズケーキ、マンゴーシャーベットにプルーンのコンポートを選んでみた。ジェラート好きの母はケーキ2種類に加えてマンゴージェラートとヨーグルトジェラートを盛りつけてもらって幸せそう。調子に乗ってグラスワイン(1杯1500円くらいした……)も飲んじゃってすっかり上機嫌になった母と、軽く銀座散策してから帰宅した。

ナムル盛り合わせ
自家製ほうれん草ナムル
ニラと豚肉の炒め物
白いんげん豆と野菜の煮込み 鶏肉入り(昨夜の残り)
天むす・鶏めし天むす
羽釜御飯
ビール

「せめて家ではしっかり野菜を食べましょうキャンペーン」が密かに続いていて、今日はデパ地下でナムルの盛り合わせを買ってきた。もやしとゼンマイと大根(これはナムルじゃなく甘酢漬け)、そしてほうれん草が入っているパックだと思っていたのに、家でよくよく見てみるとほうれん草じゃなくてワカメのナムル。母が
「あんたが作るより、こうして買ってきたナムルの方が美味しいんじゃないの?」
と失礼な事を言うので、帰りがけのだんなにほうれん草を買ってきてもらい、自家製ほうれん草ナムルを添えることにした。

あとは、ナムルのお店の近くに出店していた名古屋もののお店で天むすを1人2個。プレーンな天むすと、鶏めしの天むす(鶏入りの炊き込み御飯に海老天が入っていて、なんだか変な感じ……)を4個ずつ買ってきた。ナムルはビビンバにして食べたかろうと、一応御飯も炊いておく。あと1品肉っぽくのが欲しいなとニラと豚肉の炒めもすることにした。

だんなが買ってきてくれたほうれん草をさっそく茹でて、水にさらしてぎゅうと絞ってから塩と胡麻油と炒り胡麻を加えて軽く揉む。その脇でだんながニラ豚炒めを作ってくれて、何だかんだで品数が多くなった夕御飯。ニラ炒めがたまらなく御飯に似合う味だったので、天むすを食べつつも、ついつい御飯も食べてしまった。ほらほら、やっぱり買ってきたナムルよりも我が家で作った方が美味しいじゃん〜、なんて言いながら。

4月19日 水曜日
トマトの串焼きってのを初めて食べました
「ホテル西洋銀座」のメロンパン
牛乳
いちご

母と私は、ホテル西洋銀座のペストリーショップで売られていたバナナブレッドがそれはそれは大好きだった。しっとりと重さのある口当たりでバナナの味が濃厚で、でもくどすぎなくて洋酒の風味も適度な具合。ホイップした生クリームを添えるとそれはそれは美味しくて、15年くらい前には月に一度くらいの頻度で食べていた。その後レシピが微妙に変わってしまったみたいで以前ほど美味しいと思えなくなってしまったのだけれど、それでも私は、新宿パークハイアットホテルのそれよりもホテル西洋銀座のそれの方が好みだなぁと思っている。昨日、懐かしいわね懐かしいわねと1本買ってきた。ついでに、美味しそうだったメロンパンもいくつか。

表面にグラニュー糖がまぶされた、このうえなくスタンダードなメロンパン。表面のビスケット生地のサクサク具合も香ばしさも、中のふわっとしたパン生地の甘さも食感も「完璧なメロンパンです」といった感じのものだった。最近、朝が眠そうで食事もちょっとだるそうな感じの息子も「おお、これは!」という風に見事に完食。苺を数粒つまんで元気に登校していった。

「太閤園」にて
 餃子
 炒飯
 酢豚定食
を、母と分け合いつつ。

飽食が続く今日この頃、「今日もジムだわ!」と鼻息を荒くしていたのだけれど、一昨日の筋肉痛が抜けなくて全然無理。じゃあ母につきあってどこかにお出かけでも、と思っても、仕事があれこれ積み上がっていたのでこれも諦めた。午前中はせっせと仕事して、昼間近になってから近所の中華定食屋さんにお昼御飯を摂りに。

母が東京にやってきた初日の夜に、六本木の高級中華のお店であれこれ中華料理を楽しんできたのだけれど、後で母が言うには
「そういえばー、スブタとか、チンジャオルースーとか、そういうの、食べなかったわね?」 と。ああ、そういうのも食べたかったのねと、ならばと近所のお気に入りの「太閤園」に行くことにしたのだった。母は炒飯、私は酢豚定食、そして餃子も1皿とって、適当につつきあう。卵と葱、自家製らしきチャーシューとナルトが使われたこのうえなくシンプルな炒飯に、シャキシャキ玉ねぎがどっさり入った酢豚。高価な食材ではなくなじみ深いものばかりを使っているような感じなのに何を食べても美味しいお店だ。しかも安い。

今日の酢豚も相変わらず美味しい。パイナップルの代わりにオレンジの薄切りが使われているようで、そしてなぜか玉ねぎや人参、ピーマンと共にキュウリが具になっている。少しも火を通していない風のパリパリのきゅうりが案外と甘酢に似合っていて、これも悪くないなぁと思いつつ肉も野菜もたっぷりの酢豚定食を平らげた。

「ほら、由紀ちゃん、炒飯食べて食べて。……あらー、なんで定食の白い御飯なんて食べてるの、そっち残してこっちの炒飯食べなさいよ」
母がぐいぐいと炒飯の皿を私に押しやってくる。酢豚をおかずに白い御飯を食べるのも美味しいんだってば……と反論しつつも、でも私の前には炒飯の器も押し寄せてきて、ちょっと大変。

五反田 「小林」にて
 焼き鳥いろいろ
 サラダ
 とりわさ
 天豆
 里芋こんにゃくわらびの土佐煮
 こんにゃくの白扇
 じゅんさいとろろ
 わらび納豆あえ
 チキンカレー
 焼酎(八千代伝)
たくさん、ゴチになりました

今日の夜は一人で都心にお出かけ。昨年末から私が作成に携わっていたとある会社のホームページが4月に公開に至り、その打ち上げと次の仕事の打ち合わせも兼ねて、五反田にある焼き鳥屋さんに招待していただいた。その会社の社長さんの学生時代の友人が板前さんなのだそうで、静かな裏通りに面した隠れ家的な焼き鳥屋さん。色々出すから色々食べてよー……と、季節のメニューや定番メニューなどなど、焼き鳥のコースに加えてたくさんの皿がテーブルに並べられた。テーブルを囲むメンバーも、その社長さんやお姉さん、その社長さんを紹介してくれたAさんその他ご友人の方々と、とても賑やか。少しずつ色々なものを食べられて、場も賑わってとても楽しい宴会だった。

炭火で焼かれる焼き鳥はどれもこれも美味しくて、鳥取から仕入れたものなのだそう。甘くとろけるレバーに、プリプリした歯触りのとりわさ。私はとりわさが大好き(というか生っぽい肉が大好き……)で、でも焼き鳥屋ならどこでも食べられるというわけではないのでとても嬉しかった。ぼんちりも甘くプリプリしていて美味しかったなぁ。あと、「プチトマトの串焼き」という初めて口にするものもいただいてきた。焼いたトマトは甘くジューシーで、皺の寄った薄皮に軽く歯を立てるだけで爽やかな果汁が溢れてくる感じ。これは野菜じゃなくてフルーツだわ、と思いつつ串焼きトマトを堪能した。

最初は固めに、初対面の方と名刺交換などをしつつ、最後の方は「男親が語る、我が娘の可愛さについて」とか「バツイチからの立ち直り」といった妙な話題の"単なる飲み会"になってしまい、そして私はずいぶん焼酎の水割りやお湯割りを平らげてしまった。午後6時から打ち合わせを兼ねつつ飲み始めた(固い話しながらお湯割り飲んでるし……)会は、気がつけば10時半。品川駅まで送っていただいて、電車内では爆睡して日付が変わる頃に帰宅した。

母がいてくれるからと気兼ねなく外出させてもらったのだけれど、息子は「天狗に行こう!バターコーンも、おこさまうどんもあるんだよ?」と おばあちゃんを誘って、居酒屋で2人楽しくやってきたらしい。私は普段は「おとうさん、まだかな?早くあいたいな?」という言葉ばかりを聞いているものだけれど、今日ばかりは母やだんな(私より2時間ほど早く帰宅した)に「おかあさんは、まだかな?おそいね、おやすみなさいって、言えないじゃんね?」と話していたらしい。ごめんよごめんよ、ひっさしぶりの家族抜きの飲みでお母さんは楽しんできたよ。

4月20日 木曜日
母はこれが食べたかったのねー……と
磯辺餅
抹茶入り玄米茶
いちご

パンが食傷気味な今日このごろ。
「……餅、焼きますかね?」
「焼きましょう」
「ぼく!ぼく2個!」
家族中から快諾得られて(でも母は今日もパン食よ)、餅を焼く。醤油味が恋しくてたまらない今日この頃なので今日も磯辺餅、1人2個。

我が家のお餅は、お米と同じく花咲農園から買っている、あきたこまちを使ったもの。正月前に、どうしても餅が食べたくなってスーパーの特売ものを買ったのだけれど、これがどうにも味気なくて美味しくない。やっぱり美味しいお米の美味しいお餅が一番よねと、お米と一緒にこの農園のお餅も注文して送ってもらったのだった。ちゃんとほの甘い米の味が感じられる餅で、焼くと綺麗に延びる。表面の水分がちょっと抜けてカリッと焼けたところで醤油に浸し、大きな海苔でくるんでかぶりついた。

テリヤキチキンサンド
苺サンド
ミルクティー

本当は今日、Cucina Tokionese Cozimaのバーベキュー大会の予定だった。バーベキュー場のある大きな公園に行って、仔羊焼いたり地鶏焼いたり黒豚焼いたりして食べるのだ。毎月開催されている料理教室の一環のイベントなのだけれど、そりゃもう美味しそうで楽しそうで、その案内をいただいた直後に申し込んだのだった。

……が、今日は雨〜。
よりにもよってランチタイム前後がみっちり雨の予報で、しかも暴風波浪注意報なんて出てしまうほどの大変な強風で、外はろくに歩けないほど。前日に、「延期します」と連絡があった。屋根のないところで開催されるイベントだから、雨天決行とはいかないのね……。

悲しい悲しい、超悲しい……と家でうだうだしつつも仕事は山になっているのでおとなしくパソコンに向かう。でも母は暇そう。目はパソコンに向けながら
「どうするー?そんなわけで今日は特に予定もなくなっちゃったわけですが……明日帰っちゃうことだし、今日最後に食べたいものとか行きたいところは残ってる?」
と声をかける。そうねぇ、そういえばねぇ、チンジャオルースーが……と、まだチンジャオルースーに未練を残しているらしい母は
「そうそう、浦安のね、ブライトンホテル。あそこの中華料理が美味しいって、前の職場の仲間が言っていたのよぉ。ずっと気になってて」
とのたもうた。母、そんなに中華好きですか。そういえばチンジャオルースーはまだ食べてなかったねぇ、そうだねぇと場所を調べてメニューの価格なども調べて、そして「じゃあ夜に行こう、皆で」ということになった。

だから昼は軽くね、私は要らないくらいだけど……と、仕事に戻ってペケペケキーボード叩いていたら、「ちょっと出かけてくるわね」と出ていった母がサンドイッチ屋さんでテリヤキチキンサンドと苺サンドを買ってきてくれた。2人で1種2切れずつのを半分こしたから、かなり軽めの昼御飯。テリヤキチキンとフルーツサンドという選択がまんま私の好みと一緒だなぁ……このへんがやっぱり親子なのかしらと思いつつ、分厚い鶏肉が挟まったパンをもぐもぐ。適度に添えられたマヨネーズが野菜と似合って良い感じ。あっさりめのミルクティー淹れて、しばし仕事休んで母とおしゃべりしていた。

浦安ブライトンホテル内「花閨vにて
 中国風サラダ \1039
 蒸し鶏の冷製 \1039
 チャーシュー \1386
 揚げ春巻 2×\231
 焼きニラ餃子 3×\288
 海老蒸し餃子 4×\288
 大根餅 5×\288
 鮑のクリーム煮込み \3465
 豚バラ肉の角煮 \1732
 牛肉とピーマンの細切り炒め \2310
 季節野菜の炒め \1732
 コーンスープ \577
 上海焼きそば \1501
 季節のフルーツ入り杏仁豆腐 \693
 マンゴープリン \693
 レモンシャーベット \346
 生ビール 3×\750
 ワイン(イーグルホーク白) \3234
これが最後と。

で、夕方、浦安方面にお出かけ。なにしろディズニーランドの近くだったりするものだから、なんとなく「あそこに行くと観光客にまみれるのよね……いっつも混んでる」という印象があって、気にはなるけどなかなか足が向かない場所だ。浦安ブライトンホテルに行くのも、これが初めて。こぢんまりとして清潔な、良い感じのホテルだった。

仕事が終わるだんなを待って、7時過ぎに予約したお店は(かかん)という中華料理屋さん。ふかひれや鮑を使った最高級なコースも1万円というお手頃価格のお店で、息子好物の点心も種類はさほどないけれどメニューに掲載されている。複数揃うコースものも魅力的ではあったのだけれど、ここはアラカルトでいきましょうと、前菜点心肉類におそばと、あれこれ好みで注文した。

中華料理、楽しみのひとつが前菜類で、だんなも私も母も、全員前菜が大好き。ここには盛り合わせの前菜はなかったので、サラダと蒸し鶏とチャーシューを頼んでみた。レタスやトマトと共にチャーシュー、甘酢漬けの山くらげなどが盛りつけられた中華風サラダはなかなか面白く、チャーシューも肉汁が染み出る香ばしいもので良い感じ。なによりも蒸し鶏が最高に美味しかった。値段に比してボリュームたっぷり、ふくふく柔らかな鶏肉は淡泊だけれど味のあるもので、添えられたちょっと塩味強めの葱油がとても良く似合う。プルプルとした美味しい鶏肉はあっという間に皿から消え失せ、そして点心類がやってきた。

「焼きニラ餃子」は「焼きニラ饅頭」という感じの丸く平べったいもの。浮き粉を使った皮に香ばしい焼き目がついていて、品名どおりニラがたっぷりだ。大判の大根餅は「息子が大好物だしね……大人も1人1枚食べるよね?」と5つ(息子に2切れ、大人に1切れ)頼んだのだけれど、すごい勢いで息子が食べていく。結局母が「いいわよ、私はチンジャオルースーとかいっぱい食べるから」と息子に半分分けてくれて、息子は2切れと1/2切れの大根餅を綺麗に平らげていた。

そして各々、
「ああー、アワビのクリーム煮がある……食べたいなぁ」
「私、チンジャオルースー食べたい」
「角煮とかいいよねぇ」
などと好き勝手な要望を呟いて、おかずいろいろ。野菜もいるよねと「季節野菜の炒め」も頼んだのだけれど、これが具沢山で美味しかった。よくある「季節野菜の炒め」は青梗菜だけだったり空心菜だけだったりするものだけれど、ここはアスパラににんにくの芽に人参にきのこに蓮根にと盛り沢山。肉厚の椎茸がとても美味しくて、いい箸休めになった。ほうれん草と大根が添えられた角煮も、パプリカが混ぜ込まれた彩り豊かな青椒肉絲も期待以上に美味しくて、そして注文した白ワインもすごい勢いで減っていった。

最後に麺か御飯をということで、頼んでみたのが上海焼きそば。メニューには載ってなかったのだけれど、コースの一品に紹介されていたなぁと、
「コースに出てくる上海焼きそば、単品でもお願いできます?」
と聞いてみたら作ってくれた。角煮入りのあんかけ御飯とか海老入りあんかけ御飯とか、あとは汁麺とか炒飯もあったのだけれど、今日はなんとなく焼きそば気分だったのねー。シコシコとした細麺にニラがたっぷり入り、ほんのりオイスターソースの味がついた塩味の焼きそばはたっぷり山盛りあって、それで一同すっかりお腹一杯になった。

さて、これで母は憂いなく秋田に帰れるかしら。高級中華食べて、寿司食べて、とんでもなくゴージャスな焼き肉食べて、フレンチのゴージャスランチ楽しんで、あとはランチブッフェに串揚げにスパゲティに……と、いつもの我が家と比較しても10割増しは豪華な食生活なこの2週間だったけれど、母はけろりとして
「なぁに?このくらいで胃もたれしちゃうの?あんたたち若いのにねぇ」
などと言うのである。

娘の家の本棚あさりまくって
「ホテルとかリゾートの本、もっとないの?案外置いてないのねぇ」
とか呟いていたので(好きだから多少は持ってるけど、でもそんなに頻繁に旅行行けないんだからそんなにどっさり買わないよ……)、今度は山ほどアジアンリゾートとかアジアンビーチの本を用意して待ち受ける予定。んで、胃袋ももうちょっと鍛えておく予定。

4月21日 金曜日
想像の3倍量だったシナモンロール
海苔バタートースト
カフェオレ

サンドイッチ用の薄切りパン、ホットサンドにするつもりで買ってきたものの残りがあるのだけれど、今日はどうにもホットサンドの気分になれない。
「……薄いパンで海苔バタートーストでどうですかね」
「……よろしいんじゃないでしょうかね」
やる気なく呟き、10枚切りのパンをバタートーストにした仕上げにぺろんと焼き海苔1枚乗せてできあがり。ただそれだけなのだけれど、海苔の香りがするバタートーストはやけに美味しい。

「あー、このパン、たらこスパゲティの味がするよねぇ?」
「……あー」
「あー、するかもするかも。バターと海苔のこの組み合わせがそんな感じだよね」
息子が面白い事を言いだして、確かにそうかも、たらこスパゲティの味かも、たらこスパゲティ恋しいねぇ、なんて言いながらもぐもぐもぐ。

ほたるいかキムチ御飯
麦茶

いよいよ今日、母は秋田に帰還。
「それじゃ、帰るから」
お世話になったわね、あ、外になんて出てこなくていいわよと軽やかに言い置いて、母は帰っていった。そのまま秋田に帰るのも何だしと、今日明日は盛岡で美術館巡りをするらしい。どこまでもアクティブな母だ。

母が帰ったのと入れ違いで届いたのが、先日通販申し込みをしたほたるいかキムチ。お、いいぞいいぞ、「キムチなんて、どこが美味しいのかわからないわねぇ」と言う人がいなくなったことだし、昼はさっそくこれを食べよう♪と、冷凍御飯をチンして届いたばかりのほたるいかキムチを添えつつ軽めの昼御飯にした。

ホタルイカ、酢味噌で食べるのも、スパゲティの具にするのも、そして「沖漬」も大好き。キムチもさぞ美味しいだろうなぁと、案内が来たときにいてもたってもたまらなくて注文してしまった。プリプリのイカを囓ると甘さも漂うほろ苦い肝の味が感じられて、ただ辛いだけじゃない味付けの具合も良い感じ。あ、これは御飯に合う合う、酒の肴にもぴったり〜と、一人で数匹分、もぐもぐと平らげた。

さて、美味しいほたるイカが届いたのだけれど、だんなは今日野球観戦。せっかく美味しいのが届いたんだけどなー晩酌の相手もいない……と、しばし考え、ほたるいかが好物でキムチも好物なお義父さんの存在を思い出した。さっそくだんなの実家に電話して、めでたく本日はだんなの実家でお義父さんと晩酌ということに。せっかくだからたっぷり持っていこう。

千葉三越内「パパスカフェ」にて
 シナモンロール
 紅茶

夕方、息子の音楽教室が終わった後、だんなの実家に赴く前に少しだけKさんとお茶を。お渡ししたいものがあったので少しだけお店に入りましょうかと、落ち合った千葉三越内の喫茶店に移動した。
あちこちで見かけるけれど一度も入ったことない「パパスカフェ」、ちょっと気になっていたんですよと入ったのだけれど、ここのデザートがおっそろしいボリューム。

すっかり空腹だったらしい息子が頼んだバナナパンケーキは、バナナとホイップクリームが大ぶりな薄焼きパンケーキにくるまれた筒状のものが2本皿に鎮座ましましていて、しかも上からはチョコソースがたっぷりと。私が注文した「シナモンロール」もかなりすごかった。たっぷりと直径20cmくらいはありそうなシナモンロールが2切れ、バニラアイスとホイップクリームが添えられた状態で小さくはない皿に盛りつけられているのだけれど、盛られた物体が物体なものだから皿がやたらと小さく見える。Kさんが注文した、比較的シンプルなシフォンケーキすら驚くようなボリュームだった。

おかしいなぁ、軽くお茶してほんのちょびっと甘いものをつまもうかという気分だったのに……と笑うしかない目の前のポイズンの山に、それでも私もなんとなくお腹が空いていたのでぺろりと食べてしまった。息子もあっさりと完食。パパスカフェって、たっぷりのボリュームがウリのお店だったっけ……??

だんなの実家にて
 ほたるいかキムチ
 昆布締め鰺・自家製チャーシュー・サーモンのお刺身
 鰺のたたき
 きゅうりと玉ねぎのサラダ
 ふりかけ御飯
 苺
 日本酒・ビール

そして日が暮れてからほたるいかキムチ他つまみを持ってだんなの実家に向かった。ちょうど昆布締め鰺が良い感じにできあがっていたところなのよ、あとサーモンのお刺身もね、あとはこれとあれと……と、お義母さんがおかずをたっぷり用意して待っていてくれた。お義父さんも酒と共に待ちかまえてくれていて、ほたるいかキムチつつきながら一緒に晩酌。

お義母さんは魚をさばくのがとても上手で、私が「めんどくさーい……」となかなか手をつけられない鰺のたたきも鮮やかに作ってくれる。美味しい肉厚の昆布を使って作る昆布締めも相変わらず美味しくて、今日もぱくぱくとあれこれいただいてきてしまった。お義父さんお義母さんの花見旅行のお話聞いたり、こちらの近況報告したり、のんびり話しながらそれでも日本酒を3〜4合空けていたらしい。

今日も最後はお義父さんを軽く良い潰してしまうような形になっちゃって、そうなるとひたすら御機嫌なお義父さんと
「もうちょっと飲むか?もうちょっとだけ?ん?」
「ダメですお義父さんこれ以上飲むと私がこの家の敷居を跨げなくなりますお義母さんに睨まれます」
「だってねぇ、開けちゃったお酒は飲まないとボウフラが沸くよ?」
「沸きません全然沸きません」
「……もうちょっとだけ?……ボウフラ……」
「だから沸きません」
最後はお義母さんも交えて漫才のようになりながら、はいお茶、はい苺とせっせと酒席の片づけをした。

今日買った鰺がひと籠11尾もあったのよ、ちょうど漬けていたところだから由紀さんも持っていくと良いわぁと昆布締め鰺のお土産までいただいて、息子と2人で帰宅。母が秋田に帰っていつも通りの家に戻っただけのはずなのに、やたらと家が静かで
「……さびしいね?」
「ちょっとね」
と言いながらお風呂に入った。

4月22日 土曜日
北京ダックを腹一杯食べに
錦糸町 「オーブン亭」にて
 スペシャルプレート \1680

今日はお出かけ。昨夜日付が変わりまくってから帰ってきただんなは10時近くまでぐーぐー寝ていて、息子も同様に9時半過ぎまでぐーぐー。朝御飯と昼御飯両方を食べる余裕はとうになくなっていたので、とりあえず着替えて家を出ることにした。どこで食べようか、目的地の新宿まで行ってしまうとランチタイムど真ん中で混雑必至だからその途中で……と下車したのが錦糸町。洋食が恋しいねと、丸井デパートの上にあったオーブン亭という店に入ってみた。

もうすっかりお腹が空いちゃって、勢いでだんなと2人頼んじゃったのが「スペシャルプレート」。メニューには迫力の写真も載ってはいたのだけれど、
「ハンバーグ、ナポリタン、カニクリームコロッケがついた、贅沢オムライス」
の説明に、そうかオムライスに色々添えてあるのね〜具沢山なのね〜……と判断して注文してみた。そしたらもう、何が添え物で何が添えられ物なのか判別しがたいほどのボリュームたっぷりの皿が。どどーんと。

多分、皿の表面積を一番占拠していたのがソーセージとベーコンどっさりのナポリタンスパゲティ。その脇には半熟卵のオムライス。添え物程度と思われたハンバーグとカニクリームコロッケも想像の2倍量くらいの大きさがあって、だんなと2人ヒーヒー言いながら食べることになった。ハンバーグもミニサイズでもなんでもなくてきっちり1個分のハンバーグだし、パスタも「これが1人前」と出されても違和感を感じないような分量で、もう大変。

その大変な皿に対して、息子が頼んだお子さまミートソーススパゲティはえらく軽めな分量で、息子は早々にそのスパゲティを平らげて
「デザート食べようかなー」
なんて呟きつつ、ミニサイズのアップルパフェなど注文してこれも綺麗に平らげていた。

やっとの思いでランチプレートを平らげて、新宿に。
シアターアプルで上演中の演劇集団キャラメルボックスのハーフタイムシアター、「ミス・ダンデライオン」と「あした あなた あいたい」を見てきた。昨年末の公演「クロノス」と同じ、梶尾真治の『クロノス・ジョウンターの伝説』という本を原作にした舞台なのだけれど、不思議とそのストーリーは劇団のこれまでの作品の匂いとよく似ている。「クロノス」もなかなか面白かったけれど、私は今回の「ミス・ダンデライオン」の方が心にぐっと来た。タイムトラベルを題材にしたものなので、どこか御都合主義的なところがあったりするのだけれど、でも良かったなぁ。ベテラン勢の演技の巧さに何度も涙腺が緩んでしまった。

キャラメルボックスの公演は、いつもいつも「前説」とか「終演後の挨拶」があって、それも楽しみのひとつだったりする。前説には劇団総指揮の方が出てきて上演中の注意事項を話したりロビーで売られるグッズ類の宣伝をしたりし、終演後は主役級の人が数分舞台上で挨拶をする。それがなんともアットホームな雰囲気で、たまらなく好きで、だからつい劇団四季とか見に行ったときに
「あー、ここで浅利慶太とかが"はい!今回発売のこのCDとこの脚本があれば!なんとおうちで!"一人オペラ座の怪人"ができてしまうわけですねぇ〜!"とか言えば楽しいのにね」
「で?アンコールが4〜5回続いたら、怪人が客席に向かって"もう帰れー!"って舞台上から叫んだり?」
などと思ってしまう。今日は何故か劇団総指揮自らがグッズ販売コーナーで売り子をしていて、私はその総指揮加藤さんから2006年版公式ハンドブックを買ってしまったり。

恵比寿 「中国茶房8」にて
 本窯焼き北京ダック \3680
 水餃子(白菜・椎茸・韮・貝柱) 各\105
 孜然香蒜 \210
 胡辣瓜条 \210
 生ビール 4×\580
 プーアル茶 \600
を家族でもぐもぐ

観劇後、劇団の託児サービスルームで待っていてくれた息子を拾って北京ダック専門店で夕御飯。
このところ中華料理を外で食べる機会が多くて、母も
「北京ダックあるわよ?あんたたち好きなんでしょ?注文すれば?」
とその度に言ってくれていたのだけれど、普通のお店の北京ダックは値段は高いわ分量も少ないわであまり注文する気がしなかったのだった。香港で以前行ったこんな風な店のが良いんだよなぁ……1切れいくらじゃなくて、1羽いくらの……と思っていたら、だんなが昨日、「友人に教えてもらったー」と「中国茶房8」なるお店を教えてくれたのだった。

北京ダック、1羽買いで3680円。北京ダックは「北京式」と「広東式」があって、北京は皮だけ、広東は皮に肉もつけて、という違いがある。このお店は私たちの好みの広東式で、しかも、北京ダックを楽しんだ後は野菜と肉の炒めものも作ってくれて、更には骨でとったスープも出してくれるのだという。なんて素敵なお店なんだ!と、早速に予約を入れてみたのだった。かなりの人気店らしく、昨日のお昼に電話して
「明日の夜の席、7時頃に空いてますでしょうか」
と聞いてみれば
「団体のお客さんが8時に入るので、それまでに出ていただけたら、なんとか」
と。急げば午後6時にはお店に入れそうだったので、席をとっておいてもらったのだった。

JR恵比寿駅、西口に出て左手に延びる急な坂道をよっこらしょと上り、ひょいと右に入ったところにある徒歩5分ほどの距離にあるお店。ビルの3階にあってお店の雰囲気は外からはうかがえず、一見で入るにはちょっと勇気の要る店だった。40〜50人くらいは入れそうなお店はテーブルの間隔も狭く、とても賑やか。飛び交う言葉はお客さんも店員さんも中国語率がすごく高くて、隣席では8人ほどの中国人のグループ客がわいわいと北京ダックを楽しんでいるところだった。内装の雰囲気とかは、青龍門あたりと似ている感じ。

北京ダック3680円に、各種ある小皿料理がそれぞれ210円、3個が1セットになった水餃子はたったの105円。しかも水餃子の種類が30種類ほどもあって、にんにくの芽、筍、ほうれん草、白菜、豆苗、キムチ、シソ、豆腐(豆腐??)、タマネギ、トウガラシ……と、大変に目移りすることになっている。とりあえずビールと、小皿料理からスパイシー揚げニンニクときゅうりの甘酢漬けをもらい、息子も好物だろう水餃子は白菜・ニラ・椎茸・貝柱の4皿を。親子3人、その注文と北京ダックで大変にお腹一杯になった。他にも鍋ものとか一品料理(羊料理もあれこれあったし、他にもたくさん)が多数メニューに載っていたので、目移りしまくりだ。

で、どれもこれも美味しかった。水餃子は自家製の皮がモチモチと良い歯ごたえで厚みもあり、とても食べ応えがある。それぞれ豚肉のあんをベースにしながら、選択した具がたっぷりと混ぜ込まれていた。何の気なしに注文した椎茸水餃子がやたらと美味しかったりして。

それらが北京ダックの前に来たので、ビール飲み飲みそれらをつつき、そして待望の北京ダック〜♪
北京ダック担当のコックさんがテーブルの前に、「北京ダックお待たせしました〜」と丸ごとのそれを一度見せてくれて、それから近くのテーブルで一口大に皮と肉を切り分けていってくれる。テーブルには揚げたワンタンの皮、きゅうり、刻み葱といった薬味と、タレが3種類、皮は10枚ほど。タレは定番の海鮮醤ベースのものと、それに唐辛子の辛さを加えた辛口版、そしてはちみつレモンのような爽やかな酸味のある甘めなもので、これで目先を変えて楽しむことができる。肉の量に比して皮が少ないので、最後は肉だけタレにつけてみたりそのまま囓ってみたりしながら、1皿の北京ダックは綺麗になくなった。

広東式の北京ダックは、皮がパリッパリのカリッカリという風じゃなくて、香ばしさはちゃんとあるけれど心持ちしっとりとしている。肉部分も含めて全体的にジューシーで、さっぱりとした葱にとてもよく似合う味だった。

炒めものは、にんにくの芽ともやしが細切りにされた北京ダックの肉と共に炒められたもので、けっこう強めのピリ辛味。皿の下に残った油が見事なラー油色で、「辛味噌炒め」などとメニューに載るような味付けのものだった。
そして、なんといっても美味しかったのがシメのスープ。ほのかに白濁したスープには豆苗や白菜などの葉野菜が適度に散らされ、骨からこれでもかとエキスが染み出てきている。御飯を混ぜればこのうえなく美味しい雑炊になりそうだなぁ、でも御飯を食べるほど胃袋に余裕はないなぁ……と思いつつ、それでもスープは綺麗に完食した。

美味しかった美味しかった。また北京ダック1羽喰いが恋しくなったらここに来よう。

4月23日 日曜日
はっぴばすでー息子〜
グラタンパン
カフェオレ
ココナツバナナプディング

今日は息子の誕生日。ここ数週間すっかり外食づいていた我が家だけれど、息子の誕生日となれば毎年恒例の「おこさまランチ」の作成が待っている。息子もとっても楽しみにしてくれていて、何日も前から
「何が食べたい?何入ってると嬉しい?」
「マッケンチーズ!!」
「だよねぇ……あとは?」
「あとは、いらない。マッケンチーズだけ!」
「……クリームのコロッケとかは?いらない?」
「……いるー!クリームのコロッケ、いるー!」
などという会話を重ねて献立を考えていた。息子の好みはだいたい把握しているので、あとはハンバーグとかコーンスープとかかな。

朝食前に宅配便が届き、通販で注文していた息子へのプレゼントが到着した。今年のプレゼントは、自転車。数年前にプレゼントした幼児用の自転車がもうすっかり小さくなって扱いづらそうにしていたので、マウンテンバイク調の子供用自転車を買ってあげることにしたのだった。息子が試運転を軽く楽しんだ後、朝御飯。

グラタンパンは、先日Kさんが「これ、どうぞー、焼きたてだったの」と持たせてくれたでっかいもの。筒状のパンの上を軽くくりぬいてグラタンをトッピングしたもので、1人1個ではけっこうな食べ応えがありそうだったので、半分に切って1人1切れずつもぐもぐ。チーズも散らされていて、温めて柔らかくなったグラタン部分がとても美味しかった。

デザートは、母が買って冷蔵庫に入れていってくれた、ココナツバナナプディングを。メグミルクの栗原はるみシリーズ「栗原さんちのおすそわけ」の一環の品で、ココナッツ風味のバナナプリンになぜかエスプレッソソースがついてくる。シリーズの他のものと同じく柔らかい食感が良い感じで、ココナッツ風味が濃厚なのもココナッツ好きには嬉しいところ。でも、添えられたエスプレッソソースの必要性がいまいちわからなかった。何もかけなくても美味しいんだけどなー……目先を変えて食べなきゃいけないほどのたっぷりの分量でもないし。

息子誕生日記念おこさまランチ
 マッケンチーズ
 コーンクリームコロッケ
 うずら卵入りミニハンバーグ
 揚げウィンナーと皮つきじゃがいものフライドポテト
 千切りキャベツときゅうりとプチトマト
 コーンスープ
 (いちごミルク)

揚げ鶏皮
ビール

メタグロスケーキ
紅茶

今年の息子の誕生日ケーキは、母が買ってくれた。駅ビルにあるケーキ屋さんオランダ家では、きちんと好みを伝えれば色々な形状や絵柄のケーキを作ってくれる。母と一緒に10日ほど前にその店の前を通り、それはそれはリアルなクワガタ型のケーキがショーケースに置かれているのを見た。

「……クワガタ型のケーキがある……ああ、子供の日用の特製ケーキだってさ、予約受付中、って」
「まー!かっこいいじゃない!これ、誕生日ケーキにしたら?」
「んー、クワガタはちょっと怖いから、どうせだったら別の頼んだ方がいいかも。ポケモンとか」
クワガタケーキはあまりにリアルに黒々と光っていて、トゲトゲした足の関節などもしっかり表現されていた。息子はムシキングが大好きではあるけれど、それにしてもクワガタケーキはちょっと怖いかもー……と、その日のうちに息子にお伺いをたててみた。

「メタグロスのケーキがいい」
……は?
「メタグロスが、いいなー」
ピカチュウとかキモリとかプラスルマイナンとかじゃなくて?メタグロス?
「ぼくねぇ、メタグロスがいちばん好きなの」
そうですか……。

メタグロスは、ネズミっぽいポケモンでも鳥っぽいポケモンでもなくて、いかにも強そうで怖そうなメカっぽいポケモン(こんなの)。顔なんかいつも怒ってるし、ボディは水色だし、ある意味クワガタよりも怖い感じ。ほんとにそれがいいのね?メタグロスね?と、資料持ってお店に予約しに行った。原画では「こんなのケーキにするの無理です」という体型だったのだけれど、以前にぬいぐるみ化された事があったようで、その画像をインターネットで拾うことができた。ドーム型で四方に足がついてて、これならケーキにも加工できそう。水色のこいつなんですけどー……と、画像をプリントアウトした紙に「ポケットモンスターのキャラクター:メタグロス」とメモしてお店に伝えに行ってきた。

phogo で、できあがったのがこのケーキ。→
すごいすごい、ほんとにちゃんとメタグロスになっていて、私も息子もびっくりだ。顔はちゃんと怖いし、トレードマークの顔のバッテンもちゃんとできてるし、体もどぎつくない程度にちゃんと青い。3人で食べるんです、と伝えてあったので一番小さなサイズで作ってくれた。いかついボディのてっぺんに、かわいい花つきで「たんじょうびおめでとう」とプレートがついているのが、なんとも。

夕方このケーキを受け取りに行った後は、ひたすらだんなと2人お子さまランチの仕込みに励んだ。クリームコロッケを作るからには市販のベシャメルソースなんか使いたくないしとバターと小麦粉と牛乳を練り合わせ、ハンバーグは小型にして中に茹でたうずらの卵(これも缶詰とか使いたくないねと殻つきのを茹でて剥いた)を詰める。揚げ物ついでにとウィンナーと櫛型に切ったじゃがいもも揚げた。更に、「ビールの肴に〜」と、肉屋で安売りしていた鶏皮も揚げてみた。これは当然お子さまランチとは別盛。あとは、チェダーチーズをベシャメルソースで伸ばしたソースを茹でたペンネに絡めて、息子がこの世で一番好きな食べ物であるらしい「マッケンチーズ(マカロニ&チーズ)」も。

お子さまランチを作るのは、ほんとに大変。どうせだったらと手抜きなしで作ると、半日仕事になる。今回は、「ごはんはいらない。おかずもあんまりいらないから、マッケンチーズをおなかいっぱい食べたい」というリクエストが息子からあったので、おかずの品数はこれまでより若干控えめにしたのだけれど、それでも最後の1時間は大変なバタバタになった。コロッケもハンバーグも息子の分は1個ずつにしてやり、皿にはこれでもかとマッケンチーズをよそってやる。もちろんお代わり用の用意もばっちりだ。飲み物は、息子の好物「オレンジーナ」も買ってあったのだけれど、
「いちご残ってるから、いちごジュースも作れるよ?」
と伝えたところ、即答で「いちごジュース!」と。練乳少々、牛乳と共にミキサーにかけていちごミルクにしてやった。

はい、なんでもお代わりあるからねー、好きなもの何でも食べな、いただきまーす!
……と手を合わせ、私とだんなは少しばかりのんびりと揚げ鶏皮などつまみはじめたのだけれど、息子が大変な勢いで皿を空にしていく。
「まず、マッケンチーズおかわり!」
とマッケンチーズをおかわりし、
「ウィンナー、おかわり!」
とウィンナーを2本追加し、
「マッケンチーズ、またまたおかわり!」
と再びマッケンチーズを皿に盛り……と、これまでの歴代お子さまランチでここまで喜ばれた年はあったろうか、いやない、という事態になったのだった。喜んでもらえて何より。だんなが丁寧にベシャメルソースを作ってくれたクリームコロッケは絶品だし、うずら卵を詰めたハンバーグもなかなかのものだし、確かに今回のお子さまランチは素敵な出来だったわよねと私たちもおおいに堪能した。

そして食後に紅茶を淹れて、ろうそく立てて歌うたって「ふー」して、メタグロスのケーキを。
そう大きくないケーキなのに、カットすると2層にクリームと苺が挟まれたショートケーキになっていた。外側のクリームも固いものじゃなく、ふわふわと良い感じ。面白いなぁ、楽しいなぁ、と私とだんなも感心しながら楽しく食べて、自分たちならどんなケーキを作ってもらったら嬉しいかなぁなんて事を話していた。