食欲魔人日記 01年07月 第5週
7/30 (月)
鯵のたたき丼 (夕御飯)
クリームチーズデニッシュ
野菜のカレーパン
アイスミルクティー

昨日買ってきた菓子パンを並べて朝御飯。ここ数日はあまり暑くなくて大層過ごしやすい。
私はクリームチーズデニッシュと野菜のカレーパン。だんなはチョコレートをまぶしたツイストドーナツに、焼き肉ドッグ(←ヘビィだわ……)。息子はというと、どういうわけかパン屋で「これ!これ!」と食パンを所望していたので、食パン1枚。
「バターでも、塗る?」 「いらな〜い」
「トーストにする?」
「いらな〜い」
……どうやら白い食パンが食べたいらしいのだった。面白い奴だ。

甘いチーズクリームがこてこてと盛られた、バターたっぷり添加されてそうなデニッシュを囓る。にんじんやピーマン、茄子なんかの味がするカレーパンもまぁまぁ美味しい。昨日作ったアイスティーが冷えていて、牛乳で半割にしてすっかり白くなったミルクティーを飲む。

御飯 with 納豆
温泉玉子
麦茶

最近、無性に納豆が恋しくなってしまったので、3個パックを買ってきた。だんなは納豆が大嫌いなので、彼の居ぬ間の平日昼間に食べようと、一人納豆パックをねりねりねりねり。冷たい麦茶を用意して、白い御飯にねりねりした納豆を盛大にぶっかけて食べる。更に冷蔵庫に温泉玉子が入っていたのでそれも出す。これで青菜のお浸しでもあったら良い感じの和風昼食というところだろうか。

黄身がプルンと固まった温泉玉子、大好物なのである。どうやら家でも簡単に作れるらしいけど、何しろ温泉玉子は温泉玉子についてくる小さな小袋入りの甘辛いだしが妙に美味しくて好きだったりする。多分、だし汁に醤油や味醂を入れれば簡単にできるものなのだろうけど、どうも市販の温泉玉子に弱い私なのであった。

食器はおろか、温泉玉子までねばねばさせながら食べた久しぶりの納豆は美味しかった。多分身体が大豆及び納豆菌を欲していたのだろう。何かというとそういう風に
「いやぁ、脳がチョコレートの甘みを欲しがっちゃってぇ」
とか
「いやぁ、今日は十二指腸が"ガツンと肉を喰いたい"って主張しててぇ」
などと理屈つけながら日々過ごしているのは秘密である。

アサリのXO醤蒸し
鯵のたたき丼
鯵のあら汁
モルツ、麦茶

明日はだんなの誕生日。誕生日イブの今日、じゃあ、だんなの好きそうなものを買ってこようと、魚屋で鯵3尾を丸のまま買ってきた。彼は鯵のたたきが大好物なのだ。既に加工済みの「鯵のたたきパック」を買ってきても問題ないと思うけど(いや、逆にそっちの方がよっぽど美しいと思うんだけど)、「ここは、愛の力で」とわけのわからない事を呟きながら買ってきたのだ。

ウロコを取り、頭を落とし、腹を裂いてはらわたを引きずり出す。3枚におろしてから骨を抜き、皮をはぎ、細かく叩く。書くのは1行だけど、これを3尾繰り返すと30分はかかってしまう。結構、面倒だ。さばく以外の魚は冷蔵庫に入れて温まらないようにしながら、両手を魚臭くしながら鯵と格闘。

たっぷりの鯵のたたきができる頃には、台所はスプラッタ状態のようになっていた。ああ、頭が3つ、転がっている。中骨も3枚。この中骨は、油でじっくり揚げて塩をふるとなんとも美味しい「骨せんべい」になる。それはわかっているけど、真夏に天麩羅はできればやりたくない。結局、フライパンで頭も中骨もこんがり焼いて、それを味噌汁にすることにした。焦げ目のついた魚のアラは、香ばしく美味しいだしになる。ちょっと生臭くはあるので、食べ際に刻み葱をぶわっとふりかけて食べることに。

そして、ビールの肴にとアサリのXO醤蒸し。
深さのある器に殻のついたあさりを入れ、上から刻み葱と刻みにんにくをたっぷりとかける。そして味付けはXO醤。XO醤だけ。香港で1瓶4000円以上も出して買ってきた、我が家最高級の調味料だ。これを大さじ1杯くらい、アサリの上からたっぷりとかけて、それを器ごと蒸し器で15分くらい。殻がパカッと開いたアサリからは何とも言えぬ良い香りがする。豆板醤やラー油に似ていなくもないけれど、干し貝柱や海老、金華ハムなどがたっぷり入ったXO醤はその存在だけで素晴らしくリッチな風味を漂わせていた。いやん、美味しそう。

かくして、午後8時45分、少々遅く疲れて帰ってきただんなはXO醤蒸しに狂喜乱舞してくれたのだった。私としては鯵のたたき丼の方にも狂喜乱舞して欲しかったのだけれど、今日は何しろXO醤蒸しが想像を絶して旨かったのだ。

アサリの殻をスプーン代わりにして、ボウルの底に溜まるアサリから出たスープとXO醤のかけらをすくって飲む。たっぷりの長ねぎと、これまたたっぷりの薄切りにんにくが、ついついビールを進ませる。結局いつもは1缶のところ2缶飲んでしまった私たちだった。

明日は誕生日当日。しっかりお祝いしたいけど、でも仕事の日なので凝ったものはできそうにない。とりあえず今日、ステーキ用の肉なんか買ってきてみたりなんかして。

7/31 (火)
せりあちゃん特製ステーキ丼 (夕御飯)
でも、まだまだ精進の余地がありまくり……
卵御飯
鯵のあら汁
いぶりがっこ
麦茶

先日、いつもよりちょっと良い卵を買ってきてみた。この地域は卵1パック78円、98円、なんて安売りが頻繁にあるところではあるけれど、そういう卵はどうも殻が薄くて、「脆弱」という感じを受ける。指に軽く力を入れるだけで、メキャッと潰れてしまったこともある。で、先日は、いつもは買わないちょっと高い卵を買ってきてみた。あからさまに卵の殻が厚くて、良い感じだ。まだ買ったばかりなので、生卵ぶっかけ飯を食べることにした。

昨夜の魚味の味噌汁に、母が秋田から持ってきてくれた秋田名物いぶりがっこ。それだけあれば朝御飯には充分だ。

桜のチップで薫製した、薫製沢庵であるところの「いぶりがっこ」(いぶり=燻り、がっこ=漬け物)は、母の郷里じゃどこででも普通に買えるものだけど、我が家の近辺で見かけることは100%、ない。だから、母が上京してくると聞いて、真っ先に頼んだのが
「いぶりがっこ、買ってきて〜」
だったのだ。母は、長い1本もののやつを数本と、刻んだパック入りのを数袋、もう3年はいぶりがっこ買わなくて良いんじゃないかというような量を買ってきてくれた。あんまり多かったこともあり、だんなは同僚の秋田出身の人にお裾分けとして持っていった。熱烈に感謝されたらしい。

薫製臭い沢庵をポリポリ囓りながら、卵ぶっかけ飯を食べる。黄身の味がちょっとばかり濃厚な、なかなか美味しい卵だった。

マリボーチーズのチーズトースト
ヨーグルト
牛乳

本日、本当は仕事の日であったのだけど、息子が朝から体調を崩してしまった。今日はクーラーの効いた部屋で親子おとなしくしていることにする。

昼飯は、冷蔵庫から「マリボーチーズ」なるラベルの貼られた半硬質のチーズが発掘されたので、これでチーズトーストにすることにした。購入したのが少々前のことだったので、隅の方はカビてきてしまっていた。んが、気にせずダメになったところは削り落として普通に食べちゃう。一度、白カビチーズに青カビが生えたことがあり、
「どっちもカビだからきっと大丈夫だよなぁ……」
とものすごい論理で青カビを除いて喰ってしまったこともある。そのときは青カビは白カビより優勢だったらしく、チーズは少々風味が違っていて、マイルドさが薄くなったような味わい。白カビチーズでもカビには弱かったようだ。

今日のマリボーチーズは、食パンに乗せて焼いたらトロリとしてとても良い感じだった。熱いうちに囓ると、ミョミョミョミョミョ〜ンと長く伸びる。気分はハイジだ。
「ほらほら、息子。ハイジトーストだよハイジハイジ。」
「はいじ?」
息子は「ハイジ」が何なのかはわからないようだったがチーズトーストはもりもり喰った。風邪かと思ったけど、大したことないみたい。

トマトとモッツァレラチーズとバジルのサラダ
さやいんげんのバジルマヨネーズ和え
せりあちゃん特製ステーキ丼
和風味のコンソメスープ
モルツ、麦茶

今日はだんなの誕生日。なんでも20歳になったのだそうである。10進法表記でないところがミソだ。これで「29歳」頃まではごまかせるかもしれないけれど、「2A歳」などになったらどうするのか。

昨日のうちにステーキ用の肉を買ってきておいたので、それを使って予定通りステーキ丼。ただの「ステーキ」より「ステーキ丼」が無性に食べたくて、私の好みでそうしてしまう。
フライパンに薄くサラダ油を敷き、薄切りにんにくを炒めて肉を投入。ミディアムレアくらいになるように考えつつ焼いたあとは、焼きたてのところをざくざく切って御飯に乗せる。フライパンに残った油とにんにくのところにバターの大きな塊と醤油を放り込み、軽く熱してそれをソースに。とにかく「にんにくと、バターと、醤油」という味のシンプルな味のものを作りたかった。上に白髪葱をてんこ盛りにしてできあがり。

お供は、かつおだしがベースの野菜のスープ、それにモッツァレラチーズとトマトとバジルを交互に並べたイタリアンなサラダ。ついでに茹でたいんげんにもバジルを混ぜたマヨネーズをかけて一緒の皿に盛りつけた。

今日は外出できなかったので、ワインもケーキもない誕生日になってしまったけれど、ステーキ丼はだんなに好評だったようだ。まだまだ、「肉を理想のミディアム・レアに焼く」とか「肉の下味をほどよくしっかりつけておく」だとか「最後に程良いカリカリ状態でにんにくを仕上げる(今日はちょっと焦げちゃったい)」だとか、まだまだまだまだ向上の余地があるのである。ステーキって、難しい。