食欲魔人日記 08年01月 第1週
1月1日 火曜日
おせち♪おせち♪
お雑煮&あんころもち
麦茶

昨夜の夢は(これは初夢じゃないのよね、初夢は今日の夜みるものだよね)、いつも通りに奇妙なものだった。

私はどうやら添乗員の仕事をしているらしく、母とか、その他知らないおばちゃん10人ほどと一緒に高松の海辺の宿に泊まっていたらしい。朝になって
「それじゃあね、今日はね、みなさんを美味しいさぬきうどんのお店に御案内しますよー」
と私が声を出した途端、母を含めたおばちゃんらが一斉に
「あらやだ、私お蕎麦の方が好きなのよね」
「ええ、私もお蕎麦の方が良いわぁ」
「お蕎麦屋さん行きましょうよ」
とまくしたて始めた。

え、だってここ高松だし、うどん美味しいとこだし、これから「あたりや」とか「はりや」とか「宮武」とか「がもう」とか「谷川米穀店」とかいっぱい行こうと思ってるんですよ?ほんっとーに美味しいんですよ?半熟卵の天ぷらとかあるんですよ?冷たいおだしも美味しいですよ?どうしよう、お蕎麦だなんてものすごい困る……と困惑したところで目が覚めた。うどん、1本も食べられなかった。せっかく香川の夢だったのに。

よっぽど昨夜の「年越しうどん」で高松を想起させられちゃったらしい、非常にわかりやすい内容の夢。同じような夢をみるにしても、今晩はちゃんと食べられる夢をみたいなと思う。願わくば、うどんではなくて、なすびあたりの夢を。

昨夜寝たのはもう1時も回ろうという頃だったので、一同朝寝坊。雑煮用の吸い物を温めて、のんびりな朝御飯になった。息子はあんころ餅を所望だったので、あんころ餅のみ、だんなはお雑煮、私は両方試したかったので2切れの餅を雑煮とあんこでそれぞれ。今回の小豆は、水分をあまり残さないように煮込んで、缶詰のあんこのようなねっとりとした感じのものにしてみた。餅を添えて食べるよりも、冷やしたあんこに白玉添えて食べるとか氷宇治金時にしたいような感じ。

そういうねっとり系あんこを煮たのはこれが初めてだったのだけれど、煮上がりは上々だったと思う。小豆1袋に対して砂糖が300gも使われていると思うと少し背筋が寒くなるけれど、ある程度きちんと甘くしないとこういうのは美味しくないし、難しいところ。

お雑煮は、母の郷里の秋田角館で食べられているのと似た感じのもの。鶏肉とごぼうと舞茸入りの醤油味の澄まし汁で、今回は豆腐も入れた。食べ際に軽く三つ葉の葉を散らす。家によってはぜんまいやわらび、姫筍、大根なども加えたりするようだけれど、私の母はそのあたりはほとんど入れずに作っていた。フライパンで焼いた焼き餅を沈めて、少し濃いめの味に調味した吸い物を啜る。

まぐろのお刺身・ままかりの酢漬け・スモークサーモン
「弁いち」のおせち料理・鳥団子・玉子焼き
鶏肉とごぼう、舞茸の吸い物
日本酒(青島酒造 喜久酔 純米大吟醸 松下米40)

今日は基本的に一日のんびりと。
「元旦だし、ちょうどいい機会だし、パソコンのデータのバックアップでもしようかなー」
とDVDにデータを焼き始めたら(マイドキュメントの中身だけでDVD5枚分ってどういうこと……2007年に撮影したデジカメデータだけで1枚分あるってどういうこと……)、いつも以上に「普通の週末」な光景になってしまった。これじゃあいかんと、午後になってからだんなの実家に義弟一家も遊びに来たということで、ご挨拶に伺った。朝食以上にのんびりの夕御飯は、5時になるかならないかくらいの早めのうちから、テレビ見ながらおせちをつまむ。

今年のおせちは、いや、今年のおせちも、弁いちさんにお願いしたもの。基本的に、地元で大晦日に受け渡しをすることを前提に調理されているおせちなので、遠方への宅配では到着が大晦日ではなく元旦になる。それだけが難点かなと思っていたけれど、それでも千葉なら元旦の午前中には受け取れるし、「元旦に出かけない」良い口実にもなったりするので、実のところ全然問題ないのだった。なにしろ美味しい。そしてこれだけ仕事のなされたおせち料理、都心の料理屋だったらずっとお高くなるだろうなと思わせられるお値打ち感もとても嬉しい。大人2人でつつくのに、小ぶりの一段重はちょうど良いサイズだ。

で、今日のお昼間近に届いたおせち料理。一緒にだし巻き卵(これはおせちの中に入っていない料理)と鳥団子(おせちに入っているけど、美味しいので追加注文……)も同梱をお願いしておいたので、夕飯のおかずはもうこれで後は何もいらないといった光景になった。昨夜の魚介の残りも少しばかりあったのでそれも出しつつ、今日も日本酒の4合瓶を飲み飲み。

今日のお酒は、いただきものの「青島酒造 喜久酔 純米大吟醸 松下米40」。喜久酔というお酒はただでさえ各方面からの評価が高いものらしいのだけれど、これはお酒のために栽培された米、"松下米"を40%まで磨き上げた純米大吟醸とのこと。
「……な、なんか、通しナンバーみたいなのついてない?シリアルナンバー……」
「ほんとだ……」
と、戦々恐々として瓶を眺めまくり、少しばかりかしこまってみながらいただいてみた。一口目はあれ?と思うほどに軽い印象がありながら、すぐい洗練された香りが口一杯に広がってくる、実に上質なお酒。このところ、原酒だ何だと、どちらかといえば泥臭い感じの日本酒ばかりに慣れ親しんでいたので、これはもう天上の天女の甘露でございましょうかという、磨き研ぎ澄まされた存在感のあるお酒だった。料理を強く邪魔することもなく、かといって物足りないということも全くない、実に「分をわきまえた」といった風のお酒。あら危険だわ大変だわ、するする飲めちゃうわ、と、昨夜以上の勢いで4合瓶が空になった。

美味しいお酒に美味しい料理なんて、なんと幸せな元旦なんでしょうと、おせち料理も6割ほど、あれこれいただいた。
噛み締めるとじゅわっとだしの味が染み出てくるだし巻き卵に、和風の味の鶉のグリル、大ぶりのふっくら炊けた椎茸に、田作り、黒豆。黒豆の甘く煮たやつなんて、ベタベタ甘いばかりで全然美味しくないわと私は長らく思っていたのだけれど、こちらの黒豆は本当に美味しい。甘さ控えめというわけではないと思うのだけれど、実に上品な甘さでふっくらとした豆はどこか透き通るような味がする。

「これ、なんだろ?あ、魚か、身欠きニシンだ」
「ぎゃー、なんだこれ、すっごいフクフクしてませんか?」
身欠きニシンなんて、下手な店だとおっそろしく固さが残るものだったり、「でっかい煮干し」と区別がつかないような旨味も香りもないようなものすらあったりするのに、この身欠きニシンとしたら、柔らかくふっくらと芯まで味が染みているのだった。ヤバイ、これも酒の肴だ!と、また酒が進む。

まだ金柑の砂糖煮はつついてないし、大ぶりのお魚も手つかずだし、明日もまた楽しめそう。
正月明けに資源ゴミ(瓶缶類)を出すのが少し恐ろしく思われる今日この頃なのだった。一体どれだけ酒盛りしてたんだって量のゴミが溜まるんだろう。

1月2日 水曜日
ラーメンか寿司かハンバーガーかという感じの1月2日。
お雑煮&あんころもち
麦茶

朝食は午前10時頃で、昨日と同じく息子はあんころもち、だんなはお雑煮、私は両方。今回の小豆はけっこう美味しく煮えたよなぁと思いながら冷蔵庫に入れてあるガラスボウルから使う分だけ取り分けて軽くチンしたところ、ちょっと多く温め過ぎてしまってとても豪華な盛りっぷりなあんころもちになってしまった。息子が最近、マヨネーズとあんこにやけに執心なのは……せっせとDVDレンタルまでしてアニメを見ている銀魂のせいなんだろうなぁ……やっちゃったなぁ……。

ともあれ、雑煮用の吸い物はたっぷり作ってあるし、三つ葉を散らして啜るだしは今回とても良くできたと思う。少し塩が多すぎたかと思っていたけれど、雑煮で食べるにはちょうど良い味。

で、もうじき昼時だという、この気合いのかけらもない時間に「ちょっと買い物行ってみようか」ということに。ほとんどの福袋はとっくに売れているだろうけれど、デパ地下の食料品とかだったらまだ何かあるかもしれないしねと、ちょろりと千葉駅方面に行ってみることにした。少し外食もしたい気分。
「なんか、ラーメン……か、ハンバーガーって気分なんだよね俺」
「僕ねぇ、銚子丸かラーメン!」
「私は銚子丸か……ハンバーガーって気分だなぁ」
気が合っているようで、その実全く家族間の意見が一致していない我が家。どうせだったら全部行く?いや、最低2ジャンル行けば全員の欲望は満たされるのか……などとやいやい話しながら電車に乗っていざいざ。

千葉パルコ内 「麺屋 空海」にて
 味玉そば \830
 生ビール

千葉そごう、三越は今日が初売り、パルコは昨日が初売り。スーパーなどは大晦日も元旦も変わらず24時間営業をしているところもあったようで、年々「正月も普通に営業」が当たり前のようになりつつある。もうちょっと休んでいても良いのにねと思いつつ、あちこちぷらぷら。街には戦利品の大きな福袋の紙包みを抱えた人がたくさん歩いていた。当然のように衣類関係の福袋はおおむね完売状態で、デパ地下をぷらぷら。

千葉そごう地下に、製菓材料が充実している富澤商店があるので、そこで何か買えたらとは思っていたのだけれど、幸い「和風食材福袋」と「イタリアン食材福袋」が売られていた。ちらりと中の感じを見せてもらって、イタリアン食材の方をお買いあげ。ディチェコのスパゲッティーニにドライトマト、ドライポルチーニ、缶詰のアンチョビと袋詰めされたドライタイプのパセリとバジル、ローストガーリック、あとは「茹でたパスタに和えるだけ」の"アーリオオーリオペペロンチーニの素"的な粉、E.V.オリーブ油と容器つきのドレッシングキットあたりがセットになって2000円だった。買ったものはそのくらい。

ヨドバシカメラの福袋もとっくに売り切れ状態で、三越デパートもちらりと眺め、そのままてくてく歩いてパルコ方面へ。すっかりお腹も空いてきて、パルコ内のレストランフロアを眺め歩く。パルコ8階には、楽しい本屋さんVILLAGE VANGUARDが運営するハンバーガーショップがあって、ものすごく気になったのだけれど店頭は大行列。比較的列が短めだった「麺屋 空海」というラーメン屋さんに入ることにした。ちなみに銚子丸も大変な行列だった。ヴィレッジ〜のハンバーガーショップは本当に美味しそうだったので、折を見て行ってみようと思っている。タコライスとかもあるみたいだし、ホットドッグ類も色々あるようで興味津々。

で、「空海」のラーメンは、ゲンコツや鶏ガラを一度ローストしてから煮出す手法のスープらしい。私は一番おすすめとのことの「味玉そば」の塩味を頼んでみた。
縮れのあるやや太めの麺に、大ぶりの薄切りチャーシューと、ごろりと味玉、青菜(多分小松菜)とメンマ、刻み葱と揚げにんにく、というトッピング。比較的小ぶりなサイズで、「大盛り」はメニューに存在せず、頼むなら「替え玉」になるらしい。だんなは「替え玉頼むよりはー……と思って」と焼豚飯も頼んでいる。

ほんのり魚介の味もする、塩辛さもさほどない、ラーメンスープを飲み干せることがあまりない私でもするする飲み干せる感じのスープだった。良く言えばあっさりだけれど、微妙に物足りない感じもする。「ラーメン食べたいぃぃぃ」と悶えた時に思い出してしまう味というのとはちょっと違うかな……と思ったけれど、何しろ私はトンコツ至上主義なので、そのあたりはどうしても塩ラーメンは印象が薄くなってしまうのだろうなと思う。でも、だんなの頼んだ醤油味のラーメンと少し交換して食べても
「なんかこう……印象が同じだね」
という感想。ちゃんと塩味でちゃんと醤油味なのだけれど、なんかこう、印象が同じ。不思議なラーメンだった。

同じフロアにあるVILLAGE VANGUARDそのもの(本屋さん)もあったので、ついつい寄り道。デザインに関する本が並んでいるコーナーで、「魅惑的な本がたくさんある……」と身動き取れなくなってしまい、「おゆきさんが動かなくなっちゃった」とだんなと息子に心配された。悩み悩んでスタイルシートに関する本を1冊お買いあげ。悩みに悩まなかったらもう5冊くらい買いたい本があった。この本屋は大変に危険だ。常に一角で「ラーメンズ」のライブビデオとか流していて、そのへんも大変に危険だ。

からすみ大根・いたわさ
おせちの残り・鳥団子・玉子焼き
ローストビーフ
鶏肉とごぼう、舞茸の吸い物
ビール(モルツ)・チューハイ

おせち料理の残りがあと1/3ほど。半分ほど空になった重箱というのも少々見苦しいので、それらを平皿に盛り直してテーブルの中央に据えた。あとはちょこちょこと、かまぼこ切ったり、冷蔵庫の中で大事に保管され続けているからすみをちらりと切ってみたり、大晦日に焼いておいたローストビーフも切ってみたり。

ローストビーフは大ぶりの2切れを同時にスキレットで焼いたのだけれど、先に食べた小ぶりの方の塊は明らかに焼きすぎな感じだった。中央は僅かに赤味が残るものの、ほとんどが「焼いた肉色」になってしまっていて歯触りも少々パサパサ。これは失敗したなぁせっかくの国産牛だったのに、と思っていたのだけれど、今日スライスしてみた大ぶりの方の塊は「これ!」という感じのローストビーフに焼き上がっていた。断面は見事なバラ色、そうそうこんな感じ、これを目指していたの私は、と、とりあえず一安心。少しの違いだからと侮らないで、大きさの違う肉を焼くときはそれぞれにきちんと気をかけてやらないといかんのだなと思い知った。

ローストビーフには刻み野菜や半端に残っていた香菜なども添えてしまいつつ、テレビで「愛のエプロン」なる、なかなかに陰惨な(?)番組を見ながら今日ものんびり夕御飯。さすがに2日立て続けて4合瓶を空けてしまったところだったので、今日はごく軽くビールとチューハイだけにしておいた。

びっくりするようなサイズのゴボウを使った「牛蒡の海老すり身鋳込み」とか、「サーモンの聖護院蕪巻き」などなどを今日も美味しくいただく。最後の最後に大切にとっておいた「金柑砂糖煮」がこれまた良いお味(丸ごとごろん、じゃなく、ぺたんと平たくして花びらのように切り込みが入っている)。えぐみや苦みが少しもない、でも甘さもギトギトした感じのない、実に爽やかな気持ちの良い味がした。

これでおせちもすっかりなくなり、明日はご挨拶詣で。4日からだんなは仕事が始まるし、私もそろそろ仕事に取りかからないといけない感じ。
で、「そろそろカレーかぁ?」という気分がじわじわと盛り上がってきているのだった。

1月3日 木曜日
今日は写真撮れなかったよ……ということで、これは元旦に撮ったあんころもち。
「Johan」の
 コーンパン
 チョコデニッシュ
カフェオレ

昨日通りかかった、デパ地下のパン屋さん「Johan」。パン屋さんにも「パン福袋」なるものがあったらしいのだけれど、そんなものはもうとっくに売り切れていたようで、あとは普通の品揃え。焼きたてのコーンパンが売られていたのでそれと、あと少し好きなものを買ってきた。甘いものが少々恋しい気分だったので、だんなも私も思わずチョコデニッシュを選んでしまった。パイ!チョコ!生クリーム!そういうものが恋しい1月3日。

温めた大きなサイズのコーンパンは適当に割って皆で分けつつ、チョコデニッシュぱくぱく。
さ、今日はお出かけ。

おばあちゃん家で
 握り寿司・焼き鳥
 チーズケーキ・バームクーヘン・みかん
 ビールとかコーヒーとか

今日はだんなのおばあちゃん家に年始のご挨拶に。普段は静かなおばあちゃん宅に孫たち曾孫たちが集まった。
皆が持ち寄ったケーキや焼き菓子をつまんだり、「坊主めくり」をしたり、元旦からこちら2日はほとんど家族だけで過ごしていたのとはうってかわっての賑やかな1日になった。

お昼は、「お寿司でもとろうか」という話になって、ならばと銚子丸が安くて旨いんじゃないかということになり、握ってもらうことに。豪華な盛り込みの寿司は数の子あり、大トロあり、蟹もウニもイクラもたっぷりののとても豪華なものだった。遠慮なくビールをいただきつつ、お寿司と焼き鳥を色々。

元旦にも少し会ったけれど、一昨年の夏に生まれた姪っ子は小走りで歩くようになっていた。みかんやいちごをばくばく食べる"曾孫"におばあちゃんは夢中の様子。無垢な瞳でじーっと見つめられると(息子の時もそうだったけれど)、
「いや、そんな見つめていただいても……私そんなキレイな人間じゃありませんから……」
とか何とか言って後ずさりしたくなってしまう。女の子は言葉が早いと聞くし、マシンガントークが始まるのももうすぐなのだろう。

だんな特製 肉肉スパゲティ
ビール(琥珀ヱビス)

夕方におばあちゃん家を辞して、新宿で寄り道してヨドバシカメラでお買い物。数日前からチェックしていたオートフィーダー機能つきのスキャナーを買ってしまうことにして、現物確認してからお買いあげ。なんでもお正月のイベントで、「1万円以上お買いあげのお客様にプロカメラマンが写真撮影サービス、写真1枚差し上げます」なるキャンペーンをやっていて、期せずして家族皆の写真を1枚撮ってもらってしまった。

「はい、お母さんはそっちから、お父さんはそちらから、息子さんの肩に手をかけて……そうそう」
と、ポーズ指導までちゃんとしてくれ、数枚撮った写真から1枚を選んでA5サイズの紙にプリントして台紙までつけて渡してくれた。家族写真なんて滅多に撮らないので、なかなか良い記念に。

私たちの前には大学生くらいのお兄さんらが男2人で撮影してもらっていて、「へー、男2人でもこういう写真、喜んで撮ってもらうものなのかしら」と思いつつ私たちの写真の出来上がりを待っていた(お兄さんらも待っていた)のだけれど、お兄さんら、「2人で1枚ずつ写真欲しいです」と申し出たみたいで、2人で同じ写真を1枚ずつ持って、心なしか嬉しそうにお店を後にしていたのだった。……ついこういう時には私の腐女子センサーが「父さん強い妖気ですっ!」的に反応するのだけれど……いかんいかん……反応しちゃいかん……。

そんなこんなで帰宅するともう7時半。どこかで外食という気分でもなく地元駅に帰ってきたのだけれど、
「スパゲティでもする?ベーコンとか……ピーマンは家にあったよね?ナポリタンじゃなく、野菜と肉のスパゲティ作ろうかなって」
と、駅ビルの食料品売り場でお買い物。だんなが肉屋を覗いている間に私は魚屋を覗いてきたのだけれど、イクラやマグロがびっくりするような安値(70%OFFくらいの勢い)で売られていたので、思わずいくつか買い込んでしまった。明日の昼にイクラ丼かなと。

帰宅してだんなが作ってくれたのは、だんな命名「超肉肉スパゲティ、いや、超は要らないかも」。ベーコンとソーセージが入った肉肉しいスパゲティで(でも野菜もその分多かったから"超肉肉"というほどではなかった、確かに)、ピーマン、玉ねぎ、にんじん入り。ただのオリーブ油ベースの炒めスパかと思いきや、コンソメや白ワインを加えてきちんとソースを作った意欲作であったらしい。あっさり味で、塩味の加減も良い具合で、とても美味しかった。このところ、麺料理は「ごめん、ちょっと多い」と息子やだんなに少し手伝ってもらうことが多かったのだけれど、今日は息子が「僕、そんなに要らない」と除けた分を少し貰ってしまうほど。
ごめーん、今日ちょっとやる気ない、という時に、家族の他の誰かがちゃちゃっと御飯を作ってくれるのは本当にありがたいことだ。

1月4日 金曜日
カレーにローストビーフ添えてみたです。ちょっとやりすぎだったかなと思いました。
おばあちゃんのお赤飯・きんぴらごぼう
鶏肉、舞茸、ごぼうの吸い物(ラスト)
麦茶

おばあちゃん家でいただいてきた、お手製のお赤飯で朝御飯。

もうじき10歳になる息子に元気な曾おばあちゃんがいる、という事も驚きながら、そのおばあちゃんが現役で美味しいお赤飯を炊いてくれてしまう事にも驚きだ。2升以上炊いたというお赤飯は、「今日は出さないでおくからね、たくさん持って帰るといいよ」と孫たちにお土産として持たせてくれたのだった。いつもの味の、甘辛にいい感じに味の染みたきんぴらごぼうも持たせてくれた。
……でも、そろそろ長時間台所に立ったりはさすがにつらいようだし、孫たちはともかく曾孫たちの食欲は増していく一方。そろそろ、遊びに伺う時には孫たちで御飯を持ち寄るようにした方が良いのかもしれない。

チンでも良いけどね、やっぱり蒸籠で蒸かすといいよ、あっためるくらいで良いからね、と何度も言いながらおせちの空き箱に包んでくれたお赤飯はたっぷり2食分ほどはある。雑煮用にしこたま用意していた吸い物ももう底が見えていたので、それをさらうようにして盛りつけ、蒸籠でちゃんと蒸したお赤飯ときんぴらごぼう。

「ごましお、ごましか出ないよ?」
と息子が困惑しながらごま塩をばさばさかけていた。小袋入りのごま塩は底の方に塩が固まってしまっているようで、卓上塩を追加でかけつつ、もっちもっちした食感の優しい味のお赤飯をもぐもぐ。お赤飯、めちゃめちゃ好物なのにそういえば自分で炊いたことがなかったです(というか餅米調理自体したことがほとんどない気が)。

思い切った感じのいくら丼
わかめの味噌汁
麦茶

だんなは出勤、私と息子は静かに過ごす冬休み最後の平日。来週の月曜からは息子の学校も始まる。
私はぽつぽつ仕事を始めたり、昨日買ってきたスキャナーで遊んでみたり(早いよ!キレイだよ!すごいよ!家中の本をデジタルデータ化したくなるよ)。

お昼御飯は、昨日買ってきた超特売品だったイクラやマグロで丼にすることにしている。安いだけあって賞味期限ぎりぎりのイクラだったりしたので、マグロはほとんど添えずに(お味見程度に1切れ2切れ)、思い切った感じのイクラ丼にしてしまうことにした。2パック買ってきたイクラ1パックを息子に手渡して
「もうね、好きなように盛っちゃってください。全部盛ってもお母さん怒らないから」
と告げる。

うわぁ!と嬉しそうな声をあげた息子だったけれど、"熱いと言うより、ぬるい"といった温度にチンして盛った御飯の匂いに気付いたらしく
「あ!お寿司の御飯だ!」
と丼の器にも輝かしい笑顔を向けている。うん、前に手巻き寿司やった時の残りの酢飯、冷凍してあったからそれ使った……と答えたら、満面の笑みで
「僕ねぇ、お寿司の御飯大好きなんだ。もうね、お寿司の御飯は、お寿司の御飯だけで食べられちゃうくらい好きなんだよ?」
だそうで。そうか、そんなに好きでしたか……と、お母さん苦笑い。大好きな酢飯に大好きなイクラを大量に乗せた息子の昼御飯は、私に思っていた以上に幸せなものであるらしかった。

イクラ丼、美味しいよね。でもイクラはやっぱほどほどの分量が美味しい分量だよね、などと言いつつ、かつてなく思い切った感じの豪華なイクラ丼をもぐもぐ。

ローストビーフ添えサラダ
ポークカレー
ビール(モルツ)

「おせちに飽きたら」という程に大量のおせち料理を食べてはいないし、どころかラーメンだスパゲティだといつも通り思うがままに色々なものを食べていた年末年始だったけれど、年が明けて少しすると無性にカレーライスが恋しくなるのは、やっぱりあのCMのすり込み効果によるものなのか。
「カレー食べたい……フツーの、家カレー」
「うん、ポークカレー……」
「そう、ポークカレー……豚バラ使った、とろんとろんのやつ……」
と盛り上がり、昨夜豚肉を買ってきた。国産の、美味しそうな豚バラが安かったのでそれを1本。

昼御飯を終えて、息子がまだイクラ丼と格闘しているのを横目に見ながら材料切って早々に準備を始めてみた。いつも通り、塩胡椒、カレー粉を軽く揉み込んだ肉を焼きつけ、玉ねぎと人参も加えて長めにじっくり炒めてから煮込んでいく。ルーを入れる20分前に追加の玉ねぎとじゃがいもを加えるのもいつも通り。多めの玉ねぎを音立てて炒めている時に息子が食事を終え、「手伝いまーす!」と食べ終えた食器を持ってシンクの前に移動してきた。

「じゃあ、箱に書いてある説明を読んで、書いてある通りの分量の水を鍋に入れてください」
とお願いして、最近学校で勉強している「単位」について復習がてらお手伝いをしてもらうことに。1200mlって書いてあった?じゃあどのカップ使えばいいと思う?うん、そのカップは500ml入るからー……どうすればいいと思う?などと話しつつ、きっちり120ml量ってもらった。アクとは何か、てな事も説明しつつ、アク取りも一緒にやる。でも、あとは煮込むことしかやることはないんだなーカレーはなー。簡単だ。

「あと、放っておくだけだから、30分に1回くらい、水が減ってないか確認して足したりするけどね」
と鍋から離れようとしたら、
「でもお母さん!説明書には"15分煮込みます"って書いてある!」
ちゃんとその通りにしなきゃダメじゃん!時間はちゃんと見なきゃ!……と怒られた。書いてある分量はあまり変えない方が良いけど、煮込む時間とかは変えても大丈夫なんだよ、美味しくなったりもするんだよと、また説明。

豚肉や牛肉、あと玉ねぎとかは長めに煮てもいいし長く煮れば美味しくなったりもするけど、鶏肉や薄切りの肉やじゃがいもは煮れば煮るほど良いというわけではなくて、あと調理法も、煮るのは長くするのと違って、焼くのは長くすると焦げたりしやすいから難しいじゃない?……と、このあたりをちゃんと説明するのは、なかなか難しい。いくつか料理をこなしていけば「作り方のこのへんは変えても大丈夫」というのは自ずと分かってくるものだろうから、まぁ、がんばれや息子。

年末に焼いたローストビーフ、良い出来のものがまだけっこう残っていたので、それをスライスしてレタスがベースのサラダの上に並べてみる。ついでに煮上がったカレーにも添えてみたのだけれど、それはちょっと彩り的にやりすぎだったかなと反省した。いつも通りの、大きめに切った具がごろごろとする中辛味(肉にまぶしたカレー粉が若干辛めなので、辛口寄りの中辛なのかも)のカレーで、でも息子はこの「家カレー」も好きらしい。

いーい感じにカレーも煮えて、御飯も炊けた頃に、2008年初出勤を終えただんなも帰ってきて、のんびり夕御飯。
豚肉は感動するほどにとろっとろのほろっほろに煮えていて、だんなも息子も私もお代わり。3合炊いた米がほんの少ししか残らなくて、これは4合炊かなきゃいけない日も遠くないなと思い知った。

1月5日 土曜日
あ、これ金皿だったや……
「ファーストキッチン」の
 和風ベーコンエッグバーガー
 ポテト(チーズ・えびタルタル)
 キャラメルカフェラテ

カレーあるよ、パンも……あ、ごめんパンなかった、という今日の朝。
「カレーって感じじゃないんだな……何か買ってこようかな……」
と呟いただんなは、カレーという気分ではなくてベーコンエッグバーガーな気分だったのであるらしい。ファーストキッチンで買ってくるけど、それでいいかな?と告げられ、お願いしますと妻と息子は座して待っていた。

袋から出てきたのは、ダブルチーズベーコンエッグバーガーと、チーズベーコンエッグバーガーと、和風ベーコンエッグバーガー。もう、皆でベーコンエッグバーガー。
「俺はダブルだから」
「僕、チーズ!」
ということで、私は自動的に和風になった。テリヤキソース味のベーコンエッグバーガーってどうよ、と思ったけれど、これがなかなか悪くない。じわっとした甘さは卵やベーコンにもよく似合っていた。

セットにしてもらったというポテトは、息子好物のチーズと、「なんか変なのがあったから」と"えびタルタル"。ポテトなのに海老フライとタルタルソースの味がするという、大変に挑戦的な味だった。かつて「コーンバター醤油」味のポテトを食べた時も「ポテトなのにトウモロコシの味がするー」と泣きそうな気分になったのだけれど、今日の海老だって相当なものだった。他にも「ネギ塩カルビ」味とか「明太バター」味とかあるそうで、ファーストキッチンのフレーバーポテトは色々とすごい。

「銚子丸」にて
 あぶり3カン(中トロ・えんがわ・サーモン)
 豪華3カン(中トロ・活アワビ・生ウニ)
 ハマチ砂ずり握り
 白子軍艦
 サバ棒寿司
 銚子伝統玉子焼き
 カニサラダ軍艦
 あなきゅう手巻き
 生ビール
などなど

一昨日あたりにお寿司を食べたような気がしないでもないけど、「お寿司食べたい」というよりは「銚子丸で食べたい」気分が盛り上がり、ならば土曜の昼に行こうじゃないかという話になった。銚子丸、夜に行くと何かと品切れのものが多くて、行くならお昼の方が、色々と悔しい思いをせずに済む。土曜の昼ならランチの無料あら汁もついてくるはずだったけれど、あいにくお正月期間ということでそのサービスはお休みのようだった。

今年初銚子丸!とばかりに、豪華な内容の3カン盛りを一気に2種類注文して、あとはぽつぽつと好きなものを握ってもらったり、レーンを眺めたり。シメにプリン食べちゃおっかなーと思っているところで「銚子伝統玉子焼き」なるものを頼んでしまい、これがステキにプリンのような口当たりのものだったので(甘いしプルンプルンだし、どこかねっとりとクリーミーな部分もあるしで本当にカスタードプリンのよう)、それがプリンの代わりになってしまったりもした。

築地などの卸売市場は今日が初セリだったのだとか。初セリのご祝儀価格だったのかそうではないのかわからないけれど、黒板の「今日のおすすめ」はどれもがお値段高めの皿だった。でも、プリップリの白子に、とろけるような口当たりのハマチの砂ずりなど、今日は特に美味しいものが多かったように思う。炙りのサーモンも、ハマチも、口の中の温度で容易にトロトロと溶けていくような感じだった。でも、こういうとろける寿司は案外早く満腹になる。たくさん食べるつもりだったのだけれど、結局家族で20皿食べるか食べないかくらいの量で終わったのだった。

だんなの実家にて
 おでん
 ローストビーフのサラダ
 豆鰺の唐揚げ・ふぐの一夜干しの炙り
 金柑の甘煮・百合根の煮物・かすべの煮物
 鯖の棒寿司・いなり寿司
 焼酎ロック(焼き芋 黒瀬)

 りんご・お茶

寒さは格別だったけれど天気の良かった今日、寿司屋の帰りがけにDIYショップに寄って花の苗をあれこれ買ってきた。忙しさにかまけてここ数ヶ月花の植え替えなどを全くしていなかったので、今楽しめる花をあれこれと。つい今回も名前で選んでしまって、選んだビオラの苗は「プティオラ」というシリーズのひとつだった「バニーイチゴミルク」と「リンゴスター」。

あら美味しそうな名前、色も綺麗だし、と、珍しくもピンク系(私が好きなのは基本的には青系か紫系の花)の苗を手にしてしまい、そのビオラの鉢と並べるつもりで選んだプリムラもトーンの違うピンク系で。パンジーやビオラは、茶系の、実に絶妙な色合いのシックな花色のものもあってそれらも大好きなのだけれど、どよ〜んと曇った冬の寒い日にはそういう系統よりパキパキした鮮やかな色合いの方が目に楽しいかなということで、普段はあまり選ばない色の花を買ってみた。よくよく見ると面白い花弁の形をしている「バニーイチゴミルク」(花びら2つが上に飛び出してウサギの耳のようだから"バニー"らしい)がとても可愛らしい。しかも「イチゴミルク」というネーミング。
のんびり帰った午後はその花の植え替え作業などをしつつ、ついでにベランダの花いじりも久しぶりにした。

で、夕方は「お義父さん好きかしら」と、昼に銚子丸でお土産に1本買ってきた鯖の棒寿司と、前から用意しておいた焼酎1升瓶持って、だんなの実家に改めて新年のご挨拶に伺った。三が日は何かとバタバタしてしまうしと、あえて三が日が過ぎてから「お義父さん飲みましょう!」と、ご挨拶名目での飲み会。お義母さんから「もうこれ以上飲んじゃダメー!」とドクターストップがかかるまで、えんえんと3時間ばかり(いや、4時間近く)も飲んだくれてしまった。持参した焼酎の瓶が半分くらい減ってしまったような気がするのだけれど、その事についてはあまり考えない事にする。

卓上には大きな鍋が据えられていて、その中はたっぷりのおでん!ちょうど「おでんも食べたいね」と話していたところだったので、だんなも私も息子も、全員が大変に喜んでしまった。練り物色々にゆで卵、昆布、すじ、こんにゃく、焼き豆腐。「巾着たくさんあるのよー」とお義母さんが勧めてくれた油揚げの巾着の中には、みっちりとモヤシや白滝、ひき肉などの五目の具が詰まっていた。どっさりのいなり寿司にローストビーフのサラダ、今日も御馳走だ。

もう飲んじゃダメとお義母さんに告げられた後で、こっそり継ぎ足して(いや、お義父さんにねだられて私が注ぎました、はい)しまったお義父さん。あっという間にバレて
「あー!もう飲んじゃダメって言ったのに、飲んだでしょ!?」
と詰め寄ったお義母さんに、「あちゃー、バレたー」という顔をしながらも、
「いや、足してないよ……。……湧いた?」
とお義父さん。湧きません、湧かないよ、いや、酒が湧くグラスだったら私いただいて帰ります、と、おおいに盛り上がる。1升瓶から減っていくお酒を、「なんかね、蒸発しちゃうの。飲んでないのに」などと言うお義父さんなので、何というか大変に可愛らしい。

久しぶりに「焼酎だけの酔い」を満喫しつつ、思いっきり冷え込んだ中ダッシュで帰宅。焼酎は今日は不在だった義妹へのプレゼントも兼ねていたはずだったのだけれど、ごめん、半分近くなくなってしまったよ。

1月6日 日曜日
ついついおかわり。
おばあちゃんのお赤飯
油揚げとわかめの味噌汁
お正月料理の残りをぽつぽつと
麦茶

まだおばあちゃんのお赤飯あるよね、じゃあそれあっためて食べよう……と、もそもそ起き出して蒸籠の準備をした午前10時過ぎ。暖かい(暑い)季節は早い時間に目が覚めるのが普通だったけれど、寒い季節はついつい布団との蜜月関係を崩せずにだらだらと朝寝坊してしまう。

半端に残しておくのも何だし、全部蒸してしまえと蒸籠で蒸かしたお赤飯はたっぷり5膳分弱ほどもあったので、家族3人で1膳ずつ食べた後、私とだんなでお代わりした。赤飯を蒸す間にささっとありもので味噌汁も作り、そういえば黒豆も少し残ってたんだったわ、あと田作りも少しだけ……と、おせちのほんの少しの残りも食卓に出した。

淡い小豆色をしたお赤飯のこの色は私の好きな色の一つで、この色の花もとても好き。
少し長めに蒸したお赤飯は色も食感も柔らかくてふわふわとしていた。ちょっと黒胡麻かけすぎた。

蟹クリームコロッケ、ハムカツ
3日目のカレーライス
コーンスープ

今日の夜は残っているカレー食べなきゃ!ということで、夕飯の献立も決まって一日のんびり。息子は外で友達と遊び、私は思い立って本棚の整理を。ここ数ヶ月は買ったものをただ本棚の余白に積んでいただけのカオスな状況になっていたので、段ボール1箱分の本をBOOK OFFに売ってしまう覚悟を決めつつ本棚にきっちり揃え直した。その間だんなはお買い物に行って、「カレーに添えようと思って買ってきたー」と、蟹クリームコロッケとハムカツをついでに買ってきてくれた。ますます夕飯の準備が不要になって、サラダくらいは用意したかったけれど葉野菜の手持ちもなかったしまぁ良いかとコーンスープだけ準備した。キャベツしこたま入れたポトフとか、鍋料理とか、煮た野菜が食べたい気分。茄子あたりが特に恋しい。

蟹クリームコロッケは1人1個、ハムカツは3人で1個。
「ハムカツ、9等分すれば、1人3切れだね?」
などと難しい事を息子が言う。ハムカツ9等分はかなり高度な技術が要りそうだ。
「いや……普通に4等分して、私その1切れあればいいよ」
あとはだんなと息子で分ければ良いよ、と大人の鷹揚を見せつけた私は、でも1/4切れは食べたいと主張しているので、あまり鷹揚な感じは演出できていなかったかもしれない。

じゃあ僕とお父さんが1切れずつでー……残りの1切れ、半分こする?と息子が首を傾げている前で、だんなが
「いいです、息子さんに2切れあげます……」
と敗北宣言を出していた。結局息子が1/2切れ、だんなと私が1/4切れ。
「おかしいな、俺、1/2切れくらい食べられるつもりで買ってきたんだけど」
とだんなが苦笑いをしていた。息子がここまでハムカツに執心するとは、だんなも私も思っていなかったのだった。

そんなハムカツ争奪戦を繰り広げつつ、3日目のカレーは実に実に美味しかった。購入した豚肉の質が良かったのかどうなのか、かつてなくホロンホロンにとろけるように煮込まれた肉が身震いするほど美味しい。1日置くと、肉の部分の水分が抜けたようになって固くなってしまう肉も時々あるのだけれど、今回は肉の部分もまんべんなくホロンホロン。

「ひ、一口くらいだけお代わりしていいかしら……お代わりするつもりじゃなかったんだけど、一口だけ」
「うむ。一口ならセーフだ」
何がセーフなのかは私にもわからなかったけれど、だんながセーフと言ってくれたので一口だけカレーライスをお代わり。

コーンスープが残ってるから、明日の夕御飯は洋風のおかずにすべきかな。