食欲魔人日記 02年04月 第3週
4/15 (月)
ねぎ豚with御飯 (夕御飯)
ミニビビンバ
カニと白菜のチゲスープ(レトルトもん)
冷茶

一昨日の夜に作ったナムルは、そりゃもうすごい量だった。毎回、1袋のもやしと1束のほうれん草、1袋のゼンマイの水煮を基準に作ると、どうしてもゼンマイばかりが余ってしまったりする。ビビンバに欠かせない2大食材、もやしとほうれん草が最初に無くなることが多くて、毎回それが悲しかったりした。
で、今回はほうれん草2束にもやし2袋を使用。倍量できたナムルは、それはそれは充実した量だった。嬉しくなっちゃうほどに。

で、月曜の朝にビビンバ。
「わたしっ、少しでいいから、少しでいいから〜」
という母(母は、食べるときにはかなり食べるが、普段は少食)には3口分ほどの御飯を小さな丼に盛りつけ、息子にも同じくらい。私とだんなは普通サイズの丼に茶碗1杯分ほどの御飯をよそう。御飯少なめでも、上に5種類のナムルを次々盛りつけていくとかなりボリュームのある御飯になる。てっぺんにうずらの卵を1つ割り落とし、コチュジャンを少量入れ、スッカラク(←韓国のスプーン。あまり膨らみのない、平べったい感じの柄の長めのもの、合羽橋で買ってきた)でわしわしわしわしとかき混ぜる。

石焼きビビンバも美味しいけど、あったかい御飯に冷たいナムルを乗せて生卵を落として、というのも、それはそれでとても美味しい。数日たってナムルの味もまろやかになり、冷えた野菜の歯ごたえもシャキシャキと良い感じ。甘酢で和えた大根はほの甘く、にんじんもうっすらと甘い。しっかりと塩の味のするもやしのほうれん草。ゼンマイはこくのある醤油味。
「びびんば、おいしーねー」
と、息子はほうれん草とにんじんと大根のナムルを山盛りにして御満悦だった。保育園に向かう途中、自転車の荷台で
「びびんば、びびんば、びび〜んば〜♪」
と自作らしいビビンバソングを歌っていた。怪奇ビビンバ幼児……。

モスバーガーの
 野菜マリネとひな鶏のタンドリーチキンバーガー
 オニオンポテト
 モスチキン
 ベイクドチーズスティックケーキ
 ジンジャーエール

昨夜、「なんか具合が悪い……」と風呂も入らずに寝ただんなは、今朝になっても不調だった。ていうか、悪化している。本日、だんなはお仕事お休み。

「何か食べられそうですか〜?外食べに行く?それともカレーとか」
と聞いてみると、普段の風邪なら「炒飯大盛り!」とか言いながら外出してしまうだんなが、
「……うーん……モスバーガーみたいのが……食べたい。買ってきてくれる?」
と弱々しい。本当に具合が悪いらしかった(←失礼な)

病人には優しくしてあげねばならない。御要望どおり、モスバーガーで買ってきてあげることに。
「どのバーガー?」
「えっと……てりやきバーガー……」
「あと、モスチキンと?」
「……うん、それとコーラ……」
「おっけー♪」
と、モスバーガー最寄りのマーケットでドリンク類だのを買いそろえた後モスバーガーであれこれ買ってきた。

自分用には、期間限定もので一度食べてなかなか美味しかった「タンドリーチキンバーガー」を。生姜と醤油の下味がついたモスチキン、ポテトとジンジャーエール。
じんわりと異国の香りがするタンドリーチキンと酸味のある野菜のマリネが挟まったハンバーガーは、なかなかどうして美味しい。さっぱりしているもんだから、3個も4個も喰えそうな危険な味。

ねぎ豚
筍の土佐煮
ナムル盛り合わせ
大根と豆腐の味噌汁
羽釜御飯
モルツ、冷茶

今年の2月号、数ヶ月前の『dancyu』は豚肉料理の特集が載っていた。そこには旨そうな豚肉料理があれこれと載っていたけど、何しろ「ねぎ豚」なるものが美味しそうだった。鍋に長ねぎをみっしりと敷き詰め、そこに大ぶりに切ったバラ肉を並べていく。調味料は水1カップに紹興酒と醤油が1/2カップずつ。蓋をして1時間半ほど煮込んでいく。鍋の底にたまる水分は最初のうちはものすごく少ないが、火を通していくうちに肉から脂と、葱から水分がじくじくと染みだしてくる。そのうち肉にかぶりそうなほどの水分が出てきて、煮詰めていくうちにその旨味がまた肉と葱に戻っていく、という感じ。煮込むうちに、葱はトロントロンになり、肉も綺麗に茶色く染まった。

そして、嬉しいことにお義母さんから筍のお裾分け。「親戚からいっぱい送られてきたのよー」と、下茹でした筍を4本ほど分けていただいた。「筍御飯かなー」「炒めものかなー」と筍を眺め、「シンプルに土佐煮だな」と決定。
昆布と鰹のだしをとり、醤油と砂糖と味醂を入れてころころと切った筍を炊いていく。汁気が少なくなった頃には筍も綺麗なだしの色になった。鰹節をぶわっとぶっかけ、食卓へ。全体的に和風の食卓になった。
柔らかく煮えた筍はシャクシャクと心地よい歯触りで、ほんのり甘めの味付けも良く似合う。地味な味だけど、ふわんと漂う鼻から眉間に抜けるような香りがたまらない。

「ねぎ豚」に使ったバラ肉は、本当は買ったままのバラ肉を使うべきだったんだけど、買った段階で塩揉みしてしまっていた。一応塩抜きもやったんだけど、その時間が短かったようで、バラ肉にはこれでもかと塩の味が染みてしまっていて、全体的に塩辛い「ねぎ豚」に。トロンと煮崩れそうなそれは、そのまま食べるにはちょいと濃すぎる味だったので、御飯に乗せてがつがつ食べる。
塩をしてラップでくるんで置いておいた「塩豚」(←これまた同号の『dancyu』に載っていた)は、数日経つと熟成して旨味がたっぷり出てくるのだとか。でも、使うのはなかなか大変そうだ。でっかい塊肉を買ってきて上手に「塩豚」利用をしてみたいけど、その道はちょっと遠そう。

4/16 (火)
たけのこ御飯 (夕御飯)
サンルイ島の
 クロワッサン
スクランブルエッグ
アイスカフェオレ

昨月後半からめちゃめちゃ忙しかったらしいだんなは、微妙にストレスが溜まっていたらしい(予定してた事とはいえ、私の母との同居も始まったしねぇ……)。
先日、夜遅くに帰宅した後、おもむろにノートパソコンを立ち上げて通販手続きをし始めた。
「鮮魚セットは?」「マグロは?」「調理器具は?」「野菜は?」
と、ぽちぽちとマウスを動かしている。
「……お買物でストレス発散?」
と訊くと
「うん!」
と力強い返事。ま、美味しいもの買って食べてストレス発散できるなら、健康的で良いかなと思う。

そういう過程があり、昨日の夜「サンルイ島のクロワッサン」が我が家に届いた。何かと色々買い物している「クック&ダイン」で扱っている商品だ。8個のクロワッサンと、小さな瓶詰めのジャム2種類で2000円。安くはないが、旨い菓子を買ったと思えばそんなものかな、とも思わなくもない。

シンプルなオレンジ色の箱に茶系のリボンがキュッと結ばれ、隙間からはふわふわと香ばしいバターの香りが漂ってくる。箱を開けるとアルミホイルにくるまれたパンがより強いバターの香りと共に顔を出した。箱の隅には、イチゴとアプリコットの小さなジャムが。
さっそく食べよう、と、今朝の御飯は軽くトーストしたクロワッサン。パリパリホロホロと崩れてしまう外皮の中は綺麗に層になったふわふわの生地。どこもかしこもバターの香りがぷわんぷわんと漂ってくる。しかも、けっこうでかい。良い感じだ。
あーもー、バターの香りって、なんでこうも腰砕けかなぁ〜、と朝からぐにゃぐにゃになりながら、とりあえず何もつけずにかぶりつく。最近流行のミニクロワッサン的な甘ったるさがなく、ごく軽い塩味。ハムや野菜やら挟んで食べたら似合うだろうなという味だ。途中からは、添付のジャムを少しずつつけて囓る。どっしりと強い粘度のジャムは、これまた甘さ控えめの果実の味がするものだった。アプリコットジャムに果実ごろごろ、綺麗に深い黄色の色味だ。

「まー、クロワッサンなんかも通販しちゃうの?贅沢ねー、あんたたちはー」
と呆れ顔だった母も、クロワッサンを囓って
「あら、美味しいわね……」
とそれからは無言になった。
うん、母の言うとおり贅沢といえば贅沢だと思う。でも、車も持たず、金のかかる趣味といったら旅行くらいでブランドものにも興味がないんだから、2000円のクロワッサンだってたまには良いじゃないかと思うのだ。

たいやき
抹茶入り玄米茶

本来出勤日のはずの私は、今日は休みで明日出勤ということに。母も仕事お休みで、私が留守番している間に「ちょっと買い物してくるわ〜」と出かけていった。
私は昨夜2時までネットサーフィンして遊んでいたりしたもので、しかもここ数日そんな感じで、少々寝不足の今日は、一日中ぼんやりしながら家で仕事していた。

昨日もだらだらと午前午後過ごしていたのだけど、午前に軽く昼寝しようと思った時には義母からの電話で起こされ、再び午後に眠ろうとした時には、これまた義母からの2度目の電話で起こされた。結局昨日は昼寝できずに、さて今日こそはと横になったら「ただいまー」と実母の帰宅。母2人が昨日と今日、よってたかって私を眠らせてくれないのであった。なんでだコラ。

あれこれ買い物してきたらしい母は、「おみやげー」とたいやき5個入りの箱を差し出した。日本茶いれて、昼食代わりにたいやきをいただいた。粒々している粗めの粒あんは私好みだったけど、生地がむやみに厚ぼったくて、ねちもちねちもちした分厚い層が、あんこと妙にバランスが悪い。あんまし、美味しくない。

半分寝ていたところを起こされて、たいやきを平らげたもんだから、私は微妙に不機嫌だった。
「あら、いいわよ、食べたら寝なさいな」
と言われても……おかーさま……。(目、覚めちゃったよ……)

鰹のたたき
筍の土佐煮
胡麻豆腐
豚汁
たけのこ御飯
冷茶

世のおばさん層は、往々にして肉の脂身を嫌悪する。カツはヒレ肉を旨とし、豚の角煮は「脂をいっぱい取ったのよー、(だから)美味しいでしょ?」などと言われてしまう。当然、豚汁なんかもバラ肉の脂身ヒラヒラ、なんてものよりも、お上品なモモ肉を使っちゃったりする。鶏肉の皮は剥がすのがあたりまえ、なんていうものもあったり。

で、我が母だ。母は
「豚汁が食べたい気分なのよー」
と、豚汁作成熱に燃えていた。
幸いなことに、我が母は「脂身が入ってる方が美味しいわよね」派だ。母の作る豚汁は、美味しいと思う。が、
「豚汁に芋を入れるかどうか」
で夕方のマーケットで私たちは争論していた。

私は、「芋はとにかく何も入れない派」である。だって、豚汁は作ってから2日目3日目あたりが一番美味しいのに、芋を入れるとその頃にはぐずぐずに煮崩れてしまって、汁の食感がどことなく芋芋してしまうから。全体的にじゃがいもの食感がする豚汁というのもイヤだし、里芋のネバネバが全体を覆うような豚汁もイヤだ。
対して母は、「あら、お芋、何か入れなきゃ美味しくないじゃない」派だ。秋田出身の母の実家では「芋っこ」なる里芋をざくざく入れるのが豚汁のスタンダードな形らしい。里芋はイヤだと、私が幼い時に言い張ったところ、今度はじゃがいもごろごろ豚汁になった。とにかく、芋は必要ということらしい。

マーケットで「里芋買おう」「イヤだ、入れるな」「じゃ、じゃがいもは?」「家にある。ていうか、入れるな」と言い合った結果、芋は買わずに帰宅した。ふんふん♪と鼻歌を漂わせつつ豚汁作成に励む母。見ていたところ、じゃがいもと玉ねぎを入れた籠には触らなかったように見えていたのに、できあがった豚汁にはじゃがいもが混入していた。
「あっはっはー、じゃがいも2個入れちゃったー♪」
って……おかーさま……(ま、いいけど)。

昨夜の残りの筍の土佐煮に加えて、今日は筍御飯。鰹のたたきをサクで買ってきたのをスライスし、刻みにんにくと刻み葱をぶっかけて柚子醤油でいただく。母の好物の胡麻豆腐もテーブルに。
同じような材料を使っても、他の人が作る豚汁は、やっぱりちょっと違う味。にんじんの切り方なんかも微妙に違うし。そしてじゃがいもざくざく入ってるし……。

4/17 (水)
三下鍋 (夕御飯)
サンルイ島の
 クロワッサン
クリームチーズデニッシュ
カフェオレ

昨日の朝に引き続き、サンルイ島のクロワッサン。それだけじゃ物足りないので、昨日近所のパン屋で菓子パンもあれこれ買ってきた。私用にクリームチーズデニッシュ、だんなにはウィンナーロール、母にはアップルパイ、息子にはチョコチーズドッグ(←原宿ドッグがチョココーティングされてるもの。良く考えるとちょっとブキミなような気が)。
最初に起きた私が、いそいそと洗濯機を回してコーヒーサーバーの準備をし、オーブンで温めたるべきパンを温め始めた後、「おらおら、起きんかいゴルァ」とだんなと息子に声をかける。
私が家にいるときも(家で仕事する時も)、外に仕事に行くときも、いつも最初に私が動き始めるのって、なんか微妙に心にひっかるものがあったりしたり無かったりしたり。私もコーヒーの匂いで目覚めたりしたいぞ、ゴルァ(←なんか荒れてます)。

バターの香りがぷんぷんするクロワッサンに、同じくバターたっぷり使われているとみえるクリームチーズデニッシュ。カロリーは高そうだけど、腹持ちは悪かった。午前10時にして、腹減りの私。

エクセルシオールカフェの
 てりやきチキンサンドイッチ
 バナナマフィン
アイスロイヤルミルクティー ラージ

本日、お仕事。何だか仕事が山積みらしいので、昼に外食することは諦めて道中のエクセルシオールカフェでサンドイッチを買って済ませることにした。美味しいおにぎりテイクアウト屋があれば嬉しいけど(実際、あることはあるけど )、出勤時間に開いてる店はあんまりないのであった。お気に入り弁当屋さんも、まだお弁当が到着してない風情だったし。

で、今日は風も強いが日差しも強かった。自宅周辺も勤務地近辺も、海が至近というわけでもないのに全体的にムシムシムシムシと、嫌〜な湿気も漂っている。ついこの間まであったかいコーヒーが美味しく思えていたのに、そろそろアイスドリンクがしみじみ美味しく思えてくる感じ。

鰹のたたき
三下鍋
豚汁
羽釜御飯
いぶりがっこ
モルツ、冷茶

何故「三下鍋」という名前なのか、その由来はさっぱり知らないけれど、いつか見た料理本に掲載されていたその「三下鍋」は、なかなか美味しいのであった。
3カップの湯を中華鍋に入れ、顆粒鶏がらスープを適当に放り込み、老酒とサラダ油を大さじ2ずつ垂らす。そこに棒状に切った大根とにんじん、鶏肉を入れたら、あとはアクを取りながら適当に煮込んでいくだけだ。スープと大根が透明に、綺麗に煮えたら塩少々、砂糖2つまみほど放り込み、水溶き片栗粉でスープにとろみをつければ完成。大根やにんじんの甘さと鶏肉のコクが、シンプルだけど良い感じに合わさって御飯の良いおかずになったりする。
今晩のメインディッシュは、とりあえずその「三下鍋」。

そしてもう1皿、鰹のたたき。
大根を細く薄く切り、貝割れ大根と一緒に皿の中央に盛りつける。その上にスライスした鰹のたたきを並べ、刻みにんにくと刻み葱を大量にふりかけて。タレは柚子酢とだし醤油と味醂を適当に合わせたやつ。昨日の豚汁に、炊きたての御飯。そして、ビール。何だか野菜が足りない感じもあるけど、大皿が並んで一見豪華な食卓になった。

ビールのつまみに南瓜の種(←というのが袋入りで売られている。適度な塩気があって、妙に美味しい)と、チーズも出す。なんかもー、日に日にビールが美味しく思えてきてとても危険な感じ。食が進む〜。

4/18 (木)
鶏肉とじゃがいものオーブン焼き (夕御飯)
自家製ソフト食パン
 イチゴジャム、マーマレード、バター
ベーコンエッグ
アッサムミルクティー

起床に合わせてパンを焼こうとするもんだから、未だにコーンパンもレーズンパンも作れない今日この頃(←これらは途中で具を投入しなきゃいけないので、タイマー使用は不可能なのねー)。パン焼き機の昨日を、今ひとつ使いこなしていない我が家だった。でもでも、焼きあがるパンの香りで目覚める朝の恍惚感ときたら、なんとも得難いものなのだ。「焼きたてのパンを食べたい」というよりも「パンの焼ける匂いで起きたい」という欲望のために、パン焼き機は大活用されているのであった。

本日は、バター多めのソフトパン。焼きたての、まだスライスしにくいそのパンを超厚切りにして皿に乗せる。お供には濃いめにいれたミルクティーと、ベーコンエッグ。
パン焼き機が来てからというもの、冷蔵庫の一角はイチゴだのアプリコットだのアップルだののジャムやマーマレード、バターにマーガリンに、と「パンの下僕」で占められるようになった。美味しそうなものを見つけてしまうと、ついつい、わくわく。

ミスタードーナツの
 チョコファッション
 エンゼルクリーム
 ホットコーヒー

本日、昨日に引き続いての出勤。色々と仕事があるので、ここのとこ不規則出勤だ。
正午過ぎてしばらくしてから、食事にと外に出る。時間が時間なので、めぼしいところはどこも会社員と学生でぎっちぎちだった。新学期で各講義が開始し始め、「最初だけは出とくか」といった学生が構内にうじゃうじゃといる。

定食屋もダメ、中華料理店もいっぱい、蕎麦屋も行列、で、裏門の近くのミスタードーナツの前にやってきた。
我が家の近所にもミスタードーナツはある。が、数日前に通りかかったら、工事中だった。なんでも1ヶ月かけて改装工事をするらしく、「……げ、1ヶ月はドーナツ買えないのか……」と密かにショックを受けていた私。食べられないと思うと、どうも食べたくなるのである。これまでだって1ヶ月ドーナツ食べない事はざらだったはずなのに、無性に「ドーナツ、ドーナツ、ああ、ドーナツ」と全面的にドーナツドーナツ状態になってしまい、思わず入店。好物のチョコファッションとエンゼルクリーム、そしておかわり自由のホットコーヒー。

ブラックコーヒーをだばだばだ〜と飲んで甘い甘いドーナツを、エンゼルクリーム→チョコファッションの順にたいらげ、コーヒーをお代わりして今度は砂糖を放り込み、だばだばだ〜と飲み干して店を後にした。「やっぱり肉とか魚とか、そういうタンパク質取らないと食事って気がしないわぁ」などと思いつつ。

鶏肉とじゃがいものオーブン焼き
レタスとルッコラのサラダ
"くんたま"
タコチップ&サルサ
3日目の豚汁
羽釜御飯
ビール、冷茶

ディズニーランド近辺の職場に勤めている母は仕事帰り、ぽてぽてと色々なところを覗いてくる。目下のところ、お気に入りは「イクスピアリ」に入っているマーケット「成城石井」であるらしい。で、母、
「ほらほら、くんたま、くんたま、美味しいのよ〜」
と怪しい茶色の物体を買ってきた。
は?"くんたま"って、あの、ビールのCMの「おんたま、くんたま〜♪」とか言ってたアレですか?とパッケージを見たらば、まさにその、ビール会社と提携して発売しているらしい紀文のシリーズものだった。って、そのページには3月末までの発売、と書いてあるけど、発売延期してるのだろうか。
「ほほー」
と言いつつ、"くんたま"はスライスすることにする。

で、「早く帰れるかも」と言ってただんなは、なかなか帰って来ず、しょうがないので母と私と息子でわちゃわちゃと食事を始めることにする。3日目になり、そろそろ煮詰まりまくりつつある豚汁と、御飯。件の"くんたま"と、ルッコラとレタス、玉ねぎ、にんじんを適当に混ぜたグリーンサラダ。買い置きの鶏肉には粗塩と黒胡椒をたっぷりめにふりかけて、じゃがいもと一緒にオーブン焼きにする。パン粉焼きにしようかハーブ焼きにしようかと迷いつつ、たまには超シンプルなものをと、塩胡椒だけで焼くことに。

それと、タコチップとミディアム味のサルサもテーブルに。息子にとっては、何だか魅惑的な食卓になっちゃったらしい。子供っぽい料理は1つもないはずなのに。
「パリパリ〜、パリパリたべるよー」
とタコチップをむさぼり喰い、(←しかもしっかりサルサつけてる)
「たまごー、たまごおいしいねー」
と"くんたま"2個のうち1個分ほどを素晴らしい勢いで口にし、
「れたす、れたすもたべゆー」
とサラダにドレッシングかけてわしわし食べていた。
鶏肉とじゃがいももしっかり平らげ、「ちゃんと御飯と味噌汁も食べるんだよ」と言ったら豚汁を速攻飲み干した。
君……好き嫌いあんまりないですか?もしかして?

「……で、君の嫌いな食べ物って、何よ?」
と息子に聞いてみたらば、
「ピーマン!」
と即答された。ピーマンは……そうだな、おかーさんも中学卒業くらいまで食べられなかったよ。だからあまり強く言えないなぁ。

4/19 (金)
タカノフルーツパーラー(千葉)にて「マンゴーデザート」 (おやつ)
りんご丸ごとデニッシュ
洋梨のデニッシュ
ポテトコロッケ
ミルクティー

本日は、私も母も仕事が休みだ。
昨夜の帰宅が遅く、なので出勤ぎりぎりまで寝かしていただんなを仕事に送り出した後、母は息子を保育園に連れていってくれた。なんだか、私だけダラダラ気分〜(って、家でやらなきゃいけない仕事も持ってるんですが、はい)。

ぼへぼへと家で待っていたところ、母がパン屋であれこれ仕入れて戻ってきた。
「なんかね〜"雑誌で好評!"とかって、書いてあって〜」
と、私なら多分買わない、丸ごと1個のりんごが入ったデニッシュとか買ってきている。基本的に少食な母なのに、
「それ、絶対食べきれないんでわ」
というくらいの菓子パンの袋だった。全部1個ずつで、曰く、
「全部半分こして食べればいいかなー、って思って〜」
だそうだ。

何個もあったパンは、やっぱり2つ食べれば満腹になった。ていうか、そのりんごデニッシュ、巨大すぎ。
シロップ煮されたりんごが丸々1個、芯の部分にカスタードクリームを詰められてデニッシュ生地にくるまれているのだ。半分食べても、巨大なものは巨大だった。げふ。

稲毛「Shiba」にて
 サービスターリ

「千葉そごうの高野で、マンゴーフェアやってたわよー」
と母に言われ、「だったらマンゴプリンがあるはず!喰いに行かねば!」と一緒におでかけ。
昼御飯は、稲毛が誇る2大カレー店のうちの1軒「Shiba」に連れていってみることにした。

ここの名物は、「サービスターリ」。4種類から選べるカレーの他、ベジタブルカレーとサグ(青菜の煮込み)と豆のスープがついてくる。これを大きな皿に盛られたサフランライスにうりゃあぁぁと全部ぶっかけ、かき混ぜて食べるのだ。皿の上はなんともいえない色味になって、そのカレー版ビビンバ状態になった、少々汁っぽいカレーをわしわしと食べるのだ(サービスターリの詳しきことは過去の日記のこのへんに)。水っぽいカレーは香辛料がこれでもかと効いていて、少々の体調不良くらいなら吹き飛ばしてくれる。好みは別れるところだけど、私はここのカレーが大層好きだった。

んが、ムルギランチを注文した母は、怪訝な顔をしている。
黒々と煮込まれた柔らかい鶏肉に、トマトたっぷりの酸味のきいたベジタブルカレー。皿を覆う、黒茶色のサラサラとスパイシーなカレー。こういうカレーを初めて食べるには、母のエスニック経験の下積みはほとんどなかった。
「……な、なんかヘンな味ね……」
と、開店後20分にして満席になって行列ができ始めた店内を眺め、
「どーしてこんなに人気があるのかしら……?」
と不思議そうにしていた。いまひとつ、美味しく思ってもらえなかったらしい。
わ、私はここのカレーとっても大好きなんだけどなぁ……。とほー。

千葉そごう「タカノフルーツパーラー」にて
 マンゴーデザート

タカノのマンゴープリン
鉄人坂井のロールケーキ
コーヒー

千葉駅周辺で、お買物。懸案の「タカノフルーツパーラー」では、話に聞いたとおり「マンゴーフェア」を実施中で、マンゴプリンは置いてなかったものの、マンゴーパフェだのマンゴーヨーグルトだのマンゴージュースだのとマンゴーものがたっぷりメニューに並んでいた。1000円の「マンゴーデザート」なるものを注文し、わくわくして待つ。母は「サラダ・ド・アラ・タカノ」とかいう名前だったか、フルーツのサラダ仕立てを注文。

やってきたのは、マンゴームースを中央に配した派手なデザート。ムースの上にはベリーが数個入っている、ドーム型のうすい酸味のあるゼリー。周囲にはスライスされたマンゴーが何枚も飾られている。マンゴーシャーベットにバニラアイス、ラズベリーのソースにマンゴーのソース。オレンジやら赤やら緑やら、皿の上はたいそう華やかだ。

熟したマンゴーは、柿にも似たこってりとした甘さで、なんとも良い感じ。ちょっとばかり酸味のあるムースもマンゴー風味濃厚で、かなり幸せな1皿だった。
で、ケーキショップでマンゴープリンを購入し、息子用にとイチゴのムースデザートも購入し、ついでに「これ、ずっと気になっていたんだわぁ」と言いつつ、鉄人坂井のロールケーキなるものも購入し、ぽてぽてと帰宅。

夕食は、ちょっと遅くなりそうだけど、と、だんなが一緒に飲みに行こうと言っている。夕飯まで胃袋が保つようにと、夕方遅く、息子も交えて二度目のおやつ。
……購入してきたマンゴプリンは、なんとなくインスタントな味がして、こちらはめちゃめちゃ不味かったりして……

稲毛「とり屋一億」にて
 地鶏ソーセージ
 タコの唐揚げ
 北海ポテト揚げ
 手羽先唐揚げ(甘口辛口ミックス)
 大判鶏せんべい
 地鶏のネギ春巻
 春野菜と鴨の温サラダ
 名古屋コーチン 炙りタタキポン酢仕立て
 半熟親子丼
 とり皮あぶり茶漬
 比内鶏スープ
 生ビール×2
 ハーフ&ハーフ
 八海山デキャンタ
 コカコーラ
……を4人で喰らい、12000円ほど。

だんなは、この1週間めちゃめちゃ忙しかったらしく、かなりゲレゲレに疲れていた。不本意な飲み会にも参加させられたらしく、
「もーもー、楽しいお酒が飲みたいぞ!今日の夜は飲み!一緒に行こう!」
と誘われていた。今日も簡単な飲み会があったらしいだんなと、夜の9時に皆で待ち合わせて居酒屋へ。

が、季節は4月。夜9時間近とはいえ、どこの店も新歓コンパ及び歓送迎会で学生とサラリーマンでごったがえしていた。馴染みの「天狗」も大混雑。近くにある「和民」「魚民」系も同様らしい。で、ちょっと気になっていた「とり屋一億」なる店に行ってみることにした。その名のとおり、鶏料理専門店だ。手羽先の唐揚げの他、焼き鳥にサラダに煮物に、と鶏肉料理がずらずらと並んでいる。大皿にちんまりと盛りつけられたような洒落た盛りつけは女性ウケしそうな感じで、値段は高からず安からず、というところ。

4人でビールを乾杯して(いや、息子はジュースだけど)、あれこれ頼んであれこれつまむ。
甘辛いタレと、胡椒がこれでもかとまぶされたのの2種類の味がある手羽の唐揚げは香ばしく、なかなかいける。名古屋の夜を彷彿とさせる山盛りの手羽は、3〜4人前で16本、1450円。けっこう良い感じだ。
フライドポテトは丸くころころとした面白い形状で、長ねぎがたっぷり詰まった鶏の春巻きもビールが進んで旨かった。

大体「お、けっこういけるじゃん、美味しいじゃん」と思えるものばかりで上機嫌で飲んでいたけど、日本酒リストから「八海山」を選んでデキャンタで注文したところ、何だか風味がいまひとつ良くない。「あれ、もっと香りがいい酒じゃなかったっけか」と思ったところ、だんなも顔をしかめて「……保存状態、悪すぎー」と言っている。1皿980円も取る「炙きタタキポン酢仕立て」は、さんざん待たせた挙げ句、日本広告機構に訴えても良いんじゃないだろうかというくらい、メニューの写真と異なるもの。写真では丸く大きな切り身が6個も並ぶものだったのに、やってきたのは香ばしいというより焦げて苦いといった感じの、ひからびたような数切れの肉切れだった。全体的に悪くなかっただけに、「え、なんでこれだけ?」「なんでこんなものが?」みたいなものが何点かあるだけで、なんとなく悲しくなってしまう。

だんなと母が「いやいや、僕が払います」「お酒代は私が出すわよー」と押し問答しているのを前に、私は一人
「いやいや、どちらさまもごちそうさまでございました」
状態(←ひでぇ)。
いや、だって、だんなの奢りだと思ってお財布も持ってこなかったのさー。

4/20 (土)
CucinaTokioneseCozima(青山)にて「豚肉とキャベツのラビオリ」(夕御飯)
アンデルセンの
 ポテトチーズパン
 レモンクリームパイ
カフェオレ

「御飯よりパンが好き」という母に合わせ、最近の朝はなんとなくパンが続いている。昨日は千葉駅に行ったついでに、デパ地下のアンデルセンで菓子パンいくつかを買ってきた。干し葡萄がぎっしり詰まったレーズンパンに、ドライフルーツやナッツがいっぱい詰まった、酒の友になりそうな硬いパン。朝飯用にとチーズがかかったものやレモンクリームのパイなども買ってきた。

チーズがかかったパンなどは、しっかり温めた方が美味しかったりするので、オーブンで焦げめができそうなほどしっかりと火を通す。熱いコーヒーにあったかいパン。
幸せに噛みしめていたところ、宅急便が届いた。
このページとかトップページとかでこっそりちょこちょこっと何度か言及したことがある「本が出るかも」と言っていた本が、いよいよ来週発売になり、告知してもいいよと許可が出た。で、発売に先駆けて、試し刷りができたということで担当者さんが送ってくれたのだった。

題名は『海外でメニューがわかる本』。詳しくはトップページのこのへんに書いてみたけど、旅行先で現地語メニューがさっぱりわからないときの手助けになるようにと作られた5冊組の本の1冊を担当したのであった。
で、イタリア版の執筆を担当したはいいけど、自分一人じゃあまりにも心もとなく、色々とつきあいのある「Cucina Tokionese Cozima」の料理長、Kさんにこれでもかと手伝ってもらっている。見本誌が出来たとあれば、さっそく献上しに行かなければならない。

「私は留守番してるわよー」
という母を置いて、「じゃー、夕飯食べがてら上京するかー!」と急遽お出かけモードに突入。

新宿「メゾン・デュ・カレールー」にて
 焼きカレー
 アイスティー

朝飯食べたの、11時頃。夕食は、6時に予約済み。が、2時半を過ぎてめちゃめちゃ空腹になってきてしまった。
「飯田橋で途中下車して、ハンバーガー……」
「重いよ、それ」
「じゃ、じゃあお茶の水で途中下車して"キッチンカロリー"」
「もっと重い!大却下!」
「ロールキャベツとか、」
「いやいや、マンゴーのシーズンの今、千疋屋のマンゴプリンがあるかも……」
などと道中、さんざん食べものの話をした挙げ句、「軽く喫茶でいいよね」と新宿駅に到着した……はずなのに、なぜかカレー屋に入ってるし。

「メゾン・ドュ・カレールー」は、小田急ハルクの地下に昔っからあるカレー屋さんだ。ずっと気になってはいたけど、入ってみるのは初めてだった。本当は、同じフロアにある「千疋屋」で一休みを一応目論んではいたはずだけど、すでに満席だったのと、目当てのマンゴーデザートはまだ出されていないということで、ついついカレー屋に足を向けてしまったのだった。ショーケースにあった「ドライカレーのオムライス」と「焼きカレー」が妙に美味しそうだった、ということもある。

私の注文した「焼きカレー」は、小型のパエリアパンがアツアツのまま出てくるもの。薄く平たく御飯が盛られ、黒々としたカレールーがかかり、上にはとろけるチーズが山盛りかかり、中央には卵が1個、半熟状態で乗っている。少々苦みのあるカレーは、煮込まれて煮込まれてドロンとした粘度で、けっこう好み。チーズと卵のコクが、午後3時に食べるにはすばらしく充実感があった。薄暗い店内は、一人でカレーをつついているおばちゃんやお姉ちゃんで静かに混雑していた。

南青山 「Cucina Tokionese Cozima」にて
 トマトと梅の一口スープ
 マグロのカルパッチョ フルーツトマトのソース
 モッツァレラの春巻き 温泉卵添え
 豚肉とキャベツのラビオリ
 短角牛サーロインのロースト サラダとポテト添え
 パンナコッタとココナッツミルク アーモンドのジェラートと
 エスプレッソ
 シャンパン・グラス白ワイン・グラス赤ワイン

午後6時、だんなと息子と3人で南青山の「Cucina Tokionese Cozima」に到着。開店直後だというのに、既に2組のお客さんが先に来ている。どうせスタッフの人と何やかんやとおしゃべりするし、と今日も厨房の一番そばの奥まった席に案内してもらった。

「新進気鋭の料理人」とか「今が旬の若手料理人」などと最近、料理長のKさんは料理系雑誌に毎月のように登場するようになった。ずっと応援していた側としては、純粋に嬉しい反面、何だか大切な宝物を奪われたような気分もちょっとばかりあったりして、でも嬉しいのが9割というか、そんな感じ。

グラスでシャンパンをいただきながら、メニューを眺めて食事の相談。
前菜2種とパスタ、肉料理でちょっと軽めに(←軽くない……)することにする。

最初に来たのは、トマトと梅のスープ。デミタスカップに、ごく一口分入ってやってきた。
梅独特の舌に残る酸味と、トマトの突き抜けるような酸味と甘味が妙にバランスの良い、トロリとしたうす紅色のスープだ。甘さの強いトマトで、飲み込むと口の中にほわほわとトマトの後味が残るという感じ。

次はマグロのカルパッチョ。薄くスライスしたマグロが皿にのり、上には甘い甘いトマトを湯剥きして塩をしただけのものがこんもりと盛られている。全体的にマグロとトマトで真っ赤っかな物体が皿にこんもりと山を作っている。そして上から、万能ネギの刻みがパラパラと。品名が「カルパッチョ」でなければ、無国籍料理といっても良いような皿だ。
で、マグロとトマトを組み合わせるというのは、私にとっては初体験。爽やかだけどしっかりとしたトマトの味が、マグロのこってりした脂の味と一緒にトロトロと口の中で溶けていく。トマトでマグロを美味しく食べるというよりは、マグロでトマトを美味しく食べているような感じがした。真っ赤な皿の光景がまた、目に鮮やかだ。

このあたりで、シャンパンを飲みきってしまい、「この間ワイナリーに見学に行ったときのものですが」とグラスの白ワインを出してもらった。口にする前の香りはそれほど無いのに、口にした途端にぽわぽわと果実の香りが広がっていくすっきりとした飲み口の白ワインだ。次に来たモッツァレラの春巻と良く似合っていた。

春巻きにも、先の甘い甘いトマトが添えられていた。黄身がとろんとろんの温泉卵も配されて、中央に薄い皮のモッツァレラチーズ入り春巻きが1本、大きく乗っている。中からとろりと溶けたチーズが出てくるパリパリの春巻きに、温泉卵の黄身やトマトの果汁をなすりつけて、一緒に食べる。温かい春巻きと冷たい卵の温度差が舌に気持ちよくて、許されるなら4〜5本食べたくなる味だった。やっぱりトマトが相変わらず美味しい。こんなトマトを幼少の頃に食べられていたら、私はきっとトマト嫌いなんかにはならなかったはずなのに、と思う。20歳過ぎてやっと克服したトマトは、「なんとか食べられる」どころか、逆にモリモリ食べたくなるほど甘くて美味しい。いつもトマトに砂糖かけて喰ってる母に食べさせたくなる。

で、パスタ。だんなは鴨と菜の花のファロット(←米でなくスペルト小麦を使ったリゾット風のもの)、私は「メニューに乗せてありませんが、これをお出しできます」ということで、シンプルな豚肉とキャベツのラビオリ。息子には、
「クリームソースの、ソーセージ入りのパスタを半人前ほどで作ってください」
と頼んでおいた。

周囲がギザギザにカットされた、四角く切られたラビオリには、中央に肉汁たっぷりの具が詰まっている。少量のスープと一緒に茹でられたラビオリが皿にこんもりと盛られ、上にはシャキシャキとしたキャベツと、たっぷりの粉チーズがかけられている。イタリアの田舎のお母さんが作ってくれるような、どこか懐かしい味のするシンプルな料理だった。口にした途端に皮を破って肉汁が溢れてくるところなんか、小龍包に似ているとすら思えてくる。はふはふ言いながら噛みしめると、表面にかかったチーズの香りがもやもやと鼻に抜けていく。美味しい。

息子の分としてやってきたのは、ポルチーニ茸(←イタリアのきのこ。松茸とも違う独特の強い芳香があって、美味しい、そいでもって、お安くはない)とソーセージの入ったスパゲティ。パスタの全面にポルチーニの香りがまとわりついたゴージャスな風味のパスタだ。良い香りのきのこのスパゲティを前に、突如無言になってわしわしと口の周りにクリームをつけながら食べ始める息子。すごく気に入ったらしい。我が家では、きのこは嫌って食べないはずなのに、(食べなかったら奪っちゃおうと狙っていた)ポルチーニもがしがし食べていた。ああ……ポルチーニ……。

そしてメインディッシュは、東北で育てられた「短角牛」という品種のステーキ。
「メインはやっぱり、今日は牛肉でしょう!」
とKさんにアドバイスされるがままに、
「はい、肉喰います、牛肉、ガツンと腹一杯!」
「というわけで、2人分牛肉お願いします!」
と、だんなも私も牛肉のメインディッシュ。紅色の切り口からは肉汁がだばだばと溢れてくる、しっかりと歯ごたえのあるジューシーな肉だ。

「今日の午前中に、この肉来たんですよ。もしかしたら、今までで一番良いものかな、っていうくらいの」
とKさんが太鼓判を押した肉は、焼いて塩胡椒で食べる調理法が一番似合いそうな、肉の味だけで御飯3杯はいけちゃうようなものだった。肉はシンプルに塩胡椒の味付けで、上にはマスタードグリーンなどの辛みのある生野菜がたっぷりと盛られている。ナイフを入れて肉汁が流れるのがもったいないくらいの肉を、しばし無言でがつがつ食べた。もう、肉!肉喰ってます!という感じ。
で、厨房を抜けて出てきたKさんと牛肉について熱く語る。
何故かステーキ丼の話になり、「やっぱりステーキ丼はバター醤油が一番だ」という結論になったりした。

そろそろ8時過ぎというところ、店はどんどん混雑し、地下はほぼ満席状態になった。
最後に、やわやわとしたパンナコッタにココナッツミルクのソースがかかり、ベージュ色のアーモンドジェラートが添えられたお気に入りのドルチェをぺろりと食べる。しかもエスプレッソと共にたっぷりのプチフールも出てきたりして、小指の先ほどの小さなチョコレートや、小さな小さなシュークリーム、マンゴーを乗せたミニタルト、ビスコッティや胡麻の焼き菓子もしっかりと平らげた。
元々人気のあるお店だったけど、最近すっかり"超"がつきそうなほど混雑してきているらしい。でも、相変わらず料理は旨いし居心地は良いしで、嬉しい限りの土曜の夜だった。
んぷー、おなかいっぱい。

4/21 (日)
だんな特製塩豚葱チャーハン (昼御飯)
だんな特製 塩豚葱チャーハン
アイスウーロン茶

数日前に作った、塩漬けしておいた肉で作ったねぎ豚は、本来はしょっぱいものじゃないはずなのに、無駄にしょっぱくなってしまって、実のところ手を焼いていたそのままに、冷蔵庫に安置されていた。塩が強いから、痛まない。まだ4切れほど残る肉塊は、決して不味いわけじゃないだけにちょっと困った存在だった。で、今朝。

「これ、チャーハンにしよう!ちょっと卵と葱買ってくるわっ!」
と、9時半に起きただんなが10時半に起きた私と目が合うなり、いそいそとマーケットに行ってしまった。だんなはだんなで、いつまでも冷蔵庫に入るねぎ豚を、私とほぼ同じ思いで見つめていたらしい。

先日、友人から教えてもらった「うまいチャーハンの作り方」の極意のひとつは
「中国白菜の漬物を入れよ」
ということだった。平たく潰れたような形の瓶詰めを見せてもらい、そういえば中華食材屋でそのブツは見たことあるぞ、と思っていた。細かく砕かれたような、ちょっとひからびた風情のその漬物は塩気が適度に強く、これを最初に中華鍋に入れて弱火でじっくり炒めた後に一旦取りだし、改めて卵や葱や御飯を炒めるときに後からもう一度その炒め漬物を投入するということだ。ただの塩気じゃ物足りなく思えるチャーハンが、これで一気に奥深いプロっぽい味になるのを実感して、びっくりしたのだった。

で、その漬物、マーケットにもデパートにも置いてないのである。中華街に行けば当然見つかるだろうけど、中華街はちと遠い。同様に御徒町のアメ横センタービルもちと遠く、大久保界隈もちと遠かった。
良く考えたら、ものすごーく近くに、売っていそうな店があったのだ。お気に入りのカレー屋さん「Shiba」の隣、店頭からして怪しい匂いが漂ってきそうな、中国人が経営する中華食材&雑貨屋があるのだった。中には入ったことはなかったが、入り口の引き戸が開いているときにチラと覗くと、天井近くに向こうの番組を収録したものらしきビデオテープや、その他雑誌や書籍がところ狭しと積み上げられていた。この近辺は中国人含めて外国人が多数住んでいて(現に、息子のかなり仲良しの友人はインド人だ)、色々と需要に満ちあふれている店らしかった。

ここだったらその漬物「天津冬菜」は売っているはずだ。と、意を決してその店に入ってみたのが1週間ほど前。唐辛子ともニンニクともつかない、独特なアジア臭漂うその店を
「ああっ、腐乳がある」(←けっこう好み)とときめき、
「ああ〜塩蛋も安いっ」(←多分好物だと思われるけど、どう喰って良いのかわからん)にわくわくし、
「あ〜、見たことない醤類がたっぷりと〜」と、棚を眺めて涎が出そうになり、
そして、かの「天津冬菜」は、あっさりと棚に3〜4個積まれていたのであった。近隣のマーケットやデパートを探し回った挙げ句、徒歩5分の距離で発見できたとは……嬉しいような悲しいような。
結局、その濃厚アジア臭なお店をいたく気に入り、いまひとつ日本語が通じないお姉ちゃんのもとで会計を済ませて「また来るよ」と店を後にしたのだった。

で、いよいよそのブツを使ってのチャーハン。
山盛りの刻み葱と、たっぷりの卵。ねぎ豚は細かく刻み、あとは「天津冬菜」。えっほえっほとだんなが中華鍋をふるいまくって作ってくれたチャーハンは、かつてなく美味しかった。深みのある塩味の漬物の風味が異国の香りをただよわせ、噛むとじゅわっと塩気のある肉汁がしみでてくる豚の切り身も良い感じ。葱は香ばしく卵はふわふわ。確実にだんなのチャーハンはレベルアップしつつある。旨ひ。

鉄人坂井のロールケーキ
牛乳

母は仕事。だんなは、6月の友人の結婚式二次会幹事の打ち合わせ。午後になって、家には私と息子だけになり、私も日曜だけどと仕事を始めた……ら、なかなかこれが、終わらない。何か軽く昼御飯的なものを食べようと思いつつ、気がつくと4時。小腹がすいたので、先日デパートで買ってきた「鉄人坂井のロールケーキ」を息子を食べる。

料理の華美な盛りつけとは異なり、ごくごくシンプルなロールケーキ。スポンジは若干しっとりめでカステラのよう。そして挟まるクリームはバタークリームらしく、どっしりした口当たりだ。なかなか美味しい。
私はロールケーキが大好きだ。それも、シンプルなスポンジにシンプルな生クリームがたっぷり挟まったような、それだけのやつが大好きだ。が、ケーキ屋で売られているようなものはチョコがまぶされていたり、クリームにフルーツが混ぜ込んであったり、いまひとつ心にぐっとくるものがない。そういう意味でも、これはなかなか好みだった。

食べたことはないけれど、「ここは美味しそうだなぁ」と雑誌などを見て思ったロールケーキのお店は、
東京多摩市「グラン・クリュ」、大阪豊中市「エフラット」の2つくらい。レモン風味もいらぬ、ナッツもいらぬ、イチゴや杏も、ひとまずいらぬ。でも、そういうのってなかなか見つからないんだなぁ……。

ブリーチーズ
ドライフルーツとナッツ入りパン
親子丼もどき煮込み
羽釜御飯
ビール

夜7時過ぎ、まだまだ仕事が終わらぬ私。
10分ほどで、どばばばばと料理を作ってちゃっちゃと食べることにした。御飯を炊いている間に、親子丼もどきの煮込みを作る。醤油と味醂を入れただしで玉ねぎと鶏肉を煮込み、汁気が少なくなったところで卵を2個割り入れる。半熟に固まったら鍋のままテーブルに出し、各自勝手にそれを御飯にぶっかけ、揉み海苔散らして食べる。簡単だ。

それだけじゃビールの肴にもならんと、冷蔵庫からチーズを出し、ナッツとフルーツ入りの固いパンをスライスする。
準備時間15分ほど、食事時間10分ほどの簡単夕食。めでたく仕事は夜10時過ぎにカタがついた。ふー。