食欲魔人日記 02年05月 第5週
5/27 (月)
鶏肉とキュウリのピリ辛 (夕御飯)
シラス山盛り卵御飯
冷茶

「朝飯に、シラス丼はどうだろう、こう、生卵を割って」
「いいねぇ〜。で、醤油をチラリと」
「いいねぇ〜」
と、前の晩に研いでいた米を、朝起きるなり炊く。味噌汁はなし。おかずもなし。大きめの椀に炊きたての御飯をよそい、いつもならチーッと垂らす醤油をチラッ、くらいに垂らし、ざっとかき混ぜてからシラスをてんこもりにしてかっこむ。最近はパンやドーナツの朝食が続いているけど、御飯を食べるとやっぱり「昼まで動けるぞ」という感じがする。

昨日発熱した息子は、今朝もまだまだ熱っぽかった。そのくせ、昨日1日家に籠もっていたものだから、半端に体力が余っている。まだ目覚まし時計が鳴らない時間からバチッと目を開けて、
「おかーさん、ねーねー、おはよ?おはよ?」
と揺すってきた。しばらく寝たフリをして、目覚まし時計が鳴ったところで薄く目を開けると
「おかーさん、おはよおぉぉぉぉ〜」
と無理矢理目を合わせてニヤッと笑われた。その顔は、どっから見ても病人じゃないのに、首筋の温度はあからさまに高い。保育園休園は確定だ。私は家で仕事があるしな、と「息子、すまん」とあまり相手できずに一人でおとなしくしていていただく。って、おとなしくしているようなタマじゃないんだけど〜。

ホットケーキ
アイスミルクティー(ちょい甘め)

病気の子供には、好きなものを思う存分食べさせてやろうと思う。赤い顔をした息子に、色々きいてみた。
「おにぎりは?」
「……」(ぷんぷんと首をふる)
「うどんとか?」
「……」(同じく)
「チョコ塗ったトーストにしようか?」
「……」(同じく)
「……あ、ホットケーキは、どう?」
「……けーき!けーきたべるよー」

というわけで、ホットケーキに決定。フライパンにバターを溶かして焼くと、今ひとつツルンとした表面にならないのは重々承知の上で、「でもバターで焼いた方が美味しいのよね」と表面ポコポコのホットケーキにしながらバターたっぷりで香ばしく焼いていった。皿に乗せてから、8等分くらいにざくざく切って、ホットケーキシロップぶっかけてフォーク刺して、息子の前に出してみた。
そしたら息子、食べる食べる食べる。2人前のホットケーキミックスで4枚焼けたうち、1枚分を速攻食べ終わり、「もっと、もっとちょーだい」と2枚目分も食べ終わり、その時に私の分が残っていたなら私の分も奪いかねない勢いだった(私は先に食べ終わっちゃったのねー、まさか1人分ぺろっと食べるとは思ってなかったし)。
ホイップクリーム乗せてみたりフルーツ山盛りにしてみたり、栗の甘露煮を乗せてみたり、というホットケーキも美味しいけど、やっぱり基本のバター&シロップが一番ステキだ。

食べて食べて満足げな顔になった息子は、さっぱりした顔で
「ごちそうさまでした!さ、ほいくえん、行こ!」
と力強く宣言した。
いや、もう12時過ぎてるし、休みって言っちゃったし、ていうか、君はまだまだ高熱出てるし、大体なんで今から保育園……?

鶏肉とキュウリのピリ辛
グリーンサラダ
焼き豚
韮饅頭
鶏とスナックえんどうのスープ
御飯
ビール、冷茶
パイナップル

「今日は一日、買い物に行けそうにないから、何か食材を買ってきてね」
と出勤前の母にお願いしてみた。ら、買ってきてくれたのは各種野菜とウィンナー、特売の焼き豚。デザートにとパイナップルまであるのに、肝心のおかず用の魚介も肉も買い物袋には入っていない。
「肉って……この、焼き豚だけ?」
「そうよー、もう一度甘辛く煮たら、どう?」
「……い、いや、煮ないんじゃないかなー……」

そうだった、母は"サラダとハムとパンとビールがあればそれでOK"な人なのだった。独身時代、そういう生活が続いていたんだよなー、と思い出す。魚を捌くことも塊肉を自分でスライスしたりすることもない人だったんだった。なんで娘がこうなったのかは、我ながら謎だ。

トホホとなりながら冷蔵庫を覗くと、幸い鶏肉が1枚入っていた。美味しそうなキュウリをだんなと母が2人して買ってきたこともあって、鶏とキュウリをピリ辛味で和えることにする。ついでにスープも平行して作る。鍋に湯を沸かし、塊の鶏肉から少量をスープ用に細かく刻み、塊肉と一緒に生姜、長ねぎを放り込んで茹でていく。茹でた鶏肉はスライスして、刻みキュウリと一緒に醤油と砂糖と酢とラー油でガガガッと和え、細かい肉が残っているスープにはスナップえんどうを放り込んで塩胡椒で味付けてそのままスープに。

葉もの野菜やピーマン、トマトをあわせてグリーンサラダと、あとは焼き豚とか冷蔵庫に入っていた韮饅頭とか。ありもので、なんとか食卓らしい体裁が取れたような取れないような。これでもかとキュウリを食べられて、ちょっとばかり嬉しかった。

昼にホットケーキを食べまくった息子は、また具合が悪くなってきたのか一口も夕飯は食べられない様子。
「カレーなら、食べられるかな……」
「ぼく、カレーたべるよー」
「じゃあ、明日はカレーだな」
そういうわけで、明日は多分カレー。

5/28 (火)
天いも(稲毛)の、大学芋 (おやつ)
バタートースト with ブルーベリージャム
アイスミルクティー

本当は出勤日だけど、日曜に発熱した息子の体調は、まだ今ひとつ思わしくなく、休むことを覚悟したら、覚悟したままずるずると寝坊してしまった。ぱたぱたと朝飯抜きで出かけていっただんなを「すまぬ〜すまぬ〜」と見送ったあと、母と息子と3人で朝御飯。週末も関係なしに、不定期に休みになる我が母の仕事は、今日は休みということだった。な、なんだ、だったら私は仕事に行けたかもしれないのに、と思いつつ、なんとなくめんどくさくなってそのまま休んじゃうことに。

買い置きのパン(パン焼き機で焼くよと言っているのに「だってめんどくさいじゃない、切ったりとか」と、母はしょっちゅう食パンを買ってきてしまう……うう……)、厚切りのそれをトーストしてバターを塗り、ブルーベリージャムをたっぷり盛りつけて囓る。ブルーベリージャムとクリームチーズは似合うと聞いている。ベーグルなどで、クリームチーズとブルーベリージャムをサンドにしたやつを良く見かけるような気がする。
「チーズ……いいなぁ」
と冷蔵庫を見るが、薄っぺらく四角いとろけるチーズと、パルメザンチーズ、それにニンニクがこれでもかと匂う"ブルサン"というブツしか発掘できなくて、断念。

モスバーガーで
 チャパタサンド(ハーブチキン)
 オニポテセット(オニオンリング&ポテト、山ぶどうスカッシュ)
 モスチキン
 ベトナムコーヒーゼリー

体調は悪くとも食欲があれば何ら心配しない息子だけど、まだ全快、という感じではないらしい。朝御飯も「いらない……たべたくないよー」と、リンゴジュースをコップに1杯飲んだだけだった。熱はもうないようだ。
「じゃあさ、ポテトとコーラなら食べられる?」
と聞いてみたところ、
「ぽてと!コーラ!たべるよー。さ、いくよいくよー」
と速攻玄関で靴を履きはじめた。(……元気じゃないか……)

母は、私以外にはハンバーガーを共に食べる人は周囲にはいなかったはずで、案の定
「ハンバーガーなんて5年ぶりくらい……?いや、もっと?……私にも食べられるハンバーガーはあるかしらねぇ」
などと言いながらついてきた。最寄りのモスバーガーに向かい、「どれが美味しいの?」と問われるままに、「ん〜、"ハンバーガー"ということなら、これが良いんじゃない?」とフレッシュバーガーを勧めてみる(私の一番はテリヤキチキンバーガーだけど、それってハンバーガーじゃないし)。私は期間限定もののチャパタサンドを。

通常のサンドよりもちょっと水気の少ないパンに、同じくちょっとばかりパサついた感のある鶏肉が挟まるサンド。トマトとハーブの味がする野菜入りのソースが入り、紙の包みに垂れたそれをポテトでぬぐいつつはぐはぐと食べる。息子もフライドポテトだったらOK、といった風情に真剣に食事に取り組んでいた。
「久しぶりだわ、美味しいわ」
と御機嫌な母に、そのままデザートまでゴチになってしまった。ホイップクリームが山盛り、更に練乳がベースのシロップがかかった「ベトナムコーヒーゼリー」は、その練乳の味で何とも甘ったるく、それがけっこういけるものだった。甘さの少ないティラミスを注文した息子に、無理矢理ゼリーと交換させられた。とほほ。(息子が元気だったら、そんなトレードには応じないところなのに)

稲毛「浅草 天いも」の
 スィートポテト
 大学芋
牛乳

昼御飯を食べた後、「図書館に行ってくるわねぇ〜」と母は一人ぷらぷらと歩いて行った。私と息子は家であとはおとなしくしていましょう、と早々に帰宅。1時間ほどして、おやつを抱えた母が帰ってきた。
図書館へ向かう道の途中、他に店もあまりないようなところに、さつまいものお菓子屋さんが最近オープンした。間口2間ほどの、店頭のカウンターで販売をしているだけの小さな店には、スィートポテトと大学芋が並んで売られている。それは妙に美味しそうで、家族の間で
「あそこにかくかくしかじかなお店があって」
「そうそう、私も知ってる!」
「俺もずっと気になってた!」
と密かに噂になっていたところだったのだ。

先行調査に入った母の話によると、他にも芋せんべいのようなものとか、売り切れだったという更に別のさつまいも菓子も売られていたらしい。手渡された袋はずしっと重く、
「……大学芋、いったい何グラム買ってきたの……?」
と聞いたら
「400グラムよ」
とさらりと返された。しかもスィートポテトも2つ入っている。

その芋菓子類は、結局、すごく美味しかったのだった。
芋の表面がカリカリパリパリと揚がった大学芋は、中はほくほく。サラリとした水飴がたっぷり絡まり、黒胡麻が光っている。甘さも口当たりも良い感じに好みだ。バターと卵の味がするスィートポテトもなかなかのものだった。
しかし、妙な場所に妙なお店ができたものだ。駅からは半端に遠いし、かといって半端に近いから、すぐそばにあるバス停の利用者はあまりいないんじゃないか、という感じ。図書館を利用する我が家にとってはついでに寄られるからちょっと便利だったりするかもしれない。

ポークカレー
ウィンナー入り野菜スープ
酢油キャベツ
ビール

「息子に元気になっていただきましょうキャンペーン第二段」ということで、夕飯は"これが食べられなくなったら終わりだ"の食い物のトップに君臨するカレーを作ることにした。私やだんなには、「カレーが食べられなくなったら終わり」という認識がある。どんなに重病でも、あの匂いをかげばけっこう喰えちゃうものなのだ。カレーも喰えないほどの重病となると、そりゃもう本当に相当に重病なのだ。我が家の基準では。

で、豚肉の肩ロース塊肉を買ってきた。焼き豚用に網をかけられて売られていたそれをざくざくと一口大にカットして、まずはアツアツに熱した鍋の中でこんがりと焼いていく。肉には下味にと塩胡椒とカレー粉を揉みこんでおいてみた。ざく切りにした新玉ねぎ2個とにんじん1本を放り込んでしっかり炒め合わせ、水を注いだらアクを取りながらじっくり煮込んでいく。最初に入れた玉ねぎは、途中で溶けていってしまうので、最後のほうでじゃがいもと一緒に更に玉ねぎ1個を投入。じゃがいもが煮えたところで火を止めて、ルーを放り込んで溶かし、ついでにバターも1かけ放り込む。

「なぜ、2日目のカレーや肉じゃがが旨いのか」というと、一度煮汁が冷めることによって具材から一度煮汁に出た旨味が具材に戻っていくからだと聞いた。じゃあ少しでも、とルーを溶かしてからしばらく冷ましておいてみることに。
今回は、選んだ肉もたまたま良かったようで、出来上がったカレーはごっつぅ美味しくなっていた。水の量も丁度良く、じゃがいももぎりぎり煮崩れない程度に煮えている。すごくすごく、良い感じだ。

スープは、昨日の残りのスープに水と野菜を放り込み、ついでにウィンナーも放り込んで増量させちゃう。キャベツとにんじんと玉ねぎを塩でかるく揉み、サラダ油と酢と砂糖(その割合は6:4:1くらい、らしい)で和えた「酢油キャベツ」(←日本橋の洋食屋さん"たいめいけん"の名物だ。作り方がどっかの本に載ってて覚えたけど、どうもあの味にならない。悔しい)も用意。ラッキョや福神漬も並べた食卓は、「さぁカレーライスをがっちょり食べましょうねぇ」という光景になった。

そういや、息子に回復して欲しいと思って作ったカレーなのに、何も考えずに「中辛」にしてしまったよ、と今更ながらに焦ったり。
「も、もしかして辛かった?」
と肉に取り組む息子に聞いたら
「からくないよー。おいしいよー」
と顔の下半分を真っ黄色にして答えられた。その喰いっぷりなら、もう大丈夫かな。

5/29 (水)
さか田(銀座)にて「ぶっかけ(冷や)」 (夕御飯)
バタートースト
アイスカフェオレ
パイナップル

3日続いた息子の熱は、いよいよ全快の模様。今日はお昼に約束もあるし、是非とも保育園に行ってもらわにゃならん、と起こしたところ、食欲も充分。元気にトーストを食べて保育園に向かっていった。

だんなは、健康診断とのことで、昨夜9時からは飲まず食わずで出勤しなきゃいけないとか。いそいそと早めに出かけていっただんなを見送り、私はバタートーストを囓る。

銀座「さか田」にて
 ぶっかけ(冷や)の"讃岐ランチ"(日替わり御飯と漬物、田楽つき)

「もうさ、もうさ、人生ベストテンに入るくらい空腹だよ〜」
というだんなと、お昼に職場近くで待ち合わせ。私の友人、Sちゃんとも待ち合わせ。

私の友人Sちゃんは、今、銀座の近くにお勤め中。だんなの職場の至近となり、「じゃあ、近くの美味しい昼飯屋さんを紹介しましょう♪」という展開になった。別にだんなとSちゃんが2人で飯を喰おうと心情的には全く構わぬものなのだけど、「あ、美味しいとこ行くなら私も私も」と外出ついでに混ぜてもらうことにしたのだった。向かったのは銀座だ。「美味しいとこ教えるよ」で、なにゆえに讃岐うどん屋に行っちゃうのか、もうちょっと小洒落たところに行くわけにいかんのか、それが我が夫の我が夫たるところだ。

銀座の裏通りにある小さなビルの2階にある「さか田」は、この近隣の讃岐うどん愛好者の心を掴んで離さない愛すべき店だ。
数ヶ月前、4月号の『Casa BRUTUS』では東京の讃岐うどんの特集が掲載されていて(かの"団長"が東京に来て食べ歩いた結果が載っていた)、そこにあったランキングでは1位「綾」、2位「すみた」、3位「さか田」という順番だった。全店が香川で修行して店を出した大将のいる店で、「そりゃ、旨いよなぁ……当然」と笑っちゃうようなランキングだったのだった。いつかは「綾」と「すみた」にも行ってみたいものだ。前者は川崎で後者は十条。微妙に遠いところにある。どうしても「さか田」が出やすく、足も向いてしまうのだった。
数年前に、私は一度だけ来たことがある。だんなはしょっちゅう来ているらしい。

12時10分頃に到着すると、すでに8人ほどが並んでいる。広い店ではないけど回転も良いから続々と列は短くなり、10分ほど待って席に座ることができた。「讃岐ランチ」というセットにすると、かやく御飯と漬物、味噌田楽がついてくる。「かやくうどん」の冷たいのをセットに……と思ったが、かやくはセットにならないらしい。で、具が少ない「ぶっかけ」の冷たいのをセットにしてもらい、50円足して揚げ玉をつけてもらう。そして3分ほど待ち、盆に乗ったセットがどかっとテーブルにやってきた。

大根おろしがこれでもかと盛られ、生姜もたっぷり。胡麻とワカメが散らされる。テーブルに葱とか胡麻とかはなく、七味の瓶が1つのみ。別の器でやってきた揚げ玉をザラッとかけ、ちと生姜が多かったので除けつつかきまぜ、ぞるぞると啜った。淡い甘さの濃いめのだしが"ひたひたよりちょっと少なめ"くらいに入り、ぴよ〜んと伸びる滑らかなうどんは相変わらずかなり良い感じ。歯の裏にひっつくような、女っぽい麺だ。大根おろしの辛さを心地よく思いながら(でもちょっと多すぎるような気も)、注文した料理の量はだんな、私、Sちゃんの順に多→少だったはずなのに、喰い終わりは逆比例していた。いかに朝飯抜きだったとはいえ、だんな、早すぎ。

数十分の食事をちゃちゃちゃと終えて、2人は職場に帰っていった。私は一人、銀座でお買物。銀座三越の地下食料品売場がリニューアルして初めて足を踏み入れたけど、どの店も客引きしていて、ちょっとばかり怖かったりして。

マグロのタルタルスパゲッティ
酢油キャベツ
ビール

「銀のぶどう」の「白らら」
カフェオレ

昨日煮込んだカレーがあったけど、帰りがけに安いマグロのサクを見て、「おお、これだ!」と買ってきた。刺身じゃ芸がないし、丼という感じでもないし、では、とスパゲティにしてみることに。どこかの本で見たレシピだ。これがなかなか旨かった。

【マグロのタルタルスパゲッティのつくりかた 】

  1. ねぎとろ、もしくはマグロを適当に細かく叩いたものにみじん切りにした長ねぎとオリーブ油を適当に混ぜ合わせる。
  2. 生卵を白身と黄身に分け(白身は使わないので適当に保存する。冷凍できるし)、黄身を半熟に茹でておく。
  3. 茹でたスパゲティを皿に盛り、1のマグロを盛りつけ、2の卵を乗せ、上から万能葱の刻んだやつもパラリと。
  4. 醤油をチーッと垂らしたら、黄身を崩しつつ食べませう。
出典:失念

ねぎトロ丼のパスタ版、という感じ。半熟の黄身が、妙に嬉しい存在だ。オリーブ油と本にはあったけど、サラダ油でも胡麻油でも構わないと思う。
簡単パスタと、昨日の残りのサラダという準備時間15分ほどのえらく手軽な夕飯だった。

そしてデザートに、「銀のぶどう」で買ってきた「白らら」(しらら)なる、人気沸騰中らしい新商品。見た目はまんま、ザル豆腐だ。作りたてのチーズを水切りしただけのケーキ……というかチーズそのもの、らしい。1ザル1000円。
妙にもてはやされてるらしいけど、昔っからいくつかのケーキ屋で出している「クレーム・ダンジュ」そのもののような気が……しないでもない。でも、「おお、ザル豆腐だ、ザル豆腐。家族にウケそう」と買ってきてみた。

ふわっふわの食感は、チーズのムースのよう。リコッタチーズに似たその味は、生クリームを泡立ててリコッタチーズと混ぜたような、そんな感じだった。おお、旨いぞ旨い。見た目はザル豆腐だけど、中身はちゃんとお菓子だ。
しかし、「銀のぶどう」の店員さんは商売上手だ。接客が他のケーキ店などと比べてあからさまに良い感じ。今日もあやうくリニューアルしたという「秀くりーむ」をも買っちゃうところであった。あぶないあぶない。

5/30 (木)
杏花園(田町)にて「牛バラ角煮かけごはん」 (昼御飯)
「Johan」の
 チョコデニッシュ
 クリームコロネ
アイスカフェオレ

「明日は朝当番だから、早く出るからね」
と言っていた、我が夫。
そういう時に限って、なんでもう目覚まし時計のスイッチを入れてないかなぁ。

「鳴ってもすぐ止めちゃう」どころか「最初から鳴ってません」状態で、30分寝坊の私たち。
せっかく昨日は銀座三越の「Johan」で美味しそうなパンを買ってきたというのに、バタバタバタバタと大変な勢いで洗濯したり片づけしたり諸々の作業をしていたいで慌ただしい食事となり、ちっとも味がわからなかった。
慌ただしい食事は、美味しいものもあんまり美味しく思えず、なんか損した気分になる。

ねっちりもっちりしたカスタードクリームがたっぷり詰まったコロネと、さくさくのデニッシュ生地に包まれたミルクチョコレート入りのデニッシュ。熱いコーヒーを準備するのももどかしく、冷蔵庫からアイスコーヒーと牛乳を出して半分半分の量でコップに注いで飲み下す。

「じゃ、行くから!」
とだんなはすっ飛んで行き、我が母もまた
「じゃあ行ってくるからね」
と時間通りに家を出た。私はというと、私も出勤まであと30分を切っているというのに息子はパジャマのままで飯食ってるし、私も寝間着姿で髪の毛もボサボサだし、洗濯機はまだ動いているから干せないし、台所には食器が洗われていないし、というかなり悲惨な状態だった。
「……ちょっとは何か手伝ってよ、もー」
と悪態つきつつ準備して、結局化粧する暇がなくなってスッピンで出勤する羽目になったのだった。
台所の皿洗うよりも化粧の方を優先しとけよ自分、と思わなくもない。とほー。

田町「杏花園」にて
 牛バラ角煮かけごはん 880円也

昨日は昼も夜も麺料理だったし、今朝はパンだったし、なんかこう、ガツンと白い飯を食べたい気分。大学裏門前の中華料理店の前の看板を見て「ああ、冷やしタンタン麺は良い感じですねぇ〜」と思いつつ、いやいや白い御飯を食べるんだろ、と、その店で「牛バラ角煮かけごはん」を食べることにした。ここのこの料理、実はずっと気になっていたのだった。

ランチメニューには、全てのものにスープと杏仁豆腐がついてくる。
卵とコーンのシンプルな中華スープが最初に来て、それを舐めつつ料理を待つ。やってきたのは平皿にどどんと盛られたあんかけ御飯。茶色くテラテラと光るあんが、御飯の上にどっぷりとかかっている。具は、白菜と青菜、長ねぎ、そして牛バラ肉。ほろほろに煮込まれた牛肉からは八角の香りがぷわんと漂っていて、ちょっと甘めに煮込まれたそれに、御飯が止まらない。
これでもかと熱い状態でかけられたあんは、肉を囓ると中から灼熱の肉汁と煮汁が飛び出てくる。鼻の頭に汗かきつつ、ハフハフ言いながら食べる。そうそう、こんな感じに御飯が食べたかったのだ。

そしてデザートに2口分ほどの杏仁豆腐。
缶詰を開けただけ、みたいなフルーツが浮かぶそれは見た目はよくある菱形の、一見固そうなものだ。でも手作りのそれはツルンと滑らかで口溶けも良く、なかなか良い感じ。シロップもフルーツから缶詰臭いそれが溶けて匂いがついてはいるものの、自家製っぽい。2口分と言わず、どんぶり一杯欲しくなる、なかなか美味しい杏仁豆腐。炒飯とか汁そばとか焼きそばとか、メニューを見るとごくごく普通の街の中華料理屋さんという感じ。でも、どこか本格の味がするそこは周囲のサラリーマンに愛されているようで、いつも昼は行列なのだった。1人で行くとカウンターに座れるので、いつも並ばずに食べられる。だからちょっと嬉しい。

3日目のカレー with メンチカツ&ゆで卵
マグロのカルパッチョ風サラダ
ビール、アイスティー

今晩のメインディッシュは「3日目のカレー」。昨日が頃合いの「2日目のカレー」だったはずだけど、昨日はどうもマグロが食べたくてカレーはパスしてしまったのだった。味の染みた美味しいカレーを腐らせてしまうほど悲しいことはないので、朝と晩の1日2回、せっせと火を通してみた。肉も野菜も輪郭がなくなってきていて、とても良い感じ。

「今から帰るよ〜。何か買っていくものは?」
と毎日恒例の電話をしてきただんなに
「今日はカレーなので、何かトッピングしたいものがあったら」
と答えたところ、メンチカツを買ってきてくれた。私は私でゆで卵を用意しており、かくしてカレーの皿にはメンチカツが置かれ、ゆで卵も並べられ、やたらと豪華な皿の上の光景になった。なんだかまるで、学生街あたりのランチカレーのようだ。

そして、昨日のマグロの残りはカルパッチョ風のサラダにすることに。
サラダ菜やパプリカなどの野菜を皿に敷き、その上にできるだけ薄くスライスしたマグロを並べていく。上からは、マヨネーズにワサビを混ぜ、とろみと味を薄めるために白ワインやコンソメを溶かした湯を放り込み、塩胡椒と数滴の醤油で適当に味を調えたドレッシングを回しかけた。

3日目のカレーは、「もうちょっとしたらそろそろヤバイです」という味になっていた。そろそろ暑くなってくるこの時期、火を通していても3日4日保たせるのは危険かもしれない。
皆してがつがつと食べた3日目のカレーは、幸い残りはわずか。カレーの最期はカレーうどんと決まっている。
「いりこだしっ♪いりこだしっ♪」
食後いきなり煮干しと水を鍋に放り込み始める我が夫。そういうわけで、明日の朝はカレーうどん。

5/31 (金)
イタリア風肉じゃが (夕御飯)
カレーうどん
麦茶

3日目のカレーだった昨夜のカレー。程良い量が残ったので(というか"程良い量を残し"と言うべきか)、カレーうどんに仕立ててみた。今回は、いりこだし。いりこたっぷりにだしをとり、混合けずり節も投入して作られた濃いめのだしをカレーに注いで醤油や味醂で適当に調味。冷凍うどんをそのだしの鍋に放り込んで良い具合に煮たら完成だ。鍋のこびりつきもピカピカに剥げるし、あますところなくカレーを堪能できるし、カレー最終日のカレーうどんは色々と、嬉しい。

今回のはじゃがいももにんじんも肉もごろごろと入っており、大変にゴージャスな感じがした。
そろそろ暑くなってくるこの季節、顔と言わず背中まで汗かきつつ啜ることになったけど、後悔はしないのだ。美味しいし。

しらすぶっかけ卵御飯
白菜のチゲスープ(レトルトもん)

今日は一人、家で仕事。「おーおー、ワールドカップじゃのう」と流しっぱなしのテレビを眺めつつ、パソコンでぺけぺけと作業していた。

やる気のないまま、昼は卵御飯とレトルトのスープ。卵を冷蔵庫から出したところで、ちょいと前に購入したしらすの残りと目が合ってしまい、
「……喰えるかな」「……ヤバいかな」
とつまんでみたり嗅いでみたり舐めてみたりした挙げ句、
「ま、腹くだしたら運が悪かった、ということで」
と喰ってしまうことにした。息子には喰わせられない、だんなもきっと腹を壊す、そんな極めてデンジャーな状態のしらすではあった。

「醤油は殺菌になるかなぁ」(←ならないだろう)
などと考えつつ、醤油を垂らした溶き卵をだばだばだ〜と御飯にぶっかけ、上からしらすもぶっかけ、そしてサラサラと食べる。……やっぱりヤバい味がした。でも食べる。食べちゃう。

イタリア風肉じゃが
茹で枝豆
母が買ってきたローストビーフのサラダ
スティック野菜のサラダ
羽釜御飯
ビール

数日前、とんでもなく安かったオーストラリア産牛バラ肉の塊を買ってきてみた。100g50円くらいの、600g強の塊肉だ。どこか洋風なものを作ろうと色々とレシピをあさってみたところ、「イタリア風肉じゃが」なるものを見つけた。本来はスキレット(←ごっつぅ重い、鉄製フライパン)で作る料理らしいが、我が家のスキレットに収まる肉の量じゃないので、おもむろに中華鍋で作っちゃうことに。

オリーブ油で、一口大に切って塩をした牛肉を焼き付ける。ざっと色が変わったら一度取りだし、その鍋にみじん切りの玉ねぎをたっぷり投入。じくじく炒めて良い感じになったら肉を戻し、白ワインと缶詰のホールトマトをトマトを潰しながら放り込む。蓋をして1時間ほど煮込んでいき、ラスト10分くらいのタイミングでじゃがいもも投入。味つけは塩胡椒のみで調えて、仕上げにイタリアンパセリを刻んだものを飾れば完成。玉ねぎの原型とどめぬそれは「肉じゃが」というよりも「牛肉とじゃがいものトマト煮込み」という感じだけど、いかにもなイタリア色の料理になった。

サラダ菜とプチトマト、スティックに切ったきゅうりと茹でたアスパラガスを盛りつけて、マヨネーズ添えただけの簡単サラダ、それに母がデパートで買ってきてくれたローストビーフのサラダ。茹でた枝豆。
何だか「枝豆」が出てきた時点で、「ちょっと小洒落たイタリア風夕食」が一気に「ビールの肴一同」になっちゃったような感じがしないでもない。実際サラダも肉じゃがもビールに似合うものだったりして。

安い肉は、やっぱりやっすい味がした。同じ店で買ってきた豚肩ロース肉(←カレーにした)は良い具合にホロホロになり、それはそれは美味しかったのだけど、今日の牛バラ肉は筋張っていてなかなか噛み切れない。味はあるけど、何しろ硬かった。それでも玉ねぎで甘さの出たトマトのソースは案外と美味しくて、だんなは
「これ、美味しいよ。うん、美味しいよ」
と気に入ってくれた様子。今度は美味しそうな牛肉でやってみることにしよう。量少なめにして、ちゃんとスキレットで。