食欲魔人日記 09年08月 第5週
8月24日 月曜日
キッザニアから出るやいなや。
「アンデルセン」の
 ソーセージロール1/2本
 ミルクフランス
お茶

息子も5年生になって、そろそろキッザニアも卒業かなという頃合いなのだけれど、
「もし夏休み中にチケット取れたら行きたい?」
と聞いてみれば
「行く!」
という返事。「幼稚園の子とかに混じってあの仕事をするのは、もう恥ずかしいよ〜」という類も増えてきたようではあるけれど、まだ色々やりたいことも残っているらしい。
 
しばらく行ってない間に入場のシステムや1部2部の時間帯が微妙に変わったり(1部が1時間早くから始まることになり、その分1部が長くなった)していて、最後に行ってから色々変化があったらしいキッザニアの予約を半年ぶりくらいに入れてみた。
 
今回は1部の予約なので、早めに家を出ようかと、起床は5時、出発は6時。
昨日のうちに買っておいたパンを持っていて、開場までの行列の間に食べることにした。
 
夏休み中とはいえ平日だからか、7時10分くらいに豊洲駅に着くと、前から6組目くらいの、行列のかなり前方への到着。さすがにちょっと早すぎたかな、と思いつつ、でも入場までの待ち時間はほんの1時間ちょっと。早起きは大変だけれど、明らかに1部の方がらくちんだ。
 
あまり落ち着く暇もないままに1階での待ち列から3階に移動し、数十分もすると開場と、さほど「待った」という印象もないままあっさり1部が始まった。
並びながらペットボトルのお茶を買って急ぎ食べた朝御飯は、「アンデルセン」のミルクフランス1人1本と、ソーセージロールは2人で1本を半分こ。
「これ、朝御飯だよ」
と袋から出したら、息子が「ミルクフランスだー!」とすごい笑顔になった。ほんとにこのパンが好きなんだねぇ……。

「キッザニア」にて「RF1」の
 具だくさんあっさりサラダ冷やし中華 \598
 鶏五目ライスロール \367
 味噌カツ串 2×\189
 角切りチーズのじゃがボール \126
 フルーツミックスジュース(L) \360

久しぶりのキッザニアはやっぱり少し様変わりしていて、これまでスタッフルームへの扉だったところが解放されてフットボールスタジアム(サッカー選手のお仕事ができる)になっていたり、動物病院ができていたり。椅子もずいぶん増え、館内に留まり続けなければいけない保護者たちの待ち時間もそれなりに快適になるように改善されていた。何より、「次のお仕事を決めてから、待ち時間が長い場合は、指定時間までに戻ってくるのを条件に食事などで抜けても良いですよ」という事になったのがありがたいこと。
 
これまで人気のある仕事だと、「参加できるのは、次の次の次の回になります。1時間半くらい待ちますが大丈夫ですか?」と言われて頷いたら最後、トイレに行くために数分抜けることは許可されるものの、それ以外の時間は出番が来るまでずーっとその仕事場の前のベンチに座り続けなければいけなかった。待っている子どもたちがお行儀が良ければ良いほど「大変だなぁ……」と思ってしまっていたのだけれど、席をはずせるなら別の場所で休憩もできるし、その間に食事をという話もできるし、何より。
 
今回息子が体験したのは、

サッカー選手 (NIKE)
ユニフォームを着て、サッカーボールを扱う練習・パス練習・シュート練習などをした後に、「入団テスト(シュート2回)」を受けるという流れ。シュートのフォームを連続写真で記録してくれ、最後にその写真とシュート速度入りの「診断シート」を貰える。この連続写真がなかなかかっこいい。
 
裁判所/被告 (IHI)
「裁判長はやった事があるから、それ以外のをやりたい」と、裁判所に再挑戦。くじ引きで決まる今度の役割は「被告」となり、「キッザニア警察署前の街灯を壊した罪」で刑事裁判にかけられるという内容。ひととおりの裁判の流れを体験した後は、全員が「裁判員」となって、どういった判決が妥当かどうかの話し合い。結局、「器物破損の罪で罰金5000キッゾ」の罪は重すぎ「皆のものを大切にしなかった罪で罰金300キッゾ」では軽すぎ、ということで、被告は650キッゾの罰金を支払うということで決着がついたらしい。裁判の全体は保護者が傍聴することができて、今回もなかなか楽しかった。「僕、ほんとに650キッゾ払わないといけないんですか?」と最後に息子が涙目になっていて、全員で「違う違う」と苦笑い。
 
証券会社社員 (大和証券)
お客様から「指定企業に対する投資における要望」を聞き、キッザニア内にあるその会社が投資対象として適切かどうかの調査を行いに行き、話し合いレポートにする。息子たちのグループの対象企業は「朝日新聞」。階下の新聞社に調査に行き、なにやら一生懸命レポートしていた。最後に架空のお客様に調査結果をメールで報告して終了。息子曰く、ここが一番期待はずれな仕事だったとか……。きっと株価とかパソコンで云々、というのを期待していたんだと思う。
 
電力エンジニア (東京電力)
キッザニアに一番最初にやってきた時に「僕はこれが一番やりたい」とゆずらなかった、電気工事の仕事に再挑戦。多分再々挑戦か再々々挑戦くらいのリピーターな気がする。待っている間に同じグループの子でモンハン仲間を見つけたらしく、えらく和気藹々と、肩組んだりしながら電気工事に出かけていた。相変わらず、証券会社やデパート店員のブレザーよりも警察官パイロット的な制服よりも、こういう作業着の方がお似合いで……(笑)
 
レンタカー
スポーツクラブ(これは仕事ではなく、キッゾを払って参加する)にテニスのプログラムがあったので「これやりたい!」と言っていたのだけれど、残念ながら少し休憩している間に満席になってしまった。で、代わりにやりたいものをということでもう何度目かになるレンタカー。なんてことない、スピードも全然出ない電動自動車なのだけれど、これがどうにも好きらしい。ウィンカーとかちゃんと動かせるのが良いのかなぁ……。
 
建設作業員 (大成建設)
これも何度目かの建設作業員。大成建設の作業服を着て、クレーンで荷物を持ち上げたりパイプをつないだり。息子は機械をいじくる仕事が好き(あと人と話す仕事が好き)なんだなぁと納得しながら、実に楽しげにクレーン操作をしている息子を見ていた。せっかく一眼レフカメラがあるんだしと、今日は息子を追いかけまわして、隙あらば写真を撮ろうとしてみた。
 
裁判所/裁判長 (IHI)
工事現場の仕事が終わったところでもう2時過ぎ。閉館まであと1時間ともなると、ほとんどの仕事は「受付締切」の看板を掲げ始める。そんな中、まだ裁判所は空きがあったので、本日2回目の裁判所体験。今度は息子、裁判長席に座っていた。人数が多いためか、今度は民事事件。被告が、友人(=原告)と参加したデザインスクールでのポスターのデザインをすっかり真似たものにしたことで、真似られた事を不快に思った原告が被告に「謝って欲しい」と求めた、というもの。被告は以前にも他の人の作品を真似て何かを作ったことがあったり、また原告は原告で「早く作ってよ」と同行の友人たちを急かしていた(急かされたから、被告は急いで真似をした)という証人の証言も出てきたりして、子供たちが皆で「これはこういう理由で、こういう判決がいいと思う」と話し合いをするのはなかなか面白い。結局判決は「これまでの経緯もあるし、真似られた側は不快感を感じているし、真似た側は真似られた側に謝罪しなさい」という判決になったのだった。

というところ。
 
さすがに6時間もあると、「ここらでちょっと休もうよ」という気分にもなるし、途中で息抜きみたいなこと(レンタカー乗ったりとか)しないと疲れてしまう。状況はかなり改善されたとはいえ、それでも食事の場所には後半になればなるほど困るという感じだった。保護者も疲れてくるから、一度座れたテーブルからはなかなか立とうとしないし、自分たちも一度座るとなかなか立てなくなってくる。
 
昼食は、仕事の合間に館内の「RF1」の売店で買ってきたものを簡単に。
あまり酸味のない「上湯ソース」の添えられた野菜入りの冷やし中華や、鶏入りの炊き込み御飯風の太巻き、味噌カツなどなど。
 
RF1製なので、どれもこれもデパ地下風というかデパ地下総菜そのものの味付けだったけれど、ほかの選択肢はというとピザかハンバーガーになってしまう(なのに館内への飲食物持ち込みはダメと来ている……外で買ってくることもできない)のでそれも嫌だなぁと冷やし中華や太巻きでなんとなく空腹を紛らわせてみた。もういっそ、日清のパビリオンとかできて、カップラーメン製造体験とかできればいいのに……などと思ってしまったり。
 
ふと思って調べたら、キッザニア甲子園はまた別の内容が色々あって、「ホテル(バンケットスタッフとか客室係、フロントマン)」とか「マヨネーズ工場」とか「家電修理センター」「すし屋」「電車(運転士、車掌)」なんてものがあるそうで。息子に教えたら、「すし屋!家電修理!!電車!!!いいなぁ〜!」とのたうちまわっていた。もういっそ、キッザニア発祥のメキシコとか行っちゃうのもいい、とか思ったりして……。なんと、今をときめくリゾート地、ドバイでもオープンする予定なのだとか。

ららぽーと豊洲内 「FOOD CIRCUS」にて
 タンドリーチキンビールセット \1,000
 ミニ醤油ラーメン \550
 ピッツァ(マルゲリータ) \1,600
 生乳ソフトクリーム \320
 こどもビール \380
 生ビール \550
息子と祝杯。

途中慌ただしく色々つまんだとはいえ、3時にキッザニアを出た頃にはもうすっかり空腹。変な時間だけれど、何か食べちゃう?と、併設のフードコートに寄ってしまうことにした。大変危険なこのフードコート、入場時に人数分のバーコードつきのカードを渡され、コート内はそのカードを提示するだけで料理もドリンクも貰えてしまう。出口のところでまとめて精算。だからついつい色々食べてしまって、お会計時にうひゃー、となる、という……。全体的に安くはないし。
 
今日も、私は「とりあえずビール、ビール飲みたい」とインドカレーのお店でタンドリーチキンとビール(ビールはアサヒ、青島、シンハー、タイガーからの選択)のセットを貰い、息子は息子で「ラーメンとこどもビール」というわけのわからない組み合わせのものを貰ってきて、「じゃ、お互いビールだし」と乾杯。
 
思いの外辛かったチキンをヒーヒー言いながら食べたところで、「でも何だか物足りないね」「ピザが食べたいね」とかいうことになってマルゲリータを追加注文し、「だったら追加飲み物が要るじゃない、お代わりビールが要るじゃない……」と生ビールをお代わり。今日は私も良く歩いた(そして良く立っていた)から、ビールが五臓六腑に染み渡る感覚だった。
 
しかし……焼きたてのピッツァはなかなか美味しかったけれど、でもあれ、1600円もしてたのか……今レシート見返してびっくりだ(お会計時に4400円ですって言われて「そんなに食べたか!?」とびっくりしてはいたのだけれど)。
 
和洋中なんでもござれ……というか、5割方エスニック料理に傾いているようなフードコートだけれど、それゆえに海南飯もガッパオもインドカレーも角煮御飯もどんとこいという感じでメニューの選択肢は悪くないんだなぁ。
 
「遅めの昼御飯」くらいの感覚で食べたは良いけれど、思った以上に満腹になってしまって、結局これが私たちの夕飯になった。
小腹が空いてきた私は、息子が寝たら日本酒か焼酎で昨日のサンマの残りをつつこうかなー、なんて思っているところ。

8月25日 火曜日
良い酒、良い肴、良い雰囲気の店でした
「Revello」の
 マンゴーとパイナップルのデニッシュ
飲むヨーグルト
桃・葡萄

今日の朝御飯はフルーツのデニッシュ。昨日キッザニアに行った帰りにららぽーと豊洲内の「Revello」で買ってきたものだ。豊洲の駅の近くには安くて美味しいパン屋さんがあるのでそちらに寄ろうかとも思ったのだけれど、すっかり疲れてしまって「も、そこで買えるパンにしちゃおう……」と、いうことに。
 
「Revello」は、パン屋さんというよりもフォカッチャ屋さん。オリーブやトマト、ゴルゴンゾーラなどの乗ったフォカッチャが何種類もあり、一度買ったことがあるけれどなかなか美味しかった。デニッシュ類や食パンの類も揃っており、どれもきちんと作られた美味しいものだけれど、でも全体的に値段はお高めだ。
 
息子が白桃のデニッシュを選んだので、私も倣ってフルーツのデニッシュを。私はマンゴーとパイナップルのデニッシュにして、だんなには甘いもの系よりはと「ラザニア」と名付けられたミートソースとホワイトソースを詰めたパンを選んだ。
 
季節柄常温はよろしくなかろうと、昨夜から冷蔵庫に入れておいたデニッシュは、良い感じにサクサクとした食感。マンゴーとパイナップルの甘さと酸味が良くまとまったとても美味しいものだった。
 
デザートは桃と葡萄。糖度チェック済の甘い桃は生協から買ったもの、昨日届いた葡萄は「大地を守る会」のもの。
 
「ぶどう食べ比べセット」なるものを注文してみたところ、馴染みの「デラウェア」に加えて「藤稔」「アジロン」という耳慣れない品種の葡萄の計3種類が箱詰めされてきた。
 
「藤稔」は巨峰と同系統の、大粒の紫色の種あり葡萄。巨峰より大きいくらいの粒で、なかなか濃厚に甘い。「アジロン」は、ちょっと独特な花のような香りのある紫色の葡萄、こちらも種あり。大きさは小さめのマスカットくらい。香りは強烈に強いのに、味の方はあっさりめで酸味も感じるものだった。なんでも「脱粒」しやすい品種なのであまり出回らないものなのだとか。

鯛茶漬け 秋刀魚入り
カニサラダ手巻き
麦茶

日曜の手巻き寿司の残りが、冷蔵庫にまだ少し。生魚だけは早く食べないと、と、昨日の夜に刺身はあらかた食べてしまったけれど、でもまだマグロや玉子、イクラ、カニサラダツナサラダの類が残っている。息子はづけ丼、私はお茶漬けにして食べようということにした。で、酢飯も残っているから解凍ついでに海苔も出せばいくらか手巻き寿司も楽しめるな、と。
 
この思惑が微妙に外れ、昼食のテーブルを見た息子は
「手巻き寿司だー!」
と。添え物くらいのつもりだった手巻き寿司(具もそれほど残ってないし)にすごい勢いで飛びついた。
 
「これ、無敵の3姉妹ね。もう最高にこれが美味しいんだから!」
と、何故「姉妹」なのかはわからないけれど、玉子とイクラとツナを巻いては食べ、巻いては食べのローテーションを繰り広げ始めた。……あのー……マグロも食べてください、食べて欲しいなー……。
 
私はと言うと、初めて食べてみる「生茶漬け」の瓶詰めを開けてみることに。
数切れ残っていたサンマ、でもそのまま食べるにはそろそろ鮮度も不安なところで、「湯引きにするとかお茶漬けにするとかすればいいかなぁ」と思ったところ、手元には友人がくれた「鯛の生茶漬け」の瓶が。
 
東海地方に住む友人が「最近日記にお茶漬けの話題が出てきていたから」と、オススメの品を海苔の佃煮や干物と共に送ってくれた発泡スチロールの箱は昨日の夜に届いたばかりで、どれからいただこうかなとわくわくしていたところだった。
 
鯛の生茶漬けは、小指の先ほどの切り身の鯛を強めの塩と調味料で和えたもの。胡麻や葱なども入っていて、茶碗1杯のご飯に対して大さじ1を盛りつけたら、上からお湯かお茶を注いだだけでできあがり、というものだった。タイとサンマは全然違うけれど、「すみません、今回だけちょっとサンマも入れてやってください……」と、一番上にサンマを乗せて、サンマに火を通す感じで上から熱湯を多めにかけてみた。
 
いつもの「永谷園」のものより、ずっと磯臭さの強いお茶漬けは、ごく僅かわさびの香りも漂ってくる。
「おお、お茶漬けだ……」
と、息子はこちらにも興味津々の模様だったけれど、今日のところは目の前の手巻き寿司の方にそそられてしまったようで。

赤坂「黒猫夜」にて
 夏の前菜盛り合わせ
 冬瓜の蟹肉あんかけ
 大根餅
 スペアリブの豆鼓蒸し
 炒飯
 土鍋炊き込み御飯
 ビール
 白酒(3種飲み比べ)
 パンダロック
 白酒(新入荷もの・名称失念)

今日は夕方6時半から都内で仕事の打ち合わせ。息子はその時間まで習い事があるし、初めての方との打ち合わせで1時間で終わるか2時間かかるかは見当がつかないし、そうなると帰宅は9時を回ってしまう可能性もある。
 
息子に都心まで出てきてもらっても打ち合わせが終わるまで私は拾いには行けないし……と悩んでいたら、だんなが
「じゃあ俺が息子拾って、夕飯は食べさせとく。その後また仕事に戻らなきゃいけないだろうけど……」
いっそホテルに泊まったら?都心のホテルだったらチェックインして息子を部屋に連れて行くところまでやるし、と提案してくれた。俺も仕事終わったらホテルに帰ればいいし、翌朝皆でホテルの朝御飯食べてから出かければいいじゃない、と。
 
よく考えたら明日は朝10時から六本木で子供イベントの予定があって、千葉まで帰らなくて済むならばそれはそれで好都合。さっそく、と、六本木界隈の安めに泊まれるホテルプランを探したところ、グランドプリンスホテル赤坂にお手頃価格のプランがあった。……しかし、今年の夏はえらいことホテル(しかも何故か都心のホテル)に泊まる機会があるなという印象が。
 
そんなこんなで、午後6時半からの打ち合わせは無事に8時に終了。
先方に指定されたのが御茶ノ水駅前の路地にある小さな喫茶店だったのだけれど、これがまた良い感じの店だった。
 
「ここね、それこそ私が学生の頃からある店なんですけれども」
と、この店を指定した壮年のおじさまがおっしゃるくらいだから、もう何十年も前からこのままの形で残っているお店らしい。
 
アイスコーヒーも美味しかったし、ケーキセットはどうでしょうと勧められて同席の皆で注文したケーキも昔懐かしいような味。ヨーグルト多めという風のレアチーズケーキのまわりには、バナナやキウイ、オレンジにリンゴに缶詰の桃……と、フルーツ屋さんのプレートのようにたくさんの果物が盛られていたのがすごかった。
 
打ち合わせが終わると、ちょうどだんなが息子と合流したところで「これから夕御飯」というタイミング。仕事がなかなか終わらなかった(息子に職場ビルの入り口ソファで待っててもらったそう)分、もう職場に戻らなくても良さそうだよと、ホテルの部屋で落ち合ってそのまま飲みに行くことになった。
 
先にチェックインしただんなたちからの連絡で部屋を目指すと、格安の低層階スーペリアルームの予約だったはずなのに、そこはなぜか最上階のスイートルーム。ホテル側の手違いで予約した部屋がオーバーブッキング状態になっていたそうで、グレードアップしてくれたとのこと。……でも、グレードアップにもほどがある……というか、とにかくびっくり。
 
「いや……広いのは嬉しいけれど、広すぎて落ち着かないよこれ……」
という印象。ドアを開けると数メートルほどの「廊下」があり、その先は幅8mほどの壁面が全面窓になっているリビングルーム。見事な夜景が見下ろせて、5人がけの大型ソファに6人がけダイニングテーブル、バスルームは2ヶ所、洗面所も2ヶ所。ベッドルーム脇のトイレにはビデまであった。
 
息子は大変に大喜びで
「ここに1泊?1泊しかできないの?」
と。いや、1泊しかしない(しかも元々明日の午前10時にはチェックアウトしなければいけないプランだった)からこそ、こういうお部屋にしてもらえたんだと思うよー……。
 
全く予想だにしていなかった「赤プリのスイート」、部屋から出るのも惜しいような気がしたけれど、ともかくも御飯を食べに赤坂の町へ。だんなが「心あたりのあるお店が1つあるんだー」と言いつつ、危なげない足取りで小さなビルの3階にある中華のお店に連れていってくれた。店名は「黒猫夜」、エレベーターを降りると、すぐ目の前に愛嬌のある黒猫の顔型の提灯が3つ並んでお出迎えしてくれた。
 
薄暗い店内はたいそうな混雑ぶりで、空席はカウンター席のみ。カウンターで良いです、と席につくと、目の前には中国の白酒の入った大きなカメが並んだ棚があり、私の眼前には「十宝酒」とラベルのついた大きなガラス瓶。中にはひからびたタツノオトシゴとか、その他良くわからない漢方薬じみたものが色々入っていた。……おお、面白い店だ……。
 
料理もちょっと独特なものが多く、日本語よりも中国語が目立つようなメニューには「カエルの○○」といったものも。
 
突き出しは湯葉と水菜とセロリの酢の物、ゴーヤーと大根のピクルス、胡麻をまぶした揚げピーナッツ。
「夏の前菜盛り合わせ」は、紹興酒風味の甘海老と枝豆、とうもろこしの天ぷら、ゴーヤーと大根のピクルス、イカとトマトのマスタードソース和え、タコの山椒ソース、鴨肉の薫製。
 
蟹肉たっぷり貝柱たっぷりの冬瓜のあんかけも良かったし、コラーゲンがブリンブリンした食感のスペアリブの豆鼓蒸しも美味しかった。値段はそこそこ良いものだった(さんざん飲んだせいもあって、お会計は15000円くらい)けれど、この空間とこの魅惑的なメニューとこの充実した中国酒の品揃えは良いなぁ、素敵だなぁ、と、ものすごく気に入った。元々だんなも友人に連れてきてもらったお店なのだとか。メニューなどがわかる看板が外に出ているわけではなく、一見で入るのはかなり勇気が要るお店だと思う。
実に味のあるメニューでした  
で、せっかくだしと、今日はこれまでほとんど飲んだことのない「白酒」に挑戦。
 
最初に小サイズの生ビールで喉を潤した後、メニューから好みのものを選べる「3種飲み比べセット」を頼み、続いてメニューに添えられたイラストがあまりに良い味だったので思わず頼んでしまった「パンダロック」(右写真)、そして新入荷の酒と紹介のあったものを最後にロックで1杯。
 
白酒のアルコール度数は35度〜60度と幅があり、弱いものなら焼酎や泡盛と変わらないけれど、強いものになると喉が焼けるように熱くなるものも。無色透明の蒸留酒だから、感覚としては焼酎や泡盛に近いものがあり(実際、常温ストレートで飲む他にロックで飲んだりもする)、でもその香りはかなり独特なもの。私は異国の香りという風で好きだなと思ったものの、一歩間違えると「臭い」になってしまいそうな強い芳香でもある。
 
ストレートで出てくる飲み比べセットで、先の「十宝酒」も選んでみたけれど、白酒なのにすっかり琥珀色になっていた酒は、いかにも「精がつきますよ〜」という味がした。他の白酒は草原の草のような香りと屋台街の雑多な匂いが混ざったような風味がある(というか、台湾とかの屋台街でたびたび嗅ぐ匂いはこの酒の匂いだったんだなと合点した)けれど、十宝酒は明らかに漢方薬っぽいような埃っぽいような風味だった。面白いけれど、これは養命酒のようなもんだなと。
 
ちなみに飲んでみたのはこんなお酒↓(コメントはメニューに載っていたもの)

金六福(38度)
「香・醇・濃・甜・綿・浄」の6つの要素が融け合う香り高く調和のとれた白酒
洋河大曲(55度)
中国18銘酒の一つ。洋河の美人泉と呼ばれる良質な水とコーリャンを使った旨き逸品
十全宝酒(53度)
数十種の漢方を用いて当店で特別に調合した健康酒
パンダロック
山西省の秘峡の地 月夜の晩に熊猫が竹から蒸留した白酒を飲んでるらしい

あれこれ飲んだ結果、私が好きだったのは「金六福」。深い香りに丸い味、ほのかに甘さも感じるお酒だった。中国のお酒というと紹興酒だけれど、そして紹興酒も大好きだけれど、白酒の風味も良いものだなぁと、今日は新しい境地に至れた気分。
 
ちなみに「パンダロック」は、白酒にライムジュースとシロップを入れ、氷を入れたもの。酒器は竹を切ったもの。それはまんまブラジルのカクテル「カイピリーニャ」を彷彿とさせるもので、
「おお、これ、カイピリーニャそのものだ……なんかこう、一気に"シュラスコ食べますか?"という気分になってきた」
「肉あるよ、ほれ、スペアリブ」
などとだんなと盛り上がりつつ、それまでの3種飲み比べの常温ストレート白酒とうってかわってぐいぐい飲めるパンダロックを堪能したのだった。
 
うっかり最後に土鍋の炊き込みご飯(自家製なのだというチャーシューや腸詰がたっぷり乗っていて、仕上げに中国醤油ベースのたれをかけて混ぜ合わせる……美味しかったー……)までいただいてしまい、しかも「残しちゃったら持ち帰れますか?」と確認までしたのに(土鍋御飯ならOKとのことで)うっかりだんなと2人で全部食べきってしまい、すっかり満腹になってお店を後にした。
 
部屋に帰ると、遅めの夕御飯だったこともあってもう10時を回る頃。
2ヶ所のバスルームで効率よく入浴を済ませ、早々にベッドルームに引っ込んだ。息子は「寝るのがもったいない、こんないい部屋、寝ちゃったらもったいない」と呟いていたけれど、睡魔には勝てず、早々に眠りに落ちていった模様。

8月26日 水曜日
今日は午後からこんなものばかり食べて6時間
「グランドプリンスホテル赤坂」内「Top of AKASAKA」にて
 朝食ブッフェ(20%OFF) \2160

ホテルに泊まると「せっかくの風景を見えなくするのはもったいない〜」とばかりにカーテン全開で寝てしまうことが多い私。で、夜明けの光でそのままばっちり目を覚ましてしまうのも毎回のこと。
 
「5時半……うん、今日も早起き……」
昨夜けっこう飲んだ割にお酒も全然残ってないし、と、一人巨大なダイニングテーブルで昨日の日記を書いていたら、だんなも「なんか、足つった……」と早々に起きてきた。まだ時間あるしとのんびり朝風呂を楽しんでから、朝食へ。
 
この赤坂プリンスホテル(今は「グランドプリンスホテル赤坂」なのだそうで)へはブランチにと週末の午前中に母と来たことがあるけれど、それももう15年くらい昔のこと。なんだか懐かしいなぁと、家族で連れだって最上階のレストランに向かった。
 
オープンしてまだ数十分しか経っていない頃合いだったというのに、ブッフェ朝食用のレストランは既に大混雑。「向かいのレストランがすぐにオープンしますので少々お待ちください」と案内があり、5分ほど待って臨時オープンした「Top of AKASAKA」での朝食になった。内容は隣のブッフェレストランと同じ。
 
ブッフェ台がごった返すような混雑の中、脇の目立たないところにあったシェフが焼いてくれるオムレツ台を見つけ、誰もお客さんがいなかったのを良いことに、まずは家族で1個ずつオムレツを焼いてもらう。具のないプレーンオムレツで、トマトソースかクリームソースをかけてもらえる。
 
だんなが思い立って冷菜コーナーのチーズを「これも入れていただけますか?」と聞いてみたら「喜んで」とのこと。息子も真似してチェダーチーズを入れてもらっていた。
「チーズだけでいいの?なんでもいいよー、ダメなものはダメって言うから、何でも持って来ていいよー」
と高いコック帽をかぶったコックさんが息子に笑顔で話しかけていた。チーズオムレツにしてもらえて良かったねぇ。
 
パンはデニッシュ類や食パン、テーブルロール、目玉焼きにスクランブルエッグにハッシュドポテト、野菜炒めに茹でブロッコリー、ベーコンは柔らかいのとカリカリのとの2種類、スープは1種類コーンスープのみ。ジュースはアップルとグレープフルーツとオレンジジュース。ヨーグルトにソース2種類、フルーツカクテル、パイナップルとグレープフルーツとオレンジ。あとサラダ類諸々。和食の用意もそれなりに、でもあまり種類が多いとは言えない感じ。
 
定価2700円、宿泊者割引で20%OFFの2160円のこのブッフェ、2160円ならこんなものかな、と思うけれど、2700円だとすると他のホテルにちょっと負けるんじゃないかなー……という内容だった。
 
横浜のロイヤルパークホテルの朝御飯あたりが素晴らしかったなー、という記憶が蘇る。あと忘れられないのが、宮崎のシェラトンホテルの朝御飯。ブッフェ台に炭火が用意されていて、そこで自分で軽く炙って盛りつける、鯖の塩焼きがものすごく幸せだった。
 
惜しむように食後の1時間ほどを部屋で過ごし、だんなは出勤、私と息子は六本木ヒルズに移動。
 
午前中は、森ビルの主催による「六本木ヒルズの安全の“ヒミツ”探検ツアー」に息子と参加。たまたまwebサイトを見ていて案内をみつけ、「小学校4〜6年生・原則として保護者同伴」という対象年齢とその内容に興味を惹かれて息子を誘ってみたのだった。運良く当選し、行ってみることに。
 
森ビル内に入り、通常時は一般公開されていない巨大都市模型(東京オリンピック招致に使われてテレビに何度も出ていたもの)を眺めつつ、スライドを見ながらのレクチャーを挟み、六本木ヒルズの建物の免震、耐震構造について学んだり、災害時の対策について学んだり。
 
「逃げ出す街から、逃げ込める街へ」をコンセプトにした街作りをしているのだそうで、ここに務める森ビル社員皆、自宅と職場に災害時用のつなぎの作業服を持っているのだそう。災害時に使うための井戸があり、7万人分ほどの食料品の備蓄もあり、そして何より六本木ヒルズ内の電力を3日分ほどまかなえるだけの自家発電能力を備えているのだそうだ。通常は都市ガスを使用した発電をしており、災害時にガスが止まった場合は「灯油」での発電に切り替わるのだとか。
 
六本木や汐留の再開発のせいで海からの風が遮られて都心の気温が云々……といった話も聞いたりしたことがあるけれど、ここで働く災害対策担当、防災担当などの人々から聞く話は、担当者それぞれの夢や希望を感じさせるものでとても興味深いものが多かった。
 
お土産にと保存食(缶入りのリッツ、アルファ米、乾パン、水など)や、横浜の森ビルの屋上で育てているミツバチが集めたのだというハチミツなどなどの紙袋いっぱいのお土産をもらって、午前中で終わったイベントを後にして一路渋谷へ。友人と待ち合わせて、カラオケボックス「PASELA」のモンハンイベント「狩人達の宴 Final」でお昼御飯。

PASELA渋谷グランデ「狩人達の宴 Final」にて
 こんがり肉 \1500
 フルフル皮の生春巻き \600
 超爆!小タル爆弾コロッケ \700
 幻獣チーズのクアトロピザ \800
 チャチャのいたずらシュー \500
 オグラウカムルバス \400
 ドリンク(生命の粉塵) \500
 ドリンク(強走薬) \500
 お酒(達人ビール) \700
 お酒(極上ヤド真珠) \700
 お酒(古龍の血) \700
 お酒(ウラガンキン) \700
 お酒(漆黒の迅竜) \700
 お酒(ホピ酒) \600
 お酒(黄金芋酒) \600
 
渋谷PASELAにて
 チャチャハニトー \900
 メラルーバーグ \900
 厳選キノコのクリームパスタ \900
 生ビール
 
大人2人子供1人で良く喰い良く飲みました……

ゲーム「モンスターハンター」に登場するアイテムやモンスターを彷彿とさせる食べ物飲み物を楽しみつつ、各テーブルにはテーブルタップが用意されて「食事ついでに狩りもどうぞ!」という感じのこのイベントは、ついに今回「ファイナル」なのだとか。
 
息子が行きたいと騒いでいたし、ちょうどこのタイミングで「会う?」「会いましょう!」という風にモンハン友達と盛り上がったので、そのままの勢いでここに行ってみることにした。ぶっちゃけ、言葉遊びに過ぎない感じの食べ物飲み物も少なくないし、更にぶっちゃけ、美味しいとは言えないものもあったり……なのだけれど、「こんがり肉」とか「回復薬」あたりは笑ってしまいそうなほどにゲームに出てくる外見まんまな感じでとても素敵だ。
 
「古龍の血!これさえあれば……3(トライ)で武器が強化できるのに……」
なんて冗談言いつつ、遅めの昼御飯で空腹だったものだからずいぶんあれこれ食べてしまった。お酒も色々あったので、つい友人と一緒に片っ端から注文。 
「5000円ごとにオリジナル缶バッジプレゼント!」なんてキャンペーンもやっているものだから、
「もしかして、あとちょっとで1万円になったりするの?」
「あと数百円というところですかね?」
と、計算して「あと600円〜!」と慌てて追加注文などしてみたり。もうPASELAの思うつぼ、という感じにお金を落としてきた。
上手に焼けました〜  
右の写真は、定番の「こんがり肉」と、生春巻きを解体して(というか包まずに)、具の上から春巻きの皮をバサッとかけた風の「フルフル皮の生春巻き」。
 
息子が両手で肉持ってかぶりついている間に、私と友人は
「うわぁ……ほんとにフルフルの皮みたい〜」
などと、話しながらミルク風味のお酒にタピオカを入れた「極上ヤド真珠」なるものを飲んでみたり、ジュースとビールを合わせたカクテルっぽい「達人ビール」を飲んでみたり。
 
「幻獣チーズのクアトロピザ」は要するにただのチーズピザだし、「オグラウカムルバス」は「小倉」餡乗せのかき氷(シロップはみぞれ)。モンスターが飛ばす火山岩をイメージしたのだろう「ウラガンキン」という新モンスターの名前のドリンクは、タバスコ入りの真っ赤な氷が浮かぶ異様に辛いカクテルだった。見た目は楽しいけれど
「辛い、これ辛いです……」
と、辛いもの好きの友人でさえ「飲めば飲むほど辛くなります……」と涙目になっていた。
 
全体を見ると「これってどうよ」と思う食べ物飲み物もある中、でもモンハン好きばかりが集まる空間はやっぱり楽しかった。友人が「G級ミラルーツ」「G級怒りラージャン」のクエストを終わらせていなかったので、「では3人でやりましょう」と過酷なそのクエストを終わらせて、そんなのやりながら「黄金芋酒」という名の芋焼酎を飲んだりしていたものだから、最後はけっこうな酔っぱらいに。
 
「そういえば、この会場じゃなくて、カラオケボックスの方のパセラに行ったらまた別のモンハンメニューがあるらしいよ〜」
と、酔った勢いでカラオケボックスに移動して、最後はハニトーとメラルー(猫)型のハンバーグ、「厳選キノコのクリームパスタ」という名前の要するにクリームソースのきのこスパゲティを食べつつ、カラオケも少々。
 
「次はWiiのオンラインで会おうねー」
「一緒に狩りしようねー」
とお別れして、帰宅するともう9時を回っていた。夏の最後の最後に大変に充実した1日だった。夏休みに残るイベントもあと1つだけ。

8月27日 木曜日
とても素敵なクッキーです
お茶漬け(鯛の生茶漬け)
麦茶
ヨーグルト

昨日は色々と重いものを食べたので(何が重いって……ハニトーが)、今日の朝御飯は少なくとも自分の分は軽くにしようかなと思っていたところ、だんなの帰宅も大変に遅く、だんなもだんなであまりガッツリした朝御飯は食べられない様子。結局、家族皆でお茶漬けを啜ることになった。
 
先日に続いて、私は今日も「鯛の生茶漬け」を堪能。永谷園のお茶漬け海苔を使うよりも幾分甘く仕上がる、でもあっさりした味の磯味のお茶漬けで良い感じ。
今日明日は何も予定がないのでしっかり働かなければならぬ。

ひやかけうどん
穴子の天ぷら
麦茶
 
「村上開新堂」のクッキー
アイスティー

「銀行とか行くついでにお昼御飯調達してくるけど、何がいい?」
昼間近になって仕事を一段落させて息子に聞いたら
「冷たいうどん。透明な冷たいだしかけて、揚げ玉乗せて、少しだけお葱乗せたのを食べたい」
……すごく具体的なリクエストをされた。
 
息子にとって「冷たいうどん」は讃岐うどんの「ひやひや」に他ならない。醤油の色が強い関東のうどんのだしを添えたりすると「……黒いね」とダメ出しされる。いりこの味がするような、黄金色の透き通るつゆが良いんだよね。私もその方が良い。
 
だしは、以前冷凍の讃岐うどんを買った時の残りがまだ何かあるし、うどんも冷凍庫に入っている。じゃあお出かけついでに揚げ玉見てくるよ、でも揚げ玉無かったら天ぷら買ってくるねと言い置いて駅ビルを見に行き、天ぷら買って帰ってきた。私は穴子天、息子は海老天と芋天。
 
「この箱、何?」
昨日からダイニングテーブルに置かれている地味な茶色の包みが息子は気になる様子。
「昨日お友達がくれたの。ていうか、そもそもこれ差し上げたいんですけれど、いつかお会いできますかってメールが来て、で、だから会ったのよ」
なんでも、予約しなきゃ買えないクッキーらしいよ?と、茶色い油紙様の包みを開くと、ロゴ入りのお店の包装紙。それを開けると紅白の紐で縛られたカードつきの包み、更にそれを開けると、このうえなくシンプルなピンクの四角い缶が出てきた。中にはぎっっっしりと、たくさんのクッキーが。
 
「今風じゃなくて、昭和の味って感じのクッキーなんですが美味しいんですよー。でね、箱に区切りとか区分けがなくて、クッキーがぎっしり詰まってるんです。クッキーの緩衝剤にクッキーが使われているような、そんな感じで」
と教えてもらって、教えてもらった時は「ほう?(どんなんだろ?)」という印象だったのだけれど、箱を見てなるほど、笑ってしまうほどクッキーばっかりだ。
 
「クッキーの緩衝剤にクッキーが使われている」は正しい表現で、そりゃもう縦横みっちみちにクッキーが詰められているのだった。緩衝剤のような薄緑色の小さな抹茶メレンゲを何の気なしにつまむと、これがとても美味しい。しっとりしたものではなく、全体的にカリカリコリコリとした固めの食感のクッキーは、懐かしいような味がした。紅茶葉入り、ココア味、と色々あって、それが何層にもなって詰まっている。
 
このクッキーの、お店の名前は「村上開新堂」。
いくつかクッキーをつまんだ後に店名を検索してwebサイトを見つけたのだけれど、サイト内の記載によると

当店は創業以来手作りを続けておりますため、一日に出来ます量が非常に限られております。そのため、ご紹介いただいた方にのみ、ご予約にてご用意させていただいております。皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、初めてご注文されるお客様は、当店をご利用いただいております方からご紹介をいただき、お名前をご登録いただいた後にご予約を承っております。

とのこと。なんと、「予約しなきゃ買えません」に加えて「紹介されなければ買えません」というお店だったとは。クッキーに手を伸ばすスピードを思わず落としてしまいつつ、でも昼下がりにポリポリポリポリ食べまくってしまった。

冷や奴・茹で枝豆・水菜のおひたし
サンマの塩焼き 大根おろし
豆腐と油揚げの味噌汁
羽釜御飯
麦茶

今日は久しぶりに家での食事。お魚が食べたいなぁと久しぶりに魚屋を覗きに行ったら、それはそれは見事にブリブリと太った青光りのするサンマがたくさん売られていた。
 
一応、私の中では「サンマ(特にサンマの塩焼き)は秋の食べ物というイメージがあって、8月のうちはなるべく食べないようにしている……というか、食べてしまったら夏が終わるのを認めるような気分になってしまうので「食べたくない」というのが本音のところ。でも、今日のサンマ(1尾130円でした)はそれはそれは見事なサイズでいかにも美味しそうなものだったので、「もう夏休みも終わるしね」とついに(私の中での)サンマ解禁。
 
ごくごく普通に塩焼きにして、おろし醤油とすだちを添えた。炊きたて御飯と、味噌汁は定番の豆腐と油揚げ。あとはあまり凝ったものを作りたい気分でもなく更に言えば時間もなく、あとは冷や奴・茹で枝豆・水菜のおひたしという組み合わせ。「おかかと生姜添えて醤油かけるだけ」「茹でて塩するだけ」「茹でておかか醤油かけるだけ」という簡単なものばかりで、御飯の蒸らしが終わって炊けて魚が焼けたらすぐ夕御飯。
 
今シーズン初の「焼きサンマ」はかなり幸せなものだった。猫たちには買い置きのマグロのアラをやって誤魔化していたのだけれど、誤魔化しきれない焼き魚の匂いに「これはなんですカー?」「美味しいモノですカー?」という風に猫たちが台所をうろうろしていた。塩をふってしまったからお裾分けは断念して、人間は1人1尾のサンマを堪能。とろけるようなホクホクの身が最高に美味しかった。

8月28日 金曜日
今日のおやつ、昨日の写真のクッキーいろいろ
「サンジェルマン」の豚カルビ&ポテト
飲むヨーグルト
葡萄(デラウェア・藤稔・アジロン)

昨日、ちょっと久しぶりに「サンジェルマン」にパンを買いに行ったところ、「豚カルビ&ポテト」なる新商品が。「豚カルビとポテトサラダをのせた、暑さに負けない調理パンです」とのことで、思わず家族の人数分買ってきてしまった。ポテトサラダがトッピングされてはいるけれど、豚カルビなら温かい方が良かろうと適当にオーブンで温めてからテーブルへ。
 
3種類の葡萄もまだまだ残っているのでこれも出し、生協で買った飲むヨーグルト(←息子がいたく気に入ってしまい、毎週注文しろとうるさい品)を飲み飲み朝御飯。
 
「豚カルビ&ポテト」は、なんというか「おお……豚カルビだ……」という味。焼き肉がしたくなるような味の朝御飯で、胡麻をたっぷりまぶしたパンが香ばしくて良い感じだった。

「Soup Stock Tokyo」の
 玉葱と鶏肉のカレー
トマトとキュウリのバジル風味サラダ
アイスティー

今日も朝からお仕事……なんだけど、居間で息子がやっているゲームが気になってうずうずしてしまう。
 
モンスターハンター、PSP版は、携帯ゲーム機持って顔つきあわせることで4人一緒に狩りを楽しむことができたけれど、Wii版はオンラインで4人同時プレイが可能。ただ、回線に繋がなければいけないから、「家族3人+友人1人」といった組み合わせでは楽しめないのだった。
 
気心知れた家族と遊べないのではオンラインの楽しみはあんまりないなぁと思っていたのだけれど、先日会った友人が「今度一緒に狩りしましょうよー」と。彼女もWii版モンハンをやり始めたところだった。
 
で、それならと数日前にオンラインプレイができるように登録を済ませてみた。とりあえずは「20日間お試しキャンペーン」期間ということで無料。その後は90日遊べるチケットが2000円で購入できるのだそうだ。
 
私は、「まだUSBキーボードも持ってないし、まだ村クエも全然進んでないし、知らない人と一緒に狩りに行くのは……ちょっとなぁ」と、せっかくのオンラインなのに1人でキノコ掘ったり肉焼いたり魚追っかけたりし始めたところだけれど、息子はいきなり知らない人と適当にコミュニケーション取りながら一緒に狩りに出かけている。見るたびに違う人と一緒に何やら色々やっていて、楽しそうで羨ましくもある。……週末にUSBキーボード買ったら私もやってみようかな……。
 
で、私は午前中はおおむね仕事しつつ、息子とちらりと交代して狩りにも行きつつ、あっという間に終わってしまった。昼御飯は、「Soup Stock Tokyo」のカレー。冷凍のが「三越くらしの御用達便」で扱っていたので夏休みの昼御飯にと買っておいたものだ。「玉葱と鶏肉のカレー」という一番食べやすそうなものを選んだそれは、1人分。昼御飯には半分食べるくらいでちょうど良かろうと、御飯茶碗2杯分くらいの冷凍御飯を解凍して息子と分け合った。
 
意外にちゃんとスパイシーで、でもさほど辛くないカレーはとても食べやすいもので、スーパーで買うレトルトカレーよりはずっと美味しかった。簡単に用意できる昼御飯、しかも美味しい、と満足しつつ、刻んだトマトとキュウリをバジルの葉と塩とオリーブ油で軽く和えて、ピエトロドレッシングも少々かけたサラダをつまむ。

水菜とじゃこのサラダ
シャモ肉親子丼
豆腐と油揚げの味噌汁
麦茶

夕御飯は親子丼にしましょうか、と提案したら、息子大喜び。
普通のおかずよりよっぽど簡単にできるから、私にとっては「手抜きメニュー」だったりするので、その喜びように少し後ろめたさを感じつつ、冷凍庫に買い置いてあったシャモ肉を解凍して親子丼作り。そぎ切りにしたシャモ肉は醤油で数分揉んでおき、だし汁に味醂を加えて煮立てたところに長ねぎとシャモ肉を醤油ごと加え、溶き卵を流し入れて木べらでゆっくりかき混ぜながら半熟に火を通したらできあがり。
 
あとは昨日の残りの味噌汁と、和風ドレッシングを添えた水菜とじゃこ、玉ねぎ、プチトマトのサラダを用意して、昨夜に続いて家での夕御飯。
今月は本当に料理らしい料理をしない日ばかりだったから、「あれ、塩がない!」とか「味醂もあんまりないじゃん!」とか色々至らないところが多くて、この週末のうちになんとか「日常」に戻したいところ。8月も残り3日。

8月29日 土曜日
夕飯のシメは「煮穴子一本」
「サンジェルマン」のコーンパン
ソーセージ&目玉焼き
アイスカフェオレ
白桃ヨーグルト

爽やかな朝、息子は6時半頃から今日も元気にモンハン中。
 
今日はなんでも、六本木にあるアメリカ大使館宿舎で「Friendship Day Celebration」(案内フライヤーのpdfがこちらに)が開催されるとのこと。入場料は1人1000円で誰でも入れ(ただし入場には写真入りの身分証が必要とのこと)、入ってしまうとビールやソフトドリンク、スナック類が実質飲み放題食べ放題、安価な価格で屋台料理(バーベキューとかホットドッグとか)が供される、アメリカ大使館のお祭りみたいなものなのだそうだ。
 
「行ってみない?」
とだんなに誘われ「行くー、行ってみたい」と答えたものの、昨夜も激ジョブで深夜帰りだっただんなは10時を過ぎても起きる気配がなく、息子は息子でオンラインゲームをお楽しみ中。だんなも午後からは友人と別の用事があるとのことで、
「今から行ってもなぁ……もう1時間も居られないって感じだろうし」
とフレンドシップパーティーに行くのは諦めた。たいそうな混雑だと聞いているし、何より青空の今日は久しぶりに夏らしい蒸し暑さ。ちょっとやる気も出なかった。
 
で、かなり遅めの朝御飯は、コーンパンを温めつつソーセージと卵を焼いて。「桃、リンゴ、みかん」の3種類2個ずつのセットだったヨーグルトを
「僕、りんご〜」
「じゃあ俺みかん」
「私もみかんかなぁ……」
「僕、みかんも食べたい!みかん食べてない!」
「私、白桃とみかんはどっちも食べてないよ」
と、ぎゃあぎゃあ話し合いしながら適当に分配。私の取り分は白桃ヨーグルトだった。

千葉 「銚子丸」にて
 ししゃもの唐揚げ
 鯨のすじ肉の煮込み
 金目鯛炙り握り
 サンマ握り
 銀ダラ炙り握り
 ブリ握り
 ホッケとろろ軍艦
 マグロ中落ち軍艦
 カニサラダ軍艦
 銚子丸巻き
 煮穴子一本握り
 つみれ汁
 生ビール
などなど

かなり遅めの朝食食べて、だんなはお出かけ。私はどうにも眠くて、ベッドでごろごろしながら「いってらっしゃーい」とだんなのお見送りをしたところ、
「おゆきさん眠いの?はい、安眠グッズ」
と、居間で寝ていたりゃんりゃんを連れてきた。
 
これがもう効果抜群で、「ご主人の横でくつろぐニャ」と言わんばかりに寝そべってゴロゴロ言い始めた猫と、「あったかくてフワフワなのが来た……」と幸せな気分になった私で、そのままくっついて3時間ほどお昼寝。
 
毎度のことだけれど、私の脇腹にくっついて寝るりゃんりゃんは数時間するとゲル状の物体のようにグニャグニャになり果てて脇腹にべったりくっついたまま伸びてくる。今日も私が目覚めた時には、私の胸あたりから腿あたりまでにかけて伸びきった猫が、腹を上にして爆睡中だった。動物として、その無防備さはいかがなものかと思う。猫のくせに寝言とか言うし。
 
「夕飯はどうするの?お友達と食べてくるのが前提か、家で食べるのが前提か……私と息子、千葉にお買い物行くから、帰ってくるなら待ち合わせして一緒に銚子丸とかってのも」
と朝食食べながら話したら、だんなが「それだ!」と乗ってくれたので、夕飯は待ち合わせてお寿司食べて帰ることにした。
 
いよいよ季節到来とばかりにサンマの握りを早々にもらいつつ、金目鯛の炙りとか銀ダラの炙りなども1皿貰ってだんなと半分こ。ビールのアテにとししゃもの唐揚げと鯨の煮込みを貰ってみたところ、揚げたてのししゃもが香ばしくてかなり良い感じ。今日もおおむね全部の皿をだんなと分け合いつつ、すっかり空腹だったこともあってずいぶん色々食べてきた。
 
「やっぱカニサラダ美味しいよ」
「そう来ますか……」
と、先日の"家手巻き"が美味しかったものだからカニサラダにも手を出してしまいつつ、あとはオススメの品からブリなども。夏の間はあまり脂の乗っていないあさりとした味の魚が多かったような印象があるけれど、これから寒くなるにつれてあれこれ脂の乗った魚が出回り始めると思うとちょっと楽しみ。
息子も淡々と蕎麦や玉子握りなどを堪能していて、なんだかんだで大荷物になりつつ帰宅。
 
「はいこれお土産。今日、友達と話してきたお店のお茶請けがすごく美味しかったから買ってきた」
と、キャラメルをもらった。おおー、なんか変わったキャラメルだな。美味しそう。

8月30日 日曜日
ガスパチョのソースを添えた蟹のミルフィーユ仕立て。うま!
バタートースト
アイスカフェオレ
葡萄

「トーストにしますか、ハム焼きますかー?」
食パンがあるんです、とだんなと息子に聞いたら「普通にトーストで」とのこと。これから出かけるし昼御飯も少し早めにする予定だしということで、トーストと葡萄だけの簡単な朝御飯。息子愛用の「いちご砂糖」を少しもらって私もトーストにパラパラかけてみた。

汐留 「海南鶏飯」にて
 海南鶏飯(揚げ) \950
 生ビール(タイガー) \650

今日はお台場方面に夏休み最後のイベントでお出かけ。
夏休み最後の週末、お台場はどこも混雑しているだろうなぁと、まだ少しは空いていると思われる汐留で早めの昼食ということになった。
 
「カレッタ汐留のドンピエールって、もうなくなっちゃったんだよね」
「小龍包屋さんあったじゃん、あのへんは?」
などと言いながら歩いていて、「そういえば海南飯屋さんもあった!」と思い出した。
 
海南飯は良いよね、それがいいねと盛り上がって、目指したのは「海南鶏飯」。「海南鶏飯」は揚げと蒸しがあり、それぞれ1つずつ取ってだんなと半分こ。生(!)のタイガービールもあるとのことで、ついついそれも1杯ずつ。海南飯には今ひとつ興味のない息子は、きしめんを中国醤油(甘醤油)で炒めた「チャー・クェ・ティアオ」という麺料理を選んでいた。
 
自分の家でも作るから、外で海南飯を食べる時はつい色々観察してしまうのだけれど、ここのお店の3種のタレは「葱生姜の油和え・シンガポールチリソース・中国醤油」の組み合わせ。量は若干軽めな感じながら、フクフクと柔らかい蒸し鶏も、クリスピーな食感が気持ち良い揚げ鶏も美味しかった。
 
「おゆきさん、御飯多かったらもらうよ?」
と言ってくれるだんなに
「多くない。食べる。食べられます」
と御飯茶碗を抱えて離さなかったところ(実際、御飯の量はかなりたっぷりめだった)、「そんなに海南飯が好きなのか」と理解されてしまったらしい。確かに、普通の定食屋さんとかだと「御飯多いからもらってください」と言うのが最近の常だったから、我ながらそんなに鶏スープで炊いたタイ米の御飯が好きなのかと。
 
で、お台場に移動して、今日は息子にとっての夏休み最後のイベント、MEGA WEBで開催の「からくり自動車を作ろう」に行ってきた。トヨタのエンジニアの社員さんたちと共に、前輪がうねうねと面白い動きをする「からくり自動車」を作るという無料のイベント。2時間みっちりかけて、モーターだ車輪だ何だと、なかなか難易度の高い工作をがんばっていた。……これで、学校に提出する「工作」が最後の最後に1つ出来たかな……。
 
今年は本当に色々な「夏休みイベント」に行ったわけだけれど、「総括として、何が一番心に残りましたか?」と息子に聞けば「ナルタニア!」だそうで。
週刊少年ジャンプイベントの魔力の前には、どんなイベントも霞んでしまうようだった。私は、えのすいお泊まりも楽しかったし、万華鏡イベントもモノクロ写真の現像イベントも、どれも楽しかったなー。特に万華鏡イベントは、「こんなに綺麗なものだったんだ!」と私は新しい世界に開眼してしまった。テーパードミラー万華鏡が欲しいなと密かに思い続けている。

青山 「Cucina Tokionese Cozima」にて
 生しらすのブルスケッタ
 マッシュルームの一口スープ
 牡蠣の冷たいカッぺリーニ キャビア乗せ
 蟹と夏野菜のミルフィーユ仕立て
 秋刀魚のコンフィ 夏野菜のソース
 ムール貝のラグーのスパゲティ
 じゃがいも入りジェノベーゼのリゾット
 フランス産ホロホロ鶏のフォアグラ&トリュフ巻き
     トリュフマッシュポテト添え
 ザバイオーネソースを添えたコーヒーゼリー
 ハーブティー
 
 生姜風味のスプマンテ
 白ワイン(2002 Vitovska Vodopivec)

そして夕方になって、南青山に移動してCucina Tokionese Cozimaで夕御飯。
 
元「青山アクアパッツァ」のお店が「Cucina Tokionse Cozima」になって、明後日でちょうど9年。息子をベビーカーに乗せて初めて来たのはまだ「青山アクアパッツァ」の時代で、それから9年に渡るお付き合いのこのお店が明後日で無くなってしまうのはとても残念なことだけれど、シェフの小嶋さんは千葉の酒々井で新しいお店(店名は同じ「Cozima」)を10月に開くことになっている。この青山のお店には、「クローチェ・エ・デリツィア」にいらした齊藤シェフが来ることになり、店名は「Delizia」と装いも新たに数週間後にオープンの予定。
 
これで会えなくわけでもなく、小嶋さんの料理が食べられなくなるわけでもないけれど、このお店が無くなってしまうのを惜しみつつ最後に豪遊という運びになった。料理をおまかせで頼み、今日は息子も量を少なめにしてもらって内容は私たちと同じもので。小嶋さんの紹介で知り合うことになった玉緒さんも御一緒できることになり、
「私たちも7年目のおつきあいなわけですよ!」
などと話しつつ、4人でフルコース料理を存分に堪能してきた。美味しい料理と美味しいワイン、楽しい会話で、夏の終わりに相応しい夜になった。
 
全体的に魚介が多い印象だった今日の献立、最初のブルスケッタはにんにくを効かせた生しらす。淡い色、優しい味のマッシュルームの濃厚な一口スープに続いて、小さめに切った生牡蠣を和えた冷たいカッペリーニ。上にはちらっとキャビアも乗せられ、大きな岩牡蠣の殻をお皿にした美しい盛りつけだった。
 
そして、テリーヌのように固めた、蟹と夏野菜のミルフィーユ仕立て。茄子やオクラ、冬瓜やいんげんなどがたっぷりの蟹肉と組み合わせてあり、ほどよい塩気のガスパチョがソースとして皿に敷かれているのが美しかった。メインディッシュももちろん最高に美味しかったけれど、私はこの皿が今日一番のお気に入り。夏の匂いを凝縮したような皿で、続く秋刀魚で「ああ、もうすぐ秋なんだなぁ」という気分も盛り上がった。
 
続く温かい前菜が秋刀魚のコンフィ。こちらはビネガーの酸味を効かせた、細かめに刻んだ野菜と甘いトマトが添えられる。ほのかにワタの苦みを感じる秋刀魚は、でも骨まで食べられる柔らかさ。
 
「そうそうコンフィ。1尾50円とか30円とかいう価格になると、10尾くらい買ってきて一気に作りたくなりますよね」
などと話していたら、フロアスタッフのTさんが
「ええ、私も家で作ろうとしたんですけれど、母親が"油がもったいないから止めてくれ"って」
と笑いながら話してくれた。
 
そう、コンフィは油をすごくたっぷり(なにしろ水の代わりに油で煮るのだから)使う。保存も効くし美味しいし大好きなのだけれど、それなりのクラスのオリーブ油などを使うとなると、材料費だってばかにならないものになる。でも今年もコンフィ作りたいなぁ……秋刀魚のコンフィを乗せたサラダとかって、すごく美味しい。
 
軽めの量のプリモピアット2種類は、ムール貝をラグーにしたスパゲティと、じゃがいも入りのチーズたっぷりめジェノベーゼリゾット。"鮮やかな緑色の御飯"に息子は「なんだこれは!」とすごくびっくりしていたけれど、ジェノベーゼ自体は私もなんどか作って食べさせているし、「チーズとバターもたっぷりだよ、美味しいよ?」と勧めるとおっかなびっくりスプーンを動かし始めていた。
 
生しらすは苦手だとだんなに食べてもらっていたり、生牡蠣の冷たいカッペリーニはシンプルなトマト味のものに代えてもらったりはしていたけれど、今日の息子はコース料理をしっかり最後まで堪能していた。初めて食べる味のものばかりだっただろうし(それは大人の私たちもそんな感じだったけれど)、夏休みの最後にまた一歩大人っぽい世界に踏み込めたのではないかと。
 
メインディッシュはフォアグラとトリュフを組み合わせたフランス産のホロホロ鶏。これが最後とばかりに贅沢に黒トリュフが散らされていて、なんとも豪華。添えられたマッシュポテトにまで黒トリュフが混ぜ込んであって、これまたリッチな味だった。
 
個性的な濃厚めな白ワイン、とリクエストして出していただいたのが「Votovska Vodopivec」というワイン(自分用備忘録、取り扱い店1取り扱い店2)。Vitovska(ヴィトフスカ)はフリウリ州の地元品種とのこと。黒が基調の、シンプルなロゴと幾何学模様的なイラストの入ったエチケットもまた好みなもので、味もこれまた個性的な好みなワインだった。
 
色はまるでシェリー酒のような琥珀色で、「樽の香り」「バニラの香り」というのとはまた違う甘さを感じる香り。なのに味の方はかなりしっかりと辛めで、ゆっくりいただいて温度が上がってくるとまた香りと味がどんどん変化してくる面白い白ワインだった。存在感のある白ワインだったので、おかげでフォアグラとトリュフと共にいただいたホロホロ鶏にも似合っていた感じ。
 
大人っぽいデザートは、エスプレッソを固めたような、苦く濃厚なコーヒーゼリーにザバイオーネソースをたっぷりめに添えたもの。ゼリーの色がわからないほどのソースに覆われた「クリーム色の小山」のような可愛らしい見た目のドルチェは、でもかすかに酔っぱらった頭が冴えてきそうなほどにはっきりとした味。プチフールのフィナンシェをつまみつつハーブティーを飲み終わる頃には、土砂降りの雨も少し軽くなってきた頃合いだった。
 
明日は月曜日、夏休み最後の1日。私もいよいよ仕事をがんばらなくちゃだし、そろそろ気分を本格的に切り替えないと。

8月31日 月曜日
バボーンと、伏見唐辛子
「ANTONIO'S」のカルツォーネ(ベーコン&チーズ)
アイスカフェオレ
葡萄

昨日の夕方、渋谷駅前の東急のデパ地下をぷらぷら。広くはないけれど日本酒の充実ぶりが魅力的な酒屋を覗き、更に翌日の朝御飯を求めて混雑するフロアを歩いた。
 
トーストして、あとは美味しいハム買って行ってハムエッグでもしようか、なんて話していたところでイタリアンのお総菜屋「ANTONIO'S」を発見。息子が最近おおいにハマッているカルツォーネをみつけ、なかなか良い値段のそれを1人1個買ってきた。私と息子はベーコンチーズ、だんなはサラミチーズ。
 
包まれた生地の間からチーズがピヨーンと伸びてくる、食べ応えのあるカルツォーネ。トマトやオリーブが入っておらず、チーズの味を存分に味わえるところが息子のお気に入りポイントなのかもしれない。食後に3種類の葡萄をつまんで、今日は息子の夏休み最終日。
 
毎週月曜日は「三越くらしの御用達便」が届く日。三越で扱うデパ地下総菜とかお菓子のいくらか(毎週入れ替わるけれど、それほど種類は多くない)が注文できて、生鮮食料品は「大地を守る会」のものが届く。
 
実際に届けに来るのは「大地〜」の人という感じだし、注文書やカタログも基本的に「大地〜」のものをベースにしているから、三越のアイテムはあくまでおまけという感じ。……と、もう一度説明したくなるほどに久しぶりな感じに、今日は「ベジタS」の野菜セットが届いた。夏休み中は自炊の予定が全く立たなかったので、ちまちまとキュウリやトウモロコシを買うことはあっても野菜のセットを注文することはできなかったので、なんだかすごくご無沙汰という感じ。
 
今日届いた内容は
 ミニトマト180g ・ 茗荷1パック(けっこう大量……15個くらい) ・ さやいんげん130g ・ なす3本 ・ 伏見唐辛子1パック ・ スイスチャード1束 ・ 青梗菜1束
という内容。伏見唐辛子やスイスチャードが面白いけれど、さてどうやって食べようかなー。茗荷も大歓迎。近いうちに暑い日を狙って冷や汁にでもしようと思う。

トマトと玉ねぎのソースのスパゲティ
アイスティー

県や市や区の方針というわけではなく単に学校の方針らしく、息子の学校は「夏休みにしなければならない宿題」というものはほとんど無い。できればドリルの復習やってね、とか、興味あったら市のコンクール用の絵や作文に挑戦してみてね、とか、そのくらい。ただ、レポートでも工作でも良いから何か1つは提出してね、というくらいのものはある。
 
息子は夏休み中に行った万華鏡のワークショップが楽しかったらしく、万華鏡についてのレポートをまとめていた。中に入れるオブジェクトを工夫して何を入れるとどう見えるかまとめつつ、最後には覗くと対象が球形に見える「テーパードミラー万華鏡」についても解説して画像をまとめ、頑張っていた模様。私もお仕事を頑張っていた模様(模様?)。
 
お昼御飯は、夏休み用にと買って置いた冷凍のパスタソースを使っての簡単パスタランチ。
肉っ気のない、トマトと玉ねぎのソースは軽い酸味を感じるあっさり味。鶏肉あたりを塩焼きにして添えても良かったなーと思いつつ、軽めの量のスパゲティを茹でてさらさらっといただいた。

茹で枝豆
青梗菜と干し貝柱の炒め
しゃもと茄子、伏見唐辛子の甘辛煮
さやいんげんと油揚げの味噌汁
羽釜御飯
麦茶

野菜が色々届いた今日。さっそく美味しそうなところを使って夕飯にしてみた。
 
胸肉をメインにパック詰めされた冷凍のシャモ肉、焼くよりは煮て食べたいなという気分だったので、届いた茄子と伏見唐辛子と一緒に甘辛煮にすることにした。胡麻油で皮目からシャモを炒め、飾り包丁を入れた茄子、ごろりと大きな伏見唐辛子も入れてシャモの脂を絡めるように炒めた後、酒と味醂と醤油で味をつけつつ中火で10分ほど煮てできあがり。思った以上によく煮えてしまい、唐辛子の鮮やかな緑色を残すつもりだったので「しまったー唐辛子は後入れにすべきだったー」と少し反省。でも茄子も鶏も美味しく煮えていました。
 
あとは、ぬるま湯に浸けて戻しておいた干し貝柱を使っての青梗菜の炒め物を。干し貝柱の匂いが大好きなりゃんりゃんが「その美味しそうなモノをくれー」と台所でずっとニャンニャン言いつつうろうろしていたので、戻し終わったものをひとかけお裾分けしてあげたらマグロよりもレバーよりも「これ!これ美味しい!」と大騒ぎ。かすみさんは干し貝柱には全く興味がない(むしろマグロがある日に大騒ぎ)ので、同じ猫でも、まして親子でも、食べ物の好みは異なるものであるらしい。
 
数週間後に大型連休を控えているものの、明日からは静かな平日が戻ってくる。サンマも安くなるし、やっと「魚を買ってその日に食べる」ことが普通にできる毎日に戻ると思うと、ちょっと感慨深い。
 
伏見唐辛子は、「ハズレのししとう」みたいに、すっごく辛いものもあったりするのかしらと思っていたのだけれど、どれもししとうよりもマイルドなくらいのほろ苦さで美味しかった。息子は「唐辛子だ……でかい……」とおっかなびっくり。でも辛くないのよ。