食欲魔人日記 00年12月 第4週
12/18 (月)
水信の「かきなべうどん」 (夕御飯)
麦茶のみ

まいったー。風邪である。頭ぐにゃぐにゃである。どうやら腹もぐにゃぐにゃだ。こんなに腹にくる風邪は久しぶりで、今回ばかりは私の食欲も失せている。うぬぅ、38℃の熱でも食欲あるのが自慢だったのに、せりあピーンチ。

氷枕を作ってくれただんなと息子を見送り、一人麦茶を飲みながらだらだらと寝て過ごす。ああ腹減った腹が痛い。

おむすび
佃煮(あみ・大海老)
緑茶

昨夜、だんなが残りご飯でおむすびを作ってくれていた。塩味だけの、海苔を巻いたシンプルなおむすびだ。空腹に耐えかねて(でも腹も痛くて)フラフラと台所に行っておむすびと目が合った私は神とだんなに感謝しながらおむすびを食すことにする。ちと味が物足りないので冷蔵庫から以前築地で買ってきた「佃弥」の佃煮を出して箸でひょいひょいとつまみつつご飯にかぶりつく。

あああー、生クリームたっぷりのケーキが食べたい。プルプルのババロアが食べたい。山盛りのマドレーヌが食べたい。オムライス、牛丼、カキフライ、油たっぷりカツ丼もいけそうだ。空想だけならいくらでもいけそうなんだけどなぁ。でも喰えないんだよなぁ……(悶絶中)

水信の
 かきなべうどん

本日は全ての家事を放棄して寝ることを決意し、ひたすらごろごろ。帰宅しただんなが店屋物を取ってくれた。風邪の日に食す蕎麦屋のうどんとか丼ものって妙に美味しい。私用には冬になると登場する季節ものの「かきなべうどん」、あとは天丼と卵とじうどん。30分ほどで届いたそれをずらっとテーブルに並べて皆で食べる。

鰹だしに赤味噌をたっぷり入れたような、土鍋入りの煮込みうどんにはプリプリの牡蠣が5つほどごろごろと入っていた。くたっと煮込まれた茶色く染まったうどんに、白菜やえのきだけ、カマボコがたっぷり入っている。ずるずると啜ると、少し元気になった気がした。案外と回復してきたようで、だんなの天丼も盛大に奪いつつ食べる。明後日は飲み会だし、何が何でも明日で治さなければ。

12/19 (火)
タコライス (夕御飯)
なし

今日もおとなしく、病人気分を満喫中。当初"華厳の滝"状態だった腹具合も無事復活し、あとは身体のだるいのと食欲が戻ったら完璧だ。午前中はひたすらごーろごーろごーろごーろ、トドのように転がって過ごす。午後からは……年賀状でも作るか、さて。

レンジでチンするチーズドッグ
ホットミルク

冷凍庫の中、心躍る品物を以前買っておいた事を思い出した。「レンジでチンするチーズドッグ」。
ワッフル生地をぐるりと筒状に丸め、中にチーズが入っているやつだ。人呼んで「原宿ドッグ」。良く大きなスーパーマーケットのスナックコーナーなどにフランクフルト等と一緒に売られているコレ、スーパーでは良く見かけるけど当の原宿で一向に見かけないのはどうしたことか。クレープ屋は未だに数店あるけれど、「原宿ドッグ専門店」など私は見たことがない。

ともあれ、このチーズ入りワッフルを私はいたく気に入っているのである。見かけると、ついつい食べちゃう。冷凍コーナーに売られているのを見て、ついつい先日買ってきてしまったのだった。

ホットミルクを傍らに、レンジで1分温めた原宿ドッグを2本食す。ほにょっとしたワッフル生地にとろけた安っぽいチーズが良い感じ。そうそうこれこれ、この安っぽさ〜♪と何故かわくわくしながらぺろりと食す。

ローソンの
 からあげくん
 タルタルフィッシュ
カマンベールチーズ with クラコット
レタスと生ハムのサラダ
ポテトサラダ
タコライス
モルツ

アンリシャルパンティエの
 ブランマンジェ
紅茶

食欲復活。
昨日の日記を読んだだんなが「ババロアみたいなの食べたいんだって?」と銀座でケーキなぞ買ってきてくれて、今日はきちんと夕御飯。

メインは「タコライス」だ。「タコス」+「ライス」で「タコライス」。ご飯の上にレトルトパックのスパイシーひき肉を温めてぶっかけ、刻みレタスと刻みトマトをぶっかけ、ピザ用チーズをぶっかけ、そしてサルサソースのような唐辛子の効いたピリ辛ソースをかけて食べる。レタスのシャキシャキっぽいやつが食べたかったから、他にもレタスのサラダを用意。残りものだったポテトサラダや食べかけのカマンベールチーズなども並べたら、食卓はやたらと華やかになった。

しかもだんな、「増量中だったんだよ〜。買えって言ってるようなもんだよなぁ〜。」なんて言いながらローソンでからあげくんなぞも買ってきおった。ますます食卓はすごい状態になっている。

シャキシャキとしたレタスや酸味のあるトマト、チーズのコクやピリリとした肉を混ぜて食べるタコライスは、ビビンバにも似て非なるもので面白い。美味しいし。山盛りレタスをわっしゅわっしゅと一緒に食べるのが気持ち良い。

で、怪奇祝い……じゃなかった、快気祝いにケーキと紅茶。アーモンドたっぷりのブランマンジェは白くてプルンプルンで冷たくて、「これ!」という感じだった。だんなは渋皮つき栗入りのチョコレートケーキ、息子はチェリー入りチーズケーキ。
ケーキを食べて思い出した。そういえばもうすぐクリスマスじゃんか。さて、どうしよう。(←プレゼントとか料理とかいろいろいろいろ……)

12/20 (水)
レバンテ(有楽町)にて「牡蠣の殻焼きチーズ風味」 (夕御飯)
かけうどん
アイス烏龍茶

風邪、全快。なのに朝、寒くて眠くて寒くて眠くて起きられない。これは風邪だ。まだきっと風邪なのだ。もう一度布団に突っ伏す。これじゃいかんと起きる。でも寒くて眠くて再び突っ伏す。一人布団の上でパタパタと起きあがりこぼしのように動いている間に、だんなはすたすたと洗濯機を動かしはじめた。ああ、起きます起きます私も起きます。

朝御飯は「かけうどん」。カトキチ冷凍うどんを茹で、茹でたての熱いところに同じくカトキチの液体濃縮「瀬戸内いりこだし うどんつゆ」を湯で溶いてぶっかける。カトキチのいりこだしなんて、東京じゃ見かけたこともないけれど香川ではごくごく普通に売られていた。うどんの国、いりこだしの文化の国で売られていたうどんつゆは、やっぱり濃厚にいりこだし臭い。インスタント臭さは否めないけど、「おおおお、こんな感じだったこんな感じだった」とまたもや香川に思いを馳せる。

香川に行く前だったなら、「家でこのくらいの味のものが食べられれば充分じゃない。美味しい〜♪」で済んでいたのに、今思うことは
「ああ……"宮武"が恋しい……」
「……やっぱりだんぜん"山越"が美味しい……」
である。余計にうどんの国のあの味に思いを馳せてしまう。普通のうどんじゃ満足できなくなった私。ああ、1ヶ月前のあの汚れなきあの頃の私が懐かしい。今の私は本場さぬきうどんに汚染されている……(汚染なのかい!)。

りんご1個

今日は夜、小さな宴会である。私と会社の後輩、そして過去私が、現在その後輩が担当している会社のお客様、合わせて3人の小さな宴会だ。接待でもなくかと言って「仲良しグループ」というわけでもなく、共通点は「趣味でホームページ作ってます」ということと「美味しいもの大好き」いうところだろうか。本業そっちのけで、そういう話ばかりする面々が集まっての宴会だ。後輩はその会合を「美女の会」と名付けたらしい。畏れを知らぬ命名である。

ならば早めに家を出てのんびり銀座か台場でもぷらぷらしようと思ったのに雨である。曇るし寒いし、昼過ぎてから天気はどんどん悪くなる。私が気合い入れて出かけようと予定を入れると、大概これだ。

今日の早めの外出は諦めて、昼は林檎を剥くことにする。大きな林檎を自分の為にしょりしょり剥いて、ネットサーフィンしながらぱくついた。実は……林檎、それほど好きでないのである。梨よりは水気の少ない、あのシャコシャコした堅い歯触りがどうもいまいち好きでない。梨のシャクシャクは好きだけど、林檎のシャコシャコはどうも……。

昔の私は、「古いムサムサの林檎って美味しいなぁ」と心から思っていた。古くなって、スポンジのようにムサァ〜と弾力の無くなった林檎が妙に美味しかったりするのだ。「ムサムサ林檎がいいなぁ」と母に伝えたら、ハニワ顔になっていた記憶が。
今の私はムサムサ林檎に愛はないけど、やっぱり食べるなら焼き林檎か煮林檎がいいなと思った次第。

有楽町 レバンテにて
 生牡蠣
 牡蠣の殻焼きチーズ風味
 ジャーマンポテト
 ローストビーフ
 スモークたくあん
 蛸の唐揚げ
 牡蠣のピラフ
 ピザ
 肉まん・あんまん
 ビール
 赤倉高原ワイン(白)

日比谷 Le Cafeにて
 パッションフルーツのムース
 アップルタイザー

自宅にて
 だんな特製ファイナル親子丼
 苺 with コンデンスミルク・牛乳
 

午後6時、後輩Kさん、お客さまのMさんが集ってめでたく宴会。
場所は有楽町交通会館のすぐそば、雑多な一角の目立つところにあるレバンテだ。Mさんの勤める会社が経営している老舗のビアレストラン。今は牡蠣フェアをしているとのことで、それだけで私はわくわくしてしまう。全員が食い道楽ということで、話題はもっぱら銀座の美味しいレストランとケーキ屋のお話。話ながら、食べる食べる食べる。

まずははずせない生牡蠣だ。殻つきの牡蠣がやってきて、それにレモンをギュッと絞ってケチャップ風味のソースを垂らして口に流し入れる。礒の匂いが強く香る生牡蠣はやはり外せない。ぷりぷりでヒヤヒヤでとても良い感じ。
とろけるチーズたっぷりにオーブン焼きされた牡蠣も食べ、牡蠣たっぷりのピラフも食べ、合間にはふわふわした食感のジャーマンポテトや蛸の唐揚げ、この店名物のローストビーフもぬかりなくいただく。この間も延々と「あそこの店が美味しくて」「いやいや、ここも」と食べない間の口も動かし続けている。

何故かメニューに載っている「肉まん・あんまんセット」なんてのも頼み、キャンペーン中の白ワインもしっかりと飲み、2時間ほどで怒濤のように食べ続けて、食事会はお開きとなった。いや、しかし良く食べました。お土産にお店のあんぱんまでいただいてしまってすっかり御機嫌の私たち。

そのままKさんと夜の銀座をぽてぽて歩き、
「アルコール摂ると喉乾いてしょうがないんですよねー。」
などと言いつつ彼女お勧めの喫茶店で一休みしていくことにする。日比谷公園に面した帝国ホテル横の「Le Cafe」。最後に残った2つのパッションフルーツのケーキを2人して食し、冷たい飲み物をぐびぐびと飲む。やぁ帝国ホテルのイルミネーションが綺麗だねぇ。飲んで酔って腹一杯で、美味しいケーキを食べて、世の中は幸せなことだ、としみじみ思う。

帰るとだんなが夕飯の親子丼の残りを待機させて待っていてくれた。小さな5口ほどの親子丼を作って貰って、ファイナルラーメンならぬファイナル親子丼。練乳がけの苺もしっかり食べて、そして、せりあはもう何も食べられません。……きゅぅ。

12/21 (木)
茹で豚肉のおろし和え (夕御飯)
レバンテの
 あんぱん
牛乳

昨夜、食事会のお店でいただいてきたあんぱんで朝御飯。有楽町駅前、レバンテのあんぱんは銀座の隠れた名物であるらしい。木村屋のあんぱんの2倍強はある、巨大な粒あんのあんぱんだ。月曜日にランチを食べに行くと、先着100名様にこのあんぱんが配られるとか。

昨夜、「今日は残りがあったので……」とお店の人から2個入りの袋をいただいてしまった私は、上機嫌に袋をぶんぶんと振り回しながら帰宅した(←振り回しちゃいけません)。
だんなが1個、私が1個、息子はこちらから少しずつちぎってわけてあげることにする。お供に牛乳。当然牛乳。冷たい牛乳。あんぱんにはコーヒーも紅茶も緑茶もそぐわない。やはり牛乳だ。ホットミルクでなく、真冬でも冷たい牛乳。冷たい牛乳のコクやサラッと加減はあんことほんのり甘いパン生地には妙に合う。

今日のあんぱんも巨大だった。「パンにあんこを詰めました」というよりは「あんこをパンでくるみました」という感じのあんこが巨大なあんぱんである。粒あんの塊が子供の握り拳くらいの大きさで、その周囲を薄めの生地がくるんでいる。パン喰ってるよりあんこ喰ってます、という感じ。木村屋の小型のあのあんぱんもなかなか絶妙なバランスで美味しいけど、こういうドカンとしたあんぱんも悪くない。

アンリシャルパンティエの
 マドレーヌ
 フィナンシェ
ホットミルク

今日は、一人で台場に行くぞー。だんなと息子へのクリスマスプレゼントと、台場小香港を探索するぞー!と思っていたのである。11時くらいまでは。
だが昨日食べすぎたか、ちと胃が重い。ついでに眠い。ちょっとだけ、ちょっとだけ昼寝しましょう……とテレビをつけたまま寝てしまい、気がついたら松本人志と中居正広がつけっぱなしの4チャンネルでわめいていた。「伝説の教師」である。再放送の放映時間は4時から5時である。なんてこった。昼御飯もお台場もすっとばして、私はどうやら4時間近く寝ていたらしい。いやーん。

何だか腹も空いたので、台所からマドレーヌを発掘した。
今週の初めに風邪ひきの私が「山盛りのマドレーヌが食べたい……」と言ったら本当にだんなが買ってきてくれたやつだ。2種類2個ずつが袋に入っていた。有り難く袋をがさがさと開け、マドレーヌとフィナンシェをいただいた。しっとりした焼き菓子、これまた牛乳と良く似合う。今度は温めた牛乳に砂糖少々とこっそりラム酒も垂らして飲む。

やっと眼が覚めたぞ……ってもう5時になっちゃうな。あああああ(泣)。

茹で豚肉のおろし和え
油揚げと豆腐の味噌汁
ご飯
ヤッホーブルイーイング ウインターエール

本日、だんなは忘年会なのだそうだ。

昨夜はチーズ焼きだのピザだのケーキだののこってり夕食だったので、今日はサラリサラリと和食で済ますことにする。昨夜だんなが作ってくれていた油揚げの味噌汁に豆腐を落とし、あとは薄切り豚肉を茹でることに。
豚肉を熱湯でうりゃっと茹で、大根おろしとだし醤油と絞り柚子と一緒に混ぜ合わせる。きゅうりを敷いた皿になんとなく盛りつけ、あとはビールを開けて一人晩酌。

ビールは「よなよなエール」の醸造元、ヤッホーブルーイングが出した冬季限定の「ウインターエール」。モルト風味の強いスコッチエールだ。ベルギービールにも似た強い琥珀色の、とろっとした甘さのあるビールだった。淡泊なおろし和えの豚肉にはちとそぐわなくもあり、こういう味のビールだったらジャーマンポテトでも作るんだったと本末転倒な事を思いつつ、ぐびり。

ほろ酔い気分で、冬至の今日は柚子湯。柚子3つ買ってきて、ごろんごろんと湯船に浮かべた。
息子は「何故食べ物のみかんがこんなところに???」と彼なりに疑問だったらしい。そうだよ、息子。この"みかん"はあっためた後、みんなで食べるのよ〜(嘘はいけません)。

12/22 (金)
【今日の一枚】
くるくる回る〜回転飲茶〜♪ (昼御飯)
卵どんぶり
油揚げと豆腐の味噌汁
アイス烏龍茶

少々寝坊。飲み会翌日のだんなに良いかと、半熟卵の「卵どんぶり」を御飯茶碗に小さく一杯ずつ作る。割り下は、だんなが数日前に作ってくれた親子丼のものの残りを使い、それを少量煮立たせてから溶き卵を。蓋をせずに30秒、蓋をして20秒。半熟の状態でご飯の上にぶわっとかける。今回の割り下、親子丼を作る時に鶏肉をさっとくぐらせたということで、妙にコクがあった。それがまた良し。

お台場DECKS台場小香港内「横浜中華街 天天常常回転坊」にて
 チャーシューパイ
 小龍包
 大正海老のチリソース煮込み
 ジャージャー麺
 カスタードまん
 蛋撻
 マンゴープリン
 烏龍茶
 

さて、ここ2日ほどの悲願叶ってお台場に赴く。クリスマスイブのイブのイブという今日、一人で行くのはちと虚しいので息子を連れていくことに。

今日の目当てはお台場DECKS「台場小香港」内の回転飲茶の店。マンゴープリンがあったのを先日確認してしまったので、これは食べなければならない。たとえ不味そうでも。
寒風吹く晴天の空の下、チャリに息子を乗せキコキコと台場を目指す。11時の開店10分前に到着したDECKSで、周囲の数組のカップルに紛れて息子とレインボーブリッジなど眺めてみた後、オープン直後のビル内へ。回転飲茶、まだ人は少なく2組目で入店した。
「いらっしゃいませー」
と威勢の良い声、丁寧な応対。良い感じだ。既に目の前を蒸籠や「180円」などと書かれた小皿がくるくると回る。麺とご飯ものは注文制であるらしい。とりあえず、自分と息子の分の烏龍茶を頼み、ずるずる飲みながら目の前の回る小皿に対峙する。

まずは小ぶりなパイが2個乗った皿を1つ。多分チャーシューパイだと睨んだそれは、果たしてチャーシューパイだった。ほろほろと崩れる皮はいかにも中華パイだけど、隨分前に作られたようなそれは何だかとても冷めていた。中の肉も味があるんだかないんだか、いまいち主張のない味だ。皮だらけ、という感じ。続いて取った小龍包も、「スープはどこに存在しますか?」と問いかけたくなるような味。1皿180〜250円くらいの価格帯は確かにとても安い気がするけど、その皿に乗るのは大抵2個ずつの点心だったりするので良く考えるとそれほど安いとも思えない。うーんうーんうーん。やっぱりこの店、ハズレでしょうか。

「ささっとマンゴプリンだけ喰って出ちゃおう。2軒目に行こう。」と思いつつ、息子は目の前の回る皿に興奮中だ。流れ行くカスタードまんを「これぇ!」とせき止め、返す手で蛋撻を鷲掴みにしようとする。カスタードまんと蛋撻を抱えて御満悦の息子を横目にジャージャー麺を注文。

客は今のところ私たち入れて3組だ。私たちを中央に、左右にカップルが腰掛ける。流れの上流にあたる右手のカップルは、先ほどから注文制のオーダーばかりが続いている。流れるままの蒸し物には目もくれず、炒飯や麺、炒め物などを注文しまくっているのだ。
カウンターにずらっと並んで座る私たち3組の客に、鍋をふるうおっちゃんらが「これ、当店名物です。美味しいですよ。」と時折焼き餃子やニラ饅頭を持ってきては流れの上流にぽいと置く。ぽいと置いたのを取るのは上流側の右手のカップルだ。おーい、今、君たち麺と炒飯来たばかりやんけ!と心中ツッコミ入れるけど、彼らはすかさず"できたての美味しいもの"をゲットしていくのだ。ぬぬぅ。

実は私は、回転寿司もろくに行ったことがないのである。回転ものは経験値が激しく足りないのである。幼少の頃、まだ世間に出始めたばかりだった回転寿司に連れて行かれ、そこのイクラが腐りかけて糸をひいていたのがトラウマになってしまった私は、どうも回転寿司には良い印象を抱いていない。今の世の中、そんな店は少ないと思いつつも足を向けることがないまま年月を重ねてきてしまった。右隣のカップルの鮮やかな手さばきを恨めしく思っても、我が身のとろくささもまたいけないのである。あっ、また私の目の前に来た八宝菜を持って行きやがった。しかも対抗心メラメラで出たばかりの料理にすかさず手を伸ばすと、それは一皿380円もする海老チリだ。なんてことだ。もうシオシオである。やはり回転ものは鬼門だ。

辛いだけ辛くていまいち旨味や濃厚さが足りない海老チリに、味噌味の足りない……というか味全体がいまひとつ足りてないジャージャー麺もいまひとつである。マンゴープリンも「既製のパック開けてそのまんま」という感じがするし。ああ、悲しいほどイマイチな店だ。何故行列するのだ、この店が。

よろよろしながら店を出る。2軒目行こうと思ったけど、それほどの胃の空きもなく、とぼとぼと……観覧車でも乗りに行こうか、息子よ。

台場ヴィーナスフォート「MARSHE RUE Mouffetard」にて
 シナモンロール
 キャラメルカフェ

観覧車に乗り、ヴィーナスフォートにてだんなへのクリスマスプレゼントを首尾良く数点購入し、場内キラキラのイルミネーションにうっとりしてみる。タイミングが良くと言うか悪くと言うか、3時前に"噴水広場"なるひときわ派手な一角に足を踏み入れるたところ「願いが叶うコインです」なんて言われてコインをもらってしまった。なんでも噴水にこのコインを投げると願いが叶う伝説があるのだそうだ。伝説と言っても、ヴィーナスフォートができたのがそもそも1年前だったような気が……。

10数人いるスタッフが「Make your wish〜」なんて叫んだ後、「I wish」と叫んでからコインを噴水へ入れなければいけないらしい。恥ずかしいことこのうえない。このうえないけど、皆さん揃って「あい、うぃ〜っしゅ!」と口にしつつコインを投げる。ああ、隣のカップルさん、うっとり。どうもこういうの、私は浸れないんである。アホらしくなっちゃうんである。しら〜っとなっちゃうんである。ごめんよヴィーナスフォート。

イベントに疲れ、ふらふらとセルフサービスのカフェテラスに入った。シナモンロールとキャラメルカフェのセットで一休み。息子にはコーラ。
一世を風靡している「シナボン」は食したことないけど、シナモンロールを食べるのはこれが2度目だ。2度食して良く分かった。「シナモンロールは、甘い」。
ただでさえ甘い甘いシナモン風味の生地に、上から練乳入りのソースをかけて温めるのである。生地の隙間からシナモン味のチョコソースらしきものが溶けて下に溜まり、白いソースもまた溶けて沈殿する。甘くて甘くてネトネトのソースを甘くて甘い生地に絡めて食べるのだ。脳天が痺れてきそうなこの甘さにちょっとくらくら。私は甘いものには大層強いと自覚があったけど、その自覚は甘かったのだと気付かされてしまった。恐るべしシナモンロール。でも疲れは取れたかも(疲労には甘いものが吉)。

ほっかほっか亭の
 焼き肉弁当

苺 with コンデンスミルク・牛乳

午後5時過ぎ、ぐにゃぐにゃになって帰宅。日の沈んだ中をチャリで帰るのは寒くて冷たくて大変だった。息子は補助席で寝てしまい、母も子もぐにゃぐにゃだ。だんなへのあるプレゼントの出来上がりを待っていたのがいけなかった。

帰宅の電話をかけてきただんなに
「ぐにゃぐにゃなんです〜。ごめんなさい〜。」
と自己申告。だんなは近所のお弁当屋さんに寄ってきてくれた。すみませんすみません。クリスマスイブは頑張りますんで。

"焼き肉らしきものを"との私のリクエストに応えてだんなが買ってきたのは「焼き肉弁当」、そのまんま。甘辛いタレで牛肉と玉ねぎが炒められている。ポテトサラダと千切りキャベツ、柴漬けつき。だんなは吉野家の牛丼、息子はうどん。てんでんばらばらの夕食だったクリスマスイブのイブのイブ。

12/23 (土)
龍の子(原宿)にて「小龍湯包」 (昼御飯)
マクドナルドの
 かるびマック
 フライドポテト
 アイスティー

今日は大変な予定である。
11時にレンタカーを借り、その足で原宿に最近オープンした「BOOK OFF」に段ボール3箱分の不要本&CDを売りに(何故原宿かと言うと、オープン記念で50%増しで買い取ってくれると聞いたから)。新宿か銀座でクリスマス用の食材を購入し、だんなの職場で引越に使う段ボールを50枚ほどゲットし、しかる後に銀座で予約済みのクリスマスケーキを受け取り、更に晴海の私の実家に行き私が置きっぱなしにしていた家具を引き取って持って帰る。うーむ、大変なことだ。「夕方には行くから」と母に連絡しておいたけど、ホントに夕方に戻ってこられるのだろうか。

家の掃除や洗濯などをしている間、まずはだんながレンタカー屋に出向いてくれた。戻ってきた彼の手にはマクドナルドの袋。朝御飯はマクドナルドのハンバーガーと相成った。今が旬(旬なのか!?)のかるびマックが私用。だんなには好物のフィレオフィッシュ。ポテトやナゲットがテーブルに並ぶ。

かるびマック。確かにカルビの味がする。要するに良くあるような、市販の焼き肉のタレ味だ。いつものより心なしか黄色っぽいパンにいつものハンバーグとレタス、そして焼き肉が乗る。茶色いタレで口のまわりをベッタベタにしながら甘辛いハンバーガーにかじりつく。悪くない。悪くはないけど……なんちゅーか安っぽい味だ。それがまた良いという話もあるけど。

原宿 龍の子にて
 祭日メニューセット
 (魚香肉絲・芙蓉青蟹・ライス・スープ・新香・あん春巻)
 蟹炒飯
 小龍湯包
 杏仁豆腐

段ボール3箱分の書籍とCDがめでたく8000円強の現金に化けた。化けた現金で早速中古ゲームソフト「どこでもいっしょ」だの漫画5冊だの買ってる私は結構あほうかもしれないが、気にしてはいけない。
予想外に高値で売れたので、お店並びの「龍の子」なる中華料理店で昼飯を食べることにした。

明治通りの並び、竹下通りにほど近い目立たぬビルの地下一階にあるこのお店、ずっと気になっていたのだ。なんでも陳建一さんの兄弟子である人が開いている四川料理の店だとか。「珍建一の兄弟子の店!」なんて仰々しく宣伝することはなく、ひっそりやっている感じがいつも気になっていた。昼1時にならんとする時間、広くはない店は混み合っていたけど座れないほどでもない。客席を一人仕切るおばちゃんがいっぱいいっぱいになって立ち歩いていた。「あの〜……注文は」「はーい、すみません、ちょっと待ってね」「あの〜……お茶のお代わりを」「はーい、ちょっと待ってね」終始こんな感じだ。慌ただしい。

今日は「祭日メニュー」なるセットものがあるらしい。おかずが4品、そのうち2品を選び、ご飯とスープ、お新香、デザートがついて\1800。良い感じだ。

干[火扁]四季豆 インゲンの炒め
魚香肉絲 豚肉細切り四川風辛味炒め
芙蓉青蟹 渡りガニの卵白入り塩味炒め
[虫手]油豆腐 豆腐のオイスターソース煮込み

と手書きの字がメニューに挟んである。これを1つ、そして蟹炒飯と小龍湯包を別にいただくことにする。

ほどなく来たのが2人分のご飯とスープ、そして小皿のお新香。中華風漬物は大根や人参、山椒の実など。紹興酒の香りが立ち上る醤油味の漬物だ。あれ?スープとご飯のつくセットは1人前を頼んだ筈なのに?と首を傾げつつ、でもおかずが2人分来るなら来るで喰えるでしょう、とのんびり構えてご飯を食べる。たっぷり1人前ずつはあるおかずも2つやってきた。真っ白な卵白たっぷりの炒め物には殻付きの蟹がざくざくと入っており、ラー油の赤い色も鮮やかな豚肉の炒め物は、いかにも辛そうだ。どちらも作った料理を皿に盛っただけ、という感じのシンプル極まりない盛りつけだ。でもとても美味しそう。

蟹の旨味が殻ごと溶けたような卵白炒めは、殻の旨味もしっかり吸ったふわふわの卵がとてもイケる。一見辛そうな豚肉炒めも実は甘味も案外と感じられて、シャキシャキの筍や野菜が良い感じだ。地味な見た目のおかずはご飯にとても合う。「お、期待どおり美味しい……」と幸せになってきたところに出てきた次の2品で、私たちは更に魅了されてしまった。

パラッパラの蟹炒飯。蟹肉たっぷり、ザーサイも入っているらしい炒飯はツヤツヤでパラッとしている。レタスがたっぷり敷かれた蒸籠にころんころんと4つ入った小龍包も、持ち上げ方を工夫しないと中からスープが溢れてしまう幸せな状態だ。中国黒酢に浸った針生姜も添えられている。ますます嬉しい。小龍包のちょっと厚めの皮をぷちんと突き破って出てくるアツアツのスープは肉汁たっぷりで、中の肉あんもぷりんぷりんしていた。スープを吸い込みつつある皮もまたもちもちで良い。久しぶりに美味しい小龍包に巡り合えた。ここんとこハズレばかりに出会ってたので嬉しさひとしおだ。あああ〜炒飯も小龍包もめっちゃ美味しい!

して、セットにつくデザートは胡麻のあんこを巻いた細い細い春巻だ。これは息子に奪われた。
私たちには最後に杏仁豆腐。バットに固めたやつを、おばちゃんが金属のヘラですくって器によそってくれる。豆腐とシロップ、そして上には"なんちゃらシード"という名前の……(確か数年前に一世を風靡しようとしてシオシオと消え去ってしまった)……蛙の卵のようなあのシロモノが少量飾られている。黒い胡麻のような種の周囲にゼリー状の透明なものがまとわりついているアレだ。アレが豆腐の上にちろっと乗っている。

この杏仁豆腐、かつてない独特なものだった。シロップはかなりレモンに似た酸味の強いもので、中国のハマナスの花のお酒を香り付けにでも使ったものか、とても良い香りがする。豆腐の甘味は淡く、杏仁の香りも濃厚だけどミルク感もたっぷり。とてもミルクミルクした、とろんつるんとした豆腐に、少々尖る酸味のシロップが絡んで、なんともいえない調和を醸し出している。不調和のようで、その実悪くない。美味しい。バケツ山盛りいけそうな勢いだ。いやーん、美味しい。幸せ。しかもお会計は全部で5000円ちょい。色々喰って結構満腹になってこれは嬉しいことである。

ただただ気になるのは、どうもテーブルにトイレの芳香剤らしき匂いが漂ってきていたこと。トイレに一番近い席だったので尚更なのかもしれないけど、それさえなきゃ最高だったのになぁ……という感じ(あとは、おばちゃんがこんなに"いっぱいいっぱい"じゃなきゃもっと気楽なのになぁ、とか)。
でも、これはまたきっと行ってしまうのだ。あの小龍包と杏仁豆腐を食べに。

私の実家にて
 握り寿司
 鶏肉と舞茸の吸い物
 ビール

 ルコントのモンブラン
 紅茶

クリスマスイブのイブ、大混雑の新宿で買い物を済まし、だんなの職場にも寄り、プランタン銀座のケーキ屋でケーキも回収し、一旦家に帰ってから実家に向かうともう6時を過ぎていた。すまん母。「夕方来るって言うから外出もしないで待ってたのにー」と母はおかんむりだった。

学生時代から使用していた机と棚をレンタカーに乗せ、「寿司でも取ってあげようか?」の母の言葉に甘えて有り難く御相伴に預かることにする。実家の近くにあるホテル1階の寿司屋から出前してもらう寿司はめちゃめちゃ美味しい。マグロはトロでもないのに脂が乗ってとろんとしてるし、鉄火巻きもウニもツヤツヤピカピカでいつも素敵だ。今日届いたものもフカヒレの握りあり有頭海老の握りあり、アワビやウニ、イクラに巨大な卵などなどなど、魅惑的な品だった。お寿司万歳。

3〜4人前はあったと思われるたっぷりの寿司を皆でぺろっと喰い、「銀座で買ってきたのよー」とおっしゃる母が出してくれたルコントのケーキを喰い(うちが買ったのもモンブランなのに、母が買ってきたのもこれまたモンブランだったというのはちと悲劇かもしれない)、満腹になってレンタカーに乗り帰宅。明日は……一日お料理だ。

12/24 (日)
カマンベールチーズのフォンデュサラダ (夕御飯)
木村屋の
 マロンデニッシュ
 クリームパン
 パリパリチーズパン
アイスカフェオレ

いつもより、ほんの少し早く起床。早くと言っても9時半だ。我が家の休日時間はこんなもんだ。

昨日遊び過ぎてまだまだ眠りが足らない息子は寝かせておいて、だんなと二人で朝ごパン。昨日、大混雑の新宿高島屋で買ってきた木村屋のパンを袋からがさがさと取り出す。巨大で薄っぺらい"パリパリチーズパン"は温めてからだんなと半分こ。それと甘いデニッシュとクリームパン。朝から甘くて幸せだ。

木村屋は、純和風のパンばかり作ってるかと思いきや、妙に本格的なイタリアパンを作る。オリーブの香り豊かなフォカッチャを出すかと思えば、今食べてるような"パリパリチーズパン"などという怪しげなものも店頭に並ぶ。ピザのように薄く薄くしたパン生地の中に更に薄くチーズの層が入っているパンは、焼くと表面がサクサクになった。中からは溶けたチーズがぴよーんと伸びる。少々の塩気のある、ビールにとても良く合いそうなパンだ。

アンリシャルパンティエの
 マドレーヌとフィナンシェ
ホットココア

だんな、今日はサンタクロースになって街へ繰り出して行った。昨日乗り回したレンタカーを返却ついでに、私と息子へのプレゼントを探して来る予定らしい。「新宿に行って、その後台場に行ってくるよ」と、非常に効率の悪そうな移動をして、一体彼は何を買ってくる気だろう。私は本日、一日厨房に籠もり夜の料理の支度をする。

遅めの朝御飯を食べたことだし、ついでに夕食も早めにするだろうし、で昼御飯はおやつのみにて代用。ヴァンホーテンの粉末ココアを熱湯でしっかり練って牛乳を沸かして入れたホットココア、そいでもって焼き菓子を取り出して息子と分け合いつつ食べる。息子、ココアをぬるくしすぎると一気飲みして「お代わり」と言うので要注意だ。ちょっとだけ熱めの、一気飲みは出来ない温度に調整してふーふー言いながら飲む。

カマンベールチーズのフォンデュサラダ
ポークのリエット with フランスパン
インド風チキンカレー
クラムチャウダー
MOET & CHANDON BRUT IMPERIAL

1ヶ月ほど前、私はだんなに聞いたのだ。
「クリスマス、何食べたい?ビーフシチュー?それとも久々に丸鶏のオーブン焼きとか?」
と。だんなその時、カレーが食べたかったらしい。「鶏肉」から連想して彼が導き出した答えは
「……ムルギランチが、食べたい。」
であった。
クリスマスに、彼はカレーが食べたいらしかった。

ムルギランチと言えば、銀座の老舗インド料理店「ナイルレストラン」の名物料理だ。5時間煮込んだ鶏のもも肉のカレーを、ポテトサラダなどと一緒にご飯とかき混ぜて食べる、じわじわとピリ辛くも旨い料理。私にそれが再現できるわけないでしょう……と思いつつ、カレーのクリスマスというのも悪くないかもしれない。てぇわけで、今年のクリスマスはカレーディナー。しかし純インド風にすると何だかつまらないのでそれ以外は洋風に、と献立をあれこれ考えた。

とにかくメインはチキンカレー。ちょっと本格的にやってみるかと、水を一滴も使わないカレーを作ってみることにした。玉ねぎ4個のみじん切りを、おろしにんにくとおろし生姜、そしてカレー粉はじめ各種スパイスを混ぜ合わせたものと一緒にひたすら炒めることから料理は始まる。昼前、11時から大鍋と格闘する私なのであった。
玉ねぎを炒める。ひたすら炒める。疲れても炒める。「濃いキツネ色になるまで」とレシピにはあったけど、もともとカレー粉色に色づいているこの玉ねぎの色の判別をどうやってすれば良いのか。「目安は40〜50分」ともある。うひー。

歌ったり漫画読んだり麦茶飲んだりしつつ、過酷な40数分を過ごして、無事にどうやら玉ねぎは茶褐色になった。これに鶏もも肉を絡めてざっと炒め、トマトの水煮缶とヨーグルトを入れる。あとは煮込む。ひたすら煮込む。最初に敷いたサラダ油が一度鶏肉の中に吸い込まれ、そしてまたソースに染みだしてくる。しばらく煮込むと、透き通った油の層が上にできる。それが出来上がりの目安であるらしい。マンゴーチャツネを少々と、仕上げにガラムマサラを放り込んで、数時間かけたメイン料理は完成。

カレーのお供には、だんなが大好物だったと記憶するクラムチャウダーを。アサリごろごろの、下ごしらえもばっちりなクラムチャウダー。
アサリは火を通しすぎると縮むし堅くなるので、口がカパッと開くまで最初に下茹で。殻を取って、スープも残しておく。
バターで玉ねぎとにんにくとベーコン炒めて小麦粉ふって、そこにアサリのスープをじくじくと注いでとろみのあるスープに。軽く煮込んでから茹でたじゃがいもとにんじん、牛乳やアサリの身と投入して沸騰しない程度に温めれば完成だ。

で、シャンパンに合わせて前菜の用意。初挑戦の「ポークのリエット」を作ることに。フレンチレストランなどで、パンと一緒に出てくるパテのようなものが"リエット"。レバーを入れるところが多いらしいけど、何せ初めてなので豚肉だけのシンプルなやつにすることにした。

豚の背脂を300g用意。まずはひとかけらで玉ねぎを炒め、そこに豚肉500gと残りの背脂、ひたひたの水と塩ひとつまみを入れる。火にかけたその鍋が沸騰したら、そのまま180℃のオーブンに移動。かき混ぜつつオーブンで3時間も焼くと、背脂はすっかり溶けて透明なスープになる。水分が全て蒸発したようなそれをスープ部分(=溶けた脂)と肉部分に分け、肉はフードプロセッサーでざざざっと細かくする。細かくしたそれを氷水に当てて冷やしつつ、スープを少しずつ加えて滑らかに。適当な粘度のペーストになればできあがり。パンにつけてもよし、茹で野菜のつけてもきっと美味しい。

そしてもいっちょ、カマンベールチーズを丸のままオーブンで焼いて溶かしたところににんにくとアンチョビを炒めたオイルを垂らした、チーズフォンデュもどきのサラダ。あつあつのチーズのソースにじゃがいもやルッコラ、パプリカ、アスパラガスをつけて食べる。

夕方、大量の食物とバトルを繰り広げているところにだんなが帰ってきた。だんなはだんなでお台場でカップルに揉まれて疲れ果てている。ゆりかもめの中からトイザらスの中までテンパってるカップルだらけだったらしい。
「もうね、女の首に顔埋めて歩いている男とかいるの!サイテー!」
と言いつつ帰ってきただんなは山のような荷物を抱えていた。息子の紙おむつまで。

ともあれ午後6時、めでたくクリスマスイブのディナー。
良い具合にとろけたチーズをぺたくたと野菜につけ、こってりリエットもパンにぺたくたつけて食す。シャンパン開けて、乾杯。
私からだんなへのプレゼントは「カバグッズセット」。"かばば"のハンドルネームを持つだんなのイメージキャラクターはカバなのだ。Tシャツありマグカップありガラス細工ありメトロポリタン美術館のグッズあり、気合いを入れて探してみた。対してだんなから私へのプレゼントはWonderSwan(←小型ゲーム機)、ファイナルファンタジー1セット。おまけに「はたらくチョコボ」と「グンペイ」つき。お互いに何というか年齢に相応しいんだか相応しくないんだかわからないセレクションである。

プレゼント交換して、今年のクリスマスケーキはプランタン銀座内、アンジェリーナというケーキショップの名物モンブラン。3000円のクリスマスバージョンを予約して買ってみた。
甘い甘いマロンクリームはフランス直輸入であるらしい。マロンクリームも生クリームもこってりまったりしていて非常に美味しいんだけど……底に敷かれたメレンゲがこれまた脳天に刺さるほど甘いのがここのモンブランだ。皆で笑いながら
「甘い〜!甘すぎる〜!」
と大騒ぎして、クリスマスイブの夜、おしまい。