プーアル茶
「551蓬莱」の豚まんがまだけっこうあるよー……ということで、先日だんなが出張土産に買ってきてくれた豚まんを蒸かしての朝。今日から息子は学校だ。昨日買ってきた新しい服に袖を通して、「今日は始業式だからさ〜」と、(一応)おしゃれ着のつもりで買っておいた黒いチノパンなど履いている。今日から息子、最上級生。がんばれよー。
「たんじょうびおめでとう!わたし!」
朝起きて誰も言わなかったので、「いただきます」のあと、つい自分で自分を祝ってしまったところ
「おめでとーおゆきさん」
「おめでとーお母さん」
と家族から反応が。どうも恐れ入ります……。
豚まん、あと冷凍庫に残るのは6個ばかり。大事に食べなきゃ。
今日は久しぶりに野菜セットが届いた日。今日の「ベジタS」は
大根1本 ・ 里芋5個 ・ トマト2個 ・ 青梗菜1把 ・ ニラ1把 ・ 長ねぎ1束 ・ 甘夏1個
という内容。青菜あり美味しそうな大根ありでなかなか嬉しい組み合わせ、でも今日の夕飯予定の洋食にはちょっと使えないものが多いかな……。
干しフルーツ(いちご・洋梨・りんご)
パテ・ド・カンパーニュスライスと新玉ねぎ
イベリコ豚ブロックのグリル 新じゃが添え
ターメリック風味の野菜のスープ
羽釜御飯
スパークリングワイン(GREEN POINT)
「BUZZSEARCH」のダブルイチゴ
カフェオレ
昼頃に帰宅した息子。簡単な昼御飯を済ませた後、「僕、ちょっと出かけてくるね、買い物してくる」と、小雨降る中そわそわと出かけて行った。30分後くらいに帰ってきた息子の手には綺麗なバラの花が数輪。誕生日プレゼントでーす、と、その花を私にくれた。
バラらしい、深みのあるローズピンク色をしていたバラはそれぞれ種類が違うようで、ものすごく良い香りのものが2つほど混ざっていた。さっそく花瓶にいけてテーブルに。猫がいたずらしかねないから、と、このところあまり生花を買っていなかったけれど、やっぱり花はいいなぁ……。バラは大好きで、大好きなゆえにすぐに儚く散ってしまうのが惜しくてあまり買えずにいた(つい日持ちのするガーベラあたりを選んでしまったりして)けれど、バラは気分をひときわ明るくしてくれる。
夕飯は、じゃあ誕生日の夕食だしということで年明けに福袋で届いて冷凍庫に入れっぱなしだった「ハイ食材室」で買った500gサイズのイベリコ豚ロースブロックを焼いてみることに。午前中のうちに氷水に漬けて解凍しておき、焼く1時間くらい前まで冷蔵庫に入れてから室温に出した。
1kgサイズイベリコの商品ページに記されていたオーブン焼きが美味しそうで、「こんな感じにすればいいかなぁ」と思いつつ、でも「ロゼ色になるよう火を通しつつ、でも豚肉だからミディアムレアよりは火を通し気味に」という加減はいかにも難しそう。
「ああ、もう、1人分に3等分スライスしてスキレットで焼いた方がらくちんかしら?」
とヘタれつつ、その旨をちょうどメールやりとりしていたイタリア料理の巨匠にこぼしたところ、
「イベリコはやっぱり絶対丸焼きですよ!」
と助言をもらった。そうですよね、やっぱりブロックのまま焼くべきですよね……と、いっちょうがんばってみた。
210℃のオーブンに入れて20分、表面に今ひとつ焼き色がパキッとつかなかったので250℃に上げて更に3分くらい。あっという間に脂が盛大に溶けはじめてジュクジュク言い始めたので(イベリコ豚の脂の融点は相当に低いそうで……人間の体温でも溶けていくとか)オーブンの電源落として肉をアルミホイルに包み、扉を開けたままにしたオーブンの庫内に10分ばかり置いて寝かせてみた。肉の脇には皮つきの新じゃがを転がして、豚の脂を染みさせつつグリル。
イベリコを冷凍庫から出すついでにパテ・ド・カンパーニュを発掘したので、これを前菜にしてしまうことにした。新玉ねぎをスライスして薄切りにしたパテを添え、ワインの肴になるかなとドライフルーツもいくつか飾ってみる。モンドールと蔵王クリームチーズの苺味も出して、スープは野菜どっさりに。
チキンコンソメに今日届いた大根、あとは人参、玉ねぎ、ピーマン、茄子、かぼちゃなどなど、昨日の焼肉に使った野菜の残りも合わせて野菜庫にある使えそうなものをあらかた入れて煮込み、にんにく風味の塩で調味。でもひと味足りないかなぁと、最後にチリパウダーとターメリックを少し加えてエスニックな味にしてしまった。
イベリコの焼き加減は、めでたく上々。
赤すぎることもなく、「もうちょっと早く出しても良かったかな、最後の数分が余計だったかしら」と思わなくもなかったけれど、ドリップもほとんどこぼれず、私にしては上出来と言って良い焼き上がりだった。ローストビーフのようにスライスして大皿に盛り、「適当に手を出してねー」という風に。
味付けは、フルール・ド・セルの粗めものをしっかりめに全面まぶしつけて、胡椒をガリガリ挽いただけ。でも、甘さのある脂の部分も、しっとり焼けた肉のところもなんとも良い味だった。すごいなー、イベリコってやっぱり美味しい豚なんだねぇとしみじみと噛みしめつつ、あっという間に肉は全部消え去った。……500gと言わず、1kgの肉があってもこれは幸せだろうなぁ。翌朝残しておいてサンドイッチにするとか、やってみたい。
食後のケーキは、だんなが帰宅途中GranStaに寄って買ってきてくれた「BUZZSEARCH」というお店のケーキ。
「なんかね、"ダブルイチゴ"って名前のケーキだったよ」
とのことで、ケーキの下半分がストロベリータルト、上半分がショートケーキだから「ダブル(の)イチゴ(のケーキ)」というネーミングらしい。
どっしり濃厚なカスタードクリームとホイップクリームが両方味わえて、とても得した気分になれた。
ちなみに、まだ手元にはないけれど、だんなからのプレゼントは「とてもリアルなミズクラゲ柄バッグ」。
ネットで見かけて「これが欲しいです」と伝えたら買ってくれることになったのだった。
「君はほんとに趣味がよろしくないよねぇ」
とだんなは言うけれど、Jean-Paul GAULTIERからもクラゲ傘が出ているように(これも探してるんだけど……見かけないのよねぇ……)、一定数の需要はあるはずなのよ、クラゲグッズ。
麦茶
いよいよ息子も本格的に登校だし、ちゃんと起きなきゃなー、今朝はうどんの予定だからさっさとお湯沸かさないと……と、目覚まし時計が鳴る少し前に目が覚めた。でも起きられずに布団の中でうだうだやっていたところ、台所の方からお湯が沸くぽこぽこ言う音が聞こえてきた今日の朝。
あれ?と思いつつもまたうとうとしてしまって、結局覚醒したのは目覚まし時計に叩き起こされてから。だんなが既に起きていて、パスタ鍋に湯を沸かしているところだった。どころか既にうどんを茹で始めている。グッジョブ。
1ヶ月ほど常温保存可能な麺を沸いた湯にほぐしながら入れて、一度沈んだ麺が浮き上がってから吹きこぼれない火加減にして茹でること13分ほど。茹で上がった麺を水で揉み洗いして締めて、昨夜のうちから冷蔵庫に入れておいただしをかければ「ひやひや」うどんのできあがり。
しまったなー昨日のうちに天ぷら……は朝食にはちょっと大袈裟だとしても、油揚げを甘く煮ておくとかしておくと幸せだったかなーと思いながら、刻み万能葱だけかけていただいた。
茹でたのは、香川のうどん屋さん「がもう」で買ってきたお土産麺。4人前のかけだしのセットは、2人前の麺が2パックと1人分ずつ小分けにされただしのパックが4つ箱に入っている。4人分が既に箱に入っているので扱いやすいということもあってか、「がもう」の駐車場に作られたお土産コーナーではそれらがえらい勢いで売れていっていた。
お土産用に大量に作っているものだし、保存性を高めた"半生麺"は"生麺"とは異なるものだから、「お店で打ったうどん、お店のだし、そのまんまの味」とはならないのだろうけれど、でも家に常温で持ち帰れてこれを味わえるなら全然文句ないわ、ってくらいにちゃんと美味しかった。だしがちゃんと香川の味だよー素晴らしい。
そういえば、3月の気候だったら、先日の香川詣でで「生麺」も買って帰れたんじゃなかったかなと今更ながらに気付いてしまった。
生麺状態で販売しているお店も何ヶ所か伺ったし、
生麺購入する→タッパー持参して詰めちゃう→保冷剤も持参して添えちゃう→保冷バッグに入れちゃう
という感じにすればなんとかなったかも。
生麺でも冷蔵で1週間くらいはぎりぎり保つみたいだし、ちゃんと製麺所で、目の前で打っているそのうどんを買ってくる方が美味しいだろうなぁ……ということで、次回はタッパーや保冷剤持参で香川に行くべきだなぁと思ったのだった。香川から生麺持ち帰って、家で「かまたま」(ゆであげた麺に生卵まぶして醤油垂らして食べーる!)なんて、想像するだけで幸せなことだ。
里芋のゆずみそ
かじきまぐろと葱の照り焼き
いかなごのくぎ煮
ターメリック風味の野菜のスープ
羽釜御飯
麦茶
だんなはこれからまたちょっと多忙な日が続くらしい。
「家で夕飯はちょっと無理だなー」
とのことで、このところ肉まみれの飽食の日々だったので、「粗食に、粗食に」を目指してみた。今日の夕食のテーマは「ザ・粗食」。
週末のうちにかじきまぐろの切り身を買ってあったので、丼仕立てにしようかシンプルに塩焼きにしようかなどとあれこれ考えて、結局ケンタロウさんレシピを参考に照り焼きに。長ねぎを切ったものも魚と一緒に焼いて、醤油と砂糖と酒、小口切りに切った赤唐辛子を最後に絡めて照りつける。
同じくケンタロウさんレシピで、「かじきの甘辛+タルタル丼」という料理もあって、あらステキ美味しそう、と思ったのだけれど、かじきまぐろを揚げるうえにタルタルソースというこってり系のものを添える内容だったので、「ザ・粗食」を胸に刻みつつおとなしく照り焼きの方にしておいた。
買い置きの茶碗蒸しがあったのでそれも添えて、あとは昨日届いた里芋をさっと煮て柚子味噌で。だし汁と少量の薄口醤油と味醂で淡めに煮た里芋に、ふろふき大根用にと買ってあった市販の柚子味噌添えるだけ。スープは昨夜の残りがあるし……と準備していたら、ずいぶんと手間の少ない夕食になった。
こら息子、そこであからさまに「お魚かぁ……」とがっかりしないでください。
かじきまぐろの切り身には骨もないし(あったとしてもふっとい骨が2本、とかだし)、淡泊でクセもなくて美味しい食材だと思うんだけどなぁ。実際、少しだけピリッと唐辛子の刺激のくる、ちょっと大人の味の照り焼きはちゃんと美味しくできあがったし。
カフェオレ
甘夏
「昨日はね、息子にお使いを頼んで朝ごパンを買ってきてもらったんだよ」
「ああ、つまりそれは、今日の朝御飯はミルクフランスってことだね?」
そうそうそうのとおり……と、苦笑いしながらパン皿を食卓に並べる水曜の朝。
バゲット買ってきて、とか、食パンでとかコーンパンでとか、細かに指定すれば間違いなくそれを買ってきてくれる息子。
だけれど、なんでか、「なんでもいから朝御飯用のパン買ってきて、3人分」というオーダーをすると、それすなわち「ミルクフランス3本買ってきて」に変換してくれてしまう。私のオーダーは様々な選択を許すものなのに、なーんで「パン買ってきて=ミルクフランス買ってくるよ」の1対1対応になってしまうのか。それほどまでにミルクフランスは魅惑的なのだということであるらしい。
私も大好きなんだよ、でも私は大人だから、こればっかり買ってくるというわけにはいかないんだよ、大人だから……とぼやきつつ、でもだからこそ、息子がミルクフランス買ってくると「あーまったくしょうがないわねぇ、やっぱりこれを選んじゃうのねぇ」と喜んで受け入れている自分もいる。もう全員そのへん理解したうえで、
「パン買ってきてねー(ミルクフランスでいいよ)」
「うん、買ってくる。おまかせだね?(ミルクフランス以外は選ばないよ?)」
と、口に出さずともそんなやりとりを水面下で交わしているのだった。
目下のところ、我が家が無理せず買える範囲のパン屋さんで美味しいミルクフランスといえば「アンデルセン」のもの。
ごわっとした固さも、たっぷり詰まった馴染み深い練乳味のクリームも、不満な点はかけらもないのだけれど、世の中にはもっと素敵なミルクフランスを売るパン屋さんがまだまだあるみたい。
ミルクフランスが美味しいパン屋さんだったら、クリームパンだってきっと自家製クリームで美味しいよねぇ……(私はミルクフランスに迫る勢いか越える勢いでクリームパンも大好物)とうっとり妄想してしまいながら、ガジーガジーとほんの少し塩気のあるパンに囓りついていた。
食後の果物は、月曜に野菜の宅配で1個だけ届いた大きな甘夏。とってもジューシー。
フレッシュトマトとクリームのペンネ
鶏もも肉のオーブン焼き
新玉ねぎたっぷりスープ
麦茶
なんと困ったことに米が底をついてしまって、いつものお店に宅配を頼んだ。が、うっかり注文するのがぎりぎりで、今日の夕飯は「米無し」ということに。
「お米がなければ……パスタを食べればいいのよ、うん」
と、手持ちの野菜を思い出しながら献立考えて、鶏肉と生クリーム買ってきた。生クリームはトマトと合わせてペンネのソースに、鶏肉はシンプルにオーブン焼き、ということに。
トマトと生クリームを両方使ったパスタソース。「トマトソース」というのも不自然だし、純然たる「クリームソース」という風でもない、桃色のさっぱり味のソースで、レストランでも市販のソースでも見ることがある。
けれど、手持ちの本に載っていた日良実さんレシピの「フレッシュトマトとクリームのペンネ」は、ものすごく潔く「具はトマトと生クリーム、以上!」という感じのものだった。角切りトマトと生クリームを合わせて熱して軽く煮詰めてソースにして、仕上げにおろしたパルミジャーノ・レッジャーノと刻みパセリを混ぜるだけ。
それはそれでさっぱりしていて良いかも、確かにスパゲティよりもショートパスタの方が似合いそう……と、封の開いていたペンネも食べてしまいところだったのでそのソースにしてみた。一昨日届いたトマトはまだちょっと青みがあって「完熟」と言える状態でもなく、だから思った以上に酸味を感じる軽い味のソースになった。
刻んだキャベツと新玉ねぎは塩で揉んでアップルビネガーとマヨネーズ、蜂蜜少々とセロリシードをふってちょっとアメリカンな味のコールスローに。オニオングラタンスープになるほどには真剣に作らなかったけれど、スライスした新玉ねぎを甘さが出るまで炒めたスープ(気合い入れてないから全然白いスープ)も用意した。残念ながら、今日もだんなは激ジョブで息子と2人の夕御飯。
今日は魚は使っておらず、肉っ気は塩焼きにした鶏肉だけだったのに、なぜだか猫たちが「そのパスタおいしそうね」「おいしそうなにおいするのね」と興味津々。猫の味覚はトマトクリームソースもストライクゾーンなんでしょうか……。
カフェオレ
昨日、スーパーで買ってきたベーグル(最近はスーパーの大手メーカーのが並ぶパンコーナーに普通にベーグルが置かれてるのねー)でサンドイッチの朝御飯。
ちょっとばかりレバーの風味のあるパテ、息子でも食べやすいようにとゆで卵も用意することにした。半割にしたベーグルに薄くバターを塗ってトーストし、たっぷりのレタス、パテ・ド・カンパーニュ、スライスしたゆで卵、と次々に積み上げて、軽くマヨネーズを絞ったらまたレタス。上からぎゅうとベーグルを重ねて押してかぶりついた。
今日はお出かけお出かけ、と、だんなと息子を見送って急ぎの仕事をした後は外出の準備。桜の花の色っぽいネイルを昨日塗ったというのに、感動的なほどに塗りムラのできるタイプだったものだから(お安くないやつなのに……OPIのなのに……)、そこだけが軽く不満。
新じゃがのリピエノ(仔羊のラグー/サワークリーム+ボッタルガ)
帆立の稚貝と筍のリゾット 木の芽のペースト添え
乳飲み仔羊のアル・フォルノ ハーブバター添え
ラタトゥイユ
あまおうのフレジェ ロールケーキ仕立て
今月はちょっと奮発してアニョードレを焼くんですよ、と伺って、それは素敵!と参加させていただいた玉緒さんの料理教室に今日はお出かけ。同じく興味を持った友人と2人であれこれ学んで充実した幸せランチを堪能してきた。
「アニョー・ド・レ」は、生後3〜4週間の乳飲み仔羊のこと。仔羊と言えば「ラム」が一般的だけれど、ラムは生後6ヶ月くらいまで(だから既に草ももりもり食べている仔羊)の羊肉だそう。日本国内では生後12ヶ月くらいの羊まで「ラム」と称して売っていたりもするそうで、だから「ラムにしてはやけに固いし臭いし、これってマトンと変わりないよね?」という品も少なくないのね。
私は「羊の羊臭さは薄ければ薄いほどいい」とは特に思っていなくて、元々「匂いの強い食べ物」は好きな部類だからラムでもマトンでもウェルカムなのだけれど、でも今日のアニョードレは格別だった。仔牛も、あの乳(それこそ"牛乳")臭さがたまらない感じだけれど、アニョードレもやっぱりどこかミルクの香り。柔らかくジューシーで、ほのかにただよう香りは確かに「羊肉」ではあるものの、「ラム」とは明らかに違う肉質だった。
「お値段の張るだから……あんまり"たっぷり"というわけにはいかなくてスミマセン」
とのことだったけれど、試食の皿が出てから「骨際の肉もカットできました」とお皿に追加もやってきて、しっかり味わうことができた。オリーブ油をまぶして塩胡椒でシンプルにオーブン焼きにしたアニョードレにはハーブ入りの美味しいバターのソースをかけて。添えものはたっぷりのラタトュイユ。
待望のアニョードレの前には、新じゃがに詰め物ををした一口サイズのお洒落な前菜、そしてプリモピアットは、ちょっと和風に帆立の稚貝と筍を使ったリゾット。添えられたジェノベーゼ風のソースは、バジルではなく木の芽を使ったもので、これがたいそう風味が良かった。明らかに和風の食材なのにリゾットとしてまとまっているのがとても新鮮。
「海のものと山のものを合わせないのがイタリアでは一般的なので……」
たとえばボンゴレスパゲッティにチーズ(=原料は牛の乳=山のモノ)をかけたりする事はしないんです、と、魚介のリゾットに最後風味を添えたのは、ボッタルガ(粉末唐墨)。適度な塩気と濃厚な口当たりで、ボッタルガは"仕上げのチーズ"と同じような存在感だった。
そしてデザートは、ロールケーキ仕立ての苺のフレジェ。
"フレジェ"とは、あえて例えるならショートケーキのような、伝統的なフランスの苺のケーキ。でもホイップクリームではなく、"ムースリーヌ"(カスタードクリームに、おっそろしい量のバターを混ぜ込んだバターカスタードクリーム)を挟む。ジェノワーズ(スポンジ)・苺&ムースリーヌ・ジェノワーズ・マジパンと積み上げて多くは四角い形に仕上げるのだそうだけれど、今日はそれをロールケーキ仕立てにしたものを教わった。クリームがバターたっぷりなのでスポンジ生地にはバターを使わず、ややあっさり味の生地で濃厚なクリームをたっぷりとぐるりと巻いたもの。
それほど「バター!」という感じではなく、あっさりと食べられてしまうのが、カロリーを想像すると恐ろしくもあったけれど、美味しかったなぁ〜……なんでこう、ポイズンな食べ物は美味しいのかしら。自分で復習したら、そのバターの多さにまたドン引きしてしまいそうだけれど、苺が美味しいうちに一度作ってみなければ。
久しぶりのレッスン参加で熱心に話を聞きつつごりごりメモ取って、後半はコース仕立てのお料理を席でいただいておしまい。仔羊はパスクワ(=イースター)に食べる食材として定番のものなのだそうで、テーブルのコーディネートもイースター風。紫を基調にした小鳥のオブジェが飾られたテーブルは、もう何年も前にアメリカで作ったイースターエッグの色合いを思い出させてくれるものだった。
イースターは非キリスト教徒には全く馴染みがないものだけれど、「ウサギ・小鳥・ピンクに紫、水色に黄緑」といったあの華やかな感じはいかにも「春が来た!」と思わせてくれるもので、たまらないものがある。
「もうすぐイースター!」という気持ちは、日本人が「そろそろ桜が咲くぞ!」と浮き足立つ気持ちになるのと似た感覚じゃないかなぁ、と思ったりして。
楽しいレッスンの後は、友人と2人ぷらぷら渋谷まで戻って、ここ美味しいんですよーと友人が教えてくれた「Boulangerie Patisserie BRASSERIE VIRON」で明日のパンのお買い物。
そのあと、渋谷の東急本店で開催中の「魅惑の大万華鏡展」をちらっと覗いてきた。
去年、息子と一緒に夏休みのワークショップとして参加した万華鏡のワークショップ(簡易な万華鏡を自作して、それを覗いて手持ちのカメラで写真を撮り印刷するという内容)、そこで「テーパードミラー」という、覗いたものが綺麗に球形のモザイク模様になる万華鏡の存在を知った。それからずっとずっと、密かに「テーパードミラーの万華鏡が欲しいな」と思い続けていた私。
覗いてみないと美しさがわからない万華鏡、安い買い物ではないからネットで買うのも勇気が要る。5000円ほどの自作できるキットがあることもみつけたけれど、組むときにゆがみが出ると眺める像もゆがんでしまう万華鏡を、すんなり1人で綺麗に完成させられる自信もない。
で、「これ!」という品と出会えたら嬉しいなぁと思って、行ってみた。
作家ものの万華鏡が値の張るものだということは知ってはいたけれど、万華鏡展(展、と言いつつ、実際は展示即売会だ)に並ぶ万華鏡は、普通に4万円、5万円するものばかり。山見浩司さん、という、日本の万華鏡作家の第一人者の作品もあって、そこにはテーパードミラーのものもいくつか。たいそう綺麗だ。でもたいそうお高い。両目でも覗けそうな巨大サイズのテーパードミラー万華鏡のお値段は、なんと99万円。
うはー、と思いながら
「あの、テーパードミラーの万華鏡を探しているのですが、ここと、そこにあるのが全部ですか?」
とフロアの人に尋ねてみたところ、この展覧会を主催する万華鏡ショップの方だったらしい。
「万華鏡、お好きですか!」
テーパードミラーという単語が出るなんて!という風に、その方の目がキラーンと輝き、他にあまりお客さんがいなかったこともあって、買いもしない私にあれこれ教えてくれた。
この作家さんの作品はとにかく「鏡の組み方」が綺麗で像も美しい、外側の枠部分の造型も凝っているから値段も張りがち、でも、数週間後に丸善で開催されるイベントには、もしかしたらテーパードのテレイドスコープが出るかもしれない、それなら1万円くらいで出るはずです……と、あれこれあれこれ。
私が欲しいのはまさにテレイドスコープ(ビーズやガラスなどの"オブジェクト"を覗くものではなく、風景を覗くもの)だったので、欲しかったものはまさにそれ。山見氏のワークショップも開催されますよ、テーパードではありませんが、これもすごく綺麗な万華鏡なんです、とのこと。結局、今日は万華鏡は買わなかった(買えなかった)けれど、その万華鏡ショップのカタログを買って帰ってきた。
「丸善でお待ちしてまーす!」
と爽やかな笑顔で見送ってくれた店員さん。
「おお、万華鏡男子萌え……」と期せずして新たな萌えジャンルを開拓してしまいつつ、帰宅した。
万華鏡好きな男性、良くないですか。なんだか萌えないですか。って、私は誰に聞いてますか。
チキンカツ
「CoCo壱番屋」のほうれん草カレー
新玉ねぎたっぷりスープ
麦茶
家でご飯炊いて野菜炒めでもして、スープも残ってるし、あとはこれでいいや……と、チキンカツを買って帰ってきた。
でも、帰宅してメールチェックしなきゃ急ぎのお仕事の対応しなきゃとバタバタしていたら、あっというまに午後7時。しまった、ご飯を炊く用意もしていない。
「息子さん……チキンカツは買ってあるんだけど、ココイチ注文してもよろしいでしょうか……」
「いいよ!大歓迎!」
ということで、ご飯を炊く手間副菜作る手間あれこれ考えて、カレーの宅配を頼んでしまった。私はチキンカツを乗せる前提で、ほうれん草トッピング。
スープを温める時間で、サラダ代わりに酢油キャベツだけごく簡単に用意して(本当は数十分寝かせる方が良いのだけれど省略)、あとは届いたカレーに買ってきたチキンカツをどかんと乗せて「さぁどうぞ!」という感じで。
今日、美味しいものをたくさん習ってきて、「やっぱり手抜きはよくないな、ちゃんと心をこめて料理しなければ」と思ったばかりだというのにこの体たらく……。猛省。
レーズンパン
カフェオレ
今日はだんなも息子も家を早く出るらしい。
「僕、今日1年生の手伝いするから、いつもより30分くらい早くいかなくちゃなんだ」
「俺、出張の新幹線乗るのにいつもより1時間くらい早くいかないとなんだ」
それは大変……と、いつもは6時半起きのところ、15分くらい早く目覚まし時計をセットした。今日はコーヒー淹れれば済むような朝食だし、それで間に合うだろうなと。
が、だんなの方が早く起きてくれていて、「明日の朝はパン・オ・ショコラです」と昨日のうちに伝えてあったこともあって、コーヒーの準備を始めてくれていた。
「あ……オーブンも余熱して貰えると嬉しいデス……」
とちゃっかりお願いして、私は6時半まで布団の中。
そういえば、先日帝国ホテルのペストリーショップで購入したレーズンパンも残っていたんだった、と、薄切りにしたそれに無塩バターを薄〜く塗って軽くトーストして、あとは「Boulangerie Patisserie BRASSERIE VIRON」の巨大なパン・オ・ショコラを。
モハッと大きなサイズで、空気をたっぷり抱き込んだパン・オ・ショコラは、「パリパリ」というより「モフモフ」という若干柔らかめの歯触り。端から端まで2本の線になってチョコレートが巻かれている。
「……本場のパン・オ・ショコラの味をするだんなさんは、いかが思いますか?」
聞いてみたら、
「うん、もっと、バリッとしてるよね、あっちのはね」
と、さらっと返されて、聞いた私が軽くジェラシー。
そして7時半にして、家の中に誰もいなくなってしまって、とりあえず「オペラ座の怪人」の曲流して一人カラオケ状態でお掃除洗濯。
わぁ〜たしのぉ〜たかーらものにぃ〜てぇをだーす〜やつぅ〜♪
茹で青梗菜
なすとにらと豚薄切り肉のさっと煮
大根と油揚げの味噌汁
羽釜御飯
麦茶
昨日日中外出していた余波で、今日は朝からお仕事まみれ。やってもやってもまだあるよ、と涙目になりながら、でも数ヶ月後に楽しみな予定が入りそうなので、それを励みにがんばった。
だんなは出張先でお泊まりだそうで、今日も息子と2人の夕御飯。
100gほどの、すごく半端な量の豚薄切り肉が余っていたので、茄子とニラと合わせて醤油味醂味のご飯に似合う味の炒め煮にすることにした。甜麪醤も少し入れて、刻んだ長ねぎ、生姜、にんにくと共に胡麻油で炒めた茄子と豚肉とこってりめに炒めつける。水を注いで数分煮込み、最後に刻んだニラをざっと混ぜてできあがり。
同じ皿に、ココット皿に盛った皮蛋豆腐と茹で青梗菜も添え、あとはご飯と味噌汁。肉はほんの少しだったけれど、皮蛋もあったし味もこってりめだったしで、なかなか食べ応えのある夕飯ができあがった。
皮蛋豆腐には、私には友人がお裾分けしてくれた手作りラー油と醤油を垂らし、息子には旭ポン酢に少し砂糖を混ぜたものを垂らし。
今、家にある皮蛋は、以前、横浜中華街でお店のおばちゃんが「これがいいのよー」と勧めてくれた品。泥がついたままの皮蛋で、殻を剥いたばかりの状態では舌が痺れるほどにキツいアンモニア臭がする。ダメだよおばちゃん、これ美味しくないよ……と最初の1個には思ったけれど、このアンモニア臭、殻を剥いて30分ばかりそのまま放置しておけば、すっかり飛んでしまって全く気にならなくなる。
アンモニア臭の消えた皮蛋は、見事に黄身が層をなして黒く色づいているし、表面には氷の結晶のような不思議な模様も見える。いわゆる「松花糖心皮蛋」と言われる上質の高級品皮蛋で、トロンとした黄身がほのかに甘くクリーミーでとても美味。おばちゃん疑ってごめんなさい、この皮蛋超美味しいです……。しかも安かった(1個100円するかしないかくらいだった)ので、また横浜中華街行って同じお店で買ってこなきゃ。
ベーコンエピ
ミルクティー
苺
だんな出張中にて、一人広いベッドで過ごした一夜。
「土曜は夜まで予定ないし、もうたーっぷり寝てやるんだもんねー」
と軽く夜更かししてから布団に入ったのに、息子が起きてきて居間でがさがさやりはじめたのが朝6時。それを見たりゃんりゃんが
「お前の息子はもう起きてるぞ、お前は何をやってるんだ」
とばかりに枕元でニャーニャー鳴き始め、「いやでも私はまだ寝ますから」と強硬二度寝、三度寝をしつつ、それでも鳴くりゃんりゃんに根負けして8時頃起きた。
……ぬぅ、久しぶりに10時頃まで気絶したように寝ていたかったのに……。
朝御飯は、「Boulangerie Patisserie BRASSERIE VIRON」で買ってきたベーコンエピが残っていたのでそれをオーブンで温めて。
このパン屋さん、パンは基本的に「紙袋」に入れてくれるので、一日放置してしまうと水分が抜けてちょっと大変な歯ごたえに。ベーコンエピも例外ではなく、軽く霧吹いてオーブンに入れたのだけれど、バリバリとした非常にハードな歯ごたえで温まった。その固さも心地よくはあったけれど、そのままフレンチトーストに加工してしまいたい気分。
ラタトゥイユ
アニョードレのアル・フォルノ(前足と後ろ足)(
あまおうのフレジェ ロールケーキ仕立て
ロゼスパークリングワイン(Carpene Malvolti Rose)
お茶とかコーヒーとか
先日のお料理教室で、柔らかでジューシーで、羊なのに羊じゃないみたいな絶品のアニョードレ(=乳飲み仔羊)のオーブン焼きをいただいてきたのだけれど、玉緒先生曰く、その仔羊の肉が余っているとのこと。
レッスンでは前足と後ろ足だけを使うのに、購入する単位が「半身」ということで、首だのアバラだのついたものを仕入れたのだそう。もし行き場がないようであれば、そのお肉、買い取らせてくれませんか〜とお願いして(だってあんなに美味しい肉、どこの部位でも焼いて食べたくなるというもので)、"卸価格"の破格値でお譲りいただけることになった。ばんざーい。
……で、週末にその肉を受け取りに伺います、という流れから、「じゃあ一緒に夕飯を」ということになり、「どうせなら、余った前足1本もその場で焼いてしまいますか?」という流れに。当初は「リゾットとお野菜とデザートくらいの軽めのお夕飯」くらいの予定だったはずだったけれど、「前足焼いちゃいますねー」「後ろ足の骨際の肉も、温めて召し上がります?」と、大変肉肉しい感じになった。乳飲み仔羊の腿の骨を両手で持ってむしゃぶりつくという、大変に贅沢な経験をした本日のディナー。
私はレッスンでも既にいただいていたリゾットやロールケーキ仕立てのフレジェも御馳走になり、「あの美味しかったリゾット、家族にも食べさせてあげたいなぁ……でも、自分にちゃんと作れるかどうか」と思っていた料理が、そのままお手本通りの「先生の味」をだんなと息子と共に再度口にすることができた。だんなは帰り際に「仔羊ももちろんだったけど、あのリゾットはすんごく美味しかったなぁ」ほんとに美味しかったなぁ、と呟いていて、リゾットよりは甘いもの!という嗜好の息子は「おかわり、ください」と食後のフレジェを厚切りでお代わり。
我が家のご飯だって、決して不味いものじゃあない……はず……そう思いたい……という程度の自負はあるけれど、目の色変えてうまいうまいと食べている男共を見ていると、「うぬぅ、私ももっとがんばらねば」と思う。思ったところで、その気合いはあっさりと脳天から蒸発しちゃって、「もういいやー今日はココイチでー」なんてことになるのだけれども。
今日はもう一人ゲストがいらしていた。玉緒さんから話はうかがっていて「お噂はかねがね」という風だった出会いのその方は、「昼は美少年フォトグラファー、夜はタロット占い師」という、肩書きも御本人もエキセントリックな美人。なぜか話は「さぬきうどん」で後半盛り上がり、
「がもうが、がもうが」
「やっぱり"たにべい"は最高なのです」
と、洋風の食べ物を前にして小麦粉系食物の話で盛り上がっていた。
出張帰りにだんなが大阪のデパ地下で買ってきた「いか焼き」に、皆揃って「これ、美味しい」「うん、これがいい。こういう味のものがいい」と食い付いていたのがなんとも。
ずっしりと重量感のある、格安値で買い取らせていただいた仔羊のあばらを抱えての帰宅。だから明日の晩御飯も仔羊なのです。
バターソースも良いし、あとはちょっと目先を変えて「刻み長ねぎ+胡麻油+粗塩」でも美味しそう。タコス用のサルサを添えるのも美味しそう……。
カフェオレ
昨日の夕方、表参道駅前の「アンデルセン」を覗いて翌日用の朝ごパンを購入。
存在は知っていたけれど、買ったことのなかったピロシキを棚にみつけて、なんとなく買ってきてみた。
ころりと厚みのある木の葉型をしたピロシキは、具に春雨が入っていて、ほんのり醤油の風味もあるように思えた。「カレーの味がしない、パン粉をまぶさないカレーパン」という風なものだろうなと思っていたので、思いのほか和風というか中華風という感じだったのが面白い。
案外小ぶりサイズだったから、他のパンも買ってくるべきだったかしら……と思いつつ、遅めの朝御飯だったからむしろちょうど良かったかも。
今日はやけに生ぬるい気温で、でも変に背筋がゾクゾクする私はどうやら風邪気味のよう。今日一番の大仕事は「仔羊のリブラックを焼く」ことだなと、あとはおとなしーくしていることにした。
麦茶
「というわけでね、お昼は味噌バターコーンラーメンが食べたいのです」
お買い物にもちょっと行けそうにないのです……と、だんなに甘えて、お買い物と昼御飯の支度をだんなにお願い。味噌ラーメン!了解!と、頼まれてくれた。どうもありがとー。
今日は肉屋にチャーシューも出ていたよ、と、あれこれ詰まったビニール袋を手に帰宅しただんな。
いつも通りの、もやしとひき肉に加えて今日はチャーシューと煮卵も添え、更に美味しいバターと缶詰のコーンもトッピング。麺もけっこうなボリュームがあるのに加えて、たっぷりの具ということで、とても食べ応えのあるラーメンだった。
もやしとひき肉を炒め合わせ、そこにインスタント麺の濃縮スープを入れて分量の湯を注いで炒め煮したものを使う、我が家の(というか、だんなの作る)味噌ラーメンは、インスタント臭さがなくてとても美味しい。ただでさえ、最近のインスタントラーメンは下手なラーメン屋さんで食べるよりは美味しかったりもするから、ひと手間かけた味噌ラーメンは格別だった。
美味しいバターを1かけ落とし、やわやわとスープに溶けて、最後溶けきらずにいるバターの塊を口に入れちゃうのも幸せ。せっかくの美味しいバターをラーメンに入れたり「バター醤油ごはん」にしてしまったりと、バチアタリな用途に使っている今日この頃……。
香菜と新玉ねぎのサラダ
乳飲み仔羊のリブ オーブン焼き
かぼちゃのポタージュ
羽釜御飯
ビール(モルツ)
昼食後に薬を飲んだら、やたらと眠くなるものだったらしく夕方まで爆睡。ずいぶん寝たおかげでずいぶんと体も楽になり、
「よっしゃー!肉焼くぞー!肉食べるぞー!」
と気合いを入れて冷蔵庫から仔羊のリブを取り出した。
室温にしばらく置いておき、表面に薄くオリーブ油をまぶして塩胡椒し、190℃前後という「かたまり肉のオーブン焼き」としては若干低めに思われる温度で焼くこと20〜30分。骨も多い部位だし、これで大丈夫かな、骨まわりが真っ赤になってたりしないかしら、とちょっとばかり心配しつつ、温かい場所でしっかり休ませてから骨2〜3本ごとに包丁入れて食べやすい風に切り分ける。
焼く前は、ご家庭の包丁では切り分けるの難しいと思います……と事前にアドバイスいただいていたのが、よーく理解できた。あばらの骨そのものは仔羊だから細くたよりないものだけれど、それをつなぎ止める部分(胸骨……かしら?)はそれなりにしっかりとしているので、ナイフを入れるのが大変。だんなが代わりに包丁握って、ざっしざっしと切り分けてくれた。楕円皿にどんどん積み上げ、「さぁ、ここから各自取って食べなさい」という風に盛ってしまったのがこんな感じ。
骨際が真っ赤ということにもならず、でも食べ応えのありそうな肉の部位は赤みの残る綺麗な色合い。しっかり寝かせた甲斐あってかドリップもほとんど出ず、上々の焼き上がりだった。
料理教室で習った時には溶かしバターのソースが添えられていたけれど、このところリゾットやバタークリームのケーキを立て続けにいただいていたこともあって、そろそろバターの味がお腹一杯になっていたところ。
むしろ白い御飯に似合う感じの胡麻油とか刻み葱とかを添えた方がもりもり食べられるかもしれない、と、刻んで水にさらし、胡麻油で和えておいた長ねぎ、葉を摘んだ香菜、粗塩と胡椒に、友人お手製のラー油も卓上に出しておいた。新玉ねぎと香菜、リーフレタスを合わせたサラダを銘々皿に盛っておき、そこにリブも乗せておもむろに囓りつく夕御飯になった。キッチンペーパーではとてもぬぐえないでしょ、と、1人1枚手拭きタオルも用意して、口と手をベタベタにしながら柔らかな仔羊を今宵も堪能。
いわゆる普通の「ラムチョップ」では、皮際の「かぶり」と呼ばれる部分は固くもあるし「脂そのもの」といった風でもあるので取り除くのだそうだけれど、仔羊だったらそこも美味しく食べられますよ、とのこと。実際、いわゆる「リブらしいリブ」の骨と骨の間の肉はあまり食べられる量はないのに対し、かぶりを含めたそのあたりの肉はボリュームもあり、とても美味しくいただけた。むしろ、皮のところのプリプリとしたコラーゲンっぽい口当たりのところがたまらない。融点も低めなのか、とろけるような食感だった。
骨はちゃんと残しておいて、明日以降、スープをとってみようかな、と。煮詰め煮詰めれば茶褐色の「羊のソース」にまでできるそうだけれど、根性なしでせっかちな私のこと、「強火で一気に〜!」と調理しようとした挙げ句に焦がしてしまうのが目に見えているので、まずはとろとろ煮込んでできるスープからかな、と……。
ともあれ今は目の前のこの肉!と、香菜バラバラ散らしていたら、息子曰く
「お母さんは香菜(シャンツァイ)がほんとに好きだよね。"シャンラー"だよね」
と。
「シャンラーは語感が悪いから"シャランラー"がいいな」
「魔女っ子メグちゃんか!」
私がシャランラーと言った直後にだんなから「メグちゃん」ツッコミが入って、今日も漫才をしているような食卓だった。
ええ、私もう魔女っ子でいいです。かたまり肉を更に美味しく、失敗無く調理できる魔術を身につけたいです。シャランラー。