ダージリンティー
先日、スーパーマーケットでPillsbury社のシナモンロールを買ってきて試しに焼いてみたところ、これがなかなか美味しかった。ジャンク風味漂ってはいるものの、缶を開けて生地を出して並べて焼くだけで食べられるというのが手軽なうえにけっこう楽しい。このメーカー、他にもビスケットやCrescent Rolls(クロワッサン)もあって気になっていたところ、
「クロワッサン生地でブリーチーズ巻いて焼くのも乙ですよ」
とDちゃんから教えていただいた。うひー、旨そう、それ旨そう!と、クロワッサン生地を買うタイミングを狙っていた私。昨日スーパーマーケットに行った時にそれを思い出し、クロワッサン生地とブリーチーズを買ってきた。
紙製の缶(というか筒)容器にはみっちりと生地が詰められていて、斜めに巻かれたパッケージを剥がしていくと"ばふん"という音と共に中から生地が溢れてくる。生地は1枚のべろんと大きなもので、スジがついていて8枚の三角形生地が切れるようになっていた。ふんふん、と説明書きを見ながら生地を切り離してクロワッサンの形になるようにくるりと巻いていく。8個のうち4個にブリーチーズを詰め、巻いただけじゃ激しく溶け出てきそうだったのでちょっと端を押さえて出てこないように細工する。あとはオーブンに放り込んで10分ほど。
クロワッサンはなかなか本物っぽい外見にちゃんと焼き上がった。サイズは少々小ぶりだけど、8個も焼けたら一家で食べるには充分だ。溶けたチーズがとろんと出てくるチーズ入りバージョンも美味しい。ベーコンやハムを巻いてもけっこういけるかもしれない。割と良い感じにサクサクに焼けたクロワッサンを、私とだんなが3個ずつ、息子は2個、ぺろっと平らげた。……そういえば、パン焼き機持ってきたのに、数回しか使っていないような気が。明日あたりコーンパンでも焼いてみようかしらん。
焼きそば
回鍋肉
セサミチキン
野菜炒め
アイスティー
「大学行ったけど、気が付いたら昼休みに一人になっちゃって、切なかったんで戻ってきたー」
と、だんなが昼御飯を食べに家に戻ってきた。手には、大学近くの中華屋さん「Hong Kong」のテイクアウトボックスを持っている。焼きそばか御飯か炒飯を選び、更に好みなおかずを3種類選んで詰めてもらって5ドルという値段のこのお店、味はすごく美味しいという程ではないけれど、量の多さと値段の適度さでけっこう人気がある。今日買ってきてくれたのは1人前のボックス。それでも昼御飯に家族でつつくにはそれで充分な量だった。
うどんのように太い麺の焼きそばと、いかにもアメリカンな中華な味のテラテラと赤く光る"セサミチキン"。胡麻はまぶされてはいるけど、"胡麻鶏"というよりは"アメリカン酢豚 鶏肉バージョン"という方が近いようなシロモノだ。2〜3個つつく分には美味しく思えるけれど、だんだんくどく感じてくる何ともいえない甘さがある。そして肉少なめな回鍋肉、塩味の野菜炒め。これらは比較的安心して食べられる味だ。
どばばーっと家族でテイクアウトボックスの中身をつついた後は、「それじゃまた行ってくる」とだんなは大学に出かけていった。
私はここ数日、来週末に開かれる予定のMさん結婚記念パーティーで配布するお祝いペーパーを作成中。この町のタウン誌の、ものすごく精巧なパクリにしようとこだわっていたら、眼がシパシパしてきた。こういう一見くだらないところに猛烈に手間をかけるのって好きなのよね。
Hard Lemonade
「清閑院」の抹茶くずきり
昨日、研究室のスタッフMさんから再びニラをお裾分けしてもらった。数年前に庭に種を撒いたというニラは、毎年おそろしい量が勝手に生えてくるようになってしまったのだとか。「まだまだね、生えてるのよー」とおっしゃるのでありがたくいただいてきた。そのへんの店で買ってくるニラは(ニラそのものが稀少品であることもあり)、なんとなくしなびていて購入後数日でドロドロに溶解してしまうようなものばかりだ。Mさん宅にニラはさすが産地直送(?)というだけあり、このうえなく瑞々しくてシャキシャキと歯ごたえもよく、美味しいものだった。
「ニラだー♪」
「またニラだー♪」
「やっぱりここは"ニラを美味しく食べられる料理"ということで」
「じゃあ、また和えそばかなぁ」
と、数日前に食べたばかりの和えそばを再度作成。うりゃーっとニラとにんにくを刻み、熱い油をジャッとかけ、味つけは塩胡椒と油のみ。実は油がけっこう入るので低カロリーでも何でもないのだけど、その割にさっぱりとした味でニラもガツンを食べられて気持ちの良い麺料理だ。息子はいまひとつ好きではないらしいけど、「頑張って喰え!」ということで、息子も同じメニュー。
今日のニラもしゃきしゃきしていて美味しかった。かなり大量に炒めたにんにくがニラと似合って良い感じ。
ただただニラそばだけの夕御飯だったので、今日はデザートにくずきり。先日、友人Sちゃんが日本から送ってきてくれた荷物の中にあった"抹茶くずきり"は清閑院という京都のお店のものらしい。四角い筒の中にくずきりの生地が入っていて、付属のプラスチックの棒でにょろりと押し出すようになっている。黒蜜つき。くずきり、そういえば久しぶりだわー、黒蜜もンヶ月ぶりだわー、と、
「なになに?これ、なに?」
と覗き込む息子の前でにょろにょろ〜っと氷水を張った器に押し出してみた。小皿に黒蜜を入れ、浸しながらちゅるりと食べる。うまー。
「これなに?これなに?」
息子は大騒ぎ。
「さっきも緑のおそばだったと思うけど、これも緑のおそば?」
と聞いてくる。いや、くずきりにはニラ入ってませんし。食べてみる?とちょっと食べさせたら喜んでじゅるじゅると啜り始めた。4歳児でくずきりなんてね、ちょっと生意気だよ息子?私が初めてくずきり食べたのは確か中学生か高校生の頃だったよ?と思わず説教かましたくなってみたり。
Original Glazed Doughnuts ×3
Milk
本日は、だんなの授業がない午前中のうちに買い物に行こうということに。
「起きたらすぐにWAL☆MARTに行きましょ〜」
「では、外出ついでに、朝御飯はドーナツ屋さんに行きましょ〜」
と、だんなと会話しているうちに買い物とドーナツ屋がセットになってしまった。私もけっこう好きだけど、だんなのKrispy Kreme Doughnuts好きはなかなかすごいものがある。普段、授業がある日にも一人ふらっとこのドーナツチェーン店に寄り、ドーナツ買ってから大学に向かったりしているらしい。ここのね、コーヒーがなかなか美味しいんだよ……と、コーヒーの味にまで思いを寄せている我が夫だった。
だんなの熱の入れようも、わからなくもない。午前中、しかも10時頃までの早い時間(もしくは夕方)に行くと、店頭に"HOT"とピカピカ光るネオンサインが点灯していたりするのだけど、その時にはできたてアツアツのドーナツを食べることができる。しかもサンプルとして1人1個のできたてドーナツがもらえちゃったりもする。
「ドーナツ2個買って、コーヒー買って、サンプル1個貰う。これ最強」
とか言いながら、だんなはしょっちゅうこの店に立ち寄っているようだった。
ドーナツ1個の価格は現在69セント(最近値上がりした)だけど、1ダース買うと4ドル99セントとかなりお得。今日は1ダースの箱を買って店内でもりもり食べることになった。余ったら持って帰ればいいよねー、と買ったものの、1ダースドーナツというのはなかなかの迫力だ。白い砂糖のコーティングがまだ固まりきらない温かいドーナツはふわんふわんで柔らかく、3口ほどでぱくぱくと喰えてしまう。コーティングは確かに甘いけど、甘すぎるというほどには甘くない……ていうか、慣れた。
「うはー、すごい光景だね」
なんて言いながら、親子3人で店内でがさがさ紙箱を開け、ドーナツにかぶりつく。店内を見ると、同じ事をやっている人がけっこういる。温かいうちにいくつかドーナツをつまみ、残ったやつは箱ごと抱えて帰っていく人が、普通の光景として存在しているのだった。
「喰える……喰えるなぁ」
と言いながら、だんなは4個目のドーナツを食べている。うへぇ……と眺める私も3つめだ。息子も「もういっこ、食べるよ」と2個目にかぶりついている。結局だんなは5個、私は3個、息子は2個のドーナツを平らげた後、買い物に行ったのだった。
箱に残るドーナツは3個(サンプル、1個だけもらってきたのだった)。
買い物から帰った息子が
「おなかすいたなー……ドーナツ、食べてもいーい?」
と聞くので、頷いてしまったところ、数分でその残り3個が息子の胃袋に消えていたりして、結局、私が食べた個数が一番少なかったということに。
アイスティー
朝からドーナツをたらふく食べてしまったので、今ひとつ"昼御飯"という気がしない。でもドーナツ自体は食べ応えがないふわんふわんなものなので、確かに腹も減ってくる。
「おなかすいたよー」
「確かに、腹減ったなぁ……」
「……そ、そぉ?」
と昼過ぎて言葉が交わされ、ポップコーンでお茶を濁すこととなった。バターフレイバーのインスタントポップコーンは紙製の袋に調味料と共に入っており、レンジで3分半ほどチンすればできあがり。バターが焦げるような香ばしい匂いが台所から漂ってきて、サラダボウルに山盛りできてしまったポップコーンをぽそぽそと食べる。
今日は何だかジャンクな一日になりそうな。
Fried Pork Chops
w/Carnel Corn
w/Mac&Cheese
w/Chicken Salad
Iced Tea
朝ドーナツ、昼ポップコーンで、案の定夕方には空腹に。
冷蔵庫には鮭や牛肉もあったけれど、「違うの、違うのよ、もっとこうガツンと、がっちょりと……」と何が食べたいのかよくわからないまま両手をわきわきさせつつだんなの帰りを待ってみた。だんなの帰宅は午後6時。彼も空腹極まっていたらしく、帰るなり
「なんかね、すっごくお腹すいたんだけどー!」
「俺もだー!」
「ぼくもなんだよー!」
と一家で妙な盛り上がりに。
ステーキ屋に行こうかどうしようかと相談しつつ、結局「水曜日だからトンカツだ!」という流れになった。南部料理屋さん"Copper Kettle"は、いつもは昼にばかり行っているけれど、夜は7時までやっているらしい。曜日によって決まっている"本日のおかず"は、水曜日はフライドポークチョップ。すなわちトンカツなのであった。何だか毎週行っているよねぇ、と笑いながら、夜に行くのは初めてのこの店を目指す。
夜のこの店も、大人気だった。あと40分程度で閉店だというのに、まだ続々とお客さんがやってきている。杖をついている老夫婦や、友人同士な感じの女の子2人組、仕事帰りらしいスーツにネクタイのお父さんと、お母さん娘さんの一家など、いかにも地元の人ばかりという感じだ。週もまだ半ばの水曜日、こんな早い時間に一家揃って食事できるなんてちょっと羨ましいことだよねぇ、なんて日本での生活を思い出しながら呟きつつ、カウンターで「おかずはアレで、サイドディッシュはこれとこれ……」と注文していく。
おかずはやっぱりフライドポーク。息子にはマカロニ&チーズとグリンピース入りの御飯、フルーツ盛り合わせのサイドディッシュ3種類を注文してやり、私はパスタとチキンのトマト味のサラダ、コーンのクリーム煮、マカロニ&チーズ。料理が乗った皿が渡されたら、あとはもらった空のコップをドリンクバーに持っていって自分で好みのドリンクをだばだばだーと注ぐ。ここのアイスティーは甘さ控えめでけっこう好み。
カリッとした衣の、柔らかな豚肉のフライは今日も絶品だった。一度ここに連れてきて以来、この店が大のお気に入りになってしまったらしい、だんなのボスA先生は、
「ここの"トンカツ"は本当に美味しい。日本で知り合いに連れて行ってもらった神田のトンカツ屋さんには負けるけど、その次には旨い」
と言っていたらしい。
「"神田のトンカツ屋さん"の次なのか……」
「値段、多分4倍くらい違っちゃうんだろうね……」
とニヤニヤしてしまいながら、アメリカのトンカツを堪能した。いや、そりゃ、日本で食べるトンカツがトンカツとしての正しい姿(どんな姿だ)だと思うのだけど、この地でそこらの日本料理店に行くよりは、この店のはよっぽど安くよっぽど美味しい。しかも今日のサイドディッシュにはライスがあったりして、息子の皿からつついて食べたグリンピース入りライスは妙に懐かしい味がした。そうそう、こういうの学校給食でしょっちゅう食べたわよねぇ、みたいな味。今日も南部料理屋で一組の日本人家族がしっかり癒されてしまったのであった。
牛乳
「今日はこれを食べましょー!」
と、朝から元気な我が夫が冷凍庫から取り出したのは、"レンジでチンするベーコンチーズバーガー"。
数日前、興味半分恐怖半分で「一体どんな味なんだろ」なんて言いながらスーパーマーケットで買ってきたのだ。いやぁ、私は、朝からそういうものはちょっと……と苦笑いしながら後ずさっていたところ、息子が
「ぼくも!ぼくもそれ食べたーい!」
とだんなに力強く賛同。じゃあ息子と半分こして食べればいいかな、と、2個のベーコンチーズバーガーをチンしてみた。1個ずつが箱に入った状態で売られており、1個につき3分半ほどチンすれば良いらしい。パンだけ固くなるんじゃないか、肉もちゃんとあったかくなるのか、などと興味津々できあがりを食べてみたけど、意外とまともな味がした。パンもハンバーグもちゃんとあったかい。チーズが溶け、カリカリベーコンが挟まっている。
予想よりは美味しかったもののジャンクな味であることには変わりなく、けっこうボリュームもある。息子と1個を半分こして食べてちょうど良いくらいだった。だんなはこういうの、好きねー……。
Oysters (12) $6.99
Tostada de Ceuiche $1.99
Gordita $2.79
Tangue Plate $6.99
45oz Margarita
Beer (Corona)
……を、一家で
日本食材屋にちょっとした買い物に行くついでに、午前中で今日の授業が終わっただんなと共に昼御飯。行ってみたのは、友人Rさんから
「メキシカンだったらここが美味しいわよー」
と、お勧めメニューと共に教えてもらったメキシカンレストランだ。店への地図と共に書かれた品名は"Gordita""Ceuche"と、聞き慣れないものがちらちらと。一体これはなんじゃろう?とインターネットで検索してちょっと予習してから行ってみた。
天井が高く窓が大きな明るい店は、並ぶ椅子やテーブルがどことなくチープでファーストフード店のよう。座った席の隣のテーブルには、ふっとい二の腕に入れ墨をした白人のおっちゃん2人がのんびりマルガリータを飲んでいる……けど、そのマルガリータが尋常じゃなくでかい。グラスというより、あれはボウルか洗面器かという感じ。すごいなぁ、旨そうだなぁ……とまじまじと観察してしまい、
「お飲物は?」
と聞いてきたお店のおばちゃんに「あれ、あれをください」とおっちゃんらを指さして注文してしまった。後で確認したところによると、45ozサイズマルガリータだったようだ。45ozって……1.3kgくらい?うわぁ……。
だんなはビール、息子はコーラ。今日はノースリーブを着ていて汗ばむほどの陽気で、しかも乾燥している。こういうときにメキシコ料理というのは何だかとても似合っているような気がする。ほどなく私の前にも洗面器サイズのマルガリータがやってきた。息子の顔がずっぽり入ってしまいそうな直径のグラスに、たっぷりの氷と共に淡い黄色のカクテル。添えられたライムはかなりの厚切りだったけれど、グラスがでかすぎて存在感がほとんどない。これでもかとライムの果汁が入ったマルガリータはすっきりと辛く、アルコール分も強かった。ああもう、昼間っからこんなの飲んじゃって……。
メニューには生牡蠣まで載っていて、思わず酒のアテにと1ダース注文。半ダース4.99ドル、1ダース6.99ドルという価格は、このあたりはかなりの安値だ。ちょっと鮮度が心配だったけど、やってきたのはそこそこ食べられる味の生牡蠣だった。ほんの少し生臭さが漂うけれど、身はプリプリとけっこうな大きさがある。氷がたっぷり添えられ、ライムがごろごろと牡蠣の脇に添えられていた。カクテルソースはついていないけれど、代わりにナチョス用のピリ辛トマトソースがテーブルに置かれている。タバスコもやってきて、それらをぺたぺたつけつつ食べる牡蠣は、それはそれで美味しかった。ライムと牡蠣というのもけっこう似合う(でも私的にはカクテルソースがやっぱり一番好きだなぁ……)。
今日は、Rさんお勧めの料理をいくつか頼んだこともあり、初めて食べる料理が多くて楽しかった。"Gordita"は、タコスの皮をすごく分厚くしたようなものに具が挟まっているもの。ピタパンのような感じになったモチモチした皮にレタスやトマト、チーズと共に炒め肉(鶏肉とか牛肉とかを選択する)が挟まっている。タコスやファヒータとはまた違った口当たりで良い感じ。"Tostada de Ceuiche"は、パイ生地のような食感に揚げたさくさくの円形トルティーヤの上に魚介のマリネが乗ったもの。ライム果汁で和えてあって、酸味が強めでさっぱりしている。私の大好物の香菜(コリアンダー)がこれでもかと混ぜられていた。
で、それだけでは物足りないかなと頼んだのは"Tangue Plate"。牛タンだよ牛タンだよ、と気になって注文したこの皿、楕円の皿に盛られてきたのはコーン入りのピラフと豆ペースト、刻み玉ねぎと香菜、アボガドの果実。そして牛タンを甘辛味でざっと炒めたようなものが乗っていた。アルミホイルに包まれた5枚のトルティーヤがついてくる。牛タン独特のケダモノ臭さがある炒め肉は、ほろほろと柔らかい。肉や野菜をトルティーヤに包んで食べると、どこか懐かしい味もするから不思議だ。暑い季節のメキシコ料理はやっぱりいいねぇ〜などと言いながらそれらを皆でつつき終える頃には、私は満腹以前にすっかり酔っぱらっていた。45ozマルガリータ、おそるべし。
アイスティー
アホみたいにアルコールを摂取した昼御飯のせいで、午後は使い物にならなかった私。へろへろへろ〜っと買い物をして、へろへろへろ〜っと帰宅したら、そのまま2時間ほど意識がふっとんでいた。目覚めたのは午後6時50分。あと10分で木曜のプロレス番組が始まるところだった。
「うう、頭が重いよ……二日酔いみたいな感じ」
「昼間っからあんなに飲むからでしょ……。アレ頼んだ時、俺は"正気かコイツ"と思ったね、正直」
「でも、飲みたかったんだよぅ〜、美味しかったんだよぅ〜」
と小声でぶちぶち言いつつ、水分がばがば取ってしばしプロレス鑑賞。ああ、今日もアンダーテイカーさんはカッコいい。
もう全体的に身も心もでろでろな状態で、私はもとよりだんなもあまりお腹が空いていない様子。数日前に買った鮭だけは食べちゃわなきゃね、とじゃじゃじゃっと鮭御飯を作って、それをかっこむことにした。脂がこってり乗った鮭は茹でてしまい、炊きたて御飯にほぐしながら混ぜていく。塩とすり胡麻、胡麻油を適当に混ぜ合わせればできあがり。さっぱりめの混ぜ御飯やお茶漬けなんかは二日酔い状態でも美味しく食べられるのが有り難かった。……今度はマルガリータ、もう少し小さなサイズにしておこう……。
ココナッツデニッシュ
フレンチホーン
カフェオレ
昨日は久しぶりに、台湾人ご夫妻が経営しているパン屋さん「Alpha Bakery」で買い物してきた。この近郊では唯一、美味しい"カレーパン"とか"クリームパン"とか"メロンパン"が購入できる希有な店だ。アジア食材店などに行けば、あんぱんなどは購入できたりもするのだけど、見知ったまともな味がするものに出会うのはなかなか大変だった。このお店のものは、大概どれを食べても期待以上の味に出会える。久しぶりに行ったものだから、クリームパンだのチョコクロワッサンだのをわさわさと買ってきた。ついでにロールケーキも買ってきた。
で、今日の朝御飯はフレンチホーンとココナッツデニッシュ。カスタードクリームを詰めたコロネと、ココナッツのたっぷりまぶした甘いデニッシュだ。どちらもアメリカ〜ンなくどい甘さはなく、懐かしい味がする。ただし、サイズはけっこう大きめ。ここのパンを2個食べると、昼までお腹一杯になる。
久しぶりに食べた菓子パンは、今日もしみじみ美味しかった。卵たっぷりという感じの黄色いこってりとしたクリームに、独特のもちもち感のあるパンの生地。幸せだなぁ。
いなり寿司
コーンチャウダー
アイスティー
今日は丸一日かかって、卵の加工作業をしてみた。
あと2週間ほど後にやってくるイースター。茹で卵や、もしくは中身を抜いた卵(最近はチョコレートで代用してしまったりもするらしいけど)の殻に彩色して飾ったりするらしい。3月の終わりころから、スーパーマーケットには2〜3ドルで買える卵の色づけキットが並ぶようになっていて、その華やかさに惹かれて1セット彩色セットを買ってあった。でも、模様を描くのは自信がないし、かといって単色に染めるだけなのもつまらないし……と思っていたところ、先日発売された雑誌、『Martha Stewart Living』の表紙がカラフルなマーブル模様の卵。これこれ、こういうのがいい!とその雑誌を買ってきて作り方を眺めてみた。
最初に下地の色をつけ、2回目からは油の膜を表面に作った色水に浸してマーブル模様を作っていくらしい。買ってきた彩色キットは色水を作ることは前提にされていないものだったので雑誌に掲載されていたような華やかな色合いの完成は期待できなかったけれど、わちゃわちゃと美しきマーブル模様を目指してがんばってみた。
ゆで卵に彩色するのが簡単ではあるけれど、それだとイースターの数日前にならないと作業できない(卵、腐るし)。それに、彩色した卵の殻を剥いてイースター当日に食べるという人もいるようだけれど、「殻から染料が染みてきて、卵本体が染まるので食べずに捨てます」という話も聞いた。卵の中身を有効活用し、ついでに長く卵を飾るという観点からすると、やっぱり中身を抜いてしまうのが一番のようだ。朝御飯の後、ひたすら12個の卵の上下にカリカリとカッターで穴を開け、竹串で中身をつついて黄身を崩して穴から出し……という作業をやっていた。慣れてくると、直径0.5mm程度の空気穴と2mm程度の掻き出し穴をあけるくらいで中身が綺麗に出せるようになってきた。な、何だか楽しいぞ。
卵と大格闘しているうちに、だんなが大学から帰ってきた。台所が大変な事になってるから、何か食べるもの買ってきて〜、とお願いしてあった彼の手には、オーガニックスーパーの紙袋。
「おいなりさん、買ってきたよー。あとね、コーンチャウダーが美味しそうだったから。それと、手巻き寿司なんかもあってね……って、食卓は使えなさそうですね……」
と卵や色水が並ぶテーブルを見て苦笑いしている。
そういうわけで、居間の小さなローテーブルにちまちまプラスチックを並べての昼御飯。いなり寿司は、いかにも既成の油揚げの含め煮を使って作ったような味だけど、そこそこ美味しい。手巻き寿司は、マグロのぶつ切りをピリ辛味のトビコで和えてきゅうりと共に巻いたもの。ピリ辛味にちょっと驚いたけれど、思ったよりもまともな味だ。そして、ちょっと似合わないけど具沢山のコーンチャウダー。じゃがいもとコーンがこれでもかとたっぷり入ったトロンとした濃厚なスープ。
ぱぱぱぱっと御飯を食べた後は、引き続き彩色作業。黄色やピンク、水色に染めた卵に上から一段濃い色でマーブル状に染めていく。
with千切りキャベツ・茹でブロッコリー
鮭とちりめんじゃこの葱和え
鶏肉とかまぼこ入り茶碗蒸し
羽釜御飯
ビール(San Miguel)
アイスティー
「Alpha Bakery」のロールケーキ(タロ芋)
自家製マロンケーキ
アイスカフェオレ
卵はめでたく、いい感じに染まった。雑誌の写真ほど派手にはならなかったけれど、これはこれでまぁ、可愛らしいかもしれない。木製ボウルの中に入れて、しばらくテーブルに飾っておくことにした。
問題は、卵の中身だ。黄身を崩さないと穴から出せないため、ボウルに溜まっているのは"12個分の溶き卵"。一応事前に予定を立てて、4個分はケーキにして、3個分はキッシュにして……と、取り分けておいてみていた。4個分の溶き卵は早々にマロンケーキの材料としてパン焼き機に放り込んで機械に加工していただき、5個は今晩の夕食用の茶碗蒸しに化けていただくことに。残りの3個は明日、キッシュに加工する予定。
5個分の卵の茶碗蒸しだとたっぷり4人前はできそうだったので、留学仲間のIさんを夕食に呼んで手伝ってもらうことになった。鶏肉とかまぼこを入れ、茶碗蒸し用の容器がないのでマグカップにたっぷり作る。昨夜の茹で鮭の残りがあったので、ちりめんじゃこと和え、刻み葱を混ぜてから塩と醤油と胡麻と胡麻油で適当に調味して御飯のおかずに。あとは、薄切り牛肉(といっても厚さ3mmくらいはありそうなちょっとゴツイやつ)の買い置きがあったので、それは玉ねぎと一緒に焼肉のタレでジャッと炒めちゃう。横には千切りキャベツを山盛りと、茹でたブロッコリー。こういう味のものが恋しいかなぁと思って考えた献立は、Iさんの心をけっこう鷲掴みにしたらしく、
「あー、千切りキャベツだぁ……うれしー」
「そうそう、こういう味ね、懐かしかったのよ」
とニコニコしながらIさん、食べる食べる食べる。Iさんと何かとつるんでいる留学生仲間Mさんが、先日から結婚式兼ハネムーンということでこの地を離れていたこともあってか、ちょっと寂しかったらしいIさんだった。
そしてデザートに、詰め合わせセットを買ってきた「Alpha Bakery」のロールケーキ。チョコ味とモカ味とタロイモ味がセットになって全部で7切れ入っている。これまでバニラ味、チョコ味、モカ味全て試してきていたのだけど、紫色の"タロイモ味"だけは微妙に食指が動かず、気になるけれど1本食べきれる自信も今ひとつなかったので今回詰め合わせで買ってきてみたのだった。クリームも生地も見事に紫色をした、ちょっとすごい色のケーキだ。芋というより栗の味に近い、優しい甘さのケーキだった。想像していたよりホクホクとした独特の甘さがかなり美味しいケーキだったけど、やっぱりバニラやチョコの方が好みかもしれない。この店のロールケーキを食べるのは初めてだというIさんは、モカ味のケーキに「おおー、アメリカのケーキじゃないみたいだ」と喜んでいた。大食らいの彼のこと、そのうち1本買ってきてその日のうちに食いきってしまう(ていうか、買ってきた直後に丸かじりする)んじゃないかという懸念が……。
紅茶
今日は私の誕生日。
Iさんが遊びに来ていた昨夜は10時過ぎまでなんやかやと騒いでいて、その後風呂だ何だとパタパタしていた。落ち着いたのはもう日付も変わろうとしていた頃で、風呂上がりでボーッとしていた私にだんなが
「誕生日おめでとう!おゆきさん!」
と声をかけてきたのだった。ああ、もう、日付変わっちゃいましたかー。いよいよ来年は20歳(注:10進法にあらず)ですねぇ……、と、複雑な心境でうむうむと頷いていたところ、
「さっそく、お誕生日プレゼント〜♪」
と、だんながクローゼットから水色のラッピングペーパーに包まれた小箱を持ってきた。見覚えのある包み紙は、以前買ってきて残っていたクリスマスのプレゼント用のラッピングペーパーと同じ柄だ。えらく不器用に包まれている小箱を見て、すまんと思いつつ笑ってしまう。
「だ、だんなが包んだの?自分で?(悪いと思いつつもニヤニヤ)」
「なんだよー、笑うなよー。これでも必死で包んだんだよっ」
「ていうか、いつ包んだの?……私が一人で昼寝しているときとか?」
「そうそう、酔っぱらって寝ていた時」
「……おととい、でしたか……」
ぶきっちょなだんながどんな顔して必死に包んだんだかなぁ、と笑いが収まらないまま包みを開けると、Olympus社のデジタルカメラが出てきた。長らく使っていたこのメーカーの愛用デジタルカメラがぶっ壊れたのは昨年11月末のニューヨーク旅行時だ。カメラが無いのは困るということで、通りかかった電器店に飛び込んで別のメーカーのを買ったは良いけれど、接写モードが今ひとつ綺麗に撮れなかったり、"シャッター半押しでピント合わせ"の機能がなかったりと、微妙に不便な思いをしていた。「やっぱりオリンパスのがよかったなぁ……」と何度かこぼしていた愚痴を覚えていてくれたらしい。うわー、嬉しいなぁ。
で、昨夜遅くまであれこれいじくったりしていたため、今朝はちょっと寝坊。"イースターエッグ作っちゃったので卵の中身を食いましょう"キャンペーンの一環として昨夜焼いたマロンケーキがあったので、それを適当にスライスして紅茶と食べた。
砂糖控えめな、ケーキというよりは"卵たっぷりのパン"という感じのマロンケーキ。中には栗の甘露煮を砕いたものを散らし、ベーキングパウダーや薄力粉と共にパン焼き機に放り込んで焼いたものだった。もうちょっとふわふわしたものになるかと思っていたのだけど、できあがりはパウンドケーキのようなどっしり系。それはそれでなかなか美味しい。
アイスティー
今日は用事もなく、家でのんびり。昼御飯は適当に、瓶詰ジェノバペーストを使ってのスパゲティということに。
松の実がざくざく入り、にんにくの風味も効いたバジルペーストは、そのへんのスーパーマーケットで買ってきたのものだ。傷んでいるというわけではないはずなのに、何故か酸味が強い、バジルの風味よりも酸味の方が強く感じられてしまうような奇妙なソースだった。一度食べてみたものの、「な、なんかちょっと不思議な味……」としばらく封印していたものだ。久しぶりに開けてみたら、やっぱり酸っぱい謎な味。
だんな特製 ベーコンと玉ねぎのコンソメスープ
ほうれん草とハムのキッシュ
白ワイン("Valley of the Moon Chardonnay" 2000 Sonoma County, CA)
チョコチップアイスクリーム
誕生日のお祝い、
「どっか外に食べに行く?」
と、「どこでも良いよ」とだんなに言われたけれど、今ひとつ行きたいレストランがない。ステーキ食べに行くってのも……何だか違う気が。
「いや……外食はいいや……最近何かと外で食べているし」
と答えると、じゃあ何食べたい?なんでも作るよ?と、キラキラした目で問いかけられた。そういえば記念日には色々外食もしてきたけれど、だんなに料理を作ってもらったことも数多い。蟹クリームコロッケとか天ぷらとか作ってもらったことがあったっけ……と思い出し、
「あー、グラタンみたいなのが食べたいな。ドリアとか」。
このリクエストはけっこう嬉しいものだったらしく、だんなは
「よっしゃ、じゃあシーフードドリアにしよう。帆立と海老を買ってきて、あとスープも作ろう」
うきうきと献立を考えてくれた。
"イースターエッグ作っちゃったので卵の中身を食いましょう"キャンペーンがまだ実施中だということもあり、夕飯の仕込みは私も一緒に台所に立ってキッシュ作成。冷凍パイ生地がアルミのパイ型に敷かれているものを買ってきたので、それにほうれん草とハム、チーズを重ね、生クリームと牛乳、溶き卵を混ぜた卵液を流し入れてオーブン焼きにする。その準備をしている脇で、だんなはバターと薄力粉を炒めて牛乳を注ぎ、ホワイトソースの作成。魚介を御飯と炒めてホワイトソースと層にしながら耐熱皿に詰め、チーズを散らしてこちらもオーブンに。どちらもチーズであり牛乳であり……という組み合わせになってしまったけど、焼きたてアツアツのいかにも美味しそうな皿がテーブルに並んだ。記念日ということで今日は白ワインを開ける。ワイン、安くて美味しいカリフォルニアワインがいくらでも売られているのでもっと頻繁に飲んでも良いのだけど、ワインはつい飲み過ぎて酔っぱらった挙げ句、夕食後に動ける人がいなくなってしまうのでなかなか普段は飲めなかったりするのだった。
ドリアもキッシュも素直な味の、懐かしさ漂う料理になった。どちらも塩味が足りないとなんともボケた味になってしまうけれど、今日はどちらも塩加減ばっちり。
「おゆきさん、やるねぇ」
「だんなもやるねぇ」
などとニヤニヤしながらオーブン焼き料理を堪能した。海老と帆立がごろごろ入る御飯に絡まる純白のトロンとしたホワイトソース。バターとクリームの風味が濃厚で、思ったより早く満腹になってしまった。
息子の誕生日があと2週間ということもあって、今回の私の誕生日はケーキなし。デザートはさっぱりとアイスクリームで終了した。
「ぼくのたんじょうびはねー、白い、いちごのケーキにね、ろうそくいっぱい立ててね、でんき消してね、ふーってするの」
と楽しみにしている息子なので、彼の誕生日にはホールのショートケーキでも買うことにしよう。
苺のサラダ
海老とアーティチョークのサラダ
チーズとマッシュルームとオニオンのオムレツ
クリームチーズのフライ
スモークサーモン
ローストビーフ
ソーセージ、ベーコン
エッグスベネディクト
クスクス
ズッキーニのソテー
チョコレートワッフル
バナナプディング
メロン、葡萄
アイスティー
1日遅れだけど、私の誕生日のお祝いということで今朝はサンデーブランチに。なんでも今日から(4月6日の午前2時頃から)夏時間に切り替わるらしい。昨日寝る前に家中の時計を1時間進めてから寝たのだけど、
「うわー、11時だと思っていたけど、もう12時なのかー」
「いや、正確にはまだ11時だけど……」
「明日、9時半に起きるということは8時半に起きることと同じになっちゃうのか……」
と、何だか微妙に損した気分。1時間とはいえ、なんだか寝不足な感じが。
そうして、10時半に目指した南部料理屋さん「Copper Kettle」。ランチタイムにおおいにお世話になっているこのお店だけど、サンデーブランチに来るのはまだこれが2回目だ。ドリンク込みで14ドルという値段はいつものランチと比べるとけっして安くはないけれど、充実した内容と味に今日も大人気な様子だった。開店30分後に来たのに、客席はもう半分以上が埋まっている。
料理の目玉は、目の前でスライスしてくれる温かいローストビーフと塊の巨大なハム。温菜コーナーにはクスクスやズッキーニの炒め物などの添え物と共に、チーズ風味のチキンカツやソーセージ、ベーコン、そしてエッグスベネディクト(ブリオッシュの上にポーチドエッグを乗せ、ほんのり酸味のある黄色いソース(オランデーズソース)をかけたもの)。いつもはデザートやパンが置かれている棚の上にはサラダやフルーツ、パンやスモークサーモンが処狭しと並んでいる。デザートも毎回5種類くらいはしっかり用意されていて、いちいち嬉しさが漂う内容だった。
席につくと共にアイスティーを注文し、さっそく料理を取りにいく。最初はやっぱり冷たいものからの方がいいのかなぁ……とサラダやスモークサーモンを盛りつけてきた。クラブケーキ?と思って貰ってきたころりとした揚げものは、クリームチーズのフライ。苺味のドレッシングが添えられた苺入りのグリーンサラダによく似合う。本来はベーグルに添えて食べるためだろう、クリームチーズやレモン、ベーグルと共に並べられたスモークサーモンは、ベーグルは抜きで(ベーグルも美味しそうだったんだけど、それ食べたら他のものが入らなくなりそうで)、そのまま数枚ぺろりと貰ってきた。
おお、今日もローストビーフが美味しそう……と、冷菜を盛り合わせた皿を持ったまま温菜コーナーも眺めていると、
「何かお作りしましょうか、マダム?」
とカウンターの向こうから店員さんに声をかけられた。
「お好みの具でオムレツを作りますし、あと、ワッフルとか」
ニコニコと話しかけられ、つい「あ、ワッフルを……」と応えてしまう(ワッフル、美味しいけど巨大サイズで食べきるのが大変だというのに……)。
「チョコレート?ストロベリー?」
と重ねて問われ、「……チョコレートで!」と、食べる気満々な私。冷菜をつついていると、ほどなくワッフルがやってきた。大きな円形のワッフルの中央にはホイップクリーム。周囲にチョコチップが散らされて、一見その量は控えめだけれど生地の中にもチョコチップが大量に入っている。温かいシロップも添えられてきて、
「あ、僕も半分食べるよ」
とだんなが手伝ってくれた。だんなはだんなで、マッシュルームとチーズとオニオンを入れたオムレツを注文していたらしい。小さなテーブルはすぐに料理でいっぱいになった。
1皿目をぺろりと食べ、続く皿は念願のローストビーフとエッグスベネディクト、それにクスクスとズッキーニソテー。とろんと柔らかくて美味しいスモークサーモンもまた取ってきて席に戻る頃には、店はほぼ満席になっていた。近くの席ではピンク色のワンピースを着た金髪の可愛らしい女の子が、同じくお洒落をした両親と共にサンデーブランチを楽しんでいる。見るからに"日曜礼拝帰り"という感じだ。ローストビーフは適度な塩気があって、紅色の断面が美しく、口に入れるととろんと溶けていきそうな柔らかさ。その皿を空にする頃には、だんなは「も、もうデザートも食べられないや……」と、大変な満腹状態になっていた。
そして、驚いたのは息子の食べっぷり。甘いパンもお菓子もフルーツも、子供が好きそうなものがあれこれてんこ盛りな料理の数々だったにも関わらず、息子の執心対象は"具だくさんのオムレツ"と"スモークサーモン"。
「このおさかな、おいしいねぇ〜」
と、私よりもだんなよりも多くのスモークサーモンをつつき、「たまごもおいしいね」と、だんなが注文したオムレツのかなりの量を食べていた。わけてあげるよ?と言った私のワッフルも、いらなーいと首を振ってスモークサーモンを齧っている。その横でチョコまみれのワッフルを食べる私。何だか役回りが激しく違う気がした。スモークサーモンを旨い旨いと言って食べるとは……端から見ると今日も相当憎たらしいぞ、息子よ。
最後には、きっちりデザートも。カウンターに並ぶのは、チョコレートブラウニー、レモンチーズケーキ、チョコレートがけビスキュイ、メレンゲパイなどなど。ふわふわした外見が美味しそうだったバナナプディングをもらってきてみて、息子と半分こ。ホイップクリームと、バナナ風味のカスタードクリーム、輪切りにしたバナナが同量ずつくらい、ざっくりと混ぜられたようなやわやわとした甘いデザートだった。
「とにかく量をたっぷり食べたい」「腹が破れるほどケーキが食べたい」などと思っていた若い頃は、"食べ放題"がなんとも魅惑的なものだったけど、さすがに「いや、そんなムリして大量に食べなくても、美味しいものが美味しく食べられる方がいい」とブッフェ料理から足は遠のくようになっていた。けど、ここのお店は別。そんなに大人数いるわけではないのに店員さんは細々と皿を下げたりきびきび動いていて、冷たい料理は冷たく、温かいものは温かく、ブッフェ台は汚れることなくいつも綺麗に整っている。食べ物に対する愛が溢れているお店で、だから私たちはこのお店が大好きなのだった。……調べてみたら、今年の1月に初めて来てから、もう9回目だや……。
ほうれん草とハムのキッシュ(昨夜の残り)
ベーコンと玉ねぎのコンソメスープ(昨夜の残り)
ビール(Abita Ambar)
朝からローストビーフなどを食べてしまうと、さすがに昼食もおやつも胃袋に入らない。夕飯も「これ!」というものが思い浮かばないほど、満腹状態が夕方すぎまで続いてしまった。
結局食べたものは、昨夜の"誕生日ディナー"の残りもの。直径30cmほどのパイ生地にたっぷりできたキッシュも、小型のキャセロール型にみっしりできたシーフードドリアも、一回の食事じゃ食べきれないほどのボリュームだった。半量近く残っていたそれをスープと共に温めなおして、ビールを片手につつくだけの簡単夕食。
確か、キッシュを作ったのはこれが初めてだったような気がする。円形に整形済になって売られていたアルミ型に収まった冷凍パイ生地に、1束分の茹でほうれん草と刻んだハムと、チーズ(タコスに使ったシュレッドチーズの残り)と刻みにんにくを散らし、あとは3個分の溶き卵に1/2カップずつの生クリームと牛乳を混ぜ合わせて塩胡椒したものを流したら180℃のオーブンで25分くらいかけて焼くだけ。数年前に「キッシュっての、家で作れるかなぁ」と思いつつ眺めたレシピ本には"パータ・フォンセを作ります"なんて土台となる小麦粉生地の作り方から書かれていて、こりゃダメだと当時は諦めていた料理だ。その後に見たケンタロウさんのレシピ本ではあっさり"冷凍パイシートを使います"と書かれていて、ああそうか、そうだよなぁ、それでOKだよなぁと、ちょっぴり目から鱗を落としていたのだった。冷凍パイ生地を使ったキッシュは、それでも上々の味。ちょっと生クリームを多めにしたら、かなりのこってり味になってボリュームたっぷり。今度はもうちょっと生クリーム控えめチーズ控えめにしてあっさり味で作ろう……と思いつつ、また作ろうと密かに決意した私だった。